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森と林業と田舎の本

2021/09/19

100de名著「群集心理」から学ぶ拙著

今月のEテレ「100分de名著」は、ル・ボンの『群集心理』を取り上げている。

本書はフランス革命とその後の混乱期の洞察から書かれた心理学者の本だが、ネットやSNSが作り出す新しい《群集》の時代に実にマッチしている。とくに第2回の、この言葉が刺さった。

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これまで群集が真実を渇望したことはなかった。群集は自分らの気に食わぬ明白な事実の前では、身をかわして、むしろ誤謬でも魅力があるならば、それを神のように崇めようとする。”

これは、単に群集だけでなく、さまざまな立場の人にも置き換えられる。私なんかは、群集を「読者」「視聴者」「聴衆」、さらには「有権者」に置き換えてもいいと感じた。自らが気に食わぬことを書く・話す者は距離を置かれ(あるいは攻撃対象とし)、間違っていても魅力的なスローガンなり見映えを見せてくれる者になびくのだ。

そしてこの「群集」「読者」「視聴者」「聴衆」「有権者」……を従えようとするには、物事を単純化し、見映えよく感情的なイメージを演出するべし。個別の事実をコツコツ積み重ねたり、思考の過程を示したりするより、結論だけを突きつける。ワンフレーズで断言する。(中身と関係なく)かっこよく堂々と話す。イメージ優先の論法を振り回すとよい。

今始まっている自民党総裁選も、その後の衆議院選挙も、この論法が駆使されるだろう。ならば私も、それをやってみようか、という誘惑( ̄∇ ̄;) 。事実を積み重ねた上で結論を導く帰納法より、先に仮定の結論を出す演繹法。(その後の証明はなおざりでもかまわない。)

もっとも、私もへそ曲がりでねえ。

このブログにしても、普段はいかに冒頭を読みやすくするかに腐心しているのだが、3連休の中日なら誰も読まない(笑)と思って、あえて難しいことを書いてやろうとする。

そして来月発行予定の拙著も、あえて耳障りのよい常識を否定し、読者を揺さぶってみようと試みる。読者は途中で居心地が悪くなるだろうね(笑)。

タイトルが決まった。「虚構の森」だ。英語だと「イマジナリー・フォレスト」かな。“群集”のイメージの中の森をぶっ壊せ!(ワンフレーズ)

2021/09/18

不眠症に初校ゲラ

突然、不眠症になることがある。眠いときに頑張って起き続けて、さあ、もう用事は済んだから寝ようと思ったら、なぜかまったく眠れない。身体は疲れて眠りを欲しているのに、眠れないのだ。昨夜が、そういう夜だった。

おかげで明け方まで意識があって、うとうとしただけで通常の時間に目が覚めてしまった。1日中眠くて、身体が動かない。

今は風呂上がりで少し目が覚めたが、今晩こそ安眠したい。

そこに届いたのが、次回出版予定の本の初校ゲラ。

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これを見て、また眠くなった( ̄∇ ̄;) 。

2021/09/17

騙された?書評『外来植物が変えた江戸時代』

『外来植物が変えた江戸時代 里湖里海の資源と都市消費』(佐野静代著 歴史文化ライブラリー・吉川弘文館)。

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ちょっと驚いたというか、騙された気分にさせられる本だ。

タイトルから外来植物が江戸時代にどんな影響を与えたのか、という思いで手にとったのだが、まずここで騙された。まずサブタイトルに里湖里海とあるように主な対象は湖や海の沿岸部。里山ならぬ沿岸部に人々の暮らしが生態系を変えたことを示している。まあ、その程度の勘違いはいい。
しかし、外来植物というのは何だか今風のヘンな雑草が繁茂するイメージではなく、具体的には、綿、サトウキビ、サツマイモ……など作物なのである。たしかに外来ではあるが、人が有用と思って栽培したのだから、ちょっとニュアンスが違うではないか。

とまあ、タイトルに文句を付けても仕方がない。

そこで描かれるのは、驚きの栽培法なのだ。まず、これらの作物には肥料が必要だ。とくに綿やサトウキビはたっぷり栄養がないと育たない。ちなみにサトウキビは琉球や奄美だけでなく、江戸時代は本土で広く栽培されていたらしい。和三盆の讃岐もだが、遠州などでも盛んだった。そして肥料としていたのが、海草や海藻だったのだ。せっせと池や湖、そして海からアマモやキンギョモ、ホンダワラ……などが採集され、それが畑に入れられたらしい。里山の草木はすでに田畑に取られていたから、足りないのだ。

さらにシジミやアサリも、身はもちろん食べ物だが貝殻は焼いて粉にしたら石灰肥料。これも重要だった。

里山がはげ山になって土砂が流出すると、海が砂地になり、そこにはアマモが繁る……という生態系もあったらしい。山の栄養分が、海に流れ出たのを海藻などの形で陸地に返されるという物質循環があったという。だからホンダワラが商品として取引もされた。

大坂の町では、四国や九州の薪が運ばれて売られたという江戸時代のエネルギー事情は私の問題意識の中にあったのだが、そこに海の産物も加わっていたのである。

ネタばれ的な本の内容はこれぐらいにするが、江戸時代の生態系を見る目が変わった……いうより広がった。鎖国して日本列島の陸地の中の生態系ばかりを考えていたが、そこに水圏が加わり、拡張した生態系の姿が浮かび上がる。それはより複雑になり、巨大な物質循環を築いていたとなると……それを破壊してしまったのは、やはり明治~大正以降なのか。
そして、大きな歴史の断絶をつくってしまった。この本には遠州地方のサトウキビ栽培の資料がなかなか見つからずに困った逸話が記されている。日清戦争後、砂糖生産は領有した台湾になり、本土のサトウキビ栽培は一気に廃れたそうだが、ほんの100年ほど前の繁栄した地場産業が忘れられていた。

今頃、SDGsなんて言って新しがっていられない。温故知新、過去を調べることで新しき社会システムを発見できる。

 

 

2021/09/16

刃物を支える石

先日、草彅剛がMCを務める「最後の○○~日本のレッドデータ~」という番組を見た人はいるだろうか。

ここでは「人知れず消えつつある数多くの職人の技や、生産物など“日本のレッドデータ”を紹介する番組だが、そこで取り上げられたのは、天然砥石だった。

日本刀がブームになったが、そこで注目されたのは古来の名刀である。そこから、それをつくる刀鍛冶……までは誰もがすぐに連想するのだが、実はその先に研ぎ師がいる。研がねば、どんな刀も名刀にならない。……ま、そこまではギリギリ連想する。が、その先に研ぎ師の使う砥石がある。今や一般には人造砥石が席巻しているが、日本刀には天然砥石しか向かない。その粒子の細かさやはがれ具合は、合成樹脂で固めた人造ものでは再現できないからだ。

で、天然砥石になる石は、日本列島はわりと全国で採れるのだが、それは二級、一級品まで。日本刀向きの特級品は京都でしか採れない、と言われている。包丁にこだわる料理人も、天然砥石を選ぶ。海外からも京都の砥石を求めて訪れる人がいる。
そして、今も砥石の原石を掘っているのはただの一人。この人がいなくなると……という番組である。日本刀から砥石の採掘まで行き着くのはなかなかの想像力がいる。

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実は、私も砥石の取材はしたことがあって、この裏話は何かといっぱい聞いている(⌒ー⌒)。ただ、実際に掘っているのはこの人しかいないのは事実だ。掘らなくなって、オレの山の方がもっとよい砥石が出る、と言うのはみっともない。

で、私も砥石鉱山に潜ったことがある。ただし、上記の現役鉱山ではなく、廃坑だけど。怖いよ、廃坑に入るのは……(笑)。

だが、日本は木工王国だと言われるのだが、それはよい砥石があるからだという。砥石がなければ刃物も活きない。

いや、刃物だけではない。漆芸も多くが砥石なしでは成り立たない。ただし、こちらは研ぎ炭と呼ばれる木炭だ。アブラギリの白炭が最高級なのだが、これを焼く職人が、これまた全国に何人もいない……。これはICチップやレンズ磨きにも必要とされる。

これらも山と森の産物だと言えなくもない。とてつもなく貴重な森林資源だ。

チェンソーに鉈、ノコギリ……林業用刃物で、そこまで砥石にこだわる声は聞いたことはない。工芸品・芸術品と日常品の差と言えばそれまでだが、技術を支える縁の下の石ころにも忘れないでおきたい。

 

2021/09/15

ワクチンの副作用

実は昨日、新型コロナワクチンの2回目を接種した。

なんでも2回目はきついそうである。みんな、熱が出たとか、腕が上がらないとか、身体がだるくて動かないとか、ほとんど寝ついてしまうという副作用の逸話を聞かせてくれる。いや聞きたくないのだけど。

まあ、その時はその時、疑似コロナ患者の気分を味わうか……と鷹揚に構えていたのだが。

なんと朝から熱は36・4分。上がった!いつもより高いよ!

それに朝から眠くて眠くてたまらん。あくびばかり出る。春眠ならぬ秋眠暁を覚えず……これぞ、副作用か!

接種した方の腕が上がらない……こともないな。あれ?

で、でも仕事したくないし。猛烈に拒否反応。仕事イヤだ仕事イヤだ仕事イヤだ。コロナだもん。ワクチン打った後は安静に、安静に。

ワクチン接種の帰りに久しぶりに大型書店に寄ったらアホみたいに本を買ってしまったから、読まないといけないし。

実は一昨日から急に仕事が来て、急ぎで取りかからないといけないのだが、コロナだもん。すっぽかせ。
そこに発注忘れていました、締め切り明日なんです……という編集者(♀)の悲鳴が届いたので、心配いらないよと優しく受けて、それを一晩でこなす私。仕事はえり好みする(^o^)。でも、もう力尽きた。これから寝込むよ。

こんなブログ書いているヒマはないのだ。身体だるいし。眠いし。腕は痛?そう、痛いはずだし。

ちなみに今夜の「クローズアップ現代+」では林業を取り上げるそうだが、宮崎県の盗伐も取り上げるはず。でも、予告を見ると、あんまり期待できないなあ。やっぱり「ハコヅメ」の方を見ようv(^0^)。

 

2021/09/14

バイオマス発電、10年後コストは最高値

総合資源エネルギー調査会という経産相の諮問機関があるのだが、その中に発電コストワーキンググループという審議会がある。

そこで2020年と2030年の各電源別発電コストの試算を出していた。それが笑える。

2020 これが2020年のもの。

2030 10年後2030年。

どれだけコストが変わっていくか見てほしい。とくにFITで割高な電力料金を取っている再生可能エネルギーほど、どれだけ安くなるかが重要だろう。なぜなら発電開始して20年後にはFITは消えるのだから。

上と下を比べると、いずれもそこそこコストを下げているように見えるのだが……。石炭や石油が少し上がっているのは、むしろ使わなくするためでもあるのだろう。

が、バイオマス発電(専焼)はというと……。なんと、まったくコスト削減なし! 10年経っても、まったく変わらないというのだ。なぜなら燃料費が大半を占めていて、燃料となる木質バイオマスは年々集めるのが難しくなるから。技術革新とかスケールメリットもほとんどないのである。それでも必死で現状維持を保ったわけか。kWh当たり29.8円のままだが、これって、再生可能エネルギーの中で最も高いのである。

中小水力や地熱も、ほとんどコストは下がらない。その点、陸上風力や太陽光は、かなりコスト削減ができる。

これって、致命的じゃない? FITが切れたら即停止。即廃業するのは間違いあるまい。全国にバイオマス発電所の廃墟が生まれるかもなあ。

2021/09/13

世界中で消える草原生態系

かつて草原ジャーナリスト見習いだった片鱗がうずく話。

過去300年間の菅平高原の植生を追跡 ~国立公園化後に草原の減少は速まった~

具体的には、長野県上田市の菅平高原は、おそらく4000年前から草原で、少なくとも1722年には草原だったことが確認できるが、それが急速に失われつつある。その原因が国立公園への指定によって草原の減少を早めた可能性を指摘している。それはやはり、国立公園にある開発規制が、人の手を入れることを禁じたことによると思われる。
そして今はスキー場維持のために、草原が保たれているという。

まあ、これ自体が皮肉というか、ありそうな話だな、と思わせる。以前、京都の嵐山の美しい紅葉を守ろうと人の手を入れるのを禁じたら、余計に照葉樹林化して紅葉が消えてしまった話もあったが、人の手が維持する自然も多いのだ。

ただ私が興味を持ったのは、この記事の冒頭に「草原は近年、世界的にも日本国内でも過去に類を見ないほど減少」と記されていることだ。日本だけじゃないのか? 砂漠化の進行が問題になっているのだから、森林が疎林化して、さらに草原化するところも増えているかに思えたのだが、実は世界中で草原は減っているのだという。

おそらく、これは火入れの禁止など規制もあるが、より大きいのは植林の増加ではないか。中国やインドの森林面積が爆上がりしているが、これは従来樹木が生えていなかったところに木を植えたからだろう。でも砂漠へ植林しても、水がなければ育たない。その点、草原なら多少の水があるわけで、植林しやすいのではなかろうか。

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中国の砂漠で日本人が進めている植林事業。(写真はお借りしました。)一見美しい話だが、草原が森林になったら、草原生態系はなくなるわけで、それで絶滅する動植物もあるだろう。それでも本当に地球のためと言えるのか。


 

2021/09/12

杉葉線香は、なぜ売れたのか

読売新聞に売り上げ「ほぼゼロ」から30倍に、手作り線香店「えらいことになったわ」という記事が載った。

これによれば島根県安来市で創業100年を超える「内田線香店」の杉葉線香が売れているという。

私はてっきり、何か工夫した新商品を出したのか、今どきのSNSでバズらせるネタを提供したのかと思ったのだが……半分外れ、半分当たり。

SNSを利用した点は当たったが、とくに変わった商品とか使い方とかを紹介したのではないらしい。地元ケーブルテレビの関係者がツイッターで書き込んだだけだという。それでも人気を呼んだのはなぜなんだ? 100年続く老舗の品だとか、もうすぐ潰れそうとか書いたの?

05261112_60adae9c914d4商品サイトより。

思えば、スギの葉が線香の材料になることは私も知っていた。というか、林業はスギやヒノキの幹ばかりではなく、葉も樹皮も売るものだ、という文脈で記事を書いてきたからである。ただ杉葉線香は、線香の中では安物扱いされていると聞いていたのだが……。

ちなみに写真の線香は825円だから、さして高くない。火付きが良く、折れにくいのが特徴だという。どうも杉葉線香という商品自体に力があるのではないか。

ちょうど割り箸の記事を書いていたところなのだが、こうした派生商品、まだまだ伸びしろがあるような気がする。SNSだけではなく、ちゃんと人々の目に触れるような宣伝・広報をすれば、商品の力で売ることは可能ではないか。

そのうちスギの花粉も商品化されるかもなあ……(^^;)。

 

 

2021/09/11

9月11日にしたこと

SNSなどのタイムラインには、20年前の9月11日、自分は何をしていた……といった書き込みが目立つ。もちろんマスコミも、コロナや自民党総裁選だけでなく、9・11ニューヨークの自爆テロを振り返る特集が幾度も繰り返される。

では、私は何をしていたのか。

朝起きてつけたテレビに、いきなりニューヨーク・ワールドトレーディングセンタービルに飛行機が突き刺さった映像が飛び込んできた。一瞬、操縦ミスとかパイロットの自殺かと思ったが、小型機ならともかく旅客機にそれはありえんな、と思いなおした。
すると2機目がもう一つの高層ビルに突入するのをリアルタイムで目にした。これで、確実に意図的な攻撃だと気づいた。しかし、これは自爆攻撃だ。いわゆる特攻隊である。

とはいえ、何が起きているのかまったく理解できない。どうにも落ち着かない。不安が頭の中をグルグル回る。そのうちテレビの解説だったか、イスラムのテロではないか……といった推測が流れた。それはどこかの国主導なのか?それとも……あまりに情報不足だ。

ただ、あまりのんびりしていられなかったと思う。その日は、取材を受ける予定があったのだ。東京新聞の記者が生駒まで来る。

それで車で生駒駅まで迎えに行って、生駒山中腹のカフェ・ラッキーガーデンに連れて行く。そこの野外席でインタビューを受けるのだ。テーマは、たしか里山だったと思うがはっきり思い出さない。ただ、その取材の間にも、ニューヨークで起きた事件について語らずにいられない。いくら新聞記者だってこの時点では、何の情報も持っていない。

ただ、今後のアメリカの対応に不穏な予感がした。黙っていない。おそらく、復讐の戦争が始まるだろう……。

そんな話を記者としていた。

 

それから20年かあ。その今日1日を私は家庭内のごたごたで走り回って汗をかいたのだが……あえてやった仕事を考えると、もうすぐ出版する予定の本に載せる写真のキャプションを書いたことぐらいか。そうそう、11月に発売される谷山浩子の新アルバムを予約したよ。これぐらいだね。明るいニュースは(^_^) 。

 

 

2021/09/10

ナラシカの草の食い方

久しぶりに奈良公園を歩いた。

そこで見たシカの姿。

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おいおい、寝そべりながら草を食うなよ。行儀悪い。

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そうそう、仲良く仲良く。同じ芝を……奪い合いかい。

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そして、もっともショックな状態。なんと芝生に緑の網がかけられている。あまりにシカが芝草を食べすぎて裸地化が進んでいるからか。しかし、この方法で芝は保護されているのか。なんか網まで破っている。

ともあれ、シカの食欲は奈良公園でさえ?いや奈良公園ゆえか、植生破壊を起こしているのかもしれない。

2021/09/09

草原ジャーナリストになる!はずだった……

東京農工大学大学院農学府農学専攻の沖 和人氏らの研究チームが、高圧電線の沿線下の環境には、多種多様なチョウが多数生息していることを確認したそうである。

高圧線に樹木が引っかからないよう伐採を続けた結果、送電線下がチョウの楽園になっていた

なぜなら、送電線の下は、草木が伸びて電線に触れたら危険なので、定期的に刈り取りをしているからである。つまり人工的な草原を作り出していたから。

もう少し具体的に紹介すると、
a:送電線下
b:幼齢の人工林(植栽直後)
c:林道(人工林内の道路)
d:壮齢の人工林(植栽から時間が経過している)

の環境における昆虫(チョウ)を調べたところ、合計62種2123個体のチョウを確認したそうだ。そして送電線下がもっとも多かったというわけである。

森林より草原の方が、ミクロの単位で見ると生物多様性は高いと思っていたから驚かないが、そこで思い出したのは、私がかつて「草原ジャーナリスト」に肩書を変えようと思っていたこと(笑)。
別に大げさな話ではなくて、森林の本ばかり書いていたら面白くないから、次は草原の話を書こう!と思い立ったというわけだ。そして自然草原だけでなく、放牧地や火入れによる人工草原などを訪ねて調べていたのだよ。

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わりと多くの取材をしたのに、結局はものにできなかったから、幻の「草原ジャーナリスト」に終わってしまった。

ただ、草原と森林と分けることの困難さというか、意味のなさも感じたんだよね。むしろ草原と森林が入り交じったモザイク環境こそが、自然界にはよい(生物多様性も高い)ということだ。それに草から樹木の群集へと遷移する・自然は変わり続けるということに気づいたことに意義を感じた。

そして日本では:草原は草を刈り取り続けることで維持される。刈った草は家畜の餌や堆肥に利用できる。これは、人為が入ることで自然を豊かにするという可能性にもつながるのだ。これ、2010年の愛知目標だとか名古屋ターゲットなどで唱えられたSATOYAMAイニシアティブの思想にもつながるのだが、私の方が10年ぐらい速いよ(⌒ー⌒)。

 

 

2021/09/08

マングローブはブルーの炭素を溜める?

伊藤忠商事が、奄美大島でマングローブ「メヒルギ」の植林事業をするというニュースを読んだ。CO2クレジットとしての認証をめざすとのこと。藻場とかマングローブのような海洋生態系に取り込まれた炭素を「ブルーカーボン」と呼ぶそうだが、それを増やす事業である。

この記事自体はさして興味を引かなかったのだが、そこで気になったのは「マングローブは二酸化炭素吸収量が多いことで知られており」という文言だ。えっ、と違和感を持った。

マングローブとは、沿岸部に生える木々の総称だが、海水の中で育つことが特徴だ。若干の汽水域だが、塩分のある中で植物が育つのは大変なこと。塩化ナトリウムを吸収すると生育が阻害されるから、それを排出する仕掛けが必要となり、その分多くのエネルギーを費やす、だから成長は遅いはず……と思っていたのだ。成長が遅ければ二酸化炭素の吸収だって少なめになる。

実際、マングローブ炭が日本に輸入されているが、マングローブの木々の木質は硬くて緻密だからよい炭になるという触れ込みだった。緻密に育つとなると、成長はゆっくりではなかろうか。。。

そこで調べてみた。すると某サイトに「マングローブの二酸化炭素の吸収量は1haあたり年間25~44t-CO2といわれており、日本の森林の二酸化炭素吸収量が10~20t-CO2といわれておりますので、約2倍の温室効果ガス削減が見込まれます。」とある。ま、このサイトはマングローブ植林推進の立場だ。

一般の森林の2倍以上?そんなことあるかなあ。この数字の引用元は「株式会社関西総合環境センター」だそうで、今度はそちらを検索する。

すると関西電力とオーストラリア海洋科学研究所、関西総合環境センターの3社が調べた結果として

マングローブ林は熱帯林(炭素固定能力:5.5tC/ha・年)に匹敵する炭素固定能力(6.9~12tC/ha・年)を有しており、また、土壌中に膨大な炭素を蓄積(1200~6000tC/ha)していることが判明しました。

なんだか数字が違うじゃないか。でも、多いとは書いている。また3年目以降に本格的な成長期を迎え、1年で1メートル、ときに2~3メートルも成長するとある。成長が遅いという予想は外れていたか。

4_20210908170501 沖縄のマングローブ

しかし、私は信用しない(笑)。なんか、怪しい。

ちゃんとした論文はないか。

文字信貴・大阪府立大学農学部教授の「マングローブ林の二酸化炭素交換という論文を発見

マングローブ群落は、泥の中のしかも塩分を含んだ水中で育つため、根に余計なストレスがかかり、生育には不利な環境におかれているため、光合成能も低いのではないか ともいわれている。

初っぱなに、こんな文章が。なるほど、私の想像と重なっている。フツーに考えたら、そう思うよな。ただ、実際に測定してみたところ、

同じ日射量に対しておおむね同程度あるいは少し大きめの二酸化炭素フラックスを示しており、マングローブ林が特別に光合成能力が劣っていることはないことがわかった。なお、低緯度で日射が強いので全体としての光合成量は大きくなる。

おっ、結局は通常の植物(森林)と同じ程度から少し多めの吸収量を示したらしい。光合成能力が劣っているわけではないが、特別大きくもないわけだ。そして最後にあるように、マングローブは熱帯・亜熱帯地方に成立するのだから日光も強くて、その分だけ光合成量は大きく、二酸化炭素も多く吸収することになるらしい。

ただ、もう一つ気になるのは、「土中に膨大な炭素を蓄積している」という点だ。

これはわかる。熱帯雨林だと植物の成長は速いものの、分解も速い。落葉や落枝、枯れた倒木などはあっと言う間に分解されてしまう。だから炭素はあまり土中に溜められない。その点、マングローブの落葉は海水に落ちる。これは腐りにくいだろう。だから海の底に炭素が溜め込まれるのではないか。

しかし、その理屈は温帯林や亜寒帯林と同じだ。腐葉土を多く溜め込む森は炭素を溜め込んでいることになる。日本の陸上の森林だって腐葉土の森林土壌が多い森はいっぱいある。マングローブがそれより優れていると言えるだろうか。

減少著しいマングローブ林を増やす計画は結構なのだが、陸上の森より炭素をたくさん吸収すると言われると、なんだか誇大広告ぽい。

……という結論に至りました(^_^) 。

とまあ、世間の環境に関する言説には怪しいものが多いのよ。これを一つ一つ確認していくのは大変。ただ世間の常識をそのまま信じるのではなく、異論・異説にも目を配りながら見極めていかねばならない。

こんなこと、日常的にやっていると疲れるよなあ。。。。

2021/09/07

「2倍速で育つ木……」?違和感満載の日経記事

日経新聞に「2倍速で育つ木、実用化へ ウッドショック対策で林野庁」という記事。

まさか、こんなことを林野庁とあろうもの(笑)が、本気で口にしたとは思えないのだが。

簡単に記事の内容をなぞれば、「ウッドショック」の動きを受けて、林野庁は国産材供給の体制を強化するため、通常より2倍程度の速さで育つ樹木を2023年度にも実用化するという。具体的には「コウヨウザン」や「センダン」早生樹種を想定しているとのこと。交配の研究や最適な植林環境の調査を進めて早期実現するために22年度予算の概算要求に盛り込んだ……というのである。

あまりのおバカな記事なので唖然としたのだが……一過性のウッドショックと、早くても20年以上かかる木材の成長と生産を混乱させている。(ここからは日経記者の勝手な思い込みと思うが)背景には高騰が続く国産材価格がある。日本は輸入材に頼り、19年時点で建築材の総需要量(3800万立方メートル)に占める国産材の利用量は半分弱にとどまる。足元では輸入材の入荷減が国産材価格の高騰も招き、住宅メーカーなどに影響が出ている。

国産材が高騰して林野庁が困ることはあるまい。喜ぶべきだし、住宅メーカーが困っても、それは国交省や経産省のカテゴリーなので気にしないでよい(自慢の省庁縦割り)。だいたい国産材の利用量が半分弱にとどまる、ではなく半分弱にまで高まったのだ。(構造材に限れば、もっと高いと思う。)

それに「2倍速で育つ木」という言葉も恥ずかしいが、コウヨウザンもセンダンも、材質的にスギやヒノキの代替にならないだろうなあ。木材ならみんな一緒と思っているのか。ようするに早生樹種の研究と実用化のための予算を概算要求に取り入れたという記事を煽り記事に仕立てたように思う。

 

ところで、私が驚いたのは、上記のようなトンチンカンの部分ではない。最後の方にこのような文面があるのだ。

政府は6月、30年に国産材の割合を6割強まで増やす目標を設定。輸入材への依存度を下げて中長期的なコスト高のリスクを減らす狙いがある。

2030年に木材自給率を6割強にする……という意味なの? これ、本当? 6月に設定というが、どこに記されているのだろうか。

そもそも25年までに5割というのが目標だったはずで、これは達成できるかどうか微妙な線。約38%から12%を5年程度で上積みするのは大変だろうな……ぐらいに思っていたのだが。

今年6月といえば、森林・林業白書を出したほか、新たな「森林・林業基本計画」を決定して「全国森林計画」の変更をしている。このなかに自給率6割超えの目標なんかあったっけ。

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ようやく見つけたのが、「森林・林業基本計画の概要」の中にある木材利用計画量。R12年の見通し・目標が建材総需要量4100万立方メートルに対して国産材利用量が2600万立方メートル……とあるのを6割強と表現したのか。ちなみに木材全体では需要8700万が国産材4200万となっているが、これだと木材自給率は48%程度。つまり2030年になっても、まだ50%に達せないということになる。

日経記者は、木材の利用と言えば建材用という前提で記事にしたのかもしれないが、ちょっと違和感満載なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/09/06

復元家屋の木の種類

生駒山の森林公園で見かけたこの標識。

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ケヤキとな。しかし、この板の木目はどう見てもスギ……と立ち止まって考えて、気がついた。ここで「欅」と記しているのは、背後の樹のことなのだ。この木をケヤキと記す標識の板はスギ板なのであった。おそらく公園内で倒れたスギの有効利用なのだろう。

あまりに当たり前のことに引っかかっていた私は自分をアホかと苦笑いしたのだが、復元した家屋の木材の種類まで同じにするのは難しいだろうと気がついた。地元で復元中の平城宮の大極殿とその周辺の南門も、できるかぎり国産のヒノキを使っているが、全部が全部同じではない。

それで思い出した。佐賀県の吉野ヶ里遺跡。

ここにもかつての弥生~古墳時代の宮殿や家屋が多く復元されている。

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ただ、事前に読んだ本によると、吉野ヶ里遺跡の建築物の多くはモミの木で作られているらしい。当時、九州ではモミがもっとも普遍的に生えている大木だったらしい。スギやヒノキは少なかったのである。そこで、見た復元建築物は……。

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どう見てもスギの木で建てられていた。ちょっとがっかりした(笑)。

今ではモミの木を大量に仕入れるのは難しい。それこそ外材のモミならあるが、国産とは若干種類が違うのだろう。別にいちゃもん付けるつもりはないのだが、完全復元というのは難しい。文化財といえども、樹種までこだわらない。(あるいは文化財系の関係者は、形などにはこだわっても素材の樹種には興味を示さないのかもしれない。)
そういや沖縄の首里城も、以前はタイワンヒノキで建てていたし、今度の復元には国産ヒノキを使うそうだ。明治までの宮殿がヒノキで建てられていたという証拠はないというか可能性は低いのに。むしろ沖縄のイヌマキを使いたいところだが、底をついているから無理として、スギは使わない・使いたくないらしい。

ちょっと脱線してしまったが、「これがケヤキだ」と示すのにスギの板を使ってもいいじゃないか(笑)ということである。

 

2021/09/05

クラフトコーラ流行り

いまどき、クラフトコーラが流行っているのだそうだ。クラフトビールにクラフトジン、などクラフト流行りの中で、コーラも登場?

そもそも「クラフト~」とは何か。 「職人が作る〇〇〇」、「手作りの〇〇〇」といった意味合いで「独立性」「地域性」などがキーワードとなっている、そうだ。少量生産とか個性を前面に出して大手メーカーじゃないことを売り物にするような品か。

実は奈良県には、このクラフトコーラが次々と登場している。

「大和コーラ」に「キハダコーラ」、「おにみみコーラ」……。そこにコカコーラボトラーズが奈良デザインボトルなんぞも発売して……。

簡単に紹介すると、 曽爾村観光振興公社が今年4月1日に出したのが「大和コーラ」。きび砂糖、ヤマトタチバナ、レモン、ヤマトトウキ(曽爾産)、キハダ、クローブ、オールスパイス、コーラナッツ、カルダモン、シナモン、その他スパイス類で味付け。
ポニーの里ファーム(奈良県高市郡高取町)が今年3月31日(水)に発売したのが、「湧き水のキハダコーラ」。和漢伝統薬「陀羅尼助」を模して、キハダの実、紫ウコンスパイスをブレンド。レモンとカボスも合わせている。

「おにみみコーラ」は、「おにみみ」という風邪薬を製造する端壮(たんそう)薬品工業が製造。カルダモン、クローブ、スターアニス(ハッカク)、クコの実などの香辛料や生薬を使っている。香辛料の種類や配合を季節ごとに変えているそうだ。

ほか元祖といわれる「伊良コーラ」や、このところ売り出し中のて「岐阜コーラ」、日本酒・八海山の甘麹で作った「UMAMI COLA」。全国に広がっているらしい。ようするに流行になっている。売れるなら結構。価格はいずれも1000円以上するが、希釈して飲むらしい。もはや清涼飲料水というより健康飲料か。黒酢ドリンクに近いかも(^^;)。どこがコーラなのかわからない。

では、なぜコーラなのか。 世界最初はコカコーラだが、これはコカとコーラの実を入れていたという伝説がある。コカイン入れて飲んだら元気……だったわけである。ま、今はどちらも使っていない。ただ薬草を入れた飲料水だった。だから薬草(ハーブ、スパイス)を入れたらコーラと呼ぶのだろうか。

たしかに奈良は明治時代まで薬草栽培と販売の「薬種」ビジネスが盛んだったところで、薬草飲料であるコーラに向いているのかもしれない。奈良漢方のメッカ・プロジェクトというのもあったし(笑)。

しかし薬として販売するのは敷居が高い。薬事法があるからだ。そこで飲料水にしてしまっているのだろう。

そこで連想するのが、クラフトジンである。

私はジンが好きで、クラフトジンブームが起きたときも、さまざまなご当地クラフトジンを試し飲みした。いずれも、不味くはない。美味しいと言っても文句はない。が、今はどれも飲まない。なぜならジンとは思えぬ味になっていたからだ。

ジンは、ボタニカルと呼ぶ植物性の香り原料をアルコールに浸漬させてつくるスピリッツだが、一つ絶対的条件がある。ジンのボタニカルで欠かせないのはジェニパーベリーである。日本名はネズの実。この香りが基本なのだ。

ところが、日本のクラフトジンは、ご当地を意識しすぎて、ご当地ボダニカルを必死に選んでいる。日本製だからユズだクロモジだ、サンショウにショウガ、緑茶まである。そしてヒノキなども。それが不味いわけではない。しかし、その分ジェニパーを軽んじている(と私は感じる)。もしかして、ジェニパーを入れないでジンを名乗っているものもあったのではないか? あまり奇をてらいすぎると本質を忘れる。

だが、私はジェニパーベリーの香りがないのをジンとは思わない。

結局、私が行き着いたというか、もどってきたのはシップ・スミスだった。とくにVJOP。

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これは通常のロンドンドライジンの3倍のジェニパーが入っている。だから「Very Junipery Over Proof Gin」 だそう(^^;)。でも、ジンだ~!と声を上げたくなる香りと味だ。しかも57度という度数。炭酸で割るだけでいい。

これだって、少量生産だし、職人芸的なつくりだからクラフトジンの仲間かもしれない。ちなみにイギリスの醸造所だが、サントリーが買収したから日本の会社でもある。

クラフトコーラも、よ~く本質を考えて展開してね。

2021/09/04

朝日の割り箸記事で考える「割り箸復権の時代」

本日の朝日新聞別刷beに吉野割り箸の紹介があった。それも見開きド~ン!という記事。

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ま、この画像では読めないだろうから、一部を拡大。

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この記事では箸の始まりを考察しているのだが、そこで取り上げるのが江戸時代の『守貞謾稿』に記される「引裂箸」という言葉に言及している。またか……とうんざり。これ、古い資料に繰り返し載っていることの孫引きなのだ。さらに吉野に箸づくりを持ちこんだ人物として杉浦宗庵も紹介しているが、この人物は実在さえ疑われている。私は『割り箸はもったいない?』でだねえ……

と思っていたら、別項に「読む」として箸に関する資料を紹介していた。そこに載せていた。

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『割り箸はもったいない?』について、わりと詳しく紹介している。そして私が見つけた『守貞謾稿』より100年ぐらい古い「わりばし」という記述のある商家の出納簿も、一応紹介している。これを定説としないのは残念だ。それに、『割り箸はもったいない?』は絶版で、ここでいくら紹介してくれても売れないという点でも残念(^^;)。

ところで、割り箸は吉野杉からつくる樽丸(樽の材料)の余材であることを伝え、後半ではへSDGsに合致するんじゃないか、という声にも触れている。私も、持続可能だなんだとSDGsと持ち上げるのなら、もっと割り箸に注目せよ、しかもコロナ禍で衛生概念も問われているんだから、もってこいじゃないか……と幾度も主張しているんだが、なかなか動きがない。こうした記事でも火付け役にならないか……という気持ちになる。

そろそろ割り箸復権、の狼煙を上げられないかなあ。『割り箸はもったいない?』も復権じゃなく復刻しないかなあ。
そうだ、第2弾を書くか (゚o゚;) ! 『割り箸はSDGs!』とか。『希望の割り箸」とか。

もう一点。文中に「吉野の山は杉と檜の混合林で」とある。混合林ではなく混交林だろうが、これ、今ではあまり見られない。でも戦前まではスギとヒノキを混ぜて植えるのが普通だった。こうした変化も読み取ってほしい。

2021/09/03

林野庁の「盗伐」調査結果

民有林の無断伐採に係る都道府県調査結果について

林野庁が行った無断伐採の相談件数が公表された。令和2年の1月から12月までの期間に、森林所有者に無断で立木の伐採が行われ、市町村又は都道府県に情報提供や相談等があった事案について、都道府県を通じて調査を行ったもの。

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いまさらだから、こんなに少ないの? と思ってしまう。私の元にも何件か「盗伐にあった!」という情報提供が寄せられているのだが、はたして含まれているかな? 私の聞いたものでは、森林組合が山主に無断どころか伐採届さえ出さずに伐ってしまったとか。。。相談を受けたと言っても警察が無視したら数に入らないのかもしれない。宮崎県では、被害届をほとんど受理しないそうである。

加えて、「盗伐」ではなく、境界線がわからなくて「誤伐」だという言い分をどこまで信じるているのか。

まあ、林野庁としては、淡々と数字を公表したということなのだろう。

一応、このように記している。
林野庁では、平成31年3月に関係通知の改正等を行い、都道府県や市町村、警察庁等と連携しながら、無断伐採の未然防止に向けた対策の強化に取り組んでいます。
 また、これらの対策に加えて、衛星画像を活用して伐採状況を監視するプログラムの試行版を令和2年12月に全都道府県・市町村に提供したところであり、同プログラムを活用した伐採状況の監視が進むよう、更なる普及・改良を進めていくこととしています。


ところで、これは報道発表だから、今後、果たしてどこのマスコミが取り上げるかという課題がある。せっかく発表しても、ほとんど知る人がいないのでは可哀相……だから、私も取り上げるのだけど(笑)。

私がとくに興味を持つのは業界紙・誌だ。林業の業界を扱う専門紙・誌なのだから、林野庁の発表した項目はしっかり報道してほしい。ちゃんと記事にするかどうか……私がすべてをチェックすることは不可能というかしたくもないのだが、それは義務だと思うのだが。

そもそもこんな広報発表ではなく、盗伐問題そのものを論じてどんどん報道すべきだろう。業界の一大事である。ただ寡聞にして業界紙が盗伐を取り上げたという話を聞いたことがない……。ぜひとも現地取材をして、被害者の声はもちろん、できれば盗伐業者の直撃ルポでも載せてほしいのだが。

ま、無理だろうな。しょせんは……(笑)。

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2021/09/02

農地にメガソーラー導入緩和?

このところメガソーラー問題に足を突っこんでしまっているが、また、こんな動きを発見。

農水省などは、荒廃農地を再生可能エネルギー、たいていは太陽光発電(以下、ソーラー)の用地に転用するための要件を緩和しようとしている。

現在は農山漁村再生可能エネルギー法というのがあって、市町村が定める再生エネルギー設備の整備区域を決めるようになっている。そこでは整備されて生産性の高い農地を「第1種農地」というが、そこで従来の規定では、
①生産条件が不利
②相当期間不耕作
③耕作者を確保することができず、今後耕作の見込みがない
という3条件がある農地をソーラーなどに転用することを認めていた。

ところが、これでは転用がなかなか進まないので、①と②の用件を撤廃しようとしている。③の今後耕作の見込みがないと判断されれば、第1種農地でもOK!にしようというわけだ。仮に土地が農業に適していても、つい最近まで耕作されていても、今後国策されないと認められたら転用できるわけだ。

ようするに放棄農地の多くは電気畑にできるようになる。ただガイドラインには、再生エネルギーを導入するために意図的に荒廃化させるようなモラルハザードを防ぐる規定も盛り込むそうだ。

またなし崩しに里山破壊か! と怒りの矛先を向けたくなるが、ここで少し立ち止まって考えてみたい。

実は私、ソーラー、つまり太陽光発電はそんなに嫌いではない。初期投資は少なめだし、複雑なプラントなどはいらないのだから、一般の参入障壁は低い。メンテナンスも少なめで、燃料もいらない。何より早急な脱炭素が求められる世界情勢の中で、火力発電を何に置き換えるかというと、原発はとんでもない、となれば再生可能エネルギーに行き着く。
このうちバイオマス発電は話にならない。常に燃料として莫大な木材を燃やし続けないと電気をつくれないのだから。全然脱炭素にならないのだ。これが熱利用なら、そこそこ理解するが発電にはまったく向いていない。地熱も水力も、場所が限定されるし適地は少ない。小水力は結構だが、やはり発電量としては大きくない。となると、風力かソーラーぐらいしか見込めない。

いずれにしろ再生可能エネルギーを完全否定したら、人類が必要とする電力の調達先が行き詰まる。省エネだ蓄電だ脱成長だというのもよいが、ゼロにはならない。ある程度の確保は必要となる。

問題は、それらを「どこに設置するか」だろう。太陽光や風のエネルギー密度は非常に低いので、広い面積にしないと満足のいく発電量にならない。ソーラーは、まずは建物など人工物の屋根が順当であるが、それだけでは面積が足りない。すると森林に目をつけられるわけだが、木を伐って脱炭素という馬鹿げた話はない。

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庭先に1枚だけのソーラーパネル(^_^) 

そこで放棄農地が注目される。個人的には農地にソーラーパネルが並ぶ景観は好きになれそうにないが、荒れてブッシュ状態だってよいとは思えない。景観や規模への配慮もあるが、どこかで許容範囲を見つけないといけないだろう。

たとえばドイツは再生可能エネルギーの施設建設のため森林を伐採した場合は、伐採面積の6倍の植林が義務づけられる。農地も、厳密に本当に放棄されているのか確認される。そんな規定を日本も決めるべきではないか。

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これは宮崎県の都城駅前。線路脇のスペースにびっしりとソーラーパネルが。そしてリニアモーターカーの実験線跡の高架にもパネルが並ぶ。JR九州は、なかなか熱心。こんな敷地で発電するなら大歓迎。

2021/09/01

熱帯では苗の根が土に届かない!

インドネシアの巨大製紙企業の日本子会社・エイピーピー・ジャパン株式会社(APPジャパン)から、時折ニュースレターが届く。

今回は、インドネシアの森を再生する「森の再生プロジェクト~いっしょにSDGsに取り組もう!~」の話だった。そこでは昨年末から今年始めにかけて、5ヘクタールに2500本の苗を植え、さらに10 ヘクタールへと広げているという。

そこで植えた苗は、絶滅危惧種に指定されているラミンを含む4種類とのこと。ラミン(ジンチョウゲ科)は、熱帯材として有名なラワン(フタバガキ科)と並んで人気の樹木だ。あまり大木にはならないらしいが、色が黄白色で美しく家具材などに使われるため一時期多く伐採輸出されていた。日本でもホームセンターによくあった、らしい。それが、今や絶滅危惧種になる有様である。

まあ、こんなに環境に貢献していますよ、という案内である。ご存じかどうかAPPと言えば、一時期は熱帯雨林の破壊者として名を上げ?、原生林を丸裸にしていると騒がれた。今もその名残の攻撃は続いている。

果たしてAPPは、心を入れ替えて地球環境に貢献するようになったのか、あるいは陰でまだまだ森林破壊を続けているのか、それは私にはよくわからない。

ただ、今回のニュースの中で私が「ほお!」と思ったのは、植えた苗の20%が枯れてしまったと報告があった、と伝えている点だ。植林をしているのは、ベランターラ環境保護基金であるが、そこの報告では、枯れた原因の一つに「根が土に到達できなかった」ためだということ。

え、苗は土に植えるのではないのか、と日本的な感覚では考えるのだが、インドネシアではどうも違うらしい。

まず植林前に下草を刈り取るが、インドネシアの泥炭地帯では、下草を刈ってもその下に土があるわけではないというのだ。
すぐ下には枯れた枝葉が堆積している層があり、その下に土がある。成長の早い雑草なら、種子でもあっという間に堆積層を突き抜けて根が土に到達するのだが、植えた苗木、特に成長の遅いラミンは、根が土に到達する前に養分を取り込めずに枯れてしまうのだという。

枯れた枝葉と言えば、なんとなく腐葉土を頭に浮かべるが、植林はそこで穴を掘らずに苗を「置いた」のか?

そうした細かな点はわからないが、植える作法もいろいろあるのだろう。ちなみに私はラワンの一種(メランティ)の植林を見学したことはあるが、ちゃんと土に植えていたけどなあ。

ともあれ、このラミンの植え方についてはこれまでわからなかったらしい。日本でも、スギやヒノキ、マツなどの植え方は確立しているが、広葉樹には謎が多い。種子からして、なかなか手に入らないし、それを発芽させるのも大変。苗になってからもどの木はどんな植え方をするのか、知らないものも多いのではないか。

今、早生樹として人気のセンダンも、実は種子をそのまま蒔いても発芽しない。自然界では鳥に一度食べられて消化管を抜けないと発芽しないのだ。それを植林するとなると、果肉を取り除くなど苗づくりから一工夫いる。

ちなみにインドネシアの現地では、その後、枯れた苗はすべて植え替えて、現地では植えた後のメンテナンスを注意するようになったという。おかげで、今はどの苗も元気に成長している……とのことである。

 

2021/08/31

林業界は福祉業界と一緒?

先日、某大学の建築学系の教授と会った。実は20年ぐらい前にまったく別の縁で知り合っていたのだが、久しぶりの再会。

なんでも、今や建築学の世界は木造が何かとテーマになっているのだそうだが、イマイチ木材業界、林業界の世界がわからない、というのだ。そこで私にお尋ねにきたわけ(^o^)。

まあ、雑談的に日本の林業-木材業界がどんな構造になっていて、それがこんな展開をしているのであんなヘンなことも起きる……と、私も語ったわけだ。ちょうどウッドショックも起きているから、その裏側の事情を解説したりもする。

そこで言われたのが、「福祉業界と同じだな……」。

これをどう解釈する? 社会的意義は高くて高邁な理念に貫かれているけど、実態経営は補助金で成り立っていて、経営者はウハウハだけど現場で働く人の待遇はガタガタで、それでいて「オレたち、立派なことをしているんだから、みんな応援しろよ」「なんで理解しないんだ。オレたちかいないと困るだろ? もっと金出せよ」って思っているところ?

林業も、最近は環境産業ぽく見せかけている。森林を守るために必要なんだ、地球温暖化を防ぐために必要なんだ、といいつつ、皆伐して森をなくしている(笑)。補助金をもらうのが当たり前で、補助金出なけりゃ仕事しないぞ、と逆脅しをかける。

いえ、私はそんなこと言っていませんよ(⌒ー⌒)。ただ紹介した現場の事例を聞いて、そう読み取ったんでしょう。私は、福祉業界と同じと言われたら、福祉の現場が怒りそうな気がする。少なくても福祉業界は絶対に必要だが、林業はなければないで何とかなる。

ただ似ているところはあるだろう。補助金や雇用実態もさることながら、どちらも受け身だ。福祉を必要とする人がいて、それに対応するための業界と、森林があってこその林業。自分から打って出る気概が弱い。しかし決定的に違うのは、福祉を必要とする人がいなくなれば、それは本来バンザイなのだ。しかし森林がなくなったら林業がなくなることで地域社会は崩壊しかねない。逆に言えば、林業がなくても森林は存在する。

「人が手入れしないと荒れる森林」なんて、嘘っぱちだ。森は森で人がいなくても存在できる。人の目からは荒れているように見えても、その環境に適した動植物がいて、しっかり生態系を形成しているものだ。また建築も、木材がなくてもなんとかなる。

建築業界は無から有をつくるような仕事だ。受け身ではおられない。着工件数が減ったら自分たちで仕事をつくろうとしている。だから受け身で流されっぱなしの林業界が不思議に見えるのかもしれない。

それでも建築側から木材に目を向けてくれているうちはいい。……林業側はどう受けて立つ? 建築と林業が本気で切り結ぶことはできるだろうか。

 

2021/08/30

ナラ枯れ後のヘンな樹形

気の塞ぐときもある。

そんなときは、……やはり森歩きか! と、某森林公園に出かけた。酷暑の間は抑え気味だったのだが。

そこで見たのは、こんな光景。

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なんか、ヘンな樹形だが、コナラである。ただし、カシノナガキクイムシにやられて、枯れかけていた木。かろうじて生き延びたのだが、妙な枝葉の伸び方になっている。

ちなみに2年前は、こんな具合だった。

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密林状態だったのを、ほとんど皆伐して、太いコナラだけを残していた。その周辺にはカエデなどを植えていたかな。さながら森の改造を企てていたのだろうけど、肝心のコナラの大木はナラ枯れにやられたのである。ほとんど枯れたかのように見えて、枝もボロボロと落ちていた。

幸い、完全に枯れずに生き残った。林床も、また草木が密生している。でもコナラは太い枝を落としていたから、新たに芽吹いたのは幹から直接の枝葉なのだ。

まあ、生き残ったのだから頑張ったね、とほめて上げよう(^o^)。ヘンな樹形は、サバイバーの証だ。

2021/08/29

メガソーラー会社のもう一つの罪

先に平群の「ソーラー業者の不正を追求すべき個人的事情もある」と記したが、それをここで告発しよう。

相手は、共栄ソーラーステーション合同会社だ。これはペーパーカンパニーで、大本はエバーストリームという米投資ファンドである。

まず工事を停止させられたことから、剥き出しの現場では土砂の流出が心配されている。その点を県に「応急防災計画書」を提出している(8月5日)のだが、それに目を通すことができた。

するとその内容もさることながら、その中に見覚えのある写真が使われているのだ。

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これは2枚を重ねて撮ったもの。空撮写真だが……あきらかに私がブログに掲載したものだ。

空撮!メガソーラー建設現場」これは7月22日のもの。中で紹介した写真と比べてほしい。

すぐわかる通り、「禁無断転載」としつこく空撮3枚に添えている。なぜならこれは、プロのカメラマンが撮ったもので私の撮影ではないからだ。大阪方面から京都に飛ぶため、途中で生駒山を通過するというので撮影をお願いしたものだ。あくまで好意で私が借り受けて、ブログに使わせてもらったものである。

もちろん画素数も40万画素程度に落として、通常なら印刷には使えないようにしたのだが、それを勝手にダウンロードしたあげく引き延ばして計画書に使っているのだ。だから画像そのものは荒いが、計画書添付の図面説明には使えると考えたのだろう。それも多少のトリミングをしたうえで無断で道路網を書き込んでいる。

これは、あきらかに著作権法違反だ。いくら表に出ない文書であろうと、県に提出した時点で外部流出である。しかも、どこにでもある、どこでも撮れる写真ではない。貴重な空撮なのである。

今後、どういう処置を取るか考えているが、これだけでも犯罪行為を堂々と行う会社であることがわかる。

2021/08/28

3割を保全地域化計画

「2030年までに陸域と海域の30%を保全地域とする」。

こんな目標が作られている。日本はG7サミットで「2030年に30%」という目標に合意しており、10月に中国で始まる生物多様性条約締結国会議の目標案として盛り込まれているからだ。陸海ともに30%を達成できると、生物の絶滅リスクは3割減るという試算が出ている。

日本の保護区は現在、陸域20・5%、海域13・3%だそうだ。かなりの嵩上げが必要だが、私は正直、単に保護区に指定するだけなら、そんなに難しくないな、と感じる。森林面積は6割あまり。そのうち里山林も含む天然林と言えるのを6割とすると、天然林は国土の36%。草原は5%以上あるし、山岳地帯など森林限界を超えた地域も相当ある。都市公園や神社などの境内にも自然の広がる空間はある。ざっと40~50%は潜在的に保護区に指定できるのではないか。現在は20%程度指定しているのだから、残りは30%超。それらの中で10%の地域を追加指定したら、30%を達成できるだろう。

海域はどうだろう。海岸にこだわると厳しいが、海域だから、とりあえず無人島の周辺などを指定すれば達成できるんじゃないか(笑)。

小泉環境相は会見で、今後保全地域に指定する例として明治神宮のほか、棚田などを挙げた。農地までも含むなら、もっと広がる。環境省は、23年度に国立公園や鳥獣保護区の拡大のほか、お寺や神社、企業の林など民間で管理している地域100以上を保護認定するとしている。

問題は保全の手法と中身だね。何を持って守ったことになるのか。里山の雑木林は、伐採を繰り返すことで守れる森林だし、里海と呼ぶ海域もある。農地はもちろん手を加えて維持するものだ。何をしたら保全したことになるのか。単に開発規制や人の進入規制をしても守ったことにならない。一方で国立公園の第3種地域なんて、とくに保護している様子がない。開発行為も、たいてい届け出だけでできてしまう。

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大台ヶ原の西大台地区。1日に入れる人数が決まっていて、事前予約制+有料。このように入り口には関所がある。こんな国立公園は珍しい。

2021/08/27

Y!ニュース「奈良県が止めたメガソーラー……」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「奈良県が止めたメガソーラーの現場から見えてきたもの」を執筆しました。

これは書かねばならんと前から思いつつ、なかなか取材の手間や裏取りするヒマがなくて延びていたもの。いつも「思いつき」で書いているわけじゃないのよ(⌒ー⌒)。

おかげで現地に足を伸ばすこと、何回になったかなあ。炎天下、木のない山を登るのは結構きつい。しかし、また行かねばならんなあ。

まだ完全に工事が止まったわけではなくて、あくまで「停止」だ。「中止」まで持って行けるかどうかが今後の山場だろう。しかも裁判も進行している。

しかし、この手の業者って、確実にヤバいことに手を出しているね。メガソーラーに限らず,バイオマスも風力も。それぞれ、本来なら「自然エネルギー」と自慢すべき内容なのに、飛びつく輩は危ない奴らばかり。環境問題に興味を持っている業者が本当にいるのかと思うとうんざりする。

実は、このソーラー業者の不正を追求すべき個人的事情もあるのだが、それは改めて書きたい。

そういや、ツイッターの反応に拙記事を要約したものがあった。

「ソーラー業者は、ほとんどタリバン」。

なかなかよろしいんじゃないですか(笑)。

2021/08/26

企業版ふるさと納税でカーボンニュートラル?

Yahoo!ニュースに「ヤフー!ジャパンがカーボンニュートラルを推進する市町村にふるさと納税をした」的なニュースが載っていた。
ものすごく手前味噌的な記事なのだが、企業がふるさと納税? という点に興味を持ったのだが……。

もう少し具体的に紹介すると、まず企業版ふるさと納税とは、「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」のこと。地方公共団体が行なう地域づくりの取り組みに対して企業が寄付をすると、法人関係税が税額控除される制度である。2016年より開始していた(全然、知らなかった!)のだが、参加する地方公共団体は46道府県1,185市町村と、ほとんどだ。

ヤフージャパンは、「Yahoo! JAPAN 地域カーボンニュートラル促進プロジェクト」を立ち上げて、この制度を利用してカーボンニュートラルに向けた取り組みに対して支援を行なうことにしていた。その第1弾の寄付先を決めたというのだ。それは北海道三笠市、宮城県、埼玉県、神奈川県平塚市、新潟県、山梨県、三重県尾鷲市、鹿児島県大崎町の8つの地方公共団体。寄付は総額2,5億円になる。

それぞれの取り組み内容は、リンク先を読んでくれ。海岸防災林の適正管理、藻場造成、尾鷲ヒノキ市有林の若返り、なんてのもある。

企業版のふるさと納税というのも面白いが、そのテーマにカーボンニュートラルを選ぶというのも今風。

ここで記しておくと、私はふるさと納税というのが大嫌いだ。これって、ようするに返礼品合戦になったことからもわかるとおり、誰も寄付する自治体を「ふるさと」なんぞと思っていない。欲得ずくで選んでいるだけだ。そもそも税金を自治体間で取り合う仕組みというのも情けないが、他自治体の税金をたくさん横取りできたと自慢している自治体も反吐が出る。

本当に「ふるさと」のように思い入れがある土地か、あるいはその自治体のなんらかの取り組みや事情に賛同して行うものだろう。付け加えると、微々たる個人の納税額から返礼品を出すのも馬鹿げている。

その点、企業版なら返礼品もないし、ちゃんとテーマによって選ばれる。また金額も小さくない。とくにヤフーは、審査のポイントとして「脱炭素に対する直接的なインパクトがあるか」「独自性。地域性があるか」「横展開可能なモデルとなりうるか」の3点を掲げている。アイデア勝負的な面もあって、自治体の体力とは関係なく競える。なかなか天晴れだ。(ヨイショ!)

日本では、気候変動対策に関する民間の動きは緩慢だ。こんな形で推進するのも手かもしれない。

 

 

 

 

2021/08/25

森林パートナーズの木材流通プラットフォーム

森林パートナーズ。その後ろに株式会社が付くのだが、この社名で、すぐ内容が想像がついたらエラい。

私が以前取材して、「これは!」と思って希望を感じた一つであり、『絶望の林業』の中で数少ない「希望の林業」の事例の一つとして紹介した会社である。もう少し内容に触れると、伊佐ホームズという東京の工務店と、秩父の山主(秩父樹液生産協同組合)、そして製材所、プレカット工場が結びついてつくった木材流通の会社だ。

それについてはAFCフォーラムという雑誌に記事にしている。(2018年2月号)これの11ページ目から。

Photo_20210825213001記事の冒頭

私は、この事例を拙著で触れるだけでなく、林業系の講演などでも紹介してきた。フォレストジャーナルのウッドショックの影響を受けない事業体の記事でも一部例として触れている。ようするに川上の山主と川下の工務店が直接結んだ木材のサプライチェーンなのだが、具体的な内容は結構複雑で、十分理解していただけているか心配だった。

それを森林パートナーズの社長が自ら説明したパワポ資料を発見。

森を育むプラットフォーム

これを見ていただければ、ICTを使った木材流通でいかにロスを省くかがわかってくるかと思う。ご一読ください。

ちなみに最終ページにも注目。

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ちょっとだけ気になる部分を。それは私の取材時には、社長は「山主の取り分を従来の1,5~2倍に」と力説していたんだけど、今回の資料には具体的な金額的還元分が示されていない点。そしてスタート時にはプラットフォームづくりに公的資金がほしいとする点。ここんところは取材時と状況が変わったんだろうか。また機会があれば訪れて、確認してみたいものである。

 

2021/08/24

グリーンパワー9月号に「皆伐をしない林業」

CTNF、EFM、VRH、RIL……。何の略号かわかるだろうか。

グリーンパワー9月号の記事からの抜粋だ。執筆は柴田晋吾・上智大教授。詳しくは、この写真の中から見つけてくれ。

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自然に近い林業、生体的森林管理、多様保残伐、影響低減伐採。ほかにCCF(常時被覆林業)というのもある。

ようするに皆伐をしない林業、森である状態を持続させる林業ということだ。その源流は恒続林。今や世界的な広がりを持ち出したというのである。個人的には、以前より気になっていたスロベニアの恒続林について触れていることがツボ。スロベニアの林業に関しては日本語文献がほとんどなくて、誰か調べてくれないかなあ、と思っていた。どうやらプロシルバという組織ができて、それが恒続林を推進したらしい。それはフランスやイギリスにも伝播したという。フランスでは不規則森林協会(AFI)が作られ、イギリスではプロキシバ・イギリスとなってCCFを推進した。

これらの森づくりと林業に共通するのは、皆伐をしないことのほか、異齢林であり、こまかな林分による異種混交の不規則な樹木の生え方にある。そして豊かな生態系を維持しながら、しっかり木材生産もすること。

……と、記事を読みながら内容を理解しようとしたが、なんだ、これを詳しく記した本「エコ・フォレスティング」を私は持っていて、以前読んだことに気づいた。十数年前に購入したんだ。すっかり忘れているよ。しかし、林野庁は皆伐推進の旗を下ろさないし、言い換えると十数年の間、日本は進歩していないのか。

ともあれ、日本林業は相変わらず世界の潮流から取り残されているなあ、と再確認?したのだが、いやいや、奈良県を始め、いくつかの地域では、恒続林をめざそうとしているではないか。かろうじて世界の動きの端の方に引っかかっている。これが救いかな。

2021/08/23

シカは増え続ける!

森林総合研究所の研究成果選集を見ていたら、こんな項目があった。

ニホンジカは2050年までにその勢力を全国に拡大すると予測されます

わーい、シカは増え続けるぞ\(^o^)/。。。

シカの分布を中長期的、広域的に予測しました。
その結果、生息分布確率50%以上の地域は2025年に国土の約7割、2050年には約9割を超え、新規植林地における苗木被害、成長した林分における剥皮被害が懸念される地域も拡大することがわかりました。

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シカの研究を見ていると、シカが減る要因が見つからないとある。どんな条件でも増え続けるのだ。餌が減っても、個体が小さくなるなり、これまで食べなかった植物を餌にするなりして、生き延びる。狩猟圧が高まっても、その繁殖力で乗り越える。人間様以外で、もっとも繁殖力が高いのではないか。
シカし、シカだって生態系の一員なのだから、野放図に増え続けることができるとは考えにくい。何か個体数を調整するファクターがあると思えるのだが……。 分布域が広まっても、生息数が横ばいになる可能性だってある。

やっぱり、人間様が森林環境を破壊しまくることかもしれないなあ。

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この2冊をよろしく(^o^)。

2021/08/22

世界最古の植樹、仏vs日本

こんな記事がある。

「パリ最古の木」が教えてくれること

元ネタはナショナルジオグラフィックのようだ。

「パリ最古の木」だ。プレートには、1601年に植えられたとある。ニセアカシア(Robinia pseudoacacia)という木で、原産地は米国のアパラチア山脈だ。
 さまざまな理由から、1601年という数字は疑わしい。しかし、17世紀初頭、歴代フランス王の庭師だったジャン・ロバンによって植えられたことは確かなようだ。

17世紀初頭というのは、1600年の始め頃だから1600~1620年ぐらいの感覚で捉えたらよいかな。

いずれにしろ、樹齢は400年に達していると見ていいだろう。人が植えたとわかる木で、この寿命はなかなかのものだ。ただ早生樹とも言えるニセアカシアが、そんなに長寿だろうか、という疑問はある。もしかして、もうそろそろ…(゚д゚)。

ちなみに日本では、400年越えの植林木がいくつかある。

有名なのは鳥取県智頭町の「慶長杉」。誰が植えたかわからないが、慶長年間に植えたと伝わる。元号の慶長は、1596年から1615年に使われたから、この間に植えられたことになる。これが現在残るのは24本

ほかに奈良県吉野の川上村にある「歴史の証人 」。村有林にスギ、ヒノキが混在しているが、樹齢260年から400年超のスギやヒノキが生えている。現在残るのは、約400年生のスギが3本、300年生スギが7本、300年生ヒノキが52本。つまり3本のスギ樹齢400年前後というわけだ。こちらの根拠ははっきり知らないが、書き付けがあるらしい。

ほかにも記録だけは人が植えたと記された古い神社の境内の木々などはあるが、今もその木が残っている可能性となると、なかなか難しいようだ。天然生の超寿命の樹木は数多い(屋久杉など)が、人が植えたとわかる木では、この400年前後が限界か。

パリの木は、それに並ぶか、より古いことになる。この調子だと、もっと古く植えられて今も頑張って生きている木は、案外残されているのかもしれない。

2_20210822164501慶長杉

25_20210822211601歴史の証人

 

 

 

2021/08/21

シカとカモシカ……の糞

実は、昨日コロナ・ワクチンの第1回目を打った。

地元生駒市では全然予約が取れないので、とうとう大阪の自衛隊大規模接種センターにトライする。こちらはすぐに予約が取れた。

とはいえ、結構並ぶ。時間で区切っているとはいえ、おそらく一時期に数百人が集まる。それをさばく人々が見事。会場への運行バス乗り場から始まり、降りたらすぐに案内係がいて、各コーナーに誘導されて移動する。待機場所も準備してあるし、呼び出しも確実。問診から接種までサラサラと流れるように進めた。自衛隊員だけでなく、膨大な係員もいる。彼らはなんだろう、公務員ばかりではなくアルバイトなのか……。もう設置して数か月経つから、システマチックにマニュアル化されたのだろう。日本て国は、トップはオロオロ思いつきで動くが、現場の人の対応力はすごいと改めて思った。

で、私の場合は何の痛みも異常もなく、終わってから肩こりをほぐすためマッサージに行くぐらい余裕なのだが(ちゃんと医者に確認したよ)、やっぱり当面はおとなしくしておこう。ちょうど仕事も途切れた……はずが(泣)。

今日身体がだるいのは、ワクチンのせいではなく、マッサージで強く揉まれたためだろうか。

で、こんなものを紹介する。先日の大台ヶ原で見たものだ。

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どちらにも糞が写っているのが見えるだろうか。これは何の糞か。

私は、上をカモシカ、下をシカと見た。

なぜかって? わかるんだよ(笑)。ようするに勘だ。どちらもよく似た形だけど、微妙に違う。カモシカはウシ科、シカはシカ科と全然違う動物なのだが、糞や足跡、食痕は似ているから、なかなか区別が難しい。皆さんも確認してください。

 

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