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森と林業の本

2024/12/02

「チェキ」が売れているとな

インスタントカメラ「チェキ」が売れているという記事を読んだ。

チェキはフィルムカメラである。ただし、撮影後すぐにプリントされる、一昔前からポラロイド社のものが有名だった代物。

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フィルムカメラなんて、ほぼ絶滅危惧種だと思っていたし、インスタントなら一時期「写るんです」が一世風靡したけど、携帯電話にカメラを付きだした頃には消えた。その後、デジタルカメラ全盛となるも、どんどん携帯電話、そしてスマホのカメラの性能が上がっていくうちに、コンパクトカメラさえも劣勢になる。今はプロ仕様の高級カメラかスマホか、フィルムカメラは大型版だけか…という時代。ちなみに私はコンパクトカメラが気軽で好きなんだけどね。スマホでも撮るが、イマイチ撮影感覚がない。辛い。。。

ともあれ、なぜインスタントカメラなのか? 価格を見ると、1~2万円代から、5万円もするものもある。価格ではコンデジの廉価版クラス。ただしフィルム代が別にいる。どうも1枚あたり費用は100円を超すようだ。安くない。
また「レンズ付きフィルム」を謳った「写るんです」に比べてカメラそのものだ。実際、性能もそこそこいいし、技術的にも高い仕様だ。安物カメラの代わりではなさそう。一方で出生産者(富士フィルム)からすると、利益率が高くて美味しい商品らしい。

だが、圧倒的に「その場でプリント」が好まれているのだろう。スマホでも何でも、データとしてはあってもプリントするものはほとんどない。だいたいプリンターが別途必要で面倒で高い。
SNSやホームページなどネットへの掲載やメール・メッセージなどによる転送で拡散させることはできるが、紙にプリントされることに価値を見出されているのではないか。調べると、用途としては個人の趣味のほか、アイドルの撮影会などでも使われるそうだ。

この「プリントする」ことの価値。これだ。

もちろんデジタルカメラに逆襲するわけではない。オルタナティブな用途を探る。隙間的ではあるが、売れるもの。利益率が高いもの。

ここで連想したのが、木材の用途。木材の使い道はたいてい代替品がある。金属にプラスチックにガラス、コンクリート……。性能的にもそちらの方がよいものが多く、大量生産ができて価格も安い。製品づくりも簡単で自動化されたものが多い。

その中で、ああだこうだと木材の有効性を唱える声があるが、それは無意味なのではないか。必要なのは、全然方向性の違う使い道。価格でも高機能でもなく、ただ欲しくなる用途。ゲーム性やファンシー性のある趣味品。ネタになるもの。ファッション性の高いもの。あるいは医療に使えるもの……。

それが何かわからんのだが……(笑)。

2024/12/01

古代の木材カスケード利用

今の林業を衰退せしめたのは、木材利用の歩留りの悪化だ。

とまあ、そこまで断言はしないが、木材価格が落ちているのに歩留りまで悪化したのでは、林業は儲からない。

そんなときに見かけたのが、古代の木材のカスケード利用である。

そこは藤原宮跡資料室。平城宮に先んじた日本最初の都城跡だが、その一角に奈良文化財研究所の藤原宮跡資料室がある。ここにも寄ってきた。なかなか穴場で人は少ないのだが、展示品は第一級だし、無料観覧できる。第一、立地が遺跡の真ん中(^_^) 。

ここにもハニワや土器がいろいろ展示されているが、やはり目を引くのが、巨大な丸太。

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古代の藤原宮の宮殿に使われたと思われる柱なのだが、実は出土したのは平城宮跡。そしてよく見ると。

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このように中がくり抜かれている。なぜかと言えば、に使っていたからだという。まあ、今なら土管か側溝のような用途かもしれない。ちなみに本当に土器で排水施設もつくられていたから、それは土管そのものだ。

藤原宮は、その規模は1辺5キロを超す大規模な都だったのだが、飛鳥宮から遷都後十数年で、平城宮にまた引っ越す。その際に、宮殿などは解体して部材を平城宮まで運んだようだ。もっとも、再び元の用途には使えない木材もあったから、それを再利用して樋などをつくった模様。まさに木材のカスケード利用である。木材資源は貴重だったのだろう。

ちなみに木材は、当時から滋賀県の田上山から運んだとある。それを川を使いつつ陸上も運搬して藤原宮、つまり橿原市まで運んだのに、またそれを平城(なら)まで移動させたのだから、たいした輸送力だ。ちなみに丸太には、運ぶ際の筏にするための穴まである。

 

余談だが、こちらには日本最初の貨幣・富本銭の展示があった。実は、明日香村の萬葉文化館で本物の富本銭を展示している。それが有料で、私も入場料を支払って見たのだが、なんとこちらでは無料で、しかも常設展示(^^;)。国(奈良文化財研究所)と県、市町村と管轄はバラバラなので、こういうことが起きる。穴開き銭だからではないが、穴場。

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なお、この横に、富本銭より前につくられたと思われる国産通貨もあった。それを無文銀銭という。何の紋様も字も書かれていない、単に丸くて穴の空いているだけ。しかもいびつで、大きさも定まっていなかったようだから、地金の塊で、試作品みたいものだ。畿内で少しだけ流通したようだが、中国の唐銭も入ってきた中、自作したのだろう。みんな試行錯誤しているだよ。

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2024/11/30

道の駅「なら歴史芸術文化村」

昨日紹介したなら歴史芸術文化村は、実は道の駅でもある。だからトイレも24時間使えるほかシャワー室もあるのだが、定番のレストランと売店もある。この売店が優れものなのである。

そもそも奈良は観光地なのだが、その土産物は冴えない。泥臭く「オモロイから買おう」という訪問者の心をくすぐるものが少ないのだ。

と思っていた。が、ここで見た土産物はなかなかオシャレでオモロイ品、オモロイネーミングの品が多い。

たとえば「古墳めし」。

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ご飯を前方後円墳や円墳などに仕立ててからスコップで食べるのか? シャレが効いているではないか。ほかにも古墳の葺石お菓子とか、古墳のメッカである天理ならではの品があって、なかなか工夫している。食料品関係は省略するが、地場でつくっているものや野菜まで並ぶ。

が、本当に驚いたのは、木工品関係の土産物が店の半分を占めるのだ。こんなに? と思わせる品々が並ぶ。吉野杉の椅子などの家具や、銘木のカッティングボード、器類と続き、とんとん鉋屑とか、経木の切れ端みたいなものまで商品化。が、やはり私が注目は割り箸だ。

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割り箸にも多くの種類があるが、それぞれにレーザー加工した紋様入りもあった。さらに高級箱入りの割り箸もあって、私も一つ買ってしまった。今後、お渡しできる人が現れるだろうか。。。

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そして「吉野の木材をあますことなく」という文言が泣かせるではないか。本来の木づかいとは、こういうことを言うのだよ。アホみたいに量を使って喜ぶのではなく、ていねいに使う。余すことなく使う。

木工ファンなら、このコーナーを眺めるために訪れる価値はある。

 

奈良商人は、大仏商売と言われて待っているだけで客が来る、だからビジネスが下手くそと思われがちだが、ここは一味違う。
そもそも「なら歴史芸術文化村」自体も上手い。博物館を新設すれば建設費だけでなく、展示や学芸員などの莫大なコストがかかるので、敬遠は大変だ。ところが文化財修復という文化政策として必要な作業そのもの、そして修復した品を見せるのだから、展示物に困らない。しかも修復技術者が学芸員をかねるわけで、その点でもユニーク。
体験ゾーンもあれば、野外施設もあるし、貸し会議室もあった。そこに道の駅も設置し、宿泊施設(フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道。すげー名前だ。)もあるわけで、金が落ちる仕組みをつくっている。ちなみに近隣に山辺の道があって、そこには「西の日光」と呼ばれた幻の大寺跡があるなど、そそられる。

ここはお気に入り施設になりそうだ。

 

 

 

 

2024/11/29

見飽きた?ハニワから森を考える

先日、東京に行ったときに空き時間が2,3時間あった。どこか寄るとこはないかと調べたら、国立博物館で「ハニワ展」をしていた。

ただ行く気にならなかったのは、東京でハニワを見るのはねえ~と感じたから。だって、地元でハニワ見飽きるほど見ているもの。

実は昨日行ったのは明日香村だけではなく、天理の「なら歴史芸術文化村」。ここは文化財の修復現場を見学できるという希有な施設で,それ自体が面白いのだが、現在はそれとは別に「和邇地域の古墳と和邇氏」に関する展示も行っていた。和邇はワニと読む、奈良の北東部(現天理市辺り)地域で、そこに一時は大和王権と張り合っていた和邇氏の古墳発掘物、修復物を展示していたのだ。このワニ氏は、古代の林業・木材産業を一手に引き受けた一族らしく、その点でも面白いのだが……。

それが、まあ、ハニワだらけ(^^;)。

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ほとんど触れる状態で展示している。触っちゃいけないけど。見どころはいっぱいだが、家形埴輪も多く、その中には間取りを説明しているものも。ちゃんと玄関の形を描き、さらに中にはミニチュア土器が並んで生活を営んでいた様子を再現している。

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かなり興奮する代物であった。(もう一つ、木材関係の資料もいただいて、これがなかなか……興奮、コーフン、古墳(笑)

ちなみに、奈良県内には歴史系の資料館はたくさんある。明日香村も多いが、全域に古墳や土器、埴輪を展示しているところは10ぐらいあるのではないか。

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これは橿原考古学研究所部族博物館で、巨大円筒から動物、人物など、もうハニワのオンパレード。

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県内で出土したものばかりではなく、これら国宝級なのは、天理参考館にある。多分、東京にも貸し出しているのではないか。

奈良県内だけでなく、県境を超えた大阪にもあるし。

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これは大阪府近つ飛鳥博物館。

思えば、ハニワとは、ほぼ土をこねて焼いたもの。焼成するには莫大な燃料が必要で、樹木を伐って燃やせる森林資源が必要だった。都には宮殿など建造物だけでなく、人口が多いゆえの煮炊き・暖房の燃料も求められる。森林がないと維持できなかったのである。

ハニワが破壊した森林……なんてテーマの研究はないかなあ。

 

2024/11/28

最速!?飛鳥宮遺跡を見る

昨日のニュースで話題の飛鳥宮跡。巨大建築物跡が発見された。太い柱の木が並んでいたのだ。これは期待できる。

飛鳥時代の都から発掘されたとなると、天皇家の宮殿ではないかと想像されるが、またもや考古学ファンで盛り上がりそう。

今週末に見学会が予定されているが、多分ごった返すだろう。そこでいち早く本日駆けつけて見てきた(*^^*)。

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ほかに誰もいない中、発掘作業を見学できる。今日は見学通路を設置しているみたい。

そこに雨。ついていないな、と思ったのだが、なんと巨大な虹がかかる。今見ると、ダブル。発掘現場の下に二重に七色の虹なんて、奇跡のよう。

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ついてる\(^^)/

2024/11/27

庭の野草まとめ

庭に、なんだか忘れたがガラスのケースが放置されていた。おそらく証明器具、そのシェードではないかと思うのだが、どこから持ち出して、なぜ庭に放置したのか忘れた。

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中に草が繁っているみたい。光を通すと生育するのだ。そっと、開けると……。

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このとおり。どうやら昨今の冷える日は、このカバーが温室効果をもたらしたようで、周りの野外の草は枯れているに、こちらは元気。

そっともどす(´Д`)。

この際だから、今年の庭で見かけた野草を紹介しよう。

ヒメオドリコソウ
ムスカリ
ハナニラ
アレチヌスビトハギ
ハハコグサモドキ
ササグサ
オヤブジラミ
セイヨウオトギリソウ
ムラサキツユクサ
ウリクサ
カラスビシャク
イノモトソウ(シダ)

……これはほんの一部だが、庭で見かけて、すぐ名前が出てこないので調べて確認したものである。全体に外来種が多い。見慣れた日本の野草と思っても調べてみると外来種。また在来種に似た外来種というのもある。ここで全部写真をアップするのは面倒なので辞める (@_@)。

最後に、キノコも。

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今年秋はキノコをあまり見なかった。秋が短かったことと関係しているのかどうか。このキノコの名前はわからない。

 

 

2024/11/26

国有林の増伐計画と予算要求

某氏に教えてもらった林野庁の資料を見ていると、国有林の木材生産量目標が記されていた。

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令和元年実績と令和7年以降の目標値を記したグラフのようだが、3割増にするようだ。7年とは来年のことなのだが……。
そして国有林債務額の返済計画では、以下のような表が。

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債務とはかつての国有林特別会計で出した赤字のことで、2兆円を棒引きした上で残りを国有林からの収入で返済していく計画なのだが、2018年~22年と、23年~27年で倍近くになっている。つまり、一気に大増産して、その後も増産ペースを伸ばしていく計画らしい。

国有林、そんなに伐るところがあるのか。あったとして現在と同じ金額で売れるのか。木材需要は減少の一途なのに……。

せっかくだから来年度予算要求概要の中で、「木材需要の創出・輸出力強化対策」を探ってみた。
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もっとも多い予算をつけたのが、バイオマス利用環境整備。ようするに燃料にして燃やしてしまう事業だね。ほかは特用林産物……おがくずとか廃菌床。さらに非住宅建築木材利用だとか、木製品の輸出だとか……。

パッとしねえなあ(笑)。こんな需要を促進しても、だぶついて木材価格は下がるだけだろうに。そうしたら国有林の木材だった値下がりするから債務を返せないよ。。。

令和7年度林野庁予算概算要求の概要 

みなさんも、予算要求を見て、ツッコミをいれよう\(^o^)/。

 

 

2024/11/25

草食の肉食動物、肉食の草食動物……

こんな記事を読んだ。

花蜜吸う"甘党オオカミ"発見 

オックスフォード大学は、昆虫のように花蜜を吸う「甘党オオカミ」が発見したというのだ。このオオカミは東アフリカのエチオピア高地に生息する種で、大型の肉食動物による花蜜摂食の記録は初めてという。鼻先や口周りに大量の花粉をつけて花から花へと移動していたことから、受粉の媒介者としても機能している可能性もある。

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実は、私は以前より野生動物の食性に関して疑問を持っていた。どこまで草食、肉食、そして雑食と分けられるのか、と。

人骨かじるシカ、ベジタリアンのクマ……動物の食性は融通無碍 

実際に、多くの観察例がある。

ヒトの死体の骨を食べるシカ、はじめて観察 

小鳥をパクパク食べる鹿 

そしてパンダも竹しか食べないわけではなさそうだ。

パンダ、実は肉食?動物の死がいにかぶりつく様子を撮影 

これほど実例が増えてきたら特異例として否定するのも難しいだろう。これも、映像撮影が簡単になったからかもしれないが、続々と発見されているのだ。奈良公園のシカ、ナラシカも、ごみ箱漁りによって鳥のから揚げを食べている例が知られている。それでシカが腹下しする、というわけではない。ただ香辛料などは危険だそうだが。印刷された紙もいけない。

一方で森林総研の研究で、こんなものもある。

塩水でメスジカを引き寄せる メスの集中捕獲を目指して

これはメスジカはオスジカよりも塩水が好き、という嗜好の差を紹介しているのだが、何か意味があるのかもしれない。それが食性の問題にもなる。先の蜂蜜をなめるオオカミも、もし花粉媒介をしていたら、特異例ではなく生態系に組み込まれていることになる。

 

2024/11/24

11代目の腕時計は……

今夏、また木製腕時計を購入したことを記したが、実は先月、壊れた。。。。

正確には壊れたのとは少し違って、竜頭、つまりツマミの部分が取れた。取れた竜頭が手元にあれば、すぐに直せるのだろうが、いつ、どこに落としたのかわからない。マシンは正常なのだが、時間が狂って直せない。

まあ、木製腕時計って、次々とトラブルを抱える。最初の頃は、バンド部分の木が割れたりしていたのだが、マシンが狂ったり、水が染み込んだり、電池交換ができなかったり。

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かくして10代目腕時計は、使えなくなったのだった。仕方ないので、また8代目を使いだした。

10代目木製腕時計

8代目?木製時計

こちらは、極めて正常だ。結構、値の張る品である。

当分はこれで我慢するつもりだったが、やはり重いという点で不満が出る。金属併用だから、木製のメリットである「軽さ」が消えたのだ。

とまあ、そんな不満を娘にもグチグチ言っていたら、なんと娘が新しい時計を買ってくれた。♪♪♪

これが11代目!

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green timeというイタリアのメーカーである。最初に腕につけたら、感動の軽さ! やはり木製腕時計の良さはこれだよ。ちなみに木はオリーブの木らしい。堅くて水に強い木だから、今度こそ長持ちすることに期待する。

 

2024/11/23

「林業と建築の勉強会 」から学ぶ

奈良県王寺町の「陽楽の森」で、 TREE FLAG FESというイベントが開かれた。これは森の中でアートあり、工芸品の販売あり、建築あり、木登りあり、サウナあり……というさまざまな行事が行われているものである(以前は「チャイムの鳴る森」という名で開催していた。)。

TREE FLAG FES

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ちなみに明日も開かれる。

今回はそこに幾つかのフォーラムも追加された。その一つが「林業と建築の勉強会 ヨーロッパの林業と建築の関わり」だ。講師は、法政大学デザイン工学部教授の網野禎昭氏。これに参加。

正直、始まる前は、建築家が林業を語ると、たいてい林野庁の回し者的な「木材を建築に行かして町の森を、そして脱炭素!」とか「CLTで木造ビルを」なんて話になるので、警戒していた。

ところが講演は、違った方向に。まあ、ここで全部再録するのは無理なのだが、バイオマス発電は、ヨーロッパの安全保障政策から生まれたこととか、中央ヨーロッパの4階建て5階建ての木造建築は木材不足の結果であって……といった話が続いて、なかなか目からウロコ的な面白さがあった。加えて興味を持っていた中世ヨーロッパの「フォルスト条例」のことも改めて知ることができたし、私も訪れたスイス・リースのフォレスター学校の建築も登場した。

さらに戦前日本の「山林都市」構想も紹介される。これは、かつてエネルギーを自給しつつ、職住近接の上品な小都市を森の中に建設することを論じた黒谷了太郎のユートピア構想である。

ちなみに山林都市の具現化の一つとしては、生駒山の山上地域に建設された別荘小都市も含まれるのだよ。これはブルーノ・タウトの設計による。また台湾・阿里山の高原にできたタイワンヒノキ林業の町も構想に近い。

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結論としては、今の量を追いかける林業は破綻すること。木材の歩留りを上げるローテクが必要なこと……私は、それを「林業が産出する木材で建築を行う」のではなく、「建築で必要な木材を木拾いし、それを山から伐りだす林業」にすることと読み取った。商流を逆転させるべきなのである。

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それを実現させる建築が、この陽楽の森で来年より始まる予定である。

 

2024/11/22

4時間で建てたCLT住宅

朝日地球会議で、こんなテーマ。

つながる都市と森 木造ビルが変える日本

ようするに、どんどん木造建築建てようぜ、そうすりゃCO2を貯められる、という能天気を主張なのだけど、それに対しての批判は幾度もしてきた。何を小学生みたいなこと言ってんだよ、森から建築までの流通をちゃんと眺めたら、それどころじゃないことわかるだろ、と思うのだが、もう飽きた(> <;)。

せっかくなんで、こんなものを紹介しておく。

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先日の高知県の四万十市で開かれた幡多山もりフェスで展示されたCLTの建物だ。元は高知市に展示してあったのを運んできたらしいが、分解してパネルになったCLTを現地で組み立てるのにかかったのは4時間だったそう。

一応、トイレや風呂など水回り設備もあるのだけど、それは今回は設置していない。でも、共通ユニットにしているので工期短縮できるという。カーボンニュートラルなんて小難しい嘘話を持ち出すのではなくて、この早さを自慢したらどうかね。なにより災害地の仮設住宅に向いている。

まあ、話を聞いていると仮設住宅にするには2年間で撤去する条件があるので、逆にこうした住宅は難しくなるというのだが……。2年後はバラして、別の土地に運び復興住宅にすればいい。買い取り希望者もいるだろう。

高層の木造ビルを建て方ら多くの木材を使う、その分だけ炭素を蓄積できる……なんか違う。そこじゃないはずだ。メリットデメリットを消費者目線が考えてみたい。

ちなみに東日本大震災後に出た莫大な建築ゴミを処理できるという売り込みをしていた木質バイオマス発電所は、今や災害ゴミを引き受けないそうだ。発電用のボイラーには木質ペレットやヤシ殻など定形の燃料でないと向かないらしい。だから能登半島地震のゴミは、地元のバイオマス発電所は引き取りを拒否していた。結果的に三重県まで運ばれたのだけど。

なんだか、当初の目的とズレたところにメリットがあるのではないかね。

 

2024/11/21

Wedge12月号とクマスプレーの仰天案

Wedge12月号が出た。「令和のクマ騒動が人間に問うていること」特集である。
大手書店かJR東海の駅、そして新幹線で発売している。もっとも、リンク先からかなりの部分が読める。またWedge ONLINEにも転載されていて、こちらでは全文読める記事もある。

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なぜ、ヒグマとツキノワグマが一緒に写っているのか……この表紙写真 (@_@)。

実は私も一部を執筆した。と言っても、クマに限らず獣害対策に関わる行政の対応に関する記事だ。もはや猟友会に頼る時期は過ぎて、自治体が全力を上げて野生動物に向き合わなくてはとならない時代になっているのだ。そして、その際の問題点は、公務員は定期異動があること。通常2、3年で別部署に移ってしまう。それに、どう対応するか。。。という視点である。
ちなみに奈良県は、奈良県フォレスターという異動のないポストを設けたが、それが可能であったのだから鳥獣害対策ポストも異動なしで設けてほしいものだ。

さて、実は先日の東京では、青海支所で「クマ対応」についての講演を行った。別にWedgeとは関係ないのだが、時節が重なったのである。

研究者でない私が話すことに抵抗もあったが、報道の立場からということなので、せっせと情報収集に務めて多くの事例を元に話させていただいた。提案もさせていただいたのだが、そこで驚くべき質問が出た。

「クマスプレーは、なかなかクマに向かって発射するのが難しいということですけど、いっそのこと自分の身体にかけたらクマに襲われないということはないでしょうか」

目が白黒した(笑)。たしかにクマが人を襲う局面で、スプレーを出して俊敏なクマに命中するように発射するのは難しいとは各種の事例で報告されている。私も話した。しかし、自身の身体にスプレーを噴射するというのは……。成分はトウガラシですぞ。クマも痛がって逃げ出す(はず)のスプレーを人間が浴びたらどうなるか。七転八倒するほど痛いだろう。

ただ、クマもトウガラシまみれの人間を襲うのは躊躇するかもしれないね。その点では、命を守れるかもしれない。後遺症が凄まじいだろうが。いわばスカンクの一発をくらった獲物は肉食動物も食わないという理屈。

クマスプレーそのものが、クマ対処の最終手段と言われているが、クマではなく自分にかけるのは最終中の最終手段かもしれない。しかし、クマに直接襲われたら命が失われるか、顔面を破壊される、腕や足を食いちぎられる……といった被害を受けることを考えれば、トウガラシで身体中が腫れ上がるほうがマシという考え方ができるか、も。

クマスプレーではなく、何か悪臭発生装置のようなものを作る手もあるかも。忍者のようにドカンと足元で爆発させて悪臭を立ち込めさせる。獣害用森林香もあるから、臭いによる防御策というのはアリかもしれない。

 

2024/11/20

朝顔の咲く初冬

朝は庭を巡回するのが日課だが、こんな花を見つけた。

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朝顔だ。11月だよ? すでに冷気が強くなっている朝に、朝顔が咲いているなんて。しかも極小。花の直径は3センチあるかないか。

おそらく夏栽培した朝顔から落ちた種子が芽を出して花を咲かせたのだろう。しかし、蔓や葉は、あまり見えない。成長する余裕もなかったか。もはや最後の力を尽くし、種子を作ることに注力したように見える。朝顔の二毛作である (@_@)。

極小で、ヨレヨレの蔓なれど、赤い花びらは目立つ。庭では、伏見トウガラシの最後の収穫を行い、ミカンも少しずつ実をもぐ。生産はいよいよおしまいだろう。

そういや今年の夏は、朝顔に元気がイマイチなかった。花の数はそこそこ着いたが、葉量は増えず力強さが足りない。蔓は2回の屋根まで伸ばしたが、そこで頭打ちだった。それなのに11月に花を咲かせる根性はあったんだ。

 

2024/11/19

高知の立木市場と密植への挑戦

先日、高知県の四万十市を訪れる際は大阪から飛行機で高知空港に飛んだ。

ルートは淡路島を右手に見つつ、徳島県を縦断して高知に入った。つまり徳島や高知の山を上から眺めたわけだ。写真の通り、皆伐地が点々と目に入った。

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一カ所5~10ヘクタールぐらいはある伐採跡地が点在する。林道もかなり入っているようだ。再造林をしているのかどうか、上空からはわからない。ただ急峻な山肌なので、崩壊が起きないことを祈りたい。

そこで思い出したのが、国が音頭を取って企画している立木市場。再造林コストを上乗せした価格で樹木の取引を行うというのだが、林業・木材の業界団体と有識者による検討会によると、モデルとして高知県仁淀川町と福島県古殿町の町有林を市場に出品する計画のようだ。

とくに仁淀川町は、再造林率100%をめざしてスギの最低価格を1立方メートル当たり9422円に設定したという。

なかなか強気の値段設定だ。一般的には3000円程度だろうから、3倍以上にもなる。取引にゼネコンや工務店などが入札することになっているが、果たして参加してくれるのか。業界団体が呼びかけているとは思うが、この価格で落札されたら万々歳だろう。もちろん御祝儀相場では意味がないので、日常的にこれに近い価格にしてもらわないと困る。

しかし、入札側も高値で購入するメリットがなければ応じないだろう。単に「再造林コスト上乗せ価格でエコだから」というだけで金を払ってくれるほどお人好しの業者がいるとは思えない。どこかでコストダウンが必要だろう。
おそらく間に入る流通~製材業者やプレカット業者なども巻き込まないと不可能ではないか。仮に山主と工務店が直取引するとして、運搬や製材コストをどうするか。製材業を泣かせず納得させる仕組みがいる。


ところで四万十流域の森林組合では、1ヘクタールに1万本のヒノキ植林をする計画を進めていると聞いた。吉野林業にも劣らぬ高密植だが、植えたら、後々弱度間伐を繰り返す覚悟がいる。これで品質のよい材を生産できれば立木市場を設けることも考えられるだろう。

高知県で進む新たな挑戦に、大丈夫か?という一抹の心配を抱えつつ、挑戦する意欲に期待しよう。

 

2024/11/18

スター・ウォーズに学ぶ甘美な暗黒感情

ロシアがウクライナ侵攻し、イスラエルのガザ虐殺が進み、アメリカ大統領選挙でトランプ元大統領が返り咲いた頃から、脳裏に浮かぶのは「スター・ウォーズ」だった。とくにエピソード3が。

それが昨夜の兵庫県知事選でまた強まった。

「スター・ウォーズ」のエピソード1、2では、銀河系の星々は、とりあえず銀河共和国を形成してジェダイの騎士が秩序を保っていたが、徐々に議会が機能しない状況に陥る中で、とうとうエピソード3でシス暗黒卿が全権を握り帝国化する。そうした状況を、なんとなく昨今の世界情勢をそれと重ねていたのだ。

「スター・ウォーズ」シリーズは、その後エピソード4(第1作)でジェダイがもどってきて共和国の復活が見られたが、エピソード5でまた帝国の逆襲になり、6で再び引っくり返す……と続く。新シリーズの7、8、9はどうでもよいが、その世界はやはり帝国が支配していて、それに抗う人々の姿を描いている。最終回、結局どうなったのか覚えていないのだが……(つまらなかった印象しかない)。

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ようするにスター・ウォーズの世界観は、暗黒帝国側が強いのだ。“自由と平和”を願うジェダイなどは、それに抗い局地戦では勝つが、完全に勝利しないのである。

思えば映画の中だけでなく、ダークサイドな感情の方が強い。穏やかで温かな感情よりも、攻撃的で刺激的な感情は甘美な魅力に満ちている。ポリポリコレ正義とか面倒な民主主義とか、細かな手続きを無視して力で解決するマッチョさは、人々の隠れた欲望を満たしてくれる。それが領土欲、支配欲、そして差別的であっても嫌なものは嫌、強いものが正義、既成を体制を力でぶっ飛ばすことの快感である。
意識高い系への嫌悪、反知性主義など、この感覚を示す言葉はいろいろあるが、「理屈抜き」に快楽を感じさせる手法に抗えない。

一度心の中で刺激的な快感に目覚めると、なかなか拭いがたい。それは薬物依存症とよく似ている。理屈ではイケナイとわかっていても止められない。薬物を接種した一瞬だけの快楽に囚われる。誰も必要としていなくても、伐採時の快楽を味わいたいという理由だけで伐採量が増えていくことだってあるだろう。

まあ、私もたまにそんな概念に囚われる……。

林業関係の補助金を即座になくせ! 
盗伐業者の家を焼討しろ!
生物多様性の破壊者は抹殺!
1年以内にカーボンニュートラルを実現しろ!
裏金もらった政治家は市民権を停止しろ!
フェイクニュースを流した奴に巨額の罰金を!

とまあ、次々に思いつく。暗い感情は平和な気持ちより根強い。

林業に当てはめると、人々が必要とする木材を生産する産業とはいえ、1本の木を伐るときに、その樹木の痛みを感じるだろうか。森への影響を感じているだろうか。それとも木を伐って倒した瞬間の地響きが好き、森を破壊することが楽しい……という発想で林業をやるのか。
前者ならよいが、えてして後者の人も少なくないように思える。破壊願望というダークサイドに囚われると恐ろしい。

 

 

 

2024/11/17

古墳の植生遷移

近頃、なぜか古墳巡りをしているのだが、そこで見かけた風景。

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山辺の道に面した天理の某古墳の頂上から。こんなに眺めがいいなんて。大和三山が見えるだけでぐて、奈良盆地が見渡せる。それが、あまり古代と変わらないような景観なのだ。古墳の上に登ることができるのも素敵なのだが。

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そこで気になったのだが、古墳に生えているのがチャノキであること。不思議に思って聞いてみると、草刈りが面倒なので除草剤を撒いているとのこと。すると、草は枯れるがチャノキはよく育つ。植えたわけではなく、自生している。ここから茶を収穫できるそうだ。

ほかにも果樹園になっている古墳もあったし、畑が耕されているところもあった。

ここで古墳の植生の遷移について考えてみる。

天皇陵などには石が敷きつめられていたはずだ。造成した時点では、エジプトのピラミッドばりに、巨大な石造建造物だったのだ。
ところが日本は湿潤温暖なために植物が生えて、さらに古墳の管理がされなくなった(つまり古墳時代が終わった)頃から生え放題に草木が繁ったらしい。今では古墳と聞けば、こんもり木々の繁った景色が当たり前になった。

ところが周辺の農民は、古墳イコール聖なる墓という知識が薄まると、古墳も農地に変えられていく。少しでも農地を増やしたいからだ。環濠のある古墳なら、ため池代わりに水も得られるし。
戦国時代は、古墳を砦に改造することも多かったという。その際に盛り上がりを削ったから、もしかしたら石室を破壊したかもしれない。

古墳は墓なのだ聖なる地なのだと再認識したのは、実は明治時代以降である。天皇制の強化のため、古墳を陵墓として指定して立入禁止にしたからだ。

結果、人が入ることを禁止したり、耕作など利用も禁止された。すると、そこにまた草木が繁りだす。ただ民有地になっていた古墳は、相変わらず人の手が入り続けた。

……このように変遷を考えると、古墳の植生とは何が原点なのかと決めるのは意外と新しい。

 

2024/11/16

辻谷さん追悼式

本日、川上村で辻谷達雄さんの追悼式が開かれた。本ブログの8月11日版でも知らせたが、私がもっともお世話になった林業界の人だ。

辻谷達雄さんのこと 

葬儀は家族葬で行われたので、改めてお別れの追悼式が企画され、川上村の森と水の源流館主催で開かれたのだ。ちなみに辻谷氏は、源流館の初代館長であり、本日11月16日は「源流の日」である。

昼から雨になったが、場所は源流館のシアターで、なかなか原生林ぽくてよい。

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御年91歳だから亡くなったこと自体は「来るべきものが来た」という感覚なのだが、やはり写真や映像、皆の話を聞いているとじーんと胸に沁み目頭が緩む。思い出すのは、あのときいただいた餅が美味かった、茶粥を食べさせてもらった、対談でご馳走になった、「手前味噌」づくりの話……となんだか食べ物のエピソードばかりである。

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展示されていた写真に自分が写っていることに気づき、仰天する。これ、場所は忘れたが二人で講演したことがあったのだった。

今年は逝去のニュースが多いように感じる。自らの年も顧みつつ、死ぬ際の「生きざま」を考える。

2024/11/15

林業機械の玩具

よくヨーロッパに林業視察に行った人がお土産に買ってくるのが、林業機械のオモチャ。

なかなか本格的でハーベスタやフォワーダといった種類が精巧なオモチャになっている。それが羨ましい……というわけだ。日本には、林業機械をオモチャ化して売り出す気配はない。需要もない。

だが、こんなものを発見。

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東京都青海合同庁舎にある多摩産材情報センターである。ここにユニークな木材商品が並んでいた。このチェンソーは、ちゃんと電池でソーチェーンは回る。音も一応する。これは某メーカーの作品だが、ちゃんと売り物になっているようだ。

今調べると「sould out」になっていたが、2万5000円だそう。まあ、買えなくもない値段である。

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こちらは冷蔵庫。ちゃんと中は冷える。これはオーダーメイドで寸法に合わせて作るようだが、店舗にこんな冷蔵庫を置いていたらオシャレで目を引くのではなかろうか。

国産材振興と言って、建築材や家具ばかりにこだわるのではなく、こうしたマニアックな商品を広めることが、実は需要の底上げになると思うんだけどね。ヨーロッパ土産を止めて、国産のオモチャを買おう。

 

2024/11/14

FSC30周年に寄せて考える

FSC30周年記念フォーラムが東京で11月29日に開催されるそうで、案内をいただいた。

ただこの日に東京に出かけることは難しく、オンラインもあるのだけど、パソコンの前に何時間も座って拝聴するのも苦手だ。有料だし(^^;)。

でも、興味ある方は参加してみてほしい。

FSC 30®️周年記念フォーラム(一般申込)

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それでもFSC(森林管理協会)が国際的に設立されて30周年という年月を感じる。つまり1994年に設立されたわけで、私は世紀末だったかに初めて森林認証制度の存在を知った。当時から森林保全に林業がいかに関わるかという命題を感じており、これを聞いたときは「これだ!」と思って、説明会や勉強会に遠出して受講したことを覚えている。
行政の法による規制中心の枠組ではなく、民間(NGO)が認証という手段で消費者に働きかけて売買を左右するという発想に新鮮味を感じた。バイイングパワーとは消費者の目覚めを意味するのだろう。

その後、世界各国に森林認証が設けられ、それらを集約するようにPEFCが生まれた。日本もSGECを設立した。いよいよ複雑怪奇になってきた。SGECの内容を調べたら、基準がゆるゆるな上に抜け穴だらけで「こんなの意味ないじゃん」と記事に書いたら、その筋からパージされ(笑)、拙著は一切紹介されなくなったのも、いい思い出だ(⌒ー⌒)。

さて、そうした混沌の中で、FSCはもっとも厳しい認証として存在し続けているが、当時ほどの勢いはない。欧米では当たり前になったというが、日本国内の認証は、近年あまり伸びていないはずだ。伸びたのは、海外産の紙ばかり。
またルーマニアやベトナムなどでFSC認証のある木材の中に盗伐の疑いのあるものが混ざっていたり、そもそも認証を擬装している材があったりと、綻びを感じる。

そのうえ日本では、認証された木材が全然売れないらしい。高く売れなければ、経費をかけて認証を取得しているのだからマイナスになってしまう。だから認証を更新しない業者が増えている。結局、日本の(木材の)消費者はまだ目覚めていないのである。

さて、どうするべきか。

必要なのみ、認証を取ることで高く買ってもらえる仕組みづくりだろう。認証を与えました、売り方は自分で考えてね、では通用しないのではなかろうか。FSC自体が積極的に売り込みに関わってほしい。

認証とは倫理的に成り立つもので、非財務価値によって成り立っている。これは健康経営(ロバート・ローゼン)の理論だが、従業員の健康に力を入れている。日本の林業経営体も、まずはそこからかもしれない。

2024/11/13

手取りを増やせ!Wedge ONLINE記事の裏の意図

「手取りを増やせ」という文言は、国民民主党の主張として、何やら流行りそう。まあ「103万円の壁」撤廃がそれに該当するのか怪しいと思っているが、実は私も「手取りを増やせ」を主張している。もちろん、林業家、そして山主の手取りである。

何も労働問題として論じているのではなく、林業振興を「木材生産量」を指標として測るのではなく「山元の利益」が増えたか減ったかで論じないと、日本の林業は回復しないというマクロな林政的発想である。より具体的にいえば、木材価格を上げろ、それも売上ではなく純益を、木材の伐採量は減らしても手取りを増やせ、である。

Wedge ONLINEに「【建築業と林業の起死回生策】AIによる木造資材効率化と適正な利益配分、建築が林業を変える」を執筆した。

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ここではウッドステーションの大型パネル式建築法とAIによる建築費概算システムを取り上げ、それが林業にもたらす影響を描いたが、その基本的は簡単だ。建築現場の情報を山に届ける、それに合わせて山は木材を生産する。これだけのことだ。

エンドユーザーが求める木材(量、質、形状……)などに合わせて山が無駄なく生産すれば、その流通過程の無駄が浮く。それを山元に還元すればよい。3・5メートル材が必要とされている現場には、3・5メートル(+α)の材を届けるべきなのであって、4メートル材を届けて50センチは切り落として捨ててね、ということするな、と言っているだけである。

さらに取引を山と工務店の直販にすれば、流通過程で発生するマージンも省ける。(中抜きではない。)

まあ、そんなこと言っても、その「無駄」で儲けている業者がいるから、反対するのだろうけどね。

2024/11/12

ブックファースト新宿の「名著百選」

東京帰りにブックファースト新宿店に寄ってきた。

実は、ここで名著百選という催しをやっていて、私に(森林系の)本を推薦してくれという依頼があって応えたから。

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こんな感じのコーナーであった。私が推薦したのは、この本。

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広葉樹の国フランス』。すでにこのブログでも紹介しているが、広葉樹林業(正確には針葉樹も植えているから、針広混交林林業というべきかもしれない)を行っている、知られざる林業大国だ。「針葉樹だけの人工林皆伐方式林業」が世界的に行き詰まり、針広混交林づくりと択伐方式も課題となっている中、注目すべき要素が詰まっている。

次は、誰か私の本を推薦してくれ(笑)。もっとも森林系の本を選書する依頼が私に来るのなら、自著を推薦するのは気が引ける。

ところでブックファースト新宿には初めて訪れたのだが、何かと驚かされた。店の造りが迷路みたいだったとかもあるのだが、意外な棚が大きかったから。それは……「超科学」とか「スピリチュアル」棚。その分量たるや、ものすごいのだ。全部で何千冊置いているんだ、と思わせる。まあ、なかにはヨガとか宗教学的な本も混ざっていたが、圧倒された。

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そして、それらしい本を漁っている人も見かけた。売れるんだ。私も挑戦しようかな。。。。

しかし、何かと尖っている書店は面白い。

2024/11/11

東京でクマ対策

昨晩に東京入りして、立川で宿泊、今日は青海で講演。さて、テーマは何でしょう。

それがクマ対策なのだから驚く。でも、東京もクマ出没が相次ぎ、なかなか大変なのであった。

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立川駅前の木彫モニュメント。

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しかし多くの人が参加したので、その点も驚く。クマ対策と言っても、人里に出てくるのを防ぐのと、林業でクマのいる山に人が入っていく場合の対策は、根本的に違う。悩みどころだ。「完璧な対策はない」というのが正答だろう。

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青海合同庁舎にある多摩産材製品。

2024/11/10

高知の鰹はどこから来る?

高知県の四万十市に来ている。

案の定というか、前夜は飲み会(^-^;

そして出るのは鰹のタタキ。定番です。

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そこで言われたのが、「高知市の鰹は不味い」だった。実際に高知市の人が四万十市に来ると、魚は高知県の西と東は違うというそうだ。そして「鰹漁船は漁獲を東京で下ろし、それを高知市までトラックで運ぶ」そう。

高知県ではコマセ、餌が手に入らないからだ。

うーん、この流通は………。

ところで幡多やまもりフェスに野外舞台に登壇。半分二日酔いながら、よく話しました。

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2024/11/09

石仏の植物化

久々に地元の宝山寺に参拝。

奥の院に向かう途中の石仏群には、誰がつくったのか、毛糸の帽子を被せられている。

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その帽子と襟巻き?も、長い年月とともに植物化が進む。赤色の中に緑が浸透するかのように。なかなかオシャレだ。

それに合わせて石仏の表情も変わってきた気がする。

そのうち仏様も木造化するような気がした。

2024/11/08

「イオンの森」の変遷

悪名高き?イオンの森。

イオン系列のショッピングセンターには、宮脇某氏の指導で森づくり(というほど大きなものではなく、敷地の緑化、街路樹か花壇か、という代物)が行われているが、無理やり照葉樹の苗を植えるなどして、上手く育たないケースが続出していた。

その定点観測。

「イオンの森」の1年後

さて、それから8年。改めて現状を報告する。

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1年目(2016年

ブッシュになってしまっていて、植えた苗より飛んできた種子から伸びたような草や落葉広葉樹の方がよく育っていた。

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これが今年2024年。植えて9年経つとこうなる?。

どのような世話をしたのか、植え替えもあったのかわからないが、よく育った樹林帯を作っていた。

自然の摂理に沿わないことをしても、年月が解決してくれるのかもしれない。林床を見ると、照葉樹と落葉樹がうまく重なって生えていた。遠回りはしたが、ともあれ育っている。

自然は下手にいじらない方がいいという証拠かもしれない。

 

 

2024/11/07

COP16中断、EUDR延期、再生可能エネルギーも……

あまり報道されていないが、コロンビアで開かれていた国連の生物多様性条約締結国会議(COP16)が中断した。なんと、参加国の数が足りなくなったからだという。長引きすぎて、多くの国が会議から離脱しちゃったのだね。それで休会。

Cop16

さらにヨーロッパの野心的な森林破壊防止規則EUDRも、施行は今年だったのだが、1年延期となった。あまりにチェックが厳しすぎて参加国の準備が間に合わなくなった?からかもしれない。

ほかにも電気自動車EVの普及速度が鈍化して、「もう内燃機関車は〇〇年以降は製造しない!」と宣言していたメーカーが漸減撤回したり……。
再生可能エネルギーも、伸びが止まっている。メガソーラー建設規制も始まったし、バイオマス燃料となる木質チップ製造の反対運動も起きている。

地球環境問題の解決をめざす施策の数々が、なかなかの逆風を受けている。

まあ、一つ一つ見ていけば、それなりの理由がある。COP16は、ようは基金の分配で揉めて会期が伸びすぎたからで、改めて仕切り直すことになったのであって、評価方法はほぼ決まりかけているし、DNA情報の扱いなども合意した。
EUDRのように「その国にとっては合法でも森林破壊してつくった商品は買わない」という規則に合わしたチェックは、ものすごく複雑だし、急ぎすぎると貿易摩擦を起こす。
EVも、今の性能やインフラなどの状況では、私も買う気にならない。そもそも本当に脱炭素になっているのか?
メガソーラーもバイオマス発電も、森林破壊を進めて逆にCO2増やすようなあり方は止めなくてはダメだ。

現状は、時代の進み方に対するリバウンドだろう。(私はアメリカのトランプ現象や、世界中で権威主義的リーダーの増加も、その一種だと見ている。)

結果的に地球環境がどうなるかは、まだまだ不確定だ。脱炭素に失敗して不可逆的な気候変動に突入する可能性は高いし、生物多様性も多くの種が知られないうちに消えていく。パンデミックも起きるし、飢餓、戦争も尽きない。

人類は失敗しないと前に進めないのだ。問題は、失敗をどこまで許容するか。もう一線を超えたかもしれない。

 

2024/11/06

生駒山麓ノラ古墳巡り

ちょっと散歩に出ることにした。遠くまで行くのではなく、近所を歩いて軽い運動。ただ歩くだけだと、イマイチ面白くないし、知っているところばかりになりかねない。そこで訪ねる先の目標として古墳を巡ることにする。

奈良県は古墳だらけ……と思っている人も多いだろうが、実は……古墳だらけ(^o^)。確認された分だけで2700ほどあるそうだ。ただ生駒山系としては、生駒市内は少なくて、南隣の平群町に多くある。そこで平群まで車で行って、古墳を巡り歩くことにした。グーグルマップには、驚くほど多くの古墳が表示されている。ただし有名なものは、ほとんどない(笑)。まあ、それがいいのだけど。

最初にめざしたのは、四ツ辻古墳。せっせと急な坂道を登ってたどり着いた……はずが、姿が見えない。ちゃんとスマホには「到着しました」と表示されているのだが。

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周りは雑木林というかブッシュ。仕方ない。その森に分け入った。道はないが、すぐに見つけた。こんもりした丘を回り込むと、ありました。

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小さいが、ちゃんと玄室がある。しかし、入るのはきつそう。匍匐前身のまま終わってしまう。奥行きは2メートルくらいか。むしろ岩の上に伸びた樹木が気になる。

次にめざした古墳は、完全に周りがコンクリートの擁壁に覆われていて、しかもササなどが生い茂っている。登り口もないのでパスした。その次にめざした古墳は、そもそも山の中。道からでも100メートルくらい離れているらしい。とりあえず森に分け入ったが、まったく痕跡も見つけられなかった。ふう。このまま森の中をさまようのはまずい。そこそこにして引き返した。

ちなみにこの日は暑かった。汗をかくだけでなく、虫も飛ぶ。

もう最後にしようとめざしたのは、柿塚古墳。マップでは道沿いだ。が、またもや見つからない。いや盛り上がった塚はあったのだが、まるごと樹木が茂りブッシュに包まれている。入り口を探そうと、その草木をかき分けて進み、盛り上がった塚を一周する。どこかに玄室の口が開いていると思うのだが……。

1周した最後のところで発見。ああ、反対周りをすればよかったのか。

しかし、入り口が小さすぎる。

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これを入るのは、かなり大変だろうな、と思いつつもカメラを差し込んで内部を撮影。

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結構広そうよ(^_^) 。が、今のままの服装で入ったら泥だらけになるだけでなく、多分虫にやられかねない。マダニがいる可能性も高い。(以前、やられた。。。)古墳にもぐりこむのは、もっと寒くなってから。真冬が適切かもしれないね……。

今回は、あくまで散歩なのだから。と言い訳して退散することにした。しかし、平群は古墳がまだまだある。大きなものは、石舞台古墳に匹敵するほどの大きな玄室を持つそうだ。また石棺が残るものもいくつかある。

しかし、ちゃんと保存というか管理しているものは少なくて、まさに放置されている。今回のように入り口もなければ説明版もないところが多い。私は、こうした古墳を「ノラ古墳」と呼んでいる。調査が済んでいるものばかりでもないらしい。

また遺構、じゃなく行こう。散歩として。

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これは平群中央公園内にある西宮古墳。石棺あり。公園の一角だから入る人は多いと思うが、どちらかというと放置状態(^_^) 。

2024/11/05

「スマート」なモデル地区

林野庁も、農水省も、環境省も、モデル地区がお好き。それもICTとやらを使った「スマート」な事業地区をアチコチに設定するおつもりのようだ。

たとえば林野庁は、2025年度予算概算要求に小規模な森林の集約化に向けたモデル実証事業を入れている。
ようするに小規模な森林所有者を集約化して、境界線の明確化や不明所有者の特定も進める事業。3億円を計上している。実証事業は2年間で、全国で8カ所程度をモデル地域に選ぶことを想定している。モデル地域では、森林の管理方法や所有する機械といった現状把握し、集約した場合の木材の生産方針などについて話し合う。そこに境界や所有者の特定も入っているわけだ。しかし、どこの市町村でも、それを担う人材が足りないから、ICTの活用を進めるという。そしてサポートする弁護士や司法書士といった森林土地専門の人材を養成することも考えているよう。

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農水省の農村振興局は、獣害対策としてICTデータを活用した「スマート捕獲」を強化するため、3年間のモデル地区となる自治体を選定する計画。例えば捕獲場所をGISに落とし込み、あるいはセンサーカメラの記録から出没の多い時期を抽出してグラフ化することなど。この事業で優良事例を発掘して、それを近隣の集落や市町村に展開を図るのだという。

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そして環境省は、21年6月に策定した「地域脱炭素ロードマップ」に合わせて、25年度までに少なくとも100カ所の「脱炭素先行地域」を選ぶのだという。すでに脱炭素先行地域は募集していて、24年度現在で、36道府県の計73カ所が選定されている。今年で5回目だ。
選ばれた自治体などに対し、1カ所当たり最大50億円の交付金で複数年にわたって支援する。先行地域は50年を待たずに、30年度までにCO2排出の実質ゼロを目指す。

別に反対はしないけど、これだけアチコチにモデル地区が生まれたら、重なっているのもあるだろうし、みんなモデルになって誰が真似るのか、と思ってしまう。そのスマートやらのICTやDXな機器を使うのは誰なのか。機材があってもスマートになるかどうかはわからないよ。

 

 

2024/11/04

シカのキノコ狩

奈良県宇陀市を訪れた際に、その庁舎で見かけた絵。

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宇陀は、萬葉の時代より狩りや薬草で有名な土地なのだが、推古天皇の時代に行われた「鹿茸狩り」の様子の絵である。

鹿茸(ろくじょう)を知っているだろうか。シカの頭に生えるキノコのことだヾ(- -;)。奈良公園のシカの写真で紹介すると、こんな感じ。だいたい春先、4~5月くらいの間に出る。シカの角は冬に落ちて、生えかわるのだが(奈良公園では、秋のうちに角を切ってしまう)、その生え始めの状態。

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こんな具合。ようは角の生え始め。正式には袋角というのではなかったかな。

角の上に皮膚がかぶっている状態で、触ると温かくて柔らかい(触ってはダメ)である。このぐらいの角なら怖くない(触ってはダメ。シカも嫌がる)。うっすら毛も生えていて、触ると触感が心地よい(触ってはダメ!!)

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すぐにこれぐらい伸びるから、キノコの期間は短い。

しかし、それを推古時代には採集していたのだな。なぜなら、クスリになるから。補精強壮薬となるとされ、中国の『神農本草経』や『本草綱目』 にも記載がある。そして 今の漢方薬でも使われている。本当に成分としてはどうなんだろう。

この鹿茸狩りは、『日本書紀』に記載されていて、西暦611年(推古天皇19年)、5月5日(陰暦だから、今の6月中旬だろうか)宇陀の菟田野(うだの)薬狩りを行ったと記されている。このクスリが、鹿茸だったらしい。

鹿茸は高く売れるそうだから、上手くこの時期にシカを仕留めて得たら、儲からないか……と思うそのためのシカ牧場も作られている。ただ、実際は量産が難しいらしい。

でもアンチエージングに効くらしいから、人気呼びそう。ジビエを超える商品化を考えてしまう。

2024/11/03

上村淳之画伯の死

日本画家で文化勲章受章者の上村淳之さんが一昨日、死去していたことが報道された91歳。

日本画家の上村淳之さん死去 91歳 文化勲章受章者、花鳥画を追究

 日本画家、上村松篁(しょうこう)の長男として、京都市で生まれた。祖母は女性で初めて文化勲章を受章した上村松園。京都市立美術大(現・京都市立芸術大)日本画科を卒業、同大専攻科を修了した。

 父の松篁同様、一貫して表現の深化に努めてきたのが花鳥画だった。3万3000平方メートル超の広大な敷地を誇る自宅、唳禽(れいきん)荘でさまざまな種類の鳥を飼育し、繁殖に取り組み、鳥をモチーフにした作品を発表した。徹底した写生に基づきながらも精神性を大切にした。

実は、ずいぶん前だが、取材したことがある。お住まいは、奈良市なのだ。ただし、話は絵画のことではなく、野鳥のこと。正確にいえば、自宅を動物園並の施設で多くの鳥を飼育していることについて話を伺いに行った。そしてアトリエにも入れてもらったのである。

当時は、そんなに大層に感じていなかったが、今となっては貴重な体験だ。何羽いるのか、どんな種類がいるのか忘れてしまったが、ある鳥の卵の孵化をなし遂げた自慢話を聞いた。動物園でも成功していなかったのだ。卵は温め続けてはダメで、冷却期間も必要だとか、なかなか生物学的な話題を繰り広げた記憶がある。

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そう言えば平城宮跡の大極殿にも四神十二支の壁画を描いておられる。

絵画に関しては、日本画にはたいして興味がなかったので、「これ1枚描くのに、何日ぐらいかかるんですかあ」というとぼけた質問をした記憶もある。今は、上村さんの画集も持っているし、彼の松柏美術館も幾度か訪れている。その際にお見かけしたこともあった。挨拶しようと思ったが、取り巻きもいたので遠慮したのだが……。

そう言えば、昨年の1月何日か、ふらりと美術館を訪れたときに携帯が鳴り、それが病院から父の容態が悪化したことを告げるものだった。そして翌朝亡くなったのだった。

今年は、取材した方のほか、何かと縁者が亡くなった。3月には森林風致計画研究所の清水祐子さん。5月には森林研究・整備機構監事で建築家の鈴木直子さん。そして8月には川上村の辻谷達雄さん。

辻谷さんのお別れ会は、今月16日に開かれると聞いている。縁者が亡くなっても不義理を繰り返しているので、こちらには出席したい。

 

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