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森と林業の本

2025/01/21

トランプ米大統領と、緑の植民地主義

トランプ氏が米大統領に就任したニュースを見て、頭に浮かんだのはスターウォーズだった。それも「エピソード3 シスの復讐」。

それまで混乱しつつも曲がりなりにも保ってきた銀河共和国が、シス暗黒卿によって銀河帝国へと変貌し、ダース・ベイダーも誕生する回だ。私としてはエピソード2とともにかなり好きな回。能天気な勧善懲悪的アクション満載回のエピソード4~6より気持ちがしみ入る。

トランプ大統領は、シス卿やダース・ベイダーに見立てるほどの大物ではないが、合議制の共和国より独裁的な帝国を好む人物ではあるだろう。彼を生み出したのは、差別、嘘、罵り、暴力……などに快感を覚える暗黒面に落ちた人々だ。そして共和国的な「過激な理想」と手間とコストのうさん臭さに背を向けた時勢が求める世界でもある。もちろん、これはアメリカだけではなく世界的な傾向と言える。

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思えば、世界の歴史は、いや日本の歴史、そして森林の歴史は、常に極端から極端に揺れ動いてきた。とくに森林史・林業史を古代から現代まで追いかけた経験から言えば、ちょうどよい中庸の政策、世論なんかなかったのではないか、と思える。

木材を過剰に求めて伐りすぎてはげ山になると、今度は厳格な禁伐政策が取られて人々を苦しめ、回復基調になれば厳格さゆえに反発が生まれて盗伐が横行、そして大々的な伐採が進行する。日本史で見れば、奈良時代、戦国時代、江戸初期とあった大伐採の時期。その合間に、できるだけ伐らない、代替マテリアルを探す……などがあって、現在は次の伐採の方に過剰に偏った時代だろう。木がほしい、伐採するのは快楽だという“暗黒面”に落ちている(笑)。

世界史的には、気候変動対策、生物多様性対策として森林保護が進められている時代だが、そんな保護の過剰さは反発を呼ぶ。その結果、劇的に転換するかもしれない。トランプ大統領のような人物の登場によって。

ここでは、「緑の植民地主義」について記しておこう。

簡単に言えば、脱炭素や自然保護を掲げる政策が、先住民などの伝統や文化を圧迫するケースだ。「持続可能な経済」「持続可能な開発」といった緑の大義名分によって、長くその土地に暮らしてきた先住民は、一方的に生活を無視した自然保護政策を押し付けられる。

スカンジナビア半島のフィンランド、スウェーデン、ノルウェーに住む遊牧民サーミは、グリーントランスフォーメーション政策によって圧迫されている。ノルウェー政府は、2013年にサーミのトナカイ放牧地に風力発電の風車を約150基建設する計画を認可した。サーミによって反対運動が起き裁判に持ち込まれたが、ノルウェー最高裁は21年にこの言い分を認め、最終的に政府がサーミ側に補償金を払い、新たな放牧地を提供することで和解した。

アメリカのアラスカは2021年、ユーコン川でのサケ漁を禁じた。個体数を回復させるためという名目だ。しかし、その結果、アラスカ州の229の先住民族の半数が「食料不足の危機」に陥った。しかもサケの数は改善せず、30年まで禁漁を継続することになった。だが、サケの数が減ったのは、先住民による乱獲が原因ではなく、温暖化に伴い、寒冷な北極圏に移動したせいとみられる。

フィリピンで欧米流のフォレスターが森林を禁伐し、地元の人々が森から食料や生活物資を得られなくして生活を破壊した例もある。おそらく、このような事例が重なり、環境政策に対する反感が高まるのではないか。

今、必要とされているのは、生態系文化多様性だという。主に先住民が自然とともに生きることは、多少の環境破壊を含みつつ、その攪乱がむしろ環境を多様にして、また多様な文化を生み出す基になっている。それを環境一辺倒にしてしまうと奪ってしまう。それが揺り戻しを呼び込み、逆に人間優先を掲げて欲望の資本主義に走れば、それはそれで自然環境のみならず人間社会も破壊してしまうだろう。

「緑の植民地主義」に反発が生み出すのは、伝統的生活を守る道ではなく、自然を破壊して人間の我が儘を追求する道かもしれない。その節目にシス暗黒卿が登場するのさ(⌒ー⌒)。

2025/01/20

春日大社一の鳥居

奈良の春日大社と言えば、世界遺産にもなった重要な神社だが、その一の鳥居が塗り替えられたというニュース(昨年だけど)を聞いて、ちょっと気になって見てきた。

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ずば抜けて大きいわけではないが、直径80センチ以上あり、高さは6・75メートル。
ただ気にしたのは造り。無垢の丸太ではないのである。

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見た通り、張り合わせたもので、「明神形で桶側式」と書かれている。つまり芯の丸太に扇形の材を張り合わせてあるのだろう。ヒノキ厚板16枚を使っている。

一の鳥居は社伝によれば平安時代836年創建、記録された最古のものは1063年である。ただし現在のものは、江戸時代前期に建てられたものらしい。これ、東大寺の大仏殿の再建時と近いと考えてよい。大仏殿は1694年建設開始で完了したのは1708年。

そして東大寺大仏殿の柱も、こちらと同じ張り合わせたものである。

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どちらも同じ、ということは、何も仲良し♡という意味ではなく(どちらかと言えば仲は悪い)、当時は大径木が手に入らなかったことの傍証となるのではないか、と思っている。当時の日本は、長大・大径材は底を突いていたのだ。そこで仕方なく、寄木にしたのだろう。

東大寺の場合は、そこに釘を打ち鉄環で締めている。春日大社の場合も鉄環らしきものは目にできる。おそらく張り合わせる部分は、膠で接着したのではないか。(集成材とは微妙に違う。)

今回の塗り直しは、丹朱塗り。水銀朱と鉛丹を混ぜた塗料、いわゆる朱である。古墳時代より重宝にしていた赤の塗料。

現在も大径木は枯渇気味なのだから、こうした寄木技術をもっと採用すればよいと思う。無垢の大木ばかりを求めるのは野蛮だよ。

 

2025/01/19

「関口宏のこの先どうなる?」で林業特集

まったく偶然なのだが、日曜日お昼にテレビをつけて何かあるかとチャンネルサーフィンをして開いたのが、BS-TBSの「関口宏のこの先どうなる?」という番組だった。

そこで林業をテーマにしていた。

「関口宏のこの先どうなる?」

おやおや、渋いことやってるなあ、と見だした。最初は微笑ましく、次に笑いながら、そして最後は怒りに変わった。

とくに驚いたのは、ドイツとの林業比較だ。

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日本はスギやヒノキの一斉林(画像には針葉樹とあるが、ようするに同一樹種)。ところがドイツは混交林で「自然環境に良い森づくり」なんだそうだ。ほほお。日本の林業のおかしさを指摘したか。しかも、日本は機械化を進めて作業道をいっぱい入れているが、ドイツはウインチ利用であまり道を入れないそうだ!

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日本が大型林業機械を使うために林道・作業道を入れだしたのは、たかだか20年、それもドイツを見習ってではなかったかなあ。ドイツからたくさんフォレスターを呼んだじゃないか。ところがドイツは道を入れたら森が傷つくと入れない方向に向かったというのだ。

しかも、この指摘の後に「日本の林業は伐って、植えての循環型」だと言い出した。それって、日本は混交林にするつもりがないということか。針広混交林づくりだってドイツのフォレスターに勧められたが、拒否している。
ドイツを見習う気はない宣言(笑)。

その後は「希望」も語る。たとえば林業従事者は減っているけど、若者率は高まっている。つまり将来に希望がある!
まあ、4万人ちょっとの人口の中で若者が増えたって、数百人だけど。しかも定着率は悪い。高齢林業者が引退したら、今の半分以下の林業従事者になるだろう。その中で若者が少し増えたとしてもねえ。。。(ドイツの林業従事者は120万人と紹介されたが、本当? 木材事業者も入れているのか。)

あとCLTも目いっぱい宣伝。木造ビルの素晴らしさを謳い上げる。
なぜ普及しないの?という関口さんの質問に「まだ生産する工場があまりない」。

え? 補助金ジャブジャブで全国8か所につくったけど、閑古鳥が鳴いているのではなかったか。ようするに需要がないのであって、生産が追いつかないのではない。そもそもCLTは失敗に終わったともっぱらの評判である。すでに現場ではやる気を失っている。

仮に今後CLTの需要が伸びたって、原木に対する歩留りは2割~3割。カーボンニュートラルに寄与するどころじゃない。この点は、私も書いたばかりだ。

〈ヤバい林業〉大阪・関西万博のリングの木はどこの国から来たものか?木材のことを知らない建築家、木材業者、ハウスメーカー担当者が多すぎる!

ほか、セルロースナノファイバーとか改質リグニンとかも紹介する。それもいいけど、研究途上で、実用化したとはとても言えない。それに、いずれの研究者からも、「あれはダメだ」という言葉を、私は聞いている。実用化の道は険しいのだ。

私自身は、仮に実用化できても、何ら林業に貢献しないことは間違いないと思っている。そもそもナノファイバーだってリグニンだって、そこらへんの雑木や農業廃棄物からだって抽出できる。森林所有者と林業家が一生懸命に育てた木を使うことはない。つまり山元に利益が還元されることはない。

この番組、結局のところ、林野庁の言い分紹介番組になっている。もっと木を伐れ、もっと木材を使え路線だ。それが森林を破壊しているとは信じたくないのだろう。もう少し、正確な問題点を指摘する人に取材したら。私に声をかけろとは言わないけどね(⌒ー⌒)。

ちなみにTVerなどで、まだ見られるようである。

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2025/01/18

ウイスキーをスモーキーに

ジンはジェニパーベリーの味がすべきだし、ウイスキーはスモーキーであるべき。

という信念?を持っているのだが、最近のウイスキーでスモーキーさが強いのは少ないように思う。やはり日本人は煙の香りが苦手?

と思っていたら、たまたまネットで「グラストップスモーカー」というものがあり、ウイスキー(ほかカクテルなど)のグラスの上でチップを燃やして煙の臭いを酒に移すグッズがあることを知った。思わずクリックしかけたが、ちょっとペンディング。

先日、行きつけのバーを訪れ、マスターにそんな話をしていたら、「ありますよ」とのこと。店に備えているのだ。ただし、「そんなに深みのある香りは付きませんね」という。

それを試すことになった。

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なるほど、グラスの上にチップ容器を乗せて、バーナーで火をつけ蓋をすると、グラスの中に煙が蔓延する。

さて、お味と香りは……肝心の酒はスモーキーさの弱いウイスキーを入れたのだが、まずグラスにスモーキーさを感じる。酒よりも先にグラスに煙成分が付くのだろう。酒そのものの味はさして変わらないが、口の中にスモーキーさが漂うのは間違いなさそうだ。これを深みがない、とするか、雰囲気を楽しむのだよ、とするか。

「これ、家ですると部屋に煙の臭いが広がるし、後片付けが面倒」とマスターは否定的(^^;)だったが、同時に「ナッツやチーズなどをいぶすのにも使えます」。

う~ん、ウイスキーにこだわらず簡易燻製機と思えばいいのかもしれない。庭でやるという手もある。

しかし、木、木材の利用法として、燻製の味、香りに注目するのはいいかも。これも「食べる木」だ。スモーキーにするため酒に木酢液を垂らす……という案も一瞬浮かんだが、木酢液って、強力な毒である!危険、危険。 

そのままでは無理だから、この毒性を抜いた香りづけだけの木酢成分を取り出せないかな。い一滴垂らすと燻製気分。多分、一般に出回っているベーコンなどはそれに近い。

香り成分をアロマオイルとして高価格で売られるのだから、煙香も可能性あるよ。

2025/01/17

阪神大震災、改めて思い出す

阪神大震災30周年ということで、例年より震災報道多め。能登の大地震もまだ記憶に新しく、南海トラフ地震の可能性も増しているからか。

ここで斜に構えて報道の仕方を評論してもよいのだが、あえて私もノッて真正面から記憶をたどってみた。

まず当時の写真を探し出す。当時はまだフィルムカメラだし、そもそも、そんなに写真を撮って記録する意識が強くなかったが……。

私は、震災直後、現地に入るかどうか迷っていたのだが、そこに芦屋在住の婦人から電話があって(彼女は、前夜から大阪のマンションに泊まっていたそうで無事)、これから芦屋の家に帰るというので付き添いがてらに現地入りすることにした。

阪急西宮北口駅までは電車が動いていたから、そこから歩く。西宮までは風景も通常どおりだったのに、そこより西に入ると、いきなりこんな状況。

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そして、落ちた高架まで登って折れた線路を見学している人がいた。

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私も登ろうかと思ったが、これは被災者だからできることで、外部者が同じように見学するのは気が引けたので自粛。

彼女の芦屋の高級マンションにたどり着く。エレベーターは動いていず、水も出ない。部屋は無事だが、割れた瓶や器類が散乱している。靴を履いたまま上がった。多少の片づけをしたが、とても手を付けられない。なぜか、ビールを出された記憶がある。飲まなきゃやってられん、のか。
そして記念撮影。

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割れた中には、かなり高級な陶磁器やガラス食器もあったはず。壁には、超有名絵師による浮世絵も飾られていたなあ。

そして「せっかくだから、アノ現場にも見に行きましょうか」と彼女は言うのである。そう、阪神高速道路が横倒しになった現場だ。見たいよなあ。

そして歩いていくと、やはりマスコミ陣が殺到していた。中継している。テレビカメラが並び、まさに震災の最前線だ。

私らも交代で記念撮影した。

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それから、どうやって大阪にもどったのだったか。もう夕暮れだった。記憶がない。街灯のない中を西宮まで歩いたのだろうか。タクシーを拾えた? わからん。

駅で喫茶店が開いていたので入って休憩した。そこでマレーシアの王室の裏話を聞いた。彼女は、かつてその王家に嫁いでいたのである。そんな場違いの話題も、ある意味震災ショックを和らげる心理的バランスを得るためだったと理解している。

その後も幾度か阪神~神戸を訪ね、震災現場でいろいろなものを見た。まだ駆け出しのフリーライターだった私にとって、その光景から何かを与えられたのだろうか。

 

2025/01/16

Y!ニュース「メガソーラー裁判結審……」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「メガソーラー裁判結審。「合法」ならいい?司法の今を問う」を執筆しました。

長年、追いかけてきた平群メガソーラー建設問題なのだが、おかげで私も裁判の傍聴が趣味になりつつある(笑)。いや、正確には、こんな裁判って面白くない。ほとんど書面のやり取りに終始するのだ。とくに原告は攻めたてる陳述を行うが、被告は弁護士に任せ放しで、すべて書面だけ。何も発言しない。陳述だって聞いているのかどうか。書面を読めばいいからだ。

それでも裁判長、右陪臣は、それなりに原告側陳述者に顔を向けていたが、左陪臣は寝癖か!と思わせるほど乱れた髪の頭で、何を見ているのかわからない表情。眠いのかあ。

とはいえ、抽選券も出るほどの盛況なので、私もなんとか傍聴席に座れたことを喜ばないといけない。

そして、終わると弁護士会館で、報告会。会場からの質問も出て、「勝訴を確信」という。敗訴の可能性を口にするのは縁起でもない、そうである。

それで終わるかと思ったら、私が指名された。いや、もう時間オーバーだし、別に疑問もないので……と遠慮したが、促されたのでマイクを持った。

そこで話したのが、EUDRの件である。「合法でも、森林破壊はダメ」という強力なEUの規則を紹介して、裁判の判決がどうであろうとダメなものはダメ、ならぬものはならぬのです、と会津藩の「什の掟」みたいなことをブッタのであった。

その時思ったね。あ、これはYahoo!ニュースに記事に書けないかと。

裁判報道は公平性というか一方に偏った運動家的な記事はまずいという縛りがあるので、好き放題に書くわけにはいかないが、EUDRを持ち出して、合法でもダメなものはダメというケースもある、それが世界の潮流になりつつある、そもそも司法の目的はなんだ? という記事なら書けるかも、と思いついた。なんと、森林ジャーナリストが法曹に切り込む!

そこで書き上げたのが、この記事なのであった。ワハハ

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2025/01/15

Wedge ONLINE「〈ヤバい林業〉大阪・関西万博のリング…」書いた裏事情

Wedge ONLINEに「〈ヤバい林業〉大阪・関西万博のリングの木はどこの国から来たものか?木材のことを知らない建築家、木材業者、ハウスメーカー担当者が多すぎる!」を執筆しました。

タイトルがいい(笑)。私なら、こんな過激なタイトルはつけられない(笑)。なおYahoo!ニュースと違って、Wedge ONLINEはタイトルは編集者に任せている。媒体の癖はあるけど、これぐらい派手に書いた方がいいかなあ。

Wedge ONLINEには、わりと広範囲のテーマを扱わせてくれる。ただ執筆者の中に林野庁OBの中岡茂氏がいて、日本の林業界の話を書いているので、私は遠慮がちにしていた。重なるとつまらないし、先輩を立てておりまする\(^o^)/。もし気になったら、私の記事の下を見てほしい。彼の記事へのリンクもある。

だから私は、獣害や樹木葬、地域起こし、伝統工芸、建築、そして海外の林業、森林……とズバリ日本の林業という記事は少なめなのだが、今回は年初だし、日本の林業と建築業界の問題点にツッコんでみた。なおYahoo!のコメント欄に「林業の素人が書いている」と反発されてしまった。へえ~。

万博のリングについてはたいして触れていないのだが、タイトルになったことだし、もうすぐ開幕であることも考えると、今後もウォッチする必要性はあるかな、と感じる。

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批判するにしても絶賛する?にしても、一度は見に行かないと、とは思っている。それにしても……チケット予約の複雑なことよ!投げ出すぞ。

これって、大混雑を予想してアレコレ工夫しているつもりなのだろうけど、予約しづらくして閑古鳥鳴いたらどうするの。

2025/01/14

地震発災時に想う

昨夜は、希有な体験をした。

もともと夕方に電話がかかってきて、今晩のABEMA preme(アベマテレビ・テレビ朝日系)に出てくれないか,という要請された。ロスの山火事が話題である。私としては、あまりに急であるし、火事は専門じゃないから、とくにロスの大火災については知らないから、と渋ったのだが、一般論としての森林火災でいいからというのでOKしたのであった。

もちろんZoom参加である。ロスの在留日本人とともにコメンテーターとなる。MCは山﨑れいな氏。

8時から打ち合わせや通信確認などをしながら9時5分から、ということであった。約30分間。何かと落ち着かないが、私に声がかかるのは後半とのこと。前半は現地からのレポートとなる。

が、始まっていきなり私に話が振られた。なぜ、山火事が起こるのか、大規模化するのか、日本の山火事について……それって、全部後半の話題としていた点じゃないか(> <;)……と想いつつ、なんとかコメントしていく。
思えば、私は以前マレーシアで国境を超えたヘイズ(煙害)を経験しているし、日本でも地元生駒山の山火事発見などの経験もある。何かと経験談を織りまぜて話すと格好がつく。そこに日本の林業の問題や、地球環境問題を加える。

不思議と、みんな食いつく。スタジオの竹中平蔵氏まで「森林整備の遅れ」を取り上げた。世界的に森林火災は増えているが、発火自体は昔からあったことで、近年の問題は、件数増加よりも大規模化であること。日本では気候変動で乾燥するというよりは大雨が多くなって、山火事より水害の心配が強いと説明しつつ、いや、ロスの話をもっと聞こうよ……と思ってしまう。

こんなに話したら、肝心の後半の話題で応えるネタがなくなるなあ……と思っていた9時20分ごろ。

緊急地震速報が入ったのである。生放送中だ、インターネットテレビと言っても、即応する。宮崎県、震度5弱。九州一円が4以上。これは南海トラフか、直下型か。思わず、そちらのコメントをしそうになった(^^;)。

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その後、一度は元のテーマにもどるが、津波注意報が出たことで、完全に緊急報道体制にシフト。私らZoom勢の出番は消えたのであった。
最近はテレビや新聞などの既存メディアの凋落が指摘されるが、実はネットは対応が遅い。緊急事態に何をすべきか訓練されていないからだ。もちろん情報収集機能もない。おろおろした情報だけを垂れ流しても何も意味はない。既存メディアの報道に絡み難癖つけるしか能がない。

思えば、もうすぐ1・17。阪神淡路大震災の30周年を迎えて震災報道が増えている矢先である。

私にとって、申し訳ないが、震災といえばまず第一に阪神であり、東日本大震災でも熊本大地震でも能登地震でもない。当時は北大坂に住んでいたから、強烈な地震の揺れを経験しているし、その後の現場にも入っている。そして崩壊した都市と行政無化空間を見てしまった。人生を「阪神大震災の前か後か」で区別しているほどだ。

崩れた高速道路に登って、その折れ口を覗き込んでいる人、潰れた自分の家の前で記念撮影をしている人もいて、直後は深刻さより驚きの方が強かった。同時に一つの町の区画の住宅が全部ペちゃんこに潰れている現場も見た。木造住宅は地震に弱い。そう言われたのだった。

不思議な優しさ満ちた空間~阪神大震災見聞記~ 

こんな記事も書いていた。

1・1に続いて1・17、そして3・11も、もうすぐ迎える。同時に豪雨災害や山崩れ災害も起きたことを思い出す。おそらく今後も大規模火災、大水害も絶えず起こるだろう。備えよ常に。

今回、震災報道の現場にちょびっと触れたことも後に活かせるだろうか。

 

2025/01/13

見えないカルテルが、木材価格を下げる

面白い論文(のdigest )を読んだ。

建築資材の輸入規制緩和がもたらす原木価格の上昇について~竹中 昂平(帝塚山大)・都築 佑太(京大)

ものすごくかい摘んで私なりに要約すると、木材は商品としては非木質建材と組み合わせて存在することが多いが、その非木質建材(ガラスやアルミサッシなど)はJAS認定などで実質的に寡占状態である。実際に、ガラスでは旭硝子と日本板硝子がシェアの過半を占めており,アルミサッシではLIXIL,YKK AP および三協立山がシェアの大半を占めている……そうである。 ようするに、そこには目に見えないカルテルなようなものがあり、高価格維持戦略が取られている。だから価格は下がらない。すると木材価格が下がる。

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たとえば、このような木造建築物の建築コストは、非木質建材がごっそり建築費を取って、予算が足りなくなると、木材を安く買いたたいて成立させている……と見ることもできるわけだ。

だが、輸入品と競争を促せば、否応なく価格引き下げ圧力が生じる。その計算を住宅ローンの金利から導き出している。ローン金利も非木質コストの要素があるからだ。住宅ローンの金利が上がると、木材価格は下がるのだ。

輸入規制緩和による建築資材価格の下落は、製材品、ひいては原木価格を上昇させるであろう。

とある。つまり非木材建材に外国製品の輸入を緩和して競争を促すと、引き下げが期待されるわけだが、その場合に木材価格の上昇が期待できる、というのだ。

Photo_20250113155401木製サッシの価格は、何で決まる?

これって、すごいことではないか?

もともと木材価格は、極めて不透明だ。そして、この不透明さが、木材業界衰退の原因であると言っても過言ではない。

なぜ不透明かと言えば、小規模業者が多くて連係もしないから、大手業者に対抗できない。そのくせ業者間で足の引っ張り合いばかりして、ダンピング合戦をする。

逆に、銘木などは、仕入れコストや市場の需給など関係なく、業者が思いつきで価格を決める。同じような銘木が、業者によっては半額になったり2倍3倍になることは珍しくない。高い業者が吹っ掛けて儲けようとしているというよりは、ほかの業者がどんな価格をつけているのか知らないから、相場を無視した値付けをするのだろう。

では、どうしたら木材の価格は上がるか?

・非木質建材の競争を促して価格を下げさせることで木材価格を上げる。
・非木質建材部分で稼いで、その利益を木材調達に注ぎ込むことで木材価格を高くする。
・林業関係者が、非木質建材の販売を手がけて儲ける。木は捨て値でよい。

さて、どれを選ぶ? それとも、どれも選ばないという選択もある。面倒くさいから。

ちなみに、この論文を書いた竹中氏のいる帝塚山大学経済学部の東生駒キャンパスは、我が家からもっとも近い大学。10分くらいで着くのではないか。この大学に林業研究者がいるとは思わなかった。訪ねてみようかな。

 

2025/01/12

雪化粧。そして、うぴ子

このところよく冷える。雪も降る。

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庭のバケツの水も凍った。ただ昼前にはだいたい溶けたのだが。

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これは玄関先の道路だが、なぜかこの一角だけに雪が残っている。なぜか、と思って観察したが、よくわからぬ。
とくにアスファルトを張り直した箇所でもないのだが、下に水道管でも伸びているのだろうか。そこだけ冷えが残っている?

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こちらは庭の木。ハッサクだったかナツミカンだったか。あまり水分がなく食べにくいので、収穫せずに残しているのだが。その葉に雪が残っていた。葉の上は、気温が低いまま保たれるのだろうか。

3連休の中日。以前よりAmazonに発注していたCDが届いた。

数年前からYouTubeで発見して、ずっと聞いていたのだが、肝心の曲は配信でしか販売しておらず、私はそーゆーのが苦手で手に入れていなかった。それが昨年、ようやくCDとして初の全国発売されたのが即品切れ。ずっと再版を待っていて、ようやく出たのである。

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うぴ子。ギター一本で弾き語り、またストリートミュージシャンとして活動していた。中島みゆきの再来とか、いろいろ言われて一部では熱狂的ファンが生まれているようだ(私もだ)が、まだメジャーになったとは言えないだろう。

今宵は、これを聴く。夜はより冷えるかもしれない。

2025/01/11

ジビエ嫌いのジビエ・ビジネス

以前、ジビエ、とくにシカ肉の加工場を取材した時に言われたのだが、そこは例外的にビジネスを成功させ、黒字だった。その業者は、シカの解体から精肉加工、ペットフード加工、そして小売りしつつ、レストランも経営している。

たいていのジビエ・ビジネスは赤字だ。イノシシはまだしもシカ肉は全然売れていない、売れても赤字。それを見事に黒字にした手腕とは。

場長に「ジビエ、好きですか」と問われたので、「ええ、時折食べますよ」と応えたのだが、それに対して「そうですか。私は嫌いなんですよ」との返事。ここの事実上のオーナーも「嫌い」なんだそうだ。豚肉や牛肉の方が絶対に美味い、と言われた。そりゃ、そうだ(笑)。食肉として磨き上げた家畜の肉と比べては敵わない。ジビエはたまに食って、その癖を楽しむものではなかろうか。

1_20250111135801イノシシ肉の炭火焼き

「ジビエを売り物にしている人は、ジビエの美味さを強調しようとするんですよ。でも一般人は、ジビエを食ったという経験、噂のジビエを味わったことに満足するんです。だから味はできるだけジビエぽさを消して普通の肉と変わらないようにしています」。

う~む。

レストランでジビエを食べた後にジビエを販売すると、よく売れるという。そうした仕掛けでビジネス化をはかったというのであった。

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ビジネスでは、商品にほれ込んで売り込まないと、と一般のビジネス本には書いてあるだろう。しかし、そもそも本当に潜在的顧客に好まれる商品なのか、という点を忘れてはいけないのかも。結局、求められているのは、味とか機能ではなく「情報」なのかもしれない。舌で味わうのではなく、脳で「食べた体験」を味わっている。

木材ビジネスもそうかもしれない。

とくに銘木なんてのは、何がよくて何が不細工なのか、素人的にはわかるまい。下手に銘木好きが銘木を扱うと、一般人の木材の好みからかけ離れてしまう。森林にも木材にも興味ないけど「この銘木を高値で売りつけてやる」と冷静に考えている人間の方が成功するのかもよ。

2025/01/10

生駒の居酒屋の階段

昨秋より、生駒駅周辺に新たな居酒屋が何軒もオープンした。

消える店も多いが、開店も相次ぐのである。これは確認しなければなりませんねえ……と、回り始めた。何を義務にしてるんだ。

そして訪れた一つが、「ニウリヤ」というのだが、駅前なのに路地奥でちょっと見、本当に店があるのかどうかわからない場所。わずかに提灯が立つのだが……。

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そこに店名は小さく、大きく書かれているのは「汁」とか「おばんざい」の文字。食事の店?

まあ、居酒屋なんだろうと思って訪問。扉を開けると、客席は二階だった。

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居酒屋だった(笑)。カウンターと僅かなテーブル席である。古民家風で天井には梁が剥き出し。わりと木を強調した造りだ。若い女性二人で切り盛りしているよう。

ここで料理や酒については割愛するが、おばんざい(京の惣菜)だけでなく、わりとエスニックな料理も出るよ。汁というのは、味噌汁と粕汁。でも、ご飯はあるのかないのか。

まあ、いい。それよりもだ、いっときを楽しみ、御勘定を済ませて階段を下りようとして気づいた。この階段はなんだ??

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写真からわかるだろうか。ステップごとに木が違う。ざっと見て、ケヤキやトチ、ヒノキ、スギなどが目に入るが、かなり大きい1枚板。1辺が1m近い部材もある。これって……普通に揃えるのは大変だろう。どこかの社寺建築の余りものでも回してもらって使ったの?

女将?に聞くと、オーナーか大工のこだわりらしいのだが……。次は木材の樹種に詳しい人を連れて行こう(笑)。

たまに、こういう店を見つけると楽しめる。まあ、料理よりも階段の木にこだわる客というのは、店側としては喜ばしいのかどうかわからないけれど。

 

2025/01/09

木質ペレット、新規需要を百均で見つける

百均Seria(セリア) に行った際に目についたのが、こんな商品。

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ヒノキのチップと木質ペレットなのだが、使い方としては植木鉢などのマルチング材としている。書いてあるとおり、乾燥予防とか雑草を抑えるとか、目隠し(土が見えるのがイヤなのか?)、そしてヒノキの香りで虫を追い払う効果があるとしている。

なるほど、こうした効果はわかる(本当にあるのかは別問題)し、すでに木質チップを敷きつめた鉢植えも見かける。ただ、明確にそれを持ち出した商品化は始めてみた。百均は、アイデア商品が多いので、意外と発見がある。

最近は木質ペレットの新たな利用にも目を向けられているようだ。バイオマス燃料ばかりよりはよっぽどよい。

目につくのは、まず猫砂だろう。ペットフード協会のによると、2022年時点のネコの飼育頭数は883万頭。最近は室内飼育が推奨されているから、ネコの排泄処理に「猫砂」は欠かせなくなっている。

もっとも、その原料は鉱物系や紙系、そして木材系がある。販売会社によると、木質製が12%を占めるという。これをもっと増やせば、結構な需要が生まれるのではないか。何より単価も利益率も高い。バイオマス燃料よりよっぽどよい。

ただ猫砂製造会社は、原材料の調達に苦労しているようだから、林業界より安定提供したら伸びるのではないか。

木質ペレットは、価格がほかの猫砂よりは高めだが、付加価値はある。香りもするし、消臭効果も見込める。処分時の環境負荷も小さい。バイオマス燃料よりよっぽどよい(しつこい)。

C材、D材の利用としては、立派な需要だと思う。もしかしたら犬用も可能性があるかもしれない。いや、人間の介護用も考えたらどうか。寝たきりベッド用に極細ペレットを開発してみたらどうだろう。枕用はすでにあるから、十分可能だ。

燃料用より炭素固定が…なんてことは言わない。ただ、一瞬で燃え尽きるバイオマス発電に頼るのではなく、需要の多様化、そして個人に身近な用途開発は、長い目で見て大切だと思う。


2025/01/08

地雷源でハチミツを!

なかなかテンション上がる記事を読んだ。

「地雷原のハチミツ」に思い込めて ウクライナがプロジェクト 

さらにネタ元も。

危険から希望へ:「地雷原のハニー」がウクライナの荒廃した土地をどう変えているのか 

 

なんとウクライナは、国土の4分の1近く、13万9千平方キロメートルもの面積に地雷や不発弾が眠っているという。これは世界最大の地雷汚染国になるらしいが。除去にはとてつもない時間と費用がかかる。その起死回生の策として、地雷源を花園にして、ミツバチに蜜を集めてもらおうという壮大なプロジェクトをぶち上げたのである。

なるほど!ミツバチは地雷を爆発させることはない。人は入れない土地でハチミツを生産できるわけだ。しかも、花園という景観も作り出す。

もともとウクライナには広大なヒマワリ畑があって、そこでは養蜂が行われていた。非常に質のよい蜜が採れると言われるが、それを拡大する形だから、人材や技術もあるだろう。ウクライナの復興にはグッドアイデアと思う。

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もともと農作物栽培の難しい土地では、ウシやウマ、ヒツジ、ヤギなどを放牧をして家畜に雑草を食べさせて肉や乳に変えてもらうという産業形態がある。そこに、もう一つの家畜であるミツバチを活用するのは、ウクライナでなくても応用が効くように思う。

日本でも考えられないだろうか。

ゴルフ場跡地は、すぐにメガソーラーに転用されがちだが、いっそ花園をつくれば養蜂地にできる。景観を売り出すことも可能だから観光開発にもなるだろう。もしかしたら(草花の種類によっては)ソーラーパネルの下でも花を栽培することもできるのではないか。

伐採跡地も再造林が進まないのなら、とりあえず草花の種子を撒いておく。そして養蜂家を呼び寄せる。崩壊地なども、すぐに樹林を生やせないのなら、まずは草花から……と考えてもよいし、有休農地だって、もっと利用してほしい。

ちなみにミツバチは、蜜を集めている際に人を刺すことはない。巣箱に不用意に近づくときが危険なのだ。だから、ちゃんとルールをつくれば、観光にもなるはずである。

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この写真は、スイスで見かけた養蜂小屋。こんな小屋タイプの巣箱という発想も面白いが、周辺に人家がある。問題にならないのだろう。
日本では、人家近くでは蜂を恐れる人が多くて、なかなえ巣箱を置けないが、問題はないのだ。それに巣箱の規模を大きくして、また景観的にも優れている。

そういや、最近は山村で花園を見ることが増えた。耕作放棄地や限界集落化の中で、住民のちょっとした工夫である。人が住まなくても、花が咲く季節には人が集まる。そこでハチミツの明お土産を販売できたら楽しい。
そんなオシャレな養蜂を工夫してはいかがだろう。

もちろん、日本の養蜂は衰退している。気候変動で花の咲く時期がずれて、これまでの技術では難しくなった面もある。農業の衰退と相まって蜜源不足も指摘されている。シカの増加などで森林地域に草花がなくなっていることも痛い。養蜂家自体が減少傾向だ。

しかし、有休地や崩壊地の回復、さらに景観づくり、観光開発……などの視線を使えば、新たな資金を導入できるのではないか。林業地の伐採跡に花園を! なんてのも夢がある。

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川上村の芝桜。

2025/01/07

野犬は野生? それとも……

このところ朝日新聞には、よく野犬のニュースが載る。どうやら同じ記者が執筆しているようだが……。

家畜を襲う野犬、被害深刻化 北海道・道東の酪農家「放牧できない」  

野犬は愛護動物か害獣か 人へのかみつきも年数十件、牛も衰弱死被害 

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野生動物ジャーナリストとしてはコメントしないといけませんね(笑)。

この場合の「野犬」とは、ヤケンと読むのか、ノイヌと読むのか。前者は飼い犬が逃げ出すなどして飼い主がいないものを指すが、生活圏も含めて比較的人間社会に依存して、餌をもらったり残飯などを漁っているケースが多い。一般にはノライヌと呼ぶべきだろう。
後者は生まれも育ちも野生で、生活は人に依存しない。住まいも基本的に人のいない野山で、餌は自ら狩をして得る。

厄介なのは、日本の鳥獣保護法だ。ノイヌは狩猟鳥獣なのに対してノライヌは非狩猟鳥獣で捕獲することはできない。目的や手段は関係なく捕獲するには許可がいる。実際は狂犬病予防法などを根拠にノライヌを捕獲しているが。

なおノイヌは野山では鳥類もイタチなどの小動物を狩して餌にしていると思われるが、たまにはシカなど大型動物も集団で狩を行う。その点から、私はノイヌこそニホンオオカミの生態的地位(ニッチ)を確保したのではないかと思っている。いまだに獣害問題をタテに「オオカミを野に放て」とアホなことを言っている連中もいるが、その必要はないのである。

なおノイヌの元の品種によるが、シェパード系の狩猟犬の場合、その大きな体格からもニホンオオカミより強いだろう。狩猟能力も高い。

ちょっと驚いたのは、環境省のコメント。野犬は愛護動物(ペット)か害獣かの線引きは難しいとしつつ、「山野にいる犬でもその行動圏に人が居住などしている場合は、原則として愛護動物の犬として考えるべきだというのだ。

おいおい、慎重な官僚がそんなこと言ってもよいのかな。

そんなこと言っていたら、人里に居ついたサルやクマまで愛護しなければならないのかと言われかねない。イヌだけ特別扱いか。記事にあるような人里(牧場も含む)に出てくる野犬を駆除できない。これをノイヌ判定しなくてもよいのか。

奈良公園でも、ナラシカを襲う野犬が出るのだが、こちらはどう判定するか。ノライヌだとしたら、シカを守れない。徳川綱吉の「生類哀れみの令」の時代でさえ、シカを優先的に保護したのに。

2025/01/06

庭で自給するジュースと七草

1月6日と言えば、今西錦司の誕生日……とすぐ思いつくのだが、ほかにもいたはず。と思って調べると、古くはジャンヌ・ダルク (@_@)もいたが、現代に引き寄せると女優の八千草薫や菊地凜子などもいるようだ。生駒市出身の森見登美彦も。

それがどうした、と言われそうだが、なに、うちの娘の誕生日でもあるからなのさ。今年は何も誕生祝をしなかった……と思ったが、ありました。とっときのプレゼントが。

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自家製ミカンジュース。庭に成ったミカンを絞ったジュースをペットボトルに詰めて持たせたのであった。

昨年からオレンジが記録的不作でジュースも値が上がっているが、我が家は豊作。そしてフレッシュなストレートジュースは濃縮還元のジュースと比べ物にならない。プレゼントとしても、安上がり、もとい心のこもった(^^;)品となったのであった。

実は八千草ならぬ明日の七草も、自給できないかと思っている。七草がゆに入れる既存の七草全部を庭で調達するのは無理だが、ようするに食べられる早春の野草ならよいのだ。それに残り物野菜も活用すれば結構な種類の「草」が手に入る。

春の七草かゆは、もともと中国・唐の時代の7種類の野菜の汁物「七種菜羹」を食べて無病息災を願う風習と、日本の奈良時代からある新芽を摘んで食べる「若菜摘み」が融合したものとされる。それが新春1月7日の節句行事なのだが、これって、旧暦だろう。今なら2月。その頃の早春に生える草をいただくわけだが、新暦だと早まって、まだ草が生える時期ではない。だから売り物は温室で育てている。

実は、この七草も地方によってまちまちで、同じではない。東北などではまだ草が生えないからか、ゴボウ、ニンジンなど根菜や凍み豆腐も含むし、粟や小豆など豆類もあり。いわゆる「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ」にこだわらなくてよい。ようはなんでもよいのだ。

もしかして現代では温暖化が進んで1月でも草が生えやすくなった可能性もあるが、我が家でもすでに2、3種類は見つけている。

本日は雨なので明日は若菜摘みに勤しもう。

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ハコベ。はこべらである。完全な雑草(⌒ー⌒)。

2025/01/05

森の奥で根っこを張る

近所にある小さな公園は、もともとの山を切り取った一角にある。だからその背景には削った山の一部が残っている。

それが昔から気になっていたのだが……そこに分け入って奥を覗きたい。小さな山の一部であり、奥は急斜面となってその向こうには道があって、また家が建てられていて……とまあ、全体の構図はわかるのだが、その隙間のように残された山の森奥はどうなっているのか覗きたい。

私が若かったら、子供だ少年だと言われる年だったら平気で入るだろう。大得意だ。これが完全な山の中なら、今でも道のない茂みに分け入っている。なにも気を回すことはない。しかし住宅街の中の森では、なかなか気をつかう。この年でそんなことをすると、誰が見ていて何を言われるのかたまったもんじゃない。奥の家を覗き見?いや侵入を目論んでいると言われるかもしれない。なかなか世知辛いのだ。

だが、正月だ。周辺に人の気配はない。いや、一人老人がいたが、向こうの方へ行った。今だ!今なら長年の夢?を実行できるぞ。

そんな誘惑に負けて、公園から山の斜面を駆け上った。すぐに木の影に隠れる。もう見つからないぞ。ざまあみろ。多少の踏み跡はあったが、その奥までブッシュをかき分けて入る。

……なるほど、こうなっていたか。これが覗けるとは。うふふ。

森の奥に見えたものは、ここでは遠慮しておく(⌒ー⌒)。それとは別に、こんな岩と木を見つけた。

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岩の隙間に根を伸ばすケースは少なくないが、その根が幹より太くなっているのは見事。しかも地上に持ち上げている。(あるいは周辺の土砂が流れたか。)ど根性植物と言えるかもしれない。

深く太く根を伸ばす。正月によいものを見たではないか。

 

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おまけは、娘が帰る前に寄ったカフェのケーキと紅茶。

 

2025/01/04

厄除けは森の中で

元旦から熱を出した娘と、初詣に行った。

いつもなら宝山寺と生駒大社なのだが、今回は厄除けをかねて松尾寺に。ここは日本最古の厄除霊場とされる。昨年は何かとあったうえに年初めから高熱で寝込んだのだから、厄除けが必要でしょ、というわけである。

この寺の起源は奈良時代まで遡るが、「松尾寺は、養老2年(718)、天武天皇の皇子舎人親王が、勅命による日本書紀編纂の折、42歳の厄年であったため、日本書紀の無事完成と厄除けの願をかけて建立された日本最古の厄除霊場です」と記されている。そう、舎人親王は、日本書紀を編纂した人である。書も間編纂となれば、私にも縁起がある。

いつもは閑散としているのだが、さすがに年初は門前に行列ができている。やはり厄除けを願う人が多いのか。この点は「例祭日曜祝祭日には遠く全国各地より “まつのおさん詣り(やくよけ祈願)”に訪れる善男善女で境内も参道も大変賑わいます」。なるほど、ちゃんと賑わう日はあるのだった(^^;)。

ここで厄除けの鐘を撞く。私の厄は何だったのだろうか。

私がこの寺を気に入っているのは、森の中にあるため。正真正銘、周辺はみんな森だ。

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場所は生駒山地に並行する矢田丘陵の奥。そういや、先日紹介した、奈良で最凶のパワースポットも、矢田丘陵の森の中だった(^^;)。

もともと寺、そして神社も森の中に建てられることが多いはずだが、近年は周辺まで開発が進んで住宅地が迫っているケースが目立つ。しかし、ここは住宅街から山の中へと進んでいく山寺だ。お参りに行く気分が高まる。やっぱり森に何らかの霊感やパワーを感じる人が多いのだろう。

本堂のほかに、三重塔が風情ある。この塔が、またよい。国宝になった某寺の三重塔より素敵に感じる。

さあて、今年も始動しますか。

2024/12/27

理想の林業~台湾の公有林がFSC取得

台湾は、公有林すべてがFSC(森林管理協議会)の森林認証を取得した。認証取得面積は160万ヘクタール近く、台湾の森林面積の71.5%を占める。つまり、台湾の森林の7割以上が認証されたのだ。これって、驚異的。

台湾、アジア太平洋地域初!公有林が100%FSC認証取得

もともと台湾は森林率が63.13%(2022年)と高いのに林業はほとんど行われていない。木材需要の99%は外材に依存している。だが、台湾にも人工林は相当ある。人工林率は20%程度だが、面積にして42万ヘクタールだ。適切に管理して木材生産を行えば、かなり自給できる。
ただ台湾社会では伐採に関する懸念が強いため、
伐採を始めるには、まず社会の信頼と支持を得ることが必要だった。その手段の一つがFSC認証の取得なのだろう。森林認証、とくにFSCは、森林の環境基準を審査する比較的厳しい認証だ。

森林認証だけではない。小規模でも美しい森林開発「里山イニシアティブ」を掲げているし、木材だけでなくキノコや森のハチミツなどの非木材林産物も生み出す、森林セラピーも推進する……と盛りだくさんの政策を掲げている。そして社会と環境のモニタリングデータを6か月ごとに公開し、一般の人々の意見を聞いて森林管理計画を見直し改訂しているという。

林業自然保護署の林華清署長は、すべての公有林がFSC認証を取得することは台湾林業の新時代の幕開けであると強調し、世界の林業のトレンドと一致していると唱えた。(どーでもよいが、林華清とは、なんと役職にピッタリな名前だろう!)

気づけば、台湾では、野心的で挑戦的、そして理想の林業政策を掲げていたのだった。

さて、私自身の今年を振り返ると、今年は6月と9月の2度も台湾を訪問した。とくに9月は阿里山の森を歩いてきた。

タイワンヒノキの巨木林を見たかったのだが、現状36本しかない(巨木はほとんど伐ってしまったことは事前に知っていた)。そこで実際に見たのは何か。そこで驚いたこと、それは……。

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これは28番巨木とナンバリングされたタイワンベニヒノキ。直径3~4メートル級なのだが、見てほしいのはその周辺の木だ。細いというだけではない。樹種はわかるだろうか。

スギだ。そう、スギ林と化していた。阿里山と言えばタイワンヒノキ……ではなく、今やスギなのである。それは伐採跡にヒノキではなく日本のスギを植えた林政があったからである。

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遊歩道沿いも、巨木の切り株は多数あるが、その周辺に生えているのは、多くがスギ。台湾にとっては外来種。

直径30センチ以上あるから、九州なみの成長速度として、樹齢は50年くらいか。ちなみに巨木を伐り尽くしたのは帝国日本ではなく、戦後の蒋介石の国民党政府。スギを植林木として選んだのも国民党政府だろう。どういう判断だったのか。スギの方が成長が早いから?タイワンヒノキの植林方法が確立されていない?
今後の台湾の林政はどちらに向かうのかわからない。原植生を重んじたら、ヒノキ植林に変えるかもしれない。

台湾を日本が領有してから、多くの林学者や林政担当者が渡台したが、そこでめざしたのは「理想の林業」だった。国内では往々にして地元の慣習や伝統に縛られるが、新天地なら科学的に理想の林業を実現できる、と考えたのだろう。それが成功したかどうかは微妙だが、現在の台湾は自らの意志で理想の林業をめざしているのかもしれない。

日本の林業は、今一度、理想を掲げて希望の林業をめざす志を持ってほしい。それこそ国有林全部にFSC認証を取って見せたらどうか。目先の数字を追うのではなく、樹木の時間で数百年先を見通すべきだ。さもないと、いつまで経っても絶望の林業のままだろう。

そう言えば6月の訪問時には、国立政治大学の王雅萍副教にお会いした。彼女は少数民族研究の関係から、土倉龍次郎の林業開発を取り上げている。台湾で唯一の土倉龍次郎研究者でもあった。その際に私が森林ジャーナリストであり、日本の林業についての著作もあると紹介されたので、「台湾で林業の講演をしてくれ」と言われた。土倉龍次郎ではなく、林業の話を(^^;)。

有り難い話である。実現したら楽しいだろうな。日本の林業を反面教師にしてもらいつつ、台湾林業の未来も語りたい。そのためにも「龍次郎伝」を早く書き上げたい。ついでに?『山林王』も台湾で翻訳出版されることを期待したい。

これを2025年の目標としよう。

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王副教授(左)と間を取り持っていただいた曽根さん(右)

 

 

2024/12/26

家づくりの神様から将来を読む。そして浄瑠璃神社

大阪に行った際に、生國魂神社を訪れた。ちょっと高台にあり、難波大社とも呼ばれる。以前は官幣大社の格の持つ由緒ある神社である。
また多くの合祀した摂末社がある。天満宮、住吉大社もあるが、豊臣秀吉とも縁が深くて淀君を祀った鴫野神社は女性の守り神である。

そんな中に家造祖神社(やづくりみおやじんじゃ)もあった。家づくりの神様を祭っているのだ。これは日本唯一だとか。土木建設業者がお参りにくるそうだが、今の住宅建設不況は、この神様をないがしろにしたからではないのか(^^;)。

もっとも、いくら拝んでも変わらないだろう。日本の住宅着工件数は減るばかりだが、さらに木造はもっと減ると睨んでいる。軒数だけではなく、木材使用量も落ちていくはずだ。

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参考に、林野庁のモクレポを見てみると、2023年の新設住宅着工戸数は、82.0万戸(前年比95.4%)、このうち木造住宅は、45.4万戸(同95.1%)。これを新設着工床面積で見ると、もっと顕著。2023年の床面積は、64.2百万㎡(前年比93.0%)、このうち木造住宅は、41.4百万㎡(同91.7%)
なお2024年1~10月の新設住宅着工戸数は、66.4万戸(前年同期比96.4%)、このうち木造住宅は、37.6万戸(同99.0%)。だ 2024年1~10月の新設住宅着工床面積は、50.9百万㎡(前年同期比94.1%)、このうち木造住宅は、33.2百万㎡(同95.5%)。
かなり急速な落ち込みだ。

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ちなみに私は、隣の浄瑠璃神社に注目。近松門左衛門などを祀るそうだが、浄瑠璃と言えば文楽。来年に向けて私は文楽のパンフレットの原稿を書いているので、気にかかるのである。森林ジャーナリストに文楽記事の依頼が来るのはなぜか。実は奈良が舞台の演目がかかるのであった。上演は来年2~3月らしいが、東京なので見に行けるかどうかな。一緒に行きたい人、いる?

まあ、私は文楽を見たことは数回しかない(^^;)。果たして理解できるか不安だけど。

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日本人は何でも神様にしてしまう。それはそれで面白い文化だと思っているが、祀るのならちゃんと心構えを持たないと、おろそかにしてはいけない。

2024/12/25

不入の森、不入の神社、最凶スポット

生駒市内を散歩していると(いつも森の中ばかりを彷徨しているわけではなく、フツーに町の中も歩くのだ)、ときに不思議なところを見かける。

遠目に木々が繁った森があるので近づくのだが、どうしても森には入れない・接触できないことがあるのだ。ぐるぐると森の周りを歩くと、森の全周囲を住宅などに囲まれていて、浸入を拒否している。不入の森だ。

不入の森と言えば宗教や伝説などで入ると祟りがある……などの理由で成立するように思うが、もっと物理的に入れない森。

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同じく遠目に神社ぽい祠が見える、そこに登る石段まで見えるのに、その神社に行ってみようとすると、どうにも入り口が見つからない。たまたまいた人に聞くと、登り口はないという。多分、昔は地元の社だったのだろうが、周辺の土地が売られて住宅地になってしまったらしい。
財産家の中には、自身で宗教施設(祠、神社など)を建てる人がいる。ただ個人所有の土地に建てたものの亡くなり、後に財産を失う、あるいは相続した人も地元にはいなくなってしまったのだろう。

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生駒は宗教団体が日本一多い、日本一神様の多い山と言われているのだが、わりと新興宗教が乱立している(笑)。だが、一代限りで教祖様がいなくなれば組織は維持しづらく、消えていく。その際に教団が所有していた土地や施設は放置されやすい。たいていが宗教法人格は取得していないので、そのまま所有者不明土地扱いになるのだろう。

なかには、宗教施設自体は近づけるというか、入ろうと思えば入れるが、長年の歳月で風化崩壊して、何か怪しい土地となっているところもある。一部では最凶の心霊スポット扱いされているところもあった。

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ここは、かつて超強力な霊力を持つ女呪術師が開いた神社。一時は教徒数千人、政財界の人も入信していたと言われるが、後継者がいずに、死後は消えてしまった。

不入の森以上に迫力ある。

こんなスポットばかり回るツアーしませんか(^^;)\(-_-メ;)。

2024/12/24

幻の吉野漆と漆掻き道具

市立五條文化博物館で「吉野の漆掻き道具」展がやっていたのだが、それが最終日であることに気づき、急ぎ覗きに行く。車で1時間半の距離だから、結構遠い(-_-;)。

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ウルシノキの樹皮を剥いて、そこに傷をつけ、流れ出る樹液をこそげ取り、壺に入れて集荷する。それを精製して全国に出荷……という流れだったようだ。全国の産地とのやり取りを示す手紙や書類の類も展示されていた。

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なかなか渋い特別展だった。市内の某民家の蔵から漆掻き道具が見つかり、寄贈されたものが奈良県有形民俗文化財に指定されたことから企画されたそうだが、そもそも吉野漆が幻なのだった。かつて西吉野では漆の生産が行われていた。質のよさで一世を風靡したそうだが、現在は生産どころかウルシノキさえほぼないだろう。今は柿と梅の産地である。

なぜ消えたのか。まず中国産漆に席巻されたうえ、ほかの産地で吉野漆に中国産を混ぜて「吉野漆」の名で売り出すという商売が行われ、そのため質の悪さが指摘されて値を下げる……というようなことが起きたらしい。なんだか、今でもよくある産地擬装と同じことが明治時代に行われたのである。

そしてこの漆の産地の隣には吉野塗、下市塗と呼ばれる漆器もあったのだが、それも消えてしまった。

この道具類も、今ではつくる人がいるのかどうか。国産漆の産地は岩手の浄法寺と茨城の太子町ぐらいだが、道具はどうして調達しているのだろう。

産業とはちょっと気を緩めると悪辣な偽物が出回り、ブランドを失って消えていくものなのだ。ちなみに、この展示会のために参考にしたのが京都府福知山の漆だそうだが、こちらも消えつつあるところをNPOが引き継いだものなので、産業として残っているとは言えない。

私は、その福知山の漆掻きを取材したことがある。

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道具はよく似ているようだが……写っている人は最後の現役だったはずだが、もういない。

なお見学者の中には漆に詳しそうな人が何人かいた。学芸員も困っただろう。私も、つい口を挟んでしまったが(笑)。
展覧会は終わったが、写真は拡散してください、と言われたので、気になる方がいれば見せてもらえることもあるだろう。

2024/12/23

ため池やダム湖の生態系

またまた散歩。

このところ買い物ついでに店の周囲を歩くことが多いのだが、ついつい道のあるまま気の向くまま奥へ奥へと進んでしまう。どんどんスタート地点(そこに車を置いているので、必ずもどらなくてはならない)から離れてしまう。谷の奥に向かって、このまま行けばどこに出るだろう(^^;)かと思いつつ歩くのが楽しい。

そこで畑を手入れしていた人と出会い立ち話。「このまま進むと、隣町の遠くに出て(スタート地点に)もどるのが大変だよ」とアドバイス。散歩なんだからかまわないかと思いつつ、教えてくれた近道を進むことにした。

それは「私は行ったことないんだけどね」という注釈付きで、道から逸れてうえにあるため池に沿って進むと、また登り口があるという。「私は行ったことないんだけど」その上に別のため池があるから、そこを巻いて奥に進むと、自動車の通れる道に出るから、その方が近いはず、とのこと。ただし「私は行ったことないけどね」。

頑張っていくことにした。

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最初のため池をなんなくクリア。畦道のようだが、しっかりしているから迷わない。池の上というか奥には水田があった。これって江戸時代なら隠し田扱いになりそうな、見えないところ(^^;)。
が、ここからが大変だった。道が消えかけている。それでも踏み跡を確認しつつ進む。なに、いつも通る獣道より歩きやすいよ……。さすが「行ったことはない」道だ。

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竹藪の間を突っ切る。通る人は滅多にいないようだ。倒木が道を塞いでいたが、そこをくぐれば、また道らしき踏み跡があるさ。

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ついに上のため池に出た。こちらの方はかなりデカい。山の上の方に大きなため池をつくるのか。ダム湖、堰湖と遜色ないかもしれない。もし決壊したら、谷に大量の水が落ちていくから危険性もある。

ため池は、人工的につくるという点では、ダムと一緒だ。ただダムを自然破壊という人は多いが、ため池に文句を付ける人は少ないだろう。むしろため池という水辺には多くの動植物が棲む生態系が生まれるのだ。もちろん建設してからの年月もあるが、作り方と規模によってはダム湖が新たな生態系を育む可能性がある。逆に言えば、ため池を造成した直後は、それなりの自然破壊だったのだろう。

実は、こうした人工的な池・湖には、形態亜種が生まれたケースもあるのだ。たとえば淡水魚が、数十年、そこに閉じ込められることによって形態が変異してくるのである。さて、そうした動物は保護の対象となるか。保護するなら湖沼を守らねばならない。

単にダム建設に反対ばかりするのではなく、オルタナティブな取り組みも考えられそうだ。

さて、池からシバラク登ると、道に出た。地道だがかろうじて軽トラなどが走れそうな道。ここを下れば近道だというのだな。

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その途中に、庭の石造物の墓場があった(´Д`)。なんで、こんなに大量に積んであるのか。中には高さ5メートルくらいの巨大五重塔的石灯籠もあったし、ゾウさんのほかにも人物などさまざまな石造物がある。

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世代交代でもして、和風の庭を嫌ってリノベーションした際に捨てられたものかなぁ。今は和風庭園は減っているだろう。造園業者は引き取っても転売もできずに山に積み上げているのか。買えば数十万円はするものも、ここでは無用の長物であった。
もしかしたら、この手の行き場をなくした庭の石造物はかなりの量になっているのではないか。重量物だから撤去も簡単ではなく、費用もかかるだろう。そして転売できる可能性は低く、持て余す。墓石さえ捨てられる世の中だから、なんとか再利用する手段はないか。たとえば、山の中に上手く配置したら面白い遊園地にならないか。

ともあれ、地元の人も「行ったことのない」道を見事歩き通して、出発地点までもどれたのであった。

 

2024/12/22

野良じゃがで炭素蓄積

野良ジャガを収穫した。

野良ジャガとは何か。勝手に生えてきたジャガイモである。植えた覚えも、植える気もないジャガイモが我が家の庭によく生える。

おそらく以前、捨てたイモが種芋になっているのだろうが、これまでも幾度か収穫はしている。が、取り忘れたイモが地中に残っているのだろう、また生えてくるのである。ジャガイモの地上部はわりと特徴があるのでわかる。今回も放置し続けて、どこまでイモが育つのかと思っていたのだが、その成果はこんな具合。

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豆粒のような小さなものから、そこそこの大きさのものまでわりと多い。もちろん、ありがたくいただくことにする。

我が家からは、できるだけ有機物を持ち出さないようにしている。落葉も剪定枝や切り倒した幹まで庭で処理して、土に還るように仕掛けている。そこに野良ジャガが育てば、さらに空気中の炭素固定になるはずだ。さらにコンポストで生ゴミも貯めて堆肥化しているから、増えるばかり。我が家の炭素蓄積は年々増えているのである( ̄^ ̄)。

だから野良じゃがを収穫して食べるのは、ささやかな炭素放出だ。

いっそ来年はちゃんと由緒正しいジャガイモを育ててみようかとも思う。サツマイモより簡単だし。これが来年にかけてのささやかな願掛けである(笑)。

 

 

2024/12/21

木のストローと木の葉書

そろそろ年賀状を書こうか……枚数は大幅に減らして……と考えつつ、机の上を片づけた。パソコン以外のスペースに何かと書類などを積み重ねてしまうのが悪い癖。何が埋もれているやら。

すると、まず見つかったのが、先日いただいた図書カード。これは有り難い。Amazonでなく新刊書を購入するときに使おう。
そして次に姿を現わしたのが木のストローと木の葉書であった。

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そうそう、先日の講演の打ち合わせの際にいただいたのであった。この葉書に年賀状書いてもいいかな(1枚だけ)、と思いかけたが、実はサインペンやインクジェットプリンターによる印刷には対応していないのであった。すると図案を印刷することもできない。昔のように干支のハンコでも捺して、油性ボールペンで手書きするべきか。でも、蛇のハンコもない。

なかなか使い道に困る。それでも、昔の木の葉書は本当に薄い板であって、葉書であっても封書代の切手を張らねばならなかったが、これは薄いヒノキのツキ板製だ。おそらく2枚の間に和紙などを挟み込んで強度を保っているのだろう。(そのことを考えると、木より和紙の方が強いことになる。)

ストローも、あまり長く液体に浸けておくとへたるしなあ。

使い道は、意外と難しい。結局、記念品として飾っておくことになってしまうのだろうか。

2024/12/20

害獣より家畜

毎回、普段は行かないところを散歩することを心がけている。すると、何かと発見がある。

今回見つけたのは、こちら。

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ヤギ(^o^)。ヤギを飼っているところは、最近増えてきたように思う。しかし、里山の農地に草を食んでいる姿はなかなか愛くるしい。

野生動物はイノシシにタヌキ、キツネ、アライグマ、イタチ……と数多いが、飼育系も多いのだ。

生駒は、なかなか不思議な動物がいるところで、乗馬系のウマや養豚場のブタもいる。警察犬などの訓練施設もある。そこにヤギにヒツジのほかニホンザルやエミューまでいる。サルも首輪をしてつながれていたし、ペットホテルかのような施設もある。なお家畜という点では、ミツバチも家畜扱いだ。

森の中でエミューを見つけたときはビックリしたな。なんでオーストリアの走る鳥がいるのか。何か柵があると思って覗き込むとエミューが何羽かうろついているのだもの。誰が飼っているのか? 残念ながら周辺に人影はない。人影どころか人家さえないし、登山道ぽい道しかないから車も入れないところなのだ。餌などは通いで与えているか。

その写真は公開を控えたい(^^;)ので、先日の東京科学博物館の「鳥展」で見たエミューの剥製。

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思えば、野生動物の獣害が問題になっているが、家畜を飼えばいいのではないか。害獣の餌を先に食べてもらうほか、先に動物がいると野生動物は近づきにくくなる。本当はウシやウマなど大型動物がよいが、ヤギでも効果があると聞く。

イヌの放し飼いも獣害対策に効くというのだが、イヌの放し飼い自体が禁止されているから、ヤギやヒツジを放し飼いにする(笑)。ダチョウもいいかもしれない。

もともと人里とは、動物が多いところだった。いや動物の多いところに人は住みついて待ちをつくった。そして人が住む場所は、動物にとっても住みやすい。シカは森ばかりよりも、適度に切り開いた土地の方が好きだ。下手な野生地より人里の方が動物は住みやすいのである。1820年代のニューヨークには2万頭のブタと13万頭のウマがいたそうだ。
日本でも江戸の町は動物にあふれていたことを幕末に訪日した外国人の記録にある。

それを一時期は駆逐したが、最近またもどってきたのが、現在の獣害なのかもしれない。

2024/12/19

ちょっと田園地帯を歩けば

ようやく冬を迎えて、散歩に力を入れている(^^;)。運動不足を多少とも解消するためにせっせと歩くのだ。

そして歩くのは市街地だけど、ちょっと住宅街の合間にある田園地帯が多い。そこで見かけるのが……。

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さまざまな農業廃棄物である。これはダイコンとかハクサイなど葉物野菜のいらない葉部分を切り捨てたのだろう。そして右によく見ると、ジャガイモもゴロゴロとある。わりと大きいのだが、傷でも付いていたか。それを惜しげなく捨てる。

で、この地帯はイノシシ多発地帯なのだよ(笑)。イノシシを呼び寄せているのだろうか。足跡は、田畑近くの森の中にいくらでもある。

ほかにも、せっかくのシカ柵の扉部分に鍵がかかっていなかった場所もあった。シカだって扉を押すぐらいはできるのだよ。簡単に開けるだろう。また柵が破れていても修繕していない箇所もよく見かける。

今の獣害問題の一端はこうした点にもあるのではないか。奈良のシカの被害が多い地域を調査したら、全然柵のメンテナンスをしていなかったことがわかったこともある。それで「シカによる被害ガ~」と言われても困る。

 

2024/12/18

林野庁の考える「再造林」

林野庁の情報誌「林野」令和6年12月号

ここに「今後の再造林に向けて」という特集記事がある。

いやあ、これが興味深い……こういうのをマッチポンプとか、アクセルとブレーキを同時に踏むというのだろうか。

まず最初に、日本の森林資源がいかに充実してきたかを示す。世界的にも上位で、人工林面積や森林蓄積をグラフで現して、「現在は多くの森林で収穫作業としての伐採の時期を迎えています」。単に伐採と書かず、「収穫作業としての」をつけるなんて秀逸だ(笑)。

何がなんでも伐採を増やす、木材を増産するという立場は崩さない。そのうえで、木材価格が落ちたことや林業従事者が減ったことで再造林が進まないという。そして省力化、低コスト造林を進めています……との宣言。そして「省力、低コスト造林に取り組む事業者への支援を拡大しております」と結ぶ。

ドンドン伐採しろ、そして跡地にはちゃんと植えてね、という論法か。まず再造林は伐採とセットになっていることを示すべきじゃないの。再造林しないと伐採届は受け取ってはダメなんであって、伐採後放置しているのは違法行為なんだと伝えるべきだろう。再造林しないのなら伐採してはダメ、とはっきり言うべきだ。

まあ、私は、再造林以前に皆伐を減らすべきだと思うが……。再造林できるレベルに皆伐面積を減らせばよい。

最後に「各地で行われている試み」を囲みで少しだけ紹介している。

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盗伐天国の宮崎県が再造林条例で持て囃されるかあ。

ちなみに地方では、コンテナ苗使っても全然省力化にならないとか、植栽本数を減らすことに対する疑問の声が出ているんだが。もう林野庁の製作に対しての信頼感がなくなっている。銀行員が盗みをしたり、警察官が殺人を犯したら「信頼がなくなる」というが、林野庁は何をしたのやら。

 

2024/12/17

ウッドデザイン賞、ネタ切れ?

今年のウッドデザイン賞が発表になった。

その中で私が目を止めたのは、「大阪・関西万博特別賞 (国際博覧会担当大臣賞)」。

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なかでも気になるのは、monaccaのブランドを持つ、木のアタッシュケース?(株式会社エコアス馬路村)である。

これ、前世紀の商品ではないか。私が馬路村によく行って目にしていたのはそれぐらいだ。

最初は木の皿とかトレイをつくっていた。元は大分県の中津江村~現在の日田市か~で生産を始めていて、その現場に私も訪ねたことがあるのだが、こりゃ売れんわ……と内心思ったことを思い出す。そして、実際に生産がストップしていた。つくってもつくっても売れずに在庫が溜まっていたからである。そして破綻した。

馬路村では、その技術を応用してカバンとしてブランドも立ち上げたのだが……それが20数年前。それが、なんで今頃受賞するんだ? だいたい万博って、未来の技術を紹介するものなのに、前世紀の技術に賞を与えるなんて。審査する方は応募があったからとなるのだろうが……。

ネタ不足か(^^;)。そもそも万博特別賞そのものがうさん臭いが。

ちなみにmonaccaのページはこちら

ウッドデザイン賞の趣旨については、こうある。

私たちは、木を使うことによって、社会課題の解決を目指す活動を、「ウッドデザイン」と定義しています。SDGsやカーボンニュートラルへの取組が必須となっている今、森林や木材の利活用がクローズアップされています。木を活かして、新たな時代の価値をデザインする。「ウッドデザイン賞」は、木の良さや価値を、デザインの力で再構築することを目的として、優れた建築・空間や製品、活動や仕組み、研究等を募集・評価し、表彰する顕彰制度です。

応募対象分野

ウッドデザイン賞は、建築・空間・建材・部材、木製品といった「製品」だけではなく、コミュニケーション、技術・研究といった「取組」も含め、木に関するあらゆるモノ・コトを応募対象としています。各分野に中分類とサブカテゴリを設定しています。応募の際は分野、サブカテゴリを選んでいただきます。

今年で10年目というが、そろそろネタ切れかね。木造建築も、目を見張るものがなくて、昨年のものとはどう違うのだろう、昨年は受賞せず今年受賞のわけは……とか考えてしまう。応募はここ数年内に完成させたものといった条件はつかないのか。

いっそ「法隆寺の心柱」なども応募したらどうだろう。1300年続く伝統建築技術をウッドデザインとすると面白いよ。

 

 

 

 

 

2024/12/16

Wedge ONLINE「奈良のシカ」記事写真の裏事情

Wedge ONLINEに
〈奈良に学ぶ野生動物管理〉奈良公園で人とシカが共生できるこれだけの理由、鹿せんべいあげてほのぼのシーンに隠された知られざる努力

を執筆しました。最近は、Yahoo!ニュースの本数を減らして、こちらにも注力(^o^)。

有害鳥獣駆除となると、すぐに「かわいそう」「人と野生動物との共生を」の声が上がるわけだが、果たして実態は?というわけ。ただ、それを実践しているのは、日本広しといえども奈良公園だけではないか、というのが私の見立てである。

幸い掲載する写真は山ほどあるのだが、意外な盲点があった。

まず鹿せんべい売り場の写真を使おうとすると、なんと看板に「150円」とはあるではないか。現在は200円なのだ。ちょうどよいアングルと思える写真に限って数年前に撮ったものだった。その間に値上げしとる。が、現在使うと誤解を生むので使えない(TОT)。

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さらに観光客がシカと自撮りしようとしている写真。こちらは服装が夏ではちょっとまずいかな、と躊躇する。ただ季節までこだわると、横断歩道待ちのシカなども引っかかってくる。また緑が減って写真の彩りが減る。……というわけで、冬以外の薄着の写真も使うことにした。

やはり、定期的写真を更新しないといけないね。今度、冬景色の奈良公園を撮りにいこう。

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