無料ブログはココログ

森と林業と動物の本

2026/02/15

マツタケと名にはつくけれど

ブンゴツボマツタケという珍しいキノコ発見のニュース。

1000027940

国内4例目だという。

やはり目を引くのはマツタケと名にあること。匂いもマツタケそっくりとある。

マツタケに似た名前と言えばバカマツタケ、ニセマツタケ、マツタケモドキ…といくつも別種があるのだが。匂いまで同じというのはバカマツタケだけだ。

ならば食用に期待できるのか?

だが、決定的な差がある。ほかのマツタケ近縁種は、コナラなどの樹木に寄生するが、ブンゴツボマツタケは、テングダケ類に寄生するのだ。

記事にはシラカシの根本に生えていたとあるが、正確にはそこに生えていたテングダケ類に生えていたのだろう。

そしてテングダケは、猛毒キノコ……。

ブンゴツボマツタケが食べられるかどうかは記事に触れていないが、そもそも希少キノコだけに調査もされていないはずだ。

もしテングダケの菌糸を取り込んでいたら、毒があるかもしれない。

さて、見つけても食べる勇気があるかなあ。


2026/02/14

日本人の環境意識は…(泣)

昨日、奈良で開かれたシンポジウム「ネイチャーボジティブ奈良の輪(和)」を紹介したが、もう一つ。

20260211_130546_20260212164301

実に様々な人々が演壇に立って話すのだが、まあ聞いていると「頑張ってるよね」「奈良にはこんな魅力があるんだね」とほんわかしていられるのだが、後に冷や水をかけられたような話が。

奈良教育大学の准教授による総括だったのだが、映し出されたこの画面。

20260211_154421

ようするに日本人は15年間の間に、気候変動による影響を懸念している人が8%も減り、環境系のボランティアをする人も5%減り、気候変動対策は自身の生活を脅かすと6割が否定的……という調査が出ているのだ。これらは、みな世界各国とは逆の動きだ。

たしかにバックラッシュが起きて、再エネやプラゴミ、森林保全などの環境対策に反発している人が出ているのは感じているが、それは世界中どこでも同じ。トランプによるアメリカなどもひどいものだ。が、実はアンケートなどでは、それぞれの市民は自覚していることを示している。

しかし、日本人が、ここまで露骨というか、レベルが低くなっているとは思わなかった。

個人的には、カーボンニュートラルよりネイチャーポジティブの方が重要だと感じている。つまり気候変動以上に生物多様性の方が危機的で人類の存亡に関わっていると思う。が、日本人はノホホンと気にしていないんだなあ、と気づく。何か背筋がヒヤッとした。

ネイチャーポジティブとは「生物多様性を高める」と言ってもピンと来ないらしいが、簡単に「自然を豊かに」「自然を増やそう」という運動だと理解しておけばよいかと思う。そして、それがなぜ必要なのかという問いには、「自然の中にいると心地よいから」と思えばよい。

だが、日本人は自然の中に入っても心地よく感じないのか、感じることを知らない生活を送っているのか。

日に日に世界は悪くなる……。

 

2026/02/13

「三年晩茶」と「風の森」

先日、「奈良から世界へ ネイチャーポジティブの輪(和)」というシンポジウムに顔を出してきた。

内容を一言では説明しづらいが、ようするに国際的に注目されている概念ネイチャーポジティブを推進しようと、奈良の事例をいろいろ紹介していたのである。私も、へえ、奈良にこんなグループがあって、こんな活動しているんだ、と思うところは多々あった。

2_20260212161501

その中でも紹介したいのは、健一自然農園というところが出した「三年晩茶」だ。これは伊川健一さんが高校生の時から手がけてきた放置茶園を開墾する事業なのだが、放置してもはや大木に育ったようなチャノキから茶をつくっている。それも茶葉だけでなく枝も幹、樹皮も混ぜた茶である。放置されていたからこそ、無農薬で育った木なのだ。

3_20260212161501
手にしているのが3年茶の枝

とまあ、これだけなら「頑張ってるね」というだけで終わるのだが……実は、この晩茶による抹茶ラテも販売しているのである。つまり放置茶畑からつくった抹茶(定義上は粉末茶になる)と牛乳の飲料だ。

日陰栽培など細かな規定のある、もっとも繊細な抹茶をあえて放置されたチャノキでつくる。今世界的に流行りの抹茶ラテの世界なら可能なのかもしれない。

同時に思い出したのが、奈良県の御所市、油長酒造でつくる「風の森」だ。この日本酒は、すごい人気でなかなか手に入らないことで知られている。多分、関東では手に入りにくいだろう。うちの娘が探していた(^o^)。

この酒で驚かされるのは、原料に使っている米が秋津穂という食米であること。しかも磨くのは65%程度なこと。これ、日本酒に詳しい人なら驚きだろう。銘酒と言われているのは、みな酒米と呼ばれる品種(山田錦とか五百万石、赤磐雄町……)にこだわり、ギリギリまで削る。35%まで磨いた大吟醸だぞ!と自慢するものだ。「獺祭」とか。

が、そうした風潮に棹さして、吟醸ではなく廃れた食べるための米を使い、あまり磨かず、しかも硬水を使う。社長に言わせると、「何を原材料にしても、それを個性に美味しい酒はできる」のだ。

そんな酒が、通に大人気なのだ。さらに、米が取れる棚田ごとに味が違うと、ボトルも分けている。

2_20260212163101

これって、ワインの世界でいうテロワールだ。農園ごとにワインは違うのである。

三年晩茶にしろ、風の森にしろ、世間の常識を覆したかのような商品である。そして放置茶畑、あるいは棚田を守る活動へと進む。
これぞ、ネイチャーポジティブを土地の活動へ引き寄せることなのかもしれない。

1_20260212172601
風の森をつくる葛城醸造所。棚田の中に建つ。

同じことを林業でできないのは、なぜだろうね。単に原木の産地銘柄ではダメなんで、エンド商品まで落とし込む覚悟があるかないか、だろうか。

 

2026/02/12

皆伐再造林は「ちょい悪」

今どきの林業界で話題となるのは、再造林である。

林野庁が再造林率を3~4割と発表したのが大きかったのか(この数値にはいくらか疑問もあるのだが、今は置いておく)、どこも再造林を進めようという合唱が始まった。再造林を進めることこそ、林業界の善となった。率を上げることが喫緊の目標であり、100%達成すれば自慢だ。

が、こんなものクソだ、と思う。100%再造林するのが最低限なのだから。仮に天然更新だ、と言うのなら雑木林でもいいから成林していることを示さねばならない。まさにデューデリジェンスが欠けている。

皆伐して放置するのが「悪」なら、再造林は「ちょい悪」ぐらいか。少なくても「普通」ではなく、「ちょい良し」でも「良し」でもない。ましてや「秀」も「優」でもない。でも100%再生していないのなら「ちょい悪」の中でも「悪」よりである。

いわば林業界の成績表を5段階で示すのなら下から2つ目。1では落第だけど、2でも相当レベル低いでしょ。なんか底辺高校の生徒が、オレは九九を言えるようになったんだせと自慢しているような感じだ。恥じらいがない。

たとえば通常スギ林に生物多様性があるとは言わないが、林齢80年、100年、できれば200年ぐらいになれば生物多様性を含む公益的機能は高くなる。そうすれば「普通」ぐらいになるのではないか。

保持林業や択伐・傘伐林業で「ちょい良し」かな。森を傷めず抜き伐りして木材を収穫するような林業で「良し」。「秀」や「優」の林業とは何かは考えていただきたい。林業することで、生物多様性が増していく状態の施業を。

Photo_20260212165701

そもそも皆伐とは森林破壊である。ましてや森林の公益的機能を主張するなら、量的な再生だけでなく、質的、たとえば生物多様性や保水力、土砂流出防止機能……その他も回復させねばならない。が、40年~60年で伐るということは、それらの機能を落とすということだ。

林野庁長官が1月に講演したデータの中に、再造林について触れている部分がある。

サステナブルな「森の国・木の街」の実現を目指して

Photo_20260212171001 

Photo_20260212171101
面白いから、目を通してみて。

 

2026/02/11

消費税減税のため削るところ

高市政権は、圧倒的多数を握ったことで政策を猛スピードで進めるつもりのようだ。

そして「消費税の食料品を2年間ゼロ」という公約も国民会議とやらをつくって実行するという。年間5兆円、2年間で10兆円をいかに捻出するかが鍵だ。国債は発行しないというのも公約だから、とりあえず最初はその路線で検討するだろう。

識者は補助金や租税特別措置の見直し、税外収入などにより、2年分の財源を確保」程度で5兆円を確保するのは無理と否定的だが、やらなければ公約違反になって失速する。

だいたい、消費減税以外にもガソリン減税、109万円の壁撤廃、さらに防衛費の増額なども唱えている。こちらの財源は金融所得課税の強化」や「法人税特例(研究開発税制・賃上げ税制など租税特別措置)の見直し」「歳出削減」などを挙げている。

いずれも難問ぞろいで、批判の声も上がるだろう。だが、無視してやるのが高市政権の真骨頂(^o^)。

この際、林業関連の補助金をバッサリ切り捨てることを提案したい。林業がいつまでも脆弱なのは、補助金で守られているからなので、今こそ林業補助金をゼロにするチャンスだ(⌒ー⌒)。

林業補助金は、あまりに無駄が多い。過去には皆伐に補助金をつけたり、CLTの使用を実質タダにする補助金なんてのあったほどだ。(今でもCLTは支援制度がてんこ盛り。)

本末転倒の林業政策、山を丸裸にする補助金の危うさ(Wedge2018年)

Img_20260211104446

まあ、それでも捻出できるのは数千億円程度だろうが、5兆円をひねり出す足しにはなる。

それでは、林業が壊滅する? 今の林業にそれが困るといえるだけの価値があるかね。だいたい伐採とは、木材を生産するという経済行為だ。個人資産を得るために税金を投入するなんて倫理違反である。少なくても木材を伐採搬出することに補助金はいらない。

例えば車を一台売るごとにメーカーが補助金もらっているなんてあり得んだろう。

造林や下刈りなどには、環境名目で補助すればよろしい。木を植え、森をつくることと、経済行為の伐採を一緒にしてはいけない。

どうだね。高市政権に進言しようかな。

2026/02/10

週刊エコノミストに盗伐記事を書いた裏事情

週刊エコノミストに「相次ぐ森林の無断伐採問われる流通の責任」を執筆しました。

一部は、「エコノミストオンライン」にアップされています。私が経済誌に記事を書くなんて……と思いつつ、EUDRも含めた流通問題まで経済関連ぽく仕上げました(^o^)。もちろん主題は、盗伐。この林業問題、なぜか世間の感心は低いが、非常に深刻な環境問題であるし、同時に国際問題であることを認識してほしい。
少なくても私は、盗伐の実態を知り、それに対する林業関係者の鈍い反応に絶望した。林業界の宿痾、いや林業って根本的に自然破壊産業でないの、という思いを強めた。その破壊度を抑えてプラスにするための手立てをとるのが、林業のあるべき道なのに。

オンライン記事の方がカラー写真を使っているので、見応えあります。雑誌版は、2色刷。

Photo_20260210143901

ただし、3ページの記事で、本筋を書いているのみ後半なので、ぜひ雑誌の「週刊エコノミスト」2月17日号を手にしてほしい。

61fxzoiwzxl_sl1100_

ちなみに、ほかの記事で、統一協会問題で今を走る鈴木エイト氏の不動産投資の記事が読ませる。そうか、しっかり投資で収益を上げているから、骨太な言論活動ができるのか……と我が身を振り返る。

 

2026/02/09

演説の巧拙から見た総選挙

選挙前日は、夕方から生駒駅に張りついて、各党候補者の演説を聞いていた。

登場するのは中道国民民主党、自民、そして参政党。共産党は来なかった。ネットで見ても、遊説予定を発表していない。2_20260209133101 3_20260209133101 1_20260209133101 3_20260209133102

聞くときの心構えは、まず政策は関係ない(^_^) 。公約なんて、議員(候補者)だけでなく、属する党もいい加減だし、実行性も当てにならない。候補者の属性、年齢、性別、経歴もなるべく気にしない。あくまで演説の巧拙。

話し方はどうか。声の抑揚、大きさ。構成、つまりストーリーの立て方。ようするに心に残る話ができるかどうか。演説能力を判定するつもりで。

それでいて、聞きながら拍手したり、手を振ったり。近くに来たら握手もする。「頑張ってください!」などと声掛けする。いかにも支持者ぽく振る舞うのが礼儀ちゅうもんや。一方で握手の時の態度も見極める。

お、さすがベテランで上手いな、いいエピソード語るなと思ったり。首相の名を連呼するだけかよ、と思ったり。なんと5分で終わらせたのはやる気なしと見切ったり。最初は朴訥というか下手なしゃべりだったのだが、徐々に熱を帯びてきて、なんかジーンとさせる候補者もいた。

やっぱり演説は、技術じゃない、熱意だよ。とまあ、最初とは違う結論に達したのであった\(^o^)/。

実際に街頭で聞くのは限界があるので、後はネットで各党の演説シーンなどを視聴する。他党の批判ばかり、政策、公約だけをがなるのは、無視(笑)。つまんねえ。やっぱりユーモアが必要でしょ。これは投票を終えた後も続ける。

やはり上手いと思うのは参政党の神谷代表。話のもって行き方、「参政党なんてなくてもいいんだ!」とぶっちゃけつつも「本当にいいんですか!」と煽る。声のトーンを自在に変え、笑いを取りつつほとばしる熱量……やるな。う~ん、政策はついていけないのだけど、一目置く。

が、、もっともよかったのは、チームみらいのリナクロこと黒岩里奈だ。彼女は候補者でさえなく、一応事務本部長なんだが、応援演説や会見にはよく出る。話し方が上手いのではないが、引きつけられる。内部事情をもらしたり、自身の昔語りや経験談を交えたり。突拍子もない冗談も出る、でも要点は外さない。話が飛んだかのようにみせて、元に戻し要点を整理する。また質問に対して瞬発力がある。これは技術ではなく生来のものだろう。

彼女は文藝春秋社の編集者だけあって、やはり編集的才能かなと感じた。イベント司会もしているようだが。著者を熱烈に推しつつ客観的な目もあり、方向性を整理して本づくりの関係者を整理して動かす……それをチームみらいの運営に活かしているのか。あ、夫で党首の安野たかひろの話し方も好感持てる。旧来の政治家にはいないタイプ。

昨夜の開票速報も、早々に自民圧勝が出たから見る気がなくなったのだけど、ネットでチームみらいの記者会見などを見ていると結構楽しかった。心が落ち着く。

というわけで、私も、りなくろに演説術を学びつつ、次の講演に備えよう(^o^)。 依頼ないけど。 ワハハ

2026/02/08

タイワンヒノキの鳥居

タイワンヒノキの鳥居と言えば、すぐに思いつくのは明治神宮の大鳥居(第二鳥居)だろう。

だが、全国にタイワンヒノキを使った鳥居はあるようだ。そもそも明治神宮と対になっていた橿原神宮にもあった。1940年に建造された。
残念ながら腐朽が進んだとかで2020年に撤去されたようだが……。現在はカナダヒノキ、イエローシダーに変わってしまった。

3_20260208171201
ありし日のタイワンヒノキ製鳥居。(2015年撮影)

そして、また発見した。福岡護国神社の鳥居もタイワンヒノキ製だった。それも原木のまま使っているとかで、表面が生々しい。

7_20260208171401 8_20260208171601
このデコボコ感がよろしいですなあ。1943年建造とか。

さらに福岡大仏(東長寺)もタイワンヒノキ製であった。

20260116-1428281

こちらは1987年に建造だから、ぎりぎりタイワンヒノキを購入できたのか。

こうしてタイワンヒノキの旅は続く(^-^)/ 。

 

2026/02/07

木造高層ビルへの招待?いや正体!

昨夜、ふと最近の木造ビルがどうなっているのか思いついて検索してみた。

すると……今年9月に完成予定の三井不動産グループの木造ビルが東京日本橋に。

Mitsu01_o

18階建て、84mの高さで日本一になるそうだ。

ところが28年、つまり再来年には東京海上ホールディングスが丸の内に20階建て、約100mのビルを建設中だった。

T2

いやいや、それどころえ大林組が、オーストラリアのシドニーに地上39階建ての高さ182メートルの木造ビル「アトラシアン・セントラル」を建設中。こちらは今年9月に完成予定で、世界一の木造ビルになる予定。

1_20260207140401

なんと、目白押しではないか。……でも……よく読むと、いずれも木造ハイブリッドとある。鉄骨や鉄筋コンクリートを混ぜているわけだ。アトラシアン・セントラルなど、7階まで鉄筋コンクリートづくりで、それ以上も鉄骨とのハイブリッド。
実は日本の各ビルも似たようなもの。別にハイブリッドが悪いわけではなく、むしろ現実的でよろしいと思っているのだが、木造の割合はどれぐらいなのか。重さでは鉄骨に負けるが、カサは単純に半分あるとしても、日本一とか世界一としてはしょぼくなる。

それぐらいなら、完全に構造材をコンクリートにして、内装、外装に木材を使って木質化すれば、同じぐらいの木材を消費するのではないか。

どうせ構造材の木材は、人の目に止まらない。よく「木造ビルは、人に安らぎを与える」なんてノウノウと書いている記事があるが、目にする木材は構造材じゃないから(笑)。CLTなどの木質の構造材の面は、正直きたない。その上に改めて木質の内装材を張るか、木目のあるクロスを張っているんだよ。香りがいい、という記事もあったが、それ、消臭剤でも撒いているんだろう。完成直後ならともかく、すぐ木の香りなんて消えてしまう。

……とまあ、そんを木造ビルの悪口を書こうと思いついた(⌒ー⌒)。これから調べていきます。

 

 

 

2026/02/06

スルメイカで起きたことは森林循環経済に通じる(笑)

水産業界で、こんな取り決めが行われた。

水産庁は、2026年度のスルメイカ漁獲枠を、前年度の3.6倍となる6万8400トンにすることで合意したというのだ。

スルメイカ漁獲枠、「ばくち」の大幅増 資源回復に懸念

もともとの昨年枠は、1万9200トンとしていたところ、非常に豊漁で9月時点でこの上限に達したこと。そこで34%増の2万5800トンに仕切り直したのである。だから今年はさらに増やした……。

信じがたい暴挙だろう。水産庁は①3万1200トン②3万9千トン③6万8400トン―の案を提示したところ、漁業者と③で合意したという。漁獲実績を上回り、規制が事実上ない状態になる。

これを「漁業者の心配に寄り添い最大限出せる枠」と説明している。だが、そもそも昨年の漁獲量だって、10年前より8割少ない。資源が回復したわけではないのだ。水産庁は、一応取りすぎを心配しつつ、漁業者の要望を飲んで、規制を事実上撤廃した。

Photo_20260206204801日経新聞より

この記事を読んで、「林業と同じ、いや正反対か」と戸惑った。

林業界も林野庁が、ひたすら木材増産を訴えている。が、これは漁業者ならぬ林業者が求めたわけではない。それどころか腰が引けているのに、尻を叩いて(補助金ばらまき、森林計画で焚きつけて)増産させている状況だろう。

水産業界と似て非なる姿。が、結果はどちらも同じだろう。それは「林業者に寄り添って増やした」のではなく、林野庁の官僚が出世したいというワガママに林業者を寄り添わせる。

目先の豊漁と森林資源の充実を理由に、生産量を増大すれば、資源は回復しない。とくに林業の場合は、時間スケールが水産業と比べ物にならないほど長いのに。

一度生産量を上げれば、伐採業者も製材業者も、生産設備を増強するから、いざ規制しようと思っても止まらない。機械があるから伐る。製材する。それは市場でだぶついて価格を下げる……という循環に陥るだろう。安くなったから、より多く伐って量で利益を稼ごうとする。伐れば伐るほど補助金も出るし、また設備を増強する。その分伐る。伐る山がなくなる。盗伐する……。

これぞ森林循環経済だ(笑)。もっとも循環ではなく螺旋に降下して地獄に落ちるけどな。

 

2026/02/05

総選挙各党の森林政策

あまり書きたくないが(^^;)、もうすぐ総選挙投票日である。

それで各党の森林政策を調べたサイトがある。

総選挙2026各党の政策の中の森林林業政策(2026/1/27)

900183232_1200

ま、皆さん好きに見てくれ(投げやり)

私の感想を記しておこう。

自民党は、木材増産、木造建築推進以上のことは読み取れなかった。与党なのに手抜き。

中道改革連合も、中身なし。維新の会は、そもそも林業を意識していない。メガソーラーやら広葉樹植林、花粉症対策……と素人意見が並んでいる。国民民主党も、同じく。ただ自民党に近い。れいわ新撰組も、森林政策まで考える余裕はなさそう。

詳しいのが、共産党である。

政府は、21年6月「森林・林業基本計画」を改訂し、「成長産業化」からカーボンニュートラルに寄与する「グリーン成長」に変更しましたが、実態を無視した経営規模拡大の推進など「成長産業化」路線を推進するものとなっています。森林所有者や林業関係者からは、大量伐採による木材生産は供給過剰を作り出し、ただでさえ安い木材価格をさらに引き下げ、自然破壊をおしすすめるものだと批判が高まっています。

いま必要なのは、安価な木材を大量供給する「成長産業化」路線を転換し、持続可能な森林づくりをすすめることです。国産材の利用と森林の公益的機能の持続的な発揮は、森林・林業者だけでなく、国民共通の願いであり、国際的な合意でもあります。

植林後50年程度で伐採する短伐期一辺倒を見直し、地域の森林資源の実態に対応し、長伐期や複層林など多様な施業方式を導入し、持続可能な林業にとりくみます。

なかなかのものである。林業問題の根幹に触れている。だが日欧EPA、TPP11から離脱要求などは、非現実的で世界情勢を見ていない。

次に目を止めたのが、参政党

これは、短いながらしっかりしている。

・現在の補助金に頼る、大量生産の自然破壊型林業を見直す。今こそ原点に立ち返り、「資源を使い続けること(持続性)を意識した環境創造型林業」を実現する。
・・成長産業化を目指す政府の指針を転換し、林業の持続性を意識した長期的なビジョンを示していく。 欧米のフォレスターのように、林業従事者が憧れの職種となるよう、魅力の発信に努める。
・また、林業従事者の公務員化を進め、山村地域の雇用創出、地域活性化につなげる。
・林業を持続可能なものにするために、川上から川下までの情報の透明化により流通の無駄を省く。
・木材を適正価格で流通させ、資源を効率的に使用し利益を向上させる。山林所有者にも利益を適正配分させ、山林の所有権放棄を減少させる。

フォレスターにも触れている。そういや神谷代表は、演説で「防衛費の半分を農林水産業に回せ」なんて言ってたな。それで林業家を公務員と同等にできるという。意外でしょ(笑)。マジに実行できるとは思わないが、わりと力を入れている。

というわけで森林政策だけで投票を判断するなら、共産党と参政党である\(^o^)/。

 

ちなみに私は、公約で投票先を決めない(⌒ー⌒)。信用できるか!

 

 

 

 

 

 

2026/02/04

吉野杉⇒東濃檜⇒?

某者から聞いた話だが、「もう東濃檜は全然売れなくなったよ」。

うっ、と唸る。東濃檜とは、東美濃、裏木曽などと呼ばれる岐阜県の林業地で生まれたヒノキ柱の銘柄材である。一時は吉野杉・吉野檜より値が高くついた。実は格別歴史的に有名ではない林業地なのだが、それが昭和のある時期に、急速に姿を現し木材市場を席巻したのである。

それについては、『東濃檜物語 銘柄材はいかにつくられたか 村尾行一編著』に詳しい。

Img_20260204155834  

ようするに、産地とか木材そのものの美しさで生み出された銘柄ではないのだ。しっかり製材をした結果としての銘柄なのである。だから林地、林業家ではなく、製材所が主役だ。

それまで優秀な銘柄材とは、吉野杉や天竜杉、木曽檜……といった産地銘柄であった。どこそこの林業地は、歴史もあって技術がしっかり根付いており、よい種苗、よい育林技術によって非常に素地のよい木材をつくっている……ことを銘柄材とした。よく言われるきめの細かい木目に色とか無節、同心円の年輪、干満差の小ささ……という木だ。

産地銘柄、木質銘柄だろう。

だが東美濃檜は、製材銘柄をつくった。しっかり乾燥させて、正確な寸法にこだわり、表面をモルダーで磨き上げてきれいにする。また出荷の迅速さなども重要だった。言葉は悪いが、材質がそこそこであっても製材をしっかりすると銘柄になる。

私は、この変遷にわりとショックを受けたのである。同時に産地にこだわると、ロットを増やせず安定供給できない。材質も数十年かけて成立するものだから、供給に難がある。しかし、製材ならばすぐできる。乾燥期間を含めても数週間で並材が銘柄材になる。

これは木材革命だ、とさえ思った。

ところが、その嚆矢となった東濃檜が落ち目……。

まあ、理由はわかる。だって現在の建築は、木材の質どころか見映えも求めていないから。だって大壁工法だもの。柱の上にクロスを張ってしまうから木材は見えない。いや、そもそも柱を使わない壁工法の建築も増えてきた。

吉野杉から東濃檜と移る銘柄の変遷は、山(川上)から製材所(川中)だった。次は、どこへ行くか。川下だろう。つまりエンドユーザーに合致させた商品。より消費者へと舞台は移っているのである。

昨日に書いた「デザインや機能重視」である。建築にしろ家具、内装にしろ、いかなるデザインで、どんな機能を発揮できるか。もっとも機能は木材であるかぎり、ほぼ皆同じ。むしろプレゼンで決まる。売れ行きも価格も決まる。いわばデザイン銘柄

Fil4

残念ながら、そこまで進歩した林業地を私はまだ把握していない。個人レベルで、優秀な建築設計士と組んで斬新なデザインの家づくりを始めた林業家や、家具の製造に進出した林業家や製材所は知っているが、点が線、面になっていない。流通は、常に末端を意識して動く。

思えば世界中のマーケットは、より消費者へと移っている。エンドユーザーが求めるものが売れる。

林業界のデザイン銘柄材づくり。できるかな。と、私が言い出して、早20年(笑)。

 

2026/02/03

先を見る目~吉野林業に寄せて

本日の朝日新聞にあった「多様性は未来の可能性 山守に聞いた森の時間と早回ししない仕事」。

これは有料で冒頭しか読めないが、紙面ではタイトルを変えている。「山守の仕事 忘れられる前に」。

Photo_20260203155701

なかなか吉野林業のよい部分だけを抜き出したような記事だ(笑)。
まあ、バームクーヘンのような年輪と言われると、私は宮崎県の幅広年輪丸太を思い出すのだが。よりきめの細かい同心円の年輪こそが吉野材の特長。

そんなことより、ここで取り上げているのは(林業とは)山の時間と向き合って、成長を急がせない。多様性を選ぶ。長尺の目を持つ。ということだろう。吉野林業では、かろうじてまだ保たれている。

私は、(大学の授業以外で)林業の勉強を始めたのが吉野だったので、林業とはそうしたものだと焼き付けられたのだが、その後全国の林業地を歩けば歩くほど、全然そうじゃない林業ばかりを目にしてきた。吉野林業とは弧峰であり、連山・連峰ではない。だから日本林業を代表しているわけではないと気づいた。そして絶望へと転がっていく。今や吉野も、その流れに巻き込まれている。

長尺の目も、いきなり100年先を見てはダメで、まず5年、次の10年と積み上げていくものだが、最初の5年さえ待てない。同じものを整然と並べて同じように育てようとする。
人類は、初めて時間の観念を持って、未来を考えるようになった動物だとされるが、果たして現代人は人類足りえているか。

今は林業だけでなく、すべてが目先だ。スピード重視と結果を早く求め、多様性も効率悪いと求めず、将来を見る目を捨てる。目の前の餌を、ガツガツ食うだけの獣に成り下がっていないか。

どうすればよいのか。ただヒントも、この記事の後半にある。

世論調査で木材製品を買うときは「産地はとくに気にせず」「デザインや機能を重視する」という回答が多いという点だ。これを何か否定的というか残念そうに記事に書いているが、これでいいのだ。木材製品を売るときには「産地銘柄を売り物にせず、デザインや機能を磨き上げる」べきなのである。
それを5年先を見て実現させれば、10年先、20年先、そして100年先が見通せる。

Dscf1942

さて、選挙だ。先を見る目を持って投票に行くか。

2026/02/02

落合信彦が亡くなった

昨日、落合信彦が亡くなったというニュースを、息子の陽一さんの発信で知った。
84歳とのことだから、今どきでは「まだ若い」と言えるかもしれない。

20260201_192822

私は、若い頃に幾度か落合信彦と会っている。

と言っても1対1ではなく、彼の講演会を主催している団体と懇意にしていたので、終了後の彼を囲む会に参加させてもらった、という形だ。それでも目の前に彼が座っていて、酒を飲みながら、豪快な話を聞いているのは面白かった。

それから彼の本も読み出した。よく読んだなあ。マジに言えば、いい加減なところもあるのだけど(ナチの残党がUFOをつくっているとか……)、そんなことを飛び抜けて面白かった。国際ビジネスの裏側の話とか、諜報機関の話。小説とノンフィクションの区別がつかない内容で、信じるとか信じないではないのだ。

一方で講演会の主催者側から裏事情も聞いたし、彼のゴーストライターにも会ったことがある。そんな裏表を合わせて楽しめた。

本当に面白かったのは、彼自身の経験談。1960年代にアメリカに留学したが、超貧乏学生の日本人が訪れた当時のアメリカは輝けるばかりか、人種紛争やマフィア、ギャングの暗躍するとてつもない社会だったようだ。そこで空手道場を開いたり、ロバート・ケネディの選挙ボランティアをしていて、目の前で暗殺されたとも語っていた。手がけたオイル・ビジネス(見事掘りあてて大成功したと吹くが、実際は失敗したよう)の話も経験談(これも誇張が含まれているにせよ)だ。

記憶にあるのは「新聞はベタ記事だけを読め」とか「インテリジェンスとインフォメーションの違い」とか聞かされた。ライターとしては、ある程度、影響を受けたことを白状する(^^;)。

ただ無茶苦茶言っているようで、実はリベラルな考え方だったと記憶している。

改めて彼の著作を調べると、わたしがよく読んでいた1990年代以降も、かなり多く出している。トランプ大統領についても触れて、アメリカの変質を訴えているようだ。
こうした本をまた読んでみようかと思う。若い頃とは違った感想を抱くかもしれない。

私にとって青春の1ページに登場していた人が、またいなくなったなあ。

2026/02/01

森をつくるコーヒー、森を破壊するコーヒー

EUDR、EUの森林破壊防止規則は、森林を破壊して生産した商品は購入しないことを旨とする。

その中にコーヒーやカカオが入っている。森林を切り開いてつくった農園で生産されたコーヒーやカカオによるチョコレートが該当するのだ。

そこで疑問だったのは、あれ?コーヒーやカカオの木は、上に大きな樹木があって、その木陰で育つんじゃなかったっけ?ということだ。つまりそんな栽培でも森林破壊に該当するのだろうか、と思っていた。私は、初めてカカオの木を見たとき、薄暗い森の中の木の幹から直接実をつけているのに驚いたものだ。

091572e08c0dd5ee99da399e5745c381 Sp_image1

東ティモール: 独立後の暮らしと社会の現場から 』を読んでいたら、その疑問が解けた。

本来のコーヒーの木は、シェイドツリーと呼ぶ大木の下で栽培する。カカオもだ。ここのツリーがあれば、森は維持されている。

しかし、それではコーヒー豆の生産量が多くない。太陽光があまり当たらないから、果実もあまり多くみ実らないのだ。そこで近代的な農園では、すべての木を切ってコーヒーだけを栽培する。当然太陽光が直接当たる。すると生産性が高くなる。コーヒーの木だけだし。

……そんなことができるのか。陰樹を陽樹にしてしまうような栽培方法だ。

ただし、そうしたコーヒーの木は、寿命が短くなる。コーヒーだけの人工林となり、害虫も病気も発生しやすく、また化学肥料の大量投与が必要となって、20年経たずに生産できなくなる。そこで植え替える……という栽培法なのだという。だからこそ、森林を切り払ってコーヒー農園をつくっているのだ。EUDRは、それにノーと言っているわけだ。

ちなみに東ティモールのコーヒーは、いまだに「原始的に」、森の中で栽培している。だから生産量は多くないが、永く実り続ける。農薬も使わないし、肥料代もいらない。そして味は最高級だそうだ。

91w25e7xstl_sl1500_

このシェイドツリーを植えながらのコーヒー栽培は「森をつくるコーヒー」なのだ。

コーヒーやカカオの栽培方法が一昔前とがらりと変わっていることにも驚いたが、そもそも人類と森林のつきあい方を考えるうえでも、参考になる。森にも人にも、ウィンウィンの栽培方法を模索できないか。

2026/01/31

選挙の代理承認欲求

1週間後の選挙結果予想を書きかけて、やめた。

興味が、投票行動の心理に移ったから。

昨今の投票行動は、公約やイデオロギーで説明できない。人気投票か、と思いかけたが、そうでもない。ようやく一種の「代理承認欲求」ではないか、と気づいたのだ。(この言葉は私の造語)

誰もが承認欲求を持つ。大きい承認ほど快感がある。しかし、そのため自己を磨いて自分への承認を求めるではなく「推し」の人物に託す。

トランプ大統領が自己愛パーソナリティー障害であることはよく指摘されている。承認欲求の塊だ。同じく高市首相も中二病が肥大化した自己愛丸出しだ。見て見て私を見て。みんな私に従って。全権委任して。反対するものは攻撃だ~!(アホか)

選挙民は、自分で考えるのは疲れるから他人のスカッとする行動に乗る。理性はない。スキャンダルだって「承認」だ。スキャンダルと戦う姿がカッコいい!と評価する。投票した人物が勝てば自らの承認欲求の代理を果たしたことになる。ドーパミンがドバっと出る。快楽を得る。

新聞、雑誌、TV、ネット記事、そしてSNSでも高市批判は増えている。しかし、それらは投票に影響しないだろう。政策は判断基準にならないから。

人は損得で動く、というのが経済学や社会行動学の前提だ。しかし現実は、損をするのを承知で選択することが多い。あえて失敗する道を選ぶ。クラファンや投げ銭など、ときに借金して寄付する人も出る。スカッとすればよい。そして結果に興味はない。物理的な損よりも心理的な快楽が優先する。

もはや選挙も、そのレベルなのである……。と、ここまで考察がたどり着いた。

そして私も、選挙の投票先を考えるより投票の行動原理を考察することに快感を感じている(^_^) 。
こうした心理の元に、今後の執筆も考えよう。

2026/01/30

「四万十ドラマ」の大躍進?

たまたま阪神百貨店を訪れた。そして地下の食料品売り場を歩く。

そこで発見した店が「四万十ドラマ」だった。和菓子を中心とした商品が並んでいた。

びっくりだ。四万十ドラマが百貨店に常設店舗を持つなんて。(昨年10月オープンらしい。)

Photo_20260130124101

「四万十ドラマ」とは何か。実は株式会社である。今から30年ほど前、この四万十ドラマを取材した。高知県四万十市の「地域商社」を名乗っている会社?だった。会社と言っても、自治体と組んで立ち上げた団体だから第3セクターになるか。ようするに四万十市(当時は中村市だったかな)の産物を売っていくという意図であった。

まあ、手づくりぽさが目立ったが、これに注目したのは、売り出す商品が面白かったから。

くそっぱ。フキの葉である。これで野ぐそをしたときに尻を拭くと気持ちよいのだそうだ。(……私も実験したことがあるわ。たしかに。)
川舟。四万十川で使われる舟である。川舟大工がまだいたのだ。
小学生の書いた作文、研究発表の冊子もあったような。
ほか、なんだったかなあ。一応、ヒノキ片とか、米とか野菜、鮎、地元の栗の菓子などもあったかと記憶するが……。

面白いけど、売れるかい~!と思うものが並んでいた。まだインターネットが始まった(Windows95が出た)ばかり?の頃だったのでネット販売も無理だった。
ようは商品売るより、名を売る戦略だった。川舟売りますとあれば目を引くが、実際に買ってもらいたいのは別の農産物というわけだ。

取材した記事は「ビーパル」に掲載したのか、「田舎暮らしの本」だったか。一度、バックナンバーを探してみようかな。

しかし、その後正当派の地域商社になったようだ(笑)。

ちなみに、今はしっかり四万十ドラマオンラインストアが立ち上がっている。くそっ葉も川舟もないけど。

当時取材した若者も、今や立派な社長だ。なつかしいなあ。
決して尻すぼみの地域起こしではなかったことを証明しているのだ。

 

2026/01/29

林業界の新タコツボ用語?

名古屋市のガス会社、東邦ガスが「森林価値の見える化」サービスの事業化をめざしているそうだ。

森林のCO2吸収量をJ―クレジット化して利益を得ようという発想らしい。具体的には、森林モニタリングをドローンとAIを活用して効率的な手法の確立を目指している。実際にやるのは、京都のディープフォレストテクノロジーズという会社で、ドローンで撮影した画像から森林の状態を解析し、CO2の固定量や吸収量を算定し、クレジットを創出するのだという。

森林計測技術も林業界だけでなく、こうした別分野の会社が別の目的で利用する時代になったんだなあ……と感じていたのだが、そこで私も勉強がてら新たな林業の技術を知ろうと読んだ本がひどい。

 5_20260129104101

何がって、言葉が。アルファベットの略号ばかりが頻出する。

IT、ICTぐらいならいい。社会的にかなり使われるようになっている。しかし、これ、何の意味?と思わせる言葉が並ぶ。
UAV、SCM、GNSS、MVS、SfM、DCHM……そのほかバリューバッキングとかオルソ補正だとか……。

無理して読んでいると、UAVは、ようするにドローンのことだった。私も、そこそこ知っているつもりだったが、ページをもどして、どこかに説明あるかと探したりもするが、それが大変。いちいち頭の中で、この用語の意味は何か考えながら置き換えなくてはならずうんざりした。これ、林業界なら通じると思っているのか。知らない人はどうでもいいのか。

Qgis

もともと林業界はタコツボに入っていると言われるが、スマート林業とか林業DXとか言い出したことで、さらにタコツボを細分化した新たなタコツボをつくっているような気がする。こうした仲間うち(もっとも、本当の仲間かどうか怪しい)の言葉は、社会との断絶を感じる。

私の著書では、素材生産業者といった言葉は絶対に使わないと決めている。素材生産って、何よ。素材と言えばありとあらゆる物質が含まれてしまう。読者には通じない。だから伐採搬出業者などと言い換えている。多少のずれはあっても、より理解の進むように心がけている。

タコツボ用語を好んで使う業界は、外野の人々を呼び込めずに、どんどん衰退していくと思うよ。


2026/01/28

竹の行く末~茶筅の里

生駒市の特産品に茶筅がある。茶道などで使われる茶を立てる道具だ。

これ、実は生駒が生産シェアほぼ100%。全国の全流派の茶筅をつくっているそうだ。そのために冬になると竹を干す。この風景が名物にもなっているのである。

2026-2

今が盛りと聞いて、見てきた。

が、盛りというわりには量が少ない。また昔はもっと長い、つまりこの竹を組んで干す高さも3メートルくらいあったように記憶する。
もしかしたら別の場所で干しているのかもしれないが……周辺には見かけなかった。

茶筅の需要が減っているのか。この茶筅の里は、若い後継者がちゃんと育っていて、廃れていないと言われていたのだが、この人口減のご時世、茶道人口も減っているだろうし、将来は危うくなっている可能性だってある。新たな竹製品を開発する必要がある。

店先には「究極の耳かき」つくります、なんて看板もあったな(^^;)。

思えば、昔は竹材は捨てるところのない重要資源だった。タケノコの収穫から始まって、太さ・大小さまざつな竹が加工品になっていた。竹竿そのものが洗濯物干しにもなれば建設足場にも組まれた。そういや香港だったか高層ビルが大火事になっていたが、その一因として竹の足場が燃えたことがあるそうだが……。

だが、今や竹は生態系の破壊者だ。。。どこでも猛烈な速度で生えて、ほかの動植物を蹴散らす。迷惑植物トップランナー。

生駒山系も、竹だらけになっている。雑木林だけでなく、人工林も竹の侵入で様相が一変している。
よく花が咲いたら枯れるというが、実際に花が咲いた竹林を見ると、たしかに枯れているのだが、その下から次の世代がはえているのを見る。竹林としては再生してしまいそうだ。

何もかもが時代の曲がり角なのかもしれない。

 

2026/01/27

日本最古の街路樹

古代道路の謎』(近江俊秀著・祥伝社新書)を読んでいる。

この本によると、奈良時代に全国に伸びる巨大道路網が建設されたのだという。これを駅路と呼ぶ。
その総延長6300キロ! 幅6~30メートルあり、可能な限り直線につくられていた。そのため山を削り、池や湿地を埋め立て、盛り土をして……とてつもないプロジェクトである。

江戸幕府のつくった五街道などよりはるかに大きな道が伸びていたというのだ。

目的は、やはり軍の速やかな派遣と、物資輸送、そして情報伝達のためらしい。奈良時代は各地で反乱が起きたが、そこにすばやく軍勢を派遣して鎮圧する役割があったという。また唐の街づくりにも駅路があり、それを真似る意味もあったのだろう。

すでに各地から遺跡として道路は発見されている。だからあったのは間違いない。ただ文献にはほとんど登場しないのだそうだ。道路を建設したとか、道路建設を命じた命令などが見つからない。そして、ある時期からいきなり廃絶されて消えていく。

この謎も面白いのだが、この本にはそれに関連して、街路樹の誕生について触れている。私は、こちらに反応した(^^;)。

それによると、『類聚三代格』という平安時代、11世紀に編纂された法律書に記されているらしい。『類聚三代格』巻七「牧宰事」
585885633_large

なんでも、つくった道を納税のため都に登った人々が、帰り道に餓死するケースが多発したらしい。なにしろ重い荷物を担いで、1日20キロ進むのが決まりだったという。しかも食料などは自前。当時は治安もよくなかっただろう。行きは国司が付き添うというか、睨みを利かせているが、帰りは放置なのだ。

そこで東大寺の僧普照により、度を路の両側に果樹を植栽するよう意見書が出され、それを受けて命令が出された。天平宝字3年(759年)のことであった。これは奈良時代の後期である。行き交う人は、木陰で休み、果樹を食べて飢えをしのぐわけである。

こうした道路際の樹木の遺跡は発見されていないが、街路樹伐採禁止令も出されたというから植えられたのは間違いないのだろう。

そのほかの文献にも並木に果樹を植えた記録はあった。

 ・光明皇后が桃や梨の木を植えた。
 ・藤原京や平城京に柳や橘を植えた。
 ・平安京には柳や槐を植えた。

これが、街路樹の原点か(当時は街路樹という言葉はなく、並木だった)。織田信長も街道奉行を設立し木を植えさせたと聞くが、はるか前に街路樹、並木の原形が生まれていたようだ。

面白いので、私なりに調べてみた。こんな本も見つかる。

王朝時代の道路法

Photo_20260127164801

これは江戸時代の木曽街道。ちゃんと並木が描かれていた。

2026/01/26

書店との相性

書店とも相性がある。入って、ぶらぶら書棚を眺めて、すぐに自分の興味を引く本があるか。あるいは並ぶ書籍や雑誌は多いのに、全然見つからないか。

近年は書店危機が叫ばれている。恐るべき勢いで書店が減っていく。本は、やはり手に取って、中を眺めて買いたい、それにリアルだからこそ、知らなかった本を発見できるのだ……という声は多いが、実際のところリアル書店は減っているし、売り上げも落ちている。手に取って……と言いつつも購入はネット書店にしている人が多いのだろう。

私も、書店を見かけたらフラリと入って何か掘り出し物がないかと探すのだが……。その点、新刊書店は不利だ。当然ながら新刊を表に並べるわけだが、だいたいどこも同じようになる。

やはり一期一会の本と出会いを求めるのなら、古書店が有利だ。何が並ぶか予測できない。もっとも、ブックオフなどでは、あまり変わらなくなっている。それに本は減少傾向でゲームやフィギアばかりのコーナーが増えている。

そんなとき、たまたま大阪で見つけた古書店。ここがすごい。たいして広くないのに、どのコーナーを眺めても、目を見張るような「私好み」の本が並んでいるのだ。つい買いすぎる。専門書ばかりの棚に見えて、そこに光る本がある。

私が興味を持っている分野の本は、当然ながらすでに出版状況をそれなりに把握しているつもりだし、私の書棚にも多くが並ぶのだが、まったく知らなかった本がその店にはある。一度行ったら尽きるかと思ったが、1か月後に再び行くと、またもやすごい本が並んでいる。

しかも、安い。(まあ9000円の本が4000円だったら安いのだが、すぐに買うかどうかは悩むところだが……)それでも古書は一期一会である。今買わないと、次はあるかどうかわからない。

今回購入したのは、こちら。

04181823_625d2e0bd612c

木工を歴史的に研究している。実は、まだ読んでいない(^^;)が、ページを開くと、日本最初の伐採の絵画……なんてのが出てくる。発掘された切り株とか伐採道具、さらに古代の製材とか木工道具なんてのもある。石器時代から縄文、弥生、古墳時代まで。

Img_20260126112541-2Img_20260126112541

伐採と製材の絵画

こんな研究から日本の林業の誕生、あるいは木材の加工の始まりを考えてみると面白い。いつか林業・木工業の歴史についての本でも書こうかな……。

まあ、これは仕事にも役立ちそうな本という一例にすぎず、たいてい見つけるのは趣味の分野なんだけど(^^;)。

こうした本屋があることは大切だなあ。

 

 

2026/01/25

マハティールよ

昨夜、何気なくTVをザッピングしてETV特集で「マハティール100年の風に立つ」をやっていた。思わずかぶりつきで見た。

20260124-235653

マハティールはマレーシアで長く首相を務めた政治家。なんと御年100歳。にもかかわらず、元気……というか頭脳の明晰さに驚嘆する。

私にとってマハティールは、世界中でもっとも尊敬できる政治家である。彼を超える者はいない。そのスタンスと思想、哲学どれをとっても、日本の政治家は及びもつかない。もちろん政局時の立ち回りや政策的にどうかな、と思う面もないではないが、それを超えた人間的な魅力である。

20260124-235857

実は彼が最初の首相に就任した時から追いかけている。そして「マレージレンマ」の出版と「ルックイースト政策」の推進……ちょうど私がマレーシアのボルネオに通い出した頃と重なっているので、常に注目していた。

そういや欧米の幼児がマハティールに「熱帯雨林を破壊しないでください」と手紙を送った逸話がある。それに対して、彼は本気で返事を書いた。これまでいかに欧米人がマレーシアを、世界中を植民地にして搾取してきたかと。子供に対して大人げない?いや、子供扱いしない、全力全身で向き合ったのだ。議論としてはかみ合っていないけど、10歳に満たないイギリス人が、上から目線でかつての植民地の首相に忠告したような手紙にかみついたのだろう。

思えば、現在の地球環境問題にも似たところがある。

アジア通貨危機に対して変動相場制を捨てるという世界経済を敵に回す荒技もとった。強欲ファンドの批判もする。同時多発テロに対するアメリカのアフガン、イラク攻撃もたしなめた。首相引退後は、世界中の庶民の格差解消と平和教育に取り組み、日本にもよく来ていた。
ちなみに日本びいきに見えて、実はしっかり日本が出すぎない手をとっていて、策士であった。

もちろん、強引で、独裁的、そして策略を巡らせて国際的に孤立するような振る舞いもあった。ただ、そうした点は、マレーシアからの留学生と話していて腑に落ちた。

「大国ならできないが、マレーシアの規模の国なら許されるのではないか。自らの尊厳と国を守るためにやったのだ」と聞いたのだ。IMFの言う通りにすれば、主権を奪われ、また経済格差が拡大する。それに怒ったのである。清濁併せ呑む政治家なのだ。

当時私は、マレーシアとの友好団体を運営していたのだが、「マハティールさん、呼んで講演会開かない?」と半分本気で提案したいたこともある。

そういやマレーシアである寺院を訪れたとき、急に周囲がざわつき始めた。聞けば、マハティール首相が訪れるという。それで写真を撮ろうと構えていた。当然、警備員に囲まれて整然と歩くだろうと思って。ところが、到着するや否や、いきなり民衆が殺到した。みんなマハティールに握手を求めているのだ。警護も何もない。それ以上にマレーシア人にとってとてつもない人気があることに驚いた。
で、私も写真は諦めて、その群集に混じってマハティールに接近、握手をしようと手を伸ばした。ほんのわずか触れたと思う。

と、ここまで書いて、以前も同じことを書いたな、と思い出した。探してみると、こちらである。

オルタナティブな仕事~Look Malaysia

20260124-235744

選挙を前に、彼を思い出す。

2026/01/24

「選挙」より「マーケット」

衆議院が解散されて選挙となった。何の政策も示さず、「自分に全権委任してくれ」という選挙である。

それにしても私が危惧するのは、各党の打ち出した公約のほとんどが消費税減税もしくは廃止を訴えていること。与野党変わらない。消費税を維持するとしているのは「チームみらい」だけだ。

つまり選挙結果がどうなろうと、減税することになるのである。その恐ろしさを感じていないのか。すでに高市政権は補正予算と新年度予算の枠組の中で、前年度より6兆円も多く国債を発行している。全然「責任ある」積極財政ではない。減税分なんて、円安がもたらす物価高騰が吹き飛ばすだろう。

Og

考えてみれば、投票とは「集合知」である。個別の判断には間違いも起こるが、多数決で選んだものに大きな間違いはない、また結果如何に関わらず自ら選んだのだから納得する……という暗黙の了解で成り立っている。

しかし今や投票行為は、推し活となり人気投票レベル、いやゲームに成り下がった。面白い展開を求めて、どこに、誰にクリックする?みたいな感覚。その結果はどうでもいい。ゲームだもの。ゲームオーバーになったらリセット……あれ?それができない。

 なんで、こんな体たらくになってしまったのか。結局は、政治制度、システムの欠陥である。デタラメ・浅慮の公約を発表してもよいというのが間違いだ。少なくても公約実現への設計図やロードマップを示さないのは、単なる思いつきなのである。立候補にも予備試験を実施して合格する条件でも付けるべきではないか、とさえ思う。憲法や法律の立て付け、経済学のイロハも知らないのでは話にならない。

では、民主主義という名の投票以外の指標・圧力はないのか。政策をコントロールするものは何か。

折しもアメリカはトランプの「グリーンランド」発言でトリプル安に陥った。さすがにトランプも発言を修正せざるを得なくなった。

それで気づいた。もはや投票行動が国の進む方向を決めるというのは虚構だ。決めるのはマーケットである。金融市場の動向が政策を左右する。

現在の日本の垂れ流し財政は、債権安(金利高)、円安だ。株だけは乱高下しながら上がっているが、臨界点を超えたら暴落するに違いない。円為替は、昨日政府の介入がある・あった情報が飛び交い円高に触れたが、長く保てまい。円安基調は続く。今後大暴落する予感。

馬鹿げた政策を止める力を持つのは、マーケットだけではないか。マーケットよ、反応しろ。英のトラスショックの時も、そのおかげでバラマキ政策が止まった。投票日までに一度、大暴落してほしい。

盗伐問題を取材していて気づいたのだが、いくら森林管理の法律を厳しくしてもダメだ。違法であることを証明するのは難しいし、それを調べて、罰則を下す担当官がやる気ないから。警察、検察、裁判所。みんな盗伐を取り締まる意欲がないから不作為で終わってしまう。

必要なのは、サプライチェーンの見える化と監視だろう。言い換えるとトレーサビリティとデューデリジェンス。これで「合法と確認されない」木材は流通させない。購入者には「知らなかった」では済まさず、合法と確認していないのに購入したことに罰則を与えるしかあるまい。

それはヨーロッパの森林破壊防止規則EUDRの発想である。同時にESG投資、TNFD(自然資本への依存・影響・リスク・機会評価開示)などの動きも含む。売買だけでなく、投融資も確認してグレーならしない。

立候補時の公約も、こうしたロードマップ(トレーサビリティ)と確認(デューデリジェンス)が必要だろう。そうすれば衆人環視の元、設計図の欠陥を指摘できる。実現しない場合の罰則も用意してほしい。
そんな政治システムにしないと、煽り公約とゲーム感覚の投票が肥大していく。

でも……無理だろうな。自分たちの首を占めるシステムを構築するわけがない。だから個人的には、ハイパーインフレに備えよう。貯蓄は、日本円でもっていてもダメ。国債や株も排除しよう。米国株も怖いなあ。やっぱりゴールドか?(⌒ー⌒)

私も国会前で、座り込みもとい坐禅を組みたくなったよ。。。

20241210_121905

2026/01/23

逃亡者は山に隠れられるか

我が家の裏山には多くの山道が伸びていて、それこそ何百回も歩いている。が、その中で山道に囲まれた一角が気になった。

小さな峰があり尾根筋なのだが、そこから水が流れだしているのだ。それが小さな渓流をつくり、やがて川となって、ため池に注いでいる。
はて、どこから水が湧いているのだろう。ざっと3本の山道に囲まれていて、その内部が盛り上がっているのだから、水が溜められるような場所はないはず。

という、軽い疑問から、水が湧きだすところを見てみたい……という些細な探検家気分で分け入った。結構な急斜面を登り、ブッシュを分けて進む。冬で葉が落ちている上、わりと獣道ぽい踏み跡があるから通りやすい。

すると、意外なほど複雑な地形であることに気づいた。単なる1つの盛り上がりではなかった。谷も入り、尾根は1本ではなく複雑に伸びていた。そこにもスギの植林地があったが、なかなかの大木に育っているじゃないか。深さ3メートルを超える渓谷だってあった。

20260111-163459

一転、平坦地も見つかった。結構広い。10メートル四方はあるから、ここにキャンプもできるのではないか。住宅地に近いのに、山道にだって近く囲まれているのに、こんな場所があるなんて、意外と誰も知らない(はず)。

人生に悩んだら、ここでテント張って、何日間も他人に会わないで過ごす……なんてどうだろう(  ̄▽ ̄)。

焚き火も可能だが、煙を出すのはまずい。しかし携帯コンロ……いやロケットストーブを使えば焚き火でも煙は出ないぞ。もちろん延焼しないように、垂直に切り立つ渓谷の底なら安全だ。水もある。イノシシが出たら危険だが、狩りはできるか。ウリ坊なら仕留められるかも? でも解体が大変か。

20260111-1635091
この平坦地のすぐ奥に水が湧いている。

 

いっそ警察に追われても、ここに逃げ込んだら見つからないのではないか、と思いついた。

山狩りをされてもここまで人が入るだろうか。入っても、隠れられるぞ。ほら、あの岩影にもぐりこみ、落葉や落ち枝を被ればわからなくなる。じっと潜んでいたら……そして水が染みだしているところも発見。小さな流れになっている。ここで水が飲める。これなら長く滞在できるぞ。食べ物は、カロリーメイトを10箱くらい用意しておけば、1週間ぐらい持つ。そうして捜査線が解かれるのを待って、そっと山を下りて遠地に逃亡する……あ、これが一番危険だな。町に出たとたんに捕まるわ。やっぱり山でずっと暮らさねば\(^o^)/。

……どんどん妄想が膨らむ(笑)。

でも、グアム島の横井庄一氏は、住宅地のすぐ側(100メートルと離れていない)に穴を掘って、食料も自給しつつ28年間も隠れ住んだのだ。

アマゾン先住民は、手ぶらでジャングルに入り何日も旅を続けるという。

山には、それぐらい生存のポテンシャルがあるのだ。

 

2026/01/22

Y!ニュース「冬眠しないクマ」「目覚めグマ」……を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに『「冬眠しないクマ」「目覚めグマ」がいる?』を執筆しました。

ここんところ、Yahoo!ニュースではコメントばかりつけているけど、本命の記事を書いていないなあ、そうだ、またクマのことを書こう、だって、まだ出没するんだもの……と思ってネタ探しをしていたところに、「冬眠しないクマか? 畑にクマ出没し駆除 1月の駆除は記録上初 北海道上ノ国町」というヒグマが出没したニュースが。

それにコメントをつけながら、あれ? これって、私が記事として書けるテーマ……。コメントだけで終わらせるのはもったいない。

というわけで、コメントも付けつつ、記事も書いたわけである。さすがに同じ内容ではまずいので少々ずらして、私が過去手がけた「クマの冬眠穴調査」の思い出にも触れながら、哺乳類の冬眠事情に話を膨らませたが。

問題はヴィジュアルだが、冬眠中のクマの写真なんぞある訳ない。そこでYahoo!ニュースが提供しているデータの中で、水彩イラストを選んだ。
しかし、このイラスト、雪の中で寝ている……。さすがに寒いでしょ。せめて穴の中に寝ているのはないかと思ったが、それなりに可愛いので、まあよいか。世間的には、可愛いクマの方が多いみたいだ。凶暴なクマの話ばかりでは面白みに欠ける。

Photo_20260122163001これでもクマ?

 

2026/01/21

林野庁のクマ対策、山火事対策

2026年の年初めは、山火事とクマの市街地出没から始まった。

山火事は山梨のほか静岡や埼玉など各所で起きた。まだ消えていないところもある。
一方で、冬眠に入っているはずのこの時期のクマの出没にも悩まされる。すでに元旦以降、少なくとも北海道や東北6県、新潟県で目撃情報が寄せられている。

900000910_img_1f7881d33d173de9fc0a34a640TVより

ちょっと復習。昨年のクマ出没の統計が少しずつ出てきた。

その前に昨年の状況を改めて確認すると、環境省は4~11月のツキノワグマの出没件数は、4万7038件だった。これまで最多だった23年度の1年間(2万4348件)の2倍近くに達していた。そして駆除数は、ヒグマも含めて25年11月末時点で1万2659頭に上り、初めて1万頭を突破した。12月分も足せば、1万3000頭くらいになるかもしれない。
市街地で発砲を可能とする「緊急銃猟」は、制度が開始された9月から12月末までに54件実施された。

今年もクマの出没に悩まされるのだろうか。そこで今年から始まる対策を紹介しておこう2025年度補正予算に盛り込まれている。
まず捕獲関係。

・被害要因、生息状況に基づいたクマ・シカの捕獲対策に係る総合的な取組や、イノシシの捕獲強化を支援
・ 被害防止活動従事者や農業者の安全確保のため、クマスプレーの導入を支援

私が注目したのは、クマが農地や市街地に出没しないようにするため、森林と人の生活圏を分ける緩衝帯などを整備する自治体を支援する事業。これは公有林だけでなく、私有林も事業対象としている。これは森林の特定機能回復事業のうち、林相転換特別対策の対象に野生鳥獣被害防止を追加するものだ。
緩衝帯は農地と山林の境界付近などで、伐採や草刈りを行うというもの。見通しを良くすることで、クマが山から出づらくするとともに、人もクマの確認をしやすくする。また広葉樹への植え替えも行うという。

実は、この事業、林野火災の拡大防止にも役立つ。草木のない帯をつくることで延焼しづらくなるからだ。こちらも、私有林を含めた。 火災の多い冬に葉が残る樹種は、樹冠まで燃えて炎が飛び火しやすいので、落葉樹へ植え替えることは拡大防止となる。
ほか、消火活動のための林道整備などに取り組む。

両対策とも費用負担は国54%、都道府県18%。残りの28%は市町村や森林所有者などの負担という配分だ。所有者が負担できない場合に自治体が負担する場合は特別交付税措置がある。

森林整備による対策

ほかに効果的な林野火災予防対策の実施に向けて、行政、林業関係者、消防関係者等が連携して行う、林野火災予防に係る新たな技術を利用した実証を支援……というのもあった。

とまあ、クマと山火事対策に森林整備の補助金を注ぎ込むわけだ。名目としては、反対しづらいだろう。

しかし広葉樹を植えるのは、クマの餌となる木の実を増やすためという記述がある。

これって……熊森協会の主張?

今から木の実のなる広葉樹を植えても実るまでに10年ぐらいかかりそうだが、それでクマが市街地に出てこなくなるというのはちょっと短絡思考ではないか。まずイノシシやシカが食べるだろうし、クマにとってもドングリ食べて生息数増やして人里に行こう、というキャンペーンみたいだ。世間向きに安易な理由を並べてほしくない。

 

 

2026/01/20

木製鳥居の復活を

台湾檜でつくられた建築物を探している。そこでふと気づいたのが、鳥居。これ、全国にあるのではなかろうか。

すぐに思いつくのは明治神宮の第2鳥居だろう。ほか橿原神宮などにもある。

だが、もっと大きな鳥居、それも1本の原木でつくられたものがあった。福岡護国神社の一の鳥居だ。明治神宮のものは、たしか寄木ではなかったか。

1_20260120203401

これ、1943年、つまり戦時中に建てられたらしい。当時の台湾は日本領だったから、どんどん台湾の巨木を伐って日本に運んだのだろう。そして日本の神道の鳥居になっていく。

7_20260120203401

こちらの写真だったら、いかにも原木をそのまま鳥居の足にしたという感じがする。

もともと鳥居は木製だったはず。それも巨木を使うから神聖な結界を敷くことができた。宮島の巨大鳥居もクスノキだった。しかし、掘っ立て柱では、すぐに木は腐る。そこで石で作り出し、やがてコンクリート製や塩化ビニール製の鳥居を作り出すのだね。まあ、ときとして銅製の鳥居などもあるが、よほど管理をしっかりしないとすぐに錆びて腐り落ちる。

なぜ台湾檜を使ったのかと言えば、ようするに日本本土に鳥居にできるような巨木がなくなったから。

しかし今なら、スギならかなりの大木も育ってきたし、防腐措置を施した木製鳥居もつくれる。木製鳥居を全国的に復活させたら、結構な量の木材需要が生み出される、かも?

 

 

2026/01/19

林草局と黄砂

このニュースを目にして、最初に思ったこと。

中国の森林率が25.09%に―中国国家林草局

林草局? これって役所名なのか……。草も管轄しているのね。そういや日本の場合は「林野庁」、つまり林と野の役所であった。日本の場合、野と言えば草地なのだろう。中国では、かなり砂漠・半砂漠が含まれるだろうが。黄土高原も、それに近い。

記事は、極めて明瞭簡潔。

中国国家林草局は15日に開いた全国林業・草原事業会議で、中国の2025年の国土緑化面積が約846万6666ヘクタールに達したことを明らかにした。うち、造林・営林面積は356万3333ヘクタールで、草原改善面積は約492万6666ヘクタールだった。
中国の森林率は25.09%、森林蓄積量は209億8800万立方メートルに達し、グリーン発展の基礎がさらに固められている。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

たしかにすごい数字であり、また地球上の緑被率を上げているのは間違いない。かつては10%以下だったのだから。
でも、そ
ろそろ量で勝負するのは止めない?

同じ木ばかりを植えているので、炭素蓄積にはなっても生物多様性はあまり見込めない。むしろ樹木ばかりを植えて草が育たないとも聞く。砂漠に木を植えると、木が優先的に水分を奪ってしまうのだ。しかも散水しないと育たない。

一方で、黄土高原の草木は農地化で剥がされて、それが黄砂を生んでいる。通常は早春の風物詩だった黄砂も、今年度は冬に入ってから黄砂が非常に増えた。毎年500万トンの砂塵が飛んでいるというが、そのうち3分の1以上は日本の陸地に降っている。ざっと160~200万トンである。今年はもっと増えるかもしれない。

1_20260119171901
玄界灘の夕日。天頂は青空なのに、黄ばんで見えるのは黄砂のせい?

2026/01/17

リンゴの木のフラス

気がついたら、庭のリンゴの木からフラスが出ていた。

フラスとは、木の幹に穿孔性害虫が進入した際に出る木屑や無視の糞。

Photo_20260115213001

ということは……。またやられたか?

もともとこの木は3年前にカミキリムシにやられたのだ。

リンゴの木、非常事態

それで枯れるかと思っていたら、翌春、復活した。

リンゴの木復活

ただし、実が実る量は極端に落ちた。そこで幹にテープを巻いて、カミキリムシ(の幼虫)が入らないようにした。
まあ、ゆっくり回復するだろう。と思っていたのに、今度はフラス。

どんな昆虫だろうか。クビアカツヤカミキリではないだろうな。クビアカは梅や桜、桃が多く、あまりリンゴへの被害は聞かないが、可能性がないわけではない。みんな同じバラ科だし。奈良にも出現したのはわかっている。

それどころか吉野山でも見つかった。桜が全滅しかねない。梅の産地もあるし、ヤバ。

まだ幼虫も見つからないが、要注意だ。

Photo_20260115213901

奈良県中部の田原本町で見つけたクビアカツヤカミキリ。もちろん、即座に踏みつぶした。

2026/01/16

ウッドデザイン賞を見る

今年のウッドデザイン賞が発表されていた。

2025ウッドデザイン賞

Photo_20251224163501モクレポ12月号より

第11回目となるウッドデザイン賞2025は、327点の応募があり、206点が入賞に当たる「ウッドデザイン賞」を受賞……。

え?入賞が206点ということは、応募の6割以上なのか。

そう聞くと、受賞できなかった応募建築物や技術などを見てみたい……。なぜ、落ちたのか知りたい。悪趣味か。いや、重要だろう。
なお分野を見ると、建材やら研究やらビジネスモデルやら。何でもありだ。こうでもしないと応募が集まらないから?

なお、その中から
最優秀賞(農林水産大臣賞、経済産業大臣賞、国土交通大臣賞、環境大臣賞)各1点
優秀賞(林野庁長官賞)9点
日本の技・文化特別賞(日本ウッドデザイン協会会長賞)3点
奨励賞(審査委員長賞)15点

これで17になる。受賞作をなんとか増やしたい思いが透ける。

なお不思議なものも見つけた。2024年の農林水産大臣賞、つまり最優秀の「浦河フレンド森のようちえん」である。その園舎が受賞しているが……え? 森のようちえんって、園舎がないのが特徴ではなかったのか。それとも、これは名前に「森のようちえん」が入っている認可幼稚園であって、森の中で保育する「森のようちえん」とは別物なのか。

なんか、もうわからない(´_`)。

と、とりあえず、賞をもらって箔づけに使えてよかったね。

«NHK福岡の番組に出演

February 2026
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28

森と筆者の関連リンク先

  • Yahoo!ニュース エキスパート
    Yahoo!ニュースに執筆した記事一覧。テーマは森林、林業、野生動物……自然科学に第一次産業など。速報性や時事性より、長く読まれることを期待している。
  • Wedge ONLINE執筆記事
    WedgeおよびWedge on lineに執筆した記事一覧。扱うテーマはYahoo!ニュースより幅広く、森林、林業、野生動物、地域おこし……なんだ、変わらんか。
  • 林業ニュース
    日々、森林・林業関係のニュースがずらり。
  • 森林ジャーナリストの裏ブログ
    本ブログの前身。裏ブログとして、どーでもよい話題が満載(^o^)
  • 森林ジャーナリストの仕事館
    田中淳夫の公式ホームページ。著作紹介のほか、エッセイ、日記、幻の記事、著作も掲載。