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森と林業と動物の本

2025/07/16

金魚16匹目の謎

我が家の庭池の金魚。また謎が出てきた。

以前も何匹いるのか?という記事を書いた。一時期は11匹まで減っていたのに、次々と小さな金魚が登場して15匹いるんじゃないか。

金魚に個性はあるか?

しかし、毎朝数えているが、14匹しか確認できない……なかなか15匹全部は確認できない、という状態だったのだ。

とにかく夏は、元気に動き回るから数えづらい。個体識別も、小さいのが3匹だったはずだが、どんどん大きくなって区別が着きにくくなった。やっぱり14匹なのだろうか。。。。小さい1匹が消えた(死んだ)のかもしれない。

そう思っていたのだが、今朝餌をやろうとしたら、どっと集まってきたので、思いついて写真を撮った。写真で静止画像なら、ゆっくり数えられるではないか。

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そし数えると……重なっていたり、水面が光っていたりするので大変なのだが……おお、15匹いた。ちゃんと全部育っているのだなあ。

それで安心していたが、ふと後で数え直すと……写真の下右部分に赤い色が透けている。これも金魚ではないか。それもわりと大きい。とすると……なんだ、16匹になってしまった。おかしい。今まで稚魚、小赤でも15匹までしか確認していないのに。どこから来た?

どんどん金魚が増える謎の池であった。

2025/07/15

政党支持者とアンチのフィルターバブル

禁断の政党シリーズ、今回は維新か自民か……と思っていたけれど、投票日も近いので止める。ちょっと飽きたし(笑)。

代わりに政治団体との関わり方について説明する。なお講演写真を張ろうかと思ったが、誤解する人が多そうなので、今回は写真なし。

すでに記してきたように、私はお呼びがかかれば、基本どんな団体、政党でも行く。講演だけでなく、インタビューでも私自身が執筆する記事であっても。むしろ選り好みしてはいけないと思っている。選別は、危険だ。自分の思い込みが前面に出るから。

大切なのは、講演(記事)内容である。それが、ぶれないこと。とくに相手に忖度した意見を言わない。

極端に言えば、共産党で「天皇制バンザイ!」の話をしていいならやればいい。自民党に「大企業が諸悪の根源」と大いに吠えたらいい。それは支持者の意見を変えることができるかもしれないチャンスだ。

政党支持者は、自分たちの心地よい意見を聞きたがっている。それを繰り返すと「エコーチェンバー」となり、自分と似た意見や思想を持った人々に肯定されるばかりの「フィルターバブル」となる。情報が自分と同じ意見ばかりになってしまい、異なる世界が見えなくなる現象だ。それを打ち破るのが私なりの役割だ。

私にいわせれば、(たとえば)参政党の支持者とアンチはそっくりだ。支持も批判もYouTube情報によるとか(笑)。みんなフィルターバブルの中で過ごしている。立ち止まって、なぜ自分が支持している人がこんなに激しく批判されるのか、なぜ自分が毛嫌いしている党に支持が集まり、選挙で大量得票しそうなのか……と、よく考えてほしい。

私も参政党の林業勉強会に呼ばれたときは、森林林業の話ではあるが、「多様性の重要さ」を強調した。同じ木を植え、全国画一的な政策ばかりだとおかしくなる、様々な生物が交じり合うことで強靱な森林となり、林業政策も地域によって多様であるべき……と訴えた。視野を広げろ、とも唱えた。人間社会も同じであることに気づいてくれればよいが……。
その勉強会には高校3年生の女子がいた。森の状況を変えたいという。すでに林野庁を初め、多くの林業関係者を訪ねて話を聞いたという。そうした気持ちにアンチは応えられるだろうか。また彼女も、視野を広めて新たな世界に目を向けただろうか。その点で、私も一助になりたい。

ちなみに選挙において、私は公約や政策を重視しない。どうせ、守らないから。立場次第で意見を変えるから。とくに選挙中はウケ狙いで言いっぱなしだ。みんな思いつき発言にすぎない。自民党が下野しているときに総裁になった安倍晋三は「野党の時は、何を言ってもいいんだ」と言っていたことを思い出す。そして支持層にウケる政策を並べた。実際に総理になると、当時の発言はスルーした。
だから個別の政策に目くじらを立てない。もっと、党もしくは個人の本質を見る。

自らの規範をどこに置くかを強く意識すれば、依って立つスタンスがはっきりする。

 

2025/07/14

シカ・シンポがっかりの理由

このところ2週続けて京都のセミナー、シンポジウムに行っている。

7月4日は森林総研関西支所の公開講演会「動く山、動く土」で、12日は「日本の山はシカの楽園? 山、森、水が危ない?!」である。
前者は、想定以上に面白かった。考えるところ大だったのだが、考えている最中なので、紹介はまた改めて(^_^) 。そして後者の方に期待していたのだが、残念ながら私の望んでいる内容ではなかった。私がテーマを読み違えたか。

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私は、野生のシカが増えていることに関する疑問や対応策に期待していたのだが、ここで語られたのは「シカの被害」であった。つまり植生破壊や土壌浸食、そして災害である。その実態の研究は示されたのだが、シカの生態についてはほとんど語られず。

また増えたシカをどうするか、という点については、「駆除する」としか言われない。ハンター不足、猟友会の問題などが登場するかと思ったが、ほとんど触れられず。ただ浸食された土地の植栽や、崩れないようにする小土木技術などが紹介される。

う~ん、それも大切なんだろうけど、私の論点と違う。

かろうじて最後(全体は6時間半の長丁場だった)の15分、会場からの声として、なぜシカが増えたのか、駆除を担当する猟友会の立場とその裏事情……などが出た程度であった。

ただ印象に残ったのは、一人の演者が口に出した「タイミングを逃した。手遅れかもしれない」点だ。レジームシフト、別の言い方ならティッピングポイントを越えてしまって止まらなくなった、つまりシカは増え続け、対策は追いつかない、という指摘だ。

一方で「なんとか流域全体、町も巻き込んで合意形成を」という声もあるが、町の人が参加したら「シカを殺すなんてかわいそう」というシカモリ協会(> <;)なんぞができるに違いない。もっとステークホルダーを絞るべきだと思う。そのうえで冷徹な専門家と実行部隊が必要だ。

なお、私が以前より考えていて、だから本シンポにも興味を持ったのは、本当に「異常なほどシカは増えた」のか、という疑問だ。

奈良公園には、奈良のシカ~神鹿がいる。1000年以上前から保護されており、頭数は現在約1300頭とするが、歴史的に見ても500~1000頭はずっといたはずだ。(戦国時代に訪問したポルトガル人は3000頭くらいいると記録しているが、これは調査した数字ではないだろう。)
ただ明治維新と戦中戦争直後は、保護から外れて数を著しく減らした(数十頭レベル)。おそらく密猟されたのだろう。

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そして奈良公園の一部である春日山原始林の植生は、シカのために荒れている。それを問題とする声も強い。天然記念物(奈良のシカ)が特別天然記念物(春日山原始林)を食べている、と言われている。

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ここで問題になるのは、いつから荒れているのか、という点だ。どうも江戸時代から荒れていたらしい。そりゃ1000頭からのシカがいて、それを駆除どころか保護をしていて、荒れないわけがない。

そう考えると、シカがいる山は、常に荒れた自然になる、のではないか? 自然は常に豊かと思い込まず、人為関係なく荒れた自然はある。植生は貧弱になり、土砂崩れを起こし、地形が変わる。山は動く、土は動く、のだ。

むしろ明治と昭和初期は、シカが密猟されて数が減った異常な時期だった。だから植生が短期間だけ豊富になった……と考えられる。その時期を過ぎて、再びシカの数がもどった今を比べるから「荒れた、困った」となる。

とはいえ、シカが永遠に増え続けるわけがない。どこかの時期に激減させるような環境要素があるはずだ。まさにレジームシフト。それをもたらすのは何か。気象?病気?狩猟?餌不足?天敵? それを探りたい。

 

2025/07/13

林野庁の「木材需給」の数値

林野庁のホームボージに「「令和5年木材需給表」の公表について」というのがある。私は、この手の統計をよく見ている。
なんだかんだ言っても、こうした基礎的な統計の数値を押さえておくことは大切だ。それがあってこそ、好き勝手に論じられるからだが、今年のはちょっと面白い。

いや、面白い意味が違うのだが……。

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見ておくれ。たとえば「木材需給」のところ。

令和5年(2023年)の木材の総需要量は7,985 8,003万35千立方メートルとなりました。前年と比較すると521503万64千立方メートル(6.15.9%)減少しました。
これは前年に比べ、用材が812万56千立方メートル(12.0%)減少したこと、しいたけ原木が1万8千立方メートル(8.6%)減少したこと、燃料材が292311万81千立方メートル(16.917.9%)増加したことによります。
また、輸出量は339万5千立方メートルとなりました。前年と比較すると35万3千立方メートル(11.6%)増加しました。

数字の修正が多い(笑)。発表後に間違いが発見されたのだろうな。以前の数字を消さずに、上に重ねたのは好感が持てる。これも公文書と思えばしれっと修正したら改竄と同じになってやってはいけないこと。

そしてグラフ。

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今回初めて気づいたのだが、「輸入燃料材」が別途色を変えて示された。いつからだろう。以前は表記がなかった。これを隠されると、木材需要が高まっていることになってしまうのだ。インチキ極まりない、と私は指摘していた。これで全容がわかりやすくなった。やっぱり燃料材を除くと、木材需要は落ちている。本当は、国産燃料材の割合も示してほしいのだが……。

いずれにしろ、木材自給率は、43%となった。清算やり直したら42.9%から少し上がったわけだ。一応、最高値である。

ちなみに、私はこのブログなどで後に間違いや、文章がよろしくないと思ったら、しれっと修正する。修正跡を残すこともない。それが自分のブログの特権だよ( ̄^ ̄)。

2025/07/12

ゴム会社が森を購入した理由

北海道でカエデのシロップ、メープルシロップの生産が行われ、販売を始めたというニュース。

ゴム大手、新規事業でメープルシロップ販売 ニッタグループ、北海道十勝の社有林生かし

ようは所有林にあるイタヤカエデヤマモミジから樹液を採取し、商品化し始めたというのだが、私が面白いと思ったのは、その山はゴム製品の大手ニッタだということ。そしてこの会社は大阪市が本社なのだが、北海道の十勝地方に約6700ヘクタールの森林を所有しているということだ。

その理由は、1906年に皮なめしに使うタンニンの原材料となる樹木を求めて十勝に森林を購入したという。今回は、わざわざわくっとニッタ」という会社を立ち上げてメープルシロップを生産するというのだから、力が入っている。

なめし工程でタンニンが必要だったというのは、かつては毛皮を皮革になめす仕事をしていたのか。と思って調べると、製革業をスタートさせ、タンニン製造も仕事にしていたらしい。そして革ベルト製造からゴムベルトに切り替わった、ということのよう。

さて、森林面積670ヘクタールは広いが、北海道では目立たないのかもしれない。これまで同社は社有林で原木や造林用の苗木を販売してきたとある。そして新規事業として、カエデ類約2000本から樹液を採取するのだそうだ。糖度1.5%ほどの樹液を採取し、66%まで凝縮するというから、生産量としては微々たるものになるのではないか。

まともにカナダ産と張り合っても量・質・価格で太刀打ちできないように思う。

むしろ、国産メープルシロップをブランドして、このシロップを使った派生商品開発に頑張った方がいいんじゃないか。スイーツ系のほか、パンやお菓子など、「北海道産シロップを使っていますよ」と宣伝する。

国産メープルシロップの先進地・秩父では、すでに商品開発が進んでいる。

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実際に使っているのは微々たる量でも、それでブランド価値が上がれば、その商品が売れる。結果的にシロップで利益が上がる……と思う。

そういやアサヒビールが所有する広島県庄原市の森林は、もともとコルクをつくるためにアベマキを育てるためだったと聞いた。戦争などで海外からコルクが入ってこなくなることを恐れて、日本でコルク栓をつくれる樹木はアベマキの樹皮だ、となったらしい。

結果的にはコルク栓を採れるまでに成長するには年月がかかり、その頃には戦争も終わってしまったから……。

だが、その森が、現在「アサヒの森」としてFSC認証を取得している。その森林認証の価値で有名になったのだから、元は取れたのではないか。そうした森林の使い方もあるよ。

2025/07/11

民主党系の右往左往

禁断の政治シリーズ(笑)。次に取り上げる政党は、やっぱり民主党系かな、と思う。

系、とつけているのは、離合集散というか、離党、分党、合併……を繰り返しているから。なくなった党も多い。なお自由民主党もあるが、これは民主党系ではない(笑)。社民党も正確には社会民主党だが、入るかどうか。

思えば、私が国会議員と知り合った最初は、社会党から分かれた社民連(社会民主連合)の江田五月氏だった。ただ私が江田さんと会ったのは東ティモール問題関係で、全然政局と関係ない。

その後、社民連を含めて大同団結したのが鳩山由紀夫の民主党。この林業勉強会に呼ばれたことがある。まだ政権を取る前だった。もっと補助金を出して林業を支えろ、という意見が主流の中、いかに現代の林業はダメダメで補助金が人を腐らせたか、林業をまっとうなビジネスにしろ、とぶったので、かなり衝撃を与えたようだ。今は「儲かる林業」なんてことを林野庁が言っているが。

なぜ私を講師に選んだのかと聞いたのだが、林野庁の人の紹介だと応えられた。ちょっと驚き(笑)。

その後、民主党の某議員に誘われて、視察などによく同行させてもらった。なかでも鹿児島大学の某講座に参加するよう勧められて、何カ月も通ったこともある。そしてレポートを提出した。そういや我が家に訪ねてきた国会議員もいた。彼は、今どうしているのだろう。落選後、消息不明。

その意味では、当時の私は民主党系だったのかも\(^o^)/。参政党や共産党を取り上げたら、アンチや支持者が絡んでくるが、今度はどうかな?

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京都府の日吉町森林組合を視察に行ったときの菅直人議員。

菅直人議員は、林業改革に熱心だった。政権を取ると、森林・林業再生プランを立て、日本型フォレスターづくりもやった。ちょっと拙速で、無理もあったが、方向性としてはわかる。林業にビジネス要素を加えようとしたのだ。ところが再び政権交代すると、自民党がそれらの足跡をつぶしにかかる。そして木材増産のビジネスだけにした。
そんな2000年代の民主党時代も含めて林業現場の様変わりを執筆したのが『森林異変』

さて、今の民主党系のだらしなさは見るに耐えない。野党だから言いたい放題だが、実行する能力も現実性もない。意見も政策も公約も思いつき。私で論破できそう。森林や林業に興味を持っている議員がいるのかどうかも怪しい。

国民民主党はうすっぺら。社民党は化石。立憲民主党は迷走中。野田代表は、顔が自民党議員と区別がつかない(^-^;。石破首相と体格も似ている(笑)。だったら、石破さんでいいか?と思ってしまう。今の自民党は少数与党ゆえに、歴代の自民党政権の中では悪くない。比較優位という意味だが。(公明党は論外)

立憲と自民党が大連立を組めばいいと思っている。どちらも嫌がっているが。。。国民民主党や維新の会みたいなのが自民党とくっついたら、共産党のいうところの単なる補完勢力に終わるだろう。拮抗勢力が組むことで、両者が譲り合う。

こんな改革案はどうだろう。民主党系のお家芸である分派活動を容認するのだ。政策はつくるにしても、党議拘束を外す。そうすれば分裂しないで済む(笑)。本当は、すべての政党が党議拘束という非民主的規則をなくすべきと思っている。みんな同じ意見というのが気持ち悪い。議員は個人で動くべきだ。(共産党、公明党は論外)

労働組合にも頼らない。自ら支持者を集め組織をつくる努力をしなさい。参政党は神谷宗幣氏がたった一人で立ち上げ、数年で全国に支部をつくり何人もの議員を抱えた。れいわ新撰組も、山本太郎一人で立ち上げた。芸能人としてのネームバリューはあるものの、数年で議員数で共産党を抜いた。同じことを民主党系の議員も目指せばいい。

以上、私と政党の思い出話から、なぜか改革提案?になってしまった。

 

2025/07/10

ゴーヤの育ちは何が決める?

家の中から、見えた。ゴーヤ。

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一番乗りのゴーヤが実っている。もう少ししたら収穫しよう。

もともとは家の壁を這わせて2階のベランダまで伸ばし、日照を遮るのが目的だった、ゴーヤを栽培したのは。

ところが昨年は、なかなか2階まで伸びない。ゴーヤの実はそこそこついたが、イマイチ元気がない。それはプランターだったからではないか、と考えて今年は地植えにした。家の壁に這わせるにはプランターでないと難しいと思っていたのだが、今回はネットを張りつつ、庭の地面を盛り上げて壁面から離れたところから伸びるようにしたのである。

そして入念に水やりをする。昨年だって、朝夕2度も水を与えたが、最近の酷暑の中では足りなかったのかもしれない、と思ったのだ。しかし、地植えだから、土の量が多く、しかも雨も降る。プランターだと、置き場所が庇の下になって天水はあまり期待できなかったのだ。

おかげで、非常に勢いよく伸びてベランダまでゴーヤの葉が広がっている。実りが遅いかな、と思ったが、ついに第一号。

そのほかキュウリにトマト、シシトウ、トウガラシ……といろいろ収穫しているが、それぞれ場所によって育ちが変わる。

ところが、花ではアサガオに元気がない。ちゃんと支柱があるのに、蔓を上に伸ばさず下の方で固まって花を咲かせている。植物の生理はわからん。

難しいねえ。

 

2025/07/09

モンキチョウ?モンシロチョウ?

この写真に覚えがあるかどうか。

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我が家の庭で撮影したのだが、見た通り蝶が交尾中。

これをアップしたのが、6月14日であった。

その時は、モンキチョウと軽く書いてしまった。見た通り、羽が黄色くて斑紋があるからモンキ、と思い込んだのだ。

しかし、どうも気になる。モンキチョウとモンシロチョウの区別は難しい。モンシロチョウの中には黄変種が結構な確率でいて、黄色い羽を持つ。同じく白いモンキチョウもいるらしく……。これは本当はどちらか?

そんなときに出会ったのが、高校生のS君。高校一年生で昆虫マニアであった。網を持って蝶を追いかけるのだが、その前に一目見て、それがなんという種が同定する。いや蝶だけではない。本人のいうにはカマキリの方が好きらしい。それも、捕まえた小さなカマキリを一目で「チョウセンカマキリ」だと言った。チョウセンカマキリは、通常はカマキリと呼ぶ種で、何も朝鮮半島からの外来種ではない。そして、よく似たオオカマキリとの差を教えてくれた。

マニアともなると、その程度は朝飯前のだろう。

そこで思い出して、スマホの中にあった上記の写真を見せて鑑定をお願いした。

すると゛一種で「モンシロチョウですね」。即断(^^;)。

その見分け方のポイントも教えてくれたが、ほとんど脳裏を素通りする。ようするに斑紋と羽の縁の色合いがどうの……と。
ともあれ私の疑問が解けてよかった。虫マニアとはそんなものなのだろう。なぜ、ほかの科目はからきしだったとしても、虫に関しては、詳細な知識を身につけられるのか。(S君が、ほかの成績がいいのか悪いのか知らない。あくまで一般論。)

オタクの知識、恐るべし。

私が小学生のときに、モンシロチョウとモンキチョウが尻尾の先でくっついていたことがあった。それを捕らえたのだか、当時は人間の下半身がくっついたシャム双生児が有名だったので、町の世界にもいるのか! それにしても別種なのに……と世紀の発見をした思いだった。

大人になって、あれは交尾中で尻尾がくっくいていたわけではないのだろうな、と気づいたが、まだ別種が交尾するのか、という疑問があった。そして後にモンシロチョウの黄変種の存在を知って、ようやく安心したのである。今回見、どちらも黄色のモンシロチョウの交尾であったか。

 

2025/07/08

『実証実験・保持林業』を読む

実証実験・保持林業 広葉樹を残して生き物を守る』(築地書館)を読んだ。

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これは、以前出版された『保持林業 木を伐りながら生き物を守る』続編というべきか。サブタイトルでは、残すのは広葉樹に限定してしまったのだな。

出版日は7月2日になっている。が、私は1週間ほど早く購入した記憶がある。

そして購入より約1週間前にアップされた私の書いた記事。

〈注目〉一部の木を残す「保持林業」って?林業の新潮流、全部切る「皆伐」より森林の再生が早く、生物多様性にも寄与か

Wedge ONLINEに、保持林業の記事を書いたのだが、この時点では上記の本の出版はまったく知らなかった。知っていたら、出た本を読んでから書いたか、出版より前に書いてしまおうと急いだか。結果的に本書の影響は何も受けていない。
いずれにしてもたまには林業の記事を書こうと思って、最先端の動きとして保持林業を取り上げたのである。

ここで紹介したものと、本書の内容は似ている。実践とあるのは主に北海道の保持林業実験地のデータを入れているからだが、その内容は私も報告で読んだからだろう。

私自身は、保持林業というのは中途半端というか、次善の策、やらないよりまし(^^;)と思っていた。なぜなら皆伐が基本だからだ。皆伐面積をどれほどに設定しているかどうかはともかく、バッサリ伐った中に数本の木を残しても、しょぼく感じる。フィンランドでも保持林業をしているが、そこで残すのは1ヘクタール2,3本ということを知っていたから。残木率(保持率)30~40%ぐらいにしないと、「生き物を守る」と言えないのではないか?

と思っていたのだが、この実証実験によると、わりと効果はあるようだ。鳥類に甲虫類、下層植生……いずれも残さない皆伐より優れて生物多様性を保てる。また全面的な皆伐と比べても木材生産性は、ほぼ変わらない。

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ただ、本書を読むと、残し方にはいろいろあれど、多いものは2割ぐらい残すという。しかも広葉樹を選別するらしい。まあ、伐る本数が少なくなれば山主にとっては収入減だろうが、残せば残すほど、生き物のレヒューリアは増える。

そして、広葉樹を残すということは、それが生育すれば針広混交林へと近づくことになる。次の伐採時でも残して、また新たに映えてきた広葉樹も残す……としていけば、植林した針葉樹と天然性広葉樹が入り交じる。針広混交林づくりの手法となり得る。

奈良県では針広混交林づくりを進めているものの、技術的には模索中だ。山林所有者の了解を取るのに難航しているという。広葉樹を植えるということは、金になるスギやヒノキの本数が減ると感じるのだろう。私は、この手法を取り入れてもよいのではないかと思う。減ると言っても、元から映えてきた広葉樹だ。。100年ぐらいかけて2~3度の伐採を実施しつつ完成させるのだ。それは恒続林に近づく。

なお本書は、私が読むより林業家が読んで実践するために使ってほしい。本書には四国の山主が実践に移している事例が載っているが、もっと全国レベルで実践例を増やして各地の条件にあった技術を磨いてほしい。

目次、長いけど、全部転記しておこう。

はじめに

第1部 序論

第1章 なぜ今、保持林業か?……山浦悠一
久万高原町のハリギリ
保持林業とは
人工林と生物多様性
自然保護区の役割とその限界
保護区を取り巻くマトリックスの重要性
世界の人工林経営は環境保全型へ
本書の構成
北海道での大規模実証実験
なぜ保持林業か?
数十年後を思い描きながら、木を残す

第2部 大規模実験の成果

第2章 保持林業の木材生産性……尾崎研一
はじめに
伐採とは
伐採の経費
保持林業の伐採経費
調査結果から考えられること
おわりに

第3章 保持木の生残……明石信廣・雲野 明
はじめに
保持木調査
保持木の死亡率
伐採に対する樹種ごとの反応の違い
気候に左右される保持木の生残
おわりに

第4章 下層植生……明石信廣
はじめに
調査方法
伐採前の植生と人工林の管理の影響
伐採後の種組成の変化と保持林業の効果
おわりに

第5章 外生菌根菌……小長谷啓介
はじめに
外生菌根    ─森林を支える菌との共生
調査方法    ─北海道の大規模実証実験
群状保持区の結果    ─パッチが守る非伐採林の多様性
単木保持区の結果    ─広葉樹保持木の周りに作られた独特な群集
考察    ─見えてきた菌の応答パターン
おわりに    ─多様性に配慮した木の残し方は?

第6章 地表性甲虫……山中 聡
はじめに
調査方法
実証実験から分かったこと
    オサムシ・ゴミムシ類の応答
    腐肉食性シデムシ・糞虫類の応答
おわりに

第7章 コウモリ……河村和洋・赤坂卓美
はじめに
コウモリにとっての森林
森林にとってのコウモリ
調査方法
意外にも活気ある人工林
皆伐の影響、広葉樹保持の効果
おわりに

第8章 鳥類……山浦悠一・雲野 明
はじめに
土地の節約vs共有
調査方法
観察された鳥類
伐採前の広葉樹の役割
各処理の効果
伐採後の広葉樹の役割
おわりに
    コラム1 ポツンと残された孤立木で営巣するクマゲラ……雲野 明
    コラム2 ヨタカ─伐採で守る遷移初期種……河村和洋

第3部 実験のとりまとめと振り返り

第9章 実証実験の10年間の成果をまとめて……尾崎研一
はじめに
世界で行われている保持林業
成果のとりまとめ
    生物多様性保全
    伐採地の風景的価値(保健休養機能)
    機能間の比較
人工林に適した保持林業
    何を保持するのか
    どれくらい保持するのか
    どのように保持するのか
おわりに

第10章 保持林業を現場で作業して……髙篠和憲・伝法和也・佐藤雅彦
はじめに
伐採作業について
伐採後の保育作業や伐採地の様子
おわりに

第11章 道有林で保持林業を実践して……峯岸敏行
はじめに
道有林について
保持林業の導入に至った経緯について
試験地の設定・活用について
研究成果の活用に向けて

第4部 保持林業の実践

第12章 北海道の社有林で保持林業を実践して……髙森 淳
はじめに
取り組んだ経緯
石井山林の存在
ドイツの森林コンサルタント来訪
アイヌ文化保全としての取り組み
現場での苦労、今後の取り組み
おわりに

第13章 高知県のスギ・ヒノキ人工林で保持林業に取り組んで……瀨戸美文・富田幹次・山浦悠一
はじめに    ─本州以南の人工林での保持林業の実証研究の必要性
主伐後の林地で保持された広葉樹の樹種・本数
スギ・ヒノキ人工林における保持林業が鳥類多様性に与える影響v おわりに    ─展望

第5部 今後に向けて

第14章 保持林業の課題と展望……山浦悠一
2024年6月28日、ストックホルム
日本でもやればできる
「広葉樹高木は必ずしも容易に残せない」
保持林業は万能薬ではない
オープン・クエスチョン
風倒リスク
施業指針
労働災害の防止
そろそろ次のステップへ

おわりに
用語解説
索引

2025/07/07

共産党の内向き指向

先日、「参政党と陰謀論と脳内麻薬」というブログ記事を書いたら、湧いてくる湧いてくる、真っ当な議論にならないレベルの批判が。どうやら一部の人たちの琴線?に触れたらしい。政治のことを書くと盛り上がる(オイオイ、チガウダロー)んだね、と感じた次第。

面白いので、もっと政治、政党について書く\(^o^)/。参議院議員選挙期間中にいくつの政党を論評できるかな。

今回は共産党について。実は私と共産党は、わりと長いおつきあい。「赤旗」にはよく紹介してもらっているし、昨日は、共産党のチラシがどっさり自宅に届いた。また某議員の秘書が、私の地元まで意見を聞きに来たこともある。たっぷり現代林業の問題点や林業政策について提言したつもりだが、果たして共産党の政策に影響はあったかどうか。

極めつけは、昨年5月の国会の農水委員会で、田村貴昭衆議院議員が拙著『盗伐 林業現場からの警鐘』を掲げて質問をするという、まれに見る経験をした。いやあ、マジ神!(ギャル用語使ってみた。。。)

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国会のネット動画より。

実は、宮崎県で多発している盗伐案件、警察が動かない中、唯一問題として取り上げたのが共産党なのだ。被害者は最初自民党などの議員にも持ち込んだらしいが、みんな無視されていたのである。しかし共産党では逆効果かな……と思われたが、やはり国会議員が国会で質問すると放置できない仕組みになっている。それなりに議員、大臣クラスの視察が行われたり、林野庁も重い腰を上げた経緯がある。それが伐採届の内容変更にもつながった。完全解決にはほど遠いが、それなりの効果はあった。

ほかにも安倍政権下の桜を見る会事件や安倍派の裏金事件など「赤旗」は数々のスクープをものにしてきた。この手のスクープは報道、そして政治に絶対必要なもので、天晴れだ。そうした点はシンパシーを持つのであるが、選挙は弱い(^^;)。今回の参議院選挙でも議席を減らす可能性が高いとされる。

もはやれいわ新撰組の後塵を拝す有様だ。両者は政策的な方向は似ているのに、むしろ角突き合わせている。近親憎悪か? だがれいわに共産党ほどの調査能力はない。むしろ極端なポピュリズム政策の連呼。そして陰謀論、スピリチュアルな傾向などは、参政党に近い脳内構造と運動手法を持っているように思う。組織内部も信者(支持者)も。だから「れいわ新撰組は左のネトウヨ」と呼んでいる(笑)。

閑話休題。共産党だった。政策やスクープで活躍しているのに、なぜダメなのか。ここで各論は吹っ飛ばして私が感じるのは、内向き姿勢だ。視線が共産党組織内部に向いていて、外部に広がっていない。自らを客観視しない・できない。つまり自分の党第一、共産党ファースト政党なのだ。常に組織のトップの顔色をうかがっている。ある意味、権威主義組織ではなかろうか。

だから政治を動かすために清濁併せ呑むこともできない。政治の最前線に関わりたいのなら、党名変更とか、自衛隊や天皇制を認めるぐらいの表明をしてもよいのに。もっと進めて、自民党との連立を持ちかけるぐらいの度胸を持て(笑)。

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私も、選挙で入れたい候補がいないときは批判票のつもりで共産党候補に入れることはままあったのだが、最近は止めた。「党首公選制」を唱えた党員が即除名されるという仕打ちに恐れおののいたから。(松竹事件)

そもそもみ民主主義国家の政党の党首は選挙で選ぶのは当たり前であるべきなのに、それを真正面から否定する党では、批判票にもなり得ない。あげくに、突然指名によって田村智子議員が代表になった。これって、明らかな禅譲である。いわば思想的世襲制だ。公明党と一緒かな。あるいはフジテレビの日枝体制みたい。

形だけであろうと参政党やれいわ新撰組だって党首選挙したぞ。プーチンだって選挙したぞ。

内向き姿勢なのは、被害者意識が強いからなのかもしれない。殻の中にこもっている人が、外には攻撃的になるのと似ている。その点では、自己肯定感が低い。不安で仕方ないのか。北朝鮮にも似ているかも。


さて、今度はどんな批判がくるかな。炎上商法……じゃないけど、バズッてみたい(笑)。

2025/07/06

第一次産品のコスト表示、可能か?

米価格の高騰で、そもそも「生産現場でかかるコストはいくらなのか」という問題がクローズアップされている。これまでの最終価格はコスト割れを強いていたのではないか、という指摘からだろう。

実は、この問題に関わる法律が、先月国会で可決成立している。「食品システム法」だ。正式名称は「品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律」である。この法律は、合理的な費用つまりコストを考慮した価格形成と、食料の持続的な供給ができるシステムを確立するために作られたそうである。

中身は複雑で、十分に理解できないところもあるが、まず生産や流通などにかかるコストを表示することをめざしている。理念的で努力義務であるから実際にどさほど表示されるかどうか。

実効性を疑う面はあるものの、私は期待している。今回は小さくても方向性を示した。将来的に物販にはコスト表示が必要という理念を示したことになるからだ。ただ工業製品などコストを計りやすい商品ならともかく、農林水産物は非常に難しいだろう。

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キャベツを例にとったコスト計算。生産段階では、種苗、肥料、農薬、労務……費用を計上する。さらに流通過程の包装や集荷、市場、輸送、光熱費……などの上に人件費。そこにマージンを乗せる。
すると関東のキャベツは、コストが122,2円だった。しかし売値は、118,1円。赤字や~! 
ところが卸では少ないながらもマージンをとっていた。つまり結果的に赤字を全部かぶったのは農家なのか……。

ま、そんな状況が見えてくる。私は農業だけでなく、林業も水産業もやるべきだと思っている。木材の生産コストを60年間分計上してほしい。いや50年60年前の植林コストではなく、現代の再生産コスト(地拵え、植林、育林……獣害対策)を計上するべきだろう。そのうえで、木材の価格を決めるべきだと思っている。

本当は環境負荷コストも算出すべきだろう。これまで皆伐すれば伐採コストが安くなると思いがちだったが、逆に環境の破壊度が強くなるので、修復コストが積み上がる。そうなったら皆伐して生産した木材は高くなる。⇒売れなくなる⇒皆伐を止める……となってほしい。
米価格も、それらを明示したら、高くなったことに消費者が納得せざるを得ないのでは……。

まあ、現状では夢物語かもしれない。同趣旨のフランスのエガリム2法も、現場では四苦八苦していることが伝わるが、それでもやり進めてほしい。

トレーサビリティの次はコスト明示。適正価格求めるエガリム2法

無理だ無理だと言われたトレーサビリティの表示が世界的に進んでいるのだから、コスト表示もできるはずだ。

 

2025/07/05

市街地での特伐

たまたま通りかかった生駒市内の市街地で、特殊伐採が行われていた。

急斜面に繁った木なのだが、周りは住宅地。倒す方向が狂うと、電線を切ったり住宅を襲いかねないから木登り伐採をすることになったらしい。

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どうやらここから山ひだに入った奥に砂防ダムを築くことになり、そのための工事用の道路をこの急斜面の崖を削ってつくることになったらしい。そこまでする必要あるかなあ、と思ってしまうのだが、仕方ない。

木登りの準備をしている人を眺めてしまった。どこの団体というかチームだろう、と思ったが、声をかけるのは止めておいた。お仕事の邪魔をするようで。奈良県の特伐チームは幾つか知っている(生駒市にアーボカルチャーの第一人者がいる)が、遠慮したのである。

それにしても特殊伐採、つまり木登りして木を伐る作業は当たり前になってきたんだな、と感じる。逆に言えば、特伐でないと倒せない木が増えたということでもある。今回は道路づくりのためだが、今後は街路樹や公園木、そして庭木の伐採にも普通に行われるようになるだろう。それだけ人の住む近くの樹木の大木化が進んでいるということか。

 

2025/07/04

ハンゲショウの繁みの穴

頭が疲れたから、生駒山の森林公園に行って、リフレッシュを図る。

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湿原にはハンゲショウが繁っていた。おりしも半夏生(夏至から11日頃。農作業で疲れた体を休める日)である。たしかに緑の中の白い葉は涼しげで、ホッとする。昨年は随分減ったと思ったが、今年はよく繁っている。補植をしたのか、それとも自力で繁殖し拡大したのか。

いずれにしても、今年は見応えがある。

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ハンゲショウが繁っている中に、ぽっかりと穴があった。誰か、分け入って荒らしたのか?

おそらくイノシシだろう。ここで寝たのか。暑苦しい奴だ。

2025/07/03

参政党と陰謀論と脳内麻薬

参議院選挙が始まる。私が以前から注目しているのは参政党だ。東京都議選以降、急速に注目を集めているが、それ以前から私は「この党は伸びるな」と感じていた。

ミニ新党が乱立する中、この党はわりと堅実にやってきた。有名人党首が派手な発言で注目を集める新党(NHK党、日本保守党、れいわ新撰組……)と違って、ほとんど無名の党首がコツコツとやってきたのを知っていたからだ。よく言われるYouTubeやSNSの利用の上手さもあるが、日常的に街頭演説やタウンミーティングを多くこなしている。また勉強会もしょっちゅう開く。出席しない者は立候補させないとか。

地方議員づくりに力を入れ、各地に多くの支部を設けている。すでに市町村に地方議員は150人を超えて、支部も300近いのではなかったか。選挙時だけの風に乗って国会議員をポツンと当選させたほかの新党とは違うのだ。

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奈良の大和西大寺駅前の遊説。観衆は多い。私もたまたま通りかかり神谷代表とばったり。思わず握手した(^_^) 。

参政党に感じるのは、主張が素直なこと。それは「わかりやすさ」と紙一重だ。それは陰謀論に通じるのだが、途中経過をすっ飛ばして、訴えかける主張は、聴衆の耳に響きやすい。それが正しいかどうか、ではない。納得感を与えるのだ。日常の不可解、疑問、不愉快なことについて、わかりやすくひもとくのではなく、複雑なものを単純にして訴えかける。人当たりもよく、極端な主張も耳には尖っていない。非難・絶叫型ではなく、コツコツと語りかける。その点は好感を持てる。

一応、断っておくが、私は彼らの主張の多くに同調しない。ただ世情を考えるときに、彼らの存在がヒントになる。

世の中、複雑化するばかりである。政治、経済、犯罪、格差、そして戦争の原因に米価格の高騰まで、真面目に問うと、多様な事象が絡まりあって起きている。それらを理解しるのはかなり難儀だ。いや勉強しても読み解けない。答えはなく疲れるだけだ。

人間の発生させるエネルギーや消費酸素量の4分の1を脳で費やすと言われるが、複雑なことを考え続けると人体に悪影響が出る。そこで無意識に端折る。複雑な内容を単純な構造に置き換えて理解したことにする。それが「陰謀論」だ。「あっ、そうだったのか」と納得してしまう。この単純な納得感は思考のコストパフォーマンスを下げてエネルギー消費を抑えるうえに、快感まで得られる。
それはトランプ米大統領もやっていることだ。彼は頭悪いから、複雑な政治を陰謀論で処理しているのである(笑)。

もう一つ。疲れた脳をリフレッシュさせるのは感情の発露だ。それもシャーデンフロイデと呼ぶ「他人の不幸は蜜の味」感情は、快感ホルモンを発生させる。これが疲労を軽減させる。この脳内麻薬の中毒に陥ると、その快感に依存して複雑なことを考えなくなる。

人類の思考力は、現世の中の複雑さに対応しきれていないのではないか。いわばメモリーが少なすぎ、CPU(中央演算処理装置)の能力が低いパソコンに、膨大な演算を要求するようなものだろう。window95に動画処理をさせるとフリーズしてしまうようなものだ。

どうやら人類の限界が見えたような気がする。脳の能力が低すぎる。私も考えすぎたから、このあとフリーズする。

2025/07/02

アジサイは強し

久しぶりにタナカ山林に行った。

夏は暑いから、億劫になりがちだ。虫も多いし(> <;)。それに最近は自宅の庭をいじるのが楽しくて、つい山は後回しになってしまう。

それでも、行こうと思ったのは、梅雨の前にアジサイを植えたから。それが育っているのかどうか確認しておきたかった。実は挿し木苗を植えてすぐ、何者かに掘り返された。おそらくイノシシだと思うが、なぜ小さな苗を狙ったのかわからない。それでも、すぐに植え直したから、根付いたのか気になっていたのだ。

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おお、ちゃんと根付いている。小さいながらも1カ月経って葉が青々しているのだから、もう大丈夫だろう。あっさり梅雨明けしたので、今後雨が長く降らなかったら心配だが……。

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驚いたことに、花が咲いた跡もあった。長く放置したので咲いた状態を見損ねたが、ちゃんと花をつけていた。こんな苗なのに。

アジサイは強い。実は周辺の木が育ちすぎで日陰になっていたけれど、むしろ乾燥しにくくなったのではないかと思う。

実は10年以上前に植えたアジサイもそこそこ咲きだしていた。

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10年くらいしたら、もっと花盛りになると期待しよう。

2025/07/01

ベトナムの林業はエネルギー産業か

ホームセンターで売っている薪。これからのキャンプシーズン用だからか、山積み量が増えている。結構なお値段だ。燃料としては高くつく。

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今回よく読めばベトナム産とある。

そう言えばベトナムは、大規模なアカシア植林を実行したのだった。森林率を2倍近くに増やしたほどだ。そして、その木の多くが木質ペレットの原料となっている。日本のバイオマス発電所もよく買っているはずだ。おそらく価格は相当安い。

しかし薪にすると、こんな価格になる。一束698円分をペレットにしたら、一握りにしかならないだろう。価格も50分の1くらいじゃないかと思ってしまう。いっそ、薪ばかりにしたらいいんじゃないか。……まあ、日本のキャンプ人口はそんなに多くないけれど。

ベトナムは、あくまで燃料用の木材生産で成り立っている林業なんだな。アカシア材そのものは、ちゃんと太く育てたら家具にも建築材にも使える硬い木だと思うが。
世界の木材需要は、過半が燃料用というが、それは自給的な林業だろう。ペレット加工も含めて海外に出荷している燃料用木材は、ベトナムが世界的な産地ではないか。

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ベトナムの植林地。10年どころか5~6年で収穫するらしい。

〈日本の再エネ支えるベトナム林業〉森林回復と両立させる意外な経営手法と、背後に潜む問題点

2025/06/30

杭はいつ、どこから腐る?

久方ぶりの「杭の上の生態系」である。

森林公園にあった丸太の杭の上に草が生えていた。

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通常、丸太は外側から腐るはずだが、この杭は芯から腐り、そこに土壌のような植物の生える培地ができたのだろう。そこに草の種子が落ちて芽吹いたのだろう。

なぜ、芯から腐ったかと思えば、おそらく杭には防腐剤を含浸していると思う。そのため外側は腐りにくい。しかし薬剤は、芯まで届いていなかったのではないか、そのため外側表面より芯から腐ってほかの植物が生えられる程度になったということか。

このまま様々な草が生えてくれば、その草に虫もつくだろうし、菌類もはびこるに違いない。そこにささやかな生態系ができるのではないか。

大阪万博のリングも、部分保存が言われているが、防腐や耐火を考えると、かなり難しいと思われる。塗料を塗るしかないが、それでは毎年塗り替える必要がありそうだ。あの巨大な、高さ20mもあるリング(の一部)に塗料を塗ろうと思えば、櫓を組まないといけない。そして塗るには何日かかるだろうか。あの櫓のようなリング(の一部)に、櫓がいつも組まれていたら、絵にはならない。

最初から含浸処理した木材を使えば、そこそこ長持ちしたのに、と思わないでもない。でも、芯まで達していなかったら、やはり腐る。

う~ん。やっぱたリングは保存は無理。ゆっくり朽ちるのを10年くらい眺めているのが一番かもよ。

そんなことを、この杭を見て考えたのである(^-^)/ 。

2025/06/29

台湾から北海道へ金山の夢

北海道の静狩金山。すでに金は掘り尽くしたと閉山しているが、ここに外資が続々と4社が、試掘許可を求めている。
今の技術で掘れば、まだまだ金は発掘できる、と睨まれているのだ。それに対して、仮に金の採掘が始まっても、それは環境破壊になるのではないか、と地元では反対の声が高まっている。

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新聞でも、今頃扱いだした。地元では、もっと早くから騒ぎになっている。

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実は私は以前より静狩金山に興味を持って調べていた。なぜか。

それは台湾から始まるのだ。

土倉龍次郎が台湾で事業を始めたとき、その手助けした部下が何人もいたことは言うまでもない。とくに知られているのが、津下紋太郎。そして、彼の指揮下にあったのが、緒方正基と木山与一である。いずれも軍属として台湾に渡り、そのまま軍を離れて居残った人物で、龍次郎と意気投合して彼の事業を手伝ったのだ。

ここで注目すべきは、木山与一だ。石川県出身で智の人として参謀・軍師的な人物だったそうだが、とくに金鉱探しに凝っていた。同じく龍次郎の部下だったアメリカ帰りの清水泰次郎に鉱脈探しの技術を教わって、台湾でも金鉱を探したのだ。実際に九扮で発見したともいう。九扮は、今でこそ観光地だが、元は金山で栄えた地域だった。その一角で金脈を見つけたらしい。

その後、龍次郎の台湾事業に関してもいろいろと活躍するが、そこは飛ばして故郷の石川県に帰国。そこでも金鉱を探して山々を歩き、七尾近辺で見事見つけたらしい。ただ、そうした金山は、大会社に売却して、また別の金脈を探して歩くなのである。

そして、最後に行き着いたのが、北海道静狩。もともと金の出る噂があって山師が集まって来ていたらしいが、1918年に先んじて発見。大儲けをしたという。静狩金山は、全国9位の出金量だったというから、かなりの良金脈だったのだろう。当時は、環境破壊という概念もなかったのだろう。

龍次郎とは帰国後もつきあいが続いたというから、彼の来歴を追いかけていたのだが、こうした人物が龍次郎の周りに何人も現れる。

その後、石川県の県会議員になったが、疑獄に巻き込まれてひどい目にあったという回想もある。まあ、何にしろ愉快な人物である。

そうした静狩金山が、21世紀になって、改めて金脈を探されようとしているのだ。ちょっと本筋とは違うが、龍次郎外伝として紹介しておく。まあ、外伝の前に正伝はどうなったのか、と言われそうだが。

 

2025/06/28

「森林健康経営」会報に『山林王』紹介

「森林健康経営」を知っているだろうか。実は認証制度も設けている、森林経営に一石を投じようとしている存在である。

その機関紙に『山林王』が紹介された。

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一般社団法人森林健康経営協会は、本部が浜松にある。金原明善の地元でもあるから、土倉庄三郎との縁も浅からぬ土地柄である。

思えば土倉翁を森林経営者として論じることは、あまり行われていない。私自身も、そちらに深入りすると、一般人がついてこれなくなるという思いがあって、むしろ社会貢献面に目を向けさせてきた。しかし、改めて森林経営者、林業家としても注目すべきではないか。森づくりの理念とか、働く人々への目配りという面だ。それは林業技術論ではなく、文字通り経営者としてだ。

改めて森林の「健康経営」という言葉が生きてくる。ここでいう健康とは、森林環境の健全化だけでなく労務や経営財務も含まれる。

この機関紙の表紙をお見せする。

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実は、私もYahoo!ニュースに記事を書いている。

森林健康経営~脱炭素と生物多様性の認証が誕生

これを機会に「健康経営」について、もっと考えてほしい。森林だけではないのだよ。世界的に経営理論として広がっているのだ。

ちなみに、人の知らない情報を探り出して提供するのが、私の執筆方針である。この記事は、出色のテーマなのだが…。もっと注目してほしい(^^;)。

2025/06/27

アメリカの森林政策と権威主義

以前から時折触れてきたトランプ大統領の森林政策。いよいよ伐採推進へと舵を切った。

トランプ政権、国有林2300万ヘクタールの保護撤廃を表明 

トランプ政権はこのほど、手つかずの広大な国有林を開発と木材伐採のために開放し、25年間続いてきた保護措置を撤廃すると発表した。見直しの対象となるのは約2300万ヘクタールで、米国で14番目に大きいアイダホ州とほぼ同じ面積に相当する。

ようするに「伐って伐って伐りまくれ」政策である。

これまでは、クリントン大統領時代の2000年に導入した国有林の「ロードレスエリア政策」は、アメリカの国有林のおよそ3分の1にあたる未開発地帯を保護してきた。それを伐採して木材を生産するというのである。

3月に「トランプは森のラストベルトを救うか」という記事を書いたが、正確には森のラストベルトを救いたいのではなく、木材を自給したい、他国から買いたくないのであろう。アメリカ第一主義を唱えているが、そのアメリカの環境には興味なく、経済を強くすることだけなのだ。

自国第一を唱える為政者は、どうも環境に目を向ける者が少ない。独裁者ほど自然に興味ないのか……と思い掛けたが、そうでもない。

たとえばヒトラー。彼は自然保護に熱心だった。ナチス林業と呼ばれる林業形態も推進して木材の増産をめざしたが、実は結構保護している。(戦争が深まるとそうは言っていられなくなるが。)彼自身がベジタリアンであり、有機農法を推進したことでも知られている。神秘主義に陥ると環境保全的になるのかもしれない。また中国の習近平も、森林保全と植林には力を入れている。意外と、自然保護と独裁者には親和性がある。
その点からすると、トランプは権威主義指導者として二流(笑)。

では、実際のアメリカの林業はどのような状態なのか。ちょっとGooglemapでアメリカ北西部を見る。

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意外と皆伐地、それも大規模なものが多い。すでに伐っているところではかなりの規模である。

さて、アメリカで木材の増産が進めることはできるか。衰退した林業は簡単には蘇られない。林業労働者も減っているはずだ。それにアメリカの物価からは結構高くつく。アメリカでも需要が増えるかどうか。日本へ輸出しようとしても、カナダもあるし、あまり増えるように思えない。

2025/06/26

テレビ出演 の裏側

先日、テレビに出演した。と言ってもZoomであり、まだ放送されていないから内容は言えない。ただ、愚痴を言いたくなった(笑)。

私は、テレビなど放送系の出演はそんなに好きではない。書く方が本分だと思っているし、放送というのは多くの人が絡むので、それぞれの意向が混ざり合って私の思いが届きにくいと思っている。

最近はスタジオに呼んでくれることはめっきり減って、たいていZoomなどのオンライン出演になった。おそらく経費削減の影響なんだろう。しかし、このオンライン出演も基本的に嫌いだ。スタジオでみんなで話している中に割り込んで話すのはストレスが大きいし、現場感覚がつかめないから。

ただ出演そのものでは、ほとんど緊張しない。なんだろう、放送を舐めているのだろうな(笑)。だから、さほど苦ではない。依頼されて内容に大きな異論がなければ出ることにしている。

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そんな状況なのだが、今回はげっそりしたのだよ。

何がって、台本があるのだ。台本の内容は事前に打ち合わせて、不満はあっても譲れるところまで押し戻したからヨシとするのだが、Zoom出演で台本通り発言しなければならない。それがどうにも苦痛。内容に間違いはなくても自分の声ではなくなる。

最初は、なるべく話し言葉にかみ砕いて、抑揚もつけていたのだが、そうすると、私の体が揺れるそうだ。Zoomだと、カメラからの距離が変わると、画面が途切れることがあるから困るのだという。さらに視線が動くのも困るらしい。アチコチ見ながら話せば視線は動くが、するとテレビ画面から語りかけているようにならないという。最初に台本の位置を固定して、そこから視線をずらすな、というわけである。おかげで何度も何度もやり直させられる。

しかも、収録時に台本の前後の発言はないのだ。それは後に(プロが語るのを)収録して合わせるという。つまり私のセリフとされた部分だけを発言する。さらに時間内に納めないといけない。その場で思いついたことを付け加えることもできない。

何度もやっているうちに、どんどん棒読みになる。台本の文字を追うだけになる。気持ちなんか、ぜ~んぜん入らない。しかも子供向きの番組だからと、台本の言葉が私の話し言葉とかけ離れている。それらのセリフが何を説明しているのかわからなくなっていく。

私なりに、取り上げる内容を世間に広める役に立てば、という思いで出演をOKしたのだが、もうどうでもよくなった。通常の番組でコメントするのなら、よどみなく話す自信はあるのだが、もはやド素人の棒読みコメントである。

それに事前打ち合わせで、事実と違う内容を伝えることはないようにしたとはいえ、私がキモだと思っている部分については、ほとんど触れられていない。間違いではないけど、本当のことは伝えない番組だ。

今後、台本のある番組、それをそのまま読まされる番組は断ることにするわ。

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私なりに話したかったことはいっぱいあったのだけどねえ。

 

 

2025/06/25

相続山林の賠償責任

朝日新聞では、「大相続時代」という連載を随時行っている。

この不動産だれのもの? 大相続時代 

私も山林相続問題などに口を出すことがあるので、参考に読んでいる。この連載でも一番大変なのが山林だそうだ。

そこで第11回目の最新版。

「ここはどうすれば…」残された9家共有の墓地 名義人は曽祖父ら

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なるほど、墓地か。墓地も所有していたら相続対象だし、そうでなくても墓守問題は起きる。

 

が、私が興味を持ったのは、そこではない。ままず記事の途中にある「不動産の登記簿は表題部と権利部がある」という点だ。これは知らなかったなあ。表題部とは地番や所有者などは示すが、所有権とは別なんだそう。

とくに表題部は山林に多いらしいが、林道もその場合があるらしい。

 

林道の土地に所有者がいるのは知っている。実は我が家のタナカ山林もそれに近い。山林のど真ん中に市道が通されているが、土地は私のものなのである。前所有者が道を通すのを許可したが、土地は手放していないから。しかし、権利を主張するのは無理だ。通行権もあるから私が封鎖することもできない。それどころか通行する者がゴミを捨てていく。

そして、もう一つ。災害時の賠償問題だ。所有地が大雨で崩れて下流部に損害が出たら、賠償責任を負う。これも理論的には知っていた。私も記事にしたり、他人に説明する際に触れている。ただ、現実には自分の山が崩れて、その土砂が他人に迷惑を掛けたとして、賠償責任を負わされたケースはないと聞いていた。天災だもの……。

ところが、この記事の最後の方に、土砂の撤去費を支払ったケースが載っている。うわあ。あるのか。

これは、相当怖い。遠くの持ち山が崩れて、それで他人の所有地や国道や県道を埋めた、あるいは家屋など財産を破壊した、なんてことになったら賠償しなくてはならないのだ。

道路沿いの木が倒れて道をふさいだ場合も同じか。

たとえば、自分の山が盗伐されて丸裸にされたら、それ自体は被害者なのだが、そこが崩れることで加害者にもなってしまう。そして賠償要求が来るかもしれない……。

実際に違法・合法に関わらず、皆伐が増えて崩れる山は増えている。それらの損害を山主に請求が来たらどうするんだ。「責任だけを代々受け継いでいく」という恐ろしい状態になってしまう。

 

追記・また新聞に不在地主の賠償責任の記事。

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2025/06/24

万博リングの行く末

昨日、6月23日は沖縄慰霊の日だけではなかった。実は、万博の大屋根リングを閉幕後どうするのか、決定する日であった。

プレジデントオンラインにも以下のような記事を書いていただけに気になる。

早くも「万博リング」の押し付け合いが始まった…「保存も地獄、再利用も地獄」のどうしようもない建造物の実情

で、出した結論は……。

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大阪万博の大屋根リング保存、防火規定除外案軸に検討 9月にも決定

大阪・関西万博の大屋根リング保存に向け、大阪府・市は23日、閉幕後の法的な取り扱いについて、防火対策が除外される「準用工作物」とする案を軸に検討すると明らかにした。9月末にも開く日本国際博覧会協会の理事会で結論を得ることを目指す。

同日、国、経済界、協会と開いた会合で、準用工作物として建築基準法上の主要な耐火・防火規定を除外する案、同法上の建築物の特例として国土交通相の認可を得て耐火対策を緩和する案、道路法に基づく歩道橋として残す案の計3案を示した。特例適用の審査に要する期間や必要となる改修の観点などから、準用工作物とすることを本命視する。

今後、管理主体や財源についても詰める。万博運営費の剰余金や、地方創生交付金といった国の補助金、大阪府・市の自主財源を充てることを想定する。

あれ? 何も決まっていない……。9月末に結論???3案???

先送りではないか。耐火規定などを除外とか緩和とかいいのか? 歩道橋として残す案というのも……。

こんな記事もある。

吉村氏、こだわった大屋根リングの原形保存 費用負担など続く神経戦

残すのも陸上部の200メートルなのか、海上部の350メートルなのか。何も決めていなかった。せいぜい、人が上に登って歩ける形にする、という点だけか。それも費用問題が解決していないが。

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ただ、一つわかったのは、現在のリングは耐火性能などの基準が緩和された形の「仮設建築物」として扱われているのだが、その仮設許可は2027年2月まであるということ。つまり、後1年半は使えるということだ。

ならば……この1年半を無料公開しておいてはどうか。それで、皆さん満足するのでは。そして、その後すっぱり撤去する。

実は、私もたった半年で「撤去なんてもったいない」と思っていたのだが、よくよく考えると維持は大変なのだ。木造ゆえに物凄い維持管理の手間がかかる。リング上の花壇や芝生だって、世話を見ないとあっという間に枯れる。

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耐火だけでなく防腐などを考えると、とてつもなく金がかかる。風によっては揺れるから、接合部が何年持つか。それを維持できるよう改修するのは大ごとだ。

そして、今ならパビリオンもあって景色がいいが、それがなくなり、あまり眺めて楽しいものでなくなる。10数年後にはIRとやらの鉄火場リゾート施設になる予定だが、それまでみっともない工事現場なのだ。多分、今の人気は急降下。誰も行かなくなって、負の遺産化するだろう。

いっそのこと、リングを木造建築とはいかなるものか、徐々に朽ちていく様子を示すパビリオンにしてしまうのも考えられるなあ。

 

2025/06/23

酒の島・沖縄

今日は沖縄慰霊の日。沖縄戦は6月23日に組織的戦闘を終えた。写真は、先日訪れた浦添城にあるガマ(洞窟)の中に設けられた慰霊碑。浦添城は、首里王朝以前の中山王朝の城なのだが、この丘の争奪で激戦があったところである。

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ここでは沖縄戦の被害の一つとして、泡盛の酒造所について触れたい。泡盛は、琉球王国では王と貴族の飲み物とされた。とくに長く寝かせた泡盛は古酒(くーすー)として価値が高まる。だが地上戦が行われたため、古くからの酒蔵はほとんど破壊されてしまった。

ところが、たまたま夜入った店が泡盛にこだわった店主だったため、うんちくをかなり聞かされた。それによると、現在酒造所が47もあるというのだ。そして沖縄戦で貯蔵していた泡盛が全滅したから、80年を越える古酒の泡盛はないと言われているのだが、実は戦災を逃れた甕も少し見つかっているのだそう。なかには160年ものがあるそうだ。

しかも、各酒造場がいくつもの銘柄を出しているので、「多分、全銘柄は1000ぐらいあるんじゃないか」という。毎年のように新しいのが出るという。とても全部揃えることができないのである。わりと全国的に有名な久米仙も、久米島の久米仙と那覇の久米仙があるとか……。

その後、国際通りを歩くと、泡盛専門店、古酒専門店がいくつも並んでいる。私はふらりと入って地下の倉庫に入れてもらったのだが、そこには何百種もの泡盛、そして泡盛以外の酒が並んでいた。その中には、こんな酒も。

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焼酎でも泡盛でもない新たな酒「IMUGE(イムゲ)」が登場していたのである。芋でつくっているのだが、芋焼酎ではない。分類上はスピリッツだというのだ。その根拠はよくわからないが、泡盛は王侯の酒であるのに対して、イムゲは庶民の自家蒸留酒なのだそう。米は使わず芋と黒糖で醸造し、それを蒸留している。戦前にはあった酒を復活させたという。

また泡盛以外にも、沖縄産のウイスキーやジン、そしてラムが並ぶ。ウイスキーと言っても米でつくっているのだから泡盛とどう違うのか……。シェリー酒の樽で寝かせた酒もある。ほかにパイナップルワインも見かけた。ヨーグルト酒とかミルク酒とか、なんだかわからない酒が山ほどある。何種類も味見をさせていただく(強い酒をストレートで何杯も!)だけで、かなり酔ったよ。

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それにしても、人口と比して酒蔵が多すぎる。全国販売をしているメーカーは少ないから、みんな島内で消費しているのかね。もはや沖縄は日本最大の酒産地として捉えるべきなのではないか。酒の島。主産業は酒(笑)。世界に売り出せばいい。酒による地域起こしも可能だろう。

ちなみに私はラムの原酒(50度)を買ってしまったよ。黒糖の酒と言えば、奄美の黒糖焼酎を思い出すが、それは米で仕込んで黒糖で味付けをする。こっちは純粋に黒糖だけで仕込んでいる。強いのに甘い香り。

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2025/06/22

キノコはどこから現れた?

戦争。犯罪。他者を貶めることに快感を露骨に感情に満ちた世界。

もうニュースを読むのもイヤになるのだが……そんなときは庭に出て、気分を変えよう。そこで庭の事件簿。

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庭のプランターに植えたタチアオイの根元にキノコが……。もう一つ、こちらのプランターの花の中にも。。。

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面白がっているのではない。キノコ自体は庭に生えてもかまわないのだが、今回生えてきたのは、移動させることも考えて植えたプランターなのだ。ある意味、庭とは別の世界に同じキノコが次々と生えてくる。土はホームセンターで購入したものを使っている。

庭には土ぐらいいっぱいあるように見えて、あまり掘り起こすと、すでに生えている植物に影響が出るので、意外と手に入らない。コンポストには土に還った生ゴミもあるが、まだ使うのは早すぎる。というわけで購入したのだが……。

離れたプランターに同じ種類のキノコが生えてきたのだから、この土にキノコの菌糸が含まれていた可能性は高い。どこで生産した土なのか確認し忘れたが、国内でも遠く、下手すると外国の土を使っている可能性もある。購入した土の中に菌糸が相当広がっているのだろう。いまのところ花に影響は出ていないが。

そういや庭に勝手に生えてくる雑草も、たいてい外来種。もしかしたら土の中の微生物だって、在来ではないかもしれない。生命体の移動は、どのように起きているのか気になる。もしか3したら在来の菌糸と外来の菌糸がぶつかると、そこに競争が起きて戦っているのかもしれない。どちらが勝ち残るか。それとも共存・棲み分けできるのか。ああ、この世は難しい。

口直しにアジサイの花。

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2025/06/21

「昔ながらの樽丸づくり」展

川上村の匠の聚(たくみのむら)」に行ってきた。ものすごい山道を登っていった奥にある。

ここは芸術家を集めた川上村の一角で、山村には似つかわしくない?おしゃれなカフェとギャラリーなどを備えている施設。これまで洋画や彫刻などの展示も行われていたが、今回は「昔ながらの樽丸づくり」展が開かれていた。

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樽丸とは、樽とか桶の素材。スギ材を割ってつくるものだが、かつて吉野林業は樽丸林業と呼ばれるほど樽丸に適したスギ材を生産していたのだ。今では木製の容器そのものが貴重品になってきた。

展示品は、単に樽丸の作り方を示しているだけではない。その材料は、400年生の「歴史の証人」と名付けらているスギなのだ。日本遺産、林業遺産にもなっている「歴史の証人」を伐採する勇気(^^;)なのである。人間が植えて育てた木としては日本最古級とされるが、それを末永く残していくのではなくて、人が使うために育てた木であることを示すために伐採された。

大きな目的としては新たな学校の建設に使ったものの全部使いきれない。梢部分など残された部分をそのまま山に残して腐らせるのはもったいない、と企画されたという。昔ながらの方法を再現するため、ちゃんと山で木を割って、背負子で背負って山を下ろしたそうだ。

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そんな山里の民俗的な展示の面白さはともかく、ここのカフェはよろしい。この山々の風景を見ながら、スムージーなどをいただける。川上村一番のおしゃれ空間である。(それが古民家カフェなどではなく、コンクリート打ちっぱなしの建物なのだ。)

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ほかにも美術館もあるし、隠れた見どころがある。なんでもかんでも自然ばかりを売り物にするのではなく、アートでモダンな空間があることは、田舎暮らしに一服の彩りになる。

 

2025/06/20

バナナの街路樹

那覇の町を歩き回っていて出くわしたもの。

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街路の植樹桝、つまり街路樹を植えるスペースに生えているのは、バナナだった。つまり、このバナナは、街路樹なのだ! 沖縄ではバナナを街路樹にするのか!

と、いたく感動した(笑)。

しかし、バナナは1年生植物だから、冬になったら枯れるはずである。まあ、それもいいかもね。思わずバナナの花はないか、稔っていないか、と周りをチェックしてしまったよ。

これ、酷暑の夏を迎える本土でも可能じゃない? 大きく育てば日陰もできる。南国気分で夏を乗り越えられる。そして冬は枯れてなくなる(撤去する)。その方が大きくなりすぎる街路樹問題も起きなくてよいのではないか。

2025/06/19

Wedge ONLINEに「保持林業」の記事を書いた裏事情

Wedge ONLINEに「一部の木を残す「保持林業」って?林業の新潮流、全部切る「皆伐」より森林の再生が早く、生物多様性にも寄与か」を執筆しました。

Wedge ONLINEは、森林や林業などの分野に限らず書かせてくれるので有り難い。そこで先に街路樹や樹木葬、過疎地にモンベル、古墳のお宿……など幅広く扱っている。

それでも、たまには?林業関係の記事を書こうかと思っている。そこで森林・林業白書に「生物多様性と林業」という特集テーマがあったので、それにちなんだ記事を書き始めたのだが……面白くない(^^;)。我ながら生物多様性というのは具体性に欠けて雲をつかむような話になりがちだ。

そこで事例の一つである保持林業にクローズアップしてみた。

本音では、十分に生物多様性に寄与する林業というよりは、現在の皆伐施業との折衷案ぽいのだが、それでもやらないよりマシ。

問題は、写真だ。文中で触れた北海道の実験地の写真を使いたいと思ったのだが、気づいたら締め切り3日前で日曜日。白書の写真なら自由に使えるはずだが……と思ったが、小さすぎる。ほかにあるのは許諾を取らないといけない。時間的に無理だ。

というわけで、私が静岡県の天竜林業地で見せてもらった写真を使うことにした。

ここはブログなので、林野庁のホームページにあった小さな写真をこっそり?張り付けておくね。

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2025/06/18

沖縄の印部石

沖縄に行って、ぜひ見たかったのが、これだ。

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この石ころ(笑)。高さ50センチくらいだ。何やら遺跡ぽいが……まあ、遺跡ではあるのだが、古代の巨石文明の名残……とかいうのではない。

ようするに測量の起点とした目印。印部石という。琉球王国全土を測量して地図をつくった際の忘れ形見のような石である。

問題は、それがいつ行ったのか、という点だ。1737年からなのである。地図づくりと言えば、党賞するのは伊能忠敬である。精巧な測量による日本地図をつくったことで知られるが、それは1800年から初めて17年間かけた。その後も蝦夷地など残ったところは弟子たちが受け継いだが、完成したのは1904年とされる。

つまり、伊能より63年も前に測量して琉球全土の地図がつくられたのだ。それも三角測量を基とした精緻なもので、現在の地図に見劣りしない。
で、こちらをつくったのは宰相の蔡温の命令による。日本で最初の地図づくりはこちらに譲るべきだろう。

しかも、この時期はフランスで三角測量が始まってさほど年数が経っていない。フランス全土の測量が始まったのは1682年。地図の完成が1737年……あれ、琉球の測量開始と同じ年だ。この速さ。三角測量技術が中国(清)に伝わり、中国から見た属国琉球の位置を知るために測量術が伝えられ、蔡温はいち早く取り入れて自ら地図をつくってしまったのだ。完成時と比べても17年しか差がない。

そして蔡温の地図は、その後、「林政八書」と呼ばれる林業技術書にも受け継がれる。

まあ、そんな原点の印部石が見たかったのである。かつては沖縄全土に1万以上あったそうだが、いまは200くらいしか確認できていないという。とりあえず私の行ける場所で探したら、浦添城跡にあることがわかった。「仲間あさと印部土手」と呼ぶ。

これ、地元の人でも知る人は少ないらしく、聞いて回ってようやく確認。こんな石を見る観光もよろしいだろう。

ちなみに浦添城跡とは、首里の琉球王朝より前の中山王朝時のもので、これも面白い。戦争でかなり破壊されたらしいが、復原が進んでいる。首里だけではないのだよ。首里と浦添は、いわば京都と奈良みたいなものだ。首里は観光客だらけだったが、浦添は静かなものだった。奈良と似ているだろう(笑)。

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2025/06/17

那覇の書店、そして新聞

いきなり沖縄に来ている。

アチラコチラを歩き回っているのだが、やはり那覇のジュンク堂書店にも寄らねばならないのである(義務)。

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ありました。拙著が並んでいる、林業棚の一番上には、訳本「フィンランド虚像の森」もある。

それにしても、沖縄の本屋は面白い。沖縄関連本のコーナーがハンパなく広いし、古書まで扱う。沖縄の出版社も多くて、内地にない本がいろいろ並ぶ。

さらに戦争本もすごいボリュームだ。なにしろ今年6月23日は、沖縄の戦闘終了(玉砕?)80周年なのだから。

沖縄タイムズの紙面。

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戦争で亡くなったとされる21万人の名を全部載せるという挑戦だ。

そんな勇気のある新聞社は、内地にはないだろうな。

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