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森と林業と動物の本

2025/03/19

木育流行り

奈良県の三郷町(大阪との県境)に奈良おもちゃ美術館が明日、3月20日にオープンする。

東京おもちゃ美術館が全国展開するチェーン店の一つである。おもちゃと言っても木製が多くて、木に親しむ施設として全国的に広がっている。たしか全国に13くらいあって、そのうち幾つかは私も訪ねた。自治体など公的機関の運営が多いが、民営もある。岩手県の花巻おもちゃ美術館は林業会社の経営だ。

Topics_open奈良おもちゃ美術館(HPより拝借)

Dsc05718花巻おもちゃ美術館

奈良の施設も、刺殺じゃない視察したい希望はありつつも、オッサンが一人で入場料を払って入るのは恥ズすぎる。子供連れで一般目線で行くのがよいのか。あるいは「視察するぜ!」と上から目線で行くのがよいのか。誰か行く人の後ろにくっついていくのがいいな。男ばかりだとよりハズいけど。

もともと、ここは奈良産業大学のキャンパスだった。それが奈良学園大学に改名して奈良市に移転したので、その跡地に設立された施設だ。昨今、閉校した学校施設の使い道がいろいろ模索されているが、おもちゃ美術館も学校跡地に多い。三郷町の場合は、場所が山の上ではなかったか。

ところで、奈良に極めて近い大阪のイオンモール四條畷にも木育施設ができるようだ。

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すでにイオンモール大和郡山にも木育広場が作られている。

5_20250319121801イオン大和郡山

どちらも無印良品が運営しているようだが……そのほかスーパーマーケットなどでも木育的な子供を遊ばせる一角を設けているところもある。なんだか木育流行り? これらは無料だから、集客メインなのだろう。子供を連れてきた親は、無印かイオンで買い物をするから。

木育を否定するわけではないが、私はいま一つ効果面で限定的と感じている。木のおもちゃで遊ばせといたら木に親しみ、森に親近感持つだろう……なんてのは子供なめてんのか、と思う。それに木材から木、森へと意識を広げられるのか。

絶対に必要なのが、理念やマンパワーだ。インストラクター、ガイド抜きでは教育効果は弱く、そうした人員を配置するのはコストがかさむ。結局、ボランティア頼み。自治体運営が多いのもそのせいだ。
集客も、イオンのように買い物目当ての客がいないのなら、よほど頑張らないと時とともに厳しくなる。むしろ民営の方が真剣さがあるかも。

さて、どうなるかな。

2025/03/18

常緑樹の落葉

我が家のミカンの木が、最近よく葉を落とす。昨年(~今年)は、よくミカンを稔らせてくれたのだが……。

ミカンは常緑樹。冬も葉を落とさず常に緑……のはずなのだが、かといってずっと同じ葉をつけ続けるわけではなく、生え代えるものであることはわかっている。五月雨式に葉を落とし、また新葉が生えてくる……のだが、この春先には、かなりの葉を一気に落とした。落葉樹なみだ。もちろん裸になったわけではないが、密生からスカスカになった感じ。

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実は、剪定もした。ミカンは、この時期に余分な枝を刈り取っておかないと新たな枝が少なくなり実がなりにくいからだ。できるだけ重なり合う枝葉を切り落とした。そんな剪定をしている最中に葉を落としだした。大丈夫か?

まだ次の葉が生える様子はないのだけど。こうした常緑樹の庭木には、目隠しの意味もあって、我が家も隣家から家の中が見えないように常緑樹を多く植えているのだが、春先は落葉樹もまだ新葉がないし、常緑樹も葉を落としたもんだから、なかなかの見通しになってしまった(^^;)。

ほかにも常緑樹はたくさんあるが、みんながみんな落葉しているわけでもない。

ちなみに我が家は、なるべく有機物を外に持ち出さないようにしているので、これらの葉も溜め込んで積み上げ堆肥にする予定。ミカンの実のジュースを絞り終えた果皮もコンポストに入れて、寝かせている。


ともあれ常緑樹の落葉について、もっと意識してみたい。

 

2025/03/17

獣害でそば屋が休業

奈良県天理市の高原地帯に「荒神の里 笠そば」というそば屋がある。

すべて自分たちで栽培したそばを使っていることが名物だ。それも挽き立て・打立て・茹がきたて 。それなのに、そばを出せなくなったため一時休業するという。その理由は、獣害だそうだ。

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詳しいことは書かれていないが、昨秋の収穫時期に獣害等により壊滅的な被害を受けた事から、皆様方に地元産のソバを提供する事が困難な状況となりました、とある。

獣害とは、イノシシなのか、シカなのかわからないが、壊滅的とは……。高原だからイノシシはこれまであまりいなかったと思うのだが、登ってきたのか。あるいはシカが柵をかいくぐったのか。いずれにしろ5月には在庫が底を突くのだろう。他地域からそば粉を仕入れてまで開業を続けないとは、思い切った決断。

ここは個人の店とは違って地域おこし的につくられた店だ。

もともと山の中の高原地帯で、1978年に始まった国営総合農地開発事業、つまりパイロットファームとして60ヘクタール以上の巨大農地を造成したのだが、このような国主導の農業は何を栽培するか、どうやって売るかを考えていない。栽培するものに困る例もよく聞くが、手間のいらない作物としてそばが人気。それはこの施設も同じだ。私も、よく似た事例を各地で聞くのだが、実は成功しているところは少ない。たいてい失敗するのだねえ(> <;)。

ここでも4分の1に当たる15ヘクタールでそば栽培を始めた。とはいえ、そば粉だけでは利益など出ない。輸入品にかなわないからだ。
だが1994年に結成された笠そば栽培促進協議会女性部が、そばの加工と販売、そば打ち体験教室……などを始めた。素人のそばうちからスタートしたのである。栽培から加工・販売まで一貫して地元で行うそば屋として、笠そば処がオープンしたのだ。

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かつてのそば畑と笠そば処。なかなか繁盛していた。私自身も、幾度も訪れている。名人級の美味いそば……とまでは言わないが、それなりに楽しめる。ほかにも農産物直売もやっていたはずだ。

それにしても15ヘクタール分のそばを食い尽くすとは、どんな獣害だろうか。

 

2025/03/16

カワイイが最強?陶芸と木彫

先日、訪れたイタリアンレストラン「こもれびガーデン」。実はふらりと入ったのだが、わりと知られた名店だったらしい。予約せずに訪れたことを驚かれたほどだ。幸い昼には少し早い時間だったので、もぐりこむことができた。

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ランチコース。なるほど味は本格的だ、と思わされたのであるが、それ以上に目を引いたのがお皿や器。なかなか味のある、凝った代物。しかも全部一品もので、違う。何よりかわいい。いむゆる何焼とか陶芸家誰それの作品……といった陶芸品ではない。

ここで食事した人が、この器に魅了されて欲しがるそうだ。このレストランの裏手の一角に小さなログハウスのお店があって、購入できるらしい。その見せとレストランは別経営で、敷地のオーナーが一緒なだけだが、見事な連係プレー(笑)。

その店「風色~kazeiro」も覗いてみた。何人かの陶芸やガラス作家の手びねり作品を扱っているのだが、いずれもテーマはポップでカワイイ、ことだろうか。ちょうど「わんことちゃんこの器展」を開いているそうだ。そのHPより拝借した写真で紹介すると、

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犬や猫の顔、てんとう虫、トンボ……といったものがモチーフの作品が目立った。

ほかにも陶芸にありがちな土の色だ釉薬がどうだ……というこだわりよりも現代的な犬や猫をモチーフとして色もデザインも今風。

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なるほどなあ。時代はカワイイ、か。。。。

そう言えば前より気にかけていた木彫作家がいる。

はしもとみお、という女性の彫刻家なのだが、主に犬や猫などの動物を彫る。得意とするのは、亡くなった愛犬や愛猫そっくりの姿。大変な人気で、注文しても何年も待つという。私も展覧会に行ったことがあるが、カワイイがテーマであった\(^o^)/。

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木彫でもっとも格式が高い作品は仏像だろうが、それよりも人気なのがペットなど動物なのである。ほかにもオランウータンやチンパンジー、ヒツジ、カメ、ワニ……と多彩であった。それもしぐさが従来の動物木彫とは一線を画す。なぜなら……カワイイから。
別にこれらの作品に芸術性はない、というつもりはない。作品そのものの出来は十分によい。感動させる力もある。ただ、従来の木彫(あるいは陶芸)作品づくりとは違った波がここにはあることを感じた。

価格は知らないが、仏像を彫るより人気を呼んで、人々の心を捉えるだろう。

芸術に限らない。求められるデザイン性と時代について考えさせられたのである。

 

2025/03/15

最恐!謎の洞窟神社

久々の生駒山探検。前々より目をつけていたのだが、場所の確定も含めてなかなか行けなかった廃神社。

これは恐いよ~。超弩級の恐い神社であり、謎多き宗教施設。

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一応、ハイキング道沿いにあるのだが……あまり利用されていなさそうな道をたどる。そして、少し逸れたところにある鳥居。もっとも、ここに行くには巨木の倒木をいくつも乗り越えなければならないのだが……。

この辺りは巨石がごろごろしているのだが、その隙間に幾つも仏像が安置されている。神社なのに仏像なのだが……。それだけなら、あまたある廃神社と同じ扱いなのだが、ここには洞窟があるのだ。

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ようやく見つけた入り口。当初は、生駒山の洞窟は石灰洞でも火山洞でもないし、岩の隙間だろう……と思ってなめていた。が、わりと深さがあるみたいなので、懐中電灯とヘッドランプを用意して臨んだのだが……。

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いきなり謎の神様。ここで終りかと思いきや、脇から奥に伸びるルートがあって……


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迷路のようにグルグル廻りながら、岩の隙間なのかどうなのか洞窟を進む。すると、次々に登場する仏像。これは恐い。

どうも、少し石積みがあるし、それなりの加工はされているようだが、生駒山にこんな洞窟があるなんて。。。


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最深部にドドド、と並んでいた仏像群。これは恐かった(泣)。

全長は何十メートルだろうか。匍匐前進まではしないが、かなり身をかがめて進まねばならない。その後、一度外に出てから、再びちゃんと細部を調査しようかな、と思ったが、怖くなって止めた。出られなくなったらどうしよう……と感じてしまうのだ。私が消えても誰も気づかないだろう。

しかし、これを誰がつくったのか、神社を開いたのか。南無妙法蓮華経の碑がたくさんあったので、日蓮宗系の寺院と関わりがあるのだろう。見たところ新興宗教的でもあるが、各所にある石の加工物も含めて、かなりの財力と労力がいるはず。……と理性的に考えるものの、やはり恐い。

生駒山は「日本最古の里山」と私が呼ぶだけあって、自然とともに人為の跡が数多く残る。むしろ人為に左右されてできている自然でもある。

ネットには、かなりこの神社の探訪記がアップされていたが、あえて神社の名前は記さないでおく(笑)。

ただ、ここに至る途中は、こんな廃墟というか、むしろジブリ的な景観も見られるよ。

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このトンネル?を抜けて、廃道のような道をたどっていく。

2025/03/14

トランプは森のラストベルトを救うか

アメリカのトランプ大統領の言動と政策には、まったくうんざり来る。ときに反吐を吐きそうな気分になる。だいたい法律ではなく大統領令ばかりなのが恐ろしい。

が、今回の大統領令はどうだろうか。あまり大きく報道されていないようだが。

トランプ氏、国有林の商業伐採推進する大統領令に署名 関税対象のカナダ木材依存脱却

内容は、国有地での商業伐採の「即時拡大」を掲げたもの。

当局に、認可の迅速化や絶滅危惧種保護法などの環境保護規制を回避する方策を検討するよう指示している。「外国の生産者」に頼らないよう木材の国内生産を拡大するのが目的で、「米国には、国内需要を十分にまかなえるだけの豊富な木材資源がある」と説明している。ちなみに昨年、アメリカで消費された木材の23.6%は、カナダからの輸入だった。

アメリカは、木材輸出国である。ただ、国境を接しているカナダからの輸入も多い。それを国富の流出だとトランプは感じたようだ。アメリカ北西海岸地帯に森のラストベルトがあるように、仕事を奪われた林業労働者も多い。彼らは麻薬や酒に溺れていく。林業振興で、それらの問題をアメリカ国産材の増産で解決する!


しかし消費者に求められる木材は、丸太ではなく製品としての木材である。ちゃんと製材・加工していないと消費者は使えない。林業労働も高度化しており人材育成なしに使えない。そして森林は機械の並ぶ工場ではなく生物資源としての複雑さを持っていることも理解しているとは思えない。

仮にアメリカが木材生産を増やしても、それを即消費者に届けるのは難しい。製材をどうするか、林業労働力は足りているのか。価格は跳ね上がる、そして伐採のよる環境破壊や再造林など跡地問題の考えねばならない。さもなけれは持続性を失う。

ただ…これを読んで、日本でもやれと思う林業関係者は多いだろうな、と感じた。日本でも「豊富な木材資源がある」とどこかの省庁が連呼しているし、「外国の生産者」つまり外材ではなく国産材を使え、そのために国産材の生産を拡大しろ、という声が強い。国有林を伐ろうという動きが広がっているのも同じかもしれない。日本の林業家はトランプ主義者だった?

しかし、林業労働者が不足し、量も質も安定的に供給できない、乾燥・製材・加工も追いついていない。外材と国産材の材質が違って代替にならない、原木は安いのに製材品になると価格が跳ね上がる産業構造。そして再造林の低迷……などの課題が横たわる。そもそも木材需要が伸びていず、非木質建材もいっぱいだから、価格が上がれば木造建築は減るだろう。アメリカより厄介だ。

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アメリカの人工林

日本の森のラストベルトを救う政策とは何か。アメリカが反面教師になるかな。

2025/03/13

Wedge ONLINEに「古墳の宿…」の記事を書いた裏事情

Wedge ONLINEに「奈良にある日本最古の道にオープンする“古墳民宿”SNSが生んだ新たな観光資源」を執筆しました。

「奈良にある最古の道」とは、山辺の道のこと。おそらく弥生時代からあった道とされ、古墳時代に入ってからはヤマト王権の主要な豪族の領域だった。おかげで、周辺に何百何千という古墳が並ぶ。天皇陵だけでいくつあるか。

その中の古墳の一つ、西山塚古墳が宿になったのである。全長114メートルの前方後円墳だ。

実は、毎日新聞奈良県版の大和森林物語に記した記事が元になっている。昨年から幾度も取材していて、ようやく記事にしたのだが、奈良県版だけでは惜しいので、Wedge on lineにも紹介したわけである。

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この写真は、2月に取材に行った際のもの。墳丘からのものだが、雪が積もっていて使うのを諦めた。

今回は切り口を少し変えて、媒体の性質も考えてビジネスマン向けに、事業展開を重視した内容にした。

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こちらは、昨年のまだ建設中の写真。いかにして、資金を調達し建設を進めたのかが面白い。こんな可能性あるんだなあ。

 

2025/03/12

徳田虎雄本から思い出した自身の経歴

先日の東京で移動中にスケジュールの隙間があって、その際に目についたBOOK OFFに入った。ここで20~30分くらい時間を潰そう。

そこで見つけたのが、この本。

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わが語録 真実を求めて~生か死か』(徳田虎雄)。日本最大の病院グループ徳州会の総帥だった徳田虎雄の本である。内容は、写真とキャッチな語録を組み合わせた妙な本。

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なぜ、この本に注目したかと言えば、編集したのは私だから。そう、私の作品なのである。初版は1986年3月18日とあるから、なんと39年前になる (@_@)。いや、本づくりには半年1年かけたから40年前の私の仕事だ。

もちろん私一人でつくったのではなくて、当時勤めていた出版社のほかのメンバーもいるし、実際の進行ではデタラメなこと、ひどいことが幾度も起きて最後は放り出していたが……。それを昨年10月に再版……というより復刻していたのか。まあ、徳田虎雄が亡くなったことに合わせて柳の下のドジョウ狙いなのだろう。

この本の裏話をすれば、凄まじい事実がいくらでもあるのだが、時代的には徳田の前半生にすぎないし、もはやどうでもよい。ただ気づいたのである。

この年の7月に、私は処女作を出版している。それが『不思議の国のメラネシア』。出版社に勤めながら、別の出版社から自分の本を出版するという真似をしていたのであった。まあ、出る直前に会社は辞めていたが(笑)。

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実は前年1985年にペンネームでも本を出していた。これはゴーストライティング?みたいなものだから書名は出さないでおこう。

言い換えると、私にとって今年は出版を仕事として始めて40周年ということだ。う~ん、ちょっとショック。うぎゃあ、と悲鳴を上げたくなる。そんな年になったか。

以来、私は何冊の本を書いたのか。ちなみに87年には『チモール知られざる虐殺の島』を出版している。

森林ジャーナリストとしての本は『「森を守れ」が森を殺す!』が最初で、こちらは96年出版。その後、だいたい毎年1冊は出している。

だが、これらの歩みの前に、編集者としての本づくりをしていたことを思い出したのである。この徳田虎雄本のほかにも関わった本は何冊かある。

でも、今年出版する本はないかな……。

 

2025/03/11

川上村の山火事

今日は別件で東吉野村と川上村に行く予定があった。となれば、昨日起きた川上村の山火事が気になる。

ただ奈良は朝から結構な雨が降ったので、もう鎮火しただろうとわりと楽観視。

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実際、現場をダム湖対岸から見ると、段々畑跡が焦げているだけに見える。

だが地元の人に聞くと、まだ鎮圧とも鎮火とも連絡はないという。消防団も待機中。

役場前には災害派遣の車両が並び、上空には自衛隊のヘリが舞う。

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ダム湖の水を汲み上げ運んでいた。

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3.11の日の出来事である。

2025/03/10

林業機械に林業3原則を植え付けろ!

林野庁が、「林業機械の遠隔操作に関する安全性確保ガイドライン」に関する意見を募集していた。つまりパブコメの募集なのだが。

意見公募の趣旨・目的・背景
近年、林業の安全性及び生産性の向上を目指した林業機械の遠隔操作技術及び自動運転技術の開発が進展しています。このうち、遠隔操作林業機械は実用化段階にあり、自動運転林業機械は開発・実証段階にあります。これらの新しい技術の導入により、林業の労働に関する諸課題の解決が期待されている一方で、その運用に当たっては、これまでにはない危害が生じる可能性があります。
これらの状況を踏まえ、林野庁では令和6年7月に「林業機械の自動運転・遠隔操作に関する安全対策検討会」を設置し、遠隔操作林業機械を使用することで新たに生じるリスクを回避・軽減することを目的としたガイドライン案の検討を行いました。本案について、広く国民の皆様から意見を募集し、提出いただいた意見を考慮しつつ、ガイドラインを策定することを目的として行います。

遠隔操作できる自動運転機械は、建設土木の世界では少しずつ導入が始まっているが、いよいよ林業界にも入ってきたか。

これが普及すると、もはや林業家の質がまったく変わってしまうような気がする。森の中で過ごしたいという人は求められないかも。もっとも、ここではあくまで「安全性」が課題なのだね。

私は、いっそ林業の基本理念を林業機械のAIに植え付けてほしいと夢想する。

かつてSFの世界でロボットが普及することを見越して、作家のアイザック・アシモフは「ロボット工学3原則」を提唱した。ロボットの開発には、この原則を守ることが必須なのだ。それは作品「わたしはロボット」の中の話なのだが、広くその原則はほかの作家の作品にも取り入れられている。

第1原則:ロボットは人間に危害を加えてはならない
第2原則:ロボットは、第一原則に反しない限り、人間の命令に従わなくてはならない
第3原則:ロボットは、第一、第二原則に反しない限り、自身を守らなければならない

それに匹敵するような原則を林業機械にも設定できないか。

第1原則:林業機械は森の生態系を破壊してはならない
第2原則:林業機械は森の資源を持続的に利用しなくてはならない
第3原則:林業機械は第1、第2原則に反しない限り、利益の出る作業をしなければならない

こんなん、どうかなあ。どれも、林学の世界では当たり前の原則だ。林業は保続にありと100年以上前から言われてきたし、資源を枯渇させてはならないのも決まりきったこと。そして儲からない作業をすることは経営ではない。

多分、今の林業家なら「ムリ!」と言って投げ出すかも(笑)。

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研究途上のロボット。人が操縦しつつ、何百キロもの物体を運んだりつかんだりできる。

2025/03/09

仁徳天皇陵墳丘の植生

大阪堺市の大山古墳、通称・仁徳天皇陵の墳丘部に研究者が初めて立ち入ったというニュース。

日本最大の大山古墳、初の立ち入り 歴史・考古学系の17学会・協会 

世界遺産になりつつも調査を拒んできた宮内庁だが、一度天皇ほか皇室関係者の意見も聞いてみたいものだ、と思っていたが……。ようやく立入が認められたというだけで前進だが、その写真を見て思ったこと。

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この新聞記事の、いつもある空撮ではなく下の墳丘部を歩く写真(堺市・宮内庁提供)が気になる。これではわからないと思うのなら、ネットの記事の中には10枚披露されている。内部を歩くのは2枚だけだが。

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意外と明るいので驚いた。見た目は、墳丘にはびっしり木々が繁っているように見えるのだが……。どうもギャップ(空隙)があるようだ。しかも、足元には落葉のない部分も。なんとなく、道ぽくなっている。

そこでグーグルマップでも確かめる。

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思い切り拡大すると、意外や土部分の見える箇所がいくつもある。また倒木も確認できる。崩壊が起きているのか。ナラ枯れか。加えて草原ぽい箇所もあった。全部が全部、森に覆われているわけではなかったのか。

これまで立入禁止と言いつつ、実は人は入っているような気がする。こっそり侵入ではなく、宮内庁関係者も何らかの口実を設けて上陸している可能性だってある。

以前、某地であった宮内庁の考古学関係部署にいる女性とあった際に、御陵を調査したら大変なことになる、トンデモなものが出土している……と言っていたことを思い出した。天皇制に激震が走る?

もっとも、この大山古墳だって、仁徳天皇とは時代が違うと言われているし、そもそも江戸時代まで一般人が普通に出入りしていた。そしてはげ山だったという。畑を作っていたんじゃなかったか。幕末に尊皇思想が広がったからか、植林した記録もあるのだ。本当は葺き石で覆った石づくりの古墳に直すべきだったと思うが……。

天皇陵の調査に入れて喜んでいるのは歴史・考古学系の学者だろうが、植生調査もしてほしいね。森林系の学者も立入を申請したらよいのに。

2025/03/08

芽吹きと鳥害

庭にも春の気配が感じられる。

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これはニラ……ではなく、スイセン。食べたら死ぬ。ただ、こんなところにスイセンの球根を植えた記憶はないのだが。
そしてアジサイも芽が膨らんできた。ここで、どこまで古い枝を刈り取るか悩む。

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やはり最大のエポックは、これ。ついにフキノトウが出た。なんとか我が家でフキノトウ収穫をできるようにしようと思って昨年移植したのだった。フキの葉は枯れたが、芽吹きの準備が。
ただし、これは収穫しない。まだ一つだけだもの。これは放置して大きく花を咲かせるのを待ち、その種子が庭中に飛ぶことを期待している。それで庭のそこかしさにフキが育てば、いよいよフキノトウを収穫できるだろう。

一方で、庭の最後の柑橘を収穫した。これはナツミカン系が稔る木なのだが、果汁があまり多くないので通常は収穫しない。食べるのが面倒くさいから(^_^) 。誰か皮をむいてくれ。ただ、実をつけたままだと母樹が弱ると聞いたので、今年は採ることにした。

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だが、よく見ると、穴が開いた実も多かった。鳥だろう。

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不思議と真冬でなく、春先になってから柑橘類の鳥害が増えた気がする。鳥は真冬に何を食べているのか。

2025/03/07

謎のウイスキー

昨夜は飲み歩く。一人で(^○^)

今日はウイスキーの気分。まずはバーボン。それも知らない銘柄だったが、次は何にしようか。バーテンダーと相談するが、決まらない。

ふとバックで目に留まったのが、このボトル。

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まったく知らない銘柄なのだが、この盆栽ラベルが気になったのだ。スコッチなのに盆栽。

で、頼んでみる。

auchentoshan2010の13年ものらしい。オーヘントッシャンと読むらしい。銘柄だけでなくボトラーズも知らない。ローランド地方のシングルモルトのスコッチ。

しかしauchentoshanと検索すると、ラベルが違う。探した末に、2010年のブレンドは特別らしい。が、それでもラベルが違う。さらに特別の13年ものだけが盆栽ラベルだったのだ。

ロックでいただく。意外や甘い香りとまろやかな味わい。これはイケる。クピクピと飲んでしまう。

ハッと気づいた。あわててアルコール度数を見る。52.5度だった。チョーきつい酒だった。

酔うわ~。でも、旨い。盆栽スコッチ、旨い。

夜中に胃が痛くなったけど。

2025/03/06

Y!ニュース「三陸は山火事の多発地帯……」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「三陸は山火事の多発地帯。大船渡の山の復活を考える」を執筆しました。

大船渡の山火事に関しては、幾度もYahoo!ニュースにコメントをつけているが、さらにコメント要請が続く。またテレビ局からの取材も入る。いやあ、私は山火事の専門家ではないし……と思っていたが、同時に記事の内容、これでいいの?間違いではないけど誤解されない……? と思うものも目立つ。

そこでまとめて記事にすることにした。

とは言いつつも、被害を強調するのもイヤなので、復活の芽も考えておくことにした。もちろん被害は甚大で、避難者も苦労していると思われるが、あまり悲観的にならなくてもいいんじゃない? と思っている。

生態系はもちろん、人もレジリエンス、復元力を持っているし、持ってほしい。

ちなみに写真は、相変わらず苦労している(^^;)。Yahoo!には大船渡の山火事の写真がないよう。手持ちも当然ない。探すと、釜石の山火事の跡地のものが出てきた。もちろん、これも私が撮影したのではなく、当時の記事を書くために提供してもらったもの。改めて使わせていただくことにした。焼けた跡地が緑に覆われていて、ぴったりではないか。

2025/03/05

花粉症番組で「スギは冤罪」と力説

昨夜、テレビ出演した。「TOKYO MX」テレビだから、東京ローカルになるのかな。

その中の「激論サミット」という番組。テーマは花粉症だ。この時期は、何かにつけ花粉症関連の番組や記事が求められる。

依頼があったのはほんの数日前(実は東京滞在中)なのだが、当初、東京のスタジオへと言われたので、「私、奈良在住なんですが、東京までの交通費と宿泊代を……」というと、ペンディング(^^;)。同時に、概要を聞いて「無花粉スギは有効か」とか林野庁の政策を取り上げるというので、全否定しておいたから、まあ出演はないだろうな、と思っていた。

ところが、再び「出演者がいなくて」と再依頼があり、オンライン出演となった。(東京に呼んでくれないのかよ。お江戸で遊ぼうと思ったのに……と、ちっとは思った。)それでも、私の花粉症に冠して書いた記事は読んでくれたようで、その路線でもいいということになる。

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これは仮台本。

ただ始まる前の挨拶で、司会の堀潤さんが、「大船渡の山火事」について触れたので、思わず山火事と三陸地方について論じてしまい、「こちらをテーマにした方がよかった」となりかけた(笑)。

しかも本番でも、最初に「花粉症って、何か問題か」と降られたので、思わず「スギではない」論を展開。その後の流れをぶった切る。出演者にはドイツ人のメントラインさんもいたのでヨーロッパの花粉症の話になる。幸い、みんな乗ってきてくれた。出演者の中にも、「舌下免疫療法で治りました」という人(西内啓さん)もいたので、ようは求められるのは治療法ではないのか、スギを減らすことばかり考えるのは本末転倒である!という論調に引っ張る。だいたい世界中でスギ以外の植物の花粉症があるのだから……となった。

いやあ、私としては我が意を得たり、でしたよ(⌒ー⌒)。

最後に求められた一言でも「スギは冤罪だ~!」と叫ぶ。再審を乞う。

 

2025/03/04

トランプ、木材にも関税か

連日、ニュースでトランプ米大統領の顔が映ると気分が鬱になる。

ゼレンスキー・ウクライナ大統領とのやり取りなど、下品なマフィアの脅しのようで、交渉手段としては下の下だ。(それにしても、大統領、副大統領が同席するのはいかがなものか。あそこに爆弾テロでもあったら、両者共倒れ。リスク管理はしないのだろうか。)

とまあ、ちゃちな外交評論がしたいのではなく、問題は脅しの手段に関税関税、と連呼する点だ。アホなんだなあ、とため息。

あまり話題になっていないが、木材にも関税をかけると言っている。

トランプ氏、木材にも関税検討 海外依存度の高まりを問題視

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毎日新聞によると、トランプ米大統領は、木材の輸入が米国の国家安全保障を損なっているというのだ。

アメリカは、いうまでもなく木材輸出国だ。日本もたっぷり買っている(建材だけでなく木質ペレットも)が、同時に輸入国でもある。近年は 国内の木材サプライチェーンが弱体化したため輸入量が増えていることを問題視しているらしい。
主に輸入先は、カナダや中国、ブラジルなど。これらの国は巨額の政府補助金で木材をダンピングしているというのだが……。

カナダは国境地帯で木材のやり取りをしているのだから、輸入も多いが輸出も多い。これを問題視するのが不思議だ。中国は、製品輸入だろう。中国産木材ではなく、何に加工しているのかを考えるべきだ。ブラジルから輸入する木についてよく知らないが、樹種が全然違うので代替できるのかどうか。

ちなみに日本も、近年はアメリカへの木材輸出が増えている。中国やフィリピンで加工してから輸出する分もある。それが関税で止まれば……。

まあ、大統領以下が森林はいうに及ばず環境全般に興味がない(というより環境保全を敵視している)のは想像できるが、国内の木材供給力を強化するため、森林伐採の許認可手続きを簡素化する命令も出しているそうだ。

ようするに、伐って伐って、伐りまくれ!……なのだろう。

仮にアメリカ国内の伐採量が増えたとして、それらが国内需要に回される保証はない。むしろ、だぶついた分を輸出に回す可能性も高い。日本にも米材が押し寄せる可能性もなきにしもあらず。今度は外材価格が暴落するウッドショックを招くかもしれない。

前回のウッドショック時では、せっかくの値上がり時期に増産せずにチャンスを逃した。遅れて増産した時には価格は下がっていた。今度はどうする? 国産材は、いかに対応すべきか早めに考えておかないと、また置いてきぼりだろう。

2025/03/03

自然尊厳法人~自然に法的な人格を

タイトル読んで、???な人も多いかと思う。だが、実際に決定したことだ。

ニュージーランドでは、森林や山や川に「法的な人格」を与えているのだ。

今年1月には、タラナキ山(マオリ語でタラナキ・マウンガ)を、人間と同じ権利を持つと認めるとした。この山は、ニュージーランド北島で2番目に高い標高2518メートル。タラナキ山とその周囲の山頂と土地を含む。
法律で、タラナキ・マウンガには人間と同じ権利、義務、責任、賠償責任が与えられた。植民地時代に(白人政府に)接収されたこの山が、マオリ族から盗まれたことも認定され、補償がおこなわれる。なお山を管轄するる法人名は「テ・カフイ・トゥプア」。法律で「生きた、分割できない全体」と認定した。

実は山だけではない。2014年には北島の広大な原生林「テ・ウレウェラ」に人格権を付与。これが自然に対して法的な人格を与えた最初で、ちゃんと法律を定めている。もちろん世界初の国である。政府の所有権はなくなり、トゥホエ族がその保護を担うことになった。

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また2017年には、北島のワンガヌイ川「アワ・トゥプア」(祖先の川)として法的な人格を認めている。

ニュージーランドで山に人格権認める法案が可決、先住民マオリの世界観認める

ニュージーランド政府は、「森、川、山に「生きた存在」として法律で権利を認めているわけだ。

法的人格とは、法律によって組織や団体に与えられる法律上の人格で、権利や義務の主体となる資格(権利能力)を指す。法律に従い一定の手続きを経たものだけに法律ではの人格が認められるものだ。一般に株式会社もNPO法人も、この法的人格がある。ならば、一定地域の自然に関与するステークホルダーが法人を設立するケースもあり得る。

 

これまで私はノンヒューマンズ・パーソンズという考えに触れてきた。こちらは動物全般であり、世界に広がっている。

ノンヒューマン・パーソンズ~動物に“人格”が認められる時代がやってきた

野生動物にも法的人格を与えて尊厳を持って対応しなければならないという考え方が世界に広がっているのである。

ニュージーランドは、動物という枠さえ飛び越えて、森や川や山、言い換えると自然そのもの、いわば生態系や景観に人格を認めたのだ。

もちろんこれらの法律は、先住民マオリの存在と信仰、理念、思想……などが基礎になっているのだが、決して飛び抜けたものではないだろう。そのうち世界に広がる可能性もある。自然尊厳法人とか自然共有法人みたいなものが定められて、普通に登記が行われるようになるかもしれない。

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勘違いしないでほしいが、人格を認めたらすべて保護するものではない。家畜、実験動物、そして獣害からの駆除も認められる。会社だって廃業・解散できる。人間が人間を殺す死刑も法的に存在しているのだから、自然を開発することもできるだろう。ただし、法的人格を尊重して行わねばならない。駆除するにしても、痛みや苦しみを与えない。自然も開発しても劣化させないようにしなければならないのだろう。

コモンズの悲劇は、超えられるだろうか。

モクレポに見る木材輸入額推移

林野庁のモクレポが出た。

モクレポ令和7年2月号

いつも木材輸出関連に目を向けがちだが、今回は輸入額のデータを見てみた。

概観は、こんな具合。

・2024年(令和6年)の木材輸入額(HS44類)は、前年比104%の1兆4,567億円。木材輸入額第1位はベトナム、第2位はEU、第3位は中国となった。
・ 品目別の輸入量を見ると、丸太が前年比88%と減少する一方、製材が前年比119%、合板が同107%と増加した。

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なんと、輸入先の一番はベトナムである。二位のEUに差をつけ圧倒的だ。が、数年前は1000億円に届かず4割程度だったのだ。急伸したのは、いうまでもなく木質ペレット輸入であろう。こんなもの、木材貿易と思えない。燃料なんだから、石炭石油と一緒にしたらどうか。

品目別を見ると。

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なんと、木質ペレットやチップなどの項目がない。隠すな(笑)。

しかも大半を占めるのが、丸太は北米、製材はEU、合板はマレーシア、インドネシア。ベトナムは、合板のところにちょっこと名を出すだけで額はしれている。

金額的にも、木質ペレットを除くとEUの製材が非常に多い。

輸出額と比べると、単位が二桁ほど違うよねえ。

2025/03/02

平城宮跡のコーンと古墳

安全コーン。よく工事現場などの周辺、あるいは進入禁止場所の入り口に置かれている円錐形のものだ。たいてい合成樹脂で造られている。

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平城宮跡の大極殿前に見かけたコーンは、竹製……ではなく、中は合成樹脂製のようだが、竹のカブリモノをしていた。日本製かどうかはわからないが、和風感を出す。風景に溶け込みすぎて、逆にコーンの役目を果たしていないような気もする……(^^;)。

とはいえ、なかなかオシャレではないか。景観に配慮している。

奈良では、意外とこうした身近で気づかないところに配慮がある。東大寺大仏殿前のトイレは、木の囲いがあってトイレぽくないし、コンビニも目立つ赤や青の色彩を隠している。こういう街のエクステリアに木を使うことを景観木工と呼んでいるが、土地のイメージを左右する。

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最大の木工……いや木造建築物。大仏殿に次ぐそうである。

ところで、この大極殿の北東、少しのところに巨大前方後円墳が発見された。コーンだけでなくコフンにコーフンである。

ただ墳丘はほぼ削られており、敷地は道路や住宅地になっているが、出土物や周辺に掘られた溝から推定されたという。今になって大王級の古墳が新たに見つかるとは……。しかも蛇行剣で有名になった富雄丸山古墳とのつながりもうかがえて、どの豪族の誰の墓か気になるところ。墓が潰されたのだから、大王家に距離を置いていた人物かもしれない。

奈良で巨大な古墳跡を発見 全長200メートル、前方後円墳

前方後円墳が造られた時代からすると、平城宮の建設は、ざっと300年くらい後になる。開発のためには(古い)遺跡を破壊するのは当時からやっていたのだなあ。ほかにも平城宮では約40の古墳が壊されているという。

訪ねてみようかと思ったが、雨だし、きっと見学者がごった返しているのではないかな。
実は、ほんの少し前には南西部分に巨大建造物が見つかっている。こちらは貴族の邸宅跡と推定されている。

何かと出る場所なのである。その周辺に、またコーンが置かれるだろうな。

 

2025/03/01

靖国神社のタイワンヒノキと戦艦陸奥

東京滞在中に、靖国神社へ寄った。次に訪問するところの道行にあったうえに、約束の時間まで2時間近く空いていたので、ちょうど時間潰しになる。しかも神社は森があってゆったりできるからである。これまで靖国神社は鳥居前までしか行っていなかったから、これを機会に見ておきたいと思う気持ちもあった。

そして、やっぱり見るのは社殿に使っている木材(笑)。本殿、拝殿ほか、いい木を使っておられますなあ。

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これは神門だが、なんと太い丸太か。直径1メートル前後の柱が12本。顔をくっつけて匂いを嗅ぐ。やはりヒノキの香りがする。ただ、ちょっと日本産よりきつい。1934年に建てたそうだが、タイワンヒノキだろう。樹齢1000年級の木と思う。(ちなみに私は、各地でタイワンヒノキを使っている建築物を訪ねるのを趣味とする。)

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境内には、戦友会による献木がいっぱいあるが、やはりサクラが多い。かなりの大木が文字通り林立する。サクラは、軍と兵隊のシンボル的な木になっているのか。

だが、その前に見た文楽「妹背山婦女庭訓」では、こんなセリフがある。

梅は武士、桜は公家よ、山吹は傾城。杜若(カキツバタ)は女房よ。色は似たりや菖蒲は妾、ボタンは奥方よ、桐は御守殿、姫百合は娘盛りと撫子の」。

武士、つまり戦う者を例える花はウメなのである。戦闘力がなさそうな公家がサクラ(^0^)。そのほかの例えも面白い。御守殿とは、将軍の娘を意味する。傾城は絶世の美女かな。でも遊女の意味もある。山吹をそれに当てるのは、太田道灌に蓑の代わりに山吹を差し出した女性のことか。“七重八重花は咲けども山吹の実の一つだに無きぞ悲しき” の和歌である。

ちなみに靖国神社の中にも梅林はある。それも献木のようだ。

さて、もう一つの見どころは、遊就館である。ようするに戦争博物館だ。ホールに零戦やビルマ鉄道の蒸気機関車C56が展示されてあるほか、中には鑑賞爆撃機彗星や特攻機桜花、震洋艇……などの展示もある。明治維新の戊辰戦争以降の戦争関連の資料が豊富にある。ここでは西郷隆盛は賊軍だね。

が、注目したのは、こちら。戦艦陸奥

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瀬戸内海に沈んでいた戦艦陸奥の砲塔を引き揚げたものが、なぜかここにある。なんで、これが? と思うだろうが、実は私の仕事に若干関わっているから。内容は今のところ秘密(笑)。いかに引き揚げたのか……。

これを見たから、靖国神社も仕事で訪れたことになるかな。

2025/02/28

文楽に出る木の種類と建築へのツッコミ

昨夜まで東京に行っていた。何をって、いろいろあったのだが、最大の目的は「文楽鑑賞」。

演目は「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」という大作で、なんと3部構成10時間! 休憩は幾度かあるが、全部合わせても2時間ぐらい。つまり約8時間座りっぱなしで鑑賞したことになる。多分、途中で逃げ出すだろうな、ずっと寝ていたりして……とか想像していたのだが、しっかり全部観きった! 途中幾度かは睡魔に襲われたけど、全体としてはじっくり鑑賞、感動したのであった。

そもそも演目は、奈良が舞台である。まず妹背山とは吉野川の両岸にある二つの山のこと。話は天智天皇を軸に展開するのだが、場所は飛鳥だけでなく三輪山に奈良の猿沢池も登場すれば、吉野川も重要な役割を果たす。そして奈良のシカを殺せば死刑……というネタもあって、時間も舞台も時空を飛んでいるのだ。

話も盛りだくさんで、悲劇かと思えば吉本ばりの喜劇要素もあるし、ホラーにもファンタジーにもなる。自分の幼い息子殺しとか猟奇的な場面さえあった。

さて、せっかくだからトリビア的な指摘を(^_^)

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これは、妹山背山の段。真ん中に流れる川は、吉野川(え?)右手が背山、左手が妹山。川をはさんでのやり取り(いや、吉野川は幅100メートル以上あるんだけど……)の末に、妹山の女性は首を打たれて背山の男の元に運ばれ、首だけの花嫁になるのであった (゚o゚;) 。

で、この両屋敷の障子。木枠に紙を張ったものは、飛鳥時代にはなかったと思われる。わずかに正倉院に残るものにそれに近い家具があるとされるが、当時、紙は貴重品でこんな一面に貼れなかったはずである。

さらに、写真はないのだが、この障子を開けると床の間が登場する。またひな人形が飾られている。う~ん、これらも登場したのは室町時代だなあ。また首だけの花嫁の婿となる男は切腹しながら結婚式を上げる… え え、え~(゚o゚;) が、切腹も鎌倉時代から室町時代の武士の作法である。このように時空を飛ぶ(^^;)。

こういうツッコミばかりだとイヤラシイので、もう少し楽しい話題として、権力を握った蘇我入鹿の豪華な御殿について語ってみよう。

 

それによると「メノウの梁、サンゴの柱、水晶の御簾、ルリの障子」だという。どんな建築物なんだ。さらに飛び石はコハク、砂は金銀。釣殿に登ると春日の杉は草のようで、猿沢の池もお庭の井戸に見える。どんだけ高いんだ。

よい匂いがするのは、縁側の板が伽羅と沈香だから。どちらも香木である。そして学問所は唐木~カリン、紫檀、黒檀、タガヤサン(鉄刀木)と南洋の稀少木の名が続く。まあ、その後、掛け合い漫才のようになっていくのだが……。

 

この演目は江戸時代中期に成立したようだが、この時代の木材の使い方や、価値基準などが読み取れて面白い。

なお、私が東京まで観劇に行ったのは、招待されたから。なぜならテキストにこんな記事を書いたからである。

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奈良のシカを殺すと死刑というのは、この文楽で取り上げたこともあって世間に広く知られるようになる。ちょっと誇張も入りすぎだが、伝説をつくった作品である。 

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実際の観劇には、このテキストを首ったけで突き合わせながらであったv(^0^)。さもなきゃわからない。

この表紙の女・お三輪は、登場時分は喜劇的だったのに、最後は残酷な殺され方をする。これも涙。

2025/02/27

街路樹の寄せ植え

東京の町をよく歩いた。すると、ひどい街路樹が目につく。根元をコンクリートかアスファルトで固め、根が盛り上がって来たら重しで押さえ込み……。もはや虐待かと思うのだが、平河町界隈では別の現象を見た。

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寄せ植え(笑)

勝手に生えてくるわけないし、行政がやることでもない。植物的には、問題があるかも知れない。狭い植樹枡の中にたくさんの植物を詰め込むのは。

でも、近所の人がやったのだろうな、と思うと、楽しくもある。

2025/02/26

洋酒樽の世界

北海道旭川に樽工場ができたというニュース。

旭川にウイスキー樽工場 京都のメーカーが建設へ 北海道産ミズナラ使い

この樽、洋酒樽である。たまに話題になる日本酒や味噌、醤油の醸造に使うスギやヒノキの桶樽とは違う。

実は、この記事に登場する有明産業には、私は以前より興味を持っていた。樽や桶の復興が話題になる際に、それとは違う洋酒の樽は広葉樹、とくにオーク(ミズナラ)でつくる樽だ。同じ樽でも別の世界。

もしかして、今後は洋酒樽、広葉樹材の樽が伸びるのではないか……なんて思っていた。この記事によると、実際に道産ミズナラを使ったウイスキーなどの熟成樽製造を計画し、2027年4月稼働予定という。

もともと有明産業は、宮崎県に基幹工場を持っており、年間5000~6000樽を製造しているという。ただ材料は、海外産のオーク材が5~6割を占めるそうだが、道産ミズナラの酒樽も年間1000~1500樽製造しているとある。新工場が同規模としたら、5000樽ぐらいつくることになり、一気に2倍になる。

そうか、需要はあるんだ。ジャパニーズ・ウイスキーが持て囃され、なかには海外産のウイスキーを日本で樽に漬け込んで数か月で「日本産」に化かして出荷することもあると聞くが……。当然、ウイスキー以外の洋酒にも使えるだろう。

日本のミズナラの大径木は、そんなに潤沢にあるわけではないので、そんなに規模が増やせるのか、とも思える。しかし、ほかの広葉樹材でつくる可能性だって探ったらいい。あるいは、細いミズナラ材を活かして樽にする技術開発をすることも考えられるかも。

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大阪キタのサントリーバー。古い樽材から家具をつくる動きも、そこそこあるね。

こんな記事も書いていた。

酒樽から作られた家具

 

2025/02/24

再造林すればいい、のか

このところ、林野庁や林業各道府県も再造林を強く押し出している。木材生産量を増やせと言いつつ、再造林をしっかりするように、というのはマッチポンプ的でもあるが、とにかく皆伐をしても再造林をすれば大丈夫と主張したいかのようだ。

私は、この発想に疑念を持っている。「皆伐したら再造林する」というのは、最低限の努めであり、やらないよりマシぐらいである。やってもダメなケースも少なくない。やり方の問題もあるし、そもそも伐るべきでなかった林地もある。
各地の素材生産業者や自治体の林業関係部署が「再造林したから、いくら伐ってもかまわないのだ」と言い出す予感(すでに、そう思っている業者も多いだろう)がして、ここに問題点の一つを記しておきたい。

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ツリーシェルターの林立する再造林地。
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私が全国の林業地を回っていた昔、地元の方と酒を酌み交わしたりしていると、ふと出たのは「皆伐の跡に植えてもダメだ。次の代の木は今のようには育たない」という声だった。ようするに樹木、つまり枝葉と幹を持ち出せば、それだけ土の栄養分は失われる。次の植林木は今と同じように育たない……というのだ。

私は、若干専門的な反論をした記憶があるが……細かな土壌養分の収支や施業法のあれこれはともかく、理論的に木材を森から持ち出せば養分は失われるのは間違いない。また皆伐すれば表土の流出が起きやすくなることも事実で、それによっても養分は失われる。

この点は、先に紹介した四手井綱英氏の『日本の森林』(中公新書 1974年初版)にも載っている。

皆伐することで栄養分の豊富な腐植土A0層が失われやすい。一回伐れば1割、2割と失われ、3回転くらいすれば育たなくなる(可能性)を指摘する。

この点に関しては、堤利夫氏(四手井教授の後輩)の『森林の生活 樹木と土壌の物質循環』(中公新書 1989年初版)に、やや反論じみた記載があるのだが、それでも徳島県の木頭林業地のスギ林で、皆伐を繰り返すごとに土壌中の炭素、窒素の集積量の減少が起きたことを指摘している。

ただ次世代の森林が戻ってくると、次第に定常常態に戻るという記述もある。問題は、それがどんな周期かということだ。戻るのはリター、つまり枝葉が地表に落下して、腐植することが前提だ。また、山地斜面の上からの土壌の移動によって、ミネラル分の供給が行われるケースにも言及している。ただ、結果的にそれが足りているのかいないのか、わからないのである。

地力の維持からみて伐期をできる限り長くすることが望ましい」とある。そして林地にも施肥をするべきともあるが、後者は現実的ではあるまい。

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土壌中のカルシウムと窒素の量は、漸減していく。

皆伐して長く放置されれば、表土は残っても、降雨と日射により、おそらく土の組成も変わってしまうだろう。

では、そどうするか。たとえば吉野林業では、約500年の歴史の間に幾度も伐採と植林を繰り返したが、地力が衰えたようには思えない。もともと成長速度を抑えて細かな木目をつくる方針であるし、長伐期で80年以上、ときに100年以上の周期で回しているから回復のサイクルに入っているのかもしれない。皆伐する際も面積は小さい。せいぜい数ヘクタールだろう。

だが現代の九州では、数十ヘクタールもの大面積皆伐をして40年伐期で回そうとしている。事実、戦後の植林地は40年で十分な太さに育った。現在は50年60年生のスギ林を伐っているが、今後の皆伐地も40~60年で元どおりに成長するという前提だ。それを繰り返す林業を将来計画に入れている。

だが、私は無理だろうと思う。短伐期で大面積皆伐は確実に土壌流出を伴うし、同種の一斉造林はその種が必要とする同じ養分ばかりが吸収される。アレロパシー物質も貯める可能性がある。これを繰り返せば森林の持続性を失いかねない。
せっせと再造林を進めても、やがて成長は悪くなり、50年後に伐れるような木に育つか怪しい。枯れるかもしれない。温かいから成長がよいとしているが、実は気温が高ければ土壌中の有機物の分解も早く進む。ヘクタール1500本以下の疎植であることも、よいのか悪いのか。
2回目はなんとか60年で伐れても、3回目、4回目はどうなるか。九州でも80年伐期にするぐらいの深慮遠謀がほしいものだ。

そういや三重の尾鷲林業は、今でこそヒノキ主体だが、昔はスギだったという。しかし土壌が流亡して痩せたのでヒノキ林業に変わったと聞いたことがある。これ以上痩せたらマツ林業に転換?

まだまだ森林の生理は謎だらけだが、物質循環を含めた森林生態学の知識を基礎に置かないまま、安易に林業サイクルや施業法を選択すると将来に禍根を残す。再造林したらいい、と単純化することの危険を感じる。

 

2025/02/23

橿原神宮外苑の森

橿原市の橿原神宮に寄り道した。

橿原神宮は、畝傍山の麓に明治になってから建立された神武天皇を祀っている神社で、神武天皇陵の隣にある。ここを神武天皇の御陵だとしたのには、いろいろ裏話があるのだが、ともかく、ここにあった小さな塚・四条ミサンザイを元に、ここだと治定したわけだ。そして、徐々に大きな古墳に仕立て上げた。

つまり近代に造営した古墳と言えなくもない。

そこに、こんな森があった。「イトクの森古墳」。なんと、敷地内に別の古墳があったのか。前方後円墳だが、神武天皇陵を建設の際の土取りでかなり壊されたそうである。

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森と呼ぶには難しいが、神社が祀られている。

その周辺の森は、こんな具合。橿原神宮外苑である。明治神宮の外苑は再開発で揉めているが、あちらは街路樹みたいな木々を伐採するな、と騒いでいる。もともと森ではない。こちらはかろうじて森林ぽく保っている。ただ。

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カシの木は大きく育ったが、その下の植生がないか、ササになってしまっている。人工の森とはいえ、100年以上経つのだから、これではもったいない。もう少し豊かな森にすべきだろう。ちなみに内苑も同じ状況。ただし隣の神武天皇陵には、明治神宮の内苑の森と張り合えるほど豊かな森が育っている。

内苑と外苑。この二つの違いは意外と難しい。試みに検索してみると、明治神宮の例のようだが「内苑は、人々が御祭神の御神霊をおまつりし、御神徳を仰ぎ敬うことを目的としています。 また、外苑は御祭神の御聖徳を永く後世に伝え、国民の体力の向上や芸術文化の普及となるべく」とある。
橿原神宮は違うようだ。外苑には「若桜友苑」という、戦没者を祀るところがある。予科練出身者と、空母・瑞鶴の碑があった。

いずれにしろ性格が違う両者の森

2025/02/22

ハイキング道の落とし穴

生駒山系には、いくつも森林公園がある。そして遊歩道も伸びており、ハイキングをする人も少なくない。

ただ、それらの道の中には途中で消えてしまうような廃道もあれば,個人が作ったらしく、違法で安全が確認できない道も少なくない。なかには道でないところに分け入って近道を作ってしまうとか、人が通るから道らしくなったところもあれば、勝手につくって勝手に道標まで設置しつつ、実際はその道がどこに伸びているのか、また管理はしているのかわからないような道もどきもある。気をつけねばならない。

それを警告する標識もある。

が、これはイカンだろう。

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こちらはハイキング道ではない? しかし、いかにも怪しく茂みを切り分けたかのような道が伸びる……。

当然、私はこの道を進んだv(^0^)アマノジャク

途中までは、わりとしっかりした道。伸びる方向は公園の敷地から外である。どうやら民有地に入るためのルートらしいが、案の定、途中で消えた。

その後はかき分けつつ、別の道に出つつ、また脱線しつつ……と進む。

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なんだか、丘に登る。

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こんなサクラの大木に出会う。

こうした“発見”も山歩きの醍醐味だ。ただし、私は自分の歩いた跡を可能な限り消す。そこが踏み分け跡から道にならないようにしております。自分で山道を造って喜ぶ趣味はないのである。

2025/02/21

住宅地で猟銃発砲法案、いよいよ

政府は、本日「住宅地での猟銃使用を可能にする鳥獣保護管理法改正案」を閣議決定した。とうとう出ましたか。

クマの人里出没がこれほど相次ぐと、こうした手段も取らなくてはならないのだろう。これまで一貫して、国民から銃器を遠ざける政策を推進してきた警察からすると忸怩たる思いかもしれない。

とはいえ、条件は甘くない。日常の生活圏(それはどこだ? 村役場の周辺まで許容? それとも農家が数軒ある集落も入れる?)に出現した場合、市町村長の判断で住宅地でも危険鳥獣の猟銃での駆除を可能にするとした。

猟銃使用の条件は、
①危害を防止する措置が緊急に必要
②地域住民に弾丸が達するおそれがない――など。

ただし、市町村長が現場で判断するわけはないので、代行する職員が状況を報告して決めるのだろうか。結局は警察官なのかもしれない。それでは、今とあまり変わらない。
物損が生じた場合は市町村長が補償する措置もあるが、これは保険を適用する。

なお「危険鳥獣」と定義するのは、ヒグマとツキノワグマ、イノシシの3種としている。鳥獣なんだから鳥も入れてほしいけどなあ。ワシ、タカは無理として、人を襲う鳥としては……カラスか(^^;)。ダチョウが動物園を逃げ出したら駆除できるだろうか。

住宅地のクマ、猟銃駆除が可能に 政府が法案を閣議決定

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2025/02/20

イオンモールの喜久屋書店

ちょっとイオンモール橿原まで行った。

ここにある喜久屋書店は、おそらく奈良でもっとも広い書店だろう。ジュンク堂書店奈良店より広い。

やっぱり行うのは自著チェック!

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ありました(*^^*)

ただ森林カテゴリーはなく、農業分野と郷土コーナー。『山林王』はやはり郷土本扱いがありがたいね。

ちなみに3月1日になると、このイオンモールに世界最大の「無印良品」の店がオープンする。そこに書店も併設するそうだが、なんと『山林王』を50冊も注文してくれたそうだ。(事実)

これは、きっと『山林王』を山積みしてくれるにちがいない!(期待)

そして爆売れする!(願望)

増刷り決定!(夢想)

テレビドラマ化決定!(妄想)

楽しみだなあ(笑)

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2025/02/19

『日本の森林』に書かれていること

四手井綱英・京都大学名誉教授の『日本の森林』を改めて目を通している。サブは「国有林を荒廃させるもの」。

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なんと1974年の出版である。私は、少し遅れて80年代に購入したのだと思う。それにしても、その内容の新しさ…というべきか、今の時代にぴったりだ。まず目次は、こんな風。

日本の森林と林業の現状
造林技術のあり方―生産力増強計画(拡大造林計画)を批判して
続・造林技術のあり方
いいたいことをいわしてもらおう
森林生態学の歩み
生産力増強と短期育成
亜寒帯の森林生産力
広葉樹林について
秋田の天然スギ
木曽谷のヒノキ
裏木曽・飛騨視察記
九州の照葉樹林
自然開発・自然保護・林業

私は大学生の時に読んだのかと思うが、よく覚えていない。ただ、四手井氏の本はかなり読んでいる。この本にも、蛍光ペンなどの書き込みが多くある。

ここで、ああだこうだと本の紹介はしないが、とくに目を止めたのが最後の章。

そこに「これからの林業を考える前提条件」が記されている。

 

まず林業は、時間がかかるので未来は誰にもわからない点が記されている。今、ヒノキが売れるからと言ってヒノキを植えても育ったころの市況はどうなっているか。といった点だ。「全く不思議なことに、森林育成の長期性にかかわらず、いわゆる林業人は、こうした目先の動向の変化に非常に敏感であり、だれかがこれがよいと提案すると、すぐそれに便乗してしまう。」とある。

これは、今なら「もっと敏感になれよ!」と思ってしまうことも多くて、便乗してほしいほど鈍感なのだが。

 

そのうえで前提条件は、
(a)自然は自然としてもちいるべきである
(b)森林の生産物である木材の主な用途はやはり建築材料、とくに内装用の美術品として用いられる公算が多いであろう

(c)外材の輸入は当分続くがしだいに少なくなってくるであろう

(d)林業労働者は今後も減少するに違いない

なんか、今でもぴったり合う。とくにbの「内装用の美術品」という点が、私の予想と重なる。ただし用いられるというより、用いられるべき、なんだが。

そして「私の考えるこれからの林業」の項目。

(a)樹種の多様化
(b)長伐期・高蓄積林の実現
(c)全国土、全気象区にわたって自然保護地として保存せられるようになるし、またそうすべき

これまた私の意見とぴったり!

なぜ私がこのような意見を持つようになったかと言えば、この本を読んだからではなく、その後の森林現場、林業の実情を取材する過程で行き着いたのだろう。この本のことはすっかり忘れていたのだから。つまり実直に現場を見れば、行き着く意見は同じになる。

なお四手井氏は、林業研究者であると同時に日本の森林生態学の泰斗、創始者と言ってもよい。森林生態学を知った上で林業を考えた結果の意見なのだ。林業に関わる人は、すべからく森林生態学を学ぶべし、という私の意見にも合致する。

今では、なかなか手に入る本ではないが、多少とも内容を知ってほしい。

2025/02/18

Y!ニュース「輸入燃料はFIT打ち切り!…」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「輸入燃料はFIT打ち切り?バイオマス発電のカラクリ」を執筆しました。

先日、韓国がバイオマス発電の補助金を打ち切るゾ、という情報が入ってきて、なかなか思い切ったことを韓国はするんだなあ、日本は遅れているなあ、と思っていたら、今度は日本もFIT改正を打ち出したニュースが。

おお! これで少しはまともになるかと思って情報をじっくり読んでみたら、なんのことはない、抜け道だらけではないか!と気づいたわけであります(´_`)。

どうりで世間の反応は薄い。もし輸入燃料を全部外すことに決まったら、従来の業者は大騒ぎするだろう。なんたって、日本最大級のバイオマス発電所が山口県にオープンしたばかり。

日本最大級のバイオマス発電所

これも燃料は100%輸入だ。

実は、各地のバイオマス発電所が破綻・休止・経営陣の交代が相次いでいる。

静岡県富士市の鈴川エネルギーセンター発電所は昨年12月に発電を停止した。
北海道バイオマスエネルギー社は、下川など2つの発電所を持っていたが、昨年10月に清算した。
今年1月には和歌山県の新宮フォレストエナジー社も破産手続に入った。

バイオマス発電所は、全国各地で経営が行き詰まっているのである。

そのうち、FITなんぞ関係なく、バイオマス発電がどんどん閉鎖、廃墟になっていくのではないかなあ。

 

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