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森と林業と田舎の本

2022/12/03

温故知新の木工作品

テレビをつけると、秋田の名産品を紹介していた。

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これはアイスペール、飲み屋でつかわれる氷の入れ物だが、何で作られているか。

実はメンパ、曲げわっぱなのである。わっぱと聞けば、弁当箱かお櫃を想像するが……曲げわっぱの技術を使って作られた現代風商品を紹介していたのであった。

ほかにもフランスパンをしまう曲げわっぱとか、ビアカップとか(^-^)/ 。

伝統技術を守れ、というが、弁当箱だけではたいして売れない。そもそも日常品なのに高くつく。売れ行きが悪いと技術も消えていく。むしろ技術を残して商品を変える方が戦略的かな。

ところで奈良時代に巻胎」という技術があったらしい。どうも中国から伝わったらしいのだが、木を薄い紙のような板(つまりツキ板のようなものか)にして、それを巻きながら貼り合わせて器を作るのである。ウルシで塗り固めるみたい。正倉院の宝物の中にあるそうだが、今や絶滅している。

そんな技術も今に活かして木工品を作れないかね。

(検索してみると、青森に復活させて作っているところもあるようだ。)

 

 

 

2022/12/02

見られない、月下美人の開花

昨夜から冷え込みがきつくなってきたので、玄関先の月下美人の鉢を室内に取り込んだ。

そして、朝見ると……なんと蕾が開きかけているではないか。

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おそらく今晩に咲くだろう。

が、今日はこれから東京へ出かけるのであった。つまり、見られない……。

今年は、何かと月下美人の開花を見損ねている。もともと花の数が少ない(開花数は毎年、大きく変わる)のだけど、気付かないうちに咲いていたり(翌朝、気付いたときは花はしおれ気味)。

私自身が外れ年なのかね。

ほかの観葉植物も、寒さ対策で温室を設置したのだけど、すると余計に気付かなくなるというジレンマもあり。

 

2022/12/01

指先で野菜摂取量がわかる?

農水省のサイトに、こんなページがあった。

「もっと野菜を食べよう」野菜摂取量の見える化の取組結果について

結果としては、職員の健康診断時と2週間以上空けて再び測ると、平均で野菜約35グラム分、数値が上昇したのいうのだが……そんなことはどうでもよくて(笑)。
何が驚いたか言えば、「手指のカロテノイドを測定することで日頃の野菜摂取状況が把握できる測定機器」なるものが存在することだ。そんなものがあるの?

一応の説明としては、
〇測定機器は、人の体内で合成できず野菜と果物からの摂取が多い「カロテノイド」を手指の皮膚から測定し数値化することで、野菜の摂取状況を見える化するものを使用しました。

とある。カロテノイドの量を手指の皮膚から測定できるとは。農水省には来庁者向けにも設置してあるそうだから、せっせと通えば部外者も測定できるわけだ。ちゃんと2種類の機器の紹介もしてくれている。

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最近は、さまざまな機器が発明されているのだね。まあ、私には関係なさそうだが。

しかし、「見える化」は努力目標になる。緑視率(目に入る緑の量・割合)や木視率(目に入る木質の割合・量)を測る機材もあるそうだから、それを貸し出して、各種の施設の木質度を測定しまくったらどうだろう。緑化や木造化の努力目標になるかもよ。

緑視率

木視率

さて、明日から東京へ。よろしければ3日に木と文化フォーラムでお会いしましょう。東京の「木心率」を図ってみたい(^-^)/ 。

2022/11/30

小丸太は海の恋人?

またしても臼杵林業なのだが。土場に積まれたもの。

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見た通り、末口12センチ未満の小丸太だ。皮を剥がして削れば直径10センチ以下になるだろう。問題は、長さ。6メートルある。これが、なかなかの高値なのだという。さて、何に使われるでしょう。6メートル材の搬出は結構大変だと思える。

真っ直ぐのものは、国交省がご所望のようだ。わざわざ転がして曲がりを確認するというから鬱陶しい(^^;)。
が、使い道は珍しくない。土留め工事の杭である。法面などを掘削して崩れ防止だ。

しかし、6メートルの杭なんているか?
これは売り渡してからなので推測だが、だいたい長さは3メートル、4メートルに現場に合わせて切断する模様。その意味では、長さはあまり関係ない。

6メートルで出すのは、実は別の用途があるのだ。

それは、海苔の養殖。海に海苔養殖の網をかける杭になるらしい。潮の満ち引きがあるから6メートル必要となる。

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こんな感じかな。

それを聞いて思い出すのは、速水林業が牡蠣養殖の筏用小丸太がよく売れるという件。牡蠣をつけるには、金属棒などではなく木材がよろしいらしい。海水で腐食の心配もあるからだろう。ただ、新植が少ないから小丸太も市場に出なくなった。だから高値を呼んでいるのだ。

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広島上空。牡蠣筏がよく見えた。

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そうか、海という自然物に必要な素材は、やはり自然素材の木材なのだな、と勝手に感心。小丸太は、海の恋人なのである。

 

2022/11/29

スギ林にセンダン植林

大分行は、結構疲れたが、いろいろ見学してきた。ここで一つ公開しておこう。

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臼杵林業のスギ林で見た、ツリーシェルターを使って植林されていた。植えたのは、センダンである。早生樹の一つとして林野庁イチ押しの樹種だが、それをこんな植え方しているとは。

センダンは広葉樹ながら20年で樹幹30センチ級に育つといわれ、しかもケヤキに似た材質で木工素材として使えるから高価が期待されている。

が、実は硬すぎて(広葉樹は早く生長すると硬くなる)、木工には使いづらい面もあるのだ。しかも育つのは水分が多くて明るい場所。しかし明るいと日射のために乾燥しがちだ。適地が難しい。だから耕作放棄地などが向いているのではないか、とされるのだが……。

あえてスギ林の中。全体に暗いので育ちが遅くなるだろうから、材質は柔らかくなるかも、というわけだ。別に早く育たなくてもいいし、と開き直ると面白い。またセンダンは3つに樹幹が分かれがちなので、直材を取るには「芽かき」作業が必要とされるが、なんと暗いところでゆっくり育つと、ほっといても真っ直ぐな幹になるというのだ。

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おまけにスギ林の針広混交林化ができる。そのうち上層木のスギを伐採搬出したら、明るくなって育ちがよくなるが、その頃にセンダンを収穫できたら、針広混交林の木材生産……恒続林も可能になるのでは、と期待するわけだ。

早生樹をこんな使い方するのもアリかも。

2022/11/28

ぬる湯?

佐伯、臼杵からの帰り道、別府で下りた。飛行機の出発時間を勘案すると、約2時間の余裕がある。それを別府で過ごそうというわけ。

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別府といえば……やはり温泉でしょ! と言っても泊まりではないので、日帰り、それも駅近でないといけない。

そこで発見したのが、これ。その名も駅前温泉である。より正確には「駅前高等温泉」とある。駅から徒歩3分。まさに公衆浴場、というたたずまい。入浴料は、たったの200円。これだ!と思って飛び込む。

……が、番台に人はおらず、なんともひなびた様子。常連客らしき人が人を呼んでくれて、なんとか入浴できたのだが……。

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ちなみに「あつ湯」と「ぬる湯」がある。私は、ここでゆっくりしたいからぬるい湯で長く浸かるつもり。脱衣場もろくにないほどだったが、扉を開けると、階段を下りて地下に下るような構造で、そこに湯船。

すごいね、この浴槽。いやあ、これこそ本物の別府温泉だよ、これこそ……。

足を入れて悲鳴を上げた。熱いの何の。しびれる熱さだ。どこがぬる湯なんだ。

悲鳴を上げて、それでもなんとか浸かるが、30秒後に上がって体を冷やす。たまらん。これでは「あつ湯」はどんな温度なんだ。

後から入ってきた客もいたのだが、みんな悲鳴を上げる。どうも水で薄めていないのだ。もしかしたら夕方に向けてこれからぬるくするつもりなのかもしれないが、今は源泉そのものの温度ではないか。45度は超えている。

これでは癒されない……が、逆に目が覚めた。疲れを忘れるシビアな湯だった。

ふと、気付く。この銭湯は「駅前高等温泉」ではなく、「駅前高湯温泉」の間違いではないか……。

 

2022/11/27

林野政策は誰のため

昨夜は、林業家と本郷元林野庁長官を交えての懇談会。

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これからの林業について語り合ったのだが、そこでの本郷さんの発言。

「林野庁の政策は、どうしようもない山林をどうにかしようという視点から考えている。戦後の林政の後始末的な発想で進めているので、申し訳ないがここに集まっている篤林家の皆さん向きのためには行っていない」

これ、聞きようによっては、やる気のある林業家は、国を当てにしないで自分でやってくれ、ということ。さらに深読みすれば、国を当てにする林家は篤林家ではないとも言っている?

さて、こう聞いて怒るか、奮い立つか。

林業家の皆さん、逆に見られているよ。

 

2022/11/26

プロペラ機の楽しみ

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大分へ飛ぶ。

これがプロペラ機であった。ANAでは最後の路線だとか。

私はプロペラ機が好きである。なんたって飛ぶ高度が低いから、下界がよく見える。

実は9月に伊豆諸島の神津島に旅行したのも小型プロペラ機の路線だったから。まあ、揺れることも多いのだが。

今日は雲が多くてイマイチであった。

が、訪れた大分は、なかなか面白い体験続き。元林野庁長官の本郷さんと一緒になったのだが、そこで林野庁の政策について衝撃の発言(笑)。

続く。

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2022/11/25

東京の講演で拙著特売会(笑)

このところ週末は出かけてばかり。明日から大分に行く。これは個人的な用事もあって、別府温泉に浸かりたいとか(^^;)もあるのだが、林業地を回る旅にもなる。

一方で来週末は、東京へ。

こちらは講演だ。「木の文化フォーラム」である。テーマは、

フィンランドの森林と林業の虚実
~日本で伝えられているフィンランドの森林と林業は、現状とは異なっている~

タイトル通り、『フィンランド 虚像の森』を元にした監訳の裏側と、この本から読み解けるフィンランド林業について語る。ただ、私がフィンランドを取材したわけではないわけで、むしろ日本の林業との関連を語りたい。

このところ、日本の林業界では、フィンランド林業に関する関心が高まっていると感じる。これまでドイツだスイスだオーストリアだ、と成功した林業のロールモデルを海外に求めてきた日本だが、次はフィンランドなど北欧に目をつけたのか、と思わせる。すでに北海道や長野などでは、フィンランド林業の本場カルラヤ県と提携を進めてきた。

なぜなのか。もちろん国土面積や森林面積・森林率などが日本と似通っているうえ、機械化林業、DX林業が非常に発達しており、日本が学ぶべきことがいっぱいある、という思いもあるのだろう。だが、それだけか。ドイツ林業ではない理由は何か。

そういう視点で眺めると、また別の林政も見えてくると思うよ。

またフィンランド・ファンも日本には根強くいることに、本書を監訳しようとする過程で感じた。ファントいうよりマニア、オタクかもしれない。そうした人にとっても、新たな一面を知ってほしい。

ちなみに、参加希望者は申し込みをお願いしている。コロナ禍対策もあるので、よろしく。

〇開催日時:2022年12月3日(土)14:00~16:00
〇会場:東京家政学院大学・千代田三番町キャンパス(東京都千代田区三番町22)
1号館1508教室(正門から向かって左側校舎5階)
〇アクセス:・JR、東京メトロ、都営地下鉄「市ヶ谷駅」から徒歩約7分(都営地下鉄利用の場合はA3番出口)
・東京メトロ「半蔵門駅」から徒歩約7分(5番出口)

〇参加費:1,000円(学生は500円)
〇定員:60名
〇申込:参加ご希望の方は、12月1日(木)までに下記の「木の文化フォーラム」事務局ウェブサイト(「木の文化フォーラム」で検索)、またはメールアドレスよりお申込ください。定員になり次第、申込を締め切ります。

木の文化フォーラム事務局
E-mail: kinobunka2002@gmail.com
https://kinobunka2002.wixsite.com/forum

ここで重要なのは、有料であること(^^;)。なにしろ「木の文化フォーラム」自体が手弁当で行っているものなのだ。

でも、特典があるのです。会場では、本の販売が行われます。

『フィンランド 虚像の森』
『絶望の林業』
『虚構の森』

この3冊が超割引価格で販売! 割引合計額は、参加費をはるかに超えるという(笑)。とくに『フィンランド 虚像の森』は、なんと520円引きですよ。まだ買っていない人は、ここで買わずにどこで買う。

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2022/11/24

林政審議会員募集。で、審議会って何?

林野庁が林政審議会の委員を募集していた。

「林政審議会」委員の公募について

私も以前は、委員になったら何カ月かに1回だが東京に呼ばれるんだな、そのついでに取材したり出版社巡ったり、遊んだりできるな……と不埒な発想を持ったこともあるのだが、今はその気力もない。行く時は自腹で行くぜ(T ^ T)。

で、思うのだが、審議会ってなんだろう。

この年になると、これまでいくつかの自治体の審議会の委員はやってきたんだが、何のためにあるのか、と思うこともしばしばであった。

大きく分けて二つある。一つは行政のアリバイづくり。市民や識者の意見、聞きましたよ、というポーズを取るためのものだ。だいたい事前に用意した通りのシナリオで進む。外れることは「許されない」。
もう一つは、本気で委員の意見が活かされるケースだ。行政は方向性を決めていなくて、何か出た意見を聞いて決定することもある。もともとはアリバイ工作だったのに、委員の強い意見で左右されることもあるのだが。

ある審議会はひどかった。事前に「5回ほど開きます」と言っていたのだが、最初の1回は任命式と自己紹介で終わった。で2回目に臨むと、なんとまた自己紹介が始まるのだ。前回よりは深くだが、肝心のテーマの議論はしない。ファシリテーターは大学教授なんだが、何やら研究室のゼミのやり方を教えているような展開となり、私は途中でキレて、「5回のうち2回をこんなことで時間を潰して何やってんだ!」と怒鳴ったら、「いや5回よりは回数増やしますから」とか言い出す。

しかし、結果的にはコンサルのつくったたたき台の方針案に沿って、みんな思いつくままの感想をいうだけ。意見でさえない。そもそも委員に集まった中に専門家があまりいない。緑に関することだからと、町内の花壇の世話をしているボランティア団体の代表とか、町内会の代表、農協……それもやりたくて参加したというより、頼まれた状態だから、会議中に内職を始める人もいた。そして「へえ、棚田ってのがあるんだ」なんて発言も飛び出す。なかには失業中に応募して委員になり、途中で再就職が決まったので脱退した人もいた。

もちろん、専門家集団の集まりで、かなりカンカンガクガクやりあった審議会もあった。そして結論は、実行に移された。コンサルの方針を否定したのである。でも、出席しながら一度も発言しない人もいるし。

また私は委員ではないが、某審議会に呼ばれて講演と意見陳述したことがあり、その際はコンサルも含めてその改革案で行くことが決まった。ところが私が去って数か月後に雲散霧消するのである。後で聞いたのだが、既成勢力の猛烈な巻き返しがあり、改革を勧めていたはずの本部長が寝返ったのだ。脅しをかけられたのか、甘い役職を提示されたのか、全部ひっくり返して従来どおりやることにしてしまった。コンサルも責任を負わされて追放されたのだという。

さて、林政審議会はどっちでしょう(笑)。別に何を答申してもその通り実行する強制力もなく、せいぜいご意見、白書のどこかに触れておきました、ぐらいでお茶を濁すことも「可能」なんだろう。(それがほとんどのように見えるが。)
でも多数決で決議するわけじゃないから、一人でもごね続けたら面白い結論になるかもしれないよ(⌒ー⌒)。

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たまに会議にクマモンが出席していることもある?

 

 

2022/11/23

幻の?吉野塗

今月は、よく吉野に足を運んでいる。もう5回くらいになるのではないか。

で、今日も訪れたのだが……その目的は、川上村で開かれたシンポジウム。「樹と水と人の共生を未来につなぐ」。

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目的の大きな一つは、基調講演に「吉野林業~森林と人間の関わりの極致」(泉英二)があったからである。私は、林業の予定調和論に懐疑的になっているのだが……まあ、その話は改めて。

このシンポジウムとはまったく関係ないのだが、すごいものをいただいた。

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漆塗りであることはわかるだろうが、なんと吉野塗。吉野(下市)には、古くからの漆塗り技法があったのだ。何か特徴かと言われると困るが、黒漆に赤漆で描かれた芙蓉が定番だろう。なんとなくもったりとした田舎くささがある(笑)。何をもって吉野塗というのかよく知らない。ただ豊臣秀吉の時代からあったそうなので、かなり古い。漆塗りそのものは古代よりあったが、それが産地と結びついて産品になっているのは意外と新しくて、多くが江戸時代だろう。

吉野塗は、石川県の輪島塗や山中塗でも模倣されたのだそうだ。やはり人気があったのか。ただ、肝心の吉野では途絶えてしまった。だから幻なのである。

それをもらっていいのか。といいつつ、ネットで出回っているらしい。吉野以外でつくられた新品もあるらしい(笑)。これは古いから、本物だろう。

林業地には漆芸が発達することが多い。それに和紙産地も重なる。吉野は、その典型かも。漆芸は、ウルシノキの栽培が必要なことに加えて生地となる木工の碗や皿が必要だからだし、和紙もコウゾなどの栽培を前提とするからだろう。

林業は原木の産地と決めつけるのはよろしくないよ。

2022/11/22

林業振興と木材需要

またまたメールでの「質問」が来た。今回は大学生。

なんでも、大学生チーム対抗のビジネスコンテストがあって、そこの命題が「山で働く人を2倍にする」ビジネスの提案だそう。そこでメール主のチームは「木を食べる」というアイデアを出した。それに対して、どう思います?アドバイスを、というものだった。

果たしてコンテストの参戦者に私が口を出すことがよいのかどうかわからないが、とりあえず私の思うところを記した。どんな返事かはお預け(^^;)にしておくが、ここで根本的な疑問が。

なぜ「木を食べる」商品開発が、山で働く人を増やすのか。いや、増やすと思うのか。

それに関しては、何の疑問も持っていないようだが、私には両者がつながらない。おそらく「食べる」という新たな木の利用法を広めたら木材の需要が増える。木材の需要が増えたら山で働く人も増えるだろう……という連想なんだろうが、ちと、おかしくない?

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これは、今回のケースだけではない。木材需要を増やすことが林業振興、地域活性化に役立つという発想は林業界の上から下まで行き渡っており、まさに林野庁がもっともオシている政策である。とにかく木材を使おうよ、価格や使い道はどうでもいいから……。
木造ビルとかCLTとか、バイオマス発電だって、木材を燃やせば需要が増えるよ、というのが発想の原点だろう。あげくに需要はまだないのに、木材生産だけを増やしてしまっている。

アホかいな、と思う。

木材需要が増えたとして、今いる山で働く人は、若干忙しくなるかもしれないが、それで雇用を増やすだろうか。むしろ木材生産が先に増えたら木材価格は下がりかねないし、伐るのに適切な木がなければ無理に伐って森を荒らす。だいたいウッドショックで起きたのがこの需要拡大だった。その結果はどうなった? 働く人は増えたか?

そもそも木材製品価格が暴騰したときも、山で働く人の給与があがったのかどうか怪しい。私が聞いたところでは、誰も上がっていなかった。木材価格さえ上がっていなかった。上がったのは製材価格なのである。素材生産業者は生産量が増えた分、若干儲けたかもしれないが、雇用者にその分手当てを出したのか、木の本来の持ち主である山主にだって還元されたかのか疑問だ。あげく、現在は在庫の山で価格は落ちている。

結局、木材の生産量や消費量を増やすことが林業振興という発想そのものが勘違いなのだ。伐出を低コスト化したら手取りも増えただろう、という意見もあるが、その「低コスト化」は補助金で行っていることで、本来の利益を生み出したわけではない。

振興に必要なのは、生産量とか生産効率ではなく、利益総額や利益率だろう。純益が増え手取りも増えたら山で働く人にとって喜ばしい。給与が高いと知れば、オレも山で働きたいという人も増えるだろう。

仮に100本伐っても10本伐っても利益が一緒だったら、100本伐らないでいい。10本だけ伐って、資源を温存しつつ仕事も楽ができる方を選ぶだろう。それこそが「楽しい林業」となって、働く人も増える。地域も潤う。

利益の薄い仕事はしていても楽しくないはずだ。仕事を増やして忙しくすると傍目には活気が出て、林業振興とか地域活性化したと見えるのだろうが、それも勘違い。過労死するほど働いて赤字のケースはいくらでもある。当事者にとってはブラック職場だし、それは奴隷労働と一緒だ。危険な目にあって、パワハラ、セクハラ受けまくって死ぬだけだ。

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忙しいだけで利益は増えない、薄利多売の林業なんて、低開発国の労働、いやアホの発想なのである。

経済学を振りかざすまでもない、こんな単純なことに気付かないようでは、業界の上から下、学生までビジネスレベルは低い。

2022/11/21

シカの剪定技術

全国どこでも山に行けばシカが増えている話になるのだが……。

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これは吉野に行った際の写真。別に山奥というわけではなく道路沿い。車で走っていて見かけた。しかし、立派な角だな……。この一頭だけではない。あちこちにオスメスともにうろちょろ。人間を見ても逃げない。私は、日本全国奈良公園化計画が進行中、と言っているのだが……。

そういや先日吉野で入ったカフェで、店前の木材市場を眺めていたら、「シシガミ様がいるよ」と教わった。もののけ姫の世界である。ま、巨大な角を持つシカであったのだけど。なんでも、木材市場周辺をいつもいて吉野杉のハイを眺めているそうだ。

ただしシカがいると、よいこと?もある。

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林内や道路沿いの草刈りをやってくれることだ。人が刈らずとも、きれいにしてくれる。
写真は、明日香村の某御陵(亀山天皇の良助親王墓の冬野墓と記載がある)の周りの植え込みなのだが、きれいに丸く刈り取ってある……と思ったら、後ろの方には長い枝が残っていた。これは下手くそ、いや手抜きだ。首の届くところしか食べないという横着したのだね。まだまだ修行が足りない。

 

 

 

2022/11/20

忘れられたネイチャー雑誌群

まだまだ終活、いや書庫の整理を続けている。

雑誌類は、かなか思い入れのある。前回の科学誌に続いて今回は自然・環境系雑誌。有名どころでは「ナショナルジオグラフィック」、日本ではシンラなどだが、ほかにも数多いのだ。そのほとんどは今や名も忘れられている。

たとえばインターナショナル・ジオ・マガジンこと「GEO」を知っているか。ドイツ発のナショジオに対抗したネイチャー雑誌だが、その日本版が発行されていたことをする者は少ない。20年以上前のことで、5年足らずで消えたけどね。内容的にはナショジオよりも自然面が多いように思えるが、傾向としてはよく似ている。ナショジオより大判で、写真の発色もよいので私は好きだった。それを私は創刊号から休刊まで揃えている。

ほかにも 「ネイチャーサイエンス」という雑誌もあった。これまた日本版のナショジオかもしれない。が、数年で消えた。

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ちなみに日本版ナショジオの元祖は、「世界の秘境」だろう。こちらは50年ぐらい前に10年近く発行されたかな。かなりパクリ記事が多くて、一部にはオカルトもどき記事もある。しかし、読んでいるとドキドキして楽しいのだよ。人食い人種やら古代の秘宝なども登場するし、まだ地球に秘境が残っていたんだな、と思う。実際当時は「秘境」があったのだよ。
もっと真面目な者に「現代の探検」。こちらは日本人の探検家の記録的側面が強い。さらに「アドベン」「ポカラ」とか「ラパン」「マザーネイチャー」「ネイチャーランド」とか……。ちょっと毛色は違うが、「探検倶楽部」というのもある。

これらを思い切り減量することにした。写真は今見ても美しいのだが、なにしろ20年以上前となると、もはや古本屋も引き取らぬ。寄贈先もない。紙屑扱いだ。とりあえず内容が今も資料的価値のあるものや記念的なもの(創刊号など)、そして私が執筆した記事の掲載号は残すとして、なんとか全体の半分、いや3分の2は処分したい。

雑誌類は、ほかにも山ほどあるのだが、結局、扱いに困るよなあ。私の所蔵も、もはやマニアックなコレクションのようなものだが、家をすっきりさせるためには諦めるしかないか。

それにしても、忘れられた雑誌というのは数多いものだ。かつては年間100種類ぐらいが創刊されていた。そのほとんどはすぐに消えるのだが、なかには希少な雑誌もあったのだ。こんな分野、扱う? と思える様なものも多い。今は、そもそも雑誌創刊そのものが極めて少なくなった。もはや紙では出せなくなっている。

そういや、数年前に林業業界誌も大半を処分したが、なんにも困らない(笑)。必要ないということだね。

2022/11/19

複雑な気持ち……

古本屋で見つけた本。

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気になったのは、どの本でしょう。

ま、いいんだけどね……。あ、たくさん売れたから古本屋に流れるものも出てきたと捉えると、歓迎すべきことかもしれん(^^;)。母数が多いから古書として出される確率も上がるのよ。

私も、処分する本は、まずブックオフに持っていくことにしている。古書店なのに古い本は値段がつかないという現実に打ちのめされるのだが、そのまま古紙として出すよりも5円10円ぐらいの値がつくし、たまに100円以上になるものもある。小説は値が安く、硬い論説や科学書の方が高くつく。

果たして『絶望の林業』はどちらに分類されたでしょう……。

 

 

 

2022/11/18

町で見かけた謎の植物

駅をめざして歩いていると、不思議な植物を発見。垣根代わりに植えたように見えるのだが。

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こんなトゲトゲの不思議な茎を高く伸ばしているなんて……。

が、近くで見て気付いた。この下のほうに残る葉っぱはどうも柑橘類だ。おそらくユズとかの類。柑橘類は枝にトゲが生えるものが多い。しかし、トゲのある茎だけが伸びるというのも……なぜ、こんな3本のトゲがスックリと伸びているのか。

いやいや、何もトゲだけが伸びているのではなく、葉を全部毟られたか、食べられたらしい。残ったのがトゲだけなのだ。毛虫や芋虫など葉食昆虫がいるかと探してみるが、見つからない。もう羽化したのかもしれないが、伸びた枝は新芽で葉も柔らかかったのか、美味しかったのか。

とんだ新植物であった。

2022/11/17

下水汚泥より落ち葉を

政府内で下水汚泥を肥料として活用する取り組みの検討会が開かれた。参加するのは農水省だけでなく国土交通省に自治体、肥料メーカー、農業団体など関係する部署組織だという。

なぜかと言えば、昨今は肥料不足だからである。まず化学肥料の材料であるカリやリン、アンモニアなどは、みんな輸入である。それが海外から入ってこない、価格が暴騰したという事情がある。とくにリン鉱石は、日本にはほとんどないから自給は難しい。

そうかといって有機肥料も増えないのだ。なぜなら有機肥料の材料とも言える魚粉、海藻、骨粉、家畜・家禽の糞、油粕……などもほとんど輸入。ウクライナ危機だけでなく、円安も影響して輸入しづらい。

一方で下水汚泥はリンや窒素といった肥料成分を含む。これまで輸入した少なからぬリン分の含む肥料は下水に流れ込んでいるからだろう。また有機成分も多い。事実、一部が肥料として利用されているが、割合としては1割ほどだ。そこで肥料の国産化を推進しようという検討会らしい。それ自体は結構なのだが……。

下水汚泥よりいいものがあるではないか。

秋になれば目につく落ち葉。これをもっと活用できないか。現在、市街地の街路樹が落とす葉は、ほとんどが焼却処分されている。これは行政として、あるいは町内会のお仕事として落ち葉を集めて袋詰めしてゴミの日に出している。

それなら集める手間はほとんど済んでいるのだから、それを仕分けして落ち葉だけを別のところに運んで寝かせばいいのではないか。半年でほとんど腐葉土になるし、もう1年ぐらい寝かしたら、よい土、よい肥料になるよ。

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写真は私の住む町で行われていた落ち葉かき。森の中のようだが、実は住宅地に隣接した棚田と雑木林だ。彼らは、自分の田んぼ用の腐葉土をつくろうとしているのだろうが、積んでおくだけで肥料になるのだから簡単だと思うけどな。

そして、その寝かせる場所としてもっとも適切なのが山林だと思うのだ。落ち葉や剪定枝などは産業廃棄物ではない。そして、1年2年後、完熟堆肥として売り出せば、副収入を得られると思うのだ。積んでおけばカブトムシやコガネムシの幼虫は大発生するかもしれないが、妙な有害昆虫の発生源にはならないだろう。

そして、こうした堆肥は高く売れる。葉っぱには、リンもカリも窒素も含む。意外と完熟腐葉土の堆肥はあまり出回っていない。

ちなみにホームセンターで売っている腐葉土の多くは海外産だし、実は完熟させていない。わざと?葉の形を残す状態で販売している。その方が早くつくれて早く売れるし、客も葉の形が残っていると腐葉土ぽいと喜ぶからだ。だけど、そんな腐葉土を入れても土壌改良以上の効果は出づらい。たまに化学肥料をまぶした腐葉土もあるそうだが。

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こちらは、森の落ち葉を山でしっかり完熟させた腐葉土。

我が家も、今年から落ち葉や剪定枝のほとんどをゴミに出さないで、庭で土に還るまで積んでおくようにした。

下水肥料よりイメージもよいと思うよ。

2022/11/16

林業雇用の壁は「ハラスメント」

林野庁が、12年ぶりに「林業労働力の確保の促進に関する基本方針」を変更した。

相変わらず「求人を出してもなかなか人が集まらない」と林業従事者数の減少、つまり人手不足を嘆く経営陣は多いのだが、それに応えるための変更だという。詳しくはリンク先を読んでいただきたいが、変更後の基本方針の中心は
▽再造林推進に向けた人材の確保・育成
▽安全対策の強化
▽地域間の労働力マッチング
▽女性や外国人材の受け入れ強化

などとのこと。

正直、そんなに面白くないのだが、なかなか読ませるのは、パプリックコメント欄だ。

そこには不満が充満し「ハラスメントが横行している」といった声が多く並んでいるのだ。

「労働安全の項目ですからセクハラやパワハラ対策というワードをぜひ加えていただきたい」
「「女性労働者」の記載に、セクハラを入れて欲しいです。本当に悲惨で危険です。」
「経験年数だけは長い先輩から、技術指導とは言えない教育を与えられて、日々命を秤に載せているのが日本の林業の現状です。」
「林業学校やアカデミーが開校されておりますが林業現場の経験が少ない講師が講義を行い、いざ就職すると学校と事業体とのギャップで離脱している生徒や研修生が全国的に多くいます。」
「就業規則も整備されず、ハラスメントが横行し、必要十分な教育も訓練も実施しない等、時代の変化とは無縁な林業界と己の価値観に固執する事業主たちに期待できることは、ほとんどありません。」
「事業主はパワハラやセクハラのセミナーを受けて社内環境の改善を常に考えていく必要があります。ハラスメント関係に関して、他産業にかなり遅れをとっていると思います。」
「外国人技能実習制度は、労働力の確保を目的としたものではないことから、「基本方針」への記載は適切ではない。また、制度目的と実態が乖離していることや、人権侵害の温床にもなっている。」

なんというか、現場からの怒りに満ちた悲鳴が伝わってくる。とくにセクハラが常態化しているのは、自衛隊だけではないということだ。

これらを受けてか「ハラスメント防止対策の徹底」も明記してある。だた、こんなのは林野庁の仕事というよりは、労働の基本中の基本である。ばんばん労基局に訴えて、厚労省が出向いた方がいいんじゃないか。
まあ、基本方針にどんな文言を加えようと、それを現場経営者が実行するのかどうか怪しいのだが、ホント、雇用環境の基本なんだよな。私も、そこそこ酷い環境について聞いている。

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まずはパワハラ、セクハラを止めることからだね。業界がブラック業界認定を受けないように。

 

2022/11/15

Y!ニュース「石炭火力よりCO2を排出する……」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「石炭火力よりCO2を排出するバイオマス発電!」を執筆しました。

バイオマス発電の欺瞞は、これまで幾度も指摘してきたが、今度は(イギリス)王立国際問題研究所の裏付けである。この数値、なんとか世に広めたい。もっとも、この研究所については知らなかったのだが、ちょっと調べたら通称チャタム・ハウスのことだった。こちらの名前の方が一般には知られているのではないか。少なくても私は、この名前のシンクタンクと思っていた。

このバイオマス発電問題に関してのブリーフィングを受けた際は、もっと細かなデータや指摘もあるのだが、それを記すとどんどんややこしくなる。今回は入門編。思い切り絞って、ずばりCO2の排出量を他の燃料との比較にクローズアップした。なかには、この記事にツッコみたい人もいるだろうけど、それは覚悟の上よ。指摘してきたら、無視するからねヾ(- -;)。

ちなみにネットで公表するのは明日のつもりだったが、まだ日の高い時間に書き上げてしまった。通常、勤め人がネットニュースは朝一番かお昼前が一番読まれると言われている。通勤中、あるいはお昼休みにスマホなどでニュースを読む習慣が広がっているようだ。さて、明日まで寝かせるか。

いや、仕事を終えて帰宅中の電車の中でニュースを読む人もいるのではないか。朝ほど熱心ではないかもしれないが。そこで試してみようと、午後4時半ぐらいにアップしてみた。まあ、5時きっかりに仕事を終えて会社を出る人はすくないだろうが……。

これも実験というか試してみることにしたのである。さて、どうかな。もともと硬い話題の場合は、アクセス数伸びないのだけど。

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2022/11/14

盗伐被害者がクラファン始める

宮崎県盗伐被害者の会」が、クラウドファンディングを始めたようだ。

グッドモーニングというサイト? 社会問題を解決するためのクラファン・サイトとある。

いや、ホントに手弁当で頑張っているな、と思っていた。会長は千葉に住んでいるのに、宮崎に通っているのだから。

私がこれまで取材や情報提供などでお世話になっているので、多少は……と思ってクリックしたら、「混雑しているので……」とつながらなかった。またの機会に試してみる。

ただ、このサイト、非常に詳しく状況を説明し、具体的なケースも警察の対応から裁判から行政のやり口まで情報が掲載されている。だから、寄付をするか否かはおいといて、まず読んでみたら現実の盗伐事情がわかると思う。その意味では、勉強になる。

私も、かなり記事にも書いたし、講演では全国で話しているのだが、その度に「知らなかった」「日本で起きているのですか」と聞かれる。いや、本当に林業関係者も含めて全然情報が広がっていない。その度に焦燥感に駆られる。

みんな、妙に日本社会を信頼しているんだな。日本では、そんな無法行為が行われるわけないじゃん、たまに起こるからニュースになるんでしょ、と思っているみたいだ。いや、大がかりで地域ぐるみ、業界ぐるみだから表沙汰になりにくいのだよ。地方に行けば、法律より地域の事情(正確に言えば人間関係と利害関係)なのだよ。平気で法律を無視するケースを山ほど見ている。

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クラファンというのは、情報発信源としても使えるのかもね。

 

2022/11/13

木材無人販売所

吉野町を車で走っていて、ふと目に入ったもの。

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「ウッキー」とあるが、木材の無人販売所であった。

一束500円とは、どれぐらいの量だろう。角材かな、板かな。車を降りて確認するまでしなかったので、具体的な木材はわからないが、製材だ。

薪などの無人販売所はたまに見かけるが、製材された板や角材の無人販売は珍しいのではないか。吉野は、製材所がそこそこある(以前に比べたら10分の1になったと聞くが)ので、そこで余った材や端材を並べているのだろうか。

通りすぎてから、よいものがあったら購入してもよかったかな、と後悔。ちょうど家を改造しようと思っているし。もっとも、我が家には、結構な木材が眠っているのだが(^^;)。処分しないと邪魔だよ、と普段言いつつ、また購入しようとしてしまう。古材は燃やして、新しく在庫を増やすか(笑)。

 

 

2022/11/12

寺社古材の行方

奈良に依水園という、庭園と陶芸の美術館がある。ちょっと時間が空いたときにふらりと寄ったのだが……。

裏には東大寺南門や大仏殿や氷室神社が位置する環境なのだが、この中だけは静謐(まあ、ときに団体さんのマイクの声なども流れてくるのだが)な環境で日本庭園を楽しめる。

と、そこで目にしたのが、茅葺きの小舎にこんな縁側。

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新薬師寺の古材を使っているのだそうだ。つまり、お寺の一部を修繕する際に外した木材を、転用して縁側に使ったということで、なかなかの年月の経ったカスケード利用だ。縁側なのに座れないほど(笑)。

しかし、単に古材というだけでなく由緒ある神社仏閣から出る古材は、どのようにされているのか。普通に考えれば取り替えるほど傷んでいるわけだから処分するしかないわけだが。

実は、そんな木材もありがたくなく使うケースはある。有名なのは、蝦夷地探検家の松浦武四郎が晩年に建てた「一畳敷」庵だろう。古希を記念して、全国の友人たちに頼んで古刹名所の木材を寄付してもらって建てた書斎だ。90もの寺社や歴史的建造物から集めたという。知られたところでは、法隆寺に熊野本宮、北野天満宮、出雲大社、伊勢神宮などの古材を寄せ集めたらしい。もちろん、現在の建物から切り取ったのではないので、修理の際に出た古材で、保管されていたものだろう。案外、分けてくれるものである。今ならどうだか。

こんなものもある。

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奈良県吉野高校(現・奈良南高校)の林業博物館にあった法隆寺と正倉院の古材。どうして手に入れたんだか(笑)。

 

 

2022/11/11

古雑誌始末(泣)

再び、いや三たび、蔵書を整理することにした。ドン!と始末しようじゃないか。ドンと。

本棚をまた新調したが、収納を増やすと同時に今から終活気分で、断捨離を進めるのだ。前回は小説本を中心に段ボール30箱ぐらいを始末したが、今回は……。

そう思って、手を付けたのは古雑誌。もはやいらない。ここ10年開いていない。これを処分すれば、かなりスペースが空く。

しかし、なかなか難しいんですよ(-_-;)。とくに見つかった「科学朝日」に「サイアス」などの一群。これって、超老舗の科学雑誌である。私の手元にあるものだって、今から30年以上前の科学雑誌だ。もう休刊してしまい、長く経つ。が、なかなかそそられるタイトルが並ぶではないか。これ、どれを捨てるか残すか、選ぶのが悩ましい。資料的価値と、個人的興味のバランスだ。

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科学は日進月歩、古い情報はいらない……と思いつつ、ページを繰ると、いやいや今でも通用するよ。最新知見はなくても定見は価値があるし、そもそも今は忘れられた発見もある。あと、報告書の類は、非売品で二度と手に入らない。けと、まず絶対に今後読むことはない(笑)。私が書いた記事が載っているのは残すとしてそれ以外はどこまで処分するかなあ。

自身の記事も見つけた。これ、1994年10月号の「科学朝日」だ。

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この頃から『獣害列島』のネタを持っていたことを示している\(^o^)/。

 

 

2022/11/10

リニューアル劣化博物館

奈良県内の某博物館に寄ってきた。

以前、ふらりと寄った際に、意外や?その豊富な展示に驚き見直したものだ。いきいきと人々の生活が浮かび上がる。吉野は桐の産地でもあり、奈良は桐下駄産業が盛んだったことや、膠づくりも重要だったことも示されており、私は非常に参考になったのだ。

そのことは、以前にもブログに記している。吉野は桐の産地だった

今回、たまたま近くを通り掛かったこともあるが、実はその内容を深掘りしたくて寄ってみた。ちょうど展示をリニューアルしたとの報道も見かけたからだ。あの展示は今書いている内容に関わりがあるので、新たなインスピレーションを得られるかもしれない……。

入場料500円。ここは団体客が主で、この時は私以外観覧者はいない。ゆっくり見て回れるという期待があったのだが……。

なんと、展示がガラリと変わった。悪い方に。

以前、注目した明治時代の奈良の産業部分はばっさり切り捨てられたようだ。そして、展示がほとんどパネルのみ。せいぜい昔の雑誌や新聞紙面が並んでいるだけ。パネルも文字が多く、写真は人物中心。かつての生業に関する展示はほぼゼロ。

えっ? と驚いて入るところを間違ったのか、と思わせる程であった。何か展示スペースも減ったような気がする。映像は増えたかもしれないが、もしかしたら生業についてはこちらに入れたのか? しかし、タイトルにそんなものはない。それに、以前展示されていた実物(桐の原木から下駄になるまでとか、ノコギリとか膠とか)はどこに行った? まさか処分していないと思うが、ほかに収蔵する博物館施設は奈良にないぞ。奈良民俗博物館はあるが、こちらも今夏行ったときはなかった。

リニューアルって、何を意図して行ったのか。新たに見せるものが増えたのではなく、むしろ内容を薄くするのが目的だったのか。パネル展示なんて、文字数にしたら極めて少ない。わずか10分で見終えてしまった。500円返せ! とは言わなかったが。よほど受け付けで以前の展示はどうなったのか聞いてやろうかと思ったが、徒労に終わることが見えて諦めた。

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なんだか、函館の北方民族資料館が、リニューアルしてウポポイになったのような内容の劣化……(^^;)。

この手の資料館は、通常の文献検索では見つからない資料があること、そして体感できる展示があることに価値がある。それを無にした。観覧者に何を伝えたいのかわかってるのかね。

 

2022/11/09

木材輸送料にまで補助?

補正予算案などが出て、また大盤振る舞いが進みそうだ。

林野庁関係の補正追加額は約1162億円で、公共事業が約935億円、非公共事業が約227億円。みんな借金だけど……。

そんなときに、東京都の木材流通業者への輸送費補助案が目についた。こちらも、物価高対策だから二重取りのようだが。

国産材への切り替え促進を目的として掲げているのだが、林業地としては小さな東京でなぜ。具体的には都内の木材流通事業者が国産材の取扱量を以前より増やした場合に、輸送費を補助する。木材1立方メートルの輸送ごとに1万円だそうである。とくに多摩産材、つまり東京産材を取り扱う場合は、一度の輸送につき2万円を補助するのだそうだ。事業費は3億円。

原油・原材料価格・物価高騰等に係る支援策について

どんどん甘やかして、ダメ人間、ダメ産業をつくる制度のように感じるよ。お小遣いを湯水のように与えられた子どもがグレる事例はいくらでもあるだろうに(笑)。

だいたい金が出ないと国産材使ってやらないぞ、というのは、国産材は価値が低くて、通常の価格では使えないと認めているかのようだ。当事者が、国産材は出来が悪いと思っている証明みたいなものだろう。

ちょっとだけ興味を持ったのは、「都内の広葉樹を活用したシイタケや薪の生産者にも、運搬に掛かる費用の一部を補助する支援策も実施する林産物生産支援事業」というのもあった点。

シイタケは、現実的には農産物扱いだろうが、都内の広葉樹と判別できるのかどうか。おそらく菌床栽培だから、粉にしてしまっている。今は菌床を海外から輸入するケースもあるから、産地偽装?になるかもしれない。

それと薪。これは薪ストーブ愛好家は喜ぶかな? いや業者の輸送費補助だから、これで薪の価格が下がるとは言えないだろうが。

薪ストーブ用の薪にシイタケを生やさせて、収穫後に燃やすとか、薪ストーブで温めて芽生えさせたシイタケです!と言って二重取りできないかな……。

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2022/11/08

カエデの水とり

函館の北方民俗資料館で描かれていたアイヌの暮らし。

春夏秋冬の絵の一角に「イタヤカエデの水とり」があった。

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そうか、アイヌ民族も、カエデの樹液を採取していたのか。これまで欧米、とくにカナダのメープルシロップのイメージが強くて、その物真似ぽく感じていたのだが、なんの、アイヌもやっていたのなら日本の民俗にも入るのではないか。やはり甘みのある樹液を味わっていたのだろうか。煮詰めてシロップにまではしなかったのか。

そして、今や全国に広がりつつある。先鞭を切ったのが秩父だ。秩父樹液採取組合までつくっている。現在はもっと各地で行われているみたいだ。

アイヌの図では、春先の仕事として描かれていたが、まだ雪深い季節から行う。

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秩父で見たのは2月だった。

ただ、日本ではメープルシロップまでするほど量が採れないし、おそらく糖分も多くないのだろう。煮詰めると、量的には100分の1くらいになる。もっと別の商品化は考えられないか。シベリアの民族は、シラカバからも樹液は採れて飲料にするそうだから、そのままのジュースとして売れるのではないか。味はあまりしないと思うが、冷やして飲めばわからんものだ。

「万病に効く霊水、霊薬」とかいって、カルト宗教に売りつけるとか(笑)。

 

 

2022/11/07

高校生からの質問ラッシュ

このところ、急に高校生と関わることが増えた。

思えば10月初めに、生まれて初めての高校で講演をしたのだが、それを機に、なんだか高校生からの問い合わせが急増している。(来るのは講演をした高校からではなく、全国から。)

Img001_20221107163101高校生の前で講演。

メールで森林のことを教えてください、というものだ。内容は千差万別で、たとえば早生樹植林のこと、森林認証のこと。理想の森林とは、今までで一番関心を持った森林を活用した産業は、ペレットについて……そして「森林を学ぶということはどういうことか」。最後のは難問。皆さんも考えてみたらよい。

メールでぶっきらぼうに質問してくるものあり、学校の教師経由で転送してくるものあり、丁寧に「質問してもよろしいでしょうか」と来るものあり。理由もいろいろあるようだが、どうも学校の総合学習?「探求活動」の時間で、それぞれ生徒がチームを組んだりしつつ、テーマを決めて調べる授業の一環らしい。そこで環境問題もしくは森林事情をテーマに選んだのだろう。また大学の森林科学科を受験したいからというものもあった。受験問題に林業は出ないだろうと思うのだが、どうやら面接やら小論文などで「林業をどのように感じているか」等々、問われた時のための勉強のようである。

これまでも、大学生からは多くあったし、ときに高校生、中学生もあった。しかし、一週間に何人から、それもバラバラ(九州から北海道まで)の地域から来るという経験は初めてだ。

まあ、今やインターネットで検索して、興味の分野について記事を書いた人がいると、メールアドレスを探し出して「質問!」というパターンがわりと多いように思う。

基本、私は全部に対応している。これは義務だと思うからだ。私自身も、高校生ではなかったが、大学時代は探検活動に関して調べては、書籍や雑誌の記事の筆者に手紙を送っていたのである。そしてたいてい返事をいただいた。だから、今度は私の恩返し、とういより恩送り。次の世代へ恩を渡していく義務を感じている。

ただし(ここから強調したい)、私は甘くないよ。あまり不躾な質問、くだらない質問だと、説教する(笑)。また今は安易にZoomで……という申し込みも少なくないが、基本やりません。決められた時間を取られるのは非常に窮屈になるから。どうせ昼間はダメだから夜か週末になるだろうし。

ここで受け付ける際の必要事項を記しておく。まず質問する前に自己紹介はもちろん、なぜ森林などについて調べているのか理由を述べよ。そして私に尋ねてみようと思ったきっかけを指摘せよ。その上で、どうしてそんな質問をするのか、自分はどこまで調べたのか、仮説としても自分はどう思うか、しっかり書いて熱意を示すべきだ。何でもメールで訪ねたらいいや、という.態度は許さん。
文章が稚拙で失礼な表現になっているケースもあるが、それは許そう。しかし、本気で知りたいのか、宿題だからちょちょいとメールで訪ねたことをそのまま写して提出したらいいや、なんて気持ちがかいま見れるメールの場合は、だいたいわかるのだよ。その場合は、罵倒するよ。

逆に、ちゃんと礼を尽くした質問には、気持ちいい。なんとかしてやらねば、という親心?も湧くというものだ。

なんだか毎日返答を書いていると、もはや仕事の記事の文章を超える執筆量だ。質問は一行でも、私の返答は数十行、いやもっと長編になることもある。各返答をまとめたら一冊の本になるかも(笑)。

だから、ここで忠告しておく。質問したければ覚悟を示せ。そうすれば全力で応えよう。手抜きの質問には手抜きの対応で済ませる。あるいは説教する。酷い場合は高校に苦情を入れるぞ。

 

2022/11/06

月下美人はどこまで大きくなるのか

朝起きて、ベランダを見ると、月下美人の花が2輪咲いていた。

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通常、夜に咲いて朝にはしぼむものだが、かろうじてまだ大輪を保っている。青空の下で月下美人の花を見た経験は、意外とないよ。

それで思い出した。函館でも月下美人を見た。ただし、桁違いの大きさ。

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五稜郭タワーの一階吹き抜けの中に大きな花壇が設置されているんだが、なんとまあ、ここまでよくぞ育てた。高さ3~4メートルもあり、幹というか茎は何十本にもあり、それが枝分かれを重ねて入り組んで編んだかのよう。花の蕾も相当数ついている。夜になって一斉に咲き始めたら壮観だろう。そして香りも相当強くなるのではないか。

我が家の月下美人は、40年ぐらい育てているのだが、幾度か分けている。成長力はたくましいのだが、十分大きく育てるのは難しい。なぜなら多肉植物らしく冬の寒さが苦手だからだ。春から秋まで玄関やベランダなのに出しているが、そろそろ夜の気温が一桁だし、室内にいれなくてはならない。そのために植木鉢にしてあるのだから。そして、家の中はやはり光量は少なく、しかも天井がある。どこまでも好きに伸びてもいいよ、とは言えないのだ。

結局、剪定する(切り取った葉を水に浸しておくと、また根が出て成長し始める)しかない。が、それでは大きくならない。いや大きくならないことを人側も望んでいる。

五稜郭タワーは吹き抜けだから天上まで高さ10メートル以上あるし、冬は暖房を入れるだろう。また壁はガラス張りだから光も入って来る。だから冬でも成長できるだろう。少なくても剪定せずに伸ばし続けられる。高さも直径も3メートル内外でこの調子でどこまで伸びるのか挑戦してほしい。上へ上へと伸びるとは限らず、横へ広がるかもしれない。あるいは伸びすぎたら伐ってそれを売り出すつもりなのではあるまいな。

 

2022/11/05

五稜郭のサクラの秘密

こちらは五稜郭の外郭に植えられたサクラ。ほとんどがソメイヨシノだろう。

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もともと五稜郭は、地元ではサクラの名所として知られる。なんでも函館毎日新聞社が、大正2年(1913 年)に1万号の記念として桜の苗を5000本植えたのが始まりだそうだ。(植栽したのは翌年だと。)その後も植えられ続けて、昭和40年頃までには約1万1300本のサクラが植栽されたという。ただ現在残っているのは約1300本。最初に植えたのが残っていれば、樹齢は100年になるわけだ。

それにしても、よくこんなみ密に植えたな、と思う。現在は間隔が約5~6メートルというところか。実は植えたときは3メートル間隔だったという。だが、さすがに高さ15メートルぐらいになるとひょろひょろになり病気が広がって枯れ始めたため、間伐をした。加えて幹の上部を切り落とした。だから、現在見たかさ3メートルぐらいまでは太いが、その上は枝分かれして細く樹冠が広がっている。

それでも密のまま大木に育っている。密植状態でも、ちゃんと育てたのだから、ある意味見事な植栽管理かも。間隔は狭いが、列はわずかなので、日射は横から当たるのだろう。

しかし、そろそろ寿命が近づいている。ソメイヨシノは、長く生きても100年くらいだから。

2022/11/04

11月4日は何の日? 奈良県の……

突然だが、11月4日は何の日か知っているだろうか。

……誰かさんの誕生日であることは確かだが、何より奈良県が再誕した日。正確には、奈良県再配置の日である。

奈良県自体は、1868年に官軍が天領・旗本支配地を元に「大和国鎮撫総督府」を置いたことが始まりだ。そして1871年に廃藩置県によって大和の一五の藩や天領を取り込んで奈良県(当時は奈良府)が誕生した。

ところが79年、奈良県は大阪南部の堺県と合併し堺県となる。奈良県消滅である。もっとも、それには反対はなかったようで、案外、海とつながったと喜んだのかもしれない。堺とは昔から街道があって、関係も深かった。

ところが2年後、堺県はまるごと大阪府に吸収された。理由は「困窮する大阪府の経済を救うため」と、当時の文書に明記されている。

おいおい、である。当時の奈良は農林業に商工業と比較的裕福だったのだが、その財政を大阪に回すのが目的だったのである。ようするに奈良からの収奪を意味した。学校設立の縮小、道路計画の放棄が進み、大阪の地価は減免したのに、奈良は減額しないという有様だ。

しかし、その運動を徹底的に反対し邪魔したのが大阪府なのである。同じく再設置を要望してきた徳島、鳥取、富山、佐賀、宮崎は実現したが、奈良は外される。ちなみに私は大阪府生まれで幼少時までは大阪府民だったのだが、あまりに大阪側のあこぎなやり口に憤懣やるかたない。そこで奈良県再設置運動が起きる。

運動も行き詰まっていく。ところが87年に奈良の地価修正を陳情したところ、それは却下しつつも県の再設置が認められた。11月4日のことである。これが今につながる第二次奈良県である。

まあ、そんな奈良県民以外は興味の持たない歴史の一コマなのだが、実はこの奈良県再設置運動は、奈良県の自由民権運動と重なっている。そして壮年期の土倉庄三郎が運動にのめり込ませた一つの理由ではないかと睨んでいる。

ただ、庄三郎にとっては悪いことばかりではなかったようだ。奈良県の五條と吉野を結ぶルートに宇野峠があり難所だったのだが、ここに道を通そうと苦労した。当時は公共事業ではなく、沿線の金満家が資金を出して工事を行っていたのだ。土倉家だけでも十数万円(現在の数十億円)を負担しているのだが、なかなかみんな協力しない。ところが庄三郎は、大阪府の建野郷三知事と懇意だったのだ。そこで府知事が、みんなに声をかけて説得したのである。

かくして峠を超える東熊野街道は完成したのである。

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宇野峠に建てられた工事の経緯を刻んだ碑。庄三郎存命時に建った唯一の碑だ。

ともあれ第2次奈良県は、135年続いているのである。

 

«紅葉に見る樹木の個性

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