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森と林業と動物の本

2025/02/11

切り株バウムクーヘン

つい買ってしまったケーキ。バウムクーヘンである。

通常、自分でケーキを買うこともない人生(^^;)なのだが、つい人生観を狂わせた!のは、樹木の断面、切り株ぽかったので。

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もともとバウムクーヘンとは、ドイツ圏のお菓子だが、現地ではそんなに有名ではないらしい。ただ木の棒に巻きつけて焼き重ねていくので、年輪ぽい生地になる。日本ではそれがなぜか喜ばれるみたいで、普通に出回っているし、専門店もあるね。なぜ、本場をしのいで日本で流行っているのかは謎。

ただ、一般に売っているのは、円筒形で幾何学的な模様としての年輪だが、この商品は本物の切り株ぽいではないか。太くて焦げた木目部分は、何があったか想像すると楽しい。まあ、その年に大火事があって……ということはなく、ついよそ見して焦がしたよ、という想像だが。

発酵バターを使っているハードタイプで、切ったりかじる際にもかなり硬かった。味は濃厚だ。バターの香りがすごい。

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縦断面はこんな風。樹木の木目の勉強になる(笑)。

ちょうど帰省していた娘と美味しくいただきました。

調べてみると、3月4日が「バウムクーヘンの日」なんだそうだ。ちょっと早すぎたか。

 

 

 

2025/02/10

我が家の「永久凍土」

超寒波が来たと、連日テレビは大騒ぎしたが、こんな時こそ庭仕事(^-^)/ 。

と思って庭に出た。もちろん、防寒はしっかりする。まず落葉や落枝の片づけて腐葉土づくりのため積み上げる。さらに家庭菜園部分の土壌の耕作を行おうと思ったのだが、そこで気づく。

我が家に永久凍土ができとった。。。。

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写真ではわかりづらいだろうが、この表土下1センチぐらい下は、ガッツリ凍っていた。よく見ると、氷の粒も見える。地下水も凍っている。

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スコップも刺さらない。カンカンと弾かれる。体重かけても、削れる部分はごくわずか。完全に凍っていたのであった。深さ10センチぐらいまで氷で固まった土ではないかな。庭のバケツの水も凍っていたが、その厚さも10センチ級だ。

永久凍土とは、氷河期時代より凍って、夏でも年中凍り続けてきた土地。まあ、永久なわけなく、おそらく数日で溶けると思うが(^^;)、気分は永久凍土なのである。

なお、金魚池も氷が張って割れないほどだが、その下に金魚が透けて見える。動いているのもいるから大丈夫だろう。ただ水道ホースが固まっているから、水漏れ起こさないか心配。ここまで凍ったのは、何年ぶりか。雪はたいして降らなかったからよいが、気温低下はなかなかのものだった。凍った土壌は家庭菜園に影響あるかどうか。ふかふかになって豊作になるかもね。

地球温暖化という言葉が気候変動に代えられた通り、何も暑くなるばかりではなく極端に寒い日も増えた。気候そのものが変動したのだなあ、と実感してしまいますな。

2025/02/09

セルロースナノファイバー入り和菓子!

日経新聞に、久しぶりのセルロースナノファイバー(CNF)の記事。

それがステキ(笑)。

CNFの使い道に和菓子があったというのだ。

木材由来の新素材、価格低下で離陸期 セルロースナノファイバー 和菓子食感良く/車部品を補強

和菓子に使用すればもっちりと独特の食感が出せるという理解が広がってきた」。日本製紙の松岡孝参与は手応えを話す。
CNFは植物繊維の主成分であるセルロースを細かく解きほぐしたもので、保湿性や増粘性が増す特徴がある。少し混ぜて食感を高めると売り込み、日本製紙は和菓子業界への提供を拡大。静岡県富士市の老舗「田子の月」などを開拓してきた。

もちろん、これは導入部であり、ほかにもボールペンのインキ、化粧品、生コンクリート、FRP……と、さまざまな用途を紹介している。

しかし、私には、こうした使い道がもっとも正しいと思う(^^;)。小さな用途からコツコツと、である。

記事自体が、製紙会社がCNFの製造と用途開発に力を尽くしてきたことを紹介するものなのであって、生産と用途が広がってきたことを示す。それはそれなりに頑張っているなあ、という印象を持つ。

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ただ、仮にCNFの用途が広がって儲かるのは製紙会社であることも一目瞭然。材料は紙と同じであるから、原材料は安い木質物なのだろう。高く、大量に買ってくれるとは思えない。

つまり林業には貢献しない、という私の想像どおりでもある。もしかしたら、原材料を木材から農業廃棄物にすることも考えられる。ようするにセルロースを含んでいればいいのだから。和菓子材料の小豆のカスなども使えば、和菓子業界に喜ばれるかも。

実際、製紙業界は林業界・木材業界とは違う。管轄も、どちらかと言えば経産省。

いや製紙業界からしても、CNF生産は副業にはなるが、そんなに大きな利益を生み出商品になるかどうかは怪しい。紙と違って、どんなに頑張っても量的には小さい。利益率は高いだろうが、パイがどこまで広がるか。

そこんところを勘違いして、CNFが林業を救う! 的な宣伝はアホだなあ、と感じるのだ。

もっと複合的に林業の木材生産、製材を中心に建材づくり、家具づくり、製材屑を製紙にCNFとバランスよく生産するシステムを構築しないと利益を生まないだろう。

 

2025/02/08

樹木のコラボ

近所で見つけた、この木。

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一瞬、何の木かと迷ったのだが、本体の木は、おそらくツゲの園芸種だろう。葉っぱが少ないのでわかりにくいが。

で、幹を覆っているのはなんだ? ツタか。検索してみると、セイヨウキヅタと出た。

2種類のコラボレーションによって彩っている木であった。

 

2025/02/07

麻布中学の入試問題

某氏より、「麻布中学の入試問題が面白い」とチクリ、もとい、情報提供があった。

それは、理科の問題。塾のホームページから入れる。

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https://www.yotsuyaotsuka.com/kaitou-sokuhou/pdf/2025_azabu_science_q.pdf

こんな問題がある。

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まず思ったのは、これ中学入試なんだから、現小学生が解く問題なの? という点。「緑のダム」と記しつつも、それを否定する現象を探させるなんて。森林土壌や人工林の生態系など、小学生が把握しているのかと驚くが、こちらが遅れているのかもしれない。

かなり高度だ。むしろ設問に問題を感じる。窒素分を減らすための「適切な手入れ」を規定するのは、諸説ある中で断定してもいいのか。さらに水文学的な立場からも、ツッコミどころがあるように思う。

そして次のこの問題。

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土壌や地下水の窒素分に目をつけるなんて、大学生でも億劫がりそう。

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この問題こそ、林野庁の回し者的な(笑)、発想だろう。

二酸化炭素を固定するには、何が必要か? 老木は伐ってしまえ? 私は、木を伐らずに残すのが一番だと思うけどなあ。

解答は、自分で確認してほしい。

問題をつくる人が、どの程度、こうした分野に精通しているのかも考えねばならないが、小学生、中学生を受験を通して洗脳しないでね。

2025/02/06

卒論「余剰ゴルフ場と霊園」を発見

たまたま「余剰ゴルフ場」という言葉にひっかかってある論文を発見した。

なんたって、私は「ゴルフ場ジャーナリスト」だからね。そして、余剰ゴルフ場問題は、ほとんど20年ぐらい前から指摘してきたことだ。当時500ぐらい余っていると言っていたが、今はもっと増えている。そして閉鎖もどんどん出てきた。
もともとはゴルフ場の自然を調べたのだが、そこには新たな「里山」的自然があった。ところが、経営が行き詰まると破壊される例に多く触れたためである。

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『ゴルフ場に自然はあるか? つくられた「里山」の真実』を読んでくれたまえ。

ただ、発見したのは論文と言っても、大学生の卒論のようだ。執筆がいつだったのか書いていないが、参考文献や「大沼あゆみ研究会13期」とあることから2017年か18年ぐらいではないか。

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「余剰ゴルフ場の利用方法に関する考察」と来たか。しかし、サブに「墓地への転用に向けて」とは……。この論文は、転用はメガソーラーより樹木葬墓地を押しているのであった。

私は樹木葬ジャーナリストでもあるから、ゴルフ場の転用となれば、樹木葬墓地をお勧めしているのである。

『樹木葬という選択~緑の埋葬で森になる』

こちらの本に記している。

参考文献を見ると、『樹木葬という選択』も入っていた。『ゴルフ場に自然はあるか? つくられた「里山」の真実』(もしくは旧版の『ゴルフ場は自然がいっぱい』)も入れておいてほしいのだが。

内容は、まあ、いかにも大学生ぽい書きぶりではあるのだが、それなりにゴルフ場の実情や樹木葬については調べたようだ。私が調べた頃より約10年後の実情を知ることができた。

実は、この動きは以前からあって、私のところにゴルフ場内、もしくはゴルフ場隣接地に樹木葬墓地をつくりたいという相談が何回かあったのである。ゴルフ場経営が厳しくなる中で、完全に閉鎖でなくても、一部の土地を墓地として収入源にする発想はあるのだ。私は、宮城県まで言って支配人と相談したこともある。乗り気だったのだが、その後、ポシャったようだ。

どうやら経営者は経営危機を迎えて、あの手この手を考えるものの、オーナーにとってはゴルフ場を所有していることは、一種のステータスシンボル的な面があって、その中で転用の中でも墓地はイヤだ、という意識が高そうなのである。メガソーラーの方がマシ? 
墓地というイメージの問題なのだろう。もし、もっと経営が行き詰まれば、あるいは完全に経営が成り立たなくなって、なりふり構わずに後始末的に跡地利用を考えたら、再び持ち上がるかとも考えられる。ただし樹木葬墓地は、作ったら一気に希望者が殺到するものではなく、徐々に、コツコツ、広めていくものだ。その点は、新規事業として物足りないかもしれない。

しかし、スウェーデンには世界遺産になった墓地もあるのだ。そうしたイメージ戦略はやり方次第である。大注目を集める墓地には、希望者が殺到する可能性もある。それも生前契約させたら、結構な資金源になる。

もう一つの問題として、現在の樹木葬の広がりが、極めて安直な墓地を増やしたことが足を引っ張るかもしれない。メガソーラーと変わらない樹木葬墓地だってある。
墓地埋葬法を管轄する厚生労働省も、樹木葬や散骨を異端視しがちで、理解が遅れている。国民運動的に自然を守る「緑の埋葬」の観点を育ててほしい。日本人の「自然の中で眠りたい」要望に直視しないと難しい。

 

 

2025/02/05

食品等流通法はエガリム2法に近づけるか

通常国会で、生産コストを考慮した食品の価格転嫁に向けた食品等流通法改正案などが予定されている。

農家など売り手側がかかったコストを明確にし、買い手側がその費用を考慮して取引することなどを定めようとするものだ。努力義務だが、生産コストを小売り価格に反映させろというわけである。

これって、エガリム2法に近い? 近づけようとして改正を目論んだのか? 私が最初に頭に浮かんだのは、この点だ。

エガリム法およびエガリム2法は、フランスの法律。私は、以前、この法律に関する記事を書いた。まったく無反応というか、読者はいたのかどうかわからないほど、興味を引かなかったようだが。

トレーサビリティの次はコスト明示。適正価格求めるエガリム2法

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まあ、この記事を書いたときは、日本側はエガリムに対して、まったくやる気のない国会答弁もあったのだが、私は遠からず議題に上げなくてはならないだろうと思っていた。今回の法改正案は、それに近づけるのか?  だいたい資材代も肥料も燃料も値上がりしているのに小売価格を上げないように、卸価格を叩いている現状がおかしいのだから。農作物だけでない。小規模生産者は、団結できないゆえ常に買いたたかれる。

食品が値上がりすれば、消費者の買い控えにつながると言われる。しかし、米が高値だとぶうぶう文句言うが、フードロスはいまだに高い。2021年で、523万トンだという。全生産量の約2割である。世界中では生産量の4割近いらしい。価格が上がれば、無駄にしないように工夫するから、フードロスも減るのではないか。

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法改正では、コスト反映に対しての支援制度を創設するものらしい(まだ法案を読んでいない)。国産原材料の安定供給に農家と連携したり、温室効果ガスやフードロスの削減に取り組んだりしたら、金融支援や税制特例をつけるというものだ。日本流の穏やかな内容になりそう。支援金で誘導しようというのも、相変わらずの行政手法だが。

ちなみにエガリム法の正式名称は、「農業および食料分野における商業関係の均衡並びに健康で持続可能で誰もがアクセスできる食料のための法律」。目的として上げられているのは、
①農業者と取引相手との適正な取引関係の促進
②食品の品質・地産地消の強化
③健康に寄与し信頼性および持続可能性の高い産品の促進
④食料分野におけるプラスチック使用の減少など

単にコストの価格転嫁だけでなく、さまざまな要素が含まれている。

コストを折り込んだ価格形成を行わせるのは、食料だけでなく林産物も含めて全商品で考えるべきだろう。木材なんて、50年60年単位でコスト計算してみたらいいと思うよ。これもサスティナビリティ経済だ。

2025/02/04

沖縄のジン

ふらりと寄った大阪の百貨店。

その酒売り場で、沖縄の酒コーナーがあった。常在ではなくイベントらしい。沖縄の酒と言えば泡盛と思うところが、実は並ぶのはウイスキー、ラム、ジン……はぶ酒がかろうじて昔ながらの沖縄の酒か。

つい立ち止まると、案内役の女性がいろいろ説明してくださって、さらに試飲を進めてくれる。つい、飲む。ウイスキーはスコッチのボトリングだったが、ほかはみんな沖縄で製造。このラムは? こちらのジンは? やはりハブ酒も。

ふん、ふん。何か特有の香りがする。美味いのか。ズレてるのか? いや、まあ、酔える。アルコール度数も40度、48度、57度……!と半端じゃない。

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これが57度のジン。石川酒造場の「ネイビーストレングス クラフトジン」というそうだ。この名のネイビーとは「海兵隊員が船内の火薬に間違ってかけてしまっても、火薬がしけらないほど度数が強い」という意味なんだそうである。限定もので、日本で唯一のウイスキーとスピリッツの品評会である「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)2021」で金賞を受賞したとある。ボタニカルも沖縄特産のいろいろ、そして樽もいろいろ。オーク樽やシェリー樽、寝かす期間もこだわりがあるらしい。

いっぱい飲んで、「これ、水を入れると白く濁るんですよ」。「えっ、本当?」「試してみますか」
というわけで、また試飲する。

試飲はそれぞれを3㎖ぐらいずつかと思うのだが、全銘柄を飲めば、30㎖ぐらいにはなるのではないか。うふふ。

軽く酔って、このままでは呑み逃げになるかと思って、このジンを購入してしもた。酔った勢いか。

こうした洋酒スピリッツやウイスキーづくりは、全国的に進んでいる。泡盛メーカーはもともと蒸留酒を作っているのだから、ちょっとした発展でラムやジンも作れるだろう。寝かすことでウイスキーも可能だ。ただ内地の日本酒メーカーまでが、ジンやウイスキーをつくる時代になった。

日本の場合、ボトリングしても、その産地名を使えるから、気をつけないといけない。しかし、ボタニカルという名の植物の活用は、お酒が一番向いているのかも。

私も、行きつけのバーで47度のジンにゆずやレモンの皮を漬け込んでいるのを見て、作り方を教わり我が家でも試している。最初は自宅で採れたレモンを、今は国産完熟ライムという珍しいものを手に入れて漬けている。まだ飲んでいないが、梅酒なんぞと違って、高度数スピリッツにより、糖分も入れないボダニカル要素である。

さて、沖縄試飲祭り、最後は、試飲できないはずの限定泡盛のクースー(古酒)、年間200本しか作っていない逸品も飲ませていただいた。実は、これが試飲した中で一番美味かったのだが、価格も10倍ぐらいするのであった……。

 

 

2025/02/03

盗伐問題の記事に思う

思わず私が書いたんじゃないのか?と思ってしまった記事(^^;)。

再生可能エネルギーを促進する制度が「森林破壊」を加速させている

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だって、再生可能エネルギーというのはバイオマス発電のことで、そこに「盗伐が助長される」とあるのだから。バイオマス発電批判、盗伐批判となれば、私のテーマにそっくり。

よく読めば、宮崎県盗伐被害者の会の海老原裕美会長が登場している。拙著『盗伐』にも登場する盗伐問題の火付け役だ。なるほど、彼に取材したのなら、重なるはずだ。

まあ、バイオマス発電が木材価格を上昇させた、というよりも、まず大規模伐採ありきで、伐った木の使い道がないゆえバイオマス燃料に流れ込んだとみた方が正確だろうと思うが。結果的に建材になる木が燃料なのだから、木材価格はむしろ引き下げた。それでも量を多くして利益を出すという刹那的なビジネスモデルである。そこに他人の山を乱暴に伐るのだから、コストを抑えてより儲けられる盗伐が、広がる余地があった。

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ちなみに、先日地元の図書館に行った。ここは、近年の拙著はほぼ全部揃えてくれている有り難い図書館なのだが、なんと『盗伐 林業現場からの警鐘』はなかった。内容をチェックして、これは生駒市民にはいらないわ、と判断したとは思えないので、ようはタイトルに魅力がなかったのか。盗伐という言葉は、そんなに興味が持てないのかね。都会の街路樹伐採となると、飛びつくのかもしれないが。

盗伐問題がイマイチ盛り上がらないのは、他人事を感じさせ深刻さが伝わらないからかねえ。

 

 

 

2025/02/02

『看取られる神社』考

このところ、暇を見つけては近隣の「散歩」をしているのだが、その際に発見に努めているのが「廃神社」。正確には仏教施設も含むし、神社=神道というより、新興宗教的施設も多いのだが、ようするに信仰を基盤とした「聖地」が廃れていった後の姿だ。

そして、生駒、少し広げて奈良というところは、そんな施設は少なくないのである。犬も歩けば、森林ジャーナリストも歩けば廃人、じゃない廃神社に当たる。。。

市街地でも建築物の合間に挟まるように藪があり、そこに潜入すると、たいてい祠とかため池がある。山に入れば、森の中に崩壊しかけた宗教施設の残骸が見つかる。なかにはパワースポット扱いもあれば、ホラーかオカルトの拠点かと思わせるところもあるのだ。

そうした所ばかりを見て歩くと、なんだか精神が病んでいるかのようなのだが、さまざまな幻の記憶が蘇る。その施設が勃興した時、栄えたとき、いつしか寂れていくとき。見ても聞いてもいないのに、感じ取れる。

そんな最中に読んだのが、『看取られる神社 変わり行く聖地のゆくえ(島田奈穂子著 あいり出版)であった。

嶋田さんは、イマジナリー生態学を標榜して、聖地の研究をしている。現在、滋賀大学の非常勤講師だそうだ。

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目次を示すと、

1章 聖地が生まれる
 (災害の爪痕を、自然の恵みを願う場に 稲荷神社 滋賀県守山市服部/土地の先住者をカミに プーターの森 ラオス・チャンパサック県ノックコック村 ほか)
2章 育つ聖地
 (筏流しの守護から、新しい村の鎮守へ 思子淵神社 京都市左京区大原大見/水神は、イノシシ除けのカミになった 大川神社 滋賀県高島市朽木生杉 ほか)
3章 看取られる聖地
 (神社を看取った人 大山祇神社 福島県大沼郡昭和村畑小屋/神社の“墓標”を立てた夫婦 菅八幡神社 福井県越前市菅町 ほか)
4章 それでも、聖地が生き続ける理由
 (誰もいなくなる土地に生きることを願われる聖地 白山神社 福井県勝山市横倉/合祀された「井戸」 沖縄県那覇市 ほか)

見出しどおり、聖地の誕生、育ち、看取り、そして復活を描いている。

神社の誕生として示されるのは、洪水被害地や、丸太の筏流しの拠点、そして何らかのストーリーがあるようだ。ラオスのコック爺さんなんか、村に先住していた人らしいのだが、なんだか可愛らしい。

そして過疎化の進展から消滅集落化によって看取られる。だが、神社がなくなっても信仰の地、聖地として残り続ける土地もあるようだ。

実は、私の訪ねた廃神社と重ね合わせると、どこかに共通点を感じる。もちろん、私は研究しているわけではなく、その神社の由来を調べるわけでもなく、現状の聞き込みをするわけでもない。ただ、見て、感じる。妄想に近いのだが。

たとえばため池が祀られることは、比較的多いようだ。池を掘ったときに、水の神様を勧進したのだろうか。ほか森、大木、巨石なども聖地になる。イマジネーションを刺激されるからだろうか。生駒山にはナナツモリの伝説があって、小さな森が聖地とされる。7つとは語呂合わせで、実際にいくつあるかわからないが、訪ねると、祠や石仏があったりする。

神社が廃される裏には、明治の神社合祀令があるが、これは半強制的なケース。私の見つけたものは、個人で建てたが、世代が変わって捨てられたものや、カリスマ的な教祖によって生み出された宗教施設も、カリスマがいなくなることによって消えていく。後を継ぐものの存在がいなくなれば、当たり前だが廃される。

しかし、信仰の記憶が続くと、いつしか記憶のバトンタッチがされて復活につながることもあるのだ。山がなくなっても、聖地は残る。

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大豪邸の一角に祀られていたのだが、いつしか豪邸は空き家になり、神社も荒れ果てた。

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新興宗教らしいが、山中に捨てられた。そこに教祖様のお言葉が掲げられている。

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住宅再開発が進み、周辺の山はなくなってしまった祠が、近年になって建て直された。復活したのである。

 

ところで、最後に余談を。実は、著者にあったことがある。取材したのだ。それも東チモールのコーヒーについて。そのときのことを記していた。当時は思想生態学と名付けていたが、それはイマジナリー生態学になったようだ。

森の思想生態学!

2025/02/01

南三陸の林業地が自然共生サイトになった

宮城県南三陸町にある「南三陸FSC認証林」(約2471ヘクタール)が、2024年度前期、国が認定する自然共生サイトに認定されたという記事。

南三陸FSC認証林、自然共生サイトに認定 生物多様性に配慮し植林

宮城県南三陸町にある「南三陸FSC認証林」(約2471ヘクタール)が、2024年度前期、豊かな生物多様性が保全されている区域を国が認定する自然共生サイトに認定された。生物多様性に配慮したスギを中心とした森づくりが行われている。

ついでに、こんな記事も。

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これに私が驚いたのは、森林認証のFSCを取得したことではない。自然共生サイトに認定された方なのだ。それも約2471ヘクタールと全域らしい。

自然共生サイトとは、環境省が仕掛けたネイチャー・ポジティブ政策の一環。30by30と呼ばれる2030年までに国土(水陸)の30%を自然保護区に指定する国際的な目標を達成するための施策だ。国立公園などの保護地域指定では全然足りないことから、新たな指標で民間の土地も指定するようにした。生物多様性増進に役立つとされた土地を「自然共生サイト」と名付けたのだ。現在、全国で253か所あるが、多くは企業などがCSR的に生物多様性を意識した保全地区である。

私は、かなり前からこの制度に注目していて、そのうち林業地が認定される動きが始まると睨んでいた。ただし、ほとんどの人工林はスギやヒノキ、カラマツなどの針葉樹一斉林である。それでは生物多様性になりにくい。よほど工夫した森づくり(たとえば針広混交林とか)をしていないと認定されない、だから可能なのは所有林のうちの自然林部分ではないかと考えた。林業地と言っても、たいてい一部は植林せずに自然のまま残した森がある。河畔とか尾根筋とか崩落地とか……。

そうした天然状態の森の部分の保全策を決めたら、自然共生サイトに認定されるかもしれない。そうすれば、将来的に固定資産税などの減免措置もあるだろうし、補助金ももらいやすくなる……と睨んでいた。実際、いくつかの林業家の所有森林の一部が認定されている。ただし面積的には小さい。数ヘクタール、いや1ヘクタール未満も多い。大きなところで2~300ヘクタールもあるが。

ところが、今回はそうではないらしい。純然たるスギ林が、FSC森林認証を取得したことで自然共生サイトにも認定されたのだ。どうやら広葉樹も生やして針広混交林に誘導するらしいが、それでも人工林に違いがない。そこが自然共生サイトになったか! 面積も桁違いだ。

まだ認定基準とか、細かなところはわからないが、かなり期待できる。私有林業地の中の自然林は、面積にして1割程度ではないかと思っていたのだが、もし人工林全域も施業方法次第で認定されるなら、可能性は一気に10倍になる。当然、認定特典などの効果も大きくなる。30by30にも貢献する。

もしかしたらFSCの認証を取得したら、自然共生サイトに認定されやすいという事例になるかもしれない。そのうちSGECもなるか……。林業地の林業のできない部分だけ認定を受けるより、林業を行う山そのものが認定を受けられることになれば、意識も変わってくる。

願わくば、サイトに認定されたら受けられる特典を早く示すことだろう。今のところ、どんな特典があるのか明示されていないが、それが明確にわかって指定を受けたら有利になるとわかれば、参加しようという林業家、山主も増えてくるはず。内容次第だが、林業家が森林認証に目を向けるかもしれない。

そして生物多様性を重視した林業も進む。

環境省、林業政策へ一石を投じるのではないか(笑)。今も皆伐一斉造林を推進する林野庁、どうする?

 

 

 

 

2025/01/31

日本最大級のバイオマス発電所

山口県下関市に日本最大級のバイオマス発電所が稼働を始めたという。

山口県下関市・長府バイオマス発電所の営業運転開始について 

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長府バイオパワー合同会社(CBP)、およびCBPへ出資する株式会社東京エネシス(以下「当社」)、石油資源開発株式会社、株式会社MOT総合研究所、株式会社長府製作所、ならびに川崎近海汽船株式会社の5社(以下、5社をあわせて「出資5社」)は、CBPが事業主体として計画を推進する長府バイオマス発電所(山口県下関市、以下「本発電所」)の営業運転を、2024年12月30日に開始しました。

本発電所は、木質ペレット100%を発電燃料とする出力規模74,950kW のバイオマス専焼発電所です。再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)を利用し、中国電力ネットワーク株式会社へ売電しており、年間約5.2億kWhの売電量を見込んでおります。

出力規模は、なんと74950KW。そして燃料は、木質ペレット100%(海外から輸入)とある。

これ、燃料の量については触れていない。そこで勝手に推定してみる。

一般に5000KW級バイオマス発電所で年間約6万トン、約10万立方メートルの木材が必要とされる。その約15倍だから、90万トン、150万立方メートルとなる。90万トンの木質ペレットとは、どんなものか。

100%東南アジアから輸入というから、多くはベトナムだろう。ベトナムの木質ペレット生産量は、2022年に490万トンだった。現在は500万トンを優に超えているはずだ。それでも6分の1近くを占めるのではないか。なお日本がベトナムから輸入するのは約250万トンだから、90万トンは3分1にもなる。そして150万立方メートルの木材とは、宮崎県の年間スギ生産量に近い。(全国のスギ生産量は1200万立方メートルぐらいだったから、8分の1に相当。)

それを1基のバイオマス発電所で消費してしまうのか。すげえな。

もちろん推定値には誤差があるし、木質ペレットは、アメリカやカナダも大規模な木質ペレット生産国で、日本はそこから大量に輸入している。だが輸入国がどこであろうと、これだけの木材を消費することが重要だ。

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木質ペレット輸入量の遷移

それにしても、韓国はバイオマス発電への補助金を打ち切りに動いたというのに、日本ではまだまだイケイケドンドンなのだね。

なお国産の木質ペレットの生産量は、15万8645.5トン(2023年)だった。むしろ減少傾向。全然足りない。

木質ペレットは、その製造時に原料木材の持つエネルギーの半分近くを消費してしまう。まず木粉に砕いて、またそれを圧縮して固めるのだから。そして原木とペレットの輸送エネルギーもバカにできない。そして森林破壊を進める。これで温暖化を食い止めることにはならないだろう。FITを使ってまで、つまり我々が見えない税金(電力料金)を取られてまで推進するものか。

 

 

2025/01/30

スタンプカービング見つけた

生駒山の山麓公園で発見。
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これ、株立ちした幹のうちの一本を削ったのかしら。周りは萌芽かもしれないが、切り株に直接彫ったことになる。スタンプカービング(Stump carving)というのだったっけ。スタンプとは切り株のこと。
通常はチェンソーでやるものだが、これは細かいから手彫りかなあ。しかし、器用なことをする。なかなかの腕前の造形である。
ただ、これ、人通りのあるところではなく、斜面の、どちらかというと草に埋もれそうな場所になったのだよ。発見できたのは、かなりの偶然。

2025/01/29

Googleで巨石探し

生駒山と並行して南北に伸びる矢田丘陵。その某地に巨石があることは知っていた。

ある神社の裏手の山の中だというのはわかっている。が、まったく手がかりなく、道もない神社の裏山を歩き回って探すのは難しい。そこで諦めていたのだが、たまたま近くを車で走り、その時にスマホのGoogleマップを立ち上げた。そこにある分かれ道に逸れたらどこに行くんだ、カーナビにはその道は描かれていないし点……という気持ちだったのだが、なんと、Googleマップには巨石の印があったのだ。

分かれ道の方はそこそこに(^^;)、巨石の位置に興味がわいた。もちろんGoogleマップとはいえ、そんなに正確ではない。国土地理院の地図なみに等高線も入っていないし、山の中なのだから緑一色のある一点。ただ距離はつかめるし、こちらの移動に合わせて現在位置も示してくれるから、近づいているのか遠ざかったのか読み取れる。

ならば行かない選択肢はあるまい。

神社の裏から山に入る。道はない。かなりの急坂で、しかも落葉の量がすごくて、つるつる滑る。たまに大石はあったが、その周辺に巨石が見えるわけでもない。

それでも地形を微地形を読む。かつて、その石を祀っていたのだから、きっと当時は道はあったはずだ。今は消えたとしても地形として残るはず。Googleマップに打ち込んだ人も、たどり着けたのだから、行けないわけはない。

急斜面を滑りながらよじ登ると、垂直の岩壁が現れた。人為的に削ったのか、それとも崩壊したのか。高さ5メートル以上で、横には数十メートル。なかなかの岩壁である。しかも、その前が平らになっている。ここに過去何かがあったはず。消えた神社? Googleマップではかなり近づいている。

そう考えて、道跡ぽいところをたどると……。あった。

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どーん。3つの巨石が並んでいる。いずれも細長くコッペパン状。

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でかいよ。長さは10メートルは超すだろう。これが幻の巨石か。不思議なのは、岩の表面がわりとつるつるしていること。山の石なら尖っているはずなのに、川石のように削られて丸くなっている。人為的なのか、自然現象で起きることなのか。

浜に乗り上げた丸木舟ぽく見える。生駒は、かつてニギハヤヒノミコトが降臨した地である。神武天皇より早く、大和の地にやってきたのだが、その際は岩舟に乗っていたと伝わる。だから生駒山系には、いくつか岩船・磐船神社があって、岩を祀るところも数多いのだが、ここも伝説に結びつくのだろう。

以前は巨石の近くに神社があって岩を祀っていたのに、明治の神社合祀令で廃止になって、麓に下ろされたらしい。そして数十年も経つと、木々が茂り、わからなくなってしまっていたのだろう。

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神社の施設の何かの痕跡か。

ちなみに、そこから再び森の中をかき分けて、つまり道のないところを下りたのだが、ときおり巨石を見かけた。渓谷の河床には細長い岩もあった。コッペパン状に岩がなるのは、何か地質的に意味があるのかもしれない。

地形と地質が伝説をつくり、時代とともに廃れて忘れられ、それがまた別の伝説を生み出す。失われた記憶が幻としての伝説になる。

 

2025/01/28

ラジオで花粉症患者に喧嘩売る

今朝、ラジオ出演した。

ジャパンエフエムネットワークというFMラジオの朝9時台の番組「OH! HAPPY MORNING」である。全国9局(FM青森・岩手・秋田・山形・富山・石川・三重・山陰・香川)で流れたらしい。

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テーマは花粉症。今年は過去10年で最大の花粉量が飛散、ということに引っかけて、無花粉スギについて取り上げたいそうである。私は、依頼を受けて「私でいいんですかあ」と何度も確認したが、よいというのである。

たった数分間の出演でも、結構負担はある。事前に調べることも必要だし、直前に電話がちゃんと通じるか確認したり、邪魔な音の入らない場所に移動して出演待機したりと、朝飯食いながら考えたら落ち着かない。

さて、スギ花粉が増えた理由や無花粉スギなどの説明をしてから言ってやった。「無花粉スギなんて、何の役にも立たない( ̄^ ̄)」と。

もちろん、植え刈るのが年間1~2万本にすぎず、全部植え替えるまで300~400年かかることもある。が、スギがなくなっても花粉症は亡くならないと予想されるからだ。

そして「コロナ禍は、新型コロナウイルスが引き起こしましたよね。でも、誰もコロナウイルスを絶滅させろとは言わなかった。無理だから。同じように花粉もなくすのも無理。スギだけでなくて、植物に花粉を出さないようにしろ、というのが無理。だからこの対策は無駄。

その後、花粉をなくそうと思うより自分の身体をなんとかしろ、あるいは治療薬、ワクチンつくれ、と言いたかったのだが……。これはカット(MCに遮られた)。

だから、私にコメント求めたら花粉症の企画が成り立たなくなりますよ、と言ったのだよ。

こうしたラジオの小コーナーで、詳しく説明しても伝わらない。時間がないからではなく、理解が追いつかないから。聞き流す中で大量の情報を咀嚼するのは無理がある。だから細かな条件とか例外などは省いて、方向性だけを示すようにする。ざっくりとした捉え方を示すべきなのである。気になる人は、後で咀嚼してくれたらよい。いないだろうけど。誤解されてもよしと開き直る。細かいことが気になる人は文句を言うのだが、それは無視(笑)。

以上、私が身につけたマスコミ対応コミュニケーション法である。エヘン。

 

 

2025/01/27

「BARish」のお味

イオン系スーパーマーケットで見かけたドリンク。

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BARishとある。なんだ、これ。

しかも、価格は37円! これ、特別価格?いつもの価格ではないよね。

フォレストに惹かれただけでなく、でも、ちょうど喉が渇いていたんだ。何か1本買って、店を出たらすぐに飲もうかと思っていた。そこで

ただ2種類あって、片方が、「Forest」味なんだそうだ。(もう一つは「Campfire」。

わからん。

検索してみると、
BAR-ish(バーリッシュ)は、
様々なシーンの雰囲気や、香り、温度感などのイメージを
表現した"シチュエーションドリンク"です。
まずは心惹かれるフレーバーをご堪能ください。
BAR-ishを手に取る瞬間からはじまる
ゆったりとスローな時間を
お楽しみいただけます。」
とある。クラフテルドリンクという説明もあった。

なんと8種類もある。その店に積んであったのは、先の2種類だけなのだが、売れ残ったのか

飲んでみる。……なんか、不思議な味だ。柑橘系がベースなのだが……。そこでよく缶を見ると。

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パセリにセロリ。。。。。これが森の味ですか。甘くないのはよいが。

クラフテルは、
アルコールでもソフトドリンクでもない
新感覚ドリンク。

プロ監修の元、トップバリュがこだわりぬいて開発した
新ドリンクカテゴリです。

ただ甘いだけではなく、ハーブやスパイスや果実など
様々な素材を組合せ、『渋み』、『苦み』、『コク』、
『酸味』、『塩味』、といった複雑な味わいと
『香り』を感じられます。

個性的なフレーバーやネーミングの19 Nineteen
様々なシーンの雰囲気や香りを表現したBAR-ish

まずは心惹かれるドリンクをご堪能ください。」

実際の価格は198円とある。それを5分の1以下の値段にしたのは、やはり売れ残りか(笑)

2025/01/26

森林経営管理制度の改正

どうやら農林水産省、林野庁は、今年の通常国会に「森林経営管理制度」を改正案を提出するらしい。

この制度、運用開始は19年だから6年目にして改正される模様。(実施を考えれば7年、8年目か。)

いまさら説明もいらないと思うが、この制度は森林所有者が管理できていない森を自治体(市町村)が預かり、それを代わって管理する団体に再委託するというシステムだ。ようするに所有者がやらないのなら、お前の森林をほかの誰かに管理をやらせるぜ、という制度。乱暴な説明……(^o^)

が、肝心の再委託先が見つからないケースが多いらしい。だって、管理放棄している森とは事実上荒れた森なのであって、しかも小規模面積を請け負っても儲からないから。

そこで来年度には集約化に向けたモデル実証事業を行うという。森林が小規模で分散している。まず市町村や事業者、所有者らが集まった地域協議会を設置し、採算が取れる枠組みをつくるそうだ。

そこで林道整備の方針、再委託先となる事業者などを定めた「集約化構想」をまとめる。改正案では、
・複数市町村や都道府県との共同策定も可能とする。
・所有者に対して主体的に委託への同意を働き掛けられるようにする。
・市町村の職員不足を補うため、市町村が一括で策定できるようにするほか、森林情報の解析や所有者不明森林の探索といった事務を支援する団体や企業に事務委託する
・所有者の過半数の同意があれば預かって適切な手入れができる仕組みも設ける。

などが並んでいる。その前に「所有者に対して自ら経営を続けるか、お任せするかの意向調査」が必要であるが。

この中で気になるのは、「主体的に委託への同意」を働きかけ「過半数の同意があれば」という点か。自治体が所有者に委託しろと働きかけるとともに、みんな同意しているんだから、とプレッシャーをかけることにならないか。

それと気になるのは、ここで再委託先が行う「経営管理」とは、実は伐採すると同義語なのだ。伐採しない管理を認めていない。だって、儲けさせてあげるよ、と再委託するのだから。
これまでより強権的に伐採を進めるための制度改革に見える。森林経営は続けたい、ただし伐採はしないという所有者に対して強引に他者の意向を押しつけかねない。

逆に、荒れ放題で伐採して金になる木もない森には、この制度を適用しない気がする。

どうやら改正案は、島根県邑南町で行った「林業事業者から管理しやすそうな森林区域について提案を受けて、面的なまとまりを持った形で事業者に再委託」したケースをモデルにしているらしい。つまり所有者の意向以前に林業事業者=伐採業者の意向を聞いて、伐採したい森を伐採しやすい形に集約化して、委託しようという伐採ありきのスキームである。

問題意識を持っている政治家は、与野党含めていそうにないから、すんなり通りそうだ。

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なんか、いやあな感じがする。

2025/01/25

『敵』と『モリのいる場所』から描く晩年

映画『』を見た。筒井康隆原作の映画。原作は1998年発行で、ほどなく読んでショックを受けた作品の一つ。

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老後を丹精に生きる元大学教授。フランス文学の権威とも語られるが、引退してからは文筆生活だ。食事、歯磨き、洗い物、洗濯、入浴、買い物、庭掃除……と丁寧に生活が描写される一方で、教え子などが頻発に通ってくれて、ワインをたしなめば話も弾むし、家事の手伝いもしてくれる。バーで女子大生とフランス文学について語り合ったりもする。一方で煩悩や妄想もあり、見栄にも縛られる。辛いキムチを食べすぎて腹を壊す。体臭を気にする。遺言書を何度も書く。

もう、私には憧れの晩年生活だ(^o^)。こんな風に過ごせないか。

なお、筒井康隆は現在90歳で頸椎を痛めて歩けなくなったため老人ホームに入っているが、頭はしっかりしていて執筆活動も続けている。こちらの姿にも憧れる。ただ、『敵』を執筆したのは63歳の時と知って驚愕。主人公も70代の設定だが、現代から見ると老後というには若すぎる。80代に設定した方がよかったように思える。なお映画は、昨年東京国際映画祭でコンペティション部門最高賞を受けたという。

実は、以前にも記したが、モリのいる場所』という映画を見て、これぞ憧れの老後!と思っていた。こちらは2018年公開。30年もの間、ほとんど自宅から外出することなく庭を彷徨い、その世界を描き続けた画家の熊谷守一がモデルというか主人公。94歳という設定で、30坪足らずの庭に毎日通い動植物を観察し続ける生活を続け、やがてファンタジックな展開となる。こちらも憧れた。

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マジに今の私が庭をいじり続けるのは、このような晩年を送りたいので、1日中彷徨を続けられる庭をつくろうと思ったからである。我が家の庭は30坪もないけどなあ。

『敵』でも、庭の風景は重要な役割を果たしている。井戸があって、納屋があって、和風だが庶民的な庭のたたずまいが私の好みだった。こんな庭なら倒れても様になるというか。死体を井戸に放り込むのはどうかと思ったが(⌒ー⌒)。
せっかくの丹精な暮らしも、「敵」が現れたために徐々に崩れていくとともに残酷な展開となるのだが、それも老いを生きる(そして死ぬ)という点においてはアリだな、そんな晩年もいいかな、と思わせる。どちらも妄想や譫妄はあるようだが認知症ではない。頭はしっかりしているのである。

映画を見て帰る途中に、居酒屋とバーを梯子。女子大生ではなく、おばさんらと少しの会話を楽しんだ。予行演習か?

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庭づくり、頑張ろう\(^o^)/ね。

 

2025/01/24

庭木伐採

庭の槙の木が弱っている。よく見れば、樹皮の半分ぐらいが剥けていて、一部に腐食が入っていた。かなり広範囲ではないか。いつ傷ついたのか、何が傷つけたのか、まったく記憶がないのだが、ウメノキゴケなども付いているし、これでは無理だろう。

しばらく様子を見たが、どうもアカンと見極めて伐採することにした。

もちろん手鋸である。

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断面を見れば、完全に枯れているね。腐りも見える。葉はまだ青かったのだが、それは針葉樹ゆえ?の強さか。

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狭い自宅の庭でも、よく観察しないと草木の異変にすぐ気づかない。

太さは10センチそこそこで、幹の長さも2メートルないぐらい。でも、せっかくなんで庭のどこかに木材として使おう。土留めでもなんでもいい。徐々に腐って土に戻ってくれるだろう。

一方でこの木の後には何を植えようかとも考えた。成長が遅い木だと、私の生きているうちに立派な樹形にならない (゚o゚;) し、かといって早生樹も家のそばだから危険。根っこが住宅の基礎まで伸びては困るし、比較的近くに伸びる電線に絡んでも困る。それに周辺の木に影響を及ぼさないようにしたい。

しばらく考えよう。中低木で常緑、樹形はまっすぐがいい。槙の木の根っこも残すか抜くか。抜くのは大変だろうな。。。

 

 

2025/01/23

木質ペレットに将来はあるか

ホームセンターで見かけた木質ペレット。アカシア製だった。ペレットストーブ用燃料として売り出している模様。

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アカシアでペレットをつくっているのは、おそらくベトナム製ではないか。

比較にホワイトペレットなるものが紹介されている。こちらは樹皮を含まないそうだが、樹種は何か。白い木としたら、アカシアではなく、針葉樹ぽい。もしかして、カナダのトウヒやモミのペレット? 灰が少ないことをメリットとする。

どちらもバイオマス発電用に大量生産されているが、それをペレットストーブ用に横流し?しているのではないか。正直、発電燃料より高く売れると思うが、量はしれているだろう。

実は海外のペレット生産に異変が起きている。

すでにアメリカでは、エンヒバという木質ペレット生産の大手が倒産している。しかもトランプ政策では「再エネ糞くらえ!」で石炭石油に回帰するかもしれない。世界的にも大気汚染などを理由にペレット工場の操業を止める動きが加速している。さらに「バイオマス発電は再エネじゃない」「二酸化炭素排出削減に役立たない」という論調が強まっている。バイオマス発電は、急速にブレーキがかかってきた。

韓国は、とうとうバイオマス発電への補助金(に相当する、クレジット)投入をストップする方向に舵を切った。新規バイオマス発電は認めないことになり、従来の発電所も、国産燃料以外には再エネクレジットは発行しなくなる。となると、日本以上にベトナムやカナダからのペレット購入は大幅にダウンするだろう。ベトナムは、儲からなくなれば減産するだろう。すると価格は跳ね上がる。

日本だけ海外燃料に頼るバイオマス発電を続けても、安定供給は保証されていない。たとえばカナダやベトナムでペレット生産が減少した場合、どうなるのか。もしかして調達がむずかしくなる可能性もある。燃料価格は高騰して採算が合わなくなるだろう。

とまあ、ホームセンターに売っていたアカシアのペレットを見て、そこまで想像したのである( ̄^ ̄)。。。

 

2025/01/22

大仏殿の雛型?喜光寺

東大寺大仏殿を建立したのは行基さん。奈良時代のスーパースターだが、その大仏殿を建てる前に手掛けたのが喜光寺。そのせいか? 本殿や南大門などが東大寺にそっくり。そのため「試みの大仏殿」とか言われている。そこを訪問。

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これが本堂だが、たしかに大仏殿と似ている。

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もっとも、現在の大仏殿は江戸時代に建てられたのであって、奈良時代に建てたのは、もっと横に長かったはずだ……。当時のものは想定だが、こんな形をしていたと思われている。(模型)

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と、ともあれ、喜光寺の本堂の中に入ると、天井はこんな感じ。ちみなみ本尊は阿弥陀如来。(東大寺は盧遮那仏)

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東大寺大仏殿の天井はどんな具合かというと……。

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似ている。と言ってもいいかな……。まあ、当時の工法なのだろう。

さて、本当に「試みの大仏殿」なのだろうか。

なお、今年は巳年。喜光寺には、こんな人頭蛇身の宇賀神像が祀られている。

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今年ゆえの特別公開であった。

 

2025/01/21

トランプ米大統領と、緑の植民地主義

トランプ氏が米大統領に就任したニュースを見て、頭に浮かんだのはスターウォーズだった。それも「エピソード3 シスの復讐」。

それまで混乱しつつも曲がりなりにも保ってきた銀河共和国が、シス暗黒卿によって銀河帝国へと変貌し、ダース・ベイダーも誕生する回だ。私としてはエピソード2とともにかなり好きな回。能天気な勧善懲悪的アクション満載回のエピソード4~6より気持ちがしみ入る。

トランプ大統領は、シス卿やダース・ベイダーに見立てるほどの大物ではないが、合議制の共和国より独裁的な帝国を好む人物ではあるだろう。彼を生み出したのは、差別、嘘、罵り、暴力……などに快感を覚える暗黒面に落ちた人々だ。そして共和国的な「過激な理想」と手間とコストのうさん臭さに背を向けた時勢が求める世界でもある。もちろん、これはアメリカだけではなく世界的な傾向と言える。

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思えば、世界の歴史は、いや日本の歴史、そして森林の歴史は、常に極端から極端に揺れ動いてきた。とくに森林史・林業史を古代から現代まで追いかけた経験から言えば、ちょうどよい中庸の政策、世論なんかなかったのではないか、と思える。

木材を過剰に求めて伐りすぎてはげ山になると、今度は厳格な禁伐政策が取られて人々を苦しめ、回復基調になれば厳格さゆえに反発が生まれて盗伐が横行、そして大々的な伐採が進行する。日本史で見れば、奈良時代、戦国時代、江戸初期とあった大伐採の時期。その合間に、できるだけ伐らない、代替マテリアルを探す……などがあって、現在は次の伐採の方に過剰に偏った時代だろう。木がほしい、伐採するのは快楽だという“暗黒面”に落ちている(笑)。

世界史的には、気候変動対策、生物多様性対策として森林保護が進められている時代だが、そんな保護の過剰さは反発を呼ぶ。その結果、劇的に転換するかもしれない。トランプ大統領のような人物の登場によって。

ここでは、「緑の植民地主義」について記しておこう。

簡単に言えば、脱炭素や自然保護を掲げる政策が、先住民などの伝統や文化を圧迫するケースだ。「持続可能な経済」「持続可能な開発」といった緑の大義名分によって、長くその土地に暮らしてきた先住民は、一方的に生活を無視した自然保護政策を押し付けられる。

スカンジナビア半島のフィンランド、スウェーデン、ノルウェーに住む遊牧民サーミは、グリーントランスフォーメーション政策によって圧迫されている。ノルウェー政府は、2013年にサーミのトナカイ放牧地に風力発電の風車を約150基建設する計画を認可した。サーミによって反対運動が起き裁判に持ち込まれたが、ノルウェー最高裁は21年にこの言い分を認め、最終的に政府がサーミ側に補償金を払い、新たな放牧地を提供することで和解した。

アメリカのアラスカは2021年、ユーコン川でのサケ漁を禁じた。個体数を回復させるためという名目だ。しかし、その結果、アラスカ州の229の先住民族の半数が「食料不足の危機」に陥った。しかもサケの数は改善せず、30年まで禁漁を継続することになった。だが、サケの数が減ったのは、先住民による乱獲が原因ではなく、温暖化に伴い、寒冷な北極圏に移動したせいとみられる。

フィリピンで欧米流のフォレスターが森林を禁伐し、地元の人々が森から食料や生活物資を得られなくして生活を破壊した例もある。おそらく、このような事例が重なり、環境政策に対する反感が高まるのではないか。

今、必要とされているのは、生態系文化多様性だという。主に先住民が自然とともに生きることは、多少の環境破壊を含みつつ、その攪乱がむしろ環境を多様にして、また多様な文化を生み出す基になっている。それを環境一辺倒にしてしまうと奪ってしまう。それが揺り戻しを呼び込み、逆に人間優先を掲げて欲望の資本主義に走れば、それはそれで自然環境のみならず人間社会も破壊してしまうだろう。

「緑の植民地主義」に反発が生み出すのは、伝統的生活を守る道ではなく、自然を破壊して人間の我が儘を追求する道かもしれない。その節目にシス暗黒卿が登場するのさ(⌒ー⌒)。

2025/01/20

春日大社一の鳥居

奈良の春日大社と言えば、世界遺産にもなった重要な神社だが、その一の鳥居が塗り替えられたというニュース(昨年だけど)を聞いて、ちょっと気になって見てきた。

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ずば抜けて大きいわけではないが、直径80センチ以上あり、高さは6・75メートル。
ただ気にしたのは造り。無垢の丸太ではないのである。

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見た通り、張り合わせたもので、「明神形で桶側式」と書かれている。つまり芯の丸太に扇形の材を張り合わせてあるのだろう。ヒノキ厚板16枚を使っている。

一の鳥居は社伝によれば平安時代836年創建、記録された最古のものは1063年である。ただし現在のものは、江戸時代前期に建てられたものらしい。これ、東大寺の大仏殿の再建時と近いと考えてよい。大仏殿は1694年建設開始で完了したのは1708年。

そして東大寺大仏殿の柱も、こちらと同じ張り合わせたものである。

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どちらも同じ、ということは、何も仲良し♡という意味ではなく(どちらかと言えば仲は悪い)、当時は大径木が手に入らなかったことの傍証となるのではないか、と思っている。当時の日本は、長大・大径材は底を突いていたのだ。そこで仕方なく、寄木にしたのだろう。

東大寺の場合は、そこに釘を打ち鉄環で締めている。春日大社の場合も鉄環らしきものは目にできる。おそらく張り合わせる部分は、膠で接着したのではないか。(集成材とは微妙に違う。)

今回の塗り直しは、丹朱塗り。水銀朱と鉛丹を混ぜた塗料、いわゆる朱である。古墳時代より重宝にしていた赤の塗料。

現在も大径木は枯渇気味なのだから、こうした寄木技術をもっと採用すればよいと思う。無垢の大木ばかりを求めるのは野蛮だよ。

 

2025/01/19

「関口宏のこの先どうなる?」で林業特集

まったく偶然なのだが、日曜日お昼にテレビをつけて何かあるかとチャンネルサーフィンをして開いたのが、BS-TBSの「関口宏のこの先どうなる?」という番組だった。

そこで林業をテーマにしていた。

「関口宏のこの先どうなる?」

おやおや、渋いことやってるなあ、と見だした。最初は微笑ましく、次に笑いながら、そして最後は怒りに変わった。

とくに驚いたのは、ドイツとの林業比較だ。

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日本はスギやヒノキの一斉林(画像には針葉樹とあるが、ようするに同一樹種)。ところがドイツは混交林で「自然環境に良い森づくり」なんだそうだ。ほほお。日本の林業のおかしさを指摘したか。しかも、日本は機械化を進めて作業道をいっぱい入れているが、ドイツはウインチ利用であまり道を入れないそうだ!

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日本が大型林業機械を使うために林道・作業道を入れだしたのは、たかだか20年、それもドイツを見習ってではなかったかなあ。ドイツからたくさんフォレスターを呼んだじゃないか。ところがドイツは道を入れたら森が傷つくと入れない方向に向かったというのだ。

しかも、この指摘の後に「日本の林業は伐って、植えての循環型」だと言い出した。それって、日本は混交林にするつもりがないということか。針広混交林づくりだってドイツのフォレスターに勧められたが、拒否している。
ドイツを見習う気はない宣言(笑)。

その後は「希望」も語る。たとえば林業従事者は減っているけど、若者率は高まっている。つまり将来に希望がある!
まあ、4万人ちょっとの人口の中で若者が増えたって、数百人だけど。しかも定着率は悪い。高齢林業者が引退したら、今の半分以下の林業従事者になるだろう。その中で若者が少し増えたとしてもねえ。。。(ドイツの林業従事者は120万人と紹介されたが、本当? 木材事業者も入れているのか。)

あとCLTも目いっぱい宣伝。木造ビルの素晴らしさを謳い上げる。
なぜ普及しないの?という関口さんの質問に「まだ生産する工場があまりない」。

え? 補助金ジャブジャブで全国8か所につくったけど、閑古鳥が鳴いているのではなかったか。ようするに需要がないのであって、生産が追いつかないのではない。そもそもCLTは失敗に終わったともっぱらの評判である。すでに現場ではやる気を失っている。

仮に今後CLTの需要が伸びたって、原木に対する歩留りは2割~3割。カーボンニュートラルに寄与するどころじゃない。この点は、私も書いたばかりだ。

〈ヤバい林業〉大阪・関西万博のリングの木はどこの国から来たものか?木材のことを知らない建築家、木材業者、ハウスメーカー担当者が多すぎる!

ほか、セルロースナノファイバーとか改質リグニンとかも紹介する。それもいいけど、研究途上で、実用化したとはとても言えない。それに、いずれの研究者からも、「あれはダメだ」という言葉を、私は聞いている。実用化の道は険しいのだ。

私自身は、仮に実用化できても、何ら林業に貢献しないことは間違いないと思っている。そもそもナノファイバーだってリグニンだって、そこらへんの雑木や農業廃棄物からだって抽出できる。森林所有者と林業家が一生懸命に育てた木を使うことはない。つまり山元に利益が還元されることはない。

この番組、結局のところ、林野庁の言い分紹介番組になっている。もっと木を伐れ、もっと木材を使え路線だ。それが森林を破壊しているとは信じたくないのだろう。もう少し、正確な問題点を指摘する人に取材したら。私に声をかけろとは言わないけどね(⌒ー⌒)。

ちなみにTVerなどで、まだ見られるようである。

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2025/01/18

ウイスキーをスモーキーに

ジンはジェニパーベリーの味がすべきだし、ウイスキーはスモーキーであるべき。

という信念?を持っているのだが、最近のウイスキーでスモーキーさが強いのは少ないように思う。やはり日本人は煙の香りが苦手?

と思っていたら、たまたまネットで「グラストップスモーカー」というものがあり、ウイスキー(ほかカクテルなど)のグラスの上でチップを燃やして煙の臭いを酒に移すグッズがあることを知った。思わずクリックしかけたが、ちょっとペンディング。

先日、行きつけのバーを訪れ、マスターにそんな話をしていたら、「ありますよ」とのこと。店に備えているのだ。ただし、「そんなに深みのある香りは付きませんね」という。

それを試すことになった。

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なるほど、グラスの上にチップ容器を乗せて、バーナーで火をつけ蓋をすると、グラスの中に煙が蔓延する。

さて、お味と香りは……肝心の酒はスモーキーさの弱いウイスキーを入れたのだが、まずグラスにスモーキーさを感じる。酒よりも先にグラスに煙成分が付くのだろう。酒そのものの味はさして変わらないが、口の中にスモーキーさが漂うのは間違いなさそうだ。これを深みがない、とするか、雰囲気を楽しむのだよ、とするか。

「これ、家ですると部屋に煙の臭いが広がるし、後片付けが面倒」とマスターは否定的(^^;)だったが、同時に「ナッツやチーズなどをいぶすのにも使えます」。

う~ん、ウイスキーにこだわらず簡易燻製機と思えばいいのかもしれない。庭でやるという手もある。

しかし、木、木材の利用法として、燻製の味、香りに注目するのはいいかも。これも「食べる木」だ。スモーキーにするため酒に木酢液を垂らす……という案も一瞬浮かんだが、木酢液って、強力な毒である!危険、危険。 

そのままでは無理だから、この毒性を抜いた香りづけだけの木酢成分を取り出せないかな。い一滴垂らすと燻製気分。多分、一般に出回っているベーコンなどはそれに近い。

香り成分をアロマオイルとして高価格で売られるのだから、煙香も可能性あるよ。

2025/01/17

阪神大震災、改めて思い出す

阪神大震災30周年ということで、例年より震災報道多め。能登の大地震もまだ記憶に新しく、南海トラフ地震の可能性も増しているからか。

ここで斜に構えて報道の仕方を評論してもよいのだが、あえて私もノッて真正面から記憶をたどってみた。

まず当時の写真を探し出す。当時はまだフィルムカメラだし、そもそも、そんなに写真を撮って記録する意識が強くなかったが……。

私は、震災直後、現地に入るかどうか迷っていたのだが、そこに芦屋在住の婦人から電話があって(彼女は、前夜から大阪のマンションに泊まっていたそうで無事)、これから芦屋の家に帰るというので付き添いがてらに現地入りすることにした。

阪急西宮北口駅までは電車が動いていたから、そこから歩く。西宮までは風景も通常どおりだったのに、そこより西に入ると、いきなりこんな状況。

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そして、落ちた高架まで登って折れた線路を見学している人がいた。

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私も登ろうかと思ったが、これは被災者だからできることで、外部者が同じように見学するのは気が引けたので自粛。

彼女の芦屋の高級マンションにたどり着く。エレベーターは動いていず、水も出ない。部屋は無事だが、割れた瓶や器類が散乱している。靴を履いたまま上がった。多少の片づけをしたが、とても手を付けられない。なぜか、ビールを出された記憶がある。飲まなきゃやってられん、のか。
そして記念撮影。

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割れた中には、かなり高級な陶磁器やガラス食器もあったはず。壁には、超有名絵師による浮世絵も飾られていたなあ。

そして「せっかくだから、アノ現場にも見に行きましょうか」と彼女は言うのである。そう、阪神高速道路が横倒しになった現場だ。見たいよなあ。

そして歩いていくと、やはりマスコミ陣が殺到していた。中継している。テレビカメラが並び、まさに震災の最前線だ。

私らも交代で記念撮影した。

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それから、どうやって大阪にもどったのだったか。もう夕暮れだった。記憶がない。街灯のない中を西宮まで歩いたのだろうか。タクシーを拾えた? わからん。

駅で喫茶店が開いていたので入って休憩した。そこでマレーシアの王室の裏話を聞いた。彼女は、かつてその王家に嫁いでいたのである。そんな場違いの話題も、ある意味震災ショックを和らげる心理的バランスを得るためだったと理解している。

その後も幾度か阪神~神戸を訪ね、震災現場でいろいろなものを見た。まだ駆け出しのフリーライターだった私にとって、その光景から何かを与えられたのだろうか。

 

2025/01/16

Y!ニュース「メガソーラー裁判結審……」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「メガソーラー裁判結審。「合法」ならいい?司法の今を問う」を執筆しました。

長年、追いかけてきた平群メガソーラー建設問題なのだが、おかげで私も裁判の傍聴が趣味になりつつある(笑)。いや、正確には、こんな裁判って面白くない。ほとんど書面のやり取りに終始するのだ。とくに原告は攻めたてる陳述を行うが、被告は弁護士に任せ放しで、すべて書面だけ。何も発言しない。陳述だって聞いているのかどうか。書面を読めばいいからだ。

それでも裁判長、右陪臣は、それなりに原告側陳述者に顔を向けていたが、左陪臣は寝癖か!と思わせるほど乱れた髪の頭で、何を見ているのかわからない表情。眠いのかあ。

とはいえ、抽選券も出るほどの盛況なので、私もなんとか傍聴席に座れたことを喜ばないといけない。

そして、終わると弁護士会館で、報告会。会場からの質問も出て、「勝訴を確信」という。敗訴の可能性を口にするのは縁起でもない、そうである。

それで終わるかと思ったら、私が指名された。いや、もう時間オーバーだし、別に疑問もないので……と遠慮したが、促されたのでマイクを持った。

そこで話したのが、EUDRの件である。「合法でも、森林破壊はダメ」という強力なEUの規則を紹介して、裁判の判決がどうであろうとダメなものはダメ、ならぬものはならぬのです、と会津藩の「什の掟」みたいなことをブッタのであった。

その時思ったね。あ、これはYahoo!ニュースに記事に書けないかと。

裁判報道は公平性というか一方に偏った運動家的な記事はまずいという縛りがあるので、好き放題に書くわけにはいかないが、EUDRを持ち出して、合法でもダメなものはダメというケースもある、それが世界の潮流になりつつある、そもそも司法の目的はなんだ? という記事なら書けるかも、と思いついた。なんと、森林ジャーナリストが法曹に切り込む!

そこで書き上げたのが、この記事なのであった。ワハハ

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2025/01/15

Wedge ONLINE「〈ヤバい林業〉大阪・関西万博のリング…」書いた裏事情

Wedge ONLINEに「〈ヤバい林業〉大阪・関西万博のリングの木はどこの国から来たものか?木材のことを知らない建築家、木材業者、ハウスメーカー担当者が多すぎる!」を執筆しました。

タイトルがいい(笑)。私なら、こんな過激なタイトルはつけられない(笑)。なおYahoo!ニュースと違って、Wedge ONLINEはタイトルは編集者に任せている。媒体の癖はあるけど、これぐらい派手に書いた方がいいかなあ。

Wedge ONLINEには、わりと広範囲のテーマを扱わせてくれる。ただ執筆者の中に林野庁OBの中岡茂氏がいて、日本の林業界の話を書いているので、私は遠慮がちにしていた。重なるとつまらないし、先輩を立てておりまする\(^o^)/。もし気になったら、私の記事の下を見てほしい。彼の記事へのリンクもある。

だから私は、獣害や樹木葬、地域起こし、伝統工芸、建築、そして海外の林業、森林……とズバリ日本の林業という記事は少なめなのだが、今回は年初だし、日本の林業と建築業界の問題点にツッコんでみた。なおYahoo!のコメント欄に「林業の素人が書いている」と反発されてしまった。へえ~。

万博のリングについてはたいして触れていないのだが、タイトルになったことだし、もうすぐ開幕であることも考えると、今後もウォッチする必要性はあるかな、と感じる。

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批判するにしても絶賛する?にしても、一度は見に行かないと、とは思っている。それにしても……チケット予約の複雑なことよ!投げ出すぞ。

これって、大混雑を予想してアレコレ工夫しているつもりなのだろうけど、予約しづらくして閑古鳥鳴いたらどうするの。

2025/01/14

地震発災時に想う

昨夜は、希有な体験をした。

もともと夕方に電話がかかってきて、今晩のABEMA preme(アベマテレビ・テレビ朝日系)に出てくれないか,という要請された。ロスの山火事が話題である。私としては、あまりに急であるし、火事は専門じゃないから、とくにロスの大火災については知らないから、と渋ったのだが、一般論としての森林火災でいいからというのでOKしたのであった。

もちろんZoom参加である。ロスの在留日本人とともにコメンテーターとなる。MCは山﨑れいな氏。

8時から打ち合わせや通信確認などをしながら9時5分から、ということであった。約30分間。何かと落ち着かないが、私に声がかかるのは後半とのこと。前半は現地からのレポートとなる。

が、始まっていきなり私に話が振られた。なぜ、山火事が起こるのか、大規模化するのか、日本の山火事について……それって、全部後半の話題としていた点じゃないか(> <;)……と想いつつ、なんとかコメントしていく。
思えば、私は以前マレーシアで国境を超えたヘイズ(煙害)を経験しているし、日本でも地元生駒山の山火事発見などの経験もある。何かと経験談を織りまぜて話すと格好がつく。そこに日本の林業の問題や、地球環境問題を加える。

不思議と、みんな食いつく。スタジオの竹中平蔵氏まで「森林整備の遅れ」を取り上げた。世界的に森林火災は増えているが、発火自体は昔からあったことで、近年の問題は、件数増加よりも大規模化であること。日本では気候変動で乾燥するというよりは大雨が多くなって、山火事より水害の心配が強いと説明しつつ、いや、ロスの話をもっと聞こうよ……と思ってしまう。

こんなに話したら、肝心の後半の話題で応えるネタがなくなるなあ……と思っていた9時20分ごろ。

緊急地震速報が入ったのである。生放送中だ、インターネットテレビと言っても、即応する。宮崎県、震度5弱。九州一円が4以上。これは南海トラフか、直下型か。思わず、そちらのコメントをしそうになった(^^;)。

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その後、一度は元のテーマにもどるが、津波注意報が出たことで、完全に緊急報道体制にシフト。私らZoom勢の出番は消えたのであった。
最近はテレビや新聞などの既存メディアの凋落が指摘されるが、実はネットは対応が遅い。緊急事態に何をすべきか訓練されていないからだ。もちろん情報収集機能もない。おろおろした情報だけを垂れ流しても何も意味はない。既存メディアの報道に絡み難癖つけるしか能がない。

思えば、もうすぐ1・17。阪神淡路大震災の30周年を迎えて震災報道が増えている矢先である。

私にとって、申し訳ないが、震災といえばまず第一に阪神であり、東日本大震災でも熊本大地震でも能登地震でもない。当時は北大坂に住んでいたから、強烈な地震の揺れを経験しているし、その後の現場にも入っている。そして崩壊した都市と行政無化空間を見てしまった。人生を「阪神大震災の前か後か」で区別しているほどだ。

崩れた高速道路に登って、その折れ口を覗き込んでいる人、潰れた自分の家の前で記念撮影をしている人もいて、直後は深刻さより驚きの方が強かった。同時に一つの町の区画の住宅が全部ペちゃんこに潰れている現場も見た。木造住宅は地震に弱い。そう言われたのだった。

不思議な優しさ満ちた空間~阪神大震災見聞記~ 

こんな記事も書いていた。

1・1に続いて1・17、そして3・11も、もうすぐ迎える。同時に豪雨災害や山崩れ災害も起きたことを思い出す。おそらく今後も大規模火災、大水害も絶えず起こるだろう。備えよ常に。

今回、震災報道の現場にちょびっと触れたことも後に活かせるだろうか。

 

2025/01/13

見えないカルテルが、木材価格を下げる

面白い論文(のdigest )を読んだ。

建築資材の輸入規制緩和がもたらす原木価格の上昇について~竹中 昂平(帝塚山大)・都築 佑太(京大)

ものすごくかい摘んで私なりに要約すると、木材は商品としては非木質建材と組み合わせて存在することが多いが、その非木質建材(ガラスやアルミサッシなど)はJAS認定などで実質的に寡占状態である。実際に、ガラスでは旭硝子と日本板硝子がシェアの過半を占めており,アルミサッシではLIXIL,YKK AP および三協立山がシェアの大半を占めている……そうである。 ようするに、そこには目に見えないカルテルなようなものがあり、高価格維持戦略が取られている。だから価格は下がらない。すると木材価格が下がる。

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たとえば、このような木造建築物の建築コストは、非木質建材がごっそり建築費を取って、予算が足りなくなると、木材を安く買いたたいて成立させている……と見ることもできるわけだ。

だが、輸入品と競争を促せば、否応なく価格引き下げ圧力が生じる。その計算を住宅ローンの金利から導き出している。ローン金利も非木質コストの要素があるからだ。住宅ローンの金利が上がると、木材価格は下がるのだ。

輸入規制緩和による建築資材価格の下落は、製材品、ひいては原木価格を上昇させるであろう。

とある。つまり非木材建材に外国製品の輸入を緩和して競争を促すと、引き下げが期待されるわけだが、その場合に木材価格の上昇が期待できる、というのだ。

Photo_20250113155401木製サッシの価格は、何で決まる?

これって、すごいことではないか?

もともと木材価格は、極めて不透明だ。そして、この不透明さが、木材業界衰退の原因であると言っても過言ではない。

なぜ不透明かと言えば、小規模業者が多くて連係もしないから、大手業者に対抗できない。そのくせ業者間で足の引っ張り合いばかりして、ダンピング合戦をする。

逆に、銘木などは、仕入れコストや市場の需給など関係なく、業者が思いつきで価格を決める。同じような銘木が、業者によっては半額になったり2倍3倍になることは珍しくない。高い業者が吹っ掛けて儲けようとしているというよりは、ほかの業者がどんな価格をつけているのか知らないから、相場を無視した値付けをするのだろう。

では、どうしたら木材の価格は上がるか?

・非木質建材の競争を促して価格を下げさせることで木材価格を上げる。
・非木質建材部分で稼いで、その利益を木材調達に注ぎ込むことで木材価格を高くする。
・林業関係者が、非木質建材の販売を手がけて儲ける。木は捨て値でよい。

さて、どれを選ぶ? それとも、どれも選ばないという選択もある。面倒くさいから。

ちなみに、この論文を書いた竹中氏のいる帝塚山大学経済学部の東生駒キャンパスは、我が家からもっとも近い大学。10分くらいで着くのではないか。この大学に林業研究者がいるとは思わなかった。訪ねてみようかな。

 

«雪化粧。そして、うぴ子

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