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森と林業の本

2024/10/05

奈良で木育、大はやり?

昨晩、自宅に帰った。4日は浜松の油臭い自衛隊の戦闘機(と、うなぎパイ)と戯れたわけだから、今日は山に行って自然に触れるか、と思って朝から服は汚れてもよい山向きにする。

が、庭に出ると昨日までの雨の滴が広がっていて、かなり濡れている。これで山に入ったら濡れるだけでなくドロドロだな……と気づいてあっさり方向転換。そうだ、賑やかなイオンモールに行こう! 

でも、服を町向きに着替える気はさらさらなく、そのまま出かけた。なに、山登りの帰りの雰囲気を漂わせておこう。(誰も見ていない。)

訪れたのはイオンモール大和郡山。

すると、各階で木育イベントをやっていた。

小学生の木の作品展示会や、木の遊具コーナー。そして木工コーナー。

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そこそこ賑わっている。あるのは滑り台など一般の公演遊具と変わらないように見えるが、実は公園からこの手の遊具は消えつつある。危険だとか、管理を誰がやるか……など責任問題などが絡む。その点、イオンがやってくれるのは歓迎だろう。室内だから雨でも平気。汚れることもない。怪我したらすぐに面倒見てくれる。

やっぱりイオンこそ、木育にもっとも適した場所だ(笑)。

最近、何やら奈良では木育ばやり。これは県が主催だが、来春には県内の某町におもちゃ美術館がオープンするそうだ。移転した大学跡地を利用するとか。反対はしないのだけどね。乱立気味だから、監修を受ける東京おもちゃ美術館の言われるままにするのではなく、独自のアイデアを出してほしい。そもそも誰が指導するのだろう。それに、人を呼ぶのは大変だよ。オープン期の賑わいをずっと保つには、相当な力量がいる。

木のおもちゃに触る「だけ」では芸がないから、もう一つ頭をひねってくれ。「木に触れば心が豊かになる!」なんて大人の描く勝手な妄想だから。子供の琴線に触れるのは何か。今風に電子ゲームも加えたどうだろう。

と思っていたら、こうした電子版を加えた遊び場もあった。画面を指で触ると、いろいろ変化するそうだ。木よりこちらの方が興味深い(笑)。

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さらに、あるコーナーで某林業会社の人に遇った(^o^)。やはり奈良は狭い\(^o^)/。

そして奈良県の林業女子を紹介してもらった。探していたのだよ。奈良県の林業女子を。やはり、こうした会場はネタの宝庫だな。

 

 

2024/10/04

木の戦闘機

ななぜか今日は浜松。

浜松のエアパーク(浜松自衛隊広報部)を訪れた。

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自衛隊で使われてきた航空機の展示。

その中でも気になったのは、木造の模型、いやプロトタイプ。

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なんの木で作ったのだろうね。

 

 

 

……さて。

実は、浜松で訪れたのはエアパークだけではない。
うなぎパイファクトリーも“視察”した。

当然、商品チェックするためにうなぎパイを購入する。特に注目すべきは VSOPうなぎパイ(笑)

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2024/10/03

ニホンミツバチが巣をつくったところ

我が家にもっとも近い神社は、ひっそりと「金比羅社」と名がつく小さなものである。周りは住宅地開発が進む。

が、どうやら歴史は古いらしい。灯籠などには江戸時代の年号が残るし、もともとは広い山を持っていたのかもしれない。そこを開発して我が家のある住宅街もつくられた可能性だってある。しかも狭くなったとはいえ、その社域はこんもりと木が茂り、周囲を遮断するかのような結界となり、暗がりには霊気も漂う。一人で訪ねると、ちょっと怖くなるほどだ。

そこを久々に訪れたら、社内の祠の一つにミツバチが群れていた (゚o゚;) 。

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よく見てほしい。どうやら祠の中に巣をつくったようなのだ。ニホンミツバチだから私は、ギリギリまで近づいた。
これは……駆除できない。恐いのは、霊気よりも蜂だった(-_-;)。

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スズメバチも1匹だけ飛んできたが、なんどもアタックしては追い払われているよう。

さて、今後はどうなるかなあ。

2024/10/02

阿里山の林業史をたどるギャラリー

昨日は、嘉義が実は鉄ちゃんの聖地であることを紹介した。つまり林業より鉄道に力を入れているのであるが……。

「阿里山国家森林遊楽区」の入り口にあるバス停3階にギャラリーがあることは繰り返し触れてきたが、ここが阿里山の林業展示も行っている。

とくに目を奪われたのは、こちら。

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これ、木彫人形で表しているのだが、前半の人物は、阿里山に関わった日本人名が並ぶ。知っているかなあ。
長野義虎、斎藤音吉、河合鈰太郎、鳥居龍蔵、鹿野忠雄……。探検家であり学者であり、官僚であり。阿里山の巨木林を発見して、研究して、開発して。これらの名前が並ぶだけで、私は胸が高鳴ったのである(笑)。
長野義虎は、私がもっとも注目する一人。
さらに最後の2枚のように、人物というより林業の仕事を紹介する人形も並ぶ。樹芸師とか何するのか。導覧解説員とか、道班士とか、油壺とか、貯水池、人力集材とか。どんな職種だったのだろうと想像すると楽しい。

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ちなみに、当時の林業道具の展示も行われている。なおカフェコーナーもあるよ。

 

2024/10/01

東洋一だった嘉義製材所の目玉は

阿里山観光の基地でもある嘉義の町は、かつて阿里山から運ばれてくる木材の基地でもあった。だから「木都」と呼ばれたそうだ。

そこに残る「嘉義製材所」は、かつて東洋一の規模を誇ったとも。今は、博物館に隣接して展示しているのだが。そう聞けば、なんとか見たい。しかし最初に訪れた日は、なんと休館だった。そこで台北に帰るのを遅らせて、朝一番に製材所見学をねじ込んだのだ。

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嘉義市立博物館のジオラマでも、嘉義製材所は大きく描かれている。

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これが、かつて大木を運んだ阿里山森林鉄道の車両。これぐらいの木はいくらでもあったようだ。

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この鉄塔……と見せかけて実は木造なのだが、これが2基建っている。この間に架線が張られていて、丸太を運んだらしい。
そして、その間の窪地は、かつての貯木場。池があった。

このように、昔在りしの製材所風景と施設が残されているのだが……どうも展示を見ていると、それが目玉ではなさそうだ。

製材所前には阿里山森林鉄道車庫区があり、阿里山鉄道が走っているほか、過去の車両が多く展示されており、さらに博物館や製材所内の展示も鉄道関係ばかり。部品や路線や細かなルートまで、実に詳しい。どうも、これは製材所施設の保全展示をしているのではなく、鉄道博物館の様相を示している。

そうか、嘉義は、台湾の3つの鉄道が全部あるのだ。台鉄、高鉄(高速鉄道)、そして阿里山鉄道。つまり鉄ちゃんの聖地なのであった。

木材だとか製材とかに目を向けているのはマイナーなんだよ(-_-;)。世間は鉄道ファンの方が多いのであった。嘉義の自慢は林業や木材ではなく、鉄道であった。

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現役の阿里山鉄道。

2024/09/30

阿里山のスギ林

台湾旅行の本丸は、やはり阿里山。阿里山のタイワンヒノキの巨樹を見て、その森を歩いた龍次郎の気持ちを体感しよう……という心づもり。

もっとも、肝心の巨木は伐り尽くして、40本程度しか残っていない。それでもタイワンヒノキの森があるなら……。

ところが、阿里山を昇るバスから最初に見えた巨樹は、ちょっとヒノキぽくなかった。

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ん? これは……ヒノキというより、スギ。それも柳杉と呼称される日本のスギ。阿里山注目は、スギ林だった。

ようやく着いた阿里山国家森林遊楽区は、標高2000メートル地帯なのだが、そこでようやくヒノキが目に止まるようになってきた。ただし。

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これは、阿里山の保全区の一角なのだが……あきらかにスギ林。しかも人工林と記されている。よく見たらスギ林の中に巨樹の切り株が腐り掛けつつ残る。これは直径2メートル級だろう。つまり、ここにあった巨樹のヒノキ林は伐り尽くし、その跡地にスギを植えたらしい。

なんでかなあ。ヒノキ、それもタイワンヒノキかベニヒノキを植えるべきでしょうに。太さからすると、戦後植えたものと思われるが。

そんなこんなで、阿里山はスギ人工林も多いのであった。

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もちろん、こんな巨樹も残る。これは直径4メートル級の最大木(28号)。近くを歩く人の大きさと比べてほしい。

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龍次郎の歩いた時代は、こんな巨樹が文字通り林立していたのだろう。想像力をたくましく、こんな森を歩いている気分に浸ってきたのだ。

 

2024/09/29

台湾の街路樹

台北・西門で見かけた街路樹伐採跡。

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この切り株に張られた紙に書かれている文言は……。

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雨上がりなので読みづらいが、「この木の果肉は重大危険リスクに属しており、公安木の開放プロセスと除去に影響を与えます」(ポケトーク翻訳)とある。

ようするに幹の芯が腐っており、倒木の可能性があって危険なので、行政が除去したということだろう。繁華街にある木だけに、気を使っている。街路樹問題は、日本だけでなく、台湾も各地で起きているのだ。問題は、伐採に市民のクレームが来ないように説明しておくことだろう。日本も、こうした張り紙をしているかな。

日本も街路樹の問題が注目を集めているが、いずこの国でも起きているのだろう。

もちろん、台湾の街路樹も、色々問題はありそう。

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こんな、ギリギリまでアスファルトに覆ってしまっている街路樹も。どこから水を得ているのか。あるいは地下水は蒸発できずに根の呼吸ができなくなれば枯れる。その上の網は何のためだろう。シカに食われる……?ということはなさそうだし。傷をつける輩がいるのか。

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でも、ロータリーにそこそこの広さを取って複数の木を植えているところもあった。樹木、植物も集団生活を送らせるべきなのである。

2024/09/28

台湾土産

今日は、台湾行の後片付けをのんびりと。

お土産を買ってきた。

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まずは台湾紅檜のエッセンシャルオイル。購入したのは阿里山のギャラリーの、素敵なお姉さんから(^o^)。

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一般にタイワンヒノキと呼ぶのは、タイワンヒノキ(柏樹)と、タイワンベニヒノキ(扁柏)の2種ある。オイルも二種類ある。しかし、匂ってみるとタイワンヒノキは日本のヒノキ(実はヒバ。日本のヒノキにヒノキチオールは含まない。木曽檜は少し含む)に近い香りだが、ベニヒノキの方がヒノキチオールの香りが強いように感じた。

ベニヒノキは台湾固有種だ。そこで今回はベニヒノキの方を購入。ただしベニヒノキは、ヒノキよりもサワラに近いと言う。


これ、身体に塗ってオーデコロンのように匂わせて歩こうかな(^^;)。

次にこちらは空港の「原住民土産」のお店で。

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まず箸。これを私の木箸コレクションに加える(割り箸ではない)。タイワンヒノキ製だとある。はて、タイワンヒノキは伐採禁止と聞いているのだが、すでに伐り出された木材からか、あるいは人工林か。天の部分に中華の紋様の焼き印と、玉が埋め込まれている。

下は栞だが、材質は「柚木」「竹片」「楓木」と記されている。タケとカエデはわかるが、柚木は何だろう?   柚子、柑橘類の木かもしれない。

お土産は高粱酒だけではないのである。

2024/09/26

西門の「かわいい」を探して

台湾四日目。台北に移動する。この地の密かなミッションは、台湾の「かわいい」と路上アートを探検すること。

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宿は西門に取った。その理由は別にあるのだが、台北の西門と言えば東京の原宿?渋谷?秋葉原?と言われる聖地。以前来たときは、街中にかわいい、萌え絵が溢れていて圧倒されたが、今はどうなってるか。

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どうやら萌え絵は減ったようだが、ビルの壁面を使ったアートは、まだまだ健在でより深みを増している。作家の個性を出したキャラクターが増えたと感じた。加えてガチャガチャを思わせる小さなスペースのクレーンゲームが大にぎわい。こちらもかわいい路線のようだ。

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2024/09/25

長野義虎で大盛り上がり

阿里山、歩いてきました。台湾三日目、密かなミッションではないけど、最大の収穫は、素敵なお姉さんと知り合えたこと。

それは歩き終えて、帰りのバス待ちの時間に寄ったギャラリーだった。お店の陳靖芹さんと話しているうちに、なんと長野義虎をきっかけに大盛り上がり。彼女は阿里山生態旅游協会の総幹事で、阿里山の歴史に詳しい。

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そこで長野義虎に加えて土倉龍次郎を持ち出して阿里山と玉山の初登頂を力説する。お互い資料を見せて(スマホ)ああだこうだと言い合う。長野義虎の名前さえ日本では知られていないのに、台湾では有名人だった。

ちなみに会話はポケトークに活躍してもらいました。

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LINEとFacebookを交換したから、これからが楽しみ。

2024/09/24

幻?の博物館を探して

台湾二日目。嘉義に無事移動。この街の密かなミッションは、台湾檜木博物館を探すこと。

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ネットで台湾檜木博物館の探訪した記事を読んだ。ところが場所がわからない。そもそもネットで嘉義にそんな博物館の存在が確認できない。意地で調べると、どうも民間の木工芸のメーカーの運営らしい。もしかして展示施設はもう閉じたのかも。それでも店に行けば資料はあるだろうと、場所を特定する。それが結構距離があり歩くのだが。

雨の予報は外れ、快晴に近いのは助かったが、今度は照りつける日射が痛い。

そして行き着いたのだよ。冒頭写真の通り。

……廃墟だった。

2024/09/23

台湾にて、密かなミッション

台湾一日目。

隠れたミッションだったのは、6月の訪問時に帰りの空港で落とした財布を回収すること。遺失物センターの場所がわからなくて往生したが、なんとか多くの人の好意に助けられてたどり着く。無事、返還された。カード類は再発行しているからいらないのだけど、台湾の悠游カードは必要だったのだよ。もちろん現金もありがたいが、自宅の鍵も入れていたからなあ。

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2024/09/22

海外旅行に求めるのは万全の準備かハプニングか

明日からの台湾行に備えて準備を行っている。結局はドタバタであるが、今回は飛行機往復はもちろん、現地移動や宿泊などまで予約を入れている。ネットでできるようになったことが便利と吹聴されているが、これが、結構辛い。

数日間の滞在中に目的を遂行するために細かなスケジュールを組む必要がある。また、それに対応できるだけのシステムがネットにはある。入国カードまで先にネットで書き込める。列車もホテルも予約できる。その方が便利で安いよ、と誘導される。

が、決めたら決めたほど窮屈だ。だから、あえて割引を受けられなくてもいいから自由裁量で動けるようなスケジュールにした。

と言いつつ、えっと新幹線の切符の買い方をYouTubeで調べておこう……とかしてしまう(´_`)。さらに阿里山森林鉄道(林業鉄道に改名)のチケットは5日前に申し込んだのに取れなかったからと、疑似体験的にYouTubeで車窓の景色を見てしまう(´Д`)。さらにさらに神木など巨木林もネットで観察しておく。ええい、夕飯を食う店も探しておくか、と考え始めてハッとした。もはや何を取材しに行くんだ? YouTubeで全部間に合うじゃないか! 

昔は、飛行機以外の予約なんかはしなかった。飛行機でさえオープンチケットを使えば帰りはいつか決めなくてよかった。
現地についてから宿を探して、ホテルからホテルへ渡り歩いたり、現地で見るべきものは何か、どこにどうやって行くのか……を探して決めて行き方を調べて……だったのだ。それが面白かった。

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ソロモンでは、成り行きでカヌーで海を渡ることになった。
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パプア・ニューギニアではなぜか林業大臣の家に泊めてもらい、タロイモ堀りを楽しんだ。

このようなハプニング的な体験ができなくなってしまっている。

なんか、堕落してる。若い頃にした旅の面白さが磨耗した気がする。無勝手流に行動したからこそ、得られた体験もあったじゃないか。そして、おそらく土倉龍次郎も、何も先の見えないまま台湾に渡って探検をしたはずだ。当時は現地情報などゼロに等しく、行ってから考えるのが当たり前だった。それを自らも経験しないようでは、何のための取材だ?

ま、今回は時間がない中を目的を持って動き回るので仕方ないとして、今後はどうするのか改めて考えたい。

ならば、次はまったくのフリープランで長期旅行に出るか。いや。
疲れる旅は苦手な年になりました。次は旅行社に頼んであご足までお任せの豪華絢爛、日本語ガイドつきのツアーを申し込もう。それが一番、楽だよ(^o^)。

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2024/09/21

林業を記事にするということ

今朝、オンラインで取材を受けた。昨夜、某新聞社から申し込まれたのだが、来週は台湾に行っていないよ~ということから急遽、本日朝から行ったのである。

その女性記者、農水省担当とのことで、これまで農業や水産業の記事は書いてきたが、林業の記事を書いていない、林野庁には顔を出すが、記事になるネタがない。それで調べているうちに「プライベートキャンプ場をつくるための山林売買」という3,4年前の話題というかブームがあったのを思い出し、その後の状況を……という申し込みであった。そして放置林問題などに広げられないか、というわけである。

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まあ、素人の山林売買について話せないこともないが、一般人に読ませるためのトバ口にするにしても、そもそもブームが薄っぺらい。なぜ、そんな無理をするのかというと、ようするに林業を記事にしようとしても、一般人から遊離している、なんとか興味の引く話題としてキャンプ場のための山林売買から入りたいということがわかってきた。

まあ、その点は同意する。真面目に林政だの林業の危機だの、あるいは森林の効用、環境問題……などを記事にしても、一般読者は食いつかないのだ。それは誰よりも私が感じている。彼女は、社会部から農水省担当になったので、余計に感じるのだろう。

たとえば林業家や林業系官僚・公務員、林業研究者などは、林業は大切な産業だと勝手に思い込んでいる。林業マニアの運動家はもっと酷い。林業しか目に入らない業界脳だ。林業の話題を伝えないといけないと張り切る。そして世間の目に気づかない。客観的に伝える役割を持つメディアの記者でさえ、林業林政を専門にするとミイラ取りがミイラになる……ではないが、世間の林業に向ける目を見誤る。

はっきり言う。世間は林業なんぞに興味の欠片も持たない。専門用語まじりの記事が目に止まっても鬱陶しいだけだ。

その呪縛から離れているメディア関係者は、私ぐらいのものだろう( ̄^ ̄)、と思っているが、稀にこうした正常の感覚を持つ記者もいたということだ。

結局、なぜ放置林が生まれるのか、山主が林業のやる気を削がれるのか、再造林をすっぽかす事情、皆伐したがる林野庁の罪、ウッドショックとコメ不足の相似点、盗伐の横行、メガソーラーの非道と矛盾、森林組合の犯罪、外国人の森林取得……など一般人が興味を持つネタを探して専門的に説明し続けた1時間であった。

さて、この中でどれをネタに林業記事にしてくれるかな。林業に素人の読者が読めるような記事にするか。それは、私自身の課題でもある。

2024/09/20

台湾檜と木曽檜の共通点

一部には伝えているが、来週23日から台湾に行ってくる。駆け足ながら、台北-嘉義-阿里山巡りだ。

目的は、もちろん土倉龍次郎の足跡を追うことなのだが、もう一つ興味があるのは、嘉義の林業遺跡。嘉義という町は、阿里山に昇るための基地ぐらいにしか考えていなかったが、調べているうちに実は日本領時代(日治時代と呼ぶそう)には林業の一大基地だったことに気づく。言い換えると、戦前の日本の林業の遺産がたんまり眠っているところ、らしい。

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嘉義の貯木場(絵はがき)。浮いているのが阿里山のタイワンヒノキ

なぜ嘉義の町が林業の町になったかと言えば、言うまでもなく阿里山のタイワンヒノキを伐りだした後、この町が集積・加工基地になっていたからだ。標高2000メートルの山々にタイワンヒノキ(実は2種類あってタイワンヒノキとタイワンベニヒノキ)の巨木林が発見されて、超貴重な資源となったのである。(私は、この阿里山の巨木林を発見したのか龍次郎ではないか、という仮説を持って取材に行く。)

ところで、昨夜は木曽檜についての話を(オンラインで)聞く機会があった。その時に気づいたのだ。木曽檜とタイワンヒノキには共通点があるぞ、ということに。

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木曽・赤沢ヒノキ林

どちらもヒノキだから? 当たり前だ。タイワンヒノキはヒノキの変種とされている。ちなみにタイワンベニヒノキ(紅檜)は、サワラに近い。木曽にもヒノキ林とともにサワラ林がある。どちらもヒノキ科ヒノキ属だ。

だが、それ以上に重要なのは、温帯針葉樹林であること。思えば、ヨーロッパやアメリカも多くが、冷温帯、いわゆる亜寒帯に林業地が成立している。樹種になるアカマツやモミ、トウヒなども冷温帯針葉樹なのだ。湿潤温暖地の温帯に生える針葉樹としてはスギとヒノキであった。

もう一つ。木曽檜もかつては巨木林として発見され、戦国時代から江戸時代に大乱伐が行われて底をついた。そこから禁伐政策が取られて徐々に復活していたのに、明治以降、さらに戦後もメチャクチャ伐ってしまった。幕藩体制がなくなり、国有林・御料林となったとたんに乱伐に合うのだから、国の政策のいい加減さを感じる。今はまた保護されているが、それでもなんだかんだと理由をつけて伐り続けている。
阿里山も、似た歩みだ。戦前はもちろん日本か切りまくったのだが、途中で保護策も取られた。ところが戦後は国民党政権がメチャクチャ伐ってしまうのだ。かくして、巨木と呼べる木は何本も残っていない。観光ガイドによると多分40本ほど。今の台湾は、国有林の伐採を全面的に禁止した。

こんな歴史と政策も共通しているんじゃねえ? と感じたのだ。

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龍次郎が残した写真。巨木の中に何人写っているだろう。人と比べると直径2メートル級か。それが林立している森を体験したかった。

そんな伐り尽くされたタイワンヒノキ林を見るのも目的となるだろう。

2024/09/19

「歩留り」と「純益」の経済学

そろそろ「令和のコメ不足」(令和の米騒動とは呼びたくない)は解消しつつあるのだろうか。新米が出回り始めたことで。もっとも、その新米の価格が高騰していることも話題であるが。

専門とは言えないものの、私は農業にも首を突っこんでいる。そこでエラいことに気づいた。

農水省から公表されているコメ需給統計にある在庫数値は玄米ベースだったのだ。
もちろん消費者が日常的に消費しているのは、精米だろう。
ちなみに国連食糧農業機関(FAO)をはじめとする国際機関の統計は、精米換算の数値に統一されているが、なぜか我が国農水省だけが玄米ベースでの統計を基に、コメの需給を管理している。

このズレがどれほどになるのか。

一般的には、精米されることで玄米の重量は8~10%減るとされる。つまり8~10%はヌカとなるのだ。さらに無洗米は精白米と比較して2~3%減る。自宅で米を研ぐ際に出るヌカを先に取ってしまうからだ。なおヌカ以外の成分を研ぐこともあるからもっと減る。

なおモミを玄米にすると、2割減る。つまり10キロのモミは8キロとなり、それを精白すると7・2キロくらいになる。無洗米も含めて最終消費者が食べるのは7キロぐらいと換算するべきだろう。収穫量から3割は減るのだ。

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コメヌカ袋

さらに昨年は酷暑が続いたために、コメの出来はよくないとされる。昨年の場合は、品質が悪化し精米時の歩留りはさらに落ちたらしい。ヌカ層が厚くなったのである。その割合は調べても見つからなかったが、仮に1~2%落ちたとしたら、それも最終供給量の目減りを引き起こしただろう。収穫量との差は、コメ不足を招くかもしれない。今年はどうなるか。歩留りの多寡によって消費可能量が変わってしまう。

それにしても、なぜ玄米ベースの統計にして予測をややこしくしているのか。官僚は、さすがに歩留りを頭に置いているとは思うが、単純に統計を見ているマスコミや一般人は誤誘導されかねない。

そういや木材でもおかしな統計を目にすることがあった。生産量は原木、つまり丸太なのに消費量は製材で示している。丸い原木を製材したら量は減るんだよ。。。製材すれば、4割は減る。さらに集成材だと2割以上減る。合板は多少よいが、それでも原木からマイナスになるのはいうまでもない。それを無視して、生産量を元に需要を考察したらイカンだろう。
さらに言えば森林そのものからの木材生産量の歩留りを考えてもらわねば。おそらく3割ぐらいだ。

原木のうち建築材にまでたどり着くのは3割程度だから、森林蓄積のうち建築材になるのは1割ぐらいだろう。これで「木造建築は炭素蓄積」なんていうんじゃないよ。

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切り捨て間伐現場

この歩留りの悪化が林家の収入も落としている。製材価格のうち、林家手取りは1割以下だ。4%だという数字も出ている。製材が立米単価10万円あったとしても(ないけど)、林家が受け取るのは4000円だよ。

この生産者の純益という数字も把握しないと、林業生産額はいくらで前年度よりか増えました、だから林業再生は進んでいます、なんて世迷い言を言ってしまう。農業も同じだ。

今年は新米は価格が2倍になったというが、果たして手取りはいくら増えたのか。この際、超高値をつけてガッツリ儲けていただきたい。コメ不足様様になるかもしれない。
林業も同様で、純益が2倍になる取引をしたら、伐採量を半分にしてもよいのだ。薄利多売の経営構造のままだと、大量に伐採しないと儲からないから森林破壊が進む。林業再生うんぬんを議論するなら、生産量ではなく純益であるべきだ。

この「歩留り」と「純益」の経済を意識に置くべきだ。

なお、コメの10%が米ヌカとなったとして、その重さの1~2割ほどは米油となる。残りは、たんぱく質を含む脱脂米ぬかだ。ここから肥料や家畜飼料がつくられる。さらに代用肉生産に結びつける動きもある。
林業の製材屑は、一部は割り箸などにするが、ほとんどはバイオマス発電燃料。製紙用チップにもあまりならない。森林に残して腐らせる分も多い。

 

2024/09/18

キハダの成長善し悪し

以前、キハダの取材をした際に、キハダの苗を2本もらった。

庭に植えるつもりだったが、キハダはわりと太く高く成長する。1本はスペースを考えて植える場所を決めたのだが、もう1本はよい場所がない。そこで、テキトーにほかの木の横に植えた。こちらはスペアのつもりだったのが。

すると結果は……。

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左が本命である。どうも成長が悪い。病気かと思ってしまうほど。明るさも土質も悪くないのだがなあ。
一方でスペアとして植えた苗はすくすく育ち、今や高さ3メートル近い。周辺を圧迫しがちなので枝葉の剪定もしているが、成長速度が衰えることもなく……。このまま育つと、隣のミカンやカキの木を圧迫しそうである。

しかし、今後どうしよう。本命の木を諦めてもよいのだが、スペアがこんな場所でこんなに太くなられては……と悩まされている。庭が樹林になっても困るんだよ。何が条件で樹木の生育に影響を与えるのかわからないものだ。

それにキハダの樹皮を剥くのは、どれぐらい育ってからがよいのか。キハダからは染料も取れるし、胃薬目薬などもつくれるという。葉や実でお茶もつくれるはず。

ちなみにキハダ樹皮そのものももらったので、また煎じて胃薬をつくってみるかな。

 

2024/09/17

Y!ニュース「……街路樹なんかいらない!」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「樹木の気持ちになれば、街路樹なんていらない!」を書きました。

このところYahoo!ニュースの執筆量が減っている。まあ、その分、コメントばかりつけているのだが、せめて月1本ぐらい書いておくべきかなあ、という思い。

そこで9月も後半になった今こそ何か書くか、という気持ちになった。

テーマはこれ、と決めた。そして調べたり写真を用意しつつ、書き出した。

が、途中で「おもろないわ」と投げ出す。そして、天啓のように?下りてきた街路樹のことを書いたわけである。もとネタはブログにも書いたのだけどね。

きっかけは「ボタニカルウェルフェア」という言葉を思いついたことであった。

アニマルウェルフェアがようやく日本でも広がりだしたのだから、次は植物でしょ。これを森全体にまで広げるのは難しいが、単体の樹木、とくに街路樹に絞ればテーマが絞りやすい。

 

2024/09/16

日本草木研究所のこと

日本草木研究所というのがあって、フォレストジン、つまり国産のクラフトジンをつくっているのは知っていた。以前、紹介したかな?

ただ、“正体”はよくわかっていなかった(笑)。HP見て事業はわかるのだが、どんな人物が何を考えて始めたのか……。イマイチ、正体不明。

その一助になる記事を見つけた。東洋経済オンラインである。

【東大卒の起業家が「食」で挑む林業再生】匂いをかぎまくる32歳/クラフトジンの原材料「ネズミサシ」を求めて広島の山へ/可食植物に見出す新たな価値【ドキュメンタリー 仕事図鑑(古谷知華)】

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なるほど。こういう女性が仕掛け人か。林業再生とあるが、私に言わせれば、既成の「林業」とはちょっと違って、森林をネタにいかに食えるビジネスをつくるか、という視点ではないか。木材なんか眼中にない(^o^)。ここでは森林の中にある草木から食品、スパイスやハーブ的な価値を見いだそうとしているようだ。

まあ、これを見て、完全にここのやっている(やろうとしている)ビジネスを理解できたわけではないが(……本当にこれで儲けているの?ちゃんと売り先とか取引関係を示してよ、とか思う)、「はて?」から「なるほど。」にはなったかな。

必要なのは、「林業」ではなくて、一定の人が森を相手に暮らしていける収入源を確保することだ。それが都会人でなく、森のある地域の人々であることも大切だろう。

次は「さて、」だ。次はどういう展開になるかな。

2024/09/15

国産材でバイオリンをつくる意義

高知県の木でバイオリンをつくったというニュースを目にする。

高知県産の木材を使った“初”のバイオリン!四万十町の工房で完成間近

間近、とあるからまだ完成したわけてはないのかもしれないが、音の最終調整中らしい。

製造は、表面はヤナセスギ、裏面はミズメザクラと高知県産の木材だけで作られたそうだ。記事を読む限り、これは民間の事業で県や市町村関係の事業ではないようだ。四万十町の高橋ヴァイオリン工房と、南国市の溝渕木材工業、そして県出身のバイオリニスト川村陽華さんの名が上げられている。

ちなみに高橋ヴァイオリン工房のホームページを見ると、製造をオーダーすると、使用する木材は
表面・・・・・・モミ(樅)裏面、
ネック、横・・・ カエデ(楓)
指板(しばん)・・コクタン(黒檀)

 使用する木材はモラッシー工房の最上級ランクの材を中心に他、いずれも厳選した材のみを取り揃えています。 オーダー時には工房でストックしてある材から、お好みの木目や虎杢の入った材を選んでいただく事も可能です。

とも記されている。これらの木は、おそらく外材だろう。今回は、それを国産材、とくに高知県産でやってみようというプロジェクトなのだろうか。

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(高橋ヴァイオリン工房のHPより借用)

国産材でバイオリンと言えば、奈良県でも吉野杉によるバイオリンを製造している。これは県の企画だ。2017年に発表されて、私もそのコンサートに行ってきた。音色は、通常のバイオリンとは少し違うが、柔らかくてよい音色、とのことであった。(私に判定できるほど耳は肥えていない。)

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ようするに建築材ばかりではなく、新たな商品づくりに挑戦、という意味である。

その際に私が評したのは、<楽器は木材の使い道としては最上級のカテゴリーで、もっとも魅力を発揮できる分野である。ただ今回見吉野杉でも楽器(なかでも最上級の弦楽器とされるバイオリン)をつくれることを示したのだから、非常に価値がある。ただし、ここで使われたのは200年生の吉野杉で、しかも長く製材されて保管されていたことで乾燥が行き届いた逸品であること。つまり、これで量産などはできないし、新たな木材用途にはならない。今回の試みと成功は、いわば国産材の可能性を世間に示すことに意味がある。これに触発されて、地場産の木で新たな商品を開発しようという機運が出てきたらよい。>……ということであった。

今回の高知の試みも、ヤナセスギとは柳瀬杉、高知県東部の天然杉の銘木だし、ミズメザクラも通常出回っている木材ではない。

今後の波及効果に期待したい。

そういや、今年11月10日に四万十市で開かれる「幡多山もりフェス」に呼ばれていた。もしかしてバイオリンを目にできるかな。四万十市と四万十町。名前は似ていてもそんなに近い距離ではないようだけど(^o^)。

 



2024/09/14

「シカの王国」奈良の真実

奈良といえばシカ。大仏よりシカ。自身を持って言えるが、そこで全国でシカの獣害が酷いけど、奈良だけはシカを駆除しないでね、というトンチンカンな声が聴こえてくる。またシカのジビエを食べてよいのか、というご意見を頂戴する。

たしかにナラシカは保護の対象だが、それはいつからか。

そこで平城宮跡のいざない館に行くと、こんな展示がある。

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奈良の都で食べられていた食事なのだが、よく注目してほしい。上段右だ。

「シカ肉のしおから」。

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これは讃岐からの献上品とあるが、シカ肉を野菜などに付け込んだ発酵食品か。 漬け物のようなものだろう。もともと漬け物は肉が素材だったのである。さらに干し肉もあったようだ。

つまり奈良の都では、よくシカ肉が食べられていた。実は都の周辺で狩りをしていた記録もあるし、奈良の都をつくるために奈良盆地を切り開く過程でも、シカを随分捕らえたようだ。

奈良のシカが神様の使いになったのは、都が建てられて以降の話なのである。

むしろ都が平城京から長岡京、平安京へ移って奈良がガラガラになった頃、平安貴族が南都を訪ねてシカの群が元の都の大通りを走る姿を見て感激したという記述もある。それから神様へとなっていく。

ところでシカ肉のしおから、どんな味だろう。奈良のジビエとして売り出せないだろうか。

2024/09/13

街路樹は植物虐待だ

先日、ふらりと見かけた住宅街で見かけたのは…。

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街路樹が軒並み伐採されている。切り株を見ればわかるとおり、内部が腐って空洞化が進んでいたようだ。
この街路樹は、切り株だけではわかりにくいが、ナンキンハゼではないか。外来種にして、実に毒を持ち、葉も食べられることはない。その繁殖力の恐ろしさが知られているが、なぜか病気が伝染したのか。

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跡地には植えたのか勝手に生えたのか、草花が。。。

昨今、街路樹が話題によくなる。いきなりの倒木。いきなりの伐採。さらに神宮外苑のような再開発。倒れて死傷者が出たら、管理不行き届きと言われ、伐ったら自然破壊だの都市の緑を残せだの、好き放題言われる。

ここで問いたい。本当に都市に街路樹はいるのか。道路沿いに細く点々と樹木を植えることに意味があるのか。

私は、いらないと思い出した。なぜなら、植物虐待だから。あの狭い植樹桝の中で根を伸ばしたり地面に盛り上がったり。伸びたら電線に触れるだの標識が見えないだのと、強度の剪定が毎年行われる。もはや枝葉を全部伐ってしまう例が多い。そして排気ガスを浴び、人々が傷つけ、本当にロクなことがない。実は日陰効果も少ない(歩道に樹木の影はほとんど落ちない)。

もちろん人間側から見ても、管理コストが高すぎる。落葉に落ち実(ギンナンなど)は大迷惑になる。視線を遮り標識が見えないなどで事故につながる。歩道もしくは車道が狭くなる。ビッグモーターズに嫌われたし…。

この際、都市から街路樹を撤去した方がよいのではないか。 

どうしても緑がほしければ、まとまった緑地を設けよう。公園ではない。人が入らない樹林帯だ。私の想定するのは、最低でも幅5メートル、長さも20メートルは必要だ。深さも2メートルはほしい。一カ所に樹木を複数植えて、草も生やす。土の地面をつくることも大切だ。その代わり、道路にずっと伸ばすのではなく、点在させる。私は、交差点をロータリーにして、その真ん中を緑地にすればよいと思っている。

そこにベンチでも置いておけば、癒しの場になる。ただし、排気ガスは浴びるだろうけど。それで樹木の気持ちがわかったらよろし。

 

2024/09/12

ウェッジに「実は日本は木工王国…」を書いた裏事情

Wedge on lineに『実は「日本は木工大国」林業復活に必要な“家具輸出”、業界をあげての課題とは』を執筆しました。

Wedgeはご存じの通り、東海道新幹線のグリーン車に備え付けで、市販もされているビジネスマン向きの硬派雑誌だ。発行元は株式会社ウェッジだが、ここはJR東海の系列会社。いわば異業種参入なのだが、下手なメディアより硬派で突っ込んだ記事を書ける。

これまでも私は本紙に執筆してきたが、今春よりネット版on lineにも毎月書き始めた。Yahoo!ニュースとの違いは、こちらは編集者が関わっていること。タイトルなどは編集者が決める。一方で定額制(原稿料)なので、アクセス数を気にしなくてもよろしい(^o^)。

さて、今回は多少は楽しい林業の話題もということで、木工王国編。

最近は林野庁の音頭で「木造建築ブーム」だそうである。木造が環境的にもよいと持て囃され、それに踊って参入する事業主や建設会社も増えているようだ。

だが、私は以前より「木造建築を増やせば日本の山ははげ山になる」と言い続けている。だって再造林率3~3・5割なのだから。そして建築物として長期間担保される木材は、森林バイオマスの1~2割にすぎない。何より建築構造材の価格が安すぎて、山元に利益が還元できていない。木材の使う量は減らして、利益を上げる方法を考えるべき。

だったら、林業家が目を向けるのは建築業界ではないでしょ、と思うのである。

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大川組子。これを活かした家具や建具が素晴らしい。

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2024/09/11

残暑のオギin平城宮跡

暑い。残暑というが、むしろ夏ばてが進んできた。

そんなときに平城宮跡を歩く。

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朱雀門では韓国人女性が佇んでいたが…。

本来なら秋のトバ口に立ち、そろそろオギ(一般に平城宮跡のススキと思っているのはオギだった)が白い穂を立て始める頃なのに、完全に夏景色のままだった。

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2024/09/10

散歩にはグラングリーン大阪より……

今、話題の大阪駅前グラングリーンに行ってきた!

と言っても、関西以外の人はほとんと知らないだろう(笑)。関西でも大阪駅に出る人以外には伝わらない。

ようするに大阪駅北側の元操車場跡地の再開発がいよいよ完成、オープンしたということ。都心でこれほど広い面積を確保できるのは最後と言われていて、計画はバブル期から始まっていたが、第1期のグランフロント大阪に続いて第2期がオープンしたのだ。第1期は高層ビルだったが、2期はなんと緑地「うめきた公園」にしてしまった。大阪のセントラルパークをめざすというのだが……。

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着いて思ったこと。暑い……。9月中旬だけど、暑すぎる。

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というわけで、中央の水場は子供たちの水遊び場になっていた。別の池では、泳いでいる奴もいたな。

肝心の緑地の樹木なんだが、植え方は同じ草木をかため植えしている。管理と見映えを考えたのだろうが、あまり植物生態系的には面白くない。

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今後、どのように育つか、だろうな。

それにしても……気がついたのは、意外と狭い。これって、セントラルパーク(約70ヘクタール)どころか、陸上競技場のグラウンド程度。再開発地区の9ヘクタールだというが、まだ未完成地区が山ほどあり、公園地区はその半分ぐらいらしい。このこと、広報していないな。

それにしても……暑い。とても各所を観察していられない。結局は地下にもぐった。大阪駅南側の元中央郵便局もkitte大阪という施設に変わって、地下街が張り巡らせられた。ラビリンスと化してそこを歩いているうちに方向感覚を失い、グルグル回ってしまう。気がつけば大阪駅構内かと思うと、今度は隣の駅近くまで進んでしまった。さらに枝道を進めば、別のビルの地下に入り、そこを抜けてまた別の地下街につながり……ここはどこ? 私は何をしている?状態に陥る。

……それにしても、地下街は涼しいし、並ぶ店先を眺めていると千変万化の商品群に退屈しないし、とくに新しいだけに発見がある。これはウォーキングによい。気づくと1万歩を越えている。夏の、いや9月だけど、暑い日のウォーキングは大阪地下街へ。

2024/09/09

風、光、熱……水平から垂直に!

このところ再生可能エネルギーに介する風当たりが強い。風車にではなく、風車を設置することに……。

実際、メガソーラーや巨大風車、そしてバイオマスを初めとする火力発電はいずれも、脱炭素を推進するどころか逆にCO2の発生を増やしかねない代物だ。加えて景観や低周波など、悪影響は多岐にわたる。

ところで、先日の生駒山の森林公園で見かけたもの。

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何かわかるだろうか。これ、風力発電用の風車なのである。正確にはサポニウス型風車といって、垂直回転翼の風車である。私は、このタイプが好きなのだが……それが、蔓植物に絡まれて無残(泣)。これでは回らないだろう。

風車には、一般に知られるプロペラ式だけでなく、さまざまな種類がある。とくに垂直翼のものはダリウス型、クロスフロー型、ジャイロミル型……など。私は、こちらの方が好きだ。風向きを考えずに弱い風でも回るのだ。

現在はプロペラ式一択になっているのは、単に発電量を大きくしたいからだろう。しかし、そのためには強い風と一定方向の風がないとダメになる。ここに間違いがあるのではないか。

垂直式の風車を多く並べることも考えてほしい。景観的にも悪くないし、身近に設置できる。遠くの海上で発電して引っ張ってくる必要はない。メンテも簡単。写真のように放置はイカンけど。

同じくソーラー発電も、垂直型がある。福島県二本松市では農地に垂直に並べたソーーパネルの発電を行っている。

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ドイツ製だそうだが、発電効率はさほど落ちないそうだ。土地はずっと少なくて済むからメガソーラーでなくなるし、朝に発電量が増えるのは、電力使用時間から考えても有利。農地との併用も行いやすくなる。何より設置も楽ならメンテも楽。巨大プロペラ風車はコストがかかりすぎだ。

それにソーラーパネルは、今後は中国ではなく、ドイツ製に注目ではなかろうか。

最近はペロブスカイト式のソーラーパネルも研究されていて、これが完成したら薄いフィルムベースとなり、曲面や垂直壁などに多用できるはず。こちらも設置場所が広がり、森林を切り開いてメガソーラーみたいな馬鹿なことをしなくて済む。

そして地熱発電や地中熱発電技術も進んできた。地上で燃材を燃やすのではなく、深く垂直に掘っていくことで熱を取り出す。地中熱は、せいぜい20~100メートルくらいしか掘らないから簡単。地中と地上との温度差を利用するのだ。

世の中の再生可能エネルギー、水平から垂直に再編されるんじゃね?

 ちなみに森林は、もともと立体的なのだが、どうも面積で判断しがち。むしろ樹木の高さを重視したらどうだろう。材積も増えるよ。

 

2024/09/08

伸びるか、木製フローリング市場

市場調査会社のレポートを読んだ。

木製フローリングの世界市場

それによると、
2023年に488億米ドルと推定される木製フローリングの世界市場は、2023年から2030年にかけてCAGR 4.7%で成長し、2030年には671億米ドルに達すると予測されます。

なかなかの成長率だ。

米国の木製フローリング市場は2023年に70億米ドルと推定されます。世界第2位の経済大国である中国は、2030年までに130億米ドルの市場規模に達すると予測され、分析期間2023-2030年のCAGRは7.1%です。その他の注目すべき地域別市場としては、日本とカナダがあり、分析期間中のCAGRはそれぞれ2.8%と3.1%と予測されています。欧州では、ドイツがCAGR 3.8%で成長すると予測されています。

実は、私も木材の用途としてもっとも有望なのはフローリングだ! と20年前から言っていた。と、後出しジャンケンのような言い草(^^;)。

一応の証拠としては2012年に国交省の「木の家づくり推進委員会だったかに意見陳述で呼ばれて発言している。

そこでは、木造住宅を推進しても木材の需要はたいして増えないこと、そして価格が安くて利益が出づらいことを訴え、木材を高く売れるのは建築物全般の建具やインテリアであるとした。とくにフローリングは、耐火基準など建築基準法で木材規制に引っかからないからよろしい、と言って、国交省役人の笑いを(苦笑?)取ったので゛よく覚えている。

ところで、木製フローリングには、無垢材フローリングと、単板を集成したエンジニアードウッドフローリングに分かれる。どっちがいいかは使い方、場所などによるのだろうが、昨年我が家でもフローリングの張り替えをしたのは集成材フローリングから無垢材フローリングへだ。

その際に驚いたのは、古いフローリングを剥がすとボロボロに砕けたこと。持ち上げられないほどだった。その理由はわからない。40年以上経っているし、親の部屋の使い方にもよるのだろうが、恐ろしく感じた。

20230927_105320張り替えた床

もっとも、この工事でフローリングの難しさも学んだ。集成材のフローリングならパネル化していて、簡単だとは聞くが、無垢材の場合は水平を取るだけでも大変。下地から全部張り替えだった。

さて、レポートにもどる。

世界の木製フローリング市場は、木材加工技術の進歩と消費者の嗜好の変化により、着実な進化を遂げています。持続可能で環境に優しい建材を求める動きが顕著になり、持続可能な森林管理が認証された森林からの木製フローリングの需要が高まっています。DIYでの施工を容易にするクリックロック技術や、耐久性と湿気や害虫への耐性を高める木材治療の改良などの技術革新により、木製フローリングの使用と用途が拡大しています。さらに、木製フローリングの美観は多様化し続けており、素朴な手擦りの板や、高度に磨かれた現代的な仕上げの板が好まれる傾向にあります。これらの動向は、個性的で環境に配慮した住宅装飾を選択する消費者のシフトを反映しています。

消費者の嗜好は、より持続可能で審美的に多様な床材オプションへとシフトし、市場はより高品質でエコロジーに配慮した製品へと向かっています。またオンライン小売の台頭により、消費者は多様な木製フローリングオプションに容易にアクセスできるようになり、市場の成長をさらに後押ししています。

ここで私が重要だと思うのは、「持続可能で環境に優しい建材を求める動き」だ。そして森林認証を受けた得た木材の需要が高まっていること。

そして、フローリンク材の多くは、広葉樹材であること。スギやヒノキ製もあるが、いかにも和風の床になる。私もリビングのデザイン上、広葉樹材を求めた。一方で広葉樹材は、供給不安がある。今は外材全盛だが、そのうち底を突くのではないか。

今から対策を練って、安定供給できる素材を準備しておくことも、日本の林業の長期戦略になるのではないかな。

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国産の里山フローリングと名付けられた雑木の材

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なんと、割り箸素材のアスペンも、サーモにすると立派なフローリング材に。

 

 

2024/09/07

切り株の上の…純林?

不定期に続く「切り株の上の生態系」シリーズ。ようするに樹木の切り株の上に、ほかの植物などが育って、新たな生態系をつくっている様子を見つけては紹介してきたもの。

基本的な思いとしては、樹木は伐られて死んだかもしれないけれど、その切り株の上の平面では、一部の木質が腐って土壌となり、そこに飛んできた草木の種子が育ったり、そこに虫が集まったり……それが自然の面白さだね、というイメージだった。

だが、今日はこんなものを発見。

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切り株の中心部が腐って空洞になったのだろうけど、そこに生えてきたのはササだった、という顛末である。種子が飛んできたのではなく、地面から地下茎を伸ばして空洞にたどり着いたのだろう。こうなると、ほかの植物は生えないだろうね。

いわば純林?(笑)そんな馬鹿な。。。でも、自然界が常に生物多様性の方向に進むわけではなくて、自然故に種数が減るケースも多々ある。そんな生態系を、切り株の上で実演してくれているのだよ。(と思おう。)

場所は、いつも行っている森林公園とは別の森林公園。生駒山にはいくつもあるのだけど、通常は近くて比較的整備されて歩きやすいところに行っているのだけど、今回は途中で「ここにもあるな」と思って変更したところ。
ここも森林公園としては照葉樹落葉樹、湿地帯、貯水池といろいろあってよいのだけど、ちょっと標高差が大きくて登り下りがあるためか、あまり人気はない。一度下ると登らないといけない。しかも人があまり来ないからか、整備も遅れていて、今回は道を歩くだけで顔が蜘蛛の巣にかぶされ悲鳴を上げてしまう。

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この木の間には、でっかい蜘蛛の巣が張っている。気づかずに通ると酷い目にあう。

ともあれ、「危険な厚さ」注意報が出た日ほど出歩いてしまうのであった。

2024/09/06

裁判を傍聴して思うこと

昨日、奈良地方裁判所で裁判を傍聴した。傍聴抽選にも当たって、わりと前の席に着いて裁判を見守る。

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裁判は、メガソーラー開発に関わる許可取り消し行政訴訟と工事差し止め訴訟。砂防・治山がらみの工事が、該当法律の解釈ギリギリの要件で済ませようとする業者と県か、それでは住民の安全を守れないとする住民側の争いだ。もちろん、そこに開発案件に絡む森林法などの解釈が正しいかどうかといった問題も入ってくるのだが……。さらに提出された小難しい推定降水量や排水量計算の数値データの解釈まで絡む。

もともと今夏には判決が出ると言われていたのだが、今回は年内に結審を……と言われていた。案の定、その間に裁判官も交代していた。前の女性裁判官は、いかにも数学系の知識がなさそうだったが、今回の男性裁判官はどうだろうか。ただ10月に裁判官自らが現地調査を行うそうである。

私は『盗伐 林業現場からの警鐘』を執筆する過程で、日本の司法は信頼するに足らずと確信した。警察検事裁判官、そして弁護士。いずれも面倒くさい事件はなるべく捜査しない・立件しない・弁護しない・判断しない。そして儲からない・勝てそうにない事案は引き受けない。担当者個人の好き嫌いと力量に左右される。裁判官の心証が重要視される。それに法律家が専門知識(産業界の構造とか学術的な知識)を付け刃で勉強した際の薄っぺらい理解度を感じる。

おりしも朝ドラ『虎に翼』で原爆裁判の判決が描かれたが、判決そのものは原告側の請求棄却であった。ただ意見として、被爆者救済は立法と行政の仕事だとし「政治の貧困」にまで踏み込んだ。……が、その後被爆者援護法が施行されたのは1995年だから、立法が動くまでに30年以上かかったことになる。事実はドラマよりひどし。

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法律さえ違反しなければよいのか、被害者救済、住民の安全という根幹の目的まで訴求した判断をめざすのか。

 

ちなみに奈良県知事は、五條市のつくったメガソーラー規制条例を憲法違反だと言い出した。住民の同意がなければつくれないのはケシカランのだそう。ようするに、自分はメガソーラーを作りたいのに規制されるのがイヤらしい。彼も弁護士出身だけどね。法律の解釈は、ここまでねじ曲げられる。

県は、この裁判で負けたら、また憲法違反と言い出すのだろうか。

 

 

2024/09/05

本を読む順番を廃棄本で考える

地元の図書館に行ったら、廃棄本をリサイクル本と名付けて、「欲しい方、持って行って」とやってる。多くが童話など子供本なのだけど、さまざまな分野の本が並んでいた。そこで私も2冊ばかりいただく。

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野生イネの自然史』という専門書と、『ラーメン屋の看板娘が経営コンサルコントと手を組んだら』。アンバランス? いやバランスよく選択したのだよ。

前者は専門書だが、後者は小説スタイルの実用本だ。この手の本は、もしドラこと『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』以降、結構増えた(今はもしドラと言ったら「もしトランプ大統領が再登場したら」のもしトラに間違われてしまうね)。

で、当然ながら後者から読む(^^;)。読みやすいからね。まあ、ライトノベルみたいなものなのだが、ラーメン屋などの小規模店舗経営のノウハウを女子大生を主人公に据えて教えてくれる。作者は経営コンサルタントで、マーケティングの専門家だから、その手の勉強になる。

しかし文章だけでなく、キャラも構成も稚拙だしストーリーは単純なのに、面白く読めるのはなぜ? これは見習わなくてはならない。私もライトノベルぽく書いてみるか。もっとも、いくつか読んだライトノベルは途中で投げ出すものが多かった。高齢者が高校生みたいな話し方されたらなあ。

思えば、美味いラーメンをつくる人は職人であり、販売や経営の専門家ではない。チェーン店は自店の商品の美味さのレベルを把握した上で、売る方策を考えているのだ、という理屈はわかる。

しかし、大枚はたいて購入した新刊書も読まずに山積みなのに、なんで無料の廃棄本から読んでいるのか。

読まねばならない本を放置して、無駄な本から読みたくなるわけ」という実用書を書きたくなる。主人公は締め切りに焦る新人ライター(笑)。もしかして人生論になるかも。

ラーメン屋にも必要なマーケティングのテクニックを取り入れるべきか。「美味いラーメンだけは売れない、美味さほどほどのラーメン屋の方が流行らせる方が簡単」とする法則にしたがって、渾身の力作よりも中身ペラペラの空疎な本が売れる秘密を探ろうか。

あ、前者の「野生イネ」もパラパラめくっただけだが、イネの野生種はアジアだけでなくアマゾンなど南米にもあるなど、面白そうではある。でも野生種は絶滅寸前らしいが、その遺伝子は大切だ。今後のイネ栽培に何をもたらすか。専門書で難しいけど、なんとか後で読みたい。

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