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森と林業の本

2024/09/19

「歩留り」と「純益」の経済学

そろそろ「令和のコメ不足」(令和の米騒動とは呼びたくない)は解消しつつあるのだろうか。新米が出回り始めたことで。もっとも、その新米の価格が高騰していることも話題であるが。

専門とは言えないものの、私は農業にも首を突っこんでいる。そこでエラいことに気づいた。

農水省から公表されているコメ需給統計にある在庫数値は玄米ベースだったのだ。
もちろん消費者が日常的に消費しているのは、精米だろう。
ちなみに国連食糧農業機関(FAO)をはじめとする国際機関の統計は、精米換算の数値に統一されているが、なぜか我が国農水省だけが玄米ベースでの統計を基に、コメの需給を管理している。

このズレがどれほどになるのか。

一般的には、精米されることで玄米の重量は8~10%減るとされる。つまり8~10%はヌカとなるのだ。さらに無洗米は精白米と比較して2~3%減る。自宅で米を研ぐ際に出るヌカを先に取ってしまうからだ。なおヌカ以外の成分を研ぐこともあるからもっと減る。

なおモミを玄米にすると、2割減る。つまり10キロのモミは8キロとなり、それを精白すると7・2キロくらいになる。無洗米も含めて最終消費者が食べるのは7キロぐらいと換算するべきだろう。収穫量から3割は減るのだ。

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コメヌカ袋

さらに昨年は酷暑が続いたために、コメの出来はよくないとされる。昨年の場合は、品質が悪化し精米時の歩留りはさらに落ちたらしい。ヌカ層が厚くなったのである。その割合は調べても見つからなかったが、仮に1~2%落ちたとしたら、それも最終消費量の目減りを引き起こしただろう。今年はどうなるか。歩留りの多寡によって消費可能量が変わってしまう。

それにしても、なぜ玄米ベースの統計にして予測をややこしくしているのか。

そういや木材でもおかしな統計を目にすることがあった。生産量は原木、つまり丸太なのに消費量は製材で示している。丸い原木を製材したら量は減るんだよ。。。製材すれば、4割は減る。さらに集成材だと2割以上減る。合板は多少よいが、それでも原木からマイナスになるのはいう迄もない。それを無視して、生産量を元に需要を考察してもイカンだろう。
さらに言えば森林そのものからの木材生産量の歩留りを考えてもらわねば。おそらく3割ぐらいだ。

原木のうち建築材にまでたどり着くのは3割程度だから、森林蓄積のうち建築材になるのは1割ぐらいだろう。これで「木造建築は炭素蓄積」なんていうんじゃないよ。

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切り捨て間伐現場

この歩留りの悪化が林家の収入も落としている。製材価格のうち、林家手取りは1割以下だ。4%だという数字も出ている。製材が立米単価10万円あったとしても(ないけど)、4000円だよ。

この生産者の純益という数字も把握しないと、林業生産額はいくらで前年度よりか増えました、だから林業再生は進んでいます、なんて世迷い言を言ってしまう。農業も同じだ。

今年は新米は価格が2倍になったというが、果たして手取りはいくら増えたのか。この際、超高値をつけてガッツリ儲けていただきたい。コメ不足様様になるかもさしれない。
林業も純益が2倍になる取引をしたら、伐採量を半分にしてもよいのだ。薄利多売の経営構造のままだと、大量に伐採しないと儲からないから森林破壊が進む。

この「歩留り」と「純益」の経済を意識に置くべきだ。

なお、コメの10%が米ヌカとなったとして、その重さの1~2割ほどは米油となる。残りは、たんぱく質を含む脱脂米ぬかだ。ここから肥料や家畜飼料がつくられる。さらに代用肉生産に結びつける動きもある。
林業の製材屑は、一部は割り箸などにするが、ほとんどはバイオマス発電燃料。製紙用チップにもあまりならない。森林に残して腐らせる分も多い。

 

2024/09/18

キハダの成長善し悪し

以前、キハダの取材をした際に、キハダの苗を2本もらった。

庭に植えるつもりだったが、キハダはわりと太く高く成長する。1本はスペースを考えて植える場所を決めたのだが、もう1本はよい場所がない。そこで、テキトーにほかの木の横に植えた。こちらはスペアのつもりだったのが。

すると結果は……。

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左が本命である。どうも成長が悪い。病気かと思ってしまうほど。明るさも土質も悪くないのだがなあ。
一方でスペアとして植えた苗はすくすく育ち、今や高さ3メートル近い。周辺を圧迫しがちなので枝葉の剪定もしているが、成長速度が衰えることもなく……。このまま育つと、隣のミカンやカキの木を圧迫しそうである。

しかし、今後どうしよう。本命の木を諦めてもよいのだが、スペアがこんな場所でこんなに太くなられては……と悩まされている。庭が樹林になっても困るんだよ。何が条件で樹木の生育に影響を与えるのかわからないものだ。

それにキハダの樹皮を剥くのは、どれぐらい育ってからがよいのか。キハダからは染料も取れるし、胃薬目薬などもつくれるという。葉や実でお茶もつくれるはず。

ちなみにキハダ樹皮そのものももらったので、また煎じて胃薬をつくってみるかな。

 

2024/09/17

Y!ニュース「……街路樹なんかいらない!」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「樹木の気持ちになれば、街路樹なんていらない!」を書きました。

このところYahoo!ニュースの執筆量が減っている。まあ、その分、コメントばかりつけているのだが、せめて月1本ぐらい書いておくべきかなあ、という思い。

そこで9月も後半になった今こそ何か書くか、という気持ちになった。

テーマはこれ、と決めた。そして調べたり写真を用意しつつ、書き出した。

が、途中で「おもろないわ」と投げ出す。そして、天啓のように?下りてきた街路樹のことを書いたわけである。もとネタはブログにも書いたのだけどね。

きっかけは「ボタニカルウェルフェア」という言葉を思いついたことであった。

アニマルウェルフェアがようやく日本でも広がりだしたのだから、次は植物でしょ。これを森全体にまで広げるのは難しいが、単体の樹木、とくに街路樹に絞ればテーマが絞りやすい。

 

2024/09/16

日本草木研究所のこと

日本草木研究所というのがあって、フォレストジン、つまり国産のクラフトジンをつくっているのは知っていた。以前、紹介したかな?

ただ、“正体”はよくわかっていなかった(笑)。HP見て事業はわかるのだが、どんな人物が何を考えて始めたのか……。イマイチ、正体不明。

その一助になる記事を見つけた。東洋経済オンラインである。

【東大卒の起業家が「食」で挑む林業再生】匂いをかぎまくる32歳/クラフトジンの原材料「ネズミサシ」を求めて広島の山へ/可食植物に見出す新たな価値【ドキュメンタリー 仕事図鑑(古谷知華)】

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なるほど。こういう女性が仕掛け人か。林業再生とあるが、私に言わせれば、既成の「林業」とはちょっと違って、森林をネタにいかに食えるビジネスをつくるか、という視点ではないか。木材なんか眼中にない(^o^)。ここでは森林の中にある草木から食品、スパイスやハーブ的な価値を見いだそうとしているようだ。

まあ、これを見て、完全にここのやっている(やろうとしている)ビジネスを理解できたわけではないが(……本当にこれで儲けているの?ちゃんと売り先とか取引関係を示してよ、とか思う)、「はて?」から「なるほど。」にはなったかな。

必要なのは、「林業」ではなくて、一定の人が森を相手に暮らしていける収入源を確保することだ。それが都会人でなく、森のある地域の人々であることも大切だろう。

次は「さて、」だ。次はどういう展開になるかな。

2024/09/15

国産材でバイオリンをつくる意義

高知県の木でバイオリンをつくったというニュースを目にする。

高知県産の木材を使った“初”のバイオリン!四万十町の工房で完成間近

間近、とあるからまだ完成したわけてはないのかもしれないが、音の最終調整中らしい。

製造は、表面はヤナセスギ、裏面はミズメザクラと高知県産の木材だけで作られたそうだ。記事を読む限り、これは民間の事業で県や市町村関係の事業ではないようだ。四万十町の高橋ヴァイオリン工房と、南国市の溝渕木材工業、そして県出身のバイオリニスト川村陽華さんの名が上げられている。

ちなみに高橋ヴァイオリン工房のホームページを見ると、製造をオーダーすると、使用する木材は
表面・・・・・・モミ(樅)裏面、
ネック、横・・・ カエデ(楓)
指板(しばん)・・コクタン(黒檀)

 使用する木材はモラッシー工房の最上級ランクの材を中心に他、いずれも厳選した材のみを取り揃えています。 オーダー時には工房でストックしてある材から、お好みの木目や虎杢の入った材を選んでいただく事も可能です。

とも記されている。これらの木は、おそらく外材だろう。今回は、それを国産材、とくに高知県産でやってみようというプロジェクトなのだろうか。

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(高橋ヴァイオリン工房のHPより借用)

国産材でバイオリンと言えば、奈良県でも吉野杉によるバイオリンを製造している。これは県の企画だ。2017年に発表されて、私もそのコンサートに行ってきた。音色は、通常のバイオリンとは少し違うが、柔らかくてよい音色、とのことであった。(私に判定できるほど耳は肥えていない。)

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ようするに建築材ばかりではなく、新たな商品づくりに挑戦、という意味である。

その際に私が評したのは、<楽器は木材の使い道としては最上級のカテゴリーで、もっとも魅力を発揮できる分野である。ただ今回見吉野杉でも楽器(なかでも最上級の弦楽器とされるバイオリン)をつくれることを示したのだから、非常に価値がある。ただし、ここで使われたのは200年生の吉野杉で、しかも長く製材されて保管されていたことで乾燥が行き届いた逸品であること。つまり、これで量産などはできないし、新たな木材用途にはならない。今回の試みと成功は、いわば国産材の可能性を世間に示すことに意味がある。これに触発されて、地場産の木で新たな商品を開発しようという機運が出てきたらよい。>……ということであった。

今回の高知の試みも、ヤナセスギとは柳瀬杉、高知県東部の天然杉の銘木だし、ミズメザクラも通常出回っている木材ではない。

今後の波及効果に期待したい。

そういや、今年11月10日に四万十市で開かれる「幡多山もりフェス」に呼ばれていた。もしかしてバイオリンを目にできるかな。四万十市と四万十町。名前は似ていてもそんなに近い距離ではないようだけど(^o^)。

 



2024/09/14

「シカの王国」奈良の真実

奈良といえばシカ。大仏よりシカ。自身を持って言えるが、そこで全国でシカの獣害が酷いけど、奈良だけはシカを駆除しないでね、というトンチンカンな声が聴こえてくる。またシカのジビエを食べてよいのか、というご意見を頂戴する。

たしかにナラシカは保護の対象だが、それはいつからか。

そこで平城宮跡のいざない館に行くと、こんな展示がある。

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奈良の都で食べられていた食事なのだが、よく注目してほしい。上段右だ。

「シカ肉のしおから」。

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これは讃岐からの献上品とあるが、シカ肉を野菜などに付け込んだ発酵食品か。 漬け物のようなものだろう。もともと漬け物は肉が素材だったのである。さらに干し肉もあったようだ。

つまり奈良の都では、よくシカ肉が食べられていた。実は都の周辺で狩りをしていた記録もあるし、奈良の都をつくるために奈良盆地を切り開く過程でも、シカを随分捕らえたようだ。

奈良のシカが神様の使いになったのは、都が建てられて以降の話なのである。

むしろ都が平城京から長岡京、平安京へ移って奈良がガラガラになった頃、平安貴族が南都を訪ねてシカの群が元の都の大通りを走る姿を見て感激したという記述もある。それから神様へとなっていく。

ところでシカ肉のしおから、どんな味だろう。奈良のジビエとして売り出せないだろうか。

2024/09/13

街路樹は植物虐待だ

先日、ふらりと見かけた住宅街で見かけたのは…。

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街路樹が軒並み伐採されている。切り株を見ればわかるとおり、内部が腐って空洞化が進んでいたようだ。
この街路樹は、切り株だけではわかりにくいが、ナンキンハゼではないか。外来種にして、実に毒を持ち、葉も食べられることはない。その繁殖力の恐ろしさが知られているが、なぜか病気が伝染したのか。

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跡地には植えたのか勝手に生えたのか、草花が。。。

昨今、街路樹が話題によくなる。いきなりの倒木。いきなりの伐採。さらに神宮外苑のような再開発。倒れて死傷者が出たら、管理不行き届きと言われ、伐ったら自然破壊だの都市の緑を残せだの、好き放題言われる。

ここで問いたい。本当に都市に街路樹はいるのか。道路沿いに細く点々と樹木を植えることに意味があるのか。

私は、いらないと思い出した。なぜなら、植物虐待だから。あの狭い植樹桝の中で根を伸ばしたり地面に盛り上がったり。伸びたら電線に触れるだの標識が見えないだのと、強度の剪定が毎年行われる。もはや枝葉を全部伐ってしまう例が多い。そして排気ガスを浴び、人々が傷つけ、本当にロクなことがない。実は日陰効果も少ない(歩道に樹木の影はほとんど落ちない)。

もちろん人間側から見ても、管理コストが高すぎる。落葉に落ち実(ギンナンなど)は大迷惑になる。視線を遮り標識が見えないなどで事故につながる。歩道もしくは車道が狭くなる。ビッグモーターズに嫌われたし…。

この際、都市から街路樹を撤去した方がよいのではないか。 

どうしても緑がほしければ、まとまった緑地を設けよう。公園ではない。人が入らない樹林帯だ。私の想定するのは、最低でも幅5メートル、長さも20メートルは必要だ。深さも2メートルはほしい。一カ所に樹木を複数植えて、草も生やす。土の地面をつくることも大切だ。その代わり、道路にずっと伸ばすのではなく、点在させる。私は、交差点をロータリーにして、その真ん中を緑地にすればよいと思っている。

そこにベンチでも置いておけば、癒しの場になる。ただし、排気ガスは浴びるだろうけど。それで樹木の気持ちがわかったらよろし。

 

2024/09/12

ウェッジに「実は日本は木工王国…」を書いた裏事情

Wedge on lineに『実は「日本は木工大国」林業復活に必要な“家具輸出”、業界をあげての課題とは』を執筆しました。

Wedgeはご存じの通り、東海道新幹線のグリーン車に備え付けで、市販もされているビジネスマン向きの硬派雑誌だ。発行元は株式会社ウェッジだが、ここはJR東海の系列会社。いわば異業種参入なのだが、下手なメディアより硬派で突っ込んだ記事を書ける。

これまでも私は本紙に執筆してきたが、今春よりネット版on lineにも毎月書き始めた。Yahoo!ニュースとの違いは、こちらは編集者が関わっていること。タイトルなどは編集者が決める。一方で定額制(原稿料)なので、アクセス数を気にしなくてもよろしい(^o^)。

さて、今回は多少は楽しい林業の話題もということで、木工王国編。

最近は林野庁の音頭で「木造建築ブーム」だそうである。木造が環境的にもよいと持て囃され、それに踊って参入する事業主や建設会社も増えているようだ。

だが、私は以前より「木造建築を増やせば日本の山ははげ山になる」と言い続けている。だって再造林率3~3・5割なのだから。そして建築物として長期間担保される木材は、森林バイオマスの1~2割にすぎない。何より建築構造材の価格が安すぎて、山元に利益が還元できていない。木材の使う量は減らして、利益を上げる方法を考えるべき。

だったら、林業家が目を向けるのは建築業界ではないでしょ、と思うのである。

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大川組子。これを活かした家具や建具が素晴らしい。

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2024/09/11

残暑のオギin平城宮跡

暑い。残暑というが、むしろ夏ばてが進んできた。

そんなときに平城宮跡を歩く。

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朱雀門では韓国人女性が佇んでいたが…。

本来なら秋のトバ口に立ち、そろそろオギ(一般に平城宮跡のススキと思っているのはオギだった)が白い穂を立て始める頃なのに、完全に夏景色のままだった。

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2024/09/10

散歩にはグラングリーン大阪より……

今、話題の大阪駅前グラングリーンに行ってきた!

と言っても、関西以外の人はほとんと知らないだろう(笑)。関西でも大阪駅に出る人以外には伝わらない。

ようするに大阪駅北側の元操車場跡地の再開発がいよいよ完成、オープンしたということ。都心でこれほど広い面積を確保できるのは最後と言われていて、計画はバブル期から始まっていたが、第1期のグランフロント大阪に続いて第2期がオープンしたのだ。第1期は高層ビルだったが、2期はなんと緑地「うめきた公園」にしてしまった。大阪のセントラルパークをめざすというのだが……。

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着いて思ったこと。暑い……。9月中旬だけど、暑すぎる。

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というわけで、中央の水場は子供たちの水遊び場になっていた。別の池では、泳いでいる奴もいたな。

肝心の緑地の樹木なんだが、植え方は同じ草木をかため植えしている。管理と見映えを考えたのだろうが、あまり植物生態系的には面白くない。

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今後、どのように育つか、だろうな。

それにしても……気がついたのは、意外と狭い。これって、セントラルパーク(約70ヘクタール)どころか、陸上競技場のグラウンド程度。再開発地区の9ヘクタールだというが、まだ未完成地区が山ほどあり、公園地区はその半分ぐらいらしい。このこと、広報していないな。

それにしても……暑い。とても各所を観察していられない。結局は地下にもぐった。大阪駅南側の元中央郵便局もkitte大阪という施設に変わって、地下街が張り巡らせられた。ラビリンスと化してそこを歩いているうちに方向感覚を失い、グルグル回ってしまう。気がつけば大阪駅構内かと思うと、今度は隣の駅近くまで進んでしまった。さらに枝道を進めば、別のビルの地下に入り、そこを抜けてまた別の地下街につながり……ここはどこ? 私は何をしている?状態に陥る。

……それにしても、地下街は涼しいし、並ぶ店先を眺めていると千変万化の商品群に退屈しないし、とくに新しいだけに発見がある。これはウォーキングによい。気づくと1万歩を越えている。夏の、いや9月だけど、暑い日のウォーキングは大阪地下街へ。

2024/09/09

風、光、熱……水平から垂直に!

このところ再生可能エネルギーに介する風当たりが強い。風車にではなく、風車を設置することに……。

実際、メガソーラーや巨大風車、そしてバイオマスを初めとする火力発電はいずれも、脱炭素を推進するどころか逆にCO2の発生を増やしかねない代物だ。加えて景観や低周波など、悪影響は多岐にわたる。

ところで、先日の生駒山の森林公園で見かけたもの。

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何かわかるだろうか。これ、風力発電用の風車なのである。正確にはサポニウス型風車といって、垂直回転翼の風車である。私は、このタイプが好きなのだが……それが、蔓植物に絡まれて無残(泣)。これでは回らないだろう。

風車には、一般に知られるプロペラ式だけでなく、さまざまな種類がある。とくに垂直翼のものはダリウス型、クロスフロー型、ジャイロミル型……など。私は、こちらの方が好きだ。風向きを考えずに弱い風でも回るのだ。

現在はプロペラ式一択になっているのは、単に発電量を大きくしたいからだろう。しかし、そのためには強い風と一定方向の風がないとダメになる。ここに間違いがあるのではないか。

垂直式の風車を多く並べることも考えてほしい。景観的にも悪くないし、身近に設置できる。遠くの海上で発電して引っ張ってくる必要はない。メンテも簡単。写真のように放置はイカンけど。

同じくソーラー発電も、垂直型がある。福島県二本松市では農地に垂直に並べたソーーパネルの発電を行っている。

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ドイツ製だそうだが、発電効率はさほど落ちないそうだ。土地はずっと少なくて済むからメガソーラーでなくなるし、朝に発電量が増えるのは、電力使用時間から考えても有利。農地との併用も行いやすくなる。何より設置も楽ならメンテも楽。巨大プロペラ風車はコストがかかりすぎだ。

それにソーラーパネルは、今後は中国ではなく、ドイツ製に注目ではなかろうか。

最近はペロブスカイト式のソーラーパネルも研究されていて、これが完成したら薄いフィルムベースとなり、曲面や垂直壁などに多用できるはず。こちらも設置場所が広がり、森林を切り開いてメガソーラーみたいな馬鹿なことをしなくて済む。

そして地熱発電や地中熱発電技術も進んできた。地上で燃材を燃やすのではなく、深く垂直に掘っていくことで熱を取り出す。地中熱は、せいぜい20~100メートルくらいしか掘らないから簡単。地中と地上との温度差を利用するのだ。

世の中の再生可能エネルギー、水平から垂直に再編されるんじゃね?

 ちなみに森林は、もともと立体的なのだが、どうも面積で判断しがち。むしろ樹木の高さを重視したらどうだろう。材積も増えるよ。

 

2024/09/08

伸びるか、木製フローリング市場

市場調査会社のレポートを読んだ。

木製フローリングの世界市場

それによると、
2023年に488億米ドルと推定される木製フローリングの世界市場は、2023年から2030年にかけてCAGR 4.7%で成長し、2030年には671億米ドルに達すると予測されます。

なかなかの成長率だ。

米国の木製フローリング市場は2023年に70億米ドルと推定されます。世界第2位の経済大国である中国は、2030年までに130億米ドルの市場規模に達すると予測され、分析期間2023-2030年のCAGRは7.1%です。その他の注目すべき地域別市場としては、日本とカナダがあり、分析期間中のCAGRはそれぞれ2.8%と3.1%と予測されています。欧州では、ドイツがCAGR 3.8%で成長すると予測されています。

実は、私も木材の用途としてもっとも有望なのはフローリングだ! と20年前から言っていた。と、後出しジャンケンのような言い草(^^;)。

一応の証拠としては2012年に国交省の「木の家づくり推進委員会だったかに意見陳述で呼ばれて発言している。

そこでは、木造住宅を推進しても木材の需要はたいして増えないこと、そして価格が安くて利益が出づらいことを訴え、木材を高く売れるのは建築物全般の建具やインテリアであるとした。とくにフローリングは、耐火基準など建築基準法で木材規制に引っかからないからよろしい、と言って、国交省役人の笑いを(苦笑?)取ったので゛よく覚えている。

ところで、木製フローリングには、無垢材フローリングと、単板を集成したエンジニアードウッドフローリングに分かれる。どっちがいいかは使い方、場所などによるのだろうが、昨年我が家でもフローリングの張り替えをしたのは集成材フローリングから無垢材フローリングへだ。

その際に驚いたのは、古いフローリングを剥がすとボロボロに砕けたこと。持ち上げられないほどだった。その理由はわからない。40年以上経っているし、親の部屋の使い方にもよるのだろうが、恐ろしく感じた。

20230927_105320張り替えた床

もっとも、この工事でフローリングの難しさも学んだ。集成材のフローリングならパネル化していて、簡単だとは聞くが、無垢材の場合は水平を取るだけでも大変。下地から全部張り替えだった。

さて、レポートにもどる。

世界の木製フローリング市場は、木材加工技術の進歩と消費者の嗜好の変化により、着実な進化を遂げています。持続可能で環境に優しい建材を求める動きが顕著になり、持続可能な森林管理が認証された森林からの木製フローリングの需要が高まっています。DIYでの施工を容易にするクリックロック技術や、耐久性と湿気や害虫への耐性を高める木材治療の改良などの技術革新により、木製フローリングの使用と用途が拡大しています。さらに、木製フローリングの美観は多様化し続けており、素朴な手擦りの板や、高度に磨かれた現代的な仕上げの板が好まれる傾向にあります。これらの動向は、個性的で環境に配慮した住宅装飾を選択する消費者のシフトを反映しています。

消費者の嗜好は、より持続可能で審美的に多様な床材オプションへとシフトし、市場はより高品質でエコロジーに配慮した製品へと向かっています。またオンライン小売の台頭により、消費者は多様な木製フローリングオプションに容易にアクセスできるようになり、市場の成長をさらに後押ししています。

ここで私が重要だと思うのは、「持続可能で環境に優しい建材を求める動き」だ。そして森林認証を受けた得た木材の需要が高まっていること。

そして、フローリンク材の多くは、広葉樹材であること。スギやヒノキ製もあるが、いかにも和風の床になる。私もリビングのデザイン上、広葉樹材を求めた。一方で広葉樹材は、供給不安がある。今は外材全盛だが、そのうち底を突くのではないか。

今から対策を練って、安定供給できる素材を準備しておくことも、日本の林業の長期戦略になるのではないかな。

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国産の里山フローリングと名付けられた雑木の材

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なんと、割り箸素材のアスペンも、サーモにすると立派なフローリング材に。

 

 

2024/09/07

切り株の上の…純林?

不定期に続く「切り株の上の生態系」シリーズ。ようするに樹木の切り株の上に、ほかの植物などが育って、新たな生態系をつくっている様子を見つけては紹介してきたもの。

基本的な思いとしては、樹木は伐られて死んだかもしれないけれど、その切り株の上の平面では、一部の木質が腐って土壌となり、そこに飛んできた草木の種子が育ったり、そこに虫が集まったり……それが自然の面白さだね、というイメージだった。

だが、今日はこんなものを発見。

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切り株の中心部が腐って空洞になったのだろうけど、そこに生えてきたのはササだった、という顛末である。種子が飛んできたのではなく、地面から地下茎を伸ばして空洞にたどり着いたのだろう。こうなると、ほかの植物は生えないだろうね。

いわば純林?(笑)そんな馬鹿な。。。でも、自然界が常に生物多様性の方向に進むわけではなくて、自然故に種数が減るケースも多々ある。そんな生態系を、切り株の上で実演してくれているのだよ。(と思おう。)

場所は、いつも行っている森林公園とは別の森林公園。生駒山にはいくつもあるのだけど、通常は近くて比較的整備されて歩きやすいところに行っているのだけど、今回は途中で「ここにもあるな」と思って変更したところ。
ここも森林公園としては照葉樹落葉樹、湿地帯、貯水池といろいろあってよいのだけど、ちょっと標高差が大きくて登り下りがあるためか、あまり人気はない。一度下ると登らないといけない。しかも人があまり来ないからか、整備も遅れていて、今回は道を歩くだけで顔が蜘蛛の巣にかぶされ悲鳴を上げてしまう。

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この木の間には、でっかい蜘蛛の巣が張っている。気づかずに通ると酷い目にあう。

ともあれ、「危険な厚さ」注意報が出た日ほど出歩いてしまうのであった。

2024/09/06

裁判を傍聴して思うこと

昨日、奈良地方裁判所で裁判を傍聴した。傍聴抽選にも当たって、わりと前の席に着いて裁判を見守る。

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裁判は、メガソーラー開発に関わる許可取り消し行政訴訟と工事差し止め訴訟。砂防・治山がらみの工事が、該当法律の解釈ギリギリの要件で済ませようとする業者と県か、それでは住民の安全を守れないとする住民側の争いだ。もちろん、そこに開発案件に絡む森林法などの解釈が正しいかどうかといった問題も入ってくるのだが……。さらに提出された小難しい推定降水量や排水量計算の数値データの解釈まで絡む。

もともと今夏には判決が出ると言われていたのだが、今回は年内に結審を……と言われていた。案の定、その間に裁判官も交代していた。前の女性裁判官は、いかにも数学系の知識がなさそうだったが、今回の男性裁判官はどうだろうか。ただ10月に裁判官自らが現地調査を行うそうである。

私は『盗伐 林業現場からの警鐘』を執筆する過程で、日本の司法は信頼するに足らずと確信した。警察検事裁判官、そして弁護士。いずれも面倒くさい事件はなるべく捜査しない・立件しない・弁護しない・判断しない。そして儲からない・勝てそうにない事案は引き受けない。担当者個人の好き嫌いと力量に左右される。裁判官の心証が重要視される。それに法律家が専門知識(産業界の構造とか学術的な知識)を付け刃で勉強した際の薄っぺらい理解度を感じる。

おりしも朝ドラ『虎に翼』で原爆裁判の判決が描かれたが、判決そのものは原告側の請求棄却であった。ただ意見として、被爆者救済は立法と行政の仕事だとし「政治の貧困」にまで踏み込んだ。……が、その後被爆者援護法が施行されたのは1995年だから、立法が動くまでに30年以上かかったことになる。事実はドラマよりひどし。

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法律さえ違反しなければよいのか、被害者救済、住民の安全という根幹の目的まで訴求した判断をめざすのか。

 

ちなみに奈良県知事は、五條市のつくったメガソーラー規制条例を憲法違反だと言い出した。住民の同意がなければつくれないのはケシカランのだそう。ようするに、自分はメガソーラーを作りたいのに規制されるのがイヤらしい。彼も弁護士出身だけどね。法律の解釈は、ここまでねじ曲げられる。

県は、この裁判で負けたら、また憲法違反と言い出すのだろうか。

 

 

2024/09/05

本を読む順番を廃棄本で考える

地元の図書館に行ったら、廃棄本をリサイクル本と名付けて、「欲しい方、持って行って」とやってる。多くが童話など子供本なのだけど、さまざまな分野の本が並んでいた。そこで私も2冊ばかりいただく。

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野生イネの自然史』という専門書と、『ラーメン屋の看板娘が経営コンサルコントと手を組んだら』。アンバランス? いやバランスよく選択したのだよ。

前者は専門書だが、後者は小説スタイルの実用本だ。この手の本は、もしドラこと『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』以降、結構増えた(今はもしドラと言ったら「もしトランプ大統領が再登場したら」のもしトラに間違われてしまうね)。

で、当然ながら後者から読む(^^;)。読みやすいからね。まあ、ライトノベルみたいなものなのだが、ラーメン屋などの小規模店舗経営のノウハウを女子大生を主人公に据えて教えてくれる。作者は経営コンサルタントで、マーケティングの専門家だから、その手の勉強になる。

しかし文章だけでなく、キャラも構成も稚拙だしストーリーは単純なのに、面白く読めるのはなぜ? これは見習わなくてはならない。私もライトノベルぽく書いてみるか。もっとも、いくつか読んだライトノベルは途中で投げ出すものが多かった。高齢者が高校生みたいな話し方されたらなあ。

思えば、美味いラーメンをつくる人は職人であり、販売や経営の専門家ではない。チェーン店は自店の商品の美味さのレベルを把握した上で、売る方策を考えているのだ、という理屈はわかる。

しかし、大枚はたいて購入した新刊書も読まずに山積みなのに、なんで無料の廃棄本から読んでいるのか。

読まねばならない本を放置して、無駄な本から読みたくなるわけ」という実用書を書きたくなる。主人公は締め切りに焦る新人ライター(笑)。もしかして人生論になるかも。

ラーメン屋にも必要なマーケティングのテクニックを取り入れるべきか。「美味いラーメンだけは売れない、美味さほどほどのラーメン屋の方が流行らせる方が簡単」とする法則にしたがって、渾身の力作よりも中身ペラペラの空疎な本が売れる秘密を探ろうか。

あ、前者の「野生イネ」もパラパラめくっただけだが、イネの野生種はアジアだけでなくアマゾンなど南米にもあるなど、面白そうではある。でも野生種は絶滅寸前らしいが、その遺伝子は大切だ。今後のイネ栽培に何をもたらすか。専門書で難しいけど、なんとか後で読みたい。

2024/09/04

睡蓮にバッタ

庭の池を見ると、バッタがいた。バッタが泳ぐのか?

と、いう間に睡蓮の葉に乗る。枯れた葉に。金魚がしたに泳ぐ。ちなみに白い線は、鳥対策用のテグス糸。

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ショウリョウバッタと思うんだが、2匹だからオス、メス?  いや、ショウリョウバッタはメスが巨大だったはずで、このように同じ大きさでいるのはヘンだ。そもそも交尾しないのに、なぜ2匹でつるんでいるのか。もしかして、オンブバッタ? しかし向きが正反対。おんぶする体勢ではないだろう。

なかなか謎である。このどうやって移動したのか。飛んだのかなあ。通常は飛ばないと思うのだが。泳いだら金魚に食われないか(^^;)。

 

これも池の生態系とするか。

 

2024/09/03

保持林業の実験に思う

保持林業という施業法、伐採法がある。単純に言えば、皆伐なんだけど木をある程度残す施業法。すると動植物の保全に役立つし、森林の回復が早くなるとされている。

欧米などでは広がっているが、日本では北海道で実験が行われている程度ではないか。

正直、私は「そうは言っても皆伐だもんな。すべての木を伐るよりはマシだが、大部分を切ったら森でなくなる」と思っていた。いや今も思っているか。それでも、皆伐よりはよほどマシである。択伐がいいと言われても、すでに一斉林ができあがっているのに難しい、とかいい訳して相変わらず皆伐と一斉造林、一斉伐採を繰り返すときに、「保持林業という手がありますよ」と提案できるかも、と思っている。

なお、残す木の量はまだまだ議論がある。木材生産と生物の兼ね合いだ。

そこでさまざまな実験が行われている。今夏、その実験成果の発表があった。

北海道の大規模実験の成果から人工林における保持林業を提案

針葉樹人工林で保持林業を実施する場合、単木保持では広葉樹を10本/ha(材積で約2%)以上、できれば50本/ha以上(材積で約10%)残すこと、群状保持と単木保持は組み合わせると効果的であることを提案しました。

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8種類の実験地

この保持林業実験、北海道立総合研究機構林業試験場、北海道大学農学部と共同で道有林のトドマツ人工林において行っている。実験開始から10年間が経過したので初期の成果をまとたというものだ。

・単木保持では林床植生を除く色々な生物群で広葉樹の保持量が大きいほど生物多様性保全効果が高いことが明らかに。

・群状保持の効果は生物群によって異なり、林床植生、オサムシ類、外生菌根菌のように保持部分が伐採の影響から逃れる一時的な避難場所として機能するものと、鳥類や腐肉食性甲虫のように機能しないものがありました。

・単木保持と群状保持では効果的な生物群が異なりました。

・木材生産性については、伐出コストの増加や収穫量の減少といった負の影響は10本/ha保持では無視できる範囲でしたが、50本/ha保持以上で顕在化しました。

・伐採地の景観的価値については、皆伐よりも単木保持の方が風景として好ましく、この傾向は保持量が多いほど顕著でした。

ある程度、想像どおりではあるが、こうした知見を積み重ねて、実地にやっていこう(それが国有林か公有林か民有林でも可能なのか、わからんけど。)

ところで「北米や北欧を中心に普及していますが、日本を含むアジア地域ではほとんど行われていません」とある。だが、私は静岡で見たぞ。

天竜林業地で、写真のような「皆伐施業」をやっていた。山主が、どうやらたら森林に優しい伐り方か、再生が早いか……を考えた結果、このように木を一定割合残す方法に行き着いたのだそうだ。
「これは保持林業では?」と聞くと、そんなもの知らないということだった(^^;)。自分で思いついて試している最中であって、世界のどこかでやっている方法を真似たわけではないらしい。

基本的には、スギ林ならスギの一部、あるいは広葉樹が入り込んでいる人工林の場合は、広葉樹中心に残すそうだ。

問題は、これを皆伐と認められないと、補助金が出ないこと。

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そう言えば、最近になって複層林施業がまた言われだした。前回(1970年代?)は失敗だったので、いろいろなパターンを試して実験しているそうだ。ただ、審議会などで「複層林にすれば、手入れがあまり要らずに省力化になる」という発言があって、しらけた。

複層林にしろ針広混交林にしろ、細やかに管理しないと成り立たないのは、過去の事例を振り返って外野でもわかる。もし、その覚悟がなく安直な発想で取り入れたら、またしても失敗するだろう。

学者が実験で「こうしてああしたら成立する」と答を出したつもりでも、現場はテキトーにやるからね。

油断するなかれ。

2024/09/02

日本ジャーナリスト会議『盗伐』書評

ジャーナリスト」という新聞に『盗伐 林業現場からの警鐘』の書評が掲載された。

この新聞、寡聞にして知らなかったが、日本ジャーナリスト会議(JCJ)発行の機関紙(月刊)とのこと。つまり読み手のほとんどは、私の同業者かその関係者。1955年創刊というから、結構な歴史を持っているのであった。こうした媒体に取り上げていただけたのは有り難い。

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ところでちょっと脱線するが、この書評欄には『ルポ 書店危機』(山内貴範著)も取り上げられている。町からリアル書店が消えていく様子のルポらしい(読んでいないので、内容はわからない)。本を書いている身としては、こちらも気になった。

なによりこちらの書評も面白い(書き手は永江朗)。最後に以下のような一文で締めくくる。

「本屋がなくなると困る」と思っているのは、書店関係者と本好きの一部なのかもしれない。

 

これ、林業界でも同じことが言えると思う。

私は、書籍のテーマに世間の関心の薄い題材を選ぶことを旨としている(いや、結果的に、だけどね。自分の興味の範囲が世間と合わないということです)せいか、意外な感想をいただくことが多い。
『盗伐』も世間からは「トウバツという言葉を知らなかった、討伐かと思った」「辛くなって途中で読むのを止めた。こんなこと知りたくなかった」という感想をいただくほどなのだが、プロには評価されたということか。

でも……いわゆる世間も、ジャーナリストも、森林問題から林業問題に分け入ると、極端に興味が失せることを私は体験的に知っている(笑)。

「世界」「社会」は“都会の人”でできており、森林世界は自然科学の分野とカテゴリー分けされて、林業となると少数しかいない隙間産業と認識される。いわば林業界は、世間でも世界でもない異界。「あれは別世界だから」。選挙で少数業界は票にならないのと同じである。

アマゾンやボルネオで起きている大規模に熱帯雨林を破壊する行為に比べて、0・1ヘクタールとか、せいぜい5ヘクタールの盗伐なんて、小さな自然破壊なのでスルーする、盛り上がらないのかもしれない。

私の読者は林業関係者が多いが、その人が思っているほど世間は林業にも木材にも興味がないよ、と教えてあげたい(⌒ー⌒)。

その点を忘れると空回りしてしまう。

 

2024/09/01

バイオマス燃料の調達

日経に、バイオマス発電燃料のパームヤシ殻(PKS)の輸入量が、2023年595万トンとなり、10年間で30倍超に伸びたという記事があった。

パームヤシ殻、輸入10年で30倍 バイオマス発電で

そこで気になったので、バイオマス燃料そのものを調べてみる。

(1)PKS 2023年は前年比1.1 倍の約595 万トン。輸入割合はインドネシアが77%、マレーシアが22%。

(2)木質ペレット 2023年の輸入量は前年比1.3倍の約580万トン。輸入割合はベトナムが45%、カナダが27%、アメリカ合衆国が22%。

(3)木質チップ 2023 年の輸入量は前年比0.98 倍の約1,112 万トン。ただし輸入には製紙原料が入っているので、燃料はそのうち何割かはっきりしない。

問題の国産燃料は、どうなるのか。それが、なかなかわかりにくい。

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このグラフによると、約54%が国産らしいのだが……。怪しい(^o^)。もっとも多い間伐材由来46%というのは、そう申告しないと未利用材扱いにならないからではないか。それに間伐材というのが全部国産なのかどうかもはっきりしない。

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政府は30年にバイオマス発電を全体の5%に引き上げる目標を掲げているから、まだまだ増やすつもりなのだろう。しかし、輸入燃料も価格がどんどん上がっているし、そもそも生産量が行き詰まる気配がある。さて、どうする?

 

2024/08/31

台風一過?我が家の稔り

毎日台風10号の話題で、しかも毎日降るぞ降るぞ、吹くぞ吹くぞと予報が出ていた。

最初は奈良直撃だったのだが、それが九州にずれて迷走を始めてもずっとそう。もちろん九州のほか四国、紀伊半島南部はとてつもない雨が降ったし、関東でも大雨警報が出ている有様なのだが、生駒は全然なのである。

パラパラ降り始めたかと思うと、さっと止む。夜中に降っていたらしいのだが朝は晴れ間。結局は雨量はたいしたことなく風も目立った吹き方ではなかった。やはり生駒山の神様に守られている(^人^)のか、と思う次第である。
一応は、何かと災害対策に用意しておいたのに、まったく使うことなく、食料も減ることなく、毎日新鮮な食材を買いに行ける。

かくして我が家の損害はゼロと言いたいところなのだが……あったぞ。損害が。

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玄関前に落ちていた柿の木の枝と青い実。ほかにもいくつか実は落ちていた。それなりに風が吹いたのだろうか。

この柿の木は、昨年は全然稔らなかったのに今年はかなり豊作の気配だったのだが、さて台風の影響がどう出るか。

もう一つ、我が家の稔りといえば、ミカン。昨年は異常と言えるほどの豊作だったのだが、その木は今年はほとんと実をつけていない。やはり豊作の翌年は凶作? が、別のミカンが豊作の気配だ。

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この写真だけでいくつの実がついているでしょう。木全体では、ざっと100以上は目につくが……。

今年は野菜はほとんど全滅的な収穫だが、アジサイが咲き誇り、ミョウガは豊作、弱っていたマツは息を吹き返す、と何やら変化の目立つ庭であった。

2024/08/30

ベトナム・アカシア林の伐期

昨日、地球・人間環境フォーラム主催のオンラインセミナーに参加する。これまで、あまり報告例のないベトナムの森林事情について知りたかったからなのだが、いやはや。

ベトナムの森林・林業政策と日本の木質バイオマス発電

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ベトナム中部の伐採跡地と(背景の)アカシア植林地。

以前はカナダの原生林を伐採して木質ペレットにしている問題を取り上げた。この点は、記事にもしている。ただカナダ以上に木質ペレットの輸入先であるベトナム事情を十分に押さえていなかった。これまで推測としては、同じ東南アジアのタイやマレーシアなどの事情を勘案しながら想像していたのだ。

バイオマス発電が原生林を破壊する

が、予想は裏切られた。

細かな点は、リンク先を参考にしてもらえばよいが、ベトナムで現在進んでいるのは圧倒的にアカシア植林なのだ。(ユーカリでさえあまり多いわけではない。)そして人工林から供給される木材需要に対応している。原生林も多少は伐っているが、目立って多いわけではない。森林率は47%だそうだで、森林の約3割がこうした人工林になっている。また家具製造で世界的なシェアを取り始めているが、そこで使われる木素材は、多くが輸入。日本のスギやヒノキも輸出されている。

そうか、人工林から木材を調達しているのか。それなら再生可能かな。。。。

そう思わせておいて、仰天したのは育てる期間。つまり樹齢と伐期。

なんと3年~7年だという。写真で見える伐採された木の太さは多めに見積もっても10センチない。
いくらアカシアが早生樹と言っても、7年では太くはならない。

なぜなら、需要のほとんどが木質ペレットとチップだから。チップは基本的に製紙だろう。細くてもいいわけだ。なんでも木質チップは3年生からよいという。

そして伐っては植えて、伐っては植えて……を繰り返している。これって再造林をしっかりしているのだから、立派な循環型林業。 (゚o゚;)エッ

そこで何が起きているのという問題はさておき、私が感じたのは3年伐採の場合、これは林業なのか、という根本的ですごく素人感覚の疑問だ。

農業と言っても、収穫するまで3年以上かける作物はわりとある。コンニャクイモ(球茎)もそうだし、アスパラガスも芽が出るまで3年かかるという。果樹に至ってはさらに長い。モモクリ3年カキ8年、である。

もはや農業と林業の違いがわからない。いや循環型の意味がわからない。

 

 

2024/08/29

保護司制度の原点と林業

朝日新聞に、保護司制度の原点の記事が掲載されていた。

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保護司とは、刑に服した元犯罪者の社会的立ち直りを支える役職だが、大津市で保護司の男性が、担当した元受刑者に殺害される事件が起きて注目を集めた。そもそもボランティアで、こうした重要で難しい役に就いていることにさまさまな意見が出ているのだが、その原点を探ると、明治期の静岡県の実業家に行き着いた……というのだ。その実業家とは、金原明善。

金原明善。ご存じだろうか。天竜川の治水に尽力したことで知られるが、元々は農家(と言っても豪農)であったが、全財産を注ぎ込んで治水事業に取り組んだ。その治山の一環で林業も始めた。それが現在の天竜林業につながるのだから林業家と言ってもよい。

そして、その林業は、吉野の土倉庄三郎に教えを請うたことでも知られる。庄三郎も天竜を訪れたはずだが、川上村から林業技術を教えるために人を派遣し、彼は一家を上げて移住したという。

そのほか明善は、製材業や木材輸送業、さらに銀行も興している。その点では、森づくりと木材生産にこだわって、事業を広げなかった庄三郎との違いである。それは吉野にはすでに周辺産業が育っていたこと、天竜にはなかったことが関わってくるのだが……。

その明善が、「出獄人保護」の会社をつくっていたとは。出獄後の生活や仕事の斡旋などを行っていたらしい。

庄三郎に似た活動をしていたとは聞かないが、無職の人を林業に招き入れる提言をしていたと記憶する。

そういや奈良県では、元受刑者の仕事として林業を斡旋する事業を行っている。現在どうなっているのか知らないのだが、少なくても何人かが林業に就いているはずだ。強制するわけではないが、選択肢としてはよいと思う。農業、林業など自然の中の仕事は、誘惑が多い町の仕事より心を落ち着ける効果があるだろう。

 

2024/08/28

台風の目かドングリ発芽か

近くの森の遊歩道。

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数多くのドングリが落ちていた。これはイチイガシ?道路の一面、どんぐりだらけで、つい踏んでボリボリと砕いてしまう。残念、発芽できないだろう。

台風が近づいている、先週は奈良直撃コースと言われて、このまま来たら奈良県は台風の目の中に入りそうで、楽しみにしていたのだが、だんだん遠ざかってしまった。が、また向きを変えて近畿に縦断しそうになってきた。でも台風の中心は通らなさそう。それに早くから大雨が言われているが、今のところ雨風ともにたいしたことない。ドングリを落とす程度だ。

もう少しで熟したドングリに成るところだったのに惜しい。それにドングリが生育できるところに落ちる確率は低いようで、仮に土の上に落ちても虫に食われる可能性が高いだろう。

どんぐりが成長する確率は1%以下と聞くが、我が家が台風の目に入るよりは高いか(^^;)

自然界はわりと無駄が多いようだ。発芽しないドングリは、虫やイノシシの餌になるか、腐って土に還るか。むしろ、この無駄があるから自然は循環しているのかもしれないが。

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一方で舗装されていても、しっかりひび割れに種子が落ちたのか芽吹く雑草もある。この草が花を咲かせて種子を飛ばす確率は何%だろうか。

台風が過ぎたら、秋を呼び込んでくれると思いたい。

2024/08/27

フィリピンへの合板輸出

林野庁の8月のモクレポを見ていると、日本の木材輸出先は、中国が一番なのは想像どおりだが、2番手はフィリピンだった。

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フィリピンと言えば、かつての木材輸入先。南洋材の原点だ。ラワン材というのは、フィリピン産のフタバガキ科の樹木のことだ。マレーシア産の南洋材はメランティである。

その国にねえ。

ちょっと感慨深くなり、何を輸出しているのかと思えば、なんと合板であった。かつてのラワン材はほとんど合板にしていたのに、今度は日本産の合板(スギ材製だろう)を輸出するようになっているとは。

もっともフィリピンで日本製合板の需要が高いわけではなく、なんのことはない、その合板を住宅建材用に加工して、再び日本に輸出しているのだと。日本の住宅メーカーが現地の関連工場を彼の地に建設しており、そこに輸出しているのか。なお合板だけではなく、製材も同じことをしている模様。あまり感心しない加工貿易である。ここでも製造業の流出という「森のラストベルト」の臭いがする。

一方でフィリピンも、せめて合板そのものを製造するのではなく、合板を輸入してその加工とはちょっと寂しい。日本の農林水産物の輸出先第11位だそうだが、3分の1くらいが林産物なのだった。マレーシア、インドネシアが原木輸出から合板など製品輸出に転換を成功させたのに、フィリピンは上手くいかなかったらしい。

Photo_20240827163601日本の合板輸出先

ちなみにフィリピン製の木材は、せいぜいファルカタぐらいで、天然林は底をついているし、植林も進んでいない。ファルカタって、草じゃねえのか。。。。

フィリピン林業今昔物語であった。

 

 

2024/08/26

Y!ニュース「米不足!ウッドショックから見える…」を書いた裏側

Yahoo!ニュースに「米不足!ウッドショック絡み得る第一次産業の未来」を書きました。

前回に続いて駆け込み執筆。月2本のノルマ?は達したぞ。

もともと米不足というか米騒動については、別のYahoo!記事にコメントも付けたし、書こうかなという気持ちはあったのだが、あまり水稲農業だけの記事は気が進まなかった。

そこにウッドショックを絡めたら、農林業抱き合わせの第一次産業になることに気づき、執筆することに。
ついでに漁業も加えた。私の小学生時代だったか、漁獲量世界一からペルーに抜かれたことが教科書に載っていた記憶がある。ただしペルーはカタクチイワシばかりを肥料用に獲っていたから食料にしている日本とは違う、と弁解していた。

しかし、まあ無茶な操業をしていたものである。おかげで世界中の海から多くの魚種が枯渇しかけた。その点は林業も一緒で、戦中から戦後にかけて無茶苦茶な伐り方をして日本中をはげ山にしてしまった。一次産業にとって無計画操業は、将来に禍根を残すから恐い。

ただ、そうした時代は林業も漁業も沸き立って従事者が潤ったのは事実である。儲かる仕事には参入者も押し寄せる。

写真は、わざわざ生駒の棚田まで撮りにいったのだが、人(農家)が写っている方がよいかと、ライブラリーに頼った。

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2024/08/25

違法木材を飲み込む業界はどこだ?

以前、拙ブログでも紹介した、三木楽器の違法木材使用問題、詳しい裏側を描いた記事があった。

希少木材の密輸、競合他社のチンコロ…木材不正輸入で話題になった、中古楽器業界の「呆れた秩序」

なかなか面白い裏事情を紹介している。目利きの難しさもあれば、業界内の疑心暗鬼とライバルを刺す動きもある。

楽器をつくる工房は少ないし、それぞれが職人業を競っている。希少木材を使うこともブランド化には力を貸す。実際のところ、ハカランダを使えばどれほど音色がよくなる……という理由ではなく、希少木材を使うという行為自体が重要なのだろう。そして、そのためには違法木材にも手を出すわけだ。価格は一気に跳ね上がるから。ある意味、こうした木材価値を生み出す業界ほど、違法木材を使いたがるわけだが……。

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もう一つ、違法木材を飲み込む業界がある。こちらの方が、楽器より大きいかもしれない。

それは、ツキ板業界だ。

ツキ板は、木材を厚さ数ミリ以下まで薄くして、紙のようにしたもの。それを張れば下地がなんであろうが、そのツキ板の木材に見えてしまう。
集成材であろうが、合板、いや金属であろうがコンクリートであろうが、ツキ板の木材製に見える。

そして材料とする樹種は、スギやヒノキでもあるが、もっとも多いのは広葉樹材。色や木目・杢によって高く売れるかどうかが決まってくる。

木目命、だから、調達は非常にシビアだ。逆に言えば、よい木目の原料を手に入れるためなら、トレーサビリティとか合法性を問うてはいられない。極めてグレーな木材が出回っている。

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自動車もボディをツキ板で覆えば、木製自動車になる?

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東京の某高級ホテルの室内扉。一見、無垢の板のように見えるのだが、ツキ板だった。おかげで軽い。

さて、いつか追求される日が来るだろうか。それとも、見なかったことにするかな?

 

 

2024/08/24

土壌の厚さがわかれば森林の発達がわかる?

こんなのを見つけた。

全国スケールの山地土壌深度マップの作成にはじめて成功した  

土壌の深度を計れることに驚いたが、それをマップにするなんて。

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2005年以降の「林野庁森林吸収源インベントリ情報整備事業における土壌断面データ」というのがあることも驚き。これは、国連気候変動枠組条約に基づく森林吸収量の適切な報告のため実施されている調査であり、その一環として全国の約800地点で土壌断面調査が実施された、そうである。

私が土壌が気になる理由の一つは、土壌の厚さは森林の発達に大きな影響があるから。樹木の根は、基本的に土壌内しか伸びないからである。

2015年一年間限定の「土壌ジャーナリスト」を名乗っていた私としては、興味深い(^_^) 。当時は世界土壌年だったからだが、それなりに興味を持っているのである。

こんな記事も書いている。

今年は国際土壌年。だから土壌のスゴさを知ろう! 

で、実際の論文は読んでいない、というか読めない(^^;)。難しすぎる。

 

 

2024/08/23

宅地の境界線杭探し

日本の山林地の問題は、その境界線が明確化されていないことである。

とまあ、幾度も書いてきた。実際、日本の山間部の地籍調査はあまり進んでいないわけだが……その裏返しとして、宅地や農地などは比較的地籍調査が進んでいるので境界線が明確だと言える。都会の宅地の場合、境界線が数センチずれただけで裁判になったりもする。数センチも敷地の辺の長さ全体となると1平方メートルくらいの誤差となり、それを宅地価格に換算すれば何十万円になることもある。それだけに厳密だ。

その我が家に境界線調査の依頼が来た。

なんでも我が家の裏手に当たる宅地+一軒家が売りに出されており、そのための計測なのだそうだ。我が家とは3メートル程度接しているだけなのだが、確認しなければならないという。

住宅地は新興住宅地で造成した際に地籍調査は済んでいるのだからたいしたことはないだろうと思えた。事実、別の接地隣家では、少し土をかぶった部分を掘って杭を見つけたとのことである。場所は庭の奥の角。

その調査が本日あったのだが、立ち会ったものの簡単には見つからない。場所は地籍図に載っているものの、杭が出てこないのである。

そこで掘ることになった。おそらく、造成した土地の上に庭を造るための盛土をして埋めてしまったのだろうという。しかも隣家とは高低差があって、我が家は低い方だから、余計に深くなる。

かくして土木工事に(^_^) 。

ようやく見つかったのは1メートル以上掘ってからだった。

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こんな状態に。底にわずかにコンクリート杭が見える。これでは境界線を見るのは無理。

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杭の上に塩ビパイプを置いてみた。

終わってから測量士さんと雑談で、山林土地の境界線確定が大変なことは知っていたけど、宅地も甘くないねえ、という話に。

奈良県は全国でもワーストぐらいに地籍調査が遅れている。進捗率は13%でしかない。その理由は、地主・山主が調査を嫌がるから(^^;)。だって、調査の結果土地が増えたら固定資産税が膨れ上がるし、そうでなくても隣家との土地争いにつながるから。それで旧家は調査拒否する。

私の山林も調査どうしようかなあ。ちゃんと確定させておかないと、後々困るかも。でも、面倒くさい(-_-;)

 

 

2024/08/22

ノウサギは幻の動物?

先日、NHKで特集ドラマ「ダーウィンが行く!?」があった。

「ダーウィンが来た!」は、言わずと知れた動物ドキュメンタリーの長寿番組だが、その裏側をドラマ仕立てにしたものだ。

ドラマとしての出来は……(^^;)だが、ここで気になったのは、テーマが「野生の二ホンノウサギの撮影」であること。そこではノウサギの撮影は極めて難しく、幻の動物扱いだというのだ。なるほど、極めて臆病で夜行性のウサギだけに撮影は難しいだろうなあ、と思うものの、

へ? ノウサギが幻?

という気分。多分林業関係で山に入る人は、そこそこノウサギを目撃しているだろう。

私自身は、皆伐が増えて草原が増加している今は、ノウサギは増えているに違いないと思う。もともと林業の獣害ナンバーワンがノウサギだったのだから。今ではシカに置き換わっているが、ノウサギだって今後は害を増やすに違いない。

だいたい私もノウサギは時折目にしている。糞に足跡、そして本体も。いや、私の家の前にノウサギの糞が落ちていたことだってあるのだ。生駒山には、たくさんいるに違いない。昼間でも見かけるし。

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アスファルトの上に落ちていた糞。

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生駒山中で見かけた糞。

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矢田丘陵で見かけたノウサギ。

アチコチで見ている。そんなに見つからないのかね。

ちなみに番組では、高山に登って、ようやく発見して感動の撮影!ということにしている。生駒に撮影に来なさい(^_^) 。

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今後、ノウサギがシカと並んで獣害のメインになることがありませんように。

 

2024/08/21

Y!ニュース「CO2吸収力が強いのは、原生林より人工林!」書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「CO2吸収力が強いのは、原生林より人工林!」を執筆しました。

ああ、今月は1本も書いていないな、コメントばかり付けてるな……と思って何か書こうと思い、こ難しいネタを持ってきたのだが……絶対にアクセス数伸びないよね(苦笑)。

ところで、久しぶりにYahoo!ニュースの編集画面を開いて書き出したら、何やら仕様が違う。

見た目は変わらないのに、こちらのキーボードで入力しようとすると違った反応が出るのだ。

たとえば記事の中に中見出しを入れようと思うと、全文がゴチックで巨大文字になってしまうとか、おかしなことばかり起こる。エンター押したら、最後列に飛ぶとか。書きにくいことおびただしい。何が悪いのか、何か訂正する方法があるのか、まだわからない。

ただ、Yahoo!ニュースから仕様を変えたという通知はこれまで幾度かあった。私は関係ないと無視していたのだが、もしかしてヘンな影響が出ているのではないか。やりにくくて仕方ない。

 

ちなみに本文に書かなかったけど、この記事の元ネタ研究発表は、東京大学と森林総研のホームページに掲載されている。

世界の森林の炭素吸収力は過去30年維持されてきた ―― 今後さらなる取り組みが必要:国際研究チームによる解析 ――

そこの注意書きに、こんなのがある。

クライメートスマートな森林施業
 温室効果ガスの削減へ貢献しながら、気候変動にも適応できるレジリエントな森林を目指す森林の利用方法。さらに、生物多様性など他の森林機能と調和しながら生産性の向上も持続可能的に目指します。現在欧州を中心に世界中でクライメートスマートな森林のあり方が研究されています。

クライメートスマートとは初耳だわ。気候変動に対応する林業ということ? 無理でしょ!

 

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