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森と林業と田舎の本

2020/01/28

台湾林業の夜明け……

昨夜に続いて、今夜も広島なのだが、こちらの内容は置いておいて、再び龍次郎の残した写真より。

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これは台湾らしい。そしてこれは苗床だろう。植えてあるのはスギか。

龍次郎は、1895年末に台湾に渡って、1899年に1万町歩の山林を300年間租借して、そこで林業を始める。具体的には、天然林を伐採して、それらの木(とくに楠から樟脳を採取して)を販売するとともに、跡地に植林を行った。これが台湾にとって初めての育成林業となる。つまり台湾の近代林業のスタートだ。

龍次郎は、15ヘクタールもの苗畑をつくって植える苗を育てたという。吉野のスギ、ヒノキのほかにも多くの樹種を試験したと伝えられている。その現場を示す写真となるに違いない。……写っている人物は誰かわからないが、日本人だろうか。それにしても大苗だな。こんなに大きくしてから植えるのか? 台湾ならではの実験かもしれない。

 

せっかくだから、こんな写真も。

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「北蕃人之骨棚」と書いてあるのかな。そう、ドクラじゃなく、ドクロが並んでいる。北蕃人とは、先住民のアタイヤル族だろうか。当時は、まさに首狩りがまだ行われていたし、それらの首を誇る、アニミズム的な習慣があったのだろう。
「龍次郎は蕃人の尊敬を集めていた」という記述もあるが、ときおり土倉事務所も襲われたらしい。そして何人も首を狩られた。首がなくて遺体の名前がわからなくて困った、という記録もある。

そんな世界で、林業は始まったのだ。

2020/01/27

新しい「絶望の林業」ポップ

今夜は広島。ここで味わった牡蠣とジビエとお好み焼きの話をしたいところだが、その前に!欠かせないのが途中に寄った紀伊国屋書店梅田店だ。

ここには『絶望の林業』が平積みされていたのだ。そして!ポップも新しくなっていた。

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ありがたや、ありがとうございます……あれ?山武杉?千葉の大停電、、、ええと、それは出版後でして、本書には登場しないんですが(^o^;)。

ま、いいかあ~!宣伝になれば何でも(笑)。



2020/01/26

新たな土倉庄三郎の写真

以前も紹介した土倉龍次郎の一族からお借りした写真だが、またいくつか紹介したい。

今回は、これまで私の記憶にない土倉庄三郎の写真。

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どちらも、少し歳をとってからの写真に見える。70歳前後ぐらいか。1枚目は洋室だが、写真館で撮影したものか。2枚目は、おそらく孫に囲まれている様子。普通に考えると、龍次郎の娘息子たちだろう。そして背景も、大滝ではなさそうだ。孫に会いに東京へ行ったのか。とすると、東京の龍次郎の家ということになるが……。

これまで龍次郎の東京の家に関する写真は1枚もないが、現在の目黒駅前にあったという(その後、転々としているが)。こんな縁側のある和風住宅(かなり大きそう)だったのかもしれない。

いずれにしろ、貴重な庄三郎の姿である。

 

2020/01/25

下落する木材輸出額から見えてくるもの

日本経済新聞によると、丸太輸出価格が3年2カ月ぶり安値だそうだ。

その理由は、米中貿易摩擦のによる中国の景気減速で工業製品の梱包材向けの木材(つまりスギ材など)の需要が減ったためだとしている。

この記事を読んでいて、ようやく輸出する木材の姿が浮かび上がってきた。『絶望の林業』にも書いたが、木材輸出、木材輸出が日本の林業を元気づけるみたいな言い方をしている割には、実態がわからない。白書の数字は全体の金額ベースだけで、樹種や品質、そして量の記載がない。何か隠しているな、と思わせがちなのだ。それが、日経の記事で少しわかってきた。

財務省の貿易統計によると、2019年11月の平均輸出単価は1立方メートルあたり約1万1800円。直近の高値だった5月より2500円(17%)ほど安く、16年9月以来の安値水準となった。

これを読むと、1万1800円ならまだいい方じゃないか……と思ってしまったのだが、志布志港を使う曽於地区森林組合(鹿児島県志布志市)によると、スギ・ヒノキの丸太輸出価格は19年の年末時点で1立方メートルあたり7800~8000円。好調だった19年1~5月に比べて1000~1500円安いという。

やっぱり中国輸出向けは7000円~9000円だったのだ。(圧倒的に多い中国向けがこの値段なのに、平均だと1万1800円になるからくりがわからん。引き揚げる高値の木材とはなんだ?)これはB、C材の価格だろう。山元は半分以下。輸送費を引くだけで2000~3000円ぐらいになってしまう。

12_20200125214701 志布志港の木材輸出

中国向けの丸太は細く曲がった低品質の丸太や節・枝の大きい大径木が多い。中国で丸太を加工して、家電や工業製品を運ぶ際に使う梱包材などにする。中国企業が家屋を囲うフェンス材として米国に輸出もしてきた。

これで使い道もはっきりした。完全に原材料輸出だね。それも品質問わずの安値たたき売り。ともあれ19年は丸太は前年実績を割り込みそうだという。林業の成長産業化を支えるはずだった木材輸出で、倍々に増えていると誇らしげに森林林業白書には書かれていたが、ついに中折れ。。。昨年の夏以降、輸出が伸び悩んだので、今年の白書にはなんと書くかなあ。

 

ちょっと気になるのは、同時に安い欧州材が中国に流入しているという点。なんでも18年に欧州全域で虫害が発生して、木が腐る前に伐採が進められ、さらに18年暮れには風害もあって、大量に発生した倒伏丸太が中国に輸出されたのだという。これらも安値が売り物だろう。ドイツやチェコが多いらしい。
今年以降も欧州材は中国への輸出に力を入れそうだから(20年の欧州産の対中輸出量は19年の1.5倍との見方)、いよいよ日本材が割り込む隙間は狭くなりそうだ。

やはり丸太を売っているだけなら価格競争に巻き込まれて、さらに安い木材が現れたら、あっさり乗り換えられるわけである。

 

2020/01/24

じりじりと(笑)農水省三省堂書店

霞が関の農水省地下にある書店(三省堂)の売上順位が公表されているんだが、11月分が出た。

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おお、『絶望の林業』が2位だ。8月頭に発行して4か月かけてじりじり上がってきた(感涙)。
8月は9位で、9月は6位。10月は3位。この順番なら12月は…… (⌒ー⌒)。。。。

しかし、遅いよ(笑)。世間の売れ行きが落ち着いてきた今頃になって売れているとは。
1位は、元農水事務次官の本だからだろうけど、「誰も農業を知らない」はずっと粘り腰でランクインを続けている。まあ、農水省だけに基本的に農業の本が売れるのであって、林業の本は職員数からして不利だな。

私自身は、この本を出版した後はじりじりと林業界から遠ざかる心づもりだったんだが、今のところ足を突っ込んだままになっている。不思議なもので林業関係の原稿依頼が増えた。もっとも講演依頼は激減?しているから、それはそれでバランスが取れているのかもしれない。

仕事は量ではない、質だ。生産量を増やしても純益が増えなきゃ成長したとは言えないのだ……と、自分が(林業界に向けて)書いたことを自分自身に言い聞かせよう。

 

 

 

2020/01/23

ミツバチ科学研究会で特別講演

告知すると言って、すっかり忘れていた。来月15日に玉川大学で講演することを。

正確には、玉川大学ミツバチ科学研究センターの主催するミツバチ科学研究会で特別講演者として呼ばれている。

「特別講演」とつけば、何か立派な意味を感じるが、これは「研究者や養蜂家の集まりで、部外者の声も聞いてみようや」という意味と思って間違いない。ラインナップを見ても、私のほかは研究者ばっかり。

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もちろん私も分をわきまえているので、研究者や養蜂家相手に「ミツバチの特徴はこれこれで」とか「養蜂とはなんぞや」とかいう話をするわけではない。森の話をするのである。
詳しい内容は、研究会のリンク先を読んでほしい。講演会の意図と、会場への地図もついている。私もこの地図を見ながら訪ねねばならない。

そろそろ資料づくりもしないと。まだ内容が固まっていないのだが、時間がない(泣)。

なお翌日の16日は江戸川区の「平井の本棚」でトークショー。こちらは、何を話すことになるんだろうか。。。

 

2020/01/22

狙い目は木製植木鉢!

ショッピングモールを歩くとき、いろいろ店を覗き見するのだが、つい私の目が向くのは木製品。

以前は店舗の内装やショーケースなどだったが、最近は販売している木製品そのものも気になるようになった。

で、今回覗いたのは、グリーンインテリアのお店。観葉植物とか、多肉植物などがオシャレに並んでいたが、その中で興味を引いたのは植木鉢だ。

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こ、これは! イカスじゃないか(古)。小径木丸太をこのように使うか。大木(ヤシの幹ぽい)にこんな彫刻するか。そして凸凹の木をこんな風に磨き上げるか。

自慢じゃないが、私は木工で今後の売れ筋として園芸用品に目をつけていた。ホームセンターなどでも、なんのことはない、ちょっとした庭に設えるカワイイ木の品をよく見かけていたからだ。そして価格も高い。庭園や公園などで植物が主役の舞台には、やはり木製品が似合うのだ。こんなところに金属や合成樹脂では安物っぽくなる。

しかし、ずばり植木鉢というのは穴だった。どうしても植木鉢は陶器をイメージしていた。そこに、こんな具合にデザインされたのを見たら、ほれてしまいそうだ。何を植えるかではなく、この植木鉢に似合う植物を探してしまいそう。。。。値段も、作家の彫刻作品ではないのだから、べらぼうな価格ではない(けど、高い)。技術は、さほど難しくないだろう。

趣味の園芸では、金に糸目をつけない客がいるぞ。

こういうデザイン感覚のある木工家がもっと出てきてほしい。

 

2020/01/21

Y!ニュース「森林環境税を巡る……」とBLOGOS「林業の実態」

Yahoo!ニュースに「森林環境税を巡る借入金1300億円が棒引きになる不思議」を書きました。

今年1発目です。このままだと1月は何もアップしなくなってしまうなあ、と思いながらの記事(^^;)。

ところが、同日にBLOGOSには「スマート林業」が掲げられるも厳しい林業の実態 新たな希望を模索する動きも がアップされました。こちらは、原稿としては結構前に書いて編集部に送っていたものです。BLOGOSは、通常ブログの転載という形を取っていたものの、これは依頼記事。テーマもあちらの要望に合わせています。「絶望の林業」を描きつつ、希望も書くというアクロバティックな(笑)。

ちなみに昨日アップされたnewspicks  新国立競技場の「不都合な真実」も私の執筆です。こちらは会員制を取っているので、契約しないとほとんど読めませんが。こちらは1週間5本の林業関連記事が掲載されますが、そのうち5本目(24日)も私が書く予定です、というか今書いています(^^;)。ちなみに本日の「速水林業の速水氏のインタビュー」も私がやりましたが、書いたのは編集部です。

まあ、重なるときは重なります。

なんだかんだで1月は新規の仕事で忙しい。怠けたい……。

 

2020/01/20

写真発掘・明治時代の吉野林業か?

今年の初めに、土倉龍次郎の子孫から提供された台湾の玉山、阿里山の写真を紹介した。

実は、ほかにも借りた資料を現在複写中。仕事の合間に取り組んでいるのだが、これが手間もかかるし、結構気をつかう。結果的に遅々として進まず、悩ましい。そろそろ終わらせて返却しなければならないのだが……。

とにかく古い写真が多く、色褪せているし、一部の裏書きのあるもの以外は、どこの何を撮ったものかわからない。なんとか写っているものから類推しようとするのだが……。だが、よくよく見れば、台湾の原住民、いわゆる高砂族の写真が多い。明治30年代の写真だから、結構貴重なはず。多くは和装しているのも特徴的。ただ家は、草葺の伝統家屋が多く写る。

そうした写真群の中に、ちょっと台湾ぽくない写真もあった。

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河に筏である。これは、吉野の川上村大滝ではないか? つまり、かつて土倉屋敷のあった正面の河原で筏場である。ここで上流から流してきた丸太や筏を組み換えて下流に流していたらしい。
上の写真は、大滝の屈曲部だろう。多くの筏があるが水量がなく流せない状態。これは、堰で止めているのだろうか。当時は、今より随分深かったと聞く。現在は伊勢湾台風などで土砂が積もった状態だそうである。
下の写真は、人(女性?)が細い丸太で何かをしている。筏を組み立てているようには見えない。(奥の方に筏らしき太い丸太が見える。)むしろ筏に積んできた(積んでいく?)細い丸太をいじっているように見えるが……。

とにかくわからんが、明治時代の林業の作業を示す写真として貴重なのではあるまいか。

それにしても……セピア色の薄くなった写真を修復する手だてはないだろうか。フォトショップのようなソフトを使えばできるのか。しかし私に使いこなせるかどうかも含めて悩む。きれいに修復したら、いろいろ新しいことがわかると思うのだが。

 

 

2020/01/19

木材流通をブロックチェーンで

先日、速水林業の速水さんにお会いして、いろいろ話す中で、「木材流通にブロックチェーンを使えないかと考えている」という構想が出た。

ブロックチェーンとは、暗号資産、いわゆる仮想通貨で使われる技術で、私なりの理解で極めて大雑把に言えば、情報の流れの中の各ステージごとにブロックと呼ぶデータの単位をつくって連結した上でデータを保管する。理論上、このデータは書き換えはできないし、誰もが目にできるので監視されていることになる。すると中央統制なしで、信用を得られるのだ。これを日本語では「分散型台帳」という。

これを木材のようなブツの流通に取り入れたらどうなるか。トレーサビリティが確保でき、おそらく違法適法かの判断もできるようになるはず。面白い。そもそも通貨とは信用の元に交換可能なわけだが、その信用を作るのは基本、中央政府である。それに対してブロックチェーンは分散型ネットワークとして、中央の管理者がいなくても誰でも情報にアクセスでき監視することで信用を担保する。

これ、理論や技術的なことは専門家に任せるとして、政府や何か公益法人的な管理団体をつくって統制させるのではなく、誰もが見られる情報にすることで、誰もおかしなことができなくなるという仕組みである。

……と言っても、電脳空間の理論を木材という物の流通に? と具体的なテクニカルの面で想像しにくかった。これは仮想通貨のような電子情報で成り立つものならわかるが、実際に形あるブツでできるのか。

ところが、すでに行われているらしい。仮想通貨ではなく、実際のブツで。それも水産物である。

三菱ケミカルとNTTデータが、ブロックチェーンによる魚の輸出の実証実験を昨年11月に手がけた。三重県や鹿児島県の養殖場で水揚げされたマダイやブリを中国の大連や北京向けに空輸したのだ。そこでブロックチェーン技術を応用したという。魚を詰めた発泡スチロールの函に貼られたQRコードを基に、いつどこを経由して届けられたのかを書き込む。すると現地の業者や客も確認できる仕組みを作ったのだ。

魚でできたのなら木材だって(^^;)。木材で応用すると、生えていた山や伐採業者、日時、そして流通工程までQRリーダーさえあれば、誰でも読み取れる。これで産地はおろか、ちゃんと伐採届を出しているのかまで監視して盗伐をなくすというのばどうだろう。

 

なぜ魚の輸出でこれが採用されたかというと、(トレーサビリティさえしっかりしているのなら)「倍の高値でも買いたい!」との声が現地にあるからだそう。中国は日本産水産物を欲しいのだけど、本当に日本産かどうか信用が担保されていないのだろう。「高値で買いたい!」中国人期待の日本産水産物のカラクリ

残念ながら国産材を、それほど欲しがっている人がいるようには思えず、高値は期待できない。しかし流通履歴を全部公開し、それぞれの業者が取っているマージンまで読み取れるようにしたら、林業家-木材業者間の疑心暗鬼は解消するのではないか。プラットフォームを整備することで、生産者への還元額も適正化できるかもしれない。

以前にも立木にICチップを付けて、その後伐採搬出、製材まで情報を書き足していく発想は以前にもあったが、信用の担保が弱かった。もしブロックチェーン技術で応用したら、可能性が広がるだろう。

 

2020/01/18

マツ枯れナラ枯れ風倒木と巨木

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こんな写真を見せると、どこの林業地かと思うが、実は生駒山。結構、皆伐?が進んでいる。と言っても、おそらく木材調達が目的ではなく、枯損木を伐ったのだろう。実は山全体にマツ枯れとナラ枯れと、スギも強風で折れたものが増えた。写真の場所は大阪府立公園の敷地とその周辺なので、さすがに放置できないと片づけているのだろう。

ただ、長年観察しながら歩いていると、マツ枯れもナラ枯れも、風倒木も、みんな自然の摂理に見えてくる。たしかに荒々しいし、見た目も悪い。しかし、枯れたり樹冠が折れたら、そこにギャップができて光が地表に射し込んでいる。すると草も生える。自然界ではこれも世代交代、循環かもしれない。つまり森の新陳代謝。見た目の悪いのは人間の目であって、100年もしたら落ち着くだろう。

外来のマツノザイセンチュウによるマツ枯れも、在来ナラ菌によるナラ枯れも、植林したスギも一定比率で枯損するのは自然界では計算付く?なのかもしれない。それに人が手を貸して、枯れた木を除いたり、皆伐をしてるのかも。

さて、こうして森を見つつ道を歩いていると、なぜか歩いていると道が消える。(違)
しょうがないので、木々をかき分けて進むことになる。ただ池に先を阻まれると、さすがに先に進めない(何百メートルもある巨大貯水池)。悔しいながらも後戻りを強いられる。

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で、こんな大木にも出会う。これ、直径というか幅が1メートル超えている。おそらく合体木だろうが。
近年は、ナラ枯れで大木が次々と枯れているから、もはやコナラの大木は珍しくなってきた。
この木がカシナガにもやられず枯れずに済んでよかった。そして伐られずに済んでよかった。

新陳代謝の途中にも、やはり一部の大木が残る意味はあるだろう。

 

2020/01/17

某所某組織のゴタゴタとラーメンの味

今日は、朝から某県某所某山村地域に出かけていた。

そこで某組織の人たちと会ったのだが、いや、なんかヘンな感じ。というのも、書き入れ時の春~夏を休んでいて、それでいてその地元担当事務局と、全国ネットワーク担当のメンバーが分裂していて、それそれ別の場所で別のことをしている。そのうえ今度首長が変わる予定なので、それが決まるまで動けないという……。しかもかたや役所の出向であり、かたや民間会社からの出向であり、3月には引き揚げるらしくて……。

実は同行者(全国ネットワーク組織の人)がいたのだが、そちらにもなんだか揉め事の様子が伝わっているらしい。夏に休業していたのは、そのせいだろうか。でもって、今後どんな方針で運営していくのか全然決められなくて先が読めなくて、あああああ、 どうする?

複雑。場所も組織名も書けないのがもどかしい(^^;)。

でも、こーゆーことは、よくあることなのだ。熱心な首長や担当者が立ち上げた事業が、代替わりしたり転属になって次に納まった人が全然内容を知らない、やる気もないとかで、事業が立ち行かなくなるケース。さらに仲違いもよくあること。担当者同士が角突き合わせて、結局事業が止まってしまう。

もともと利益を生むとは思えない事業なのだが、それゆえ熱心になれずに宙ぶらりんなのかもしれん。

地方の悩みと言えば、過疎の進行とか少子高齢化とか広域分散化とかいろいろあるだろうが、実は根っこに人間関係のもつれが強くある。それも人材不足という以前の感情的で濃密な人間関係が生み出す障壁。

困りましたね。(´_`)。。。

 

ちなみに、お昼は秘境のラーメン屋に行きました。まさか、こんな未知の奥にお店が? と思わせるラーメン屋。これ、10年以上前に発見して、大いに通っていたのだが、やがて口コミでじわじわ人気が高まり入店できないほどの行列ができていた。が、ある時に店を閉じた。どうやら病気になったらしい。老夫婦でやっていたからね。
が、近年復活したというので久しぶりに訪れたのだ。今はオヤジ一人でやっていた。。。でも昼前なのに、客が次々と来ている。今はネットの情報とSNSで拡散されるから、遠方からの客が多いようだ。

で、ラーメン。見た目は変わらないが、ちと味が変わったかな……。パンチがなくなってユルイ味。時とともに味も変わる。

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某所某組織のゴタゴタとラーメンの味

今日は、朝から某県某所某山村地域に出かけていた。

そこで某組織の人たちと会ったのだが、いや、なんかヘンな感じ。というのも、書き入れ時の春~夏を休んでいて、それでいてその地元担当事務局と、全国ネットワーク担当のメンバーが分裂していて、それそれ別の場所で別のことをしている。そのうえ今度首長が変わる予定なので、それが決まるまで動けないという……。しかもかたや役所の出向であり、かたや民間会社からの出向であり、3月には引き揚げるらしくて……。

実は同行者(全国ネットワーク組織の人)がいたのだが、そちらにもなんだか揉め事の様子が伝わっているらしい。夏に休業していたのは、そのせいだろうか。でもって、今後どんな方針で運営していくのか全然決められなくて先が読めなくて、あああああ、 どうする?

複雑。場所も組織名も書けないのがもどかしい(^^;)。

でも、こーゆーことは、よくあることなのだ。熱心な首長や担当者が立ち上げた事業が、代替わりしたり転属になって次に収まった人が全然内容を知らない、やる気もないとかで、事業が立ち行かなくなるケース。さらに仲違いもよくあること。担当者同士が角突き合わせて、結局事業が止まってしまう。

もともと利益を生むとは思えない事業なのだが、それゆえ熱心になれずに宙ぶらりんなのかもしれん。

地方の悩みと言えば、過疎の進行とか少子高齢化とか広域分散化とかいろいろあるだろうが、実は根っこに人間関係のもつれが強くある。それも人材不足という以前の感情的で濃密な人間関係が生み出す障壁。

困りましたね。(´_`)。。。

 

ちなみに、お昼は秘境のラーメン屋に行きました。これ、10年以上前に発見して、大いに通っていたのだが、やがて口コミでじわじわ人気が高まり入店できないほどの行列がでいた。が、ある時に店を閉じた。どうやら病気になったらしい。老夫婦でやっていたからね。
が、近年復活したというので久しぶりに訪れたのだ。今はオヤジ一人でやっていた。。。でも昼前なのに、客が次々と来ている。今はネットの情報とSNSで拡散されるから、遠方からの客が多いようだ。

で、ラーメン。見た目は変わらないが、ちと味が変わったかな……。パンチがなくなってユルイ味。時とともに味も変わる。

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2020/01/16

「産業補助金は禁止」に合意なんだが……

ふと目に止まった記事。

日米欧が合意……産業補助金の禁止拡大をめざす 

新聞にも載っている。

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大雑把にまとめると、日本と米国、EUは、産業補助金を巡る世界貿易機関(WTO)規制の強化を求めていくというものだ。これは中国を意識した圧力との見方だが、ちょっと内容が気になる。

日米欧が無条件で禁止する補助金の対象として、4つあるという。

「際限のない保証」
「信頼できる再建計画のない破産またはその危機にある企業に対する補助金」
「過剰能力の分野または産業における独立の民間資本から長期の資金または投資を調達することができない企業に対する補助金」
「一定の債務の直接的な免除」

ある意味、当たり前の内容だ。産業は自律的に営まれるべきであって、政府が補助金の形で資金を注入すると、大きな齟齬が生まれる。中国はこれをやっているというのだが……。

字面を追いかけると、これは林業にぴったり当てはまらない? ずっと赤字なのに際限なく出し続けているし、破産状態の森林組合もあるし、どこも融資しない事業に融資どころか返済の必要ない助成をするし、債務の免除だって……。

ちょうど、こんな新聞記事もあった。

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今の政治は、タガが外れた底抜けのバラマキで、ルール無視の無責任体制なんだそうだ。そして「世も末です」。

これは、林業・木材業界のバブルだから、そのうち弾けるわなあ。

 

2020/01/15

本屋でトークショー

ちょうど1か月前なので、告知しておきます。

なんと、本屋でトークショーをすることになりました。こーゆーのは初めて。

東京都江戸川区の「平井の本棚」という、一風変わった書店が舞台。詳しくはリンク先へ。
しかし、講演でもパネルディスカッションでもなく、トークショーというのはナンなんだろう。多分、司会がいるのだろうけど。

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森はワンダーランドではなかった?『絶望の林業』に至ったワケ

【日 時】2020年2月16日(日)16:00~17:30 
【場 所】平井の本棚 2階イベントスペース
【話し手】田中淳夫/森林ジャーナリスト
    ・森オタクになるまで
    ・『森は怪しいワンダーランド』のドキドキ
      ・怒り・問題提起はどこにつながるのか、どこから手をつけるとよいのか
      ・林業だけの問題なのか。絶望の先の光明は?
【参加費】 1000円(税込)      
【お問い合わせ】hirai.shelf.net@gmail.com
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平井の本棚フェア「本棚は森、積読は観葉植物?」
著者トーク「森はワンダーランドではなかった?『絶望の林業』に至ったワケ」

「紙の本、もとをたどれば木や森にたどり着く?そうすると、本棚は森だね!」というおしゃべりをしていたら、瓢箪から駒。森林ジャーナリストの田中淳夫さんが、奈良からお越しになり、近著『絶望の林業』について、トークをしてくれることになりました。
森オタクとして『森は怪しいワンダーランド』という楽しい本の著者でもある田中さんが、なぜ林業に絶望し、怒りを覚え、問題提起するに至ったか、その背景を伺います。

▽ゲスト紹介
田中淳夫(タナカ・アツオ)
1959年大阪生まれ。静岡大学探検部を卒業後、出版社、新聞社等を経て、フリーの森林ジャーナリストに。森と人の関係をテーマに執筆活動を続けている。主な著作に『森は怪しいワンダーランド』(新泉社)、『森林異変』『森と日本人の1500年』(平凡社新書)、『鹿と日本人―野生との共生1000年の知恵』『樹木葬という選択』(築地書館)、『ゴルフ場に自然はあるか? つくられた「里山」の真実』(ごきげんビジネス出版・電子書籍)ほか多数。(新泉社 著者紹介より)
森林ジャーナリストの「思いつき」ブログ:http://ikoma.cocolog-nifty.com/
Forest Jurnal連載コラム:https://forest-journal.jp/market/21890/

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まったく、何がどうなるのか予測不能というか、多分何も決まっていないんだと思う(笑)。
でも、参加者が少なかったら寂しいので、お近くの方は、賑やかしに来てください。

 

なお、前日はミツバチ科学研究会で講演をするのですが、こちらも発表できるようになったら、ご案内します。

2020/01/14

イギリスの森の価値指標はシカだった?

今、イギリスの森の歴史の本を読んでいる。

イギリスと言えば、森のイメージはあまりない。私は、若いころにイギリスの森林率が3%だとか知って、なんとまあ少ないことよ、と呆れたことがある。その後、森づくりが進んだが、おそらく今でも10%程度だろう。だから林業なんて発達するわけがない……と思ってしまう。

だが、そうでもないようだ。歴史的には大いに森が意味を持っていた。思えばロビンフッドから始まり、クマのプーさん、ピーターラビット、とイギリスの物語には森がつきものである。それに世界に覇を唱えた大艦隊を作れたのは、豊富なオークの森があったからだ。植林の歴史も意外と古い。1660年ごろから急速に広がったそうだ。日本の吉野の植林が1500年ごろとしているが、実際は1600年に入ってから広まったから、そんなにずれていない。しかも「植林は紳士の義務」とされたという。

私が面白いと感じたのは、「フォレスト」は王侯貴族の鹿狩り用禁猟区のことであったということ。日本的には御料林。シカが減ってくると、キツネ狩りやウサギ狩りに移っていくが、これらの話を抜きにイギリスの森は語れない(らしい。)キツネなどは輸入して放して狩りをしたというのだが、こうした動物が森の価値に結びついていたらしい。

そういえばフランスの森林史を読んだ際に、フランスでは森の価値をそこで採れる蜂蜜と飼えるブタの数で計ったとあった気がする。(いい加減だけど。)ドイツも養蜂官という役職があったと読んだ気がする。(いい加減だけど。)
どこまで正しいのかわからないが、森の価値を木材でなく、シカやキツネやブタやプーさんやミツバチで計るという発想は面白い。ほかにも鳥や採れる毛皮、ドングリ収穫量などもあったらしい。
今の日本には、木材しか森の物差しがないことが、問題なのではないか。木材は樹木そのもので、森林の物理的構成要素そのものだ。収穫したら森がなくなるのである。それよりも蜂蜜の採れる量だったら、もっとミツバチを増やして、花の咲く草木を増やそうという方向に行くではないか。

これは未来の森林評価方法として考えられないだろうか。現代なら何が指標になるか考えてもよい。二酸化炭素吸収量も悪くはないが、いっそ森を訪れる人の数なんてのもアリかもしれない。美しさとか生物多様性を指標化してもよい。

なおイギリスでは、自然景観としての森は「ウッドランド」を使う。ほかにも自然の森としては「シルヴァ」という言葉もあるそうだ。またドイツ語の「フォルスト」は、人工林であり、自然林は「ヴァルト」になる。
日本語でも、もっと森を意味別にいろいろ分けた言葉を考えてもいいじゃないかなあ。

 

 

2020/01/13

静岡新聞に『絶望の林業』

年を越して一息着いたかな……と思っていた『絶望の林業』。

なんと、発行から5か月以上経って静岡新聞に書評が出た。

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静岡の友人に送っていただいた。助かるなあ。こういう地方紙の場合、社が送ってくれるか知らせてくれないとわからないからなあ。もしかして、私も版元も知らないまま紹介してくださった新聞や雑誌はあるんじゃないか。
しかも記事は、共同通信の配信とかではなく、書き下ろし? ともあれ有り難い。

実際、昨日はAmazonの順位が急に上がって、一時期はノンフィクション300位台までもどしていた。(また落ちたけど……。)

ちなみにブログのコメント欄に「12日の日本農業新聞の書評欄の右上角」にも紹介されていると知らせてくださった方がいる。北海学園大の濱田武士さんが書いているとか。
こちらは、まだ読めてないのだが、誰か農業新聞取っていないかな。。。版元に届けてくだされたら嬉しいのだが。
 

ともあれ発行後、これほと間を空けて取り上げてくれたことに感謝。そして改めて「世間には、林業に興味を持つ人が結構いるんだな」と再認識している。これって、ものすごく有利なことなんだが……そのことに当事者は気づいていないのではないかな。

ちなみに、読者からもメールが来る。本日来たのは、間違っている部分を指摘してくださっている(^^;)。
ちゃんと確認して、誤りと判断したら、訂正したい。訂正するためには、また版を重ねねばならない。めざせ、6版!

 

2020/01/12

新たな土倉家文書発見?

土倉家文書。奈良県川上村の山林王と言われた土倉家にある文書のことだが、それを所蔵していた土倉邸は伊勢湾台風で流れされた。その解体の際に見つかったのが、隠し部屋の長持ちに残されたもの。それは紆余曲折を経て、天理図書館に納められた。

というわけで、現在は、大半の土倉家文書を見たければ天理図書館に行かねばならなCい。しかし、原本の閲覧を申し込むと約2週間もかかるのだ……。

だが、ひょんなことから某所にある土倉家の書類を目にした。書き手の多くは土倉庄右衛門と、土倉庄三郎。内容は十分に読めないが、山林売買に関わる書類のようだ。古いものは享保年間のものだ。

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これ、ちゃんと読める人はいないか。ほかにも「吉野の伐木方法」や「造林方法」を記した巻物もあった。こちらの執筆者は誰かわからないのだが、土倉家の可能性も残る。そして、なぜこれらが、流出したのかは不明。

これらを調査したいのだが、まず古文書を読める人がいないとどうにもならない。誰か、我と思わんものは名乗りを上げてくれ。

2020/01/11

マンガで語る民法改正……と森のしくみ

たまたま手にしたマンガ冊子「桃太郎と学ぶ民法(債権法)改正のルール」。

鬼退治から返ってきた桃太郎を襲う法律トラブル!さあ、新しい民法はいかなる判断をするか。桃太郎危機一髪!? 鬼ケ島の宝を持ち帰った行為は不法行為なのか?通販の約款に書かれてあった小さな文字の妥当性は?? 保証人になると、どんな債権も負わされるのか???

なんて内容。ようするに、マンガで法律を学ぶものなんだが、実は今春の民法改正は100年に一回と言われるほど大きな変革が行われる。それを伝えるものだ。とくに約款や賃貸借、消滅時効、そして保証人の保護に関する改正は、民法始まって以来の大改革!!……かどうかは知らないけれど、注目に値するものだ。

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なかなか、萌える(笑)。桃太郎の鬼退治後日談という設定もウケル。ネットでも話題になっているようだ。読みたければ冊子がなくても、法務省のホームページに行くとダウンロードができる。

 

それで思い出した。林野庁でもマンガは花盛りなのだ。「林政始まって以来の大転換」といううたい文句も似ているが……。

「マンガで知ろう森林(森の働き)森林づくり」なんてページもある。

ちょいと拝借すると、こんな感じ。

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マンガで解説……なんてのは、今更のようでもあるが、お役所仕事的には新しいのか?

内容も、ん?森林土壌が水を溜める???とかツッコミたいところもあるのだが、それは水文学者に任せよう。

しかし、「おじいちゃんが小さい頃は森なんてほとんどなくて丸裸でさ」というセリフがあるのだが、現在10歳くらいの子供のおじいちゃんというのは何歳ぐらいだろう? そのおじいちゃんが子供の頃とは何年前だろう。大目に見ても70歳ぐらいで60年前ぐらい?
つまり1960年代か。その頃なら、もうかなりの山は植林と放置(薪炭の採取中止)で、緑がもどってきた時代だと思うのだが。そりゃ地域差もあるだろうが。いや80歳代なのかもしれないなあ。

ともあれ、マンガの流行る霞が関界隈なのであった。

 

 

 

2020/01/10

「紋様割箸」は使い捨てられるか?

所用があって、吉野高校を訪問したのだが、その玄関を入ったところにあったのが、巨大な根株輪切りであった。

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さすが、吉野林業高校の伝統を引き継いでいる(現在は森林科学科)だけある。

が、私が目を止めたのは、その脇の壁に掛けられていた「紋様割箸」だ。

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これは、吉野が割箸の産地であることを捉えて、何か割箸の新製品を、ということで企画されたものらしい。
ちょうど高校にはレーザー加工機があったので、割箸に美しい紋様を彫ったのである。……ただ驚いたのは、この企画は吉野町と電通とのコラボだということ。紋様も、電通の提供だとか。紋様だって著作権があるので、簡単に貸し出せるものではないのだが……いやはや、なかなかの人脈である。産官学協同プロジェクトらしい。

調べてみると,紋様割箸は、2015年のグッドデザイン賞を受賞していた。
購入できる店は、少ないながらも各地にあるようだ。

なかなか奥が深いのだが、しかし、こんなに美しく彫られた割箸を使ったら、1回ごとの使い捨てはできないだろうなあ。もったいない(笑)。これでは割箸需要は増えないよ~。

 

 

2020/01/09

ネコロジー序説

たまたま訪れた吉野の世尊寺こと、比曽寺跡。6世紀に建てられたという日本でも最古級のお寺である。かつては行幸も相次ぎ繁栄した大寺だったが、その後没落し、豊臣秀吉には三重塔を奪われたりした。江戸時代に世尊寺と名を変えて存続しているのだが……。

その太子堂の縁側に、猫が……。

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いやいや、騙されてはイカン。この猫はフィギアではないか。しかし、なかなか似合う。お寺に猫は相性がいいのか。ここにこのポーズで置いた住職のセンスはなかなかいいぞ。猫(模型だけど)がいるだけで、一気に寺の雰囲気が変わるではないか。これは、猫の何が人の心に触れるのか。

実は、小松左京の遺作集というか、アンソロジーを読んでいた。

1_20200109220001小松左京の猫理想郷」。

ようは小松左京のエッセイや小説で、猫に関わる作品を集めたものなのだが……これは意外や?名作であった。
多くは飼い猫とのやり取りを描いているのだが(ベジタリアン猫とか、凶暴猫とか、巣作り猫とか……)、単にそれに留まらない考察が深い。深すぎる。今から40年50年も前に書かれたものなのに、現代科学でも考えさせられる切り口なのだ。「味」という点からの進化論。「愛する能力」。人間のファッション好きから昆虫の変態や「変身願望」。猫の巣作りから生物全般の巣作りへと考察した「ホーム・スイート・バイオホーム」。猫の凶暴性からの「個性」の考察。当時の生物学の知識が満載なのだ。これが40年前の知識か?と思わせるほどの博覧強記。昆虫から動物、微生物までの行動学から読み解くのだ。いやホルモン物質の生体反応から素粒子論まで登場する。

そして、これらが全部小松左京の飼い猫の話から始まるという……(^^;)。

とてつもなく刺激を受ける。

そして、今度はテレビ(Eテレ)で「又吉直樹のヘウレーカ!」で「猫とのつきあい方」を取り上げていた。これまた刺激的。又吉は猫が苦手らしいのだが、一方で本人が猫型性格。
そこで説かれるのは、「猫は人が捕らえて仕込んだ家畜ではない」こと。むしろ猫の方から人間社会に寄ってきたらしいのだ(人間の集落には獲物のネズミが多いから)。それゆえ、人とはつかず離れずの関係性を築く。逆に人が猫になついている。

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ちなみに小松左京は、猫好きではあるが、抱いたりする猫可愛がりはしなかったそうだ。ただ、家に猫がいて、それを眺めているだけで満足していたという指摘が載っていた。なるほど、だから身近な猫も一見突き放した考察ができたのか。猫好きと称する人たちの中には、ほとんど猫に飼われている者も多くて、冷静に猫の存在を考察できない猫依存症バカ(私説)ばかり。世の中には猫(と犬)になると、冷静に動物論を話せない連中が多い。だが、小松左京はその点が違ったのである。

私も、人間と動物の関係には関心を持ち続けている。とくに、なぜ家畜が生まれたのか、家畜化は可能だったのか……に興味がある。またペットの存在は心理学的にはどんな位置づけになるか。今後は森林ジャーナリストは休業して、人と動物ジャーナリストになろうかとも思う( ̄^ ̄)。ちなみに家畜とは、森林にたとえれば人工林のようなものだし、ペットは雑木林か公園緑地か。共通点はあるのだ。

よし、私もネコロジーを打ち立てるか……と思ったが、今日はこの辺で序説にして終わろう。

2020/01/08

平城の世の巨木の森を夢見る

近頃、平城宮跡の国営公園によく行く。

何しろだだっぴろい。130ヘクタールだったっけ。しかも平坦。坂道しかない生駒の街からすると、その平坦さが憎らしいほど(笑)。一周走っても、息が乱れない。しかもススキ原の中を走っていると遺跡が現れたりと、見所も多い。

今回目にしたのは、こんな井戸だった。

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これは醸造所(造酒司)の井戸なんだそうだ。ここでくみ上げた水で、お酒を作っていたらしい。平城宮跡には、こんな井戸がいくつか発見されている。周りに石を敷きつめてあるが、井戸は直径140センチ級のスギの大木をくり抜いたもの。板を張り合わせたのではなく、くり抜いたという点が凄い。この遺跡はレプリカだろうが、なかなかの大木を使ったことが想像できる。
酒のため? 井戸を掘ることになって、巨木を伐採したのか? 罪深い酒飲み(笑)。

思えば、平城の時代(平成じゃないよ。土が付いている)は、まだ直径1メートル、2メートル級の大木がゴロゴロしていたらしい。多分3メートルの木だってあっただろう。それが森を作っていたのだ。それを各地で伐りだした記録が残る。大仏と大仏殿も、そうした木で作り出したのだろう。

残念ながら、そんな景色を今の日本で見ることは叶わない。よく似たところは、アメリカのセコイアの森か、台湾の阿里山などの巨木林だろう。
そんな森に入ったら、きっと精神を揺さぶられる気がする。現在の日本人が森を見て、まったく違う感覚を覚えてたのではないか。森という言葉は同じでも、存在が違う。たとえて見れば、「もののけ姫」のししがみ様の森と、それが破壊された跡に再生する雑木林の差かもしれない。

……ま、そんな妄想に耽ったのでした(^^;)。

 

2020/01/07

「林業イノベーション現場実装推進プログラム 」を読む

林野庁が、昨年末に公表した「林業イノベーション現場実装推進プログラム」に目を通してみた。

正直、あんまり惹きつけられないのだが……せっかくだから1ページ目だけ引用しておく。

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まあ、いろいろ「イノベーション」ネタをてんこ盛りしてあるわ(^^;)。これまで登場したネタを全部盛りにしたのだろうなあ。まあ、それらの一つ一つに文句をつけるつもりはない。これはあくまで「現場実装プログラム」だ。むしろ1ページ目にあるとおり、「低い労働生産性」「高い労働災害率」「人出・費用を要する造林」を問題点としているのならよし。

もっとも、これを林業現場の人が見て喜ぶか。期待を持つだろうか。こんな技術がある、それを何年までに実用化する、と記されても、全然心がときめかない。

あえてプログラムを公表するという点からすると、まず林業家の収入を今の何倍にする、事故をこんなに減らす、こんなに作業を楽にする、という夢か目標でも掲げてほしかった。
そのための手段として、どのコストを削り、林産物をいかに高く売るか、と「イノベーション」を見せてくれたらもっと読む意欲が湧くのに。そこにICTを利用してスマート化すると、これだけコストが下げられる、市場の需給に合わせたら高く売れるだろう、という説明を入れると少しはときめいて読みやすくなるのに。

もちろん新技術も、それが求められている理由を示す。改質リグニンやセルロースナノファイバーの潜在的需要はこれだけあって、それが林業界にどさだけ影響を与えるかを語ってほしかった。このままてはなんか他人事である。改質リグニンが作れる?それがどうした、と林業家は思うだけだろう。

それがプレゼンというもんです。そうした広報技術を学ぶべきだね。(あれ?プレゼンじゃないの? 単に作っただけで他者に伝えなくてもいいの?)

 

ただ私は、その前の「日本林業の未来図」を示してほしいと思う。将来、日本の山をどんな森で覆うのか。どんな木質製品身の回りに増えるのか……そんな夢を見たいと思うのだが。

 

 

2020/01/06

3×3ラボって?

東京駅からほど近い、大手町の追手門タワー。その1階。こんな一等地の一角に、「3×3Lab Future」なるコーナーがあった。

会員制だが、入って簡単にビジターになれる。

なんか、不思議な空間。何人かが緑の中で会議をしているかと思えば、一人テーブルでPCに向かう姿もあって、さらに講義室もある。キッチン?もある。スタジオにもなるそうだ。

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シェアオフィス?と思わせるが、そうではないらしい。とにかく全体に木質が目立つ。さらに緑が目立つ。サステナビリティをテーマとして、会社でも自宅でもない、第3の場所「サードプレイス」を演出しているらしい。

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だからカフェかバーになったり、お茶室?もある(^^;)。

まあ、そのところの意図などはリンク先で確かめてもらうとして、一等地の中でも一等地にこんな空間を作るとは贅沢なこと。
実は、ここは三菱地所の持ち物であるから、好きに使えるのだ。

私も、会員になって東京に行ったらここで仕事をする……なんて夢みてしまったが、会費がなあ。。。。

 

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※講義室の扉は、何種類もの木を張り合わせてあった。樹種を読み取れたら凄い。

 

2020/01/05

やっぱり、ニイタカヤマノボレ

年はじめに、少しは「希望」のある話題を。

「ニイタカヤマノボレ1208」をご存じだろうか。1941年12月2日。日本海軍連合艦隊司令部が発した真珠湾攻撃の暗号電だ。12月8日に攻撃開始という意味。かくして太平洋戦争は口火を切った。

これが希望? と言われたら困るのだが、この際戦争もパールハーバーも関係ない。ニイタカヤマ、新高山である。これは台湾の最高峰にして東アジア最高峰、標高3952メートル。台湾が日本領になって富士山より高い山だというので新高山と名付けられたのだ。

この新高山に最初に登頂したのは誰か、という課題がある。一般には鳥居龍蔵森丑之助ということになっているが……そこに長野義虎の方が先だったという声もあり、さらに長野とともに土倉龍次郎も登っていたのではないか? という可能性もある。その点については、Yahoo!ニュースの

ニイタカヤマに初登頂したのはだれだ? 知られざる探検家を探れ

こちらを参照のこと。

さて、龍次郎は1870年10月生まれだということがわかった。思えば父庄三郎が1840年生まれ。つまり今年は土倉龍次郎の生誕150周年であり、土倉庄三郎翁生誕180周年であったことに気づいた。これは、ちょっと「希望」が持てる(^o^)。

そして私は龍次郎の孫に面会することができた。そして見せていただいた写真に仰天した。

実に興味深い写真が幾枚もあるのだが、とくに台湾時代のものが多い。

そして見つけたのだ。

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この写真の裏書きに「新高山」とあるのだ。頂上ではないが、新高山に行ったのは確実になった。そして阿里山と書かれた写真も。

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阿里山ソーロガナ頂、と裏書きがある。ということは阿里山にも入ったことは間違いない上に、写真を見てほしい。映りはイマイチだが、樹木の根元に小さな人間が写っている。それに気づけば、この樹林の大きさ、太さがわかるだろう。
そう、龍次郎は阿里山の巨木林も発見したことになる。

もちろん撮られた年代がわからないから、確実に一番乗りとは言いづらいのだが、龍次郎の台湾滞在期間と全島を組まなく歩いて探検したという逸話から、極めて初期、おそらく1895年から数年間の間になるだろう。

阿里山のヒノキの巨木林は、撫墾署の署長の齋藤音作本多静六とともに1900年に玉山登頂を試みた際に発見したと伝えられている。また1906年に、小笠原富次郎巨大なタイワンヒノキ「阿里山神木」を発見したという公式記録がある。

もしかして、龍次郎がそれより先に発見している可能性が出てきたのだ。これを確認できたら登山史の書き換えであり、確実な証拠はなくとも一石を投じることになるだろう。

登場人物がみんな明治の林業界に関わりのある人が多い上に、当時の探検家も続々と登場する。台湾は、日本にとってフロンティアであり、1900年代の世界の残された数少ない探検フィールドであったこともわかった。

私も「ニイタカヤマノボレ2020」という気運になってきた\(^o^)/。

※現在は、新高山ではなく玉山である。

2020/01/04

真冬のヒマラヤザクラ

これ、先日の東京駅前で見かけたサクラ。

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なぜ、こんなところにサクラが植えてあるのだ、しかも咲いているじゃないか! と思って見たら、ヒマラヤザクラだった。

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ヒマラヤザクラは、その名のとおり、ヒマラヤ地方(から雲南、タイ北部)に分布するサクラで、開花期は12月~2月だという。まさに真冬に咲くサクラだ。つまり外来種。もっとも花の見た目はあんまり日本のサクラ(ヤマザクラやソメイヨシノ)との差は感じない。花が下向きかな、と思える程度。

これが東京駅前にあるのは、あくまで冬に花を見せようという意図で植えたのだろう。

 

さて、正月は明けた。予想通りというか、今年も娘のアテンドに明け暮れた(^^;)。娘は、例年生駒山の宝山寺でおみくじを引くが、これまた想定通り「凶」。たしか3年連続ではないか。宝山寺とよっぽど相性が悪いのか。もはや慣れっこ。ケロッとしている。娘のメンタルは、真冬のサクラなみに強い(笑)。ちなみに私は「吉」。

今年もゆるゆるとブログを続けようと思う。

2019/12/28

女子大生と自衛官

年末に面会したのは、女子大生と自衛官であった。

私は若者には優しい。とくに学生には優しい。とくに女子には……(以下、略)。自衛官は男だが20代の若者である。

女子大生は、大学のジャーナリズム・ゼミに属していて、卒業制作にルポルタージュを書くことになり、「台風と林業」をテーマにすることにした、それで私の意見を聞きたい、取材したいということであった。

優しい私は、彼女の質問に一つ一つ、ていねいに応えていく。話題がわりと飛んで台風被害(15号)かと思えば林業全般だったりするのだが、優しい私はていねいに応えていく。

が、ふと彼女の問題意識がぶれているように思えて、どんなテーマ性と構成を予定しているのか聞き返した。

……その答は。。。なんだ、それでは今秋に千葉を襲った15号台風の後に私のところに殺到したテレビ局や新聞社のコメント依頼と同じではないか。彼らは即時性が必要で、今起きていることを解説するためにそうなるんだろうけど、君のルポは来年の提出でしょ? そんな予定調和のルポでいいの? 何の新味もなければ意外性もないよ。

あああ。私の中のオヤジ的お節介さと、人生長く生きただけの上から目線が出てしまった。これも優しいゆえなのだが。

思わず彼女を逆取材。何を問題意識として持っているのか。これまで取材してきたのは何なのか。そもそもなんでこれをテーマに選んだのか。本当に興味のあるのはどの部分か。

それなら、こんな切り口でこんな構成にしてはどうか。いや、こーゆー構成もあるな。テーマはこうしてああして、アレを描けばいいのではないか。冒頭はあのエピソードで読者を惹きつけて、次に取材で聞き出したあのコメントを使う。テーマは林業に縛られずに君が本当に関心のあるべきこちらを中心とすべきで……。取材は誰それをすべきである。……もう、指導教官ブッタ切っての卒業制作指導(^^;)。

そのうちルポルタージュとは何か、ノンフィクションとは何か、読者の理解力に訴える手法は何か……。とうとう文章塾か記者講座になってしまったよ。これも優しさゆえ、、、のはず。

まあ、押しつけてはイケマセン。あくまで提案であって、自らに向き合って決めてください(⌒ー⌒)。

 

そして自衛官。相談は自衛隊を止めて林業に転職したい、というものであった。自衛隊と言っても航空自衛隊所属なんで、訓練で体力を鍛えて自信あるわけではないそうが、社会の役に立つ仕事がしたいと考えた際に、第1次産業、なかでも林業が浮かんだそうである。聞けば出世コースに乗っているようでもある。それなのに、今の仕事に自分が向いているように思えず、辞めたいという。

大学では社会学、哲学を専攻したようで、私に会うまで結構な林業関係書を読んで勉強してきている。しかし『絶望の林業』を読んで林業に就職したい考えたというのは奇特な人だ(笑)。質問は、林業という職業というよりは、林業そのものの可能性である。今の林業を改革したいというのなら林野庁か県庁で林業職に就くか。いや政治家になった方がいいだろう。現場で何ができるのか。

思っていたより深く考えているようだ。とはいえ、まだ机上の林業に留まっている。私には、いきなり林業現場で働くことを勧める気になれなかった。
それに、自衛官は退職するのに、だいたい1年以上かかるそうである。簡単に辞めさせてくれないのだ。ばっくれる……失踪するならともかく、円満退職には上官の許可がいる。それなら今から林業の就職先を探すよりは、その期間を利用して現場を訪ね歩き見て聞いて、自分なりに林業がいかなるものかを知り、本当にそこが自分の居場所になるか考えてみたらどうだ、と提案した。職場を探すのではなく、林業を知る中で、自分ができることも見えてくるのではないか。

思えば自衛官から林業に転職する人は、私の知っているだけでもわりと数多い。航空自衛官の中には戦闘機乗りもいた。なぜ、憧れの?戦闘機に乗れて、給与もいいだろうに、そんな職場を辞めて劣悪な待遇?の林業現場で働きたがるのか。もしかしたら、そのメンタリティの中に林業の魅力が読み取れるのかもしれないが……。

見て歩くべき林業現場は、必要なら紹介すると約束した。というわけで、もしかしたら林業界にいる読者の皆さんのところに彼が訪ねて行くかもしれないが、(私のように)優しくていねいに対応してあげてほしい。

ちなみに、私が彼から聞き出した自衛隊内の日常も、それなりに面白かったよ。こんなところで雑学を身につける(^o^)。

 

思えば私も、若者にエラそうな口をたたける立場になったもんだ。私も若い頃はさまざまな人々を訪ねたり手紙などで教えを乞うてきたから、今はその恩返しの時期でもあるのだろう。

ま、私もまだ枯れておりませんので、先に進むためにも、これまで身につけたものは他者にいくらでも教えます。そして私は新たな分野を身につけていく。来年は絶望しない分野に手を出したい。同じ世界に留まっていると滅びるのだよ。

というわけで、今年のブログ更新は、ここまでとする。今夜は娘が帰ってくるし(^o^)、年末年始はブログに縛られないで沈思黙考するのだ。

 

 

2019/12/27

奈良県・新森林条例のパプコメ始まる

気がつけば、これが奈良県のHPに公開されていた。

奈良県の
「(仮称)奈良県森林環境の維持向上により森林と人との恒久的な共生を図る条例」
「(仮称)奈良県県産材の安定供給及び利用の促進条例」
の制定に向けたパブリックコメント募集である。

私は、このうち「(仮称)奈良県森林環境の維持向上により森林と人との恒久的な共生を図る条例」に関与している。

ようするに条例づくりの委員会に参加していたのだ。ほぼ2年間もかけたから、それなりに思い入れはある。ちなみに、この長い条例名(仮称)は知事のお好み(^o^)。

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もちろん、すべて私の思い描いた通りになったわけではないが、なかなか苦心の作だけに皆さんも目を通してもらいたい。

いろいろ新機軸もある。私の選ぶ注目点は、この2点。

まず「恒続林づくり」を掲げたのは、政策としては日本で初めて・唯一だろう。木材生産と環境を両立させる森づくりをめざすという、なかなか野心的な宣言に近い。
さらに「奈良県フォレスター」の養成も掲げている。こちらは同時期に設置条例ができたら、再来年度に開校する予定だ。このフォレスターの画期的なことは、身分は県の職員であること。そして転属が原則ないこと。赴任地の森を長期間担当して管理できる。ペーパーだけの管理ではなく、現地を歩いて森を見て判断するためだ。

ほかに小さな点だが、「レクリエーション、スポーツ、教育文化活動等を目的とした森林の利用促進」という文言も入れてある。私はもっと具体的に、森のようちえんや木育に県内の森を使うことを奨励する文言を期待したのだが盛り込めなかった。しかしこの文言を敷衍して、森林の自由権(他者の森であっても、レクリエーションや教育のためなら立ち入って利用してもよい)の精神まで読み取り、奈良県内で実行に移す人が現れることを期待するのだが。

せっかくだから、ご意見を寄せていただきたい。

2019/12/26

『科学はなぜ誤解されるのか』から「理解のバイアス」を考える

平凡社新書『科学はなぜ誤解されるのか』(垂水雄二著)読了。

これはダーウィンの『種の起源』、ドーキンスの『利己的な遺伝子』を読み解きながら、科学のコミュニケーションの難しさを論じている本。著者は科学ジャーナリストだが実は博士号を持つから、自身も科学者である。

科学的な情報の伝達は、たいてい失敗する。コアな専門家はともかく、一般人は誤解が多くまったく違った解釈をしてしまう。実はダーウィンの進化論も、世間に伝わっている内容はかなり誤解があるそうだ。遺伝子レベルの進化を突き詰めたドーキンスに至ってはタイトルが過激?ゆえ、読んでもいない人から批判が相次ぐ……。

私も自然科学的な森林を扱う過程で、この主張に納得する。先に私は東京で文章講座の講師を引き受けたが、そこで私が話したのは、メディア・コミュニケーションにおける「なぜ伝わらないのか」である。話す時間が圧縮されたので骨格しか話せなかったのだが、たいてい伝えたいことの半分どころか3分の1も伝わらない・読者に理解されないのが一般的な状況だ。その中でどう振る舞うのか?

そこで、この欄でも話の一部を論じたい。理解されないバイアスの正体を見つけるためだ。

私はそれを「情報源」「書き手」「読み手」の3つの要素に分けて考えたのだけど、理解の手引きとしたのは、上記の本と行動経済学だ。後者は人は損得など合理的に動くことが前提の経済学が、現実の経済では人の不合理な行動で想定外の動きに惑わされてしまう。その人間の行動を分析した経済学である。一昨年だったか、ノーベル経済学賞を受賞している。

たとえば思い込み・常識に縛られて客観的事実を受け入れられない「現状維持バイアス」とか、自分の経験を至上のものとする「現場(経験)主義バイアス」などがあるが、ここで取り上げたいのは不愉快なことを遠ざける「自己奉仕バイアス」である。

簡単に言えば「書き手は読み手の同意・称賛を期待する」「読み手は自分の期待する内容だけを選択する」という心理学的な動向。

書き手は、記事を執筆する際にできるだけ「いいね」がほしいと無意識に思う。そして「いいね」をもらいやすい世間が求める解釈を描きがちになってしまう。集団心理に忖度するのである。
一方で読み手は、そもそも自分で考えるのは嫌い(認知的節約)で結論だけを求める。そして理解できたところだけ受け取る(認知的不協和)傾向があるのだが、それが発展すると、自分が心地よいものだけを受け取り、不愉快な事実は拒否するようになってしまう。……結果として不愉快な点は、無視するか、反発するかなのだ。

これは拙著『絶望の林業』に限らずこれまでも見られたことだ。たとえば森林組合がいかにでたらめなのかを書くと、森林組合に勤めている人にとっては自己否定されたことになるから不愉快になる。私が客観的事実を伝えても納得しない。たいてい「あなたは影響力が大きいのだから、発言は慎重に」とかいって「忖度」を要求する。もしその人に関わることを私が褒めた場合は「慎重に」とは絶対言わずに「もっと、もっと」と喜ぶだろうに。

そして論理的な反論ではなく、ひたすら「私が喜ぶことを書いてくれ」と要求するのだ。逆に私を拒否する、FBやツイッターのフォローも外す……という方向に向かうこともある。これこそSNSに見られるエコーチェンバー現象(閉じたコミュニティ内で同じ意見ばかりが増幅されて発信を繰り返す)のもたらすもっとも残念な行動だ。

どうやら「なぜ伝わらないのか」というより、「不愉快な話は聞きたくない」「糾弾されそうな記事は書かない」症候群なのだろう。

それでも私はイヤな内容を繰り返し記す(話す)。批判レスが着けばつくほど、その話をする(^^;)。以前、講演で補助金の弊害を訴え、また補助金をなるべく使わないで行う間伐などを紹介したが、会場からは反発の嵐。そして「オレたちは補助金で食っているんだ」という言葉まで飛び出す有り様だった。しかし、私は不協和音を引き起こすのもコミュニケーション手段と思っている。異論を読ませて、拒否感の中で理解させる・考えさせることは可能ではないか。

そこでは「タイトルは過激に、本文は誠実に」と唱えている。タイトルに惹かれて本文を読み、なんだ、わりと真面目に論じているな……と思わせるのだ。もっとも(ネットでは)タイトルしか読まない読者も少なくないけどね……。ここまで読んだ貴方はエライ\(^o^)/。


 

 

 

 

2019/12/25

科学博物館の巨木と小人

東京ではミイラ展に行ったことを記したが、この特別展に行くと、もれなく常設展がついてくる(笑)。

もっともミイラ展で歩き回って疲れたから、かなり端折って会場を歩いたのだが、それなりに楽しかった。恐竜の骨格標本にワクドキするのはもちろん、こんな展示もある。

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ボルネオの熱帯雨林の巨木だ。正確には巨木にイチジク科の蔓性のシメコロシ植物が巻きついて乗っ取っている様子。中の樹木を殺して、外側を覆ってしまうことで高所を独占するのだ。よくぞ再現した……というより、これ本物か。わざわざ現物を持ち込んだのか。

さらに、こんな見本もあった。

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これはスギだろうな。もちろん現物で、幹直径は1メートルを超すよう。若いころに枝打ちしたのか実に素性のよい木に育っている。施業効果を説明するのにもってこい(^^;)。さらに輪切りで幹が少しずつ小さくなって円錐状になっていることも示している。

なかなか林学の教科書になりそうな展示ではないか。


なお個人的に興味津々だったのは、化石人類のコーナーにあったフローレス原人。

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これ、インドネシアのフローレス島で発見された化石なんだが、ジャワ原人より新しい時代の新種原人[ホモ・フローレシエンシス]とされる。何がすごいって、成人の身長が1メートルくらいしかないコビトなのだ。常に大きくなってきた人類が逆行進化した可能性を示しているのだが、謎だらけ。現世人類と生存期間が重なっていた~接触していた可能性だってある。

ボルネオにも尻尾のあるコビト伝説オラン・ペンデクの噂があるし、日本には一寸法師にコロボックル伝説。ヨーロッパにはアリエッティだっているぞ。世界各国に残されるコビト伝説の原点である……なんて想像するとロマンがある\(^o^)/。

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