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森と林業と田舎の本

2021/03/05

数を減らして分布を広げたシカとイノシシ

環境省が、シカとイノシシの生息数と分布の推定結果を出している。

全国のニホンジカ及びイノシシの個体数推定及び生息分布調査の結果について(令和2年度)

結果を簡単に紹介すると、2019年度末における本州以南のニホンジカの個体数は、中央値で約189万頭(90%信用区間:約142万~260万頭)、イノシシの個体数は、中央値で約80万頭(90%信用区間約58万~111万頭)。この数字だけを見ると、2014年度をピークに、ニホンジカ、イノシシともに、減少傾向が続いていることになる。

ちなみにニホンジカは、本州以南に限る。北海道のニホンジカ(エゾジカ)の個体数は、北海道が独自に調査を実施している(2019年度末で約67万頭と推定)が、計算結果のデータ形式が異なるため、別で取り扱うのだが、一般人的には気にしない(^^;)ので、日本列島にニホンジカはざっと250万~260万頭と思っておけばいい。
イノシシは全国とあるが、もともと北海道には生息しない。リュウキュウイノシシは数字に入っているようだ。そうそうヤクシカも入っている。

なお、推定方法は、19年度までの捕獲数等の情報をもとに、ハーベストベースドモデルを基本とした階層ベイズモデルと呼ばれる統計手法を用いる方法……とか。

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(図表は、いずれも環境省HPより。)

ところが面白いのは分布だ。広がっている。1978年度から2018年年度までの40年間で、ニホンジカの分布域は約2.7倍に拡大、イノシシの分布域は約1.9倍に拡大しているのだ。また2014年度調査からもニホンジカ及びイノシシの分布域は、5年でそれぞれ約1.1倍に拡大しているという。どんどん生息域を増やしているのだ。
ニホンジカは、東北、北陸、中国の各地方で、イノシシについては、東北、関東、北陸の各地方で分布の拡大が見られた。

数が減っているのに分布は広げた……これをどのように説明するのだろうか。捕獲数を元に導き出す推定数というのも、捕獲数が増えたら数が増え、不猟だったら減るということになるから、信用度はどこまであるのか。

捕獲(環境省的な言い回しだが、ようするに駆除だ)を熱心すれはするほど、警戒したシカやイノシシは周辺に散っていくとも考えられるし、餌が減って新天地(この場合は人里)に進出しているのかもしれない。あるいは広がったため見落としが増えて数が減ったように見えるだけかもしれない。ただ確実なのは、分布域が広がれば頭数によらず獣害は増えるだろうということ。

ちなみに駆除で獣害(主に農作物被害)は抑えられないことは、さまざまな研究や実体験からも言われていることだ。生息数を半減させても、被害は半減しない。なお被害額は毎年漸減傾向にあるが、届け出があるものだけのカウントなので、農業を止めたら被害も受けないことになるから、イマイチ本当かどうか疑問だ。

それでも環境省と農林水産省2013年に「ニホンジカ、イノシシの個体数を10年後(令和5年度)までに半減」することを当面の目標と決めているのだが、これは獣害抑制手段を目的化してしまっていないか。

数を減らしたのに分布が増えた、という調査結果も、十分に内容を吟味しないと実態をつかめないだろう。

2021/03/04

若草山の山焼きと山火事

我が家のベランダから若草山が見える。わりと最近気づいた(^o^)。そこそこ距離はあるが、わりとしっかり見えるのだ。

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上方に写っている線は、電線だ。この写真から我が家の位置を割り出さないでね(^^;)。

ちなみに今年の山焼きは、コロナ禍で縮小した上に大雨の直後で、ほとんど燃えなかった。それでも焼き直しはしないというから、今春以降は新しい草がどの程度生えるだろうか。

若草山が山焼きを始めた理由は諸説あるのだが、少なくても焼いた後にススキなど草の新芽がよく出て、それが奈良のシカの餌になっている。そして数を増やしたナラシカが若草山の草をせっせと食べて草山状態を保つ……という循環がある。今ではそれがナラシカの姿と草原、そして奈良盆地を一望できるという観光名所づくりの役割が大きくなった。

というわけで、山を焼けなかったことは心配なのだが、一方で先日の栃木・足利市の山火事は100ヘクタール以上を焼いて問題となった。鎮火まで約9日間かかり、周辺の住宅305世帯に避難勧告が出されたほどなので、被害も大きいだろう。ただ丸焼けになったわけではないらしい。報道を見ている限り、足利の山火事は、樹木が燃えた部分は少なく、林床の草や落葉などが焼けたようだ。ただ煙を浴びた樹木もそれなりに傷んでいるだろう。

焼けずに心配な山と、焼けて心配な山。どを違うのか。もちろん管理された山焼きと、野放図に燃える山火事という違いはある。コントロールド・ファイヤーという言葉もあるとおり、人為的に山焼きすることは、大規模な山火事を起こさないためにも大切だ。さらにシカのような草食動物が林床の植生を食べることは、炎の延焼を防ぐ役割も果たす。短くなって燃え広がりにくいのだ。

若草山は、単に人が火入れの管理をしているだけでなく、日常的にシカが若草山の植生を管理している。草をついばんでは丈を短くして、炎が大きくならないようにしているのだ。つまりシカがいることで、山火事の規模を小さくできるのではないか? 
しかも焼けた跡には新芽が出やすくなる。日当たりもよくなるし、灰のミネラルが栄養にもなる。そう考えれば、山火事も大きな生態系の循環の一部を担っているのだろう。

 

 

2021/03/03

Y!ニュース「黄砂が飛来するのは中国の里山が……」を執筆した裏事情

Yahoo!ニュースに「黄砂が飛来するのは中国の里山が破壊されたから。植林も砂漠化の一因だった!」を執筆しました。

これ、アップしたのが午後2時ごろ。通常、Yahoo!ニュース記事のアップはお昼までを狙う。なぜなら読まれるのはお昼休みが多いから。正確に言えば通勤時間帯や帰宅時間帯も多いが、朝早くアップするのは面倒(早起きはイヤ)なんで昼を狙う。

それが遅くなったのは、単に書き切れなかったから(^^;)。なぜか、執筆に時間がかかったのだ。わりと複雑な事象だけに、それをわかりやすくかみ砕くのに難儀したというか。

ついでに言えば、植林が砂漠化を推進することは、別記事として書きたかったテーマなんだが、こちらにも盛り込んでしまった。そのうち「植林は自然破壊」という記事もまとめたいのだが……。

中国の砂漠に植林を進めてきたといえば、故・遠山正瑛鳥取大学教授である。内モンゴルのクブチ砂漠への植林で有名で何万ヘクタールも緑化したとして英雄扱いになった人だ。実は、会ったことがある。それも向こうから会いたいという連絡があったのだ。ビッグネームからの電話だったかでびっくりした。これから中国に行くところというので、私も関西空港に出向いてお会いした。

その頃で、すでに80歳ぐらいだったと思うのだが、すごい熱量を感じた。なるほど、こういう人だから周りを巻き込んで植林が進められたのか。

ただ、私が協力することばなく日は過ぎて行くのだが……やがて植林に関する悪評が耳に入ってくる。植林の仕方も問題だが、そもそも植林することがよいことなのか? そんな疑問を持って取材をしたのである。すると鳥取大学の教授が言下に否定したね(^^;)。砂漠に木を植えるな、と。

ま、そんな思い出話もあるのだが、また別の機会に。

 

2021/03/02

日本農業新聞『獣害列島』書評

日本農業新聞の書評欄に『獣害列島』(イースト・プレス発行)が紹介された。2月21日である

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面白いのは『けものが街にやってくる』(羽澄俊裕著 地人書館発行)と抱き合わせであること。こちらの本は、私も先に紹介している(リンク先参照)が、拙著と同日に発行された獣害の本なのである。さすが農業新聞、獣害問題を扱う本には敏感だ。

幸か不幸か、獣害として真っ先に来るのは農業被害であり、それだけ敏感ということだろう。実際に拙著の紹介の中に、「被害に遇っている農山村の住民を除いては、ほとんどの人が野生動物による「獣害」の実態を知ることはない」と記されている。

両書とも、前提として今後は街に野生動物が出てくるようになり獣害が広がると予測しているのだけど、その原因の指摘の仕方は違う。羽澄氏は人口減少が動物を呼び込む点を強調している。そして私は野生動物の生息数が増えて、新天地を求めて都会に出てくるとした。この考え方は表裏一体だから、どっちが正しい・間違っているとする問題ではないけれど、そろそろ行政も本気で向き合った方がよい。街・都会への動物の進出は、一面で農業被害よりはるかに恐ろしい事態になりかねない。

ちなみに農林水産被害総額が年間1000億円を超えている、とあるが、私は識者の声に「実態は被害額として上がっている金額の5倍に達するだろう」とあったのを援用して、ざっと200億円の被害額を5倍にしたものだから、確定したものじゃない。ここには届け出のない被害額や、生態系被害・人身被害といった金額に変えられないものも含めている。1000億円という数字は大雑把に被害の大きさを伝えるための数字と思っていただきたい。

日本の農林業は縮小を続けているから、農林業被害だけをクローズアップしたら、今後減っていくだろう。むしろ増えるのは、生態系の劣化のほか、見えにくい人身被害、感染症の媒介などではないか。心した方がよい。

両書とも、ご講読あれ。

 

2021/03/01

トルコの植林面積

さすがに驚いた。いきなり、こんなニュースを目にしたからである。

「トルコは植樹ヨーロッパ1位、世界4位」 トルコ大統領府が発表

ピンとこない。トルコと言えば、中近東の国だから、なんとなく乾燥地帯のイメージがある。実際、内陸部には砂漠もある。せいぜいブドウやイチジクなどの農作物が盛んだから、乾燥地農業はよくやっているのかな、と思い浮かべる程度だ。

具体的には、極めて短く、こんな記事になっている。

トルコ共和国大統領府通信局のファフレッティン・アルトゥン局長が、自身のソーシャルメディアで、トルコは「植樹において、ヨーロッパ1位、世界4位」であり、「森林を増やしている国の中で世界6位」であると表明し、「この18年間で 173万9944ヘクタールの新たな森林が我が国にもたらされた。木について言えば、ヨーロッパ1位である」と述べた。

これだけ。さすがに納得できないので、少し調べてみる。

すると、こんなグラフが見つかった。

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森林面積は右肩上がりではないか。ただし森林率は15%。やはり、たいして森林はないのだ。また人工林比率は、30%。

全森林面積のおよそ 30%にあたる 342 万ヘクタールが人工造林地となっている。最近 5 年間では年平均 16 万 ha の造林実績がある。主な植栽樹種はマツ類(Pinus nigra、Pinus brucia)である。トルコの造林事業は「造林・土壌保全総局」のもとで実施されている。

2016年の森林面積は、11万8174平方キロメートル。最も低い1990年の9万6220平方キロメートルと比べると、1.23倍にもなっていて、増加率は高い。日本と比べた表もあった。

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こういうのを見ると、まだまだ森林面積自体は大きくないが、植林そのものには力を入れている様子が浮かび上がる。日本は多い多いと自慢している(いや、多すぎるから伐ろうとのたまわる)が、面積は横ばいで全然増やしてない。蓄積が増えたというが、質的には劣化していると言えるだろう。

もしかしたら、今後の国際的な炭素の排出権取引「カーボンプライシング」を睨んでいるのかもしれない。ヨーロッパでは大きな市場となるだろうから、森林を増やすことは国際社会での発言力は有利になる。

ちょっと頭の片隅に記憶をとどめておこう。

 

 

2021/02/28

サクラ開花のビジュアルマッピング

ときどき森林総合研究所の宣伝マンになるのだが(^^;)、総研のホームページで、全国の支所等に植栽されているサクラの開花情報をビジュアルマッピングしていた。

各地の画像をクリックすると、植えられているサクラの拡大画像が現れ、さらにその画像をクリックすると花芽の写真が現れる。この花芽の様子で開花がわかるという趣向だ。日々更新しています、とのことだが、私が見たら数日前のものだった(笑)。開花の進み方が早いと後れをとるよ。でも、とりあえず全国のサクラの開花状況を確認することができるという試みだ。今年からというわけでなく、毎年やっていたのだね。

なお植えられているのはソメイヨシノばかりではなく、カンヒザクラなど違う品種もあるから、正確に気温と開花を関連づけられないかも。

だいたい「桜前線」なるものが描かれるのも、ソメイヨシノだからだろう。全国のソメイヨシノはクローンで同じ遺伝子を持つから、開花時期を決める条件が気温の変動などに絞られる。

もっとも最近は暖冬続きで開花が早まっているのかなあ、と思っていたのだが、そうとも言えないそうだ。なぜならサクラの開花には、冬の低温が必要だから。低温から高温になり「休眠打破」することで花芽が目覚めるらしい。それなのに、暖冬で低温時期がなくなることで逆に開花が遅れる現象も起きるそうだ。たしかに最近は暖かい九州より東京の方が早かったりする。

ちなみに気象庁は、2010年から開花予想の発表をとりやめている。理由は、民間事業者による開花予想が行われるようになったため「気象の応用情報の業務は民間事業者に任せる」とのことだ。現在、開花予想を発表しているのは民間の5業者とか。で、いくつか見比べてみたが、結構ばらつきがある(笑)。今年は東京と書いてあるものと、福岡が最初と予想している社と。さて、当たるのはどこか?

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上野公園のソメイヨシノ第1号、と言われるサクラ。全国のソメイヨシノがすべてこの木のクローンだと思うと、見た目も違ってくる。

2021/02/27

渋沢栄一と「木を使うもの」の義務

遅れて始まったNHK大河ドラマ『青天を衝け』も、明日で3回目。正直、私はイマイチだと思っているが……(笑)。
なんか、初っぱなから引きつけるような魅力が描かれていないんだな。話が農民の渋沢と、将軍になろうとしている徳川慶喜の2本立てになっていて、焦点がぼやけているような気がする。

まあ、今後両者が発展し合一してからに期待したいところだ。それに、もう一つ。渋沢栄一は、日本の「資本主義の父」である点にも。封建主義を抜け出したばかりの日本にとって、万民が平等に力を競い合える資本主義は希望だったはずだ。それがねじ曲がっていく過程も見えるのだが……そこに彼の著書「論語と算盤」が登場するわけである。だから渋沢は、日本の「福祉事業の父」でもある。

近年は資本主義がブームみたいとところがある。『人新世の「資本論」』もベストセラー入りしつつあるが、そもそもマルクスの「資本論」は、何も共産主義の教科書ではなく、資本主義批判が基本だった。この本も、行き詰まった資本主義をいかに乗り越えるかという点から共同体コモンの復活を唱えているように思うが、それこそ「論語」の部分だろう。現在の資本主義が過去の封建主義に近くなってきている中、希望のイデオロギーは何か。

資本主義の父と資本主義批判の書がどう並び立つか。

とまあ、のっけから脱線しているが、渋沢栄一は、もう一つ、日本の「製紙の父」でもある。今に続く王子製紙を設立しているのだ。そこでは「木を使うものは木を植える義務がある」という思想を著している。実際、現在の王子ホールディングスは19万ヘクタールもの社有林を持つ、日本一の山主(第2が日本製紙の9万ヘクタール)なのも、その系譜を引き継いでいるからだろう。

果たして、現代の「木を使うもの」は、「木を植える義務」を果たしているだろうか。

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東京・飛鳥山の紙の博物館。その隣には渋沢史料館もある。

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渋沢栄一の本人の筆と思われるのだが……。

実は、渋沢と土倉庄三郎は昵懇の仲だったようで、度々両者は会っている。そこで多少とも渋沢の史料の中に土倉庄三郎が登場しないかと調べたことがあるのだが……残念ながら見つからなかった。膨大な量に負けてしまった面もあるが。

まあ、そんな目で「青天を衝け」を見たら、(多少は)面白くなるかな?

 

2021/02/26

漆芸に見た猫の生態

以前、本ブログでも紹介したような気がするのだが、生駒市には「緑ヶ丘美術館」(および別館)がある。

住宅地の中にポツンと存在して、洋風ながら一般民家を改造したかのような純民間の美術館。扱うのは映画ポスターやマンガまであって幅広いものの、基本は日本の伝統工芸の現代作家作品が多い。ほとんどが所蔵品らしいが、逸品ぞろいである。どんなけ溜め込んでいるんだ(^^;)と思わぬでもないが、これを完全無料で見せてくれるのだから有り難い。

今回は「日本の<漆>展-Ⅳ語り継ぐ蒔絵展」と、別館で「香炉香合展」。

さて、その中で私が目を引きつけられたのは、「乾漆螺鈿箱 眠い猫」と名付けられた作品だ。しんたにひとみの作品。人間国宝などの作品が並ぶ中で、まだ若い人のようだ。しかも奈良市在住だという。

ま、それはよいとして、作品は漆塗りに螺鈿細工をほどこした小箱だが、その上面と4つの側面に描かれているのがネコである。

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鳥を追いかけるネコ、というモチーフで、このネコ眠っていないじゃないか、と突っ込むのは止めておこう。この前面の鳥を追いかける姿で、すでに不穏な様子(笑)。そこで、裏側の側面を見ると……。

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鳥を捕まえて、食べておるがな……。やっぱりネコは凶暴で、野生動物の生態系を生きているのだった。アメリカの研究では、一匹の野良ネコは、年間数百羽の鳥や小動物を捕まえるというが、なかなかの環境インパクトであろう。

とはいえ、これはしんたにさんの考えたモチーフではなさそうだ。なぜなら、春日大社の宝物にある国宝の日本刀「金地螺鈿毛抜形太刀」にも似たネコがいるからだ。こちらにインスパイアされたのだろう。

この太刀は、平安時代の守り刀と思われ、刀剣乱舞ネコ、じゃないネタになったのかどうか。その鞘には金粉に漆、そして螺鈿で雀に襲いかかるネコが描かれている。この絵柄はサライの記事を見てほしい。

私が興味をもったのは、平安時代にすでにネコが渡来していて、貴族に飼われていたことを示している点だ。そして、そのネコは早くも鳥を襲っていたのだった。今なら「外来種は駆除しなければ」と言われるかもしれない(笑)。


なお別館の香炉香合展も見てきた。

こちらは主に陶器の香炉と、香料を入れる香合という小さな箱が展示されている。茶道具の一つであるが……。私は発見してしまったのだ。

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これらの香合は木製だが……わかるかな? 

これは黒柿による作品だ。銘木にして珍木でもある黒柿。柿の木の黒変種で、滅多に見つからないだけに、ときとしてすごい値段がつくが、肝心のその木を使った作品を目にする機会はあまりない。これらの香合は1辺10センチ未満だが、このように加工すると香合自体が数十万円にもなる。もちろん作家の価値であるのだが、素材も高いのだ。

 

以上、伝統工芸展で、注目したのはそこか! と突っこまれるのは覚悟しつつ、紹介しておきます(笑)。

 

 

2021/02/25

蚊の季節

今冬は、やはり暖冬のようである。年末年始は大雪が降って、また最近も北日本は大寒波と大雪に襲われているようだが、均してみると暖かい日の方が多いように感じる。大雪と暖冬という振れ幅の広さが「気候変動」なのだろうが……。

私の仕事部屋に面したベランダにはバケツが置いてあって、そこに雨水が溜まるようにしている。その水で植木鉢(今は室内に移しているけど)に水やりをする。これも循環型システムとゆーもんだ。

ところが、そのバケツを覗き込むと……。

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わかるだろうか。ボウフラが多数いるではないか。

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拡大版。しかも、よく動き、元気なのだ。いくらなんでも2月だよ。冬だよ、一応。今日は暖かいが昨日は結構冷えた。いや、ほんの数日前は氷が張っていたのだ。それでも、底で生き延びたか。水も、それなりに冷たい。しかし卵を産みつける成虫の蚊がいて、卵はボウフラに孵り……このままでは成虫になって飛ぶかもしれない。

水量をぐっと減らして、より冷えるようにしてやった。もう一度氷が張るような天候希望。

そういや、私はYahoo!ニュースに「……秋こそ蚊の季節だった」という記事を2年前に書いていた。蚊は意外と猛暑に弱く、秋の虫になりつつあることを記したのだが、このまま暖冬が続く(というより温暖化が激化する)と、冬の間に産卵-孵化、そして羽化して飛び回り春の虫になるかも。結局、蚊の活動期間は春秋となって長引くんじゃないか。ヤバいぞ。

こんなところに気候変動を感じたのであった。

 

2021/02/24

薪のお値段いろいろ

生駒山にある森林公園で見かけた掲示物。

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「薪の販売はじめました」とあり、各種の価格が示されている。
一束500円。クォーターとあるのは量り売りだが、キロ55円。丸太のタンコロだとキロ40円。

コナラの丸太の重さがピンとこないが、結構比重は重いはず。太い丸太なら10キロぐらいは行くだろう。長さにもよるけど。それに、配達抜きで自分で持って帰るのが条件だから、まあ、お安い方だろう。と言うのも、この森林公園ではナラ枯れが発生しており、そのためにコナラが多く伐採されている。それを薪にしているのだから一石二鳥である。公園の運営は指定管理者だから、商売もできるようだ。

ちなみにホームセンターで売っているコナラなど広葉樹の薪は一束800円ぐらいはゆうにする。以前紹介したアカシア?の薪で600円前後。そして今日たまたま見かけたのは、スギの薪か。一束と同じ量かどうか怪しいが、建築端材だろう。これが680円。

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ただ、数年前は、コナラやクヌギでも500円しなかった。随分値段が上がっている。

ところが、ネットでこんなすごい価格のスギのタンコロを見てしまった。

[楽天市場]薪Club スギの切り株

お値段は、ぜひリンク先に行ってみてほしいが、直径40~45センチ、高さ30センチだから薪にしたら2束ぐらいになる?しかし、送料別でこの価格は (゚o゚;) 。。。しかもけ未乾燥。

でも、買う人がいるのだろうなあ。使い道にもよるが、どうしても必要だと。そして身の回りでは手に入らないと。ここが扱う薪の値段を見たが、ナラの乾燥薪で1000円以上する。売れるのなら売ってください(^o^)。ダンピング合戦など馬鹿らしいから。

ちなみに薪clubって会社の親会社は、鳥取県智頭町の石谷林業である。あの、400年生の慶長杉の並ぶ山主だ。薪を売って稼いで、文化財級のスギを守ると思えばよいかもしれない。

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2021/02/23

ネコの鳴き声の秘密

昨日は「ネコの日」だったんだそうな。おかげでSNS上がネコの話題にあふれ返っていたようだが……。

あえて?遅れて記すのだが、NHKのEテレ「地球ドラマチック」(土曜日 午後7時)という番組がある。そこで20日に「不思議いっぱい!ネコの秘密」がやってきた。

単なるネコのかわいい様子を紹介する馬鹿番組(⌒ー⌒)とは違って、科学的に取り上げるというので見たのだが、なかなか味わい深かった。とくに、なぜネコが人間に馴れるようになったか、いや人間がネコになつくのか……という、今私がもっとも気にかけている話題を取り上げていた。

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それによると、ネコの鳴き声は、人間の赤ちゃんの泣き声と同じなのだそうだ。と言っても、聞けば違いはあるのだが、多分音の根源の部分に共通点があるのではないか。それは超音波的なものなのか、メロディやリズムなのか、明確な説明はなかったのだが……。

いずれにしてもネコは人間に対して、ほかの動物にはない刺激を与え、それが人間の本能に触れてネコにメロメロにする、らしい。これって、もしかしてカッコウの托卵みたいなもの? 人間の心を操り、身の安全を確保するとともに人間を奴隷にして貢がせる……(笑)。時には人間に子育てまでさせるのだから、托猫かも。

ちなみに再放送が、28日25時よりある。


おまけ。同じ「地球ドラマチック」で21日に「ネアンデルタール人 真の姿に迫る!」も見たが、ここでネアンデルタール人は洞窟の奥深く(300メードルぐらい奥)までもぐって(そんなに大きくなく、進むには狭い部分も通り抜ける)、そこにストーンサークルみたいな場所をつくっていたそうだ。そして灯用だろう、炉もいくつか設けていた。人骨のタイマツまであった。骨は煙が少なく長時間燃えるのだ。

これで、人類最初のケービングは3万年以上も前であることが確定した(^^;)。これは実利を求めて新天地に旅をするのと違って、純粋な冒険心の始まりだろう。原生人類より前に冒険家はいたたのだなあ。

2021/02/22

地球温暖化で花粉量は1.2倍に。…」書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「地球温暖化で花粉量は1.2倍に。世界中で花粉症はなくならない」を執筆しました。

なんと、2回連続して花粉症の話題を書いてしまった。毎年1本のつもりが……。まあ、出し惜しみしてもつまらないか。それに、あんまりウケるネタでもない(^^;)。

元ネタはCNNなのだが、そこで紹介された論文を探して、でも英文だから読むのがイヤにやって、ええいと機械翻訳で読んでみて……ああでもない、こうでもないと頭を悩まされた。

トップ写真は、世界の花粉症がテーマだから、日本的なものは止めようと日本人やスギなども外して探した。まあ、これが限界かな。

悩んだのは、タイトル。本文では「気候変動」を使っているが、これはまだ日本ではなじんでいないし、何より花粉の量とつながるのは温暖化なのだ。平均気温が上がるから、植物も花粉をつくりやすくなり、それが飛ばす量を増やすことにもなる。変動と言ったら、寒冷化もあれば台風、大雨、日照りといった気象害も含むからなあ。

というわけで、タイトルはわかりやすさ優先、温暖化を使う。一方で、本文は「気候変動」を主に使用する。

ところで私は花粉症ではない、つもりだが、これらの記事を書くために調べたりして、結構詳しくなった。そして、花粉症はなくならないわ、という結論に達した(⌒ー⌒)。そもそもアレルギーというのが、人類の宿痾なんだと思う。完全にアレルゲンを取り除こうとすれば自然破壊にもなりかねないし、せいぜい効果テキメンの特効薬が発明されることを願うしかないだろう。

 

2021/02/21

朝日新聞・明治30年の「殖林行賞」記事

わけあって、明治30年の朝日新聞を読む必要となり、図書館に存在を確認してから足を運び、オンラインで読んできた。そして紙面をプリントアウトするまで、泣かされた。・゚゚・(>_<;)・゚゚・。のだが、なんとかやり遂げる。

しかし、A3版にプリントしたものの、字が小さすぎて、それをまた拡大コピーをするという面倒くささ。当時は文語体であるのに加えて、句読点もなく、また行替えも極めて少ない。さらにタイトルでさえほとんど級数を上げない。もちろんゴチック太字にするとかの配慮もない。そもそも印刷もかすれているし……辛いわあ。
ともあれ、これからコツコツ読むつもりだが、ふと目的の記事の並びにあった記事に目がとまった。

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気になる人は、読みにくいだろうが、頑張って読んでくれ(笑)。

小さな見出しとして、「殖林行賞」とある。当時は殖の字を使っていたのだ。(土倉庄三郎もそうだった。)それとともかく、記事によると香川県のニノ宮村の森小八郎の亡父は、山が荒れて土砂流出・河川の氾濫などの災害を引き起こすので、一念発起して「山林培養」に取り組むのだ。共有林100数十町歩のうち42町歩に樹植を断行する。……これらの言葉遣いも面白い。

が、ここで私が注目したのは、「頑民」の攻撃容易ならざる、という点だ。そして苗を抜き焼いてしまう……というところ。頑なな村民、という意味か。

これ、今の世の中だとピンとこないかもしれないが、一般に植林は嫌われた。草地のままにしておいた方がよいという発想があったからだ。なぜなら草は刈り取って家畜の餌になるほか、堆肥にできるのである。また雨が降ったら、すぐに水がたまるのは、草山の方だ。樹木が生えていると水は減ってしまうことを経験則で知っていた。だから山林より草山の方がよいという思いが「頑民」にはあったのだろう。だ。そこに木を植えることは許せない行為だったのだ。
現在なら、植林と言えば善、正義。山に森ができたら水が増える「緑のダム」だとか言いがちだが、実は科学的には疑問がある。樹木より草の方が生長がよい(生産力が高い)し、水の総量を増やすには、木が生えていないほうがよい。昔の方が正しい知識を持っていたことになる。

それでも山林をつくることは、土砂崩れを防ぎ、木材や木の実という商品価値のあるものを生み出す。獣も増える。結局、小八郎の父は苦労して植え続けて、とうとう山に森を作り出した。すると土砂防止の効果も出てきて、木材生産の利益も出て、とうとう表彰されたというのであった。木杯一組を下賜された、とある。これが「殖林行賞」か。

森林に対する理解も、時代によって違うことを古い新聞記事で読み取るのも一興ではないか。

 

2021/02/20

自然公園法改正案で動物に「餌やり禁止」項目

環境省は、自然公園法改正案を提出している。3月上旬の閣議決定を目指すそうだ。

そこでニュースになっているのは、
国立公園や国定公園の一部地域で、クマなど野生動物に餌を与えることを禁じた上、30万円以下の罰金を科す規定を新設する。
という条項だ。

昨年は市街地までクマが出没して人を襲ったり大騒動になったが、ほかにも頻繁に野生動物が人里に出没するようになった。その背景に餌付けされた野生動物が人に慣れて出没した可能性があるからだろうか。

具体的な改正案は、自然公園の「特別地域」(もっとも厳正に自然を守ることを規定された地域)で、哺乳類や鳥類に餌を与えてはならないと規定するものだ。公園を管理する国や都道府県の職員は、餌を与えている人にやめるよう指示でき、従わなかった場合は罰金を科す。一部メディアには罰金30万円と見出しを付けているが、確定ではないだろう。

野生動物への餌やり禁止は結構なことだ。クマばかりクローズアップされているが、ほかの動物もみんな含むのだろう。シカやイノシシ、そしてハクチョウ、カモなどへの餌やりが目立つ。
実は奈良公園のシカ(ナラシカ)への勝手な餌やりも問題になっていて、奈良県の条例で禁止項目を作ろうとしているのだが、先にこちらの法律ができたらしめたものだ。奈良公園は国立・国定公園でもなければ特別地域でもない(そもそも自然公園ではなく、都市公園)が、便乗することができる(笑)。

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私が目撃したナラシカへの餌やり。わざわざパン屑を持ってきて配る人がいる。ときに軽トラで野菜クズを運ぶ人まで。。。

もっとも、本気で禁止すべきなのはノネコだろうなあ。生態系への影響が半端ない。奄美や沖縄、伊豆諸島、小笠原諸島などでは顕在化しているが、多分本土も少なからぬ被害が出ているはずだ。誰も調査していないけど。すばりノネコに餌をやったら罰金! という法律をつくってほしい。それも特別地域と狭く規定するのではなく、日本全国でノネコ・ノラネコへの餌やり禁止! 私の夢だ(笑)。ただし、そのネコが野生動物かどうかを確認するのが大変なうえ、世論を敵に回すから実現までの壁は高い。

 

ちなみに、改正案にはさまざまな項目が並ぶ。パプリックコメントの時期は終わったが、そのベースとなる素案(中央環境審議会の自然公園等小委員会の答申)は以下の通り。

自然公園法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置について(答申案) 

この中の餌やり禁止の項目は、実はほんのわずかだった。

(利用のルール・マナー)
利用形態の多様化等に伴い、動物への餌付けによる人馴れ、ドローンの飛行による騒音、登山道の自転車利用による事故や荒廃のおそれ、ペット同伴登山による他の利用者や利用施設への迷惑行為、野外へのし尿の垂れ流しによる悪臭、トレイルランニング大会による歩道の適正な維持管理の妨げや静穏の阻害等の利用環境への悪影響を与えうる事例が一部見られる。地域で独自の利用のルール・マナーを定めている場合があるが、法律による強制力のない自主的なルールでは指導に限界があるとの指摘もある。

ここにあるように、ルールの中のドローンの飛行やトレイルランやマウンテンバイク、イヌなどペット連れ登山などの規制とセットに触れられているだけ。それが、大きくニュースになったのは、取材した記者が目をつけたのではなく、多分、官僚から説明(ここがポイントですぜ、読者ウケするでしょ? )を受けたのだろう。

でも、ドローンぐらいいいような気がするけどなあ(笑)。騒音もだけど、落ちたら困るか。

なお、動植物の観察などをする自然体験プログラムを促進するための登山道など環境整備の財政支援や、手続きの簡素化という項目もある。ワーケーションや環境教育を意識したのだろう。地味だが、こちらの方にも、もう少し注目すべきではないかと思う。果たして、素案どおり通るだろうか。それとも変更を余儀なくされるか。罰金を外されたら効果がなくなる。

3月国会を少しは注目しよう。

 

2021/02/19

砂防工事とイノシシ

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この写真は、私の住む住宅街の隣接地。急傾斜で結構な谷間だったのだが、そこに砂防ダムをつくることになって、1年近く工事が続いている。これは、そのダムの管理道。住宅のすぐ側に渓流があることは、ちょっと自慢だったのだが、もはや姿を消してしまった。

それは仕方ないとしても……こっそり侵入して歩いてみると。

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いたるところに、こんな足跡が。イノシシが出没しているんだねえ。イノシシにとっては生息場所を破壊されたことになるはずだが、同時に街に出やすくなったのかもしれない。イノシシは適応力があるから、人が手を入れた土地でも住み続けるだろう。そのうちゴミ集積場が荒らされないか心配だな。

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谷にはちょっとした湿原もあるのだが、そこはイノシシの足跡とぬた場と化していた。かなりの頭数がいるなあ。今後、市街地へのイノシシの出没は増えるか減るか。

2021/02/18

期待できる?国産材輸出の新鋭「木炭」

岩手県からスイスに高級木炭の試験輸出が始まった記事を目にした。

なんと500キロ。1回の出荷量としては、なかなかのものだろう。高級レストランの炭火焼き料理に使うそうだ。輸入元は日本の七輪も扱っているそうで、高級木炭を探して久慈市の谷地林業に行き着いたという。今後の継続的な輸出も考えて、1社ではなく北いわて木炭産業振興協議会で対応することになったという。

このニュースの一報を聞いて、なるほど、この手があったか、と思った。炭焼きは世界でも突出した技術だ。海外に、日本の白炭(備長炭)とか茶道用の菊炭のような木炭を製造する技術はないだろう。炭焼き技術が世界レベルなのだ。だから高級木炭という加工品を海外輸出するというのは、面白い動きかもしれない。高級木炭は煙がほとんど出ず、火持ちもいい。
岩手は木炭生産量日本一だが、高級木炭の産地は全国にあるのだから、それぞれが輸出先を開拓したらいい。どうせなら七輪とセットで売る。日本料理レストランに限らず、炭火焼きは通用するはず。また一部で人気の飾り炭の様なアートとしての木炭も海外向きかもしれない。

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菊炭(左)と紀州備長炭(右)


なぜ、木炭輸出に期待するかと言えば、政策的に進められている木材輸出がイマイチだからだ。近年日本からの木材輸出が増えているが、扱われるのは低価格のB、C材ばかり。高級材(A材)も製材品も求められない。輸出量は増えても、林業家の利益は小さいのである。

私は、その理由に日本の木材加工技術と商品開発のレベルの低さがあると思っている。特に海外に受け入れられる商品をつくる能力が極めて低い。いや国内向きも一緒で、本当に求められる木材商品を生み出せないのが、日本林業の低迷の理由だろう。

だいたい川上(木材生産)・川中(木材加工)側が、川下(木材消費)を全然見ていない。建築材か?家具か?建具か? 何が高く売れるか考えない。ニーズも把握していないし、高くても欲しくなるものを作り出せない。自分たちの都合のよいものを勝手につくって「買え!」と言っているレベルだ。しかも製材精度もいい加減・乾燥もいい加減だ。 

エンドユーザーを見ていないから原料輸出に甘んじて価格もたたかれる。日本の木材産業の構造的問題だ。たとえば現在の日本木材の主要輸出先である中国は、「高級材はカナダ材を使う」と言ってる。原木の品質が高いからだけではない。カナダ材の売り主は、最終商品を見て輸出してくるからだ。

こう書くと、嘘だ、日本の加工技術は高いと反発が出るのだが(笑)、ここにも勘違いが見える。なるほど、一部の木工職人・家具作家レベルで見ると、日本の技術もなかなかのものだろう。だが、木材を削る技術は高くても、ニーズをつかむ能力は低い。「高くてもほしい」と思わせるデザインセンスもない。独りよがりの「和風」デザインには辟易する。加えて輸出するには、それなりの品質を均一につくり、商品のロットを揃えなければならない。単品輸出ではメリットはないだろう。

なんだかぼやきみたいになったが、そこに木炭という商品が登場したわけである。炭焼き技術なら海外と張り合えるかもしれない……。
ただ近年は、日本の炭焼き職人が中国に行って、白炭の焼き方などを教えている。だから、最近は備長炭と言っても中国産も増えてきた。またおが屑を固めた「備長炭」もある。これらは日本の最高級の木炭ほどではないが、そこそこの品質を誇っている。これらは張り合うには、しっかりしたブランド化と真似されない最高級の製炭技術を確立しなければならないだろう。

ただ……記事をよく読み返したのだが、肝心の価格は書いていない。日本の市場価格より高くできたのか安く設定してしまったのか。そこがポイントなのに(泣)。スイスは世界有数の高物価国だから、少々の高値でも気にしないと思うが。

加えて私が危惧するのは、そのうち林野庁が白書に載せたいとか言ってすり寄ってきて、よし輸出振興しようとか旗を振り補助金をバラマキ始めることだ。そして、とにかく量だ、たくさん輸出するんだ、みたいにせっつかれる。官僚は、輸出量を実績にしがちだから。そうなると価格を落としてでも量を売ろうとするかもしれない。差額は補助金で穴埋めするから、安くてもいいかと。しかし価格勝負になったら、中国産備長炭にかなうわけない。気がついたら高級木炭市場も奪われてしまうだろう。

林野庁は、せっかく芽生えた新ビジネスの芽を摘み取るのが名人級だ(笑)。木炭輸出に補助金が出始めたら、そしてそれを輸出業者が受け取ったら終了だろうなあ。

2021/02/17

窯業「試験場」

滋賀県立信楽窯業試験場に行った。

と言っても、この試験場に用事があったわけではなく、待ち合わせの場所として選ばれただけなのだが。

Dsc06974古い看板が飾られている

ここで私がふと感じたのは、「試験場」という用語がまだ使われていること。

昔は、公的な研究機関は、みんな「試験場」ではなかったか。林業試験場、農業試験場、果樹試験場、畜産試験場……。多くが設立された戦前期は、あまり「研究」という言葉がポピュラーではなく、何かを調べたり開発したりするのは、「試験するところ」という感覚だったのかもしれない。

それでも昭和40年代、50年代までは引き続いて普通に使われていたような気がする。それが組織改革の時期と相まって、次々と名称を変えて行った。研究所、研究センター、開発センター、技術センターなどなど。国の林業試験場も、森林総合研究所だしね。今も「試験場」が確実に残っているのは、運転免許試験場くらい?

滋賀県では、窯業に試験場という名を残しているのが古式ゆかしい(笑)。もっとも正確な名称は、今は滋賀県工業技術総合センターの信楽窯業技術試験場となっているそうだが。ちなみに、朝ドラ「スカーレット」にも登場して、ロケにも使われたとか。たしかに、そんな昭和な施設が並んでいた(笑)。

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前庭には、不思議な造形物が……。

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タヌキの化け損ない?トウモロコシに化けようとしたのか、レンガ塀のつもりでいたらツタが巻きついたのか。

なお名前については「窯業だから試験場でよかった」と教わった。「農業試験場なら略してノウシ、林業試験場はリンシになって縁起でもないけど、窯業試験場ならヨウシ。これならイメージ悪くない」そうである。養子と連想すればいいか。脳死とか臨死よりいいわな(^^;)。

そういや東京・目黒には「林試の森公園」という森林公園があるが、これは元国立林業試験場の跡地につくられた。しかし耳にすると、リンシの森、臨死の森と連想するのである……。なんかホラー映画のタイトルぽい。。。

 

2021/02/16

フォレストジャーナルに「香り資源」記事

フォレストジャーナルweb版に記事を書いた。通常なら、それをSNS(フェイスブックとツイッター)に転送して済ますのだが、なぜか今回はツイッターが機能しない。

面倒だから、ここで紹介してしまおう。いつもどおり前・後編に分かれている。

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森から生まれるオイルが林業を救う!? 今注目を浴びている「香り資源」の可能性
広がる「クロモジ」を活かした取り組み! 注目集める和の香りは地域づくりにつながるか

 

前編は、「香り資源」として森の植物から取り出す精油の紹介。後編は、その中でも注目株の「クロモジ」にクローズアップ。

この連載、スタートする際に「書籍で『絶望の林業』書いたから、ここでは『希望の林業』にしておきますよ」と約束してしまった(^^;)。
それで、林業界の中の新しい動き、の中でも多少とも希望のある話題を選ぶことにしているのだが……なかなか大変ですわ。しかも毎月となると。だいたい林業活性化の特効薬なんかはないというのが私の持論なんだが、産業としてではなく、個人・各企業の頑張りで成功しているケースを探している。あるいは、まだ成功という結果は出ていなくても、グッドアイデア!と思えるものを選ぶ。

まあ、どんなアイデアでも、それを成功させるか失敗させるかは、個々人の取り組む人の努力と才覚に任せられている。誰でも成功、なんてアイデアはない。それなのに全国に同じアイデアを強引に勧める愚を犯すのは……●●●だ。私としては、アイデアを紹介して、それを取り入れる全国の挑戦者の中から一人か二人ぐらいは生き残り、成功させる人が現れることを期待しているのだが。

エッセンシャルオイルに関しては、一部でビジネスとして軌道に乗せているようだ。意外なところではオークヴィレッジだろう。ここのグループ会社である正プラス株式会社は、国産精油を他種類出している。yuicaブランドだったか。

ちなみにクロモジ研究会には、私も接触しているんだが、そこで養命酒の主成分がクロモジだということを初めて知った。逆に言えば、今クロモジをビジネスベースに乗せているのは、養命酒製造株式会社だけだろう。養命酒(あるいはクラフトジンでもいいけど)呑んで、「香り資源」に取り組んでください(^o^)。

私は、木材もしくは森林の価値は、「官能」だと言っている。五感に響く商品でないと売れない。木材自体が、視覚・触覚に訴えているが、ほかにも香る林業、聴く林業、味わう林業を開発すると「希望の林業」になると思うよ。

 

2021/02/15

無印の家って、何が売り物?

生駒の某住宅街の一角に「無印良品の家」の家が建ち始めた。

もともとあった家を解体して建て直しのようだが、ベタ基礎を打っていたので、そのうち木材が搬入されたら、どんな木を使っているかわかるな、と思いながら……。

で、仰天。1日で柱が全部立ってしまったよ (@_@)。さらに壁も張られてしまったよ。早い。

Dsc05864花は関係ありません。

その前に木材らしいものが運ばれていたのだが、パッキングされていたので中は全然見えない。建てたら否応なく柱が見える……と思っていたのだが、さっと立てられて、しかも周りにネットがあるから、まったく柱を観る隙を見せなかった。

無印良品は店舗の木装化が進んでいるから、どんな木を使うのか興味があったのだけどな。国産材か、それとも。

残念ながら「見せない」家づくり(笑)。周りはネットを張っているし、近くで透かしてみてもボードしか見えない。それが石膏ボードなのか合板なのかもわからないが、少なくても表面は木ではなかった。完成しても木造とわかるような造りではなさそうだ。


改めて「無印良品の家」を調べてみると、ホームページでは、家づくりの宣伝はしているが、会社概要などがわかりにくい。ただ住宅販売をしているのは「MUJI HOUSE」という会社であった。親会社の株式会社良品計画の子会社なのか。そして意外だったのは、MUJI HOUSEはフランチャイズ方式であること。直営ではなく、各地の工務店がブランドを利用している形だろう。もう設立して20年ぐらい経つようだが、あんまり着工件数は増やしていないから規模は中堅ビルダーぐらいなのかな。

そして建築士やデザイナーは外注しているらしい。さらに自由設計ではなく、モデルプランに絞り込んだデザインに手を加える方式。商品のタイプは3タイプある。これで規格化して価格を抑えたり品質保証をするのだろう。ホームページでは「木の家」「窓の家」「縦の家」「陽の家」の4つが紹介されている。
さらにSE構法と呼ばれる木構造技術を採用しているらしい。これがどういうものかよくわからん。接合部の金物に特徴あるらしいのだが……。
ただ、家づくりの理念はいっぱい書いてあるのに、具体的なことは何もわからん。写真は多用していて、参考にしてくれということか。

面白いのは4つのタイプの家の写真では、もっとも木が見えないのが「木の家」であった(笑)。ほかの家は、外観からして木がたっぷりなんだけどね。

結局、使われる素材はどこにも記されていなかった。おそらく、輸入された集成管柱なのだろう。とくに木材にこだわった、ましてや国産材をどうこういう家ではなさそうだ。せめてどこの国からの輸入か知りたかったのだが。

 

2021/02/14

農業共済新聞「自著を語る」

農業共済新聞という農業経営者向きの新聞(全国農業共済協会発行)があるのだが、そこで『獣害列島』が紹介された。

と言っても書評欄ではない。「自著を語る」という、まさに著者に自分の本を自分で紹介しろよ、上手く書いたら本が売れるぜ、文章力見せてみろよ、という欄である。いやいや、そんなイヤらしいことは一切言われていませんけどね(^^;)。若干、プレッシャーの強い欄なのである。

書きましたよ。400字であるからコンパクトにしなくてはならない。掲載は2月の2週号になった。

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私も考えた。何を書くか。本の内容をこの中で紹介してもしょうがない。それは読んでからのお楽しみにすべきだろう。本には書かなかったことで、本の全体像を見とれるようなことで、あ、この本読んでみようかなと思わせるようなことで、そうは言っても煽情的に読者に媚びたくもないし、もちろん正直に私の本は素晴らしいんだ、と訴えたいし……ああああ、なんとも悩ましいのである。

本書の読者はどちらかというと農業者が多いだろう。少なくても地方で獣害を身近に感じている人向きである。だから版元も河北新報に広告を打った。私自身は今は農山村から地方だが、そのうち都会にも野生動物は襲いかかるぜ、という気持ちもあるのだが、果たしてどんな読者層に届くか。

ともあれ、ご笑覧あれ。

 

2021/02/13

孤立したタケ

某山の中を歩いていて、ふと思ったこと。

タケは、どうやって分布を広げるのか。

普通は、地下茎を延ばして、アチコチで地上にタケノコを出して、そこで竹を生やせばまたエネルギーを蓄積して地下茎を周辺に延ばす……といったイメージがある。だから、タケは常に竹林として群生する。だが、ときたま山の中で孤立したタケを観ることがあるのだ。

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最初は、こんな具合。なんだ、細いササかと思うような竹だが……。

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しばらく行くと、突然タケの棹が現れる。これ、マダケだろうか。それともモウソウチクの細いのか? 

ポツンとある。仮に地下茎をここまで延ばしてきたとしたら、本体?の竹林は相当遠いところにある。見回したところ、周辺にタケはほかに生えていない。最低でも30メートル、いやもっと。だいたい地形も凸凹というか、わりと急斜面。こんなところに地下茎を延ばすのは大変だろう。

だとすると、種子か? タケも数十年に一度、花を咲かせるのだから、その際に種子を作るのだろう。そして、その種子をなんらかの方法で散布するはず。栄養価は高いと聞くが、ノネズミなどの小動物の餌として運ばれる可能性はある。
タケは花を咲かせると枯れるというが(全部でないにしろ)、枯れた後に種子から新たな竹が生長する……それが、こんな孤立したタケなのだろうか。

なんだか素朴の疑問がわいてきた。

考え出すと、わからなくなる。タケの孤独を考える。

 

2021/02/12

十一面観音像と国宝制度。そこに土倉翁

10日夜のNHKの番組「歴史秘話ヒストリア」で奈良県桜井市の聖林寺の十一面観音像を取り上げていた。国宝第1号とも言われる仏像だ。

小さな山寺に奈良時代の至宝がなぜ隠されていたのか。そこには廃仏毀釈など、明治初年に吹き荒れた嵐があって、多くの仏教文化財は破壊された。ただ壊されないよう隠された宝もあったのである。その一つが十一面観音像だった。

それをアメリカ人のフェノロサが見出し、この価値を広く世間に知らしめるとともに保護するために運動して、日本に国宝制度ができたという。1897年(明治30年)のことだ。これは旧国宝制度だが、成立すると最初に指定された国宝の一つが十一面観音像なのである。なお1951年6月の新国宝制度に移管されたが、その第1回の国宝にも選ばれている。

私も、この寺を訪ねたことがある。もっとも十一面観音像を拝観したい……といった深い思いはなく、通りがかったから覗いていこうか、ぐらいの気持ちであった(笑)。ほんと山の中腹の小さなお寺なのよ。そしたら結構なものがあるじゃないの。ふらりと小さな寺に寄ると、国宝や重要文化財があったというのは、わりと奈良ではよくある出来事v(^0^)。生駒市にも国宝、重文のお寺はいくつかあるのだよ。

聖林寺は山の上にあり、周りが高い石垣の積まれた古刹だが、たいして大きくもない。ただ眺めはよかった。

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本堂もさして広くないが、そこにあるの仏像群がすごい。なかでも私は、本尊である子安延命地蔵菩薩(石仏)が気に入ってしまった。巨大な1枚岩を彫った地蔵さんは見事なものである。「3人の石工が数日かけて完成させたと伝わります」とあるが、数日で.彫れたの?と驚いてしまう。

が、しばらく前に座って眺めていたら、肝心の国宝を忘れてしまうところだった。十一面観音像は、別の収蔵庫に安置されているという。そこまで長い階段を登って……。

仏像の写真はとれないのでパンフレットを紹介しておく。

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この仏像をフェノロサが“発見”したのは、明治20年(1887)だそうである。そして国宝制度が誕生したのは、1897年。この間、国宝だけでなく神社仏閣、そして仏像など文化財を守れと運動したのは、フェノロサや岡倉天心などを始めとする中央の人だけではない。奈良にもあった。その中心にいたのが土倉庄三郎である。

1896年(明治29年)1月、『古社寺保存ノ請願』を貴族院議長や衆議院議長に提出しているのだ。その文面の一部を紹介しよう。

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奈良の45社寺連名で、その価値を訴えて、欧米諸国の文化財保護の実態も紹介しつつ請願している。奈良県も頑張ったのだよv(^0^)。こうした運動が奈良にもあったことも知っておいてほしい。

なお、この文書を発掘したのは大和高田市の医師・吉絛久友氏である。

また新たに始まる大河ドラマ『青天を衝け』の主人公・渋沢栄一と庄三郎は親しく交わっていたこともお忘れなく。

 

2021/02/11

建国記念日と神武天皇に寄せて

今日は、気がついたら建国記念日だった。なんか、テレビも朝からいつもと違う番組やってるな、と思っていたら。。。

せっかくだから、祝日の今日は、私の周辺の建国記念、そして神武天皇から昔の森の話をしよう。

まずは、レア物の鳥見霊畤(とみのれいじ)。

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鳥見霊畤とは、神武天皇(当時は神日本磐余彦)が大和を“征討”して統一したこと、つまり建国を宣言したことを示す碑のこと。それはどこで行ったかということで、戦前は学者がカンカンガクガク騒いだそうだ。まあ、伝説の人物が行った伝説の事績の場所を現実の土地に当てはめようと言うのも無茶な話なんだが、結局4つの候補が上がった。奈良県の桜井、宇陀の2つ、東吉野かな。それぞれで碑を建てたはずだ。

しかし、考えてみれば大和を征服する際に最後まで残ったのは生駒の地だ。もともと大阪側から大和に入ろうとして生駒の豪族(登美彦)に迎え撃たれて逃げ帰った地であるが、その後吉野経由で大和に入り、奈良盆地のほかの地域を征服した後に最後まで抵抗した生駒を攻めた。そしてと登美彦をだまし討ちしたことで、全域制覇したわけである。だから征服セイコー!と宣言したのは生駒であってもおかしくない。それなのに、候補地に選ばれなかった。
そこで生駒の有志の人々が学者の決めた4つとは別に建てた……らしい。その頃は尾根まで田畑に開墾されて草山だったのだろうが、今は放置著しい状態で、ハイキング道としてもマイナーすぎてほとんど人は通らない。私は、最初に探し出すのに苦労したのであった。

ちなみに、東吉野村の鳥見霊畤はこちら。

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なかなか立派だ。金かけたんだろう。近くに展望台まであって、かつては観光地だったらしい。今は山奥の忘れ去られた一角だ。荒れ果てていて、誰も行く人はいないのだろう。

一方で、生駒には、こんな碑もある。

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神武天皇顕彰碑。なんで、征服された側が、こんなもの建てるかなあ、と私は個人的に思っている(笑)。

もっと有名なものとしては、紀伊半島の屋根といわれる大台ヶ原の牛石ヶ原には神武天皇像が立つ。

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なんで、ここに建てたんだか不明。伊勢神宮の宮司であった軍人が伊勢と吉野の間にある大台ヶ原も由来があることにしたかったのか。

さて、ここから本稿の本命? 神武天皇の御陵の植生について語りたいと思ったが、もう長くなってしまった。書くのが面倒くさい。橿原神宮の隣にある御陵には、どんな森があるのか。その植生についてはこちらをお読みください(^^;)。

「潜在自然植生」の森を人がつくる危うさを橿原神宮で感じる

Dsc04586 神武天皇陵

 

2021/02/10

Y!ニュース「スギ花粉症の「特効薬」になるか……」書いた裏事情

Yahoo!ニュースに『スギ花粉症の「特効薬になるか 飛散防止剤の効果と課題』を書きました。

裏事情と書いたが、実は裏でも何でもなく、本文の最後に追記されている。【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】の通りだ。

そう、これは編集部からの依頼原稿。どうやらこの時期、Yahoo!ニュース個人では一斉に「花粉症」関連の記事のアップを狙ったようだ。

調べてみると、こんなにある。
「国民病」の花粉症、症状を和らげるためにできること コロナ禍での懸念点と対策を医師が解説
肌に症状が出る「花粉皮膚炎」 すぐ実践できる4つの対策
花粉症シーズンでも家は換気が必要、どう対策? 花粉が一番入らない方法は

それぞれ医師やら住宅やら美容やらジャーナリストが専門分野から花粉症を論じている。私も、発生源(^^;)の森林の分野から書いたということになるだろう。まあ、ほかのは対策ハウツウに近いが、私のは科学的な花粉と飛散剤開発の解説になっていて、花粉症の人からすると役に立たない情報だろうなあ。

ちなみに私は、依頼されないでも毎年この時期には花粉および花粉症の記事を書いてきた。こちらも遡ってみると……。

花粉とマイクロプラスチックは似たもの同士?

縄文人はくしゃみをしたか? 当時のスギ花粉量は現代と一緒だった

花粉症対策の嘘。間伐すればするほど花粉飛散量は増え補助金で潤うカラクリ

無花粉スギに未来はあるか? 

花粉症対策には、道路の舗装を剥がすべし!


もっと前から書いているはずだ。この調子で書き続けたら花粉症の本が出せるかも(⌒ー⌒)。毎年1本だと20年ぐらいかかるかもなあ。

 

 

 

 

2021/02/09

『獣害列島』8位!by三省堂農水省店

AFCフォーラム」という雑誌がある。日本政策金融公庫農林水産事業本部の出している機関誌だが、なかなか骨太の内容だ。多くは農業だが2月号は林業特集。

なかなか興味深い記事が並んでいるが、なんとなく登場するのに知り合いが多い……(苦笑)。巻頭言に「観天望気」に大分の林業家・後藤國利さんから始まり、最後のページの投稿欄に登場するのは……諸塚村の矢房孝広さんであった。北大の小池孝良さんの森林美学も語られている。

で、私が目を止めたのは、本誌には農水省地下にある三省堂書店の売上ランキングだ。

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8位に『獣害列島』が入っていた。このランキング、発売してからの反応が遅いのだが(^^;)、ようやく農水省でも読まれていることがわかった。

ちなみに本日は、オンラインセミナー「第56回提言・実践首長会」だった。各地の市町村の首長が参加して意見交換するのだが、今回のテーマは獣害問題。そこで話題提供としたのが、私以外に農水省と環境省からも野生動物関係部署の人が登場したのであった。私は話が重ならないように腐心したのだが、基本は『獣害列島』である。捕獲だ駆除だと殺すことばかり考えずに、防護と予防に力を注いでほしい。

 

ところで……このランキングのページ欄に載っている書評が、『新版 森と人間の文化史』(只木良也著)だった。只木先生の名著だが、あれ、新版が出ているのね。しかも、この書評での説明によると最初は『森の文化史』であり、それが『森と人間の文化史』(旧版1984年)発刊につながったと。なんだか、両方とも書棚にあるような気がする……。そして今度は新版。この流れだと買わないといけないかな(^^;)。30年以上経って、日本の森は何が変わったのか。

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2021/02/08

鹿灯籠のある寺

生駒山を縦走……というほどではないが、ずっとトラバースしていていると、いくつか寺院に出会う。車も入らぬ急斜面に意外や立派な堂宇を構えた寺院があったりするのだが、たまたま入った慈光寺もその一つ。さすがに今は車道もつくられていたが……。なかなか立派な釣り鐘がある。役の行者が鬼を捕まえた地として知られる。鬼は滅っさず、自分の部下にしている(^o^)。

ほかに野鳥塚があったり、ホトトギスの名所として江戸時代は有名だったり、樹齢200年を超える巨大カエデが繁っていたりと、そこそこ見所もある。

だが、私が目を向けたのは、この石灯籠だ。

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なんの変哲もない……と思いきや、よく見るとシカがいた。拡大すると……。

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奈良の春日大社は、「奈良の鹿」由来の鹿灯籠は数多い。3000とも言われる灯籠のうち何割かにシカが描かれている。が、このお寺は大阪側に建つし、春日系の神社でもない。それなのに鹿灯籠があるのはなぜだろうか。ちなみに生駒山にはシカは生息していない。多分、昔からだ。

それでもシカを描いた石灯籠を奉納した人がいるのだろう。

昔からシカと言えば、害獣だった。一部は獲って食ったり皮や角を利用することもあったが、日常ではない。それなのに神の遣い扱いしたのは、どうしてなんだろうか。シカには、どこか神性があるのか。

日本人は、獲って食ったり田畑を荒らすと毛嫌いしつつ、一方でお祀りしてきた。イノシシもオオカミもクマも神の遣いとして祭っている。そんな動物とのつきあい方をいつか探ってみたい。

2021/02/07

4パーミルイニシアティブと「地中の森」づくり

木材活用地盤対策研究会」というのがあるらしい。

木材活用は山ほど言われ続けているが、地盤対策ということは、杭を打ち込んで軟弱地盤を強化する工法のことだろう。昔からある、というか、極めて古い技術のように思うが、これを現代にもっと普及させようという意図らしい。それはよいが、その目的を地球温暖化防止と結びつけるというアクロバットな(笑)発想だ。

地面に打ち込んだ杭、つまり木材は、すぐに腐って崩れ二酸化炭素を放出するように思えるが、条件次第では腐らず長く保てる。今でも江戸時代に打った杭が発掘されることもあるのだから。その状態をカーボンストックとしている。まあ木造建築を「街の森」と呼んで、木材(カーボン)をストックするという発想も広がっているが、さらに地下まで広げようというわけだ。地下の森、地中の森か。

研究会の目的には、木材活用地盤対策研究会は、地球温暖化緩和・森林育成と木材を活用した地盤対策技術の普及、向上、並びにその発展を図ることを目的として設立されました。とある。

ようするに、木材需要を増やすためにはなんでもありというか、木を地中に埋めてしまえ、ということか。会の役員には、ゼネコンやハウスメーカーが並んでいる。住友林業は、この場合ハウスメーカーの立場なんだろうな。会員には森林組合なども混ざっているが。

これ、土木や建築分野から「木の杭を打つ地盤強化法」として研究するなら結構なんだが、地球温暖化(近年は気候変動と呼ぶべきだろう)を持ち出すところにダサさがある。杭にする木も十数年か何十年か育てたのだから、高く買い取ってやってくれ。それが一番の森づくりにつながる。まさか「地球温暖化防止のために使うんだから安くしてね」とか値切るなよな。

 

実は同じようなニュースを別途読んだ。

地中に炭素を閉じ込める研修会」という山梨県のニュースだ。こちらは果樹の剪定木を炭にして地中に埋めるというもの。これは、土の中に含まれる炭素の量を増やすことで大気中へ排出される二酸化炭素と相殺し温暖化を抑制しようと、「4パーミルイニシアチブ」という国際的な取り組みなんだそうだ。これに山梨県は参加している。そこで2月4日に研修会を開いたという。
4パーミルとは、4/1000(0,4%)のことで、全世界の土壌中に存在する炭素の量を毎年 4/1000 ずつ増やすことができたら、大気中の二酸化炭素の増加量をゼロに抑えることができる、という発想を表している。具体的には、人間の排出する炭素量は毎年43億トンなので、同じ量の炭素を地中に増やしていくということだ。これ、誰が言い出したんだ?(フランス政府らしい)

桃の枝およそ25キロをステンレス製のすり鉢状の形をした特殊な装置の中で燃やし、およそ20分ほどで炭になりました。
研修会に参加した農家で、JAフルーツ山梨大藤支所生産部の小野忠道部長は「二酸化炭素を減らす国の目標もあり、いま環境問題に取り組まないと将来に禍根を残すことになる。できるだけ早く取り組んでいきたい」と話していました。

これもなあ。わざわざ炭に焼いて地球温暖化防止、ですか。その熱を利用して化石燃料の使用を減らしたのならよいのだけど(^o^)。でも、土壌に木炭を巻くのは微生物の生育促進や水はけをよくするなどよい効果もある。というか、そちらがメインだろう。後付けで、それはカーボンストックにもなるよ、という程度なら笑って聞いていられるのだけど、最初に二酸化炭素排出削減のためという大風呂敷を広げられると、なんか脱力する。

なんだか戦争末期の精神主義(^^;)みたい。竹槍で突撃かよ。


いっそ、森林や草原を焼いて、その灰を地中に漉き込むぐらいのことをするか。黒ぼく土を人為的につくるつもりで。いや、そもそも腐葉土を溜めていけばいいのだ。日本では落ち葉や剪定木を焼却処分しがちだが、禁止法をつくって全部積み上げて腐葉土をどんどん厚くしていく。森林土壌に腐葉土を10センチ積み上げたら、十分カーボンストックになるだろう。杭打ったり、炭焼かなくてもいいよ。

3_20210207230401森林土壌を調べてみる。菌糸が伸びていた。

オーストラリアのような土壌が貧相なところでは、有機物を焼却すること自体が悪とされているから、日本でもアリだ。もっとも温暖化が進むと、その腐葉土の分解速度もどんどん早くなるけどね。

2021/02/06

巨石のセラピーロード

生駒山系の北辺を歩き、くろうど園地(大阪府立の森林公園)から交野市の獅子窟寺まで足を伸ばした。

軽い運動のつもりだったのだが、なかなかの山岳コースだった。特別きついわけではないのだが、両側が急斜面の切り立った尾根筋を辿るのである。草木こそ生えているが、なかなかのナイフエッジなみ。しかも、各所に岩がゴロゴロしている。

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八丈岩という名のつく、多分最大級の岩。もっとも樹木に囲まれて全容が見えない。それでも、多分あるはずと裏手に回ると……ありました。こういう岩にはたいてい地蔵さんが祀られている。

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ほかにもこんなドルメンみたいな岩が各所にある。生駒山はどこでも巨石があるのだが、この北端部分はとくに多いようだ。
そして行き着くのが獅子窟寺。これも山の奥で、基本は歩いて登らないといけないことになっている。ま、車があったけど(^^;)。寺としては小さいのだが、開基は役小角と伝えられ、聖武天皇の勅願で行基が堂宇を建てた。さらに空海も修行したとか……この当たりの伝説は、私の地元・宝山寺と同じだ(笑)。ただ本尊の薬師如来座像は、西暦900年頃のものとされ国宝だ。拝観は予約制で見られなかったが。なかなかの古刹なのである。

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これが獅子窟。中に弘法大師(空海)座像がある。

このコース、歩いて思ったのは、これは「巨石のセラピーロード」だ、ということ。森の中を歩いているつもりだったが、実は巨石を見て歩いていたのだ。これって、なかなか癒される。いっそ森林セラピー基地の向こうを張って、巨石セラピーロードで売り出せないか(^^;)。そして生駒山を聖地にする。何、石の伝説をでっち上げ……もとい、見つけ出して掲げれば由緒もできる。

石のセラピーといっても一部にある天然石を売りつけるストーンセラピーと一緒にされては困るのだが、あくまで野外で大きな岩に抱かれる必要がある。生駒山だけでもいくつもコースがつくれそうだし、奈良県では山添村が有名だし。

思えば私も、子どもの頃から巨石が好きだった。大きな石のすき間に入ると、なんだかステキ気分。高じて洞窟もぐりを始めたのだけど、森より癒されるかも。巨石ジャーナリストを名乗るか(^^;)。いや巨石セラピストの方が売れそうだ。やるか!

※「石のセラピー」という言葉に覚えがあるので調べたら、すでに13年前に同じようなことをこのブログで書いていた。「石のセラピー

2021/02/05

平城宮跡を四足ロボットが走る!

これは面白い。平城宮跡歴史公園に、四足歩行ロボットが走るのだ。

20210121_heithree

行うのはNTTコムウェア株式会社。四足歩行ロボットと言えば有名なのはボストン・ダイナミックスだが、あの、イヌ的な生き物のような動きを見せるロボットのすごさ(と気持ち悪さ^^;)が、古代史の舞台・平城宮跡に登場する。

これは、公園の維持管理を自動化する「自動巡回点検検証」の実証実験である。2月中旬から始め3月まで行うとか。

この実証実験は、公園の抱える課題の解決などを目指す社会実験「平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ」の一環。実証実験では「点検しづらい植生エリアの点検」や「体調不良と思われる来園者・ごみや落とし物の発見」「倒木・落枝につながる樹木の危険予兆」といった公園内の維持管理業務を、“自動運転の四足歩行ロボットの巡回による画像データ収集”と“AI画像解析技術”、“3D地図”を組み合わせることで、自動化することが可能かどうか、検証するというものだ。
詳しくは、FNNプライムオンラインをどうぞ。

平城宮跡は、全体で130ヘクタールを超えるし、野外部分でも何十ヘクタールかある。これまで人が見て回っていたわけだが、その管理・巡回を省力化できるかどうかを試すそうだ。

方法は、公園の地図上に、四足歩行ロボットを自動歩行させるルートを設定して記憶させ、そのルートどおりに四足歩行ロボットが公園内を自動で歩行させるというもの。そしてロボットの頭部についているカメラで歩行中写真を撮影する。その写真を、クラウド上に保存してAIが自動で異物や不具合と思われる物体が写っていないか、判定する。もし不具合と思われる写真を発見すると、その場所を公園の3D地図上に表示する。


ま、そんなことはドーデモいい(笑)。私は、奈良時代の風景(を模した)空間の中をイヌのようなロボットが歩いている姿を見たいのだよ。もともと四足歩行ロボット自体にも興味はあったが、古代史の舞台に近未来のイヌが走るなんて。。。そのミスマッチな風景が見たい。
なんか魔犬のような姿になるかも。どうせなら装飾も工夫してもらいたいものだ。

思えば、この平城宮跡歴史公園内には、近鉄電車が走る。そのミスマッチな風景も(一部のファンに)人気だ。実は、現在この近鉄奈良線の線路を地下に移す計画が進行中なのだ(近鉄は渋っている)。たしかに朱雀門の前に近鉄特急が走る光景はおかしい。ミスマッチだ。しかし、それを100年続け、私も子どもの頃から見てきたから,なくなるのは少し惜しい。ミスマッチは面白いのだよ。

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そして、よく考えると、この手のロボットの使い道はもっといろいろあるのではないか。車輪ではなく四足歩行であることは、凸凹の土地、それこそ山林内でも進めるということだ。ロボットが巡回して、獣害を引き起こす野生動物を追い払うなんてのもアリではないか。ほかにも、少しは荷物は運べるから、山行きの人の相棒にもなりそうだ。お弁当を持たせるとか(^^;)。

もっとも、獣と対決して戦うことはできないのだろうなあ。今回の実証実験でも、「不審者の発見」は対象としていないそうだ。不審者とか獣に襲われて、ロボットが壊される心配もしなくてはならない。ロボット3原則(アシモフ)のように、自分を守る能力は必要かも。

いよいよロボットの時代が来る。山より先に平城宮に。見に行こうっと。

2021/02/04

時松辰夫さん死去に触れて

ニュースで、大分県の由布市湯布院町の「アトリエときデザイン研究所」主宰の時松辰夫さんが1月3日に死去していたことを伝えている。83歳だというから、そこそこ天寿を全うされたのだろうが、私にとって記憶に残る人だ。

と言っても、取材したのは20年近く前ではなかろうか。クラフト作家ではあるが、本人の作家活動というよりは木工指導で有名な人だ。全国に木工を広げて、それによる町おこしや個人レベルでの田舎暮らしの生業などとして成り立たせていた。

Photo_20210204223701研究所(工房兼販売店)は樹林に包まれている。

とくに湯布院には研究所という拠点があって弟子の養成をしていたし、湯布院観光の一角を担っていたはずだ。旅館で、ここの木工品(食器から家具まで)などを使って、それが欲しくなってこの店を訪ねる……というルートができあがっていたからだ。

しかもつくられているのは、地元の樹木(雑木)を利用した作品。私が訪ねたときも、果樹園で古くなった木(ミカンだったと思う)を植え直すために伐った木を使った器がつくられていた。材料の木を巡るドラマも聞きながら、それを作品に仕上げていくのだ。それは言い換えると樹種を選ばない。

しかも行うのは、いわゆるグリーンウッドワーク。生木を削る方が柔らかいのでつくりやすい。ただ、そのままだと割れるから少しずつ乾燥させるのだけど、それに電子レンジを使うとか、ウレタン樹脂を浸透させて固めるとか、当時の私には目からウロコの手法だった。
なにより木工品の価格からすると、1本の木から数十万円分の商品が生まれる。

Photo_20210204223801 

由布院ブランドとも言えるものだが、それを全国に広げるための指導も行っていて、各地にここで習った技術で取り組んでいるところがある。私も、その後そんなところを3、4ヶ所見て回った。ただ、完全に成功しているところはそんなにないようだ。町おこし、と思って取り組んでも難しい。やはり木工が好きという人材がいないと進まないのだろう。弟子は約500人、このうち約150人が工芸で生計を立てているとあるが。

Photo_20210204224401細い幹でも、このように成形すると碗が幾つも採れる。

建築材しか眼中にない林業とは違う木材利用に目を向けるきっかけとなった。その意味でも、私に新たな視点をくれた人であった。そうそう、取材で訪れて夕方になったら、晩飯の用意までしてくれたよ(^o^)。

最近、広葉樹林業なんて言い方で、木工にも目を向ける人や地域が出てきたが、ずっと昔から時松さんは、それを唱えていたんだぜ(そして私も、その片棒担いでいたんだぜ)と言いたい。合掌。



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