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森と林業と田舎の本

2020/07/14

密漁対策の漁獲証明制度、創設か

また、宮崎県で盗伐案件で立件されたようだ。詳しいこときは明日の朝刊に載るそうだが……このところ、次々と起訴されている。それでも盗伐、つまり違法伐採は収まらないのだが……。

水産庁が動く、かもしれない。

林業と双璧をなす?違法取引オンパレードの日本の水産業だが、このほど有識者の検討会で漁獲証明制度創設の内容を取りまとめた。

内容は、なかなか思い切った施策だ。産地などを表示した漁獲証明を添付しなければ販売・輸出できなくするというのだ。漁業者が魚種や水揚げ量、漁獲日などを漁協に報告し、漁協がこれを基に漁獲証明番号を付与する。そこに扱う漁協、日付、ロットなどの情報も示す。事業者は、証明番号などを記載した販売・購入記録の保存を義務化する。

ただし、すべての漁獲物にそれを当てはめるのは無理があるので、現在考えられているのは、アワビとナマコ。これって、反社会勢力、つまりヤクザの資金源になっている密漁品だ。なにしろ日本の市場に流れているアワビの約半分が密漁品と言われ、中国に輸出されるナマコも大半が密漁品。将来的には伊勢エビなども対象にしたいという。私は、シラスウナギも加えるべきかと思うけどね。

なお輸出品も漁獲証明を必要とする。輸入する水産物の一部も相手国の漁獲証明書を求める。これがこのまま法律として成立すれば、結構厳しいものだ。これらを排除することができれば、アワビなどは市場に流通する量は激減し、価格は高騰するかもしれない。

こうなると漁業者や卸売、加工業者、小売りなどは証明の表示がある水産物しか扱えなくなる、はずだ。証明書のない水産物や正規品に密漁品を混ぜて販売した場合には罰則も設けるというから、なかなか水産庁本気か?と思わせるのだ。(もっとも、あくまで検討会の案だから、それを水産庁が法案化して、それを国会で通せるかという点が不明確なのだが。)

秋の臨時国会に関連法案を提出する予定だそうだ。法律が成立したら、2年後には運用を開始する。原案どおり法律ができるか。それともヤクザさんのために抜け道をいっぱい用意してあげるのか。

やはり反社会勢力が参入していることが大きいのかなあ。今や暴力団に対する締めつけは相当厳しくなったので、それに連動しているのだろうか。

さて、林業界はどうするのだろうか。違法伐採、無断伐採、違法木材の輸入などが今も続く状況に何らかの手を打つ気はあるのか。

残念ながら林野庁にやる気は見えない。ようやく作った法律がクリーンウッド法だからなあ。初めから抜け道をつくった中身のない形だけの対策。そもそも違法を取り締まるつもりはなくて、合法にしましょう、とよびかけるだけ。盗伐が相次いでいることに対しても、遺憾声明さえ出さない。

しかしその気になれば、取り締まりは水産業界より簡単だと思うのだ。何より業者が(違法に)手にしようとしている金の原資は、たいてい補助金だから。最初に取り締まるだけでなく、補助金拠出後に厳しく検査すれば、すぐボロが出る。利益が出なくなれば、違法行為をやる意味がない。

林業の場合は、ヤクザの参入というよりは国がヤクザの育成をやっているような気がする。ヤバイことできる余地やチャンスをわざとつくって暗に勧めるのだから。。

 

2020/07/13

zoom過多ストレス

コロナ禍自粛が契機になって、zoomなど昔風に言えばテレビ会議が一気に広がった。ようするにパソコン、スマホで映像流しながら複数の人々が話し合う機会である。

私も一応、zoom、ズームは使っている。これはコロナ禍と関係あるかどうかは別として、3月ぐらいに大学の同窓らが話し合う必要があったためズームを始めたのである。その後、仕事でも使っている。決してできないわけではない。(ココ、重要)

ただ、そんなに楽しいものじゃないというのが私の印象。まあ、仕事がらみなら仕方ないし、複数の相手の顔を見ながら話す方がよい場合もあるのはわかる。情報も多くなり、画像も共有できる。出かけていき会うよりはるかに時間も労力も減る。

しかし、なあ。多用しすぎだろう。。。。なんでもすぐ、ズームで申し込まれるのはいかがなものか。ラジオのコメント? それって電話で済むよね。映像要らないんだし。私は寝ころびながら話す方が楽だし。

なかには、見知らぬ学生から質問があるのでズームで……という申し込みもあった。お断り(笑)。

ズームは基本的に時間を縛られるし、自分の顔をさらす(背景の部屋も写る)わけで、誰とでもやるものではない。まず肝心の質問内容をメールで送れと要ったら、愚にもつかない内容だった。私の本の内容を教えてくれというふざけたことまで。読めよ、購入して。

 

みんな話したいのか、会いたいのか。

そういや先日訪れた農産物産直店で、やたら店員に話しかけている男がいた。本人はマスクをしているのだが鼻を出している。効果半減だろーと突っ込みたいところなんだが、店員に話しかけるときは、なんとマスクを外すのだ。しかも声が大きい。。。一人が応答し終えたら、また別の店員にも話しかけている。マスクをはずして(-_-;)。私は離れて見ていたが、思わず自粛警察になってやろうかと思ってしまった。
結局、誰かと話をしたくて買い物に来たのではないかという疑いが。。。

なんかズームもその延長のような感じを受ける。必要もないのに相手の顔を見ながら話したがっていないか。それに複数いても写る基本は顔のアップばかりだ。とくにカメラに顔を近づけすぎる人は、画面いっぱいが顔となって、視線が気になる。ずっと見つめられている気分になるのは、わりとストレスだ。実際に複数の人が集まっている場合なら、自分がどう見られるか気にならないが、カメラ越しゆえストレスになる。それに音声も完全ではないから、イマイチ聞きづらいこともある。

もともと他人と接触が苦手な人は、現在のリモートワークを喜んでいるという話もあるが、私は、接触は嫌いではないのだが、通常は文字(メール)か、電話の声だけの方が楽だ。自分の顔や背景がどう写るか気にするのが面倒だし。背景を変えられるというが、まだそのやり方を知らない。調べる手間も面倒。……まあ、そのうち覚えるか。

そのうち10秒PCR検査でも登場しないかな。集合する人は、それで検査して陰性がわかったら、密になって会議をする(^o^)。

以上、今日は木のことも森のことも考えたくない気分なので、仕事の話にしました(⌒ー⌒)。

 

2020/07/12

フィトンチッドが地球温暖化を抑制する?

今日は、梅雨の中休み。そこで、二上山に登ってきた。二つの峯を持つ火山なのだが、古くから歴史の舞台となってきた(まあ、奈良県内はどこもそうなんだけど)山で、何かと伝説がある。雄岳の頂上には大津の皇子の墓所まであった。

そして頂上付近から見える景色はこんな風。

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大阪側は、大阪湾の奥に明石橋まで見えた。奈良盆地も見渡せる位置だ。一応晴れているのだが、ぼんやり霞のかかった感じ。なんとなく、青いモヤのように見えるのだが……。

ところで植物の出す揮発性化合物のことをフィトンチッドと呼ぶが、科学的にはBVOC(Biogenic Volatile Organic Compounds)と言うらしい。森林浴のネタに使われるが、BVOCの主な成分はテルペン類だとされている。近年の研究で紫外線などとの化学的な反応により、エアロゾルやオゾンなどが生成することがわかってきた。

そして「ブルーヘイズ」を発生させるそうだ。夏の暑い日に青いモヤがかかったようにみえる現象のことだ。大気中に微粒子がたくさん漂うことで青い雲を生乱すのだ。そして夏の日差しを遮り日除け効果が生まれる。そのおかげで森林内の温度が上がりすぎないようにしているのではないか…というのだ。しかもBVOCの効果は、地球環境全体にも影響を与えている可能性がある!らしい。

う~ん、フィトンチッド恐るべし。単に香りを漂わせて虫を寄せつけなかったり人の気分をよくするだけではなかったか。さらにいくつかのBVOCに関する論文に目を通すと、BVOCの総産出量は、炭素換算で年間で数億トンになるという試算が………。

言い換えると大気中に炭素を貯蔵することになるではないか。しかも日差しを遮蔽するなら、気温上昇を弱める効果もあるだろう。逆に森林面積が減少すれば、温室効果ガス(CO2)の濃度は上昇する一方で,温暖化を抑制する物質(BVOC)の濃度は減少することになる。

なんか、森林のすごい役割が隠されているのかもしれない。知らんけど。。。

2020/07/11

Y!ニュース「マツタケが絶滅危惧種になった理由は…」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「マツタケが絶滅危惧種になった理由は、森が豊かになったから」を執筆しました。

このニュース、昨日の朝刊で読んで「あ、これ使えるわ」と思ってスマホでカシャ。写真で記録して置いたのだけど、あいにく昨日は忙しかった。だいたい私はネタをしばらく寝かせて時間とともにさまざまな考えが熟成するのを待ってから書くのだよ。

とはいえ、時事性のあるニュースだから、あんまりのんびりしていたらバリューが落ちるな……と思っていたら夕方にYahoo!ニュース編集部から、このネタは使えませんか?という打診があった。

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あらら。それによると、すでにネットでは多くの反響があってニュースも意見も拡散しているらしい。カンカンガクガク、いろいろな意見が出ているようで、みんな一言言いたがりで、ウンチク垂れたがり、ばかりか(笑)。

それは急がなくてはいけないなあ、と一晩寝かす(笑)。

今朝になって書いたのでした。まあ、そんなに難しくもなく、また奇をてらうこともない。いたって真面目でおとなしい記事でしょ? なんでも、NHKの「チコちゃんにしかられる」でも、同じテーマ(マツタケはなぜ高いのか?)で取り上げたらしい。出遅れまくってるやん。こちらは、「(プロパン)ガスが普及したから」を解答にしたらしいが、私の方が素直だと思うよ。

ちなみに、今朝の「天声人語」でも取り上げているから、よほど日本人はマツタケにニュースバリューを感じるのだろう。
おかげで2年前に記した「バカマツタケ栽培成功」の記事まで、アクセスが増えております。このまま行けば、松茸ジャーナリストも悪くないセンかな(⌒ー⌒)。

 

 

2020/07/10

クロモジ楊枝の復活計画

zoom会議をしていて、ふとひらめいた。クロモジの爪楊枝を普及させられないか。もちろん高級爪楊枝だ。

国産の割り箸は2~3%しかないが、楊枝にいたっては、おそらく99,9%ぐらいが外国産で国産はコンマ以下だろう。ただし、やすい外国産楊枝と張り合っても仕方ないので、高級さを売り物にする。クロモジの爪楊枝は、今でも1本(というのか)5円以上するが、そこは20円ぐらいをめざす。

クロモジは、今やアロマやクロモジ茶、そしてジンのボタニカルとして人気をよびかけているが、やはり本命は楊枝だ(と私は思う)。

なんでも、今ではクロモジの楊枝をつくる職人が全国で一人しかいないというのだが、基本そんなに難しい木材加工ではない。木工経験者ならある程度練習していけば生産できるだろう。日本は木工王国で木工職人も欧米よりずっと多い。ただし、家具などをつくっても売れる時代ではなくなったから、最近はカトラリー(スプーン、フォーク、バターナイフなど)づくりが広がっているという。そこに爪楊枝を加えてもおかしくないはず。ただ、安すぎて儲からないからつくらないだけだ。

仮に売値を20円にしたら、職人は10円受け取る。1日1000本くらい削ったら1万円の収入になる。手削りではなく、機械で成形するのなら、もっと数はこなせるのではないか。若い見習い職人なら、できるように思う。

では、どうして1本20円、100本セットで2000円も払う顧客をつくるか。ここからはアイデア勝負だな。

使い終わった楊枝を使ってクロモジ茶にできます、と売り出すとか。

実は、クロモジには抗ウイルス作用があるらしい。インフルエンザウイルスの繁殖を押さえたという論文を読んだ。この調子でコロナウイルスも?と言い出すと薬事法が恐いが、人気を呼ぶ「機能性食品」ならぬ「機能性カトラリー」にならないか。

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と、まあ、……なんか、いろいろ妄想するのである。

 

 

2020/07/09

今更ながらの「過剰木材緊急対策」

コロナ禍不況対策として打ち上げられた「令和2年度 過剰木材在庫利用緊急対策事業」に目を通してみた。

この件に関しては、Yahoo!ニュースに「輸出木材の保管費用もコロナ禍対策?輸出拡大をめざす農林産物の怪しげな内容」を書いている。ここでは、コロナ禍対策が木材輸出の在庫に補助金を出すことか! と突っ込んだわけだが、それをそのまま延長したような対策事業(笑)。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡⼤により、林業・⽊材産業においては、中国への丸太輸出の停滞、資材難による住宅建築の遅れ、経済活動全体の停滞などにより、国内外での⽊材需要の減少やこれに伴う在庫の増加、減産、⼊荷制限等といった事態が起こっており、事業者の事業継続に影響が⽣じています。
輸出の停滞により⾏き場のなくなった輸出向け原⽊を有効活⽤するため公共施設等における⽊材利⽤を⽀援します。

どうしてもコロナ禍による木材輸出の停滞を強調したいらしい。中国は、すでに正常化しているって。在庫が増えた原因は、国内の建設現場の停滞だろう。今どき輸出木材抱えて「売れない!」と嘆いている業者は、ビジネスの失敗をコロナ禍に隠しているだけではないか。
さらに付け加えれば、水害で山は各地でズタズタになっていて、木が出せなくなっている。現在の在庫が尽きたら、原木価格は一転値上がりするかもしれない。その頃に、この対策事業で需要が増えたらどうなる?

で、肝心の補助案件だが。

○ 過剰⽊材在庫利⽤緊急対策事業
通常⽊材が使われない外構部や公共施設等における⽊材の活⽤を通じて輸出の停滞により⾏き場のなくなった輸出向け原⽊を有効活⽤するための取組を⽀援します。
また、⽊材利⽤を促進するための普及活動を⽀援します。
(対象となる施設)
• 公共建築物等⽊材利⽤促進法に基づく公共施設(学校、保育園、病院、⽼⼈ホーム、駅、庁舎等)
• 災害対策基本法に基づく指定公共機関の施設
• 公共の⽤に供する場に設置される外構(公園等の塀や柵、デッキ、遊具等)

とはいえ、さすがに輸出木材だけに対策というのもオカシイというわけで、木材建設関係に大盤振る舞いをしていた。すごいよ、この項目。

これらは、どこを見ても国産材を使えとは書いていない。おそらく書けないのだろう(書いたらWTO違反になるから?)けど、それなら外材の建材も使えるということか。まあ、それもコロナ禍不況対策にはなるだろうけど(建築業界の、ね)。

(⽀援⽔準)
⼯務店等の施⼯者が⽊材を活⽤する際の経費(材料費、⼯事費等)について、以下の⽔準で⽀援。
• 構造材床⾯積  1平⽅メートル当たり 39,000円以内
• 内装材 内装⾯積 1平⽅メートル当たり 12,000円以内
• 外構材 延⻑  1メートル当たり 17,500円以内 等

これらの金額は、なかなかのものだ。

ただ、よくよく読むと「利用できるのは、CW法に基づき合法性が確認された木材製品です。」という項目があった。CW、クリーンウッド法がこんなところに登場するなんて。CW法に登録していたら支援額が増額するそうだ。こんなもん、取っている業者がいるのか? と言われているが、餌をぶら下げたか。コロナ禍対策のふりをしつつ、不興の法律を抱き合わせるとはなあ(苦笑)。あわてて登録する業者もいるかもしれない。しかし、外材なら合法性は森林認証制度で押さえているはずだ。こちらの方が信頼度は高い。


それにしても外構材高いねえ。ここにケボニー化木材を押し込めないか(⌒ー⌒)。デッキや公園遊具にも使ってほしい。現状は欧州材だが、少しはスギ材製のケボニー化木材(フラン樹脂化木材)もあるよ。

ぜひ、これらの支援策を使って、コロナ禍を乗り切ってくれ(⌒ー⌒)。

 

2020/07/08

驚異の数字が並ぶ宮脇方式の植樹

ヨーロッパで「宮脇方式」の植樹法が急速に拡大……という記事が流れてきた。

またも宮脇昭氏か。しかし、何が起こっているのか。そこで冒頭だけ引用すると……

世界的に森林が減少する現状にゲームチェンジャーとして注目を集めているのが、日本の植物学者である宮脇昭氏の研究に基づいた「ミニ森林」だ。宮脇昭氏はその土地本来の樹木に、さまざまな種類の植物を混ぜて植樹を行い、森をつくる「混植・密植型植樹」を提唱。これまでアジア各地に1700以上の森を作ってきた人物だ。

学校の校庭や道路沿いに設置されることが多い「宮脇方式」の森は、従来の方法で植林を行った場合に比べ、10倍の速さで成長、30倍の密度と100倍の生物多様性を持つという。また、昨年発表された研究によれば、自然林は単一種の植物で構成された植林地に比べると、40倍の二酸化炭素を吸収できると推定されている。

なんだ、この怪しげな記事は(笑)。

ただ注目したのは、ここで取り上げているのはお得意の「潜在自然植生」の森ではなく、「混植・密植型植樹」である点。

ここで少し触れておくと、私が最初に宮脇氏に興味を持ったのは、新聞記事だったかなんだかで「植樹は、同じ樹種ばかりを苗にして植えるのではなく、森林土壌をばらまくだけでよい」という主張だったと思う。ようするに森林土壌に残る埋没種子がそれで発芽して森になるという主張で、すでに各地で実験して成功した、というものだった。もう30年近く前ではないか。当時、新聞記事を切り取った記憶があるので、探せばどこからか出てくるかもしれない。

ともあれ、私はわりと好感を持った。同一樹種ばかり植える植林に疑問を持っていたからだし、土壌を撒くだけなら簡単で済む。ただ、草ばかり映えるんじゃないかとか、埋没種子がどれだけ含まれるかは場所によるだろうなあ、という感想はあった。

しかしその植樹法と、この記事にある「混植・密植型植樹」が同じかどうかわからないし、混植そのものは彼の専売特許ではなく、いろいろな研究者から提唱されている。珍しくないだろう。宮脇方式というほどのことか。

ちなみに私の手元にある「宮脇本」によると、いきなり照葉樹を植えるのではなく、先に陽樹を植えると書いてある。あれ、今とやっていることが違うね。

それにしても、この数字には怪しげな臭いがプンプンする。アジア各地に1700? 10倍の速度で成長、30倍の密度、100倍の生物多様性……どこからこんな数字が出てくるのか。10倍の速度で育つ森なんてあったら、早生樹植林を目論んでいる林野庁が涙を流して喜ぶだろう。30倍の密度かあったらブッシュじゃないの? 100倍の生物多様性って……1種類だけの植林と比べたら100種類の樹種が生えてきたというのだろうか。それとも、この森に外から昆虫などが集まってくるのか? 日本なら多数の草木、昆虫がいるが、極端に生物種数が少ないヨーロッパで可能か(樹木をすべて集めても100種ないと思うよ)。そして40倍の二酸化炭素吸収と来たら、もはやデタラメを通り越して詐欺的言説だろう。
何と何を比べたのか知らないが、こんな数字が出てくる根拠を知りたい。思いつきとか、キリがいい数字を並べただけか。数字を大切に扱わない人物は学者に向いていない。

そもそも、この記事の筆者は何を元ネタにしているのか。誰かを取材したのか、ヨーロッパの現場を取材したのか、それを記した現地記事があるのか。ぜひ示してほしいものだ。とくにヨーロッパで、この方式が広がっているというのだから、具体的なことを知りたい。

※追記。どうも宮脇関連組織のHPの記事を丸写ししたようである。

2020/07/07

七夕の夜に……空から見える森のサイン

今日は7月7日、カルピスの日でありそうめんの日であり、銀河(天の川)を見るべき夜なのに、日本列島全域が雨。それも豪雨だ。災害頻発の悲しい日になってしまった。とくに九州が酷いが、九州は皆伐地がどうなってしまったか、そのうちキッチリ検証しなくてはならんだろう。

そのためには空を見上げるのではなく、空から森を見てみたい。衛星写真でも、航空写真でも、ドローン映像でも。

そこで思い出した、こんな記事。

宇宙からも見える、木で作られたソ連のサイン

ようは、森の伐採あるいは植栽の際に、文字配列をしたというのだ。ソ連時代は、流行ったらしい。文字は「レーニン生誕100年」とかが多いしらいが、1970年代だったら航空写真でも見るのは難しかったのではないか。今なら木はよく成長して、ドローンを使えばすぐに見られるが。

そういや日本にも数年前に話題になったのが、宮崎のミステリーサークル。

 

私もブログで紹介したが、スギの植林の際の密度管理の実験で、木の感覚を変えて同心円上に植えたものが、大きく育って目立ちだしたのだ。

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これ、グーグルマップで探し出したもの。結構、大変だった。

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これは、ドローンで撮られたもの。急にテレビなどで大きく取り上げられたが、もっと前から知られていたんだけど、ドローンの登場で誰もが注目しだしたようだ。

そこで思いついた。森に記録を残しませんかか、というビジネスはいかがだろう。木を伐って自分の好きな文字や絵柄を描いてあげる、というものだ。一文字で10万円ぐらいで。自分の名前を入れるとか、何か宣伝文句とか、あるいはロゴマーク。それを描いてからドローンで写真を撮る。あるいは衛星からも見えるようにして、「宇宙からも見えるサイン」を未来に残しましょう、と売り込む。

なんか、新興成り金が喜びそうな気がするけどな(笑)。1点で50万、100万円ぐらいなら、たいして負担にならないで頼む人がいるような気がする。一方で山主からすると、0・5ヘクタールくらいの森が100万円になるなら、美味しい。まあ、ずっと伐採できないけど。それは契約で50年とか100年と決めておけばよい。それによって価格も変える。

空から見える看板、という森の需要ないかな。

2020/07/06

イオンモールのトイレの装飾

さすがに今日は朝から雨である。九州はまたもや大変なことになっている。熊本に続いて、ほかの県も油断ならないだろう。私は、皆伐ではげ山だらけの山をたくさん見てきたので注視している。盗伐地はもちろん、合法的な皆伐跡地だってどうなるか。。。

ただ生駒はたいしたことない。

そこで買い物に出ようとしたのだが、車で行くにしても駐車場から店内に入る際に雨に濡れるのはイヤだし、その間だけのため傘をさすのも面倒だ。というわけで、選んだのがイオンモール。今年はほとんど行っていない。コロナ禍もあるが、なんだか最近は面白くない。並んでいるものが同じもので飽きがきたのである。それでも、屋内駐車場を選べば、濡れずに、傘をささずに店内に入れる。

そこで我が家から選んだのが大阪の四條畷イオンモール。大阪かあ。イヤだ。アホが感染する……じゃなくて人が多すぎないか。しかし車で20分かからないのだ。

まあ、広いし、平日だし、ソーシャルディスタンスを守りながら行けば大丈夫だろう。

この作戦?は成功。客は少なめであった。シネマもリバイバルものが多い。そんなわけで、ぶらぶらしつつ、トイレに入った。

そこで見たのが、これ。

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何かわかるだろうか。絵画でも彫刻でもない。

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なんと、苔であった。苔テラリウムか? ようするに垂直の板に苔を育ててインテリアにしている。

たまにインテリアの店で小さなビンなどに入れて育てる苔テラリウムは見かけるが、こんな壁の装飾用苔テラリウムは初めて見た。しかもイオンモールとはいえ公共の場だよ。なかなかイオンも尖っているではないか。

苔をもっと広範囲にインテリアにできるようになったら、森からの新たな資源になるのにな。

残念ながら、苔の生育はあまりよろしくないが(^^;)。苔って難しいのだよ。私も育てようと幾度かビンに採集してきた苔を移植したが、何がわかる井野しばらくすると衰退する。まったく放置して成功する例もあるのだが、何か条件かわからない。

ともあれ、こんな装飾を提案した人も、許可した人も、エライ。頑張って育ててくれ。

で、家に帰ると我が家一帯は停電していた。なぜ? とくに強い風も吹いていないのになあ。この雨は油断ならない。

2020/07/05

ひっそり募集? 奈良県の「森林管理職」

まだ全容はわからないのだが、奈良県職員の募集にこんな職種があった。

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えっ、読めない?そうでしょう(笑)。ならば拡大を。

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どうでしょうか。奈良県職員の採用試験実施計画にひっそりとたたずむ?新たな職種(笑)「森林管理職」

来年から設けられるのだけど、これは、奈良県フォレスターのこと。奈良県フォレスターになるには、来年度開校予定の「奈良県フォレスターアカデミー」で2年間学ぶことになっている。こちらの生徒募集もそのうち始まるのだろうけど、その中に特待生?みたいに、最初から奈良県職員として学ぶメンバー枠を設けたようなのだ。

言い換えると、給料もらいながらアカデミーで学べる。そしてスイスへも研修に行けちゃう! 卒業後の進路も迷わずというか決まっているというか、すでに就職しているわけだ。すぐに県内のどこかの地域に幹部として派遣されるのだ。イメージ的には、防衛大学校みたいな感じ? 給与もらって学んで訓練受けて自衛官の幹部候補生になるようなもの。

詳しい条件は7月14日に試験内容が配布されてからわかるだろうけど。

もし、森林や林業に携わりたくて某官庁や自治体職員、あるいは組合とかに勤めたものの内実はデスクワークばかり……あるいは森を破壊する仕事ばかりと腐っている人。あるいは楽しく森の仕事やっているけど、収入など待遇が劣悪とか不安定で将来設計が立たず悩んでいる人。一考に値するかもよ。しかも、この森林管理職は原則配属替えはないから、定年まで同じ森の現場に張りつくことになる。

年齢制限は、昭和55年生まれということは、今年40歳まで受験資格があるわけか。定員は5人らしい。狭き門になるかならないかは、全国から応募が殺到するかしないかによる。我と思わんものは、どんどん応募してほしい。奈良の森の将来が決まる。

それにしても……ひっそりとした募集だな。。。

 

 

2020/07/04

CLTのデメリットを主張しているのは……?

ふと見つけた、こんな記事。

これからの工法・CLT工法 メリットとデメリットは? (前)(中)(後)

ほう、CLTのデメリットを指摘する記事があるのか、というのが私の最初の感想。CLTの記事は、最近になって増えているが、多くは「将来有望な工法、建材」という切り口で、なかなかデメリットを指摘していない。でも実際に売れていないのだから、どこかに問題があると思わないといけないだろう。それを指摘してほしい、私も知りたい、と常日頃から思っていた。

それで読み出したのだが……まず(前)は、CLTそのものの紹介とメリット部分。「日本の林業を振興する」とか「地球温暖化対策の二酸化炭素削減に寄与する」などが並べられ、さらに工期が短い、デザインが変わる、断熱性が高い……などの建材と建築上のメリットが指摘されている。

うん、すでによく出される点だ。では、課題は?と惹きつける。

そこで(中)。

4階建以上になると一般的には耐火建築物で、構造部は1~3時間の耐火性能になるため、「石膏ボードなどを貼る必要がある」(日本CLT協会)

燃え移りを防ぐためCLTパネルにサイディングなどが必要となり、せっかくの木目が見えなくなってしまう。

CLTパネル工法はRC造やS造に比べて、材料コストがまだ高いことが課題

CLTパネルは新しい材料で、接合工法など建て方がまだ確立されていない。データが少なく、安全性などを現場で確認しながら建てる必要がある

CLTパネル工法は経験のある建築士や施工会社がまだ少ない。さらに木造建築は、高度な構造設計ができる技術者が不足していることも課題

RC造や木造軸組工法と比べてアンカーボルトを設置する際の精度の確保が難しく、技術が必要

こんな項目が並ぶ。なるほど、正直知っていることだけど、デメリットを指摘している点はよしとしよう。まあ、研究途上の工法であるのは間違いない。が、それに対する反論的に「補助金が充実しているから、コストは抑えられる」とか記されているのにはムカッ。税金使うのを前提にするなよ。ずっと出し続ける気かよ。

そして、いよいよ(後)だ。ここでしっかりCLTの根本問題を指摘しているか。

(後)を開いて思わず笑った。だって、森林ジャーナリスト田中淳夫氏に聞く CLT工法に課題「業界超えた情報交換を」

ようやく思い出した。少し前に電話で取材を受けたのだった。それが公開されていたのね。
CLTの問題点を、というのでたっぷり話したが、それだけでは全否定になりかねないので、先方は困っている様子だった。それを、なんとかこんな形で(先にメリットを記して)掲載したのね。最後に無理やりひねり出した、CLTを林業振興につなげる方法だって、別にCLTだけのことではない。木材全般の問題だ。

まあ、記事の基本姿勢はCLTを推進したがっているのはわかったので期待はしていなかったが、私のコメントは圧縮して記事をつくったよう。こうなるのも仕方ないだろう。

ちなみに私の立場とコメントを、ここで改めて触れておこう。
CLTは建材としては、そこそこ魅力的。だから建築業界では興味を引くかもしれない。しかし、CLTが日本の林業を振興することは有り得ないし、むしろ木材価格を引き下げる可能性が高い。さらに国産材CLTがつくられることも少なく、超厚物合板マス・ティンバーのようにCLTのライバルとなる新しい建材も次々と登場している。日本で十分に普及するように思えない。数ある建材の一つとして部分的に使われるのが関の山ではないか。

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CLTによる建築風景

 

 

 

 

 

 

2020/07/03

登山路の斜めの横木

金剛山に登ってきた。奈良との県境にあり、非常に登山客の多い山で有名なのだが、実は奈良県側から登る人はそんなに多くない。

山そのものは大半が奈良県側に入り、頂上(葛木山)など幾つかの三角点や由緒ある葛木神社、転法輪寺なども奈良県御所市域にあるのだが、なぜか大阪府民の山のように扱われ、登山も大阪側から登るルートが数多い。大阪側からロープウェイで登れるうえ、府立公園があるからだろうか。

私は奈良県側の天ヶ滝新道を登った。尾根筋をたどるルートだが、そこで見かけたのがこちら。

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わりと急な道だったが、なぜ丸太がこんなに斜めに置かれているのか。別にずれたわけではなさそう。むしろ、きっちり固定されている。
もしかして、水はけを考えたのか?真横に並べると、水が上手くはけずに道が抉れてしまうから。しかしこのような配置に効果があるか? 林道でも水を路面から掃くための斜めのゴム板が設置されていることがあるが。。。

ちなみに、このような設置の仕方は、ここだけであった。

なお、麓から尾根まで、ほぼ全域が人工林であった。これも人気のない理由かも。

 

2020/07/02

Y!ニュース「ウルシが枯れる理由は……」書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「ウルシが枯れる理由は、森林を荒廃させるコロナ禍のような世界的感染症だった」を書きました。

これは、ある人からの情報提供によるのだが、内容は森林総研の人が昨年12月に日本森林学会誌に載せた論文に関する記事。ウルシ林の衰退に関するものだ。そこでファイトフトラ・シナモミという名前を知った。

ただ、私はウルシ林の衰退よりも、そこにあった起源は東南アジアかパプア・ニューギニア、というところに引っ掛かり、さらに世界中で木を枯らしていることが気になった。そこで少し調べて論文の原文を見つけて読んでいるうちに、なぜ日本に伝播したのかと考えてしまった。

そして、ふと昔に取材した腐葉土の輸入などを思い出したのである。

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これが輸入落葉。こうして積み上げて発酵させるのだが、これでは表面はたいして温度は上がらないだろう。おそらく細菌やウイルスだけでなく、小さな節足動物もいるのではないか。もしかしたら新種の昆虫もいるかもしれない。

もはや止められないだろうなあ。微生物のグローバル化についても真剣に考えないといけないよ。

 

 

 

2020/07/01

森のアジサイの効能

昨日だったかの朝日新聞の「天声人語」で、こんな内容を取り上げていた。

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内容は、岩手県一関市の「みちのくあじさい園」を紹介しつつ、アジサイの花に関するエッセイ風なのだがここには触れていない裏側がある。それは、この「アジサイ園」は立派なビジネスであり、しかも林業になっている点だ。
私も幾度か訪れて取材している。ここは、林業の新たな方向性を考えるのにも向いているからだ。ちなみに、そのうちの一つがフォレストジャーナルに記したこの記事

そもそもあじさい園を経営する伊藤さんも林業家である。それどころか指導林家なのだ。そしてアジサイの花園としての経営に加えて、記事にあるような〇〇〇〇〇フラワーの生産も手がけるようになった。林業の木材生産が長期利益を求めるのなら、あじさい園で中期利益、アジサイの花から生産する商品で短期利益を得ることができる。単なるアジサイの花を愛でているのではないのだよ。

 

実は私も影響を受けて、生駒山の一角にアジサイ栽培を行っている。林業ではないけれど、森のデザインとして何ができるか試みの一つである。

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私の場合は、タナカ山林をあじさい園にするつもりはなくて(下手にアジサイいっぱいにしたら勝手に侵入されて荒らされてしまいかねない)、雑木と交えてアジサイを増やしていこうという趣向だ。できるだけ道から見えないようにしている(⌒ー⌒)。ただ、私が内部に入って楽しもうというのが目的だ。森を美しくするのは、森に通う理由にもなる。
アジサイが大きく育てば、ササや草を抑えてくれるだろう。今の季節は虫だらけだけど、アジサイは害虫にも強い。しかし、植え始めて思うのだが、花が咲くことの満足感は大きいね。なんか下手な作物より楽しい。自分が植えて育ち、森の景観が変わっていくことは楽しい。そのうち「秘密の花園」にすることをめざしている。

ちょうど梅雨の今どきが植えるチャンス。雨のスキマを縫って挿し木をしていこう。

 

 

2020/06/30

民間地の生物多様性認証制度の創設?

環境省が、景観や生物多様性などを長期的な観点で保全するための認証制度をつくろうとしているらしい。

ここでポイントなのは、対象は民間所有の森林・土地であること。国公有地はすでに保護制度をかぶせているところが多い。国立公園のほか森林生態系保護地域だの原生環境保全地域だの、いろいろある。だが、そうした法的な枠組に入っていない森林や里山を当てはめることを想定しているようだ。そのための認証の基準や選定方法などをこれから検討していくのだという。

今年度から候補となる森林や里山に関して動植物の生息や景観の実態を調査し、2022年度から運用を始める予定だ。

もっとも、まず民間所有の森林などが、どこに、どれくらいあるのか、その管理状況を把握するところからスタートするらしい。日本には企業や個人のほか神社や寺も森林などを所有しているところが多いし、共有地などもある。環境省としては、これまで目を向けなかったそうした地域の自然保護を強化したい考えだ。そして認証地をつなぐネットワークを構成して生物が移動できるようにし、健全な生態系を保存したいという。

しかし調査方法も難しいし、認証基準や選定方法についても決めねばならない。しかし民有地となると、私権の制限につながるのかどうかも大きな課題になるだろう。とくに林業地などはいかなる判断をするのか。仮に現在の環境が素晴らしいと認定した後に、伐採できるのか。あるいは里山のように、水田や畑を始めとする農業地も含むと、常に人の手を加えることで維持される自然となると、単に「保護する」では済まない。それこそ農薬や除草剤の使用方法まで考えねばならない。
さらには森林認証制度との兼ね合いも出てきそうだし……なかなか前途多難な様子が目に浮かぶ(^^;)。

有識者や海外の事例を元に決定するそうだが、そもそも民間所有者が積極的に認証を取りたい、と参加を促すには、メリットがないと進まないだろう。むしろ認証を取得できない森林は二流のレッテル張られるぐらいでないと前向きにならないのではないか。
ただ、トキやコウノトリの保護のために里山を保全する自治体の条例もあるわけで、不可能ではないだろう。むしろ市民の意識を高めなければ効果を生まなくなりそうだ。

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タンチョウヅルのいる里山の風景も候補、かも?


その背景を探ると、国際的にも、法的に保護された区域以外の場所でも動植物や景観を守らないと全体の生態系を維持できないという考え方が広がっているらしい。それを日本に取り入れようというわけだ。

実は、日本の愛知県で開かれた生物多様性条約会議では、2010年より10年間の目標を定めていた。いわゆる「愛知目標」である。20もあって複雑なので、リンク先で見てほしい。ただ今年が目標の最終年となっているため、次の締約国会議では、新たな目標が議論される。そこで民間所有の自然の保護を入れることになりそうなのだ。環境省は、先んじて認証制度を創設して、国際的にアピールしたいのだろう。

さて、どうなるか。民間であろうと森林は公共財であり、社会資本であるという見方に立てば、何らかの枠組は必要だ。それを認証制度の形で行うのが適切なのかどうか……イヤなら参加しないだけ、とはならないか。

ともあれ、環境省が意欲的に取り組むのなら期待して見守っていきたい。

 

 

2020/06/29

クロモジのクラフトジン

私は酒類の中でも、ジン飲みである。なぜか若い頃からジンをよく飲む。昔は安酒でさっさと酔っぱらうための酒のイメージがあったが、むしろチビチビ味わって飲むのが好きだ。

だから、近年のクラフトジン・ブームは歓迎したい。手づくりというか、小規模で個性的なジンづくりが世界的に流行っているのである。一つには、ウイスキーのように長い年月寝かせる必要がなく、スピリッツにボタニカルと呼ぶ植物性のハーブを漬け込んで浸出させればジンになるという安直さ?のせいかもしれない。だから焼酎メーカーなど、醸造できて、蒸留設備を持っていたらアルコール度の高い蒸留酒をつくれる。あとは漬け込むボタニカルの選定……でできると考えるのだろう。そういやコロナ禍で、酒造メーカーが消毒用(にも使える)アルコールを生産し始めたが、工程は似ているのである(笑)。

日本産クラフトジンも増えた。それぞれ特徴を出そうと、ボタニカルにこだわる。日本的なボタニカルを加えるることが多い。そういや以前、「季の美」というクラフトジンを紹介したことがある。それはヒノキを使っているからだった。

で、今回私が手にしたのは、これ。

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養命酒株式会社がつくった「香の雫」。この特徴は何か。特徴的なボタニカルは……。

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クロモジだった。クロモジは、日本特産で、最近はちょっと人気だ。もともと高級楊枝に使われていたが、その爽やかな香りが気に入られたのか、アロマにもなっている。クロモジ茶も開発されている。さらに飴もある。なかなか人気者なのである。

そこにクロモジ・ジンか。

ま、それだけなら、新機軸かというだけだが、ちょっと驚いたのは、養命酒は薬草を浸出させた薬用酒だが、その主力の薬草はクロモジだったのだ。日本で利用されているクロモジの大半が養命酒で使われているとか! だからジンにもクロモジを使うのは当然と言えば当然の選択かもしれない。

木材だけでない林業を考えた際、クロモジというのは、今後ちょっとしたブームかも。クロモジはクスノキ科だから、樟脳に近いスッとした香りを持つ。畑で育てるより山地が向いているようだ。しかも数年で育つ低木だから、経営的にも回転は悪くない。

なお、新潟のろくもじ株式会社がクラフトジン「ROKUMOJI」を開発したそうだ。こちらはクラウドファンディングで資金を集めての挑戦だ。ここにもクロモジが使われている。ほかアテビ(ヒバ)や茶、ドライアップル、アンジェリカルートなどが使われているそう。


ちなみに私は国産ジンに対して言いたいのは、奇をてらうな、ということだろうか。生姜だけを入れたジンとかもあったが、それって生姜酒である。。。。ジンとは、ジュニパーベリーの香りが基本なのである。ヒノキやユズや茶もいいが、肝心のジュニパーの香りがしないのはジンじゃないよ。ジュニパーはヒノキ科のセイヨウネズの実だが、日本で近いのはやはりネズ(ムロ、ネズミサシ)かね。香りは違うのだろうか。
球果は杜松子(トショウシ)というそうで、漢方の原料とか。

クロモジとネズを国産にできないだろうか。

 

2020/06/28

森林体験と離職率

森林・林業白書に、こんなコラムがあったのだけど……。

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ようは、社員を森林内の野外活動(これを森林セラピーと呼ぶのはどうか? 林野庁自らが定めた森林セラピーの定義とずれていないか)をさせたら、離職率が下がったというのだが……。

具体的には2005年から2007年までの3年以内の新入社員の離職率は12%あったが、2008年から2014年までの期間では1%まで下がったというのである。

なんか、うさん臭い(笑)。この手の数字は、機能性食品を摂取したらナンタラカンタラの効果が出ました、というのと同じだ。森林セラピー基地側の宣伝パンフなどで使う程度なら目をつぶるとしても、白書で記すことか。不当表示にならないか。かろうじて囲みのコラムに納めているが、少なくても数字を出すべきではない。
森林セラピーの医学的エビデンスそのものが、かなりいい加減であるが、離職率の減少と結びつけるのは反則技というかサギ的論法のように思う。偶然の結果を必然に見せかけるのは、サイコロの目で株式投資先を決めるようなものだろう。

だいたい2008年はリーマン・ショックがあった年であり、その後数年間は雇用環境が極度に悪化した時期だ。その時にようやく正社員として勤められた人は、簡単に離職しないのは当たり前だろう。仮に年間何十日間は森林体験させているから、とでもいうのならまだしも、入社時の数日間の研修くらいでストレス発散方法を身につけたというのも無理筋。

それなら林業界の離職率の高さはどう説明するんだ(笑)。森の中にいてもストレス発散できない、ストレスたまるからか。

本当に離職率へ直接的な影響を与える要素は、給与の額と休暇取得日数、そして職場の人間関係である。コロナ禍中のリモートワークのように、他の社員と合わない環境をつくったら離職率が下がるかも。

2020/06/27

岡山に木材研究の拠点?

このニュースをどのように読み取るか……。

岡山大学に新工学部を2021年4月に新設する計画があるそうだが、そこに森林保全から林業、木材加工、木造建築までを一体とした教育研究ゾーンづくりをつくるための検討委員会が発足するそうだ。

岡山大学に加えて、岡山県立大学や岡山理科大学(加計学園?)とも交流し、岡山県、真庭市、真庭地区木材組合、そして林野庁や銘建工業も協力するとか。建築家の隈研吾氏も委員になるみたい。

なんだか岡山県あげての計画に見えるが、ようするに県北地域で林業や木材製品、木造建築などを研究するというものである。だが、岡山県には森林科学系の大学はないはずだし、そもそも新設されるのは工学部なのだ。森林保全とはあるが、ようは木材を扱う研究だろう。森林生態系より、建築に重心があるのは想像できる。
ともかく、産官学で研究すると打ち上げたのだから、何か思うところはあるはず。

CLT以外のネタを探すのかな? CLTは国の研究機関がやってしまったし、CLT工場も全国に立ち上がったから、いまさら岡山県としての出番はないはずだ。ただ問題は、CLTが全然売れないことだろうねえ。。。。国産材を使用しているのかも怪しくなってきた。次の一手を考えておかないと、打ち上げ花火になってしまうから。
でも必要なのは、素材(CLTなど)の性質性能などの研究ではなくて、需要開拓だろう。それも高く売れる需要を見つけないと、安い欧米製にたちうちできない。果たして「教育研究ゾーン」の取組として、需要開拓に取り組めるか? それと、付け足しのように?森林保全とか林業も書き込んだのだから、山の現場のことも研究していただきたい。

そういやケボニー化木材(フラン樹脂化木材)の研究も岡山県と岡山経済界は関わり協議会を設立したはずなのだが、私の感触としては、ほとんどやる気なさそうだった(笑)。脱線するが、ケボニー化木材の国産化の研究はそれなりに進んでいますよ。そう遠くない時期に実用化されるんじゃないかな。(ケボニー化というと、ノルウェーのケボニー社のものになってしまうので、最近はフラン樹脂化という言葉を使うようになってきた。)

こちらは、まだ製造技術の研究段階だが、今から需要も発掘しておくべきだろう。これもバックキャストの発想で、まず最終的な使い道を描いて商品開発をしないと、先に「こんな性能の商品できました」と言っても、使い道がわからないのでは話にならない。まあ、日本のものづくり全体が陥っている罠なんだが……。


 

2020/06/26

Y!ニュース「アメリカで除草剤裁判の判決相次ぐ…」書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「アメリカで除草剤裁判の判決相次ぐ。びっくりの結果は……」を書きました。

気づいているだろうが、ブログに書いた「除草剤を巡るアレコレ」の発展版。

もともと、この記事の元になる「ジカンバ除草剤の裁判判決」はYahoo!ニュースには向いていないな、と思ってブログに書いたのだが、その後に、「グリホサート裁判」の判決を教えてくださる人がいた。こちらの判決も出たのか、しかも正反対?の結果。これは面白い、じゃあ、Yahoo!ニュースに書こうかな、と思いついたわけである。

こうして皆さんの情報提供によって成り立っているのだよ(^_^) 。

正直、除草剤のような化学物質にそんなに興味があるわけではないけれど、以前はゴルフ場に関して農薬について勉強したこともあるので、それなりにかじっている。それに、ちょうど林業の下刈りに使う除草剤の是非を調べる機会があり、その流れでもある。こちらの記事もそのうち出るだろう。

では、また皆さんの情報提供をお待ちしています。それを記事にできるかどうかは吟味させていただくが、貴重な機会である。

 

2020/06/25

ジュンク堂書店の棚

久しぶりにジュンク堂書店奈良店に行ってみた。たまには大型書店で本を探したい……て、奈良のジュンク堂はちょっとしょぼいのだけど……

と腐してはイケナイ。

森林・林業棚を見て驚いた。

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今も平積みだよ。発売後10か月以上経ってもこういう置きかたをしてくれることに感謝。いい店や~。

ただ、隣が某宮脇氏の本なのだが……。これは奇縁ですねえ。潜在自然植生のことを記事にしたばかりに皮肉か? 
ちょっと、アチラの本の方が出張っているのが気に食わん(笑)。

2020/06/24

除草剤を巡るアレコレ

私は、農薬や除草剤を嫌う人は、喫煙はもちろん胃薬も風邪薬も頭痛薬も飲むな、と言っているんだが、こんなニュースが飛び込んできた。

カリフォルニア州サンフランシスコの裁判所は、独バイエルなど3社が発売したジカンバを使った除草剤について、登録を無効とする決定を下した。多くの農家は、この除草剤の散布を前提に、ジカンバに耐性を持つ遺伝子組み換え作物の作付けを進めてきただけに、突然の決定に大混乱に陥っている。

こうした記事が世界中に配信されると、おそらく除草剤や遺伝子組み換え作物の反対派は「見ろ! アメリカも除草剤禁止に舵を切ったぞ」と狂喜乱舞するんだろう。ちゃんとニュースを読まずに……。ちなみにバイエル社は、モンサント社を吸収合併しているのだが、今はもう存在しないモンサントの名を連呼するのも反対派の特徴(笑)。

もともと、この除草剤は、スーパー雑草対策として開発された。アメリカでは、農家がグリホサート系の除草剤(だいたい「ラウンドアップ」ですな)を使ってきたことで、2000年代に入るとグリホサートに耐性を持つスーパー雑草が次々と出現していたのだ。
そこで「スーパー雑草」に対抗する「スーパー除草剤」としてジカンバ系の除草剤が登場したわけだが、この薬剤、周囲に飛散しやすい。そのため散布した周辺の農地で作物がどんどん枯らしてしまうという事件が多発したわけである。この被害に対する裁判となり、登録抹消、つまり新たに売買できないようにしたわけ。この除草剤が人体に危険なのかどうかは別問題で、私にもわからない。

ちなみに、ほかにもスーパー除草剤はいくつかあるので、そちらはどうなるかよくわからん。すでにほかの除草剤をつくっている会社の株価が高騰しているという情報もある。
むしろ問題は、アメリカ産農産物の収穫量に対する影響だろう。大豆や綿花のジカンバ耐性品種のシェアは約6割に達するそうで、その畑の雑草対策が上手くいかないと収穫量が目減りする恐れがある。今度は穀物メジャーの株価が変動するだろう。

付け加えておくと、私は除草剤を無害だ、危険性まったくなし、というつもりはない。ただ人体に対する影響や残留性の問題は、ほぼクリアされている。地下水にも浸透しないし、多くの種類は数週間で分解して効力がなくなる。
ただ憂慮すべきは、生態系への影響だろう。この点は、私も相当ていねいに対応すべきと思っている。今のところ目に見える被害は出ていないが、将来的に新しい危険性が出現する可能性がゼロとも言えない。だから慎重に使うのに越したことはない。風邪薬だって飲み間違えたら体調を悪化させるだろう。

以前、超微量の化学物質が、動植物にホルモン剤と同じように働くという「環境ホルモン」公害が一世風靡したことがあった。しかし、結果として事例のほとんどが否定された。今や死語になっているが、また同じことが指摘されるかもしれない。

林業地の造林後の下刈りでも、除草剤を使うことへの反対が強いが、日本以外の国では普通に使っている。それを嫌がるのはかまわないが、代わりに人力に頼り、過酷な労働を低賃金でさせることを前提に考えるのがよいことなんだろうか。人手が足りないから、外国人労働者を入れるという動きもイヤらしい。

ようは雑草の対策法の一つとして除草剤は、使う量や散布の仕方、時期……などを見極めるべきなのだ。アメリカのように飛行機やドローンで散布するのは、やっぱり気色悪いね。周囲に飛散するから必要量をはるかに越える量を撒くし、隣の作物を枯らすこともあるだろう。

さて、アメリカ産大豆や綿花の価格が、来年以降、高騰するかもしれない。文句言わないように。

2020/06/23

10分の1しか白くないハンゲショウ

テレビで尾瀬の湿原の秘密を紹介する番組を見たので、私も生駒山の湿原が気になって見に行ってきた。ちょうど、夏前なら半夏生(ハンゲショウ)が茂っているはず……ほかにもキンポウゲも咲いているかな……とか想像していたのだが。

あらら。半分どころか10分の1も白くない。ハンゲショウじゃなくなるぞ。

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全然白くない。どうした、まだ早すぎたか。ハンゲショウは少しずつ葉を白くしていくのか。それとも湿原の異変か。

ちなみに昨年の湿原は、こんな風。半分以上白い。また2年前にこの湿原のハンゲショウを記事にしていた。昨年は「半分、なつぞら」という記事にしている。ハンゲショウ、毎年紹介してるやん(笑)。でも、今年は……。

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実際、今年の湿原は、全体に樹木化が進んでいるように感じる。高さ2メートルぐらいの灌木がそこかしこに生えているのだ。

乾燥して陸地化きた? いや、地表に水分は十分にあるように見えるのだが……。昨年は生えていた草花があまり目に入らない。湿原の植生は移り変わるものだが、たった1年で様変わりというのも早すぎる。

なかなか目が離せないぞ。

 

2020/06/22

「ご神木」の伐採は是か非か

八王子市の神社が、境内からはみ出て通行を邪魔するケヤキなどの木を伐らないで困っている、という話題をワイドショーでやっていた。

とうとう八王子市と国土交通省の関東地方整備局が、行政代執行を行ったそうだ。はみ出した木の枝の伐採と撤去したのである。最長9メートルもはみ出ていたらしい。信号は見えないわ、道を越えて向かいの児童館の敷地まで伸びていた……とか。

代執行でご神木伐採

問題は、神社側が22回にもおよぶ市などの撤去を求める指導に応じなかった点。「この木は、ご神木だ」という主張をしていたらしい。本当にご神木だったのか怪しくて、私もテレビで見たかぎりでは、なんか宮司が依怙地なだけのように思えたのだが……そもそも神木とは何か、神木は伐ってはいけないのか、ということが気にかかる。

そもそも私は、神社の「鎮守の森」が禁足地で、太古の自然が残っている、潜在自然植生だ……という言説を信じていない。

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これ、某神社のご神木である。スギの大木だ。ただ、私が総代に話を聞いたところ、境内はヒノキ林で、その中には大木も多いものの、もっとも太かったのがこのスギだったから「神木」に選んだという。選んだ……総代が直接経験しているらしい。わりと新しいのである。

ついでに言えば、奈良県の大神神社。神社の中の神社というほど古く、三輪山を御神体にしていることで知られている。1_20200622164502 三輪山

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三輪山は、登ることはできるが、写真禁止などいろいろ厳しい。ただ、山が禁足になったのはどうやら江戸時代らしい。古代には、木を伐っていたから林業発症の地ではないか、と私は思っているのだが、その後もマツタケの名所だった(^o^)。みんなマツタケを採りに入っていたのである。また古い絵図にもマツが描かれているが、マツが生えているのだから土壌は貧弱なのだろう。木や草を採りすぎて荒れていたに違いない。

ほかの有名な神社でも、木材を得るため鎮守の森に植林していた記録がある。本殿など神社のお堂建て直しのための木材なのか、あるいは売って金に変えたのか。そしてマツタケだけでなく、落葉や下草も肥料として周辺の農民に販売していたらしい。それを止めたのは、一部は明治、多くは戦後のようだ。「潜在植生」というのも、戦後手を入れなくなって成立した鎮守の森なんだろう。

だからなあ、ご神木というのは、もっとも太くて高く売れる木だという意味だと思うよ(^_^) 。

2020/06/21

スポルティッドなギター

先日見た「美の壺」で取り上げた「ギター」。

美術品としてギターを見ると、その魅力のほとんどが使用する木材に左右されることがわかってくるのだが、こんなのも登場した。

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全面が杢の出た板。スポルティドメイプルなんだそうだ。て、そんな樹木は知らないから調べてみた。すると樹種ではなく、スポルテッドとは樹木が傷ついた際に雨水等とともに侵入した菌やカビによって出来た帯状の黒い筋のことらしい。とくにメイプルは多いとか。樹液を採取するために傷つけることが多いからだろうか。ある意味、病気?奇形?なのだが、ギターのトップには人気なんだそう。

たしかに杢としては面白い。ただ、菌に侵されて変質したわけだから、木材としては強度が落ちるし、そもそもひび割れがあったわけで、音としてはどうなんだろう。それがより面白い音になるのかもしれないが、正統派楽器ではないように思う。いや、二次的な木目の模様なのだから、本来の杢でさえないのかもしれない。

そういや、先日訪れた岩手の小友木材店で見かけた杢の板。

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これは何の木かな。この板からギターはつくれるだろうか。社長とこちらのカメラマンは、ギターの話で盛り上がっていたが(笑)。

2020/06/20

薪の価格は……どうなった?

先日、森林・林業白書で「特用林産物」、とくに漆について紹介した。

もう一つ大きな特用林産物(キノコ以外)と言えば、薪がある。燃料としたらバイオマス燃料が急速に拡大しているが、薪はそこには含めないんだ。木炭も大きいが、こちらはむしろ輸入が目立つ。しかし、薪はほぼ国産と言ってよいのだろう。

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生産量は、急減して2006年がボトムで、そこからじわじわと増えてきたようだ。(震災で落ち込んだ点は除く。)

2018年には4.8万㎥(丸太換算)となり、近年は5万㎥程度で推移している。生産量を都道府県別にみると、多い順に鹿児島県(8964㎥)、
長野県(8459㎥)、北海道(7932㎥)……。北海道はその広さと寒さからもっと多いと思ったが、そうでもないらしい。鹿児島が多いのは、カツオ節製造用かな。と考えると、薪ストーブ需要は長野県が一番多いのかもしれない。もっとも北海道は自給の割合が多そうだし、長野は首都圏など遠くまで販売している可能性もある。

ところが驚くべきは価格だ。長期的に上昇していると言えるだろう。とくに震災で生産量が落ちたときに急騰している。ということは、震災でむしろ需要は増えたのに、生産が滞ったということか。2018年は層積立米単価で2万6100円だ。(1層積㎥を丸太0.625㎥に換算)。
そういやホームセンターで見かけた薪も、ひどく高かった。一束760円などとある。同じホームセンターでも、数年前と比べて2倍になっているのではないか。それほど足りないのか。こちらはキャンプ用だろうが、高くてもイットキのレジャーなら買う人はいるだろう。

しかし、こんなに高止まりしているのなら、もっと生産に新規参入してもよいと思うのだが、そうもいかないのだろうか。

やはり薪にする木を伐りだして、割って、さらに乾燥……という工程はなかなか大変なんだろう。それに、たいてい配達が必要だろうし。

と思っていたら、本日の発見。

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これ、なんの木かわからない。剪定木だろうか。とにかく山積みなんだが、そこの看板に注意。

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「薪、無料」だった(゚д゚)。「自由にお持ち帰りください」だと。ようするに薪を生産しているのではなく、廃棄物処理か。ほかに堆肥もいいらしい。

こんな業者がいたら、せっせと薪を生産している業者はあがったりだな(笑)。

2020/06/19

人類は脳を小さく進化させた

最近、改めて人類の進化に関する本をよく読むようになった。

改めて、というのは、10年20年前に同じマイブームがあったから。アウストラロピテクスからホモ・サピエンスにつながる進化の歴史が面白くていろいろ読みあさったのだ。

満足してしばらく離れていたが、ここ10数年の間に人類史の研究はすばらしく進んだ。新化石の発見が相次ぎ、新種もは続々と。単に形態だけでなく、生活や知恵までわかる遺跡も見つかっている。
そしてインドネシアのフローレンス島で、ホモ・フロレシエンシスが見つかった。これは、いわば小人種だ。身長1メートルあまり。一貫して身体を大きく進化させてきた人類が、いきなり小さくなった!という新種発見に私は驚いた。人類進化の根幹が変わる。そこでまたも関連書を読み込んだわけである。

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いずれの本もそれぞれ興味深かったのだが、とくに「絶滅の人類史」で驚くべきことを知った。

それは脳味噌の容量の変化だ。

たとえばチンパンジーは、約390ccだ。

初の直立二足歩行をして人類へと分岐したとされるサヘラントロプス・チャデンシスは約350㏄。むしろ小さくなっている。が、これぐらいなら誤差範囲か。

アウストラルピテクス・ガルヒは、約450㏄。少し後のアウストラロピテクス・ボイセイは約500㏄
同じ頃のホモ・ハビリスは509~680㏄
ホモ・ルドルフェンシスは790㏄
ホモ・エレクトゥスは時代によって変異が大きいが約1000㏄とされる。

そして、ホモ・エレクトゥスから生まれたホモ・ハイデルベルゲンシスは約1100~1400㏄となった。
そこからヨーロッパに渡って進化したホモ・ネアンデルタールは、平均で約1550㏄に達している。なかには1740㏄を越える個体もある。これは人類史上、最大の脳を持つ。
ところが、アフリカに残ったホモ・ハイデルベルゲンシスから誕生した我等がホモ・サピエンスの古い時代は、約1450㏄だ。つまり、ネアンデルタール人より小さい。そしてそして、現在の人類の平均は1350㏄なのである! 

なんと、ホモ・サピエンスは、脳を小さくしたのである。また身体もネアンデルタール人より華奢だ。

ちなみにホモ・フロレシエンシスは、ホモ・エレクトゥス(ジャワ原人)から進化したようだが、脳は400㏄とチンパンジー並。ジャワ原人の半分以下だ。知能がどうだったかはまだわからないが、少なくても5万年前までは生き延びていた。ほとんどホモ・サピエンスが誕生して広がった時代と重なっているのだ。人類は大きくなるばかりではなかったのである。

仮説として、脳はエネルギーを使いすぎるからではないか、と推測がある。脳は、ほかの器官より圧倒的にカロリーを食う。そのカロリーを得るためにはのべつなしに餌を探して摂取しないといけない。植物質を食べる動物(シカなど)は起きている間中餌を食べている。

ところが肉を食べることになると、短時間に栄養摂取が可能になったことで動きを俊敏にしたという。それが脳を大きくしてもよい下地ができた。
人類も、枝葉から木の実・豆・芋などでんぷん質やタンパク質を取るようになり、そして動物質の餌を得て脳を大きくすることができた。ところがネアンデルタール人ほど脳を大きくすると、やはり栄養摂取が大変になる。しかも身体も筋肉質だった。筋肉もカロリーを消費する。これでは食物探しに時間が取られて、文化・文明を発達させる余裕がない。事実、ネアンデルタール人は、初期の頃につくった石器を絶滅近くの時代までに、ほとんど改良することがなかったという。

そこでホモ・サピエンスは、脳を小さく身体も華奢にしたんじゃないか……。そんな仮説を立ててみる。食物を探す時間が短くてすめば、生活を工夫する余裕もある。打製石器から摩製石器、さらに刃物のような鋭利な切れ味を持つ細片石器を発明し、さらに使い方も棒に尖った石器をつけることで槍を生み出した。獲物を取るのが格段に効率的になる。

一方で、脳が小さくても効率的に思考できるようにした。その手段は、まず言語だ。言語を獲得することで抽象的概念を描けるようになり、脳が小さくても思考力が高まったわけである。言語はコミュニケーション能力を高め、共同作業をより高度にする。かくしてネアンデルタール人などを圧倒するようになった……。

まあ、これは仮説だ。何の証拠もない。しかし、脳が大きければ知能も高くなるとは限らないようだ。量より質、なのである。脳を大きくする進化は、もうピークをすぎて、今後は小さくしていくのがトレンドかもしれない。それでも思考力を高める方向に進化するだろう。

ひたすら脳を大きくして、エネルギーを大消費する動物は、結果的に小回りが効かず、未来は危ういかもしれない。何事も、みかけの大きさ、量よりも、いかに効率のよい肉体・思考力を持つかが決め手ではなかろうか。

今後は、もっと頭を小さくしていくかもしれない。思考は言語を越えたイメージで行うようになり、足りない部分はAIなどで補って生きていく未来人を想像してしまう。たとえば記憶データの蓄積や、データの検索・比較なんぞはAIに任せて、小さな脳の人間は、示された結果から最終判断だけを担う……そんな未来図を描くと、果たして人間にとって幸福なのか、不幸なのか。

もはや仮説や考察というより、想像の世界ではあるが、あまり明るい未来が浮かばない。

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ホモ・フロレシエンシス(国立科学博物館)

 

2020/06/18

森林・林業白書~特用林産物・漆で考えた

令和元年度森林・林業白書が発表された。

 私も一応ざっと目を通しているのだが、あんまり興味をそそる項目はなく……相変わらずの林業事情と林業政策。

そこで、つい目を向けたのは、特用林産物の項目。木材一辺倒の林業の中では、あまり注目されないが、産出額で言えば全体の半分を締めているのだから、特用という言葉が間違っているかもしれない。具体的には、食用のきのこ類、樹実類、山菜類、漆や木蝋など工芸品の原材料、竹材、桐材、木炭など……である。まあ、その中でも売上の大半、8割はきのこ類だ。

残りの中で比較的力を入れているのは、漆である。

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こんなグラフを見ると、生産量が減り続けてきたものの、ここ数年は少しだけ伸びている。が、面白いのは量(1・8トン)より自給率で、急回復を見せている。とはいえ、5%なのであるが。ただ、1980年前半は6トン以上生産していたのに、自給率は1%程度。
ようするに漆そのものの需要が激減したのだろう。何が減ったのかね。文化財は増えこそすれ減らないだろうから、民需がなくなったのか。

そして国宝・重要文化財用をすべて国産にするには2・2トン必要だそうだから、最近になって増産が叫ばれているのだ。

ここで、ふと思ったこと。

現在の漆は、ウルシノキを「殺し掻き」している。樹齢10数年程度のウルシノキをひと夏、漆を掻いたあと木を伐採する方法だ。中国が、毎年漆掻きをする「養生掻き」をするのと比べて、国産漆はこの方法だから質がよい……といった言い方をされている。が、それは嘘だろう。理由はその年の採取量を増やすために行われたのだ。つまり先のことを考えなかった。

だいたい日本も昔は、養生掻きをしていたのだ。1度採取したら数年休ませて、樹勢が回復したらまた掻く。たしか明治時代に目先の生産量を増やすため殺し掻きに変えたんじゃなかったか。しかし、ウルシノキを植えて10年~15年育てて、たった1年漆液を採取したら伐り捨てるなんてもったいない。仮に3年に1度の養生掻きにすれば、ものすごく生産効率を上げられるように思える。

それにウルシの実からは、をとることができる。江戸時代は、この実から蝋をとるための実の収穫もやっていた。木蝋はハゼの実などから取るが、ウルシの実からも取れたのだ。これは和ろうそくの材料として重宝した。この実の収穫のためにも、養生掻きだった。現在の木蝋の需要はどれほどあるのかわからないが、これも特用林産物なんだから。
現在なら、ウルシの花で養蜂をやることも考えられる。意外とウルシの蜜はよろしい。by 養蜂ジャーナリスト
そして太くなったウルシノキの材も使い道を考えたい。

ある意味、漆産業は林業の縮図だな。木材の生産も、目先の量の増加に走って持続性と長期展望を失い、木材以外の森林の多様な資源利用を捨ててしまった。結果、行き詰まる。

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とまあ、白書を見て、ここまで妄想を膨らませたのである。

2020/06/17

Y!ニュース「潜在自然植生の森を人がつくる危うさ……」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに『「潜在自然植生」の森を人がつくる危うさを橿原神宮で感じる』を執筆しました。

これは知っている人は知っている、毎日新聞奈良県版で連載している「大和森林物語」で取り上げたテーマを整理して、改めて考えてみたもの。

連載では5回かけて橿原神宮の森(58~60)と神武天皇陵(61)、そして畝傍山(62)の植生を成り立ちも含めて紹介した。ようするに、いずれも人がつくったもの、それも明治時代に行ったものであり、太古の自然のままじゃないよ、ということだ。

もともとの意図は、奈良にだって明治神宮みたいな人工でつくった豊かな森がある、ということを知らしめようというテーマであった。ところが取材で現地を訪れて驚いた。橿原神宮の森、大丈夫? 状態だったのである。そして隣の御陵の森を覗くと、あら意外や豊かじゃないの。同じ時期に同じようにつくったはずなのに……と疑問を持った。それを連載の記事に記したのである。

このシリーズの連載は今日で終わったわけだが、改めて感じたのは、人が森をつくる際の樹種の選定の危険性。

明治神宮は本多清六を始めとする林学界の錚々たるメンバーが参画してプランニングしたが、橿原神宮を手がけたのは、その下で働いた造園家の田坂美徳だった。政界からも「早く万葉の森を」という要求があった(たった2年半で作れ、だった)。本多が大隈重信首相の意見に逆らってまでつくった森とは違う。

そして「理想とする森の形を最初からつくるために植える樹種を選ぶ」という発想は、アノ「潜在自然植生」の植林と同じじゃない? ということだ。たしかに、潜在自然植生の木を最初から植えた土地では、みんな不健全な森になって……いや、森にもなっていなかったりする。

はっきり言って、宮脇昭にケンカを売っている(笑)。

 

さて、来週からの新シリーズ、何を書くか? 取材も急がねばならんのになあ。

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2020/06/16

新生活?新緑浴? という新言葉

今日は、群馬の高崎市に日帰りで行ってきた。

仕事ではない。葬儀への参列である。大学の後輩が闘病の末亡くなった。59歳、早すぎる死だった。

ここで彼のことには触れないが、群馬の葬式で知った新しい言葉を紹介する。

「新生活」。知っている人は知っている(主にグンマー人)、知らない人は知らない、予想もつかない言葉。

受付で香典を出そうとすると、親族・友人、会社関係などとは別に新生活という範疇があったのである。へ? 何? 県外人には想像もつかない。故人が「新生活なんちゃら運動」なんてのに参画していて、そこからの列席者がいるとか? コロナ禍後の「新しい生活様式」と関係あるのか? しかも、その場で受付は香典の中身を確かめる。ヒヤッとするではないか。県外人の間でざわざわする……。

まあ、詳しいことは「新生活 群馬」とでも検索していただきたい。秘密のケンミンショー的な謎の風習なのであった。極めて端折っていうと、香典返しはいらない人の区分け……のよう。それが新生活かあ~。新しい生活ならぬ言葉を作っている。

そして告別式が終わると、引換券とともに香典返しが渡されるのだが、そこになんとサージカルマスクがついてきた。さらに終了後、同窓生と食事に行ったのだが、そこでもマスクが。マスクが増殖する。日々マスクの在庫が増えそうだ。そういや彼の死亡の知らせが入った日に、アベノマスクも届いた。遅すぎる到着だった。

新しい言葉と言えば、京都に着いて目に入ったのが、以下のポスター。

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奈良観光のポスターであり、わりと私のお気に入り。京都より奈良だよなあ。奈良はシカだよなあ。が、そこで気づいた。上にある文字は、よく見れば森林浴ではなく「新緑浴」となっているではないか。
なるほど、写真に映っているようにシカのいるのは森林というより草原の新緑の上なのである。しかし、「新緑浴」とはこれまでにない言葉。コピーライターが作ったのだろう。だが森より広く、でも萌え出る植物に浴する気分が伝わる。

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ともあれ、朝5時に家を出て、往復10時間をかけた旅だけに疲れた。明日晴れたら、新緑に浴そう。

2020/06/15

グリーンリカバリー~日本の気候危機宣言とEU生物多様性戦略

ほとんどベタ記事で、世間的にも注目されていないが、環境省が「気候危機宣言」を出したことを知っているだろうか。
地球温暖化が進み、より激甚な豪雨災害が頻発すると予想したのだ。環境各所にも「気候危機」という言葉が使われている。

で、どうするの? という具体策が見えてこないのが残念だが……。締めくくりは、排出される二酸化炭素の6割は生活用品の生産だから「生活の低炭素化」を図りましょう、ということらしい。

しかし、地球温暖化対策は焦眉の急だ。グレタさんが注目を浴びてさほど年月は経っていないのに、世間の目はコロナウイルスに向かってしまった。しかし、コロナ後の「新しい生活様式」にも二酸化炭素排出削減を加えるべきだろう。
すでに世界ではグリーンリカバリーという言葉が使われており、この危機から環境に配慮した経済回復をめざす動きが目立ち始めた。「コロナ後の経済復活策に気候変動対策を据えて、経済のパラダイムを変えよう」というのだ。

そんなときに目についたのが、欧州委員会(EC)の発表した「2030年に向けたEU生物多様性戦略」。
私は概要を読んだだけだが、なかなかすごい目標が並んでいる。

ヨーロッパの土地の30%、海の30%を保護区にして、棄損している生態系を回復させる。
自然に流れる河川の少なくとも2万5000kmを回復させる(自然護岸にするということか?)
30億本の植林をするというのもある。これは、どれだけの面積になるか。ヘクタール3000本植えだったら、100万ヘクタールの森林化ということになる。ヘクタールあたり1000本の植林ならば300万ヘクタール。

農業面でも、さまざまな目標が並ぶ。たとえば有機農業や生物多様性の豊かな景観を増やす。
授粉媒介者(昆虫)の減少を食い止め増加に転じさせる。
殺虫剤の使用やそのリスクを半減させる……。
こうした政策によって、最大50万人分の新しい雇用、グリーンジョブを生み出す。

これも「グリーンリカバリー戦略」の一環だろう。転んでもタダで起きないというか、ヨーロッパは、コロナ禍の痛手を経済戦略の転換にも利用しようとしているようだ。すでに脱炭素化を目標に掲げて、石炭発電などに金融やビジネス面から締めつけを強めている。

日本も宣言だけでなく、壮大な目標を掲げてほしい。かろうじて小泉環境省は、地球温暖化防止の情報をオンラインで世界中で共有しようという提案をしているが、具体的に動き出しているのだろうか。

 

 

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森と林業と田舎