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森と林業と田舎の本

2021/11/29

『虚構の森』のサイト公開

私は、自分のホームページを持っている。いまさらだが。結構、内容は多岐にわたる。

最初は遊びだったので仕事の話は絶対に書かないぞ的な意気込みだったのが、徐々に仕事紹介ページも作り出した。そこで大きく二つに分かれている。「森林ジャーナリストの仕事館」と「安楽椅子探検家のヴァーチャル書斎」である。さらに日誌もあるのだが、今はブログに譲って、こちらは生駒ジャーナルに衣替えしている。

もう20年近く続けているが……まあ、今では更新も年に一度ぐらいに(^^;)。

それも自身の本を出版したときに付け足す程度。

というわけで、『虚構の森』のページを作りました。

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表紙カバーのほか目次などはもちろん、「はじめに」を全面公開した。また各章の扉になる部分もイラストとどもに全面公開!

ちなみに「はじめに」は、一応前書きなのだけど、実は本文と独立した記事である。それは「後書き」も同じで、ボーナスとラックみたいな、いや別の話題を選んでいる。

この本は「はじめに~森を巡る情報の「罠」 」と「終わりに~行列の後ろを見るために」を読んでおけば本文は別に読まなくても……そんなことはない、絶対ない。多分ない。ないと思うよ……(^^;)\(-_-メ;)。

ともあれ本書を手にとるきっかけになれば幸いだ。

 

2021/11/28

NHK国際放送で日本の林業が

先日、何の気なしに夕方4時台にテレビをつけ、とくに見たくなる番組もなくザッピングしているうちに、普段は滅多に見ないケーブルテレビに合わせた。すると、NHKの国際放送が。

そこに映った画面が、古い日本の山仕事の写真。さらに現代の林業の様子が。

おや、海外に日本の林業を紹介する番組なのか、とそのまま見てしまった。海外向きに、「日本の林業は絶望的ですよ」とは放送しないよなあ、とは思うものの、映し出されたのは、こんな現場。

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こんな皆伐現場を世界に発信する番組なんて……と思ったが、とにかく英語。日本人まで英語をしゃべる(吹き替え)。なかなか聞き取れず番組内容がつかめない。せめて字幕は出ないか……。
ただ、どうやら大面積皆伐を告発する番組ではなさそうだ。舞台は鹿児島と埼玉・飯能であることはわかる。そして、最新IT機器が登場する。そのうち、知っている人の顔をちらちら。

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……ははん。レーザー測量の技術を紹介しているらしい。山の中を歩くだけで、地形や木々の太さ・高さ・数……などの毎木調査までできてしまうシステム。

なんだか、こんな番組を見ていると、日本の林業は最新技術を駆使して世界を席巻しそうな気分になる。ないない、と頭の中で手を振るのだが。そもそも、このレーザー測量の技術を実用レベルで使っている林業地があるのか。こうした技術を見せるとムリムリムリと首を横にブンブン振り後さずりして逃げ出すのが、ほとんどの林業地ではないのかなあ。

結局、番組を見られたのは15分ほどだったので、全体のニュアンスはわからなかったのだが、多分日本すごいぜ、と自慢していたのだろう。

しかし、この番組の日本語版は日本で放送されたのだろうか。

 

2021/11/27

旅の友『森林美学への旅』

北関東を巡る旅には、幾冊か本を持参した。
その一つが『森林美学への旅~ザーリッシュの森をもとめて 小池孝良著 海青社』である。

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一時、「森林美学」にハマったことがあった。これはザーリッシュが唱えた施業法で、一般には「美しい森をつくれば、林業的にも豊かな恵みがもたらされる」と介されている。それが恒続林思想(メーラー)へと発展し、私も恒続林を学ぶようになるのだが、木材生産至上主義的な日本の現代林業にもっとも欠けた視点だと思っている。言い換えれば現代林業のアンチテーゼとなる視点だろう。

ただ白状すると、私はザーリッシュの執筆した『森林美学』(人工林の美)は読んでいない。日本の新島義直らが解題しつつ独自に執筆した『森林美学』も読んでいない。どちらも入手困難であったことも大きな理由であるが、それ以上に内容が難しくて理解できなかったからである。いやあ、一応手にとったことはあるんだが、こりゃ読めない……と悲鳴を上げてしまう内容だったのである。

が、本書は日本で唯一の森林美学の講座を開いていた北海道大学で担当していた小池氏の本である。小池氏には随分前にお会いしたことがあるのだが、彼の専門は別なのに、森林美学にハマっていたように思う(^^;)。
しかも本書は「旅」という言葉がつく通り、森林美学を講義するために学んだ足跡も含めて記されているのである。これなら!と飛びついて購入した。そして今回の旅の友にしたわけである。

実際、本書は森林美学そのものを講じたのではなく、エッセイ集に近いのだが、森林美学を知ろうと文献を読んだり現地を訪ねたり歴史を追ったり研究者と対話したり……という過程が描かれている。だから読みやすくストンと内容が脳内に落ちる。

本来は土地収益説による木材生産の技術として論じられた森林美学だが、そこに美的な感性がいかに関わってくるか……森林の公益的機能との関係は……と考え出すと奥が深い。たとえば林道ルートも、あえて曲線をつけることで美しくなるのだが、すると生態学的な意味まで生じるというのだ。また日本では明治神宮などの成立にも関わってくる。その点からは、日本の森林近代史と重なってくる。

後半には自身の研究分野なども登場しているし、たくさんのコラムにはCLTなども登場するので、これは?と思わせるのたが、一方で樹木葬の紹介もあり、そうか、美しい森で眠りたいという願望の作り出す墓は、森林美の追求なのかも、とか思ったり。

驚いたのは、最後に「森のようちえん」が紹介され、そこには私も取材した奈良の森のようちえんが登場することだ。日本の森のようちえんは、どうしても保育・教育の方法として論じられがちだが、もっと森林景観や森林生態系の中の子どもたちという視点からアプローチしてもよいのではないか、と考えてしまった。どんな景観が、人にとって美しく感じるのか。美しい景観が人間の心理や精神衛生に与える効果、そして美しさが森林生態系とシンクロする可能性……。

そうか、森林美学とは、林業だけでなく、公園づくりや森林セラピー、そして森のようちえんなど森林空間利用の面からも論じるべきなのだ。むしろ人が森林を扱う際のベースとなる学問なのではないか。そんなことを考えてしまったのである。

小池氏は、現在は島根大学名誉教授なられたようだが、またお会いしたいものである。

目次

1章 森林美学の史的背景
2章 今日的意義
3章 森林美学の基本法則
4章 森林の風景保育
5章 持続的森づくりのために
6章 樹種特性と環境変動
7章 操作実験による樹木応答へのアプローチ
8章 巨樹の扱い
9章 まなざしの意味
10章 好まれる林内風景
11章 森林美
12章 森林教育と永遠の森

詳しい目次を知りたい人は、海青社のHPをどうぞ。
 

2021/11/26

Y!ニュース「地上権が消える?分収造林裁判で…」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「地上権が消える?分収造林裁判でびっくりの判決」を執筆しました。

実は、この裁判の判決に関して某新聞社からコメントを求められたのがきっかけだ。その際は一般論としての分収造林の問題点や、山主の思い、逆に公社側の事情などを語ったのだが、そこで知ったのが判決理由にあった「契約が切れたら地上権も切れる」という裁判官の指摘。

これ、法理論上はどうか知らないが、これまでの林業慣行に大きな影響を与えるのではないか、と思ったのだ。もしかして、裁判官は立木法を知らなかったとか(笑)。

この判例が、全国に広く知れ渡ったら、林政が大きく動くきっかけになるかもしれない。ここで拡散しよう\(^o^)/。

 

ちなみに私自身は、今回の判決は絶妙な按配だと思っている。
山主からしたら、何十年も自分の山を占拠されたままで、何の利益も上げられない公社には愛想が尽きているから返してほしいのはわかる。しかし、公社が返すために造林地を皆伐しても、赤字が出るだけで利益は生まないだろうし、何より跡地が無残だ。はげ山にして返されても喜べない。再造林もできるかどうか。

そこで立木と地上権を山主に無条件で渡すことで、少なくてもはげ山にはならずに環境的にはよろしい。公社は隠れ負債が表に出るものの、それは造林コストであって伐採によるコストはかぶらなくて済む。この際だから、一気に清算に乗り出してもいいんじゃないか。公社の負債はほとんどが自治体の負債となるだろうから、トップの首は飛ぶだろうけど。。。
山主は、結局利益は得られなかったものの、自分の山として今後の運営を考えられる。もしかしたらチャンスをつかんで利益を出す山の使い方があるかもしれない。意欲とアイデア次第だ。

ある意味、今後が楽しみである。

 

 

2021/11/25

黒羽にあったもう一つの林業

栃木に行った際、以前よりネットで交流のあった興野喜宣さんにあった。彼は、江戸末期の興野隆雄(1790~1862)の末裔である。

と言っても、興野隆雄を知っている人はそんなに多くないだろう。彼は栃木北部の黒羽藩の重臣であり林政家だ。黒羽に優秀な林業を展開したのである。そして技術書とも言える「太山の左知」という文書を残している。太山(とやま)とは、太った山、つまり豊かな森林資源のある山、左知とは幸、つまり恵のことなのだろう。隆雄は父の代より林業を研究しており、それをまとめたものである。林業遺産第1号に指定されている。

Img001_20211125222201博物館の企画展のパンフレット

私が興味を持ったのは、隆雄は林業の先進地として吉野を訪れており、そこで吉野林業を学んだという点。にもかかわらず黒羽で展開したのは、吉野林業と対極にある技術なのだ。

特徴的なのは、樹下植栽を推進したこと。日除けがある方が根付きがよいからだという。

次に植栽の樹間は2間、つまり4メートルと広く取ったことだ。ようするに疎植である。吉野は、ざっと1メートル間隔で1ヘクタールなら約1万本植えたが、4メートル間隔なら625本にすぎない。広い間隔で肥大成長を早めて大径木材を取るため、とする。

ほかにも枝打ちを否定する。枝を切ると、抜け節になりやすいからだという。

面白いのは、文中に「吉野では~」という記載がいくつもあり、違いを記していることだ。吉野に学んだのに下野の環境条件ではこうすべきという確固たる意思を感じる。

まさに、過去の日本には多種多様な林業があったことを知る。現在は全国画一的な山になってしまったが、それこそ林業を低迷させている諸悪の根源だろう。

そこで、この黒羽林業の名残を見られるところはないかと案内してもらったのだが、残念ながら当時植えた木々が残っているところはないようだ。明治になって黒羽藩がなくなったことでこの林業方式が廃れたことと、あまり長伐期ではないため全部伐ってしまったようである。今や幻の林業となってしまった。

それでも案内してもらったのは、帝国造林の山。

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これは100年生のスギ。「太山の左知」方式ではなく、密植-間伐の繰り返しで育てたスギ林だ。

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こちらはその山に隣接したところで、中国木材が皆伐した山。残念ながら霧で見えない。同行者が、切り株にツルがないのに驚いたが、これはハーベスタで伐ったのだろうね。

もう一点、気になること。隆雄が吉野に視察に行った年代ははっきりしないが、1820~40年頃だろう。この時代に吉野林業を視察したとしたら、大滝村を訪れるのが普通だ。すると、土倉庄三郎の父の庄右衛門と会ったのではないかと推測してしまう。もしかしたら幼い庄三郎にも会っていたかもしれない。庄右衛門は熱心に吉野林業の要諦を伝えたに違いない。それをよくよく学んで、吉野とはまったく違う技法を考え出したというのは……そんな想像をしてみるのも楽しい。

 

 

2021/11/24

『虚構の森』第六章の扉

いよいよ最後まで来てしまった。でも、昨夜まで旅に出ていたから、あんまり実感がない(> <;)。

訪れたのは栃木と群馬。奈良から栃木、群馬……て何の共通点があるか。それは海無し県であること。高い山も見てきたし。美味しいのは、蕎麦とコンニャクであった。

さて、いよいよ本丸のSDGsに喧嘩を売る(笑)。ここのテーマだけで1冊になるのにもったいない(⌒ー⌒)。
ただ森林からは少し離れたテーマもあるが、デザインも人と自然を上手く表現しているように思う。各章タイトルには、頑張って耳に残る今風キーワードを入れてきたが、「SDGs」はもっとも流行りである。デザインだけでなく、苦心しているのであった。

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第6章 SDGsの裏に潜む危うさ
1.桜樹は日本人の心だから保護すべし?
2.和紙も漆も自然に優しい伝統工芸?
3.木材を使わない石の紙は環境に優しい?
4.再生可能エネルギーこそ地球を救う?
5.パーム油が熱帯雨林を破壊する?
6.農薬や除草剤は人にも環境にも危険?
7.人口爆発のため食料危機になる?

ちなみに、本章の後に「終わりに」があるのだが、これは全体のまとめというよりは、まったく別のテーマで1本書いている。直接、本を手にとらないと読めない。これは公開しないよ。

もう、読むしかない!(プロモーションです。)

なお、最後になってしまったが、表紙カバーと扉のイラストを描き、デザインを引き受けてくださったのは、山口洋佑氏。自在に様々なタッチのイラストを描き分けていて驚く。最初の見本の絵を見たときはムンクぽいと思ったのだが、その後ゴーギャンかルソーか、いや印象派?プリミティブアート?と次々とタッチが変わる。リモートで会う機会があったのに逃してしまって残念であった。ちなみに表紙カバーを外した表紙画もお忘れなく。

彼のインスタグラムを紹介しておこう。

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ともあれ、『虚構の森』をよろしく。ジャケ買いでもいいよ。

2021/11/23

『虚構の森』第五章の扉

実は、今日まで4日間旅に出ていた。北に向かって……探さないでください、と書きたいところだが、もう帰って来てしまったから、自宅にいます(^o^)。

さて第五章は、ちょっと毛色の変わった、花粉と花粉症がテーマ。

なぜか。それは担当編集者がえらい花粉症だから(笑)。というわけではないのだが、花粉症ネタは、わりとウケるのでYahoo!ニュースにも毎年季節になると何か1本書いていた。それを発展させようとしたのであった。ただイラストレーターも、花粉のイラストには困ったよう。点ばかりを描けないし。やはり樹木はスギになるかなあ。

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第5章 花粉症の不都合な真実
1.造林したからスギ花粉は増えた?
2.枯れる前のスギは花粉を多く飛ばす?
3.スギを減らせば花粉も減る?
4.舗装を剥がせば花粉症は治まる?
5.花粉症はスギがもたらす日本だけの病?
6.マイクロプラスチックは花粉症より危険?

最後のマイクロプラスチックは、花粉症ではないのだが、なぜ、この章に加えたのか。何が花粉と似ているのか。乞う、ご期待!(気になる方は、購入してね。プロモーションです、はい。)

 

2021/11/22

『虚構の森』第四章の扉

4回目にして、あああ、こんなに公開して大丈夫か?という、そこはかとない不安(^^;)。

第四章は、身近な自然を中心にしたのだが……。ここで忍び寄る静かなる侵略者の問題に切り込んだ。徐々に街路樹は自然か?ミツバチを殺すのは農薬なの?そして「なぜ外来種が増えたら困るんだ?在来種も元は外来だったんじゃないのか?」という疑問がフツフツと。

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第4章 フェイクに化ける里山の自然
1.ソメイヨシノにサクランボは実るか?
2.外来草花が日本の自然を浸食する?
3.堤防に咲く花は、遺伝子組み換え植物?
4.街路樹は都会のオアシスになる?
5.ミツバチの価値はハチミツにあり?
6.外来生物は在来種を駆逐する?

ちなみに、ついにイラストに動物が登場した! という点で感激した(笑)。本書では、だいたい植物を中心にしたのだが、それは単に範囲を広げすぎると面倒だから。ここで狂暴なアライグマと受粉昆虫のミツバチということで例外扱いである。

 

2021/11/21

『虚構の森』第三章の扉

ついに第三弾。

今度は日本の森と自然に話を絞り込んだ。ながてもテーマは、生物多様性と植生の遷移。これも気候変動と並ぶSDGsの主軸だろう。それに日本の森林史も付け加えてマクロな日本の森の話。なかには生態学の根幹みたいな話もあるが。草原の話は、私が草原ジャーナリストだった頃の名残(^o^)。

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第3章 日本の森を巡る幻想
1.マツタケが採れないのは、森が荒れたから?
2.古墳と神社の森は昔から手つかず?
3.日本の「本物の植生」は照葉樹林?
4.日本の森は開発が進み劣化した?
5.植林を始めたのは江戸時代から?
6.生物多様性は安定した環境で高まる?
7.草原は森より生物多様性は低い?

イラストの木の葉、なんの樹木のものか、同定できるだろうか。私は、無理でした(^^;)。

 

2021/11/20

『虚構の森』第二章の扉

『虚構の森』章の扉公開、第二弾。

色が反転されているから読みにくいかもしれないが、第二章は、森と水と土の話。とくに「緑のダム」がキーワードだ。
そこにパンデミックも入れ込んだ。

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第2章 間違いだらけの森と水と土
1.「緑のダム」があると渇水しない?
2.「緑のダム」があると洪水は起きない?
3.木の根のおかげで山は崩れにくい?
4.森は降雨から土壌を守ってくれる?
5.黄砂は昔から親しまれる気象現象?
6.植物もパンデミックに襲われる?

実は、森と水の関係の話は、もっとも苦手な分野。だって難しいんだもん(笑)。
あまりにも様々な条件があって、それぞれが関与しつつ、また思いもしない変数も出てきたりして……それでも、知らないと大きな勘違いをしてしまう。そこで、あえて挑戦した。

 さて、わかってもらえるかなあ。

 

2021/11/19

『虚構の森』第一章の扉

虚構の森』、いよいよ店頭に並び始めたはず。Amazonでも「予約受け付け中」から、発売中に変わっている。カテゴリーは「環境問題」である。

本書は表紙カバーが凝った絵画調であることは、すでに紹介しているが、実は各章の扉もちょっとデザインが凝っている。そこで、今日から順々に章の扉を公開していこう。デザインは、一見雑誌風だが、ここで世間の常識的環境問題を披露。ただし、最後に「異論あり」がある。

これ、結構な文章量なんだが、タダで公開してしまっていいのか?

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第1章 虚構のカーボンニュートラル
1.地球上の森林面積は減少している?
2.アマゾンは酸素を出す「地球の肺」?
3.間伐した森は「吸収源」になる?
4.森林を増やせば気候変動は防げる?
5.老木は生長しないから伐るべき?
6.温暖化によって島国は水没する?
7.砂漠に木を植えて森をつくろう?

タイトルの最後に、みんな「?」が付いている。つまり「常識」にを疑っている。それが「異論あり」につながるのだ。ここまで読んだら、購入して読みたくならないかい? なるよね? ※プロモーションです(笑)。

2021/11/18

『獣害列島』は異論か?

このところ、また急に拙著『獣害列島』に関する反響がいくつかあった。

一つは、某進学塾の問題集に『獣害列島』の一文が引用されたこと。問題そのものを紹介したら面白いと思ったのだが、ちょっとまずいか。でも、使われた部分を少しだけ。

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テーマは、野生動物と人間の共生である。奈良の鹿と青森県下北半島のサルの話。後者の下北のサルの話は理想論みたいだが、私は奈良公園のシカに関しては、わりと実現しているのではないかと思う。

そして、今度は某新聞社が正月版に「(仮)野生の逆襲」という特集記事を考えていて、それに関する取材をリモートで受けた。

こちらの仮説は、「人間は自然を壊して暮らす場所を広げ、経済成長を遂げてきたが、「自然の領域」に踏み込み過ぎるとしっぺ返しを食らう」というもので、コロナ禍も含めようとしている。ここで「人間が自然を壊したから」という点に関しては、私は否定する。人間の自然破壊を否定するのではなく、現在の獣害は、人間が自然界から撤退する過程で自然の回復が進み、それが獣害として発露しているというのが持論だ。決して間違っているとは思わないが、世間的には異論扱いだろう。

問題集を読んだ小学生がどう反応するか、そして某新聞ではどんな記事になるのか、楽しみだねえ。

 

2021/11/17

『浩子の宅録』と『虚構の森』

Amazonで、ど~んと大きな箱が、二つも届いた。

なんだ? と思いつつ、記憶が。そう、谷山浩子の新アルバム『浩子の宅録』を購入したのだ。しかし、二つ? もう一つは何を頼んだっけ。

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開けてみて、びっくり。どちらも『浩子の宅録』だった(笑)。どこかで間違えて二重に注文かけてしまったか。
まあ、よろしい。「推しには貢ぐもの」という鉄則からは同じアルバムを2枚や3枚、購入したって……(^o^)。握手権とか投票権は付いていないけど。。。

このアルバムは、谷山浩子が、全部自宅で一人でつくったというのがウリ。歌唱はもちろん、編曲もミックスも。新曲のほか、過去にほかの歌手に提供したものをアレンジしたものなど。コロナ禍だからこそ、とも言えるが、それだけに浩子感が濃密(^^;)。

さっそく拝聴する。

なんか、ドキドキした。なんだ、このアルバムは……。

前半は、日常に入り込む不思議な世界というか、ホラーぽくて、アンバランスな感覚に囚われる。なぜか「ウルトラQ」とか「怪奇大作戦」を連想した(笑)。少年時代に見た往年の番組だが、日常がバランスを崩していくような世界観が似ている?

後半は、一転、過ぎ去りし青春の恥ずかしい日々を思い出す。中学生、高校生、大学生……「コクリコ坂から」提供曲などもあるので余計かもしれんが、胸がキュッとして、キャッと顔を赤らめる感じ? やはり、これもドキドキだ。

ミョーな感想かもしれないが、個室から漏れだすようなライブ感とドキドキ感満載なのである。

 

さて、余分なもう一枚のCDはどうしようかな。このまま封を切らずに保管というのは、ちょっと寂しい。聞いてなんぼ、と思うのだ。自宅用・自動車用と使い分けてもいいが、どうせなら誰かに聞かせたい。誰か欲しいひと、いるかな……。

そうだ、今週は拙著『虚構の森』が発売される。一応、発売日は20日だけど(どうせなら『宅録」と同じ17日にしてほしかった)……。すでに書店には発送され始めたみたいだ。この本も、実はほぼ自宅にこもって書いた。過去に取材した情報は含むけど、基本、ネットや書籍や科学論文……などをひたすら渉猟して、わからんところはメールで問い合わせたり意見交換したり……と、ウジウジいじり倒して1冊にまとめた。コロナ禍の落とし子なのである。

ならば『虚構の森』を個人で2冊以上購入してくれた人に『宅録』をプレゼントするというのはどうかなあ。希望者いる? ただし(現在・過去・未来の)谷山浩子ファンであることも条件だけどね。

Dsc00365_202111171629011枚のCDに巨大な箱使いすぎ。

 

 

2021/11/16

里山の(獣の)幸

生駒にも、まだまだ農村風景が残っているのだが、そんなところを散歩すると、「里山の秋の幸」が目に入る。

とは言っても、人が収穫して食べる気配はなく、獣に有り難い餌となるのだろう。

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カキにクリに柑橘類。なかなか豪勢だ。

幸い生駒にはクマとシカはいない(と思う)から、多くはイノシシとタヌキとアライグマとイタチと……結構いるなあ(´Д`)。
ほかに鳥類が狙うに違いない。

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稲も、すでにヒコバエが育っているが……それをこの形に刈り残すのは何の意味がある?

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これは、ちょっと里山じゃなくて、道路の中央分離帯。これは……トベラだと思うが、結構実が実っている。これも餌になるだろう。主に鳥だろうか。里山に出没した野生動物は、より都心へと足を進め、中央分離帯にも餌があることに気づくだろう。かくして都会にもどんどん野生動物が姿を見せるに違いない。公園や街路樹、そして個人宅の庭にも進出する。
やがて通いではなくなる。餌を探して都会に出るのではなく、都会に住み着き、アーバン・ワイルドライフを送るだろう。

さあ、どうする?

 

2021/11/15

天然記念物の都道府県ランキング

このところ、奈良県にある天然記念物について調べる機会があったのだが、そこで行き着いたのが、都道府県・天然記念物の数多いもんランキング。

天然記念物が多い都道府県ランキング!

ねとらぼ調査隊というサイトでやっていた。国の指定のものだ。

文化財だとか国宝の数とかのランキングはよく見かけるが、天然記念物は初めてだ。考えてみたら、自然物の価値を示す指標として「天然記念物指定」は使える。で、奈良県は……18件の21位だった。真ん中当たりだな。この

まあ、ここで全部書いてしまっては面白くないので、自分で気になる都道府県の順位を確認してもらいたいが、1位の県は、意外と言えば意外。この県にそんなにある?なんか、認定する際に恣意的に選んでいないかという疑惑(笑)。
まあ、天然記念物の指定を受けるためには、いろいろ書類を揃えて申請しないといけないから、担当者の意欲次第というところもある。山口県(書いてしまった)がそんなに多いのは指定し始めた明治時代の藩閥政治の影響だったりして。

なお、ざっと見ただけだが、指定されているのは植物(単体の樹木など)と森林全体、そして地質的なものが多い。動物も多少ある。たいてい巨大だとか稀少だとかが選定基準らしい。それぞれ何を持って指定したのか調べていくと、面白いというか、意外といい加減というか、本当?と疑うものもあったりして、それなりに楽しめる。さらに都道府県に、市町村の天然記念物指定がある。

たとえば奈良公園は大変だよ。そもそも奈良の鹿が特別天然記念物であり、春日山原始林も特別天然記念物。さらに春日大社内にあるナギ樹林も天然記念物。ナラノヤエザクラも天然記念物(枯れた)。さらにイチイガシなどの巨樹群が天然記念物、ナギの単体もある。五色椿やクスも指定を受けた巨樹がある。園内の池に生息するワタカ(淡水魚)も天然記念物だ。

5_20211115164201春日大社のナギ樹林(純林として)

4_20211115164201素盞鳴神社のイチョウ(県下最大)

004この怠け鹿も天然記念物……。

 

 

 

 

2021/11/14

コーンの中の生態系

こんなん、見つけた。

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割れたカラーコーンの中に草が繁っている。もうコーンとしての用は成さないだろうが、なんとなくガンバレ、撤去せずに置いておけ、という気持ちになる(^^;)。いや、狭い道の端を示す役には立っているかもなあ。

ともあれ、植物のたくましさを一瞬感じる。自然はどこにでもある。

 

2021/11/13

街路樹と微気候

いよいよ紅葉の季節。それで、たまたま見かけた街路樹なんだが……。

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同じような植えられて並んでいるのだが、手前はまだ緑なのに、奥はすっかり色づいている。いや正確には、緑の木もなかには色づいた枝があったりして。なかなか複雑な色模様。

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緑の木の両隣は赤いというのも面白い。これって、ようするに微気候ということなんだろうな。わずかな距離の差で、気候・気象が変わる。通りに風が吹き抜けるとか、地形とか段差とか。冷たい空気が滞留するところほど紅葉が進むということか。

ちなみに樹種は、ナンキンハゼっぽい。これ、外来種なんだが、やたら繁殖力があって、種子もすぐ拡散する。しかもシカも食べない。(街路樹まで食べに来ないけど。)シカし、奈良公園では増殖して、春日山原始林も浸食している。

ヤバい木とされているが、街路樹としては今も人気らしい。

ところで、オチなんだが、これらの街路樹、翌日には全部の枝の剪定が施されて、みんな電信柱ぽく伐られてしまったよ。もう紅葉の進展具合は見られなくなったのだよ。まあ、市の作業もスケジュールがあるので、紅葉し具合を見ながら木を選べないのだろうけど。ただ種子も一緒に刈り取ったから、周辺の山に増殖するのは抑えられるだろう。微気候より、強いのは剪定だ。

 

2021/11/12

Y!ニュース「「考えるな、感じろ」。森のようちえん……」を書いた本当の理由

Yahoo!ニュースに「「考えるな、感じろ」。森のようちえんの底力を探る」を執筆しました。

森のようちえん全国交流フォーラムに2日間に渡って参加したのだから、何か書かないといけないなあ、と思っていた。ただ、単なる大会の様子を報告するのはYahoo!ニュースに馴染まない。何か世間に伝えやすい切り口はないか?

そう会場で模索していたときに、幾人か話した参加者が野外教育のインストラクターだった。で、「今や野外教育より森のようちえんだな」(意訳です)という話になる。その勢いの差をどこに求めるか?

そこに浮かんだのが「考えるな、感じろ」なのである。

うろ覚えながら、「スター・ウォーズ」だったっけ、いや……と検索してみたら、「燃えよドラゴン」だった(^o^)。もう何十年前の映画なんだ、さすがに知らない人、見ていない人の方が多いだろう。でも、このセリフは伝説的なのだよ。映画のセリフと知らずに、武道などでは使われているのではないか。東洋哲学かもしれない。ちなみにブルース・リーは、米ワシントン大学の哲学科出身なんだって。実際、東洋哲学に秀でていて、彼の映画のそこかしこにその片鱗が登場する。

なかなか森のようちえんの理念を表すのに適したフレーズではないか。知らんけど。

 

……でもね、本音を言うと、森のようちえんが元気なのは、何より女性が主導しているから、と思ってるんだけどね(^-^)/ 。

2021/11/11

『虚構の森』見本到着!

なんと、予想より早く『虚構の森』の見本が届いた。

まずは表紙カバーに見ほれる。

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これ、タイトルなど文字を外したら、絵画として通用しないか。額に入れて部屋に飾りたい。いや、外されたら困るんだけど(^^;)。

次に帯。これがなかったら、本当に小説と勘違いされそうだ……。

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ちなみに、まだ発売されていないけどAmazonランキングでは、環境問題43位。昨夜は23位だったんだけどなあ。その環境問題本の上位ランキングに入っている本はどんな本かと見ると、やはり、地球温暖化や二酸化炭素削減関連が多い。しかも「環境問題の噓 令和版」とか「「脱炭素」は嘘だらけ」、「亡国の環境原理主義」、「地球温暖化説はSF小説だった」……など、現在の気候変動問題を陰謀だ、嘘だと決めつける本が並んでいる。やっぱり、この手の本が売れているんだなあ。日本では地球環境問題に関心が低いと言われるが、実は環境問題そのものを否定したいのかもしれない。実は、拙著はアンチ科学傾向に警笛を鳴らす意味もあるのだが。

と言いつつ、拙著も帯文を見たら同類の本に見える(-_-;)。これは、売れるかも!ヾ(- -;)ゲンキンスギル

なお書店の店頭に並ぶのは20日前後から。ネットでは、もう少し早くから扱うかな? 中身がどちらかと読んで確かめてほしい。

 

2021/11/10

奈良知事の本『このくにのかたちを考える』

荒井正吾奈良県知事が本を出版した。

このくにのかたちを考える 時評社刊 2640円」

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私も知事の激務さは知っていて、平日はほとんど分単位で、土日もほぼイベント出席のスケジュールが組まれているから、いつ本を書いているんだ、私なんぞ、ヒマでもなかなか書けない(書かない)のに……といぶかしがったのだが、どうやらコロナ禍で土日に出席しなくてはならないイベントが激減したおかげで余裕ができたようである(^o^)。

内容はなかなか濃い。奈良という土地の歴史(つまり大和王権から現代まで続く、ほとんど日本史)をひもときながら、外交も産業も、交通、文化……などが時空を越えて語られる。それこそ天智天皇から田中角栄まで登場して、権力の在り方、危機管理、国土の計画のデザイン……など多彩に論じている。

ここで本の内容を事細かく紹介しても興味がないかもしれないし、別に知事をヨイショしようという意図もない。ただ、なぜ本書が私の手元にあるのか、という点を知ってほしい。「国土づくり」の章の中に、「国土の大きな部分を占める森林の在り方」節がある。

そして語られるのが、昨年成立した奈良県の「新たな森林環境管理制度」条例のことだ。当初、村尾行一氏の「森林業」を読んだことから始まり、奈良県に新たな森林業を起こす目標として条例づくりに取り組んだ経緯が語られる。そして今年開校の奈良県フォレスターアカデミーまで。この審議会に私も参加していた(ちなみに私は本には登場しません)だけに、3年間もああだこうだと議論したことを思い出して懐かしくもある。

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実は新森林条例の制定やフォレスターアカデミーを設立した意図は、奈良県内でも、林業家でも、さほど明確に理解されていないかと思う。恒続林もわかってもらえていない。よくある観念的な森林の条例ではない。アカデミーも、他県にあるような単なる林業従事者を養成する大学校ではない。ここで意図の一端を知ってもらえたら、と思う。国の森林関係の法律の隙間をいかに埋めて現実の森林と国土づくりに落とし込むかを議論したのだから。

たいした枚数ではないし、ちょっとした裏話ながら、新たな息吹を感じてほしい。

 

ちなみに、ほかに興味を引いたのは、知事の前職である海上保安庁長官時代の話。警察と軍の違い、海上保安庁と海上自衛隊の違いを説くのだが、驚いたことに長官時代は、北方領土を巡る違法操業に関して、ロシア側の長官とツーカーだったらしい。それどころかロシアは北朝鮮の不審船対策に協力的だったし、実際、この時期に日本の漁船の拿捕はなかったのだ。もっともそこにアメリカのCIAが介入してきて……ロシアン・マフィアも……とさながら国際スパイドラマのような話か登場する。

さらに中国が尖閣列島へ漁船を送り込んでくるときは、中国の公安部から今から何隻の船が行くから、と通告?があったという。お互い、大事にならないよう、裏で情報交換をしていたわけだ。さらに韓国ともつきあいがあって……。海上の国境線を巡る外交は現場で展開されていたのである。まさに表一面だけで「くにのかたち」は語れない。

おそらく現在のロシアや中国とは、こんな芸当はやっていないだろう。よりこれらの国々との関係はシビアになっているから。しかし、表の外交の裏で、こんな外交があった話をサラッと触れているところが面白い。国同士が角突き合わせるときは、地方行政なり民間なり、別のパイプを築く必要を強く感じる。

全体としては、結構小難しい哲学書みたいなのだが、意外やするすると読めてしまう。

2021/11/09

「長谷寺の舞台から飛び下りる」気分

奈良県桜井市の長谷寺に行ってきた。

名刹だから知っているだろうが、一般には長い399段の登楼やボタンの花が有名だろう。

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しかし、見どころはいっぱいある。まず本堂は国宝だし、御本尊の十一面観音像は高さ10メートルもの木造の仏像。日本最大の木造仏だ。重要文化財。

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これ、撮影禁止なのだが、外から本堂前面を撮影したら、その奥の暗がりに小さく写っていたので無理して引き延ばして明るく調整してみたもの(^^;)。これぐらい許してくれ。今どきのカメラは性能がよいのだから。
本尊像については、奈良時代に初瀬川に流れ着いた巨大な神木を、開祖徳道が3日で観音菩薩像にしてしまったと伝えられる。昔の人は彫刻も早かったのである (@_@)。ただし、現在のものは火災後に再建したもので、室町時代作とされる。

そして、こちら。

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長谷寺の舞台。京都の清水の舞台とそっくり。高さはどちらが高いかわからないが、もともと斜面に建っているうえ、長谷寺自体が桜井の山手にあるので感覚的には、こちらの方が広々と遠くまで見渡せる。大和盆地一望だ。しかし、ほとんど知られていないのは残念。もっと売り出せば、清水寺に張り合えると思うのだが( ̄∇ ̄) 。

ほかにも五重塔や六角堂なども建築としては面白い。ま、寺院とは木造建築の粋が揃っている。さらに天狗杉などの巨木もあるし、長谷寺のすぐ前の山には、素盞鳴神社があって、ここのイチョウは奈良県一大きいとか。

何かと楽しめるのだよ。

2021/11/08

曽爾高原のススキの秘密

思わせぶりなタイトルだが、先日の森のようちえん全国交流フォーラムは、奈良県の曽爾高原で開かれた。ここにある国立曽爾青少年自然の家を会場としたのだが……そこからはすり鉢状に広がる高原のススキ風景が見渡せた。

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ちょうど見頃だったので自慢の美しい風景が広がっていた。関西圏では有名だし、また2~3月に行われる野焼きも名物。若草山の山焼きと並ぶ行事も、ススキを生やすために行われるとされる。

そこで草原ジャーナリストの血が騒ぐのだが、一般にはススキ野原は日本の原風景とされる。曽爾に限らず、日本の野山はどこも樹木は少なく草山化していたのだ。その方が田畑に入れる堆肥もつくれるし、茅葺き屋根の材料を調達できる……。だが昭和30~40年代、どんどん植林が進められて、周辺はみんなスギ林になっていった。だが、曽爾高原はずっと守ってきたと伝えられる。

が、それに疑問がわいてきた。新たな情報を得たのだ。

何を隠そう、ネタ元は青少年の家にあった(笑)。

それによると、大正時代から徐々に道が整備されて、観光開発が進んできた。昭和45年には、この地域を含む室生・赤目・青山国定公園に指定される。そこで自然景観を保護整備することが検討され、その結果、ススキを植栽することにした……と記されていたのだ。

もちろん、それ以前からそこそこススキは生えていたのだろうが、あえて観光のためにススキ野原をつくろう、と植えたのだった。つまり、現在のような一面のススキは50年くらい前に計画的につくられた?

案外、日本の景観と呼ぶものは、そんなものなのだね。比較的最近つくられたり、逆に変わってしまったり。江戸時代以前からの景色はあまり残っていないのではないか。

実は、最近そのススキも衰退が進んでいて、数年前には背丈も低くなり本数も減って「ススキ野原」ではなくなりつつあった。そこで、改めてススキを植栽するとともに無人ヘリで肥料を撒いているという。その甲斐あって、今年は結構見映えのするススキがもどってきたという。

そういや奈良の若草山のススキも衰退著しい。そくに今年は山焼きもちゃんとできなかったので、見すぼらしくなったようだ。こちらも何か手を打たないといけないかもね。さもないとシカさんの餌が足りなくなるよ。

 

2021/11/07

絵画の力による地域づくり

京都府南丹市立文化博物館で「森と共に生きる」という特別展が開かれている。

私は、まだ足を運んでいないのだが、その目録というかパンフレットが送られてきた。

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この展覧会の中心は、「知井地区を中心に」ということだが、ようするに芦生の森が舞台だ。京都大学の研究林であるが、同時に貴重な原生林として知られる。ただ原生林といっても古くから人の暮らしと結びついてきた地域でもある。

展覧会は神仏の世界から歴史的な古文書、民俗等々幅広く扱っているが、実は第2部は「芦生の森を描く」として絵画が並ぶ。

この企画が面白いのは、写真だけではなく絵画でこの地域の魅力を知らしめようとした点だ。

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実は、私はその画家たちのスケッチ行に同行していたのである。そして皆さんのスケッチ風景をスケッチしていた(^o^)。

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綿染み常々、「絵画による地域起こし」というのを提案している。写真ではなく、絵画だ。そしてアートでもない。あーとによる地域づくりは各地で行われていて、芸術祭などが開かれている。それはそれで面白いし、人を集める力もあるのだろうが、そうしたイベントではなく、地域の魅力を伝えるのは、写真より絵画の方が適しているのではないかと思っていたからだ。

もちろん高名な画家に描いてもらって、その風景画の価値か出たら、地域に注目が集まるだろう。フランスのバビルゾン村のように。今や印象派の前段階のバビルゾン派画家を生んだ村として人気だ。そこに描かれた田園風景が人気に拍車をかける。
が、それだけではダメだ。正直言って、絵画の価値ではなく描かれる風景の価値を世間に知らせるべきなのだ。それには写真より絵画にした方がよいと思う。よく植物図鑑などでも、写真よりイラストの方が植物の細部や特徴を描けてよくわかるというのと同じ意味だ。

だから無名の画家でもいいから、その村の美しい風景を発見してもらって何十枚と絵を描いてもらうといい。その絵によって村の魅力を伝えるのだ。あご足付きで画家を多数招いて、描いた絵を何枚か提供してもらう、なんて形の地域起こし手法はないか。画学生なら喜んで来てくれそうな気がする。そうした展覧会って素敵だろう。

このパンフレットにも、描いた絵からテキスタイルにしたものまであって、展開の面白さを感じる。

なんなら私を地域づくりアドバイザーとして招きたまえ(笑)。

2021/11/06

サルノコシカケと問い合わせ愚痴

こんなん、見かけました。

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ま、普通の切り株なんだが、その切り口にサルノコシカケ系のキノコが繁殖していた。通常、枯れた木の幹から垂直にキノコの傘部分が生えているから「サルが腰掛けられるような」という意味でサルノコシカケという名なんだろうけど、切り株に生えられたら逆に座りづらいじゃないか……。

とまあ、土曜日なんだから、こんなのほほん記事を書いて終わらせる気だったが、ちょっと思うところあって、愚痴を。

このところ学生からの問い合わせが増えている。卒論や授業の研究発表、サークル内のプレゼン……などに必要なのだそうだ。森林に関する情報や意見を求めているということなんだろうが……。
多いのは大学生だが、最近は高校生や中学生もいて、この前はインターナショナルスクールだった(日本なら高校生だろう)。若干おかしな日本語であったり、幼稚な質問もあるのだが、私はできる限り応えるようにしている。それは私自身が若いころ、いろいろな人に問い合わせの手紙を送り、返事をもらった経験があるからである。当時は手紙の送り先を見つけるだけでも、今と違って大変だったのだが、それゆえ有り難かった。また現在も取材という形で、さまざまな人から情報をいただいているからでもある。

今はメールとなり、しかもメールアドレスやメッセンジャーのアドレスなども見つけやすい。私の名で検索したら拙ホームページやブログ、そしてYahoo!ニュースにツイッター、フェイスブックなどがヒットして、つながれるツールが多彩にある。連絡をつけるには簡単になった。

とはいえ、その手軽さが徒になっているのではないか。先日は某大学の学生なのだが、結構失礼な書き方のメールがきた。回答して当然とでも思っているかのような文面。メール以前の文章作法としてよろしくないのだが、そこはぐっと堪える。まだ学生だから……。しかし質問項目がうんざりくる。

ナニナニの面積を教えろだの、割合を教えろだの。そんな数字は自分で当たれよ、コツコツ自分で統計をあたって計算するもんだ。あるいは林野庁にでも問い合わせるべきだろう。そのほかにも用語がヘンで何を言いたいのかわからない。基本的な森林用語、環境用語などが身についていないのだろう。

あまりに気軽に問い合わせ過ぎだ。いや、問い合わせるのはいいが、その前にやるべき自身の調べること、自身で考えることを抜きに、なんでも尋ねて回答を得ようとしているように感じる。自ら文献を当たるより、聞いた方がカンタンと思っているんじゃゅないか。最近はグーグルで検索して出てこないものは存在しないかのように思っている手合いが増えた気がする。検索で出てきたのは、もう調べる必要のない情報で、それ以上の情報(広報的なインフォメーションではなく、インテリジェンス)をつかみ取るのが学問だろう。

こちらも忙しいのだよ。しかも情報というのはタダではないのだよ。それを安易に得ようと思うな。金を払えとは言わないが、安直すぎる。(ちなみに仕事としての問い合わせでも、結果的に情報だけ聞き出して、ギャラの話が出ないケースがままある。)

返信で怒鳴りつけてやろうかとも思ったのだが、その元気もわいてこず無視することにした。情報がほしければ、自分なりに考え尽くした上で行うものだろう。

今年の夏だが、女子中学生から獣害問題に関しての質問がきた。そこには自身の仮説を掲げて、その上で正しいかどうかを問う内容だった。文面も非常にていねいで、そんな言葉遣い、中学生で知っているのか!と思わせるほど。その仮説は私の意見と真っ向から反対なのだが(^^;)、私はていねい且つ詳しく解説して返信した。1本記事を書いた気分で、随分手間と時間をかけた。しかし、こういう問い合わせは大歓迎である。私もやる気になる。それなのに、大学生の方がレベルが低い。

連絡にはすべて返信する、という私の原則は、崩れたのである。ええ加減にせえ! ということだ。もし返信しても、対応は厳しいからね。甘っちょろい質問は叩きのめす。年齢性別関係なし。

 

2021/11/05

植物進化の生き証人

週末のお休みの前には、こんな写真を。

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わかるかな? これは何だ。何の実?

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ちょっと見る向きを変えてアップで。この葉っぱはわかるだろう。

そう.ちょっといじけて見えるけど、イチョウの葉である。つまり、この実は銀杏というわけだ。ただし、よく見ればわかるとおり、イチョウの葉と融合している……というか、一体化している。

これを「お葉つきイチョウ」という。

イチョウは裸子植物であり、その点ではスギやヒノキと同じ裸子植物なのだが、より原始的でシダ植物から針葉樹に進化した初期の段階だと思われる。だから「生きた化石」と言われることもあるのだが、その状態をより鮮明に見せるのが、これ。

シダ植物は、葉(の裏)に、胞子をつけていることは知っているだろう。種子ではなく胞子なのだ。そしてイチョウは、シダの胞子から裸子の種子へと進化したわけだが、このイチョウの銀杏は、その様子を今に残す。だから、普通の銀杏のように枝の葉柄から稔らず、葉に稔る。

なかなか貴重なのだよ。これを見るために、結構な山登りをしたのであった。

2021/11/04

COP26の言葉尻をとらえる

たまには、昨日の文化の日に訪ねた美術館ののほほんとした話題でも記そうかと思ったのだが……。

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美術館の窓から眺めた景色。

イギリスで開かれている国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)では、2030年までに森林破壊を止めるだけでなく回復させるという宣言に100カ国以上が署名した。森林保護や再生(修復)のために出資する金額は、官民あわせて192億ドル(約2兆2千億円)。ここに日本も多少出したというのが、かろうじて岸田首相の自慢。日本や米国だけでなく、中国やブラジル、インドネシアなども署名している。

そういや最近、インドネシア食料農業省の高官が、新規のアブラヤシ・プランテーション開発を今後許可しないと発言している。これまでは「一時停止」だったのだが、その期間は9月19日に終了していた。もっとも明確な代替案は示されていないのだが……。

ともあれ宣言への参加国の森林面積を合わせると、世界の約85%の森林をカバーする。で、気になるのが、ジョンソン英首相のコメント。
「巨大な生態系は私たちの地球の肺だ。森林は、コミュニティー、生活、食料供給を支え、私たちが大気中に放出する炭素を吸収する」。

揚げ足を取るつもりはないのだが、この手の発言にはいつも引っかかる。ここでいう「地球の肺」とは何か。炭素を吸収して酸素を出してくれるという意味なのか。それがなぜ「肺」なのか。森林は二酸化炭素を吸収源だというのは無理があるし、酸素も本当に出しているのか。それどころか温室効果ガスを減らすのに森林は役立っているのか。

また東南アジアの熱帯雨林破壊の最大要因とも言えるアブラヤシ・プランテーションの拡大を止めることはよいのだが、そもそもパームオイルを求めるのはなぜか。今や油脂需要は拡大するばかりだ。発展途上国の生活水準が上がったから……という説明は片手落ちだろう。人口減の日本を始め欧米など先進国でも消費は拡大するばかりだ。人類は、塩や甘味料に続いて油脂の依存症になったのか。

もやもやするのだ。

だから『虚構の森』にもそんなことを書いている。関係している第一章と第六章を紹介しておこう。

第1章 虚構のカーボンニュートラル
1.地球上の森林面積は減少している?
2.アマゾンは酸素を出す「地球の肺」?
3.間伐した森は「吸収源」になる?
4.森林を増やせば気候変動は防げる?
5.老木は生長しないから伐るべき?
6.温暖化によって島国は水没する?
7.砂漠に木を植えて森をつくろう?

第6章 SDGsの裏に潜む危うさ
1.桜樹は日本人の心だから保護すべし?
2.和紙も漆も自然に優しい伝統工芸?
3.木材を使わない石の紙は環境に優しい?
4.再生可能エネルギーこそ地球を救う?
5.パーム油が熱帯雨林を破壊する?
6.農薬や除草剤は人にも環境にも危険?
7.人口爆発のため食料危機になる?

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2021/11/03

忘れられた再生可能エネルギー「水力」に注目!

イギリスでCOP26が開かれているが、岸田総理の演説の中身のなさにがっかりさせられた。化石賞をもらうのも、さもありなんである。まあ、想定どおりだが。

だが温室効果ガスを排出する化石エネルギーを減らすとなると、その代わりを見つけないと現代生活が維持できないというジレンマに襲われる。もちろん、脱成長という選択肢もあるのだが、誰も選びたがらない……。

そこで再生可能エネルギーに期待が集まるのだが、このところメガソーラーや巨大風力発電への批判の声が高まっている。森林など自然を広範囲に破壊することや景観、気象害に耐えられるのか、低周波を出すのではないか……等々、何かと生活に悪影響を与えるからだ。しかも、太陽電池の製造や廃棄問題まで考えると、本当に二酸化炭素削減になるのかどうかも怪しい。

私は、危急の際だからソーラーや風力は景観程度のデメリットは諦めて推進するのも仕方ないと思う。人里から離れたところなら低周波も影響は薄いし、バードストライクも技術的には抑えることは可能だろう。ただし、森林をなくして大気中の炭素を削減になるわけない。
とくにバイオマス発電に至っては、原理的にも二酸化炭素排出削減にならない。逆に排出を増やし吸収を減らすだろう。そんな再生可能ではない再生可能エネルギーも多いのである。かろうじて意味のあるのは製材施設に付随させた端材・廃材を燃料にするものだけだが、それでは燃料が足りずに日本では小規模なものでも5基もつくれないだろう。

では、何があるか。

そう考えた際に浮かんだのが水力発電だ。これこそ、日本ならではの再生可能エネルギーの主力になれるのではないか。地形的にも多雨気候からしても、日本にもっとも向いている。もちろん温室効果ガスを排出しないクリーンなうえ、日照時間や風向き・風速など天候に左右されない電力である。しかも、一度設置したらランニングコストが極めて少ない。また施設も、たいてい長持ちする。
とはいえ何も巨大ダムを新設しようというのではない。もっとよい手がある。

まずは、農業用水路や小河川によって発電する小水力発電所。(出力1000キロワット以下を小水力発電、数10キロワット以下はマイクロ小水力発電と分類されている。)これは各地で続々と誕生している。たとえば富山県や長野県、山梨県、熊本県などで増えている。しかも発電だけでなく、売電収益を施設の維持管理費に充てたり、地域の諸施設へ電力供給することで、電気料金が燃料購入のため流出することなく域内で循環するので、地域経済に資金が回るから地域づくりにも役立っている。

しかし小水力だけでは、あまりにも発電量が少ない。そこである程度のダムによる水力も必要だ。ただし私は、何も新設しなくても、従来のダムを利用しても電力を増やせると睨んでいる。ただし障壁となるのは、河川法や電気事業法、水利権など各種法令をクリアすることだ。

まず現有ダムの貯水量を増加させることだ。第一に取り組むべきは堆砂の除去。すでに半分以上が埋まっているダムもあるのだから。次にダムサイトを何メートルか嵩上げすること。技術的には難しくない。これだけで貯水量を一気に増やせるはずだ。そして本命は、貯水能力を常時(満水時の)半分しか貯められないようにしている多目的ダム法を改正することだ。治水のために普段から貯めるな、としているからだ。これは昭和30年代の法律だ。しかし今は気象予報が進んできたから、普段は満水近くにしておいて、大雨の前に放流すれば済むのではないか。

そして発電していないダムも利用する。農業用ダムや砂防ダムだって発電できる。いやダムではなく水路があれば小水力発電ならできる。

ちなみに元国交省官僚の竹村公太郎氏は、ダムを増やさないでも発電量は2倍にできる、日本の電力需要の2割ぐらいは賄えると指摘している。すると再生可能エネルギーは全体の3割を越す。ぐっと目標に近づけるではないか。

これらに要する資金は、ゼロから建設するよりはるかに安くつく。しかも建設期間もたいしてかからない。再生可能エネルギーを増やせ、というわりには、なぜ水力発電の強化に目を向かないのか。

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奈良県川上村の大滝ダム。これは巨大な多目的ダムの一つだろうが、普段は満水になっていない。

 

2021/11/02

米需要を支えていた?フードロス

私の興味は森林だけ、と思っている人がいるかもしれないが、そうではない。農業や水産業にも目を配っている。自然と人の関わりを考えるには、農林水産業は大きなとば口になるからだ。

で、最近気にしているのが、米価

今年の米価が大きく下落したことを知っているだろうか。銘柄米(1等米)は軒並み前年比2000~4000円(60キロ)程度下落した。 なかには1万円を割り込んだ銘柄もあり、米農家はやってられんだろう。高齢化の進む農家の中には、これを機に離農の動きもあるという。
私は、この米価が落ちた原因に興味がある。いや落ちた謎というべきか。

下がった一義的な理由は、需要が減ったのに農作で供給量が増したから。

では、なぜ需要が減ったのか。一般には、コロナ禍で飲食店が営業できなくなり、客も減ったからと思われがちだ。しかし、ここで疑問が湧く。外食しなくても飯は自宅でも食べるはずだからだ。家庭での消費が増えたら、プラスマイナスゼロになると思えるのだが。多少のぶれはあるにせよ、価格に影響あるほどいきなり需要が急減したのはなぜか。そもそもコロナ禍がなくても、人口減少と高齢化で主食用米の需要は毎年10万トンのレベルで減り続けていたのだから、減少は計算に入っていたはず。実際に21年産米の作付け転換面積は、6万3000ヘクタールと「過去最大規模」になっていた。全体的に供給量は減らしていたのだ。それなのに米価が急落するのは解せん。

需要が減った理由はいろいろあるのかもしれない。ただ、理由の一つとして指摘されるのがフードロスの減少だ。

どうやら、これまでの米の需要に飲食店の廃棄ロスも消費量に含まれていたらしい。それが想像以上に莫大にあった。たいていの店舗で見込み炊飯する。あるいは店頭にないと困るので、始めから捨てる覚悟で多めに用意する。また客の残す米飯も多い。そんな捨てていた米。この「消費」がコロナ禍で消えたというのだ。自宅の米は、食べる分だけ炊くから、そんなにロスは出ない。出てもしれている。……このように考えると、なんと、ロスこそ米需要を支えていた可能性がある。それが失われると農家が困るのだ。
ちなみにパン屋でも、閉店間際でも店頭に並べなくてはならないので、廃棄するパンが非常に多いと聞いていた。それと同じことが米飯にも起きていたのかもしれない。

フードロスを減らすのもSDGsにある。それは原則としてよいことだが、ロスをなくすことが日本の農業に影響を与えるとしたら。。。
よく売れ残りを廃棄せずに無料で配る話もあるが、それも価格下落を誘発しかねないから、経済的には慎重にならないといけない。「食べられない人」に配るのに留まらず、「食べられる人」の口にも回る可能性があるからだ。すると購入量が減る。
もちろんフードロス歓迎!とは全然思わないが、きめ細やかな対策がいる。農水省は、主食用米の保管経費などを支援したり、飲食店や子ども食堂に販売する特別枠をつくったりという対策をするそうだが、その場しのぎというしかない。

そういや、木材分野でも「間伐材使ってやるから安くしろ」と要求する消費者がたまにいるが、これも林業経営を圧迫する。補助金で安くするのも同じ。GO TOキャンペーンなどで旅行や外食を安くするのも、長い目で見ると、旅行業・飲食業を衰退を招く。

 

ところで今年のアメリカでは小麦やトウモロコシ、大豆の作柄が猛暑で心配されたが、幸い収穫量はむしろ増えたそうだ。大豆は過去最高の作柄、トウモロコシも史上2番目の豊作とか。おかげでアメリカのそれらの作物価格が落ちている。
ところがカナダの麦類(小麦、大麦、オーツ麦) や菜種は3~5割の大減産らしい。日本は菜種(ナタネ油の原料)をカナダに9割以上を依存する。食パン用小麦も全体の3分の1がカナダ産。来年の食用油と食パンは値上げ必至だ!

ウッドショックをいち早く指摘した私がいうのだから信用できる……かどうかは読者が判断してほしい。

 

2021/11/01

動機が不純?高齢林の生長力を見直す

日経新聞に、高齢林も意外に元気? 農水省があてこむ脱炭素の伸び代という記事が載った。

まずは読んでいただければと思うが、ようするに日本の温暖化(温室効果)ガスの削減目標を高く掲げた(13年度比46%削減)ため、どうやって達成するかを考えた際、森林吸収量を従来目標から一気に3割増の3800万トンと見積もって計算した。勝手に数値を変えられないから、その根拠を「高齢林の二酸化炭素吸収能力が、これまでの算出数値より高く見積もってもいいんじゃないか」に頼った話だ。

従来は、高齢化した森林は成長が鈍り、CO2をあまり吸わなくなると考えられてきた。農水省はもともと30年度に約2800万トンまで落ち込むと推計していた。しかし三重県林業研究所のデータをみると、スギやヒノキが50歳を過ぎてからも従来の想定より1~2割ほど大きくなっている。それだけ成長するからにはCO2もたくさん吸っているはずというわけだ。

おいおい、それは私が4年も前に記事にしているぞ。それも国内データではなく、ネイチャー論文からだ。

老木ほど生長する! 森の扱いを考え直せ

 

ようやく追いついたか……(´Д`)。というか、削減目標を高めるため焦って辻褄合わせ的に採用したというわけか。ちょっと泥縄。必要なら、どんなデータでも使うってか? ま、ネイチャーだからというのではなく、私も正しいと感じる。200年300年と生きる木が樹齢50年くらいで生長力を落とすと考える方が無茶なのだ。経験則というか肌感覚でもわかるだろう。

ちなみに、この従来とは違う理論(異論)についても、あと3週間で発行される『虚構の森』で大きく取り上げている。異論が先に主流になってしまうのか。もっとも、これとは別に「森林は二酸化炭素を排出する」という科学データも紹介しているのだけどね( ̄∇ ̄) 。ふふふ、異論の応酬だ。

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でも、これまで伐期(60年)経ったスギやヒノキは二酸化炭素の吸収が減るから伐って使うのだ、と木材の増産の口実にしてきた林野庁はどうするのかね。林業によって気候変動が起きる、と突っこまれるぞ。

しょせん、森林科学は虚構の上に成り立っているのだよ。

 

2021/10/31

研究員募集。「森のようちえん」はキテるか?

「森のようちえん全国交流フォーラム」から帰って来た。

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初日は青空の下で、ススキも気持ちのよい曽爾高原だった。そこで何を見聞きしてきたのかは、今後咀嚼していきたいと考えるが、せっかくだから、こんな話題を。

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森林総合研究所の求人(^o^)。正確には、

令和4年4月 研究職員募集のお知らせ (パーマネント研究職員)

パーマネントって……ようするに任期の定めのない、いわゆる正社員(職員)のことか。それはいい。そこの一覧には、いろいろな研究課題・テーマが載っているのだが、その三番目が、上記の写真。

森林における教育とそれに適した森林空間についての研究

環境教育の場としての森林の特徴を示すとともに、安全かつ効果的な環境教育に適した森林空間および周辺環境の要件と整備・管理方法を明
らかにする。そして、それらの成果に基づき、森林空間の特徴を活かした環境教育の先進的な方法を提案する。

森林における教育……なんとなく、いやそのものズバリ、「森のようちえん」を連想する(笑)。

こうした研究員を募集するようになったのかという感慨。もしかして、森林空間利用とか環境教育の分野で、「森のようちえん」はキテるのか?

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