数寄屋の語源
木曽のヘギ板職人との話の中で、「数寄屋(すきや)造って、なんでいうんだろうね」という言葉が出た。
一般的には、数寄屋とは茶室のことで、庭などに別棟として建てられた小さな家屋である。数寄とは茶の湯のことだったようだ。
そして数寄とはすき者から来ており、すき者とはかぶき者のこと。当時の武士社会の中では軽妙洒脱なオシャレをする者を指したらしい。あるいは派手で異様な姿を指すようだ。かぶくとは、傾くが語源ともいう。ちょっと時代を遡れば、バサラという言葉もある。鎌倉時代終焉から南北朝時代にバサラ大名なんてのが登場している。
茶の湯が、当時の新しい流行だった時代に、それに熱中するのは数寄者だったのかと想像する。そしてほぼ同時代に歌舞伎も登場している。
建築から言えば、書院造に異を唱える形で登場したから数寄屋造なのだろう。
ただ、書院造がヒノキの大木を多用したのに対して、スギの小径木を使った建築だから数寄屋はスギの建築に通じるという声も聞いたことがある。
いずれにしても、時代の変わり目に目新しく異様な建築として登場したのが数寄屋。それが今や伝統家屋の代名詞となっているのは皮肉でもある。そろそろ新たな数寄屋、いや歌舞伎屋、いっそバサラ建築……を生み出す時代かもしれない。
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