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2007/05/22

ヘギ板職人

ヘギ板というのをご存じだろうか。
簡単に言えば、木材を刃物を使わず裂いた板である。繊維を傷つけずに、わずかな切れ目から木目に沿って手で裂く。薄いものは、厚さ1ミリ以下にもする。昔は、メンパなどもこうして作ったというし、そもそも日本には縦挽きノコギリの登場が非常に遅く(室町時代)、それまで、みんな木は割いていた。そして、それを編んだのが網代(あじろ)編み。

その職人が、長野県上松にいた。小林鶴三さん。日本に残るヘギ板職人は二人だけだという。その工房を見学させていただいた。

材料は、サワラかネズコ。ヒノキは裂かないという。むしろスギの方が裂きやすいそうだ。裂き方は、見ていると無造作で、なんということはない。まるで張り合わせた合板のベニヤを剥がすごとし。だが、その裂き面を見ると、見事に繊維を切らずちぎらず、木目の境を裂いている。それが何とも言えない風情をかもしだす。

Nagiso_1 写真は、幅の狭い板だが、本当は、もっと広いものを裂くらしい。

ただ材料を選ばないと、うすく裂けないし、美しくもならない。だが、その材料がなかなか手に入らないのが悩みだという。そのため後継者の育成もできない(仕事量がない)のだ。

小林さんは、第3回森の“聞き書き甲子園”で、森の名手・名人に選ばれている。さっそくその項目を読むと、戦国時代に盛んに茶室が作られた際に、天井や壁に網代編みの材料として発達したらしい。もっとも、当時は職人は京は大坂など都会にいたという。それが材料を求めて山に分け入ったのだ。今とコースが正反対。いや、当時のヘギ板づくりはハイテクであり、都会派産業だったと言えるかもしれない。
だから最後に「林野庁への願い」として、材料調達をなんとかしてくれ、と言っている。 

                               Nagiso_2_1

網代編みの工程。

        Photo_3

木目の紅白を生かした美しい網代。

しかし、材料もなく、後継者もいない、そして茶室の造営も減ったから需要も伸び悩む。となると、将来は危うい。しかし、木繊維を切らない加工は、何か生かす場があるように思える。何も美しさだけではないはずだ。かつてのハイテク産業を現代に甦らせる方法はないだろうか。

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木製品・木造建築」カテゴリの記事

コメント

へぎ板とはこのようなものでしたか。
奇麗なものですね!

へぎ蕎麦しか知らないかった、食い気のみの男です。

ヘギ蕎麦とヘギ板に、何か関係あるんですかね? でも、信州の蕎麦はやっぱり美味しいです(^o^)。

あんた何様?日記から飛んできました。間伐材のみで造った卒塔婆の使用運動始めました。広島県三次地方森林組合との協同です。
この運動でポスターをつくって、そこに間伐材マークを使用しようとしたら何と有料だそうです(怒)

たのさん様

失礼ながら、上記のコメントの意味がさっぱりわからないのですが。ここは「ヘギ板職人」の項目です。

間伐材マークは、全森連が審査・認証しているものですので、当然有料です。三次地方森林組合が、そのことを知らないはずはありませんが…。

項目違いの場所にコメントして大変失礼しました。間伐材に見識がおありの方々のお目に触れればと単純に考え、最新の日記にコメントしてしまいました。マークの件については塔婆製造業者からの情報でHPをみて全森連の担当者とメールのやりとりをしただけです。間伐材使用の一助になる運動になぜ有料なのかといぶかしんだ結果(怒)と書いてしまいました。気に障られたようで申し訳ないです。

たのさん様

私が理解に苦しんだのは、「あんた何様?日記」というのが何のことかわからないことと、間伐材の卒塔婆というのも、唐突すぎて何のことかわからない点です。
間伐材マークに関しては、オマケです(笑)。

たのさん様がいかなる立場の人で、何をされているのかもう少し詳しく説明していただけると幸いです。

 こんばんは。
 茶室で見たことがあります。
 すごい技術ですね。
 今度見かけたら もっと丁寧に見ようと
 思います。

へぎそば。新潟県小千谷市の名物。

 繋ぎに海藻(ふくろふのり)を使った蕎麦で、腰が強いのが特徴。へぎと呼ばれる杉の器に入れ、一口分ずつ盛って出される事から、この名前となった。

とあります。新潟に行った時に食べたら美味しかったので、憶えていました。

ついでに、「へぎは「剥ぎ」を語源とし、剥ぎ板で作った四角い器のこと。」もコピペします。

だそうです。関連あるでしょう(^^

勿論、信州の蕎麦も美味い!!

「あんた何様?日記」はある人気ブログです。最近の卒塔婆は輸入材で作られているものが圧倒的です。これは非常に見た目がよいうえ筆のノリがよく軽量です。一方、間伐材(ヒノキ)の卒塔婆は節だらけで重いので輸入材と競争すると勝負になりません。使う側が国内の山林の保全のためという目的意識が無いと拡まっていかないと思われます。私は僧侶ですが、僧侶仲間だけの運動ではなく、賛同される皆様からの寺院に対しての要望となって、より早く広範囲に拡がればと思い浮いたコメントをしてしまいました。平にご容赦を。

いや,あまり本題とは関係ないのですが,やはり

>サワラ・ネズコ

というところに,「おお,木曽!」と感動してしまいました(笑)

#アスヒやコウヤマキはどうなんだろう

剥ぐというと瀬田勝哉「木の語る中世」(朝日選書664,2000年)に紹介されている,数少ない檜皮むき職人「原皮師」の話を連想しました(そういえば京都・上賀茂神社に行ったら本殿・権殿を見せてくれるとのことでのこのこ出向いたら,建物全部檜皮葺きだという説明を受けました).ヘギ板のほうも職人さんが本当に少ないんですね.

「あんた何様?日記」見ました。なるほど、こんなブログがあって、かなりの人気なのですね。最近、アクセス数が急に上がっているのは、そうした影響かもしれません。

たのさん様、ようやく意味がわかりました。ぶっきらぼうなコメントをして失礼しましたm(__)m。

おそらく輸入卒塔婆は、ホワイトウッドかそれに近い木を使っていると思われます。日本で言えば、モミに近い木です。白くて癖がなくて、腐りやすい、卒塔婆向きの木です。ヒノキは、一般的に言って卒塔婆には向いていないでしょうね。でも、ヒノキならではの価値(たとえば卒塔婆も腐らず長持ちさせたい人向きとか)をアピールするのも手ですね。

ヘギ板とヘギ蕎麦には、関連があったんですね! でも、このスギの器は、本当のヘギ板ではないだろうな……。

ヘギ板づくりの技術もすごいし、網代編みも、こうして背景を知ると、その魅力が増しますね。ただ、最近の網代編みは、ほとんどヘギ板を使わず、ツキ板(刃物で薄く削いだ板)のようです。

アスヒ(アヒナロ、ヒバ)やコウヤマキをヘギにすることもあるようですが、あまり話には出ませんでしたね。何より木が貴重品になってしまった……。

はじめまして よろしくお願いします。
「ヘギ板職人」のスレッドへの書き込み失礼します。

「塔婆 製造」で検索し このブログを見つけました。

>間伐材のみで造った卒塔婆...

間伐材(内地材)で塔婆を作ろうかと 以前から考えている者です。

構造用合板やコンパネが普及した今、
内地材(外材)の製材所から出る、
野地板等の板等が建築材として使われなく
余っている状況があるからです。

現在、一般的に使われている塔婆は、
外材の米栂やモミの柾目が、
私の近くの寺院で使われているように思います。

ただ 間伐材の桧の場合 ほとんどが板目になり 
墨の滲みができ、柾目取りになると杉の方が 
適しているようにも思いますが
辺材と心材の色の差が大きく、
使い辛い状態でしょうね。

今 世界で一番安い木が杉だと思います。
3・4・5尺と短い塔婆に使えないものかと考えています。

こちらのブログをお借りして申し訳ありませんが
広島県三次地方森林組合との協同で 
作られている塔婆は 桧でしょうか?


余談ですが

>間伐材マークは、
>全森連が審査・認証しているものですので、
>当然有料です。

行政が間伐の推奨をしているにも関わらず
全森連が間伐材マークなるものを作り
そのマークを使用することを有料化するには
疑問を感じます。

田中淳夫様
ゆっくりブログを拝見させて下さい。
いいご縁に感謝。
有難うございました。

1150さん、はじめまして。

スギでも辺材部分だけだと白くて、腐りやすいという卒塔婆の材に合っているような気もしますが、辺材だけで、となると相当大径木でないと無理か。
どんどん腐って需要が増えるものを商品化できるといいんですけどね。

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