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2007/06/22

とりあえず「地球温暖化論」

『割り箸はもったいない?』に続いて『森林からのニッポン再生』。

どちらも地球温暖化問題に絡めて語られることが目立つように感じた。それは結構なのだが、私が手放しで地球温暖化が進んでいる! と論じているように思われる方もいるようなので、今回は少し大上段に、この問題に関する私のスタンスを記しておこう。

私は、ここ数十年から約100年、地球の平均気温が上昇していることを認めている。
同じ時期に先んじて、大気の二酸化炭素濃度が尻上がりに高まっていることも認めている。
そして、この時期に二酸化炭素濃度が高まったのは、人類の活動(化石燃料の大量使用など)が関係していることもかなり疑っている。

三段論法的に言えば、人類が地球温暖化を招いたことは疑いなし! ということになるだろう。実際、少しでも二酸化炭素排出量を減らすべきだという意見にも賛同する。

だが、本当に地球全体が温暖化しているかどうかには疑問を持っている。短期的な気候変動を、地球史レベルまで広げることには、違和感がある。
100年なんて、宇宙の時間の中では瞬きの時間にもならない。時間の尺度を広げれば、地球の気温は、常に変動を繰り返していた。

遠くは、恐竜の跋扈していた白亜紀は、二酸化炭素濃度は現在よりはるかに高く、当然気温も湿度も高く、サウナ状態だったようだ。もしこの時代に人間がタイムスリップしたら、窒息するとは言わないが、すぐバテてしまうだろう。爬虫類向きの地球だったのだ。
そして氷河期を持ち出すまでもなく、気温が極端に低い時代も何度かあった。人類が登場してからも寒冷期と温暖期を繰り返していたの間違いないだろう。

二酸化炭素量も、巨大火山が噴火したら、すぐ跳ね上がる。人類が苦労して排出量を削減しても、セントヘレナ火山級の噴火が幾つか続けば、すぐ努力は無になるだろう。深海流の変動も人類とは関係のない次元で起きているし、太陽の黒点の数なんぞ、まったく神のみぞ知るで、お手上げだ。
むしろ、ここ数千年間は、地球史の中で希有なほど気候が安定していたのである。

それでも、とりあえず短期的には地球温暖化が進んでいるとして、そして原因は人類にあるとしても、それを押し止めようとバイオマスエネルギー開発に邁進したり、森林整備を進めたりするのは巨大な地球を前にした蟷螂の鎌のように感じて仕方がない。むしろ、温暖化なんて、2万年も待てば収まるんじゃない? と、うそぶきたい衝動に駆られる。

だから何もしないでよいという、ブッシュ大統領並の空っぽ頭にはなりたくないが、どこか冷やかに思ってしまうのだ。著作では、客観的事実として地球温暖化が政策課題に上がっていることから森林に関した部分で触れているが、地球全体の変動に関しての意見は表明しないようにしている。

ただ、危機意識こそ改革を進める原点だ。これを機会に人類の進む方向が多少は修正されるなら、悪いことではない。
どう考えても有限の化石燃料をバカスカ使うのは危険だし、森林に興味のなかった人も森林の現状に目を向けてくれるなら温暖化論を利用するのもよいかと思う。好き放題、野放図に暴れている人類が、多少とも地球環境に気を配っておとなしくなるのは賛成だ。

バイオマスエネルギーは、地球温暖化を持ち出さなくても、推進すべきだろう。森林整備を進めることで林業が立ち直り、生物多様性が増す可能性も好ましく感じる。ついでに「美しい森林づくり」にもなるかもしれない。

ま、地球温暖化論に関する私のスタンスはこれぐらいにしとこか。語り尽くせぬ気分ではあるけどね。

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コメント

ネット復活,でもメイルがまだ・・・

 とりあえずここ十数日寝込んで&倒れていたために遅れてしまった仕事のオトシマエをつけなければなりません.とほほのほ.

とりあえず,

>語り尽くせぬ気分ではあるけどね。

は同感であります.

>そして氷河期を持ち出すまでもなく

ここは「氷期」,いやもっと言うと「氷期-間氷期サイクル」のほうが正確ですね. こういうことを言うとまた「これだから学者は・・・」と田中さんに苦笑されるのだけど(どこかblogに書いてませんでしたっけ),ここは譲れない線.

というのは氷河期というと,「氷河時代」と「氷期」というまったく違うことがらのどちらをさすかよく分からないから,話が通じなくなることがあるからです

(このふたつがどれくらい違うかという例を一つ挙げると,現代は,「氷河時代」ですが「氷期」ではありません).

あと,白亜紀(6500万年前に終了)の話のすぐあとに氷河時代(おそらく後期更新世,つまりここ数十万年の話)のネタが出てくるのは,時間スケールの点で困惑します・・・って僕だけ?

いまネットが壊滅しているので,メイルを直せたら,IPCCのAR4あたりの紹介とともに復活します.

とりあえず,「この100年何が起こっているか」「それは人類が体験してきた気候変動とくらべてどうか」「それでは”文明”の体験してきた変動とは?」「20c後半の急激な気温情報はGHGs(温暖化ガス)の人為的放出なしで説明できるか」「逆に,地球史全体の気候変動から比較するとどうよ」については,IPCCワーキンググループ(WGI)の報告がここ(第四次報告書)にいたってかなりの確度を持ち始めた段階でありまして,ここまでくるのに10年以上かかっています.

ところがそのさきにある巨大な問題が残っていまして

「で,それは人類にとって,というより”人間社会”にとって,どうよ?」

という,ワーキンググループ2および3の仕事です.こちらの確度は,まだ10年前のWGIか下手するとそれ以下・・・

えと,これはWGI,WGII,WGIIIの二股・三股をかけているあがたしに,怪我なんてしてないでとっとと仕事しろ!ということなんでしょうか.

あがたしさんより長文のコメントをいただきましたが、「これだから、学者は…」(笑)。
私は、プログに書くことに関して、責任を負わないことにしていますから、細かいことは気にしないでくださいませ。

それにしても、IPCC関係のお仕事もしていたのですか。
端的に言って、地球温暖化が本当かどうかということよりも、そのお題目を、人類にとってプラスにできるかどうか、という政治的課題のように感じるなあ。

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