都会は麻薬?
『世界の半数が都会人」に』という記事があった。国連人口基金が発表した白書によると、来年には世界の人口の半数以上の33億人が都会に住むことになるそうだ。
この場合の都会とは、スラムも含む(いや、大半か)人口集中地域のことだろう。アジアやアフリカでは、とくに顕著である。もちろん経済問題や雇用問題など様々な要素があるが、ここで私が思い出したのは、ベトナム戦争のルポである。
南ベトナム(当時)のデルタ地帯(農村部)から戦乱を逃れてサイゴンなど都市部に流入した難民が、その後戦乱が収まっても帰村しないのだ。そこで政府高官のコメントとして「都会の味を覚えてしまった」というのが印象に残っている。村で農業をやるより都会で乞食になることの楽しみがある……という状況が生まれていた。
これは残念ながら否定しがたい。現在の日本の田舎暮らしブームなんて、小さな逆流にすぎず、基本的には田舎から都会への人口流出は続いているのだ。やはり都会に魅力を感じる人の方が圧倒的に多い。
私は、「都会の魅力は麻薬」と言ったことがある。身体に悪いと言われても、一度魅力を感じると中毒になって抜け出られない、という意味だ。だから最初から中毒にならないような心がけを持つか、中毒になった場合は、かなりの意思力がないと脱却できない。
その麻薬の中身は、「刺激」だと思う。便利さもその一部だろうが、常に多くの刺激にさらされると、最初はびっくりしても、やがて心地よさが生まれる。そしてもっと強い刺激が欲しくなる。もっと便利に、もっと新しい情報を。
もしかしたら、Iターンによる田舎暮らしも、新たな「刺激」を求める面もあるかもしれない。しかし、田舎の刺激がどれほど続くか。都会のようにのべつなく新しいものを提供できないだろう。……(この考察、また続く)
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