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2007/07/06

カーボン・ニュートラル

前回の地球温暖化問題の続編。

私は、かねがね不思議に思っているのだが、二酸化炭素の森林吸収分とはなんだろう。日本では排出量の3,8%まで森林分をカウントすることが認められているわけだが、科学的にはほとんど意味はないように思う。
理由のひとつは、整備された人工林だけ、という枠組が政治的だからだ。荒れていようと原生林であろうと、多少とも生長していれば二酸化炭素は吸収する。それは計算に加えずに、間伐した人工林だけをカウントするというのは、科学的にはおかしい。

そのうえ、バイオマス(生物生産物)によるエネルギーが「カーボン・ニュートラル」という定義も、実は???なのである。バイオマス(たとえば木材)が持っている炭素は、かつて大気中にあった炭素だから、それが二酸化炭素を放出されても元にもどるだけで、新たにバイオマスを生産すれば、プラスマイナスゼロになるという考え方だ。
しかし、それは削減ではない。バイオマスが生み出したエネルギーの分、化石燃料で得ていたエネルギーを減らした場合、初めて減少させたことになる。

しかも、ニュートラルになるまでの時差がある。100年かけて育った木を燃やした場合、その二酸化炭素を再吸収してプラスマイナスゼロに持ち込むには、100年かかる。それまでの間は二酸化炭素を大気中で増やしたことになるのだから、これは先送りである。手形を切ったようなものだ。
逆に考えれば、森林は二酸化炭素を吸収すると言っても、数十年後には寿命が尽きた木が腐るなり燃やされるなりして二酸化炭素を排出する。

議定書では、この100年間(例)の猶予期間中に、なんらかの別の二酸化炭素削減策を考えるとしているようだ。これも先送りの論理だなあ。

……このようなことを考えているうちに、わからなくなってしまうわけである(*_*)

ところで、今年発表されたIPCC第4次評価報告書を受けたのか、サミットでは二酸化炭素排出量を「2050年までに50%削減」という目標が掲げられた。これは、ある意味、京都議定書をすっ飛ばす内容である。
日本は2012年までに6%…なんて次元ではないのである。それほど世界各国で温暖化問題が注目されたのだろう。(その割には、報道は控えめだったが、それは数値の意味がわからなかったのではないか。) 

わからないことだらけだなあ。

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森林資源」カテゴリの記事

コメント

>二酸化炭素排出量を「2050年までに50%削減」

これは全世界としての目標なので、日本などの先進国なら、70~80%の削減を意味しています。
ちなみに東京都では、これを受けて、「東京都気候変動対策方針:カーボンマイナス東京10年プロジェクト」の基本方針を打ち出しています。都として2020年までに2000年比25%の削減です。都では2年前から「地球温暖化対策計画書」に則って企業のインベントリーを提出させています。これと連動させて、具体的対策を提出させ、その結果も公表しているので、かなり実行力のあるものです。
むしろこちらの報道をもっと積極的に行うべきでしょう。

>ある意味、京都議定書をすっ飛ばす内容
という意味が分りません。
京都議定書の方が強制力があって、第2コミットメント期終了以降も生き残るであろうというのが、専門家筋の見解。逆に50%の削減は現時点では設定目標であって、USAや途上国を囲い込もうとすると、目標を緩くせざるのではないかと懸念されています。

京都議定書の削減数値は、たしかに強制力等もあり、細かく設定されていますが、先進国だけで、それも数%から10数%です。数字から見れば、排出量半減をめざすのは強烈だと思いますが。

京都時代は、IPCC第3次報告に基づいた議論でしたが、今年のサミットの議論は第4次報告を基本としています。この報告書では、かなり観測精度が上がったようです。
その結果、今や(短期的な)地球温暖化の進行はまぎれもない事実だと認識されたように思います。先の議定書にそっぽを向いたアメリカも参加せざるを得なかったのは、そのためかもしれません。そして温暖化で被る社会的損失を抑えるために、総排出量の規制を数値として出したのだと理解しています。

私は、地球温暖化の進行と原因に関して疑問を持っています。しかし国際政治の舞台では、温暖化は事実であり、CO2こそ元凶であり、その削減の必要性で意志統一が計られつつある…そんな印象があります。
もちろん、現時点で半減と言っても目標にすぎず、ザルですが。

数値的に見れば、京都議定書の目標は低いかもしれませんが、何も無いところから出発しているので、僕個人の感触としてはこちらの出来事の方が衝撃的です。
それから、森林固定の3.8%ですが、ご存知のように今までの蓄積として認めてあげます。つまり、場所とか樹種とか関係なく日本には森林が沢山あるので、これ位あるでしょうというおまけみたいなもの。
真偽のほどは不明ですが、先のサミットでもフランス代表から日本の森林破壊、特に九州の皆伐後の放棄林(衛星写真にもしっかり写っています。)について突っ込まれ、3.8%枠について疑問を呈されたらしい。

森林関係者のCO2の森林固定による排出量取引という話を聞きますが、実際には現在以降の蓄積量(それも持続的森林経営をしている?)が対象となるので、それをどうカウントするのか?
やはり立木の個体識別と継続的な維持管理+材積量増加の計測が必要となるの?

やはりそれほど甘くないということでしょうかね。

>実際には現在以降の蓄積量(それも持続的森林経営をしている?)が対象となるので、それをどうカウントするのか?
>やはり立木の個体識別と継続的な維持管理+材積量増加の計測が必要となるの?

なるんでしょうねえ…
先の田中さんの、間伐した人工林だけなのはおかしい、というのは、
人工林については長い目で見て維持される森林という取扱い、
天然林等は計測の困難さゆえに、吸収源ではあるけど
計算からは外しておこうという話ではないでしょうか。
取引も持続的経営をしているのが前提で、計測か、森林簿のような記録、簡単な検査?が必要になるのかなあ。

こんな硬い話題なのに、意外と続きますね(^^;)。

森林の吸収という定義が結構あやふやなわけですが、それを厳密に計測するのはコストばかりがかかり、効果が少ない気がする。

ただ、京都議定書では、努力次第で可能な分を削減しようという積み上げた数字ですが、サミットの目標は、温暖化をストップさせるために必要な削減量という数字ではないでしょうか。


専門家からみると,温暖化をはじめとする地球規模気候変動の議論は,その対象となる時間スケールと空間スケールが議論者の間でかみあっていないことが多々あり,それが混乱を巻き起こしているように見えます.ですから,

>しかも、ニュートラルになるまでの時差がある。

↑このあたりの感覚は重要です.

人為の影響がなくとも,「何億年」「何千万年」「何百万年」「何十万年(注:この位のスケールになると,われわれ人類になじみが深くなってきます)」「何万年(ミランコビッチサイクル程度)」「何千年」「何百年」「何十年」「何年」「何ヶ月」・・・みな固有の気候変動をします.

そしてさらに,田中さんご指摘のように人為の作用も何日・何ヶ月・何年・・・とそれぞれの周期に応じた独特の影響をもたらします.そのあたりをきちんと分けて論じるのがいわゆる学者です.

・・・でもこういう言説って,ウケないんですよね・・・

さいきん松葉杖なので,ふだんよりゆっくりとしたときの流れをすごしているあがたしであります.

>きちんと分けて論じるのがいわゆる学者です.

そうなんだろうなあ。で、分けずに感覚的にひっくるめてしまうのが、私のようなライターなんだろうなあ(笑)。

一度、あがたしさんに、ポイントを抑えた地球温暖化論をまとめてもらいたいものです。

↑の田中さんのコメントに賛成!

自分でも関係してるのですが、いま一つしっかりと理解できていないような…・

あがたしさんにまとめてもらいたいです。

まずは,先日(寝込む前に)理系白書blogにつけたコメントあたりを紹介してみます:

http://rikei.spaces.live.com/blog/cns!B2DB7723CECCAA05!8758.entry
(新しい発言ほど上に表示されるシステムになっているのでご注意)

このコメントの場合は,元発言が明白な誤りを含んでいたためかえって書きやすかったのですが,一般には温暖化議論では”何が誤りであるのか”自体を説明するのに苦労するような言説が結構あります.それを説明するのが役割だとは思っていますけれども.

ありゃ,リンク先のURLが長いとうまく表示されませんね.
「理系白書」ブログ
http://rikei.spaces.live.com/

2007年5月3日
の記事です.

以前から”冷静な”理性だけでなく感情も含めた意味での「科学の伝え方」を考えたいと思っておりましたが,つい最近,生まれて3日で赤ちゃんを失った父親の手記を
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20070707
経由で読んでますます考えさせられているところです.

温暖化・森林の話は,直接当事者やその家族の生命のやり取りはない(少なくとも,見えづらい)のでこういうエキセントリックな対応が出てくるとは限りませんが,しかし森林に対する神話的幻想はよく眼にしますし耳にしますね.

 ただしそれを斬って捨てるのではなくうまくそれに乗じてよりよい考え方を広めることができればいいのですけど.

とりいそぎ

「理系白書」はたまに覗いていましたが、コメントまで読んでいませんでした。

時間的なスパンと温暖化(または寒冷化)をどう捉えるのか、というのが結構大問題になるわけですね。今では、何か異常(と思える)現象があると、すぐ地球温暖化と結びつけられますからね。

さしずめ、ここ数日の九州の大雨だって、地球温暖化の影響にされちゃう。

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