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森と林業の本

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2007/07/14

都会に里山を

少し前に、東京都品川区と山梨県早川町が、「マウントしながわ利用協定」を締結して、品川区の住民が早川町内の「丸山」(京ヶ島地区)と呼ばれる里山(約4万m2)を無償で提供された、というニュースがあった。と言ってもローカルだろうけど。ようするに田舎の里山を都会の住民が、川遊びや自然学習、林業体験などのフィールドに使えるということなのだろう。

田舎では使い道がない里山でも、都会なら喜んでもらえるなら結構なことだ。無償なんていわずに金とって収益事業にしてもよいと思う。

そこで思い出したのが、「都会に里山をつくる」という発想だ。実は、随分昔に、某大学の学生から「都会の中に里山を作るとしたらどうなるか」というテーマで卒論を書きたい、という問い合わせがあった。私なりに幾つかポイントを示した記憶があるが、これを現実化できないか。

都会の人を里山のある田舎に足を運ばせるのではなく、都会に里山そのものを作り上げるのだ。決して不可能ではない。

実は、自然の生態系を復元するのはそんなに難しくない。をどうする、地形をどう設計するといった課題はあるが、それが楽しみでもある。山と言っても高低差はそんなにいらないだろう。ただ最初から高木を持ち込むのか、遷移に任せるのか、そうした基本的なスタンスが必要だ。

最初に持ち込む草木や昆虫類、魚類などをどれを選ぶかも課題だが、やはり都市周辺の環境を参考にするのが一番だろう。外来種は注意深く排除することだ。ただ、人に害を及ぼす虫などは導入してもよいのか課題となる。被害が出てもめるとやっかい。しかし安易に外して、本当の里山になるのか、検討しないといけない。
それでも、自然と侵入する種もあるだろうし、少しずつ落ち着いてくるのではなかろうか。

その上で、農地などをいかに設置するか。水田、畑地、草地はいるのか。本当に栽培するのか。……問題となるのは、誰が持続的に管理するのか、という点だ。
これは単にNPOなどに委託するのでは心配である。ちゃんとした組織的なシステムを作らねばならないだろう。

最大のネックは土地だが、都市公園並の広さなら、わりと都会にも空き地があるのではなかろうか。使われていない埋め立て地や工業団地、河川敷なども考えられる。
土地代が高いというなら、その地で何らかの収益事業を考えればよい。事実、東京には高級住宅地の中に有料の賃貸農園があるそうだし、六本木ヒルズの屋上にも水田、大手町のビルの中に農業ショールーム、などもある。
河川敷だったら、下をトンネルにしてあふれた水を流せるようにした上に人工の丘を作る手もある。単純なのは、オフィスビルの屋上やワンフロアを使うこと。里山そのものも有料会員制度にすることも考えられる。スポーツジムに通う感覚で、里山に通って汗を流す。

……こんな思考実験をやってみるのもよいのではないか。
ある程度、公共事業として行わないと無理だろうが、税金を投入するための理論武装もしてみたらよい。都会から田舎に人を移動させるエネルギーよりも都会に山を作る方が少ない、とかなんとか。
さらに議会工作も考える。どの議員を口説き、賛同者を増やすか。土木工事を行うと言えば、あの利権議員も賛成に回るぞ、とか。バーチャル政策実現だ(笑)。

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コメント

田中様

実に、タイムリーでした。

「週刊少年ジャンプのこち亀」は、おなじみの両津さんが都会に田舎をつくる話でした。

漫画家の秋本治氏は、流行を先取りする作家として有名ですから、もしかすると・・・。

「こち亀」は読んでいないなあ。今週号ですか。立ち読みしよう(^o^)。

以前、「ビッグコミック」の「スピリッツ」だったか「オリジナル」で、
東京にゴリラを! と唱える学者兼政治家の物語があったことを覚えています。日本中に世界の絶滅危惧種を保護し、それを安全保障にしようと唱えて、なぜか当選、しかも保守政治家もその案を使って世論を取り込もうと認める……。
そして実際に密輸入したゴリラの子供を東京の公園に放すのですが、そんな荒唐無稽のような設定でも、否定せずに思考実験しているうちに可能性が見えてくる。

案外、こうして「斬新な企画」は生まれてくるものだと思います。

なんだか都市公園法の「立体都市公園」を想起してしまいました

とりいそぎ

あがたしさん、品川区民なんですか。それは「マウントしながわ」ルポをしてもらわないと(笑)。

それにしても、法律で「立体都市公園」の定義があるんですね。

都会に里山をつくる、これはまさに自分のゆめです。

夢、実現しませんか? 小さいなりに可能だと思う。

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