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2007/07/08

木質ペレットの輸入

関西電力は、カナダから木質ペレットを輸入するそうだ。

年間約6万トンの木質ペレットを、カナダ西部から京都府の舞鶴にある火力発電所に輸送し、石炭に混ぜて燃焼させるという。
これで発電に伴う二酸化炭素の年間排出量を約9万2000トン削減できるらしい。しかしウッドマイルズ(距離)とウッドマイレージCO2(輸送にかかるCO2排出量)を計算したらどうなるだろうか。なんでも2~3万トン型ばら積船を使い、年間7~8航海で輸送するというが、それに費やすエネルギー量が心配だ。また木質ペレット自体の生産にも、かなりエネルギーを使っているはずだ。

日本にないものなら仕方がないが、木質廃棄物は山ほどあるのに、輸入するということに割り切れなさを感じる。経営的には引き合うとしても、二酸化炭素削減の手段としては、間違っていないか。

販売の始まったバイオエタノールもそうだ。ガソリンに3%添加して販売されているが、あれはフランスからの輸入なのである。ほかにもブラジルからの輸入が模索されている。目先の削減目標に追いかけて、地球全体としては削減にならないことをやっているように感じざるを得ない。

バイオエタノールを国内で生産するための研究は行われているが、海外で実用化しているのに今頃取り組むのも間抜けな話。仮に技術的には追いつけたとしても、規模から言って、海外産とコスト面で太刀打ちできるわけがない。つまり国産が普及する可能性は極めて低く、無駄な研究と感じる。
どうせなら、どこも実用化レベルでは成功していない木質廃棄物からのエタノール生産に研究・実用化に絞った方が起死回生の戦略となるだろう。

それとも、この手の資金を国内の森林に投入して、どんどん国産材を買い上げ、それを炭にして地中に埋める方が、純粋に炭素の固定(CO2の削減)につながるのではないか。

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木製品・木造建築」カテゴリの記事

コメント

先日は塔婆の件で大変失礼しました。ペレットを使用することは大変結構なことですが、仰るように運送距離と非国産ということが大いなる問題です。因みにペレットストーブも注目されていますが、もっといえば薪ストーブ、木材ボイラーなどが当たり前になってくれることを期待します。特に木材ボイラーは間伐材の消費に重要な役割があると思いますが、現在主流の重油ボイラーとの比較について情報不足なのが残念です。

たしかに木材をエネルギー利用する場合、加工度が低く、移動距離も小さくする必要があります。
となると、都会ではなく森林に近い田舎が舞台になりますね。

ただ重油ボイラーとの比較は、一部ではされているようですが、問題は価格だけでなく、供給システムが整備されていないことでしょう。ほしいところがあっても、木質燃料が安定して届かないのです。だから、外国から輸入しよう、という発想になるのですから。

田中様

九州では、異常なくらい大雨です。

宮崎県では、ペレットは普及しないとよんでおりました。

「冬しか使えない」と言うのが一番の理由です。とにかく宮崎県は、冬が他の地域よりも短いのです。

ところが、農協がこのペレットに注目をはじめました。

台風時にタンクに重油を満タンにしておくことが災害予防の常識でした。重くして風で倒れないようにしておくのです。

ところが、河川の氾濫によってタンクが浮んでしまったのです。当然、重油ガ流出して被害が更に拡大してしまいました。

原油価格高騰による重油価格と輸送費の値上げです。

飼料や肥料の大半を輸入に頼る農業が国産ではなく海外のペレットに注目したことは言うまでもありません。

石油による経済システムは、いずれ、崩壊します。政府もそれがわかっているから、原子力政策を国策として取り入れているのです。

林業保護と言う観点ではなく、国策としてエネルギー政策の中で20年先、50年先を見据えた取り組みをして欲しいものです。

あと宮崎県は、気候が温暖なため、木質廃棄物の腐朽が早いそうです。腐朽が進むとエネルギーとしての熱量が得られなくなるそうです。

原油高と大雨が、木質ペレットを後押ししているわけですか……。

原油だって生産と輸送にエネルギーを使っているのは木質と同じですが、エネルギー単価は木質の2倍以上あるから、それを含んで余りあるんでしょうね。木質燃料は、生産と輸送で木質自体の持つエネルギーの多くを使ってしまうというジレンマを抱える。

この点を突けば、もっと近場(国内)の木質燃料に目を向けられるはずです。

山仕事をしていて思うのは、搬出後に残るたくさんの枝を利用できないかということ。
それをそのまま運搬していたら採算は合わないでしょうから、その場でペレットに加工して運搬するトラックでもあれば助かるんですけど。
無理かな?

日本は、山で玉切りして搬出するのが普通ですね。残材の部分を改めて搬出するのは大変です。欧米では全木集材だそうです。枝葉から梢まで付けたまま搬出して、土場で玉切りする。だから自然と土場に残材が溜まるので、それをバイオマス関連の用途に回すようです。

全木集材できるのは、地形上の特徴もあるだろうけど、日本も工夫する余地があるかもしれません。

    田中 様。
  始めまして、僕は上野ファムと申します。
僕はベトナムでペレット燃料 を製造と販売しますので、現在、内は日本にペレット を輸入販売したいですけど。。田中様は商品の需要あれば、お連絡してください。
 よろしく、お願いします。
                  上野 ファム
*TEL&FAX: 072-994-1650
携帯:090-9992-9772
  

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