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2007/07/24

森林再生か林業復興か

梅雨も明けて、いきなり暑くなった。それでも原稿書くとき以外はエアコン入れないぞ、と力んでいるが、いつまでもつか……。

さて、暑さの中で考えた。割り箸は使い捨ての安い木工品の代表格だが、それを端材から作っているのだから、と“弁解”している面がある。また反対派は、「1年間で消費される割り箸の木材で家が何軒建ちます」と批判している。

しかし使用木材量と価格から割り箸を見ると、いくらになるか。

1膳の割り箸(国産の、吉野の高級品とする)を作るのに必要な木材量を、長さ25㎝、幅2㎝、厚さ2㎝と想定する。すると1立方メートルの木材からは2万膳生産することができる計算になる。そして割り箸の単価を製造元で5円とすると、10万円である。もし、もっと薄い割り箸なら、20万円も不可能ではない。

今どき1立米10万円で売れる木製品があるか。建築材より高いではないか。つまり、割り箸は隙間商品というよりは、超付加価値商品と言えなくもない。

実は、私は小さな木製品のグッズにはあまり興味がなかった。なぜならグッズがいくら売れても木材量が捌けないから。木材が量で捌けないと、森林整備が進まない。つまり森林再生のためには、木材の需要量を増やす必要があると考えていたからだ。

しかし、これを林業復興の視点から見直すと、何も木材をたくさん消費する必要はない。山村に多くのお金が落ちることが社会に重要なのであって、そのためには木材は高く売れることの方が大切だ。ならば、極端に言えば割り箸など高付加価値商品ばかりを狙うのもシナリオとしてはあり得る。

先に紹介した吉野古木の箸袋なら、もっと高付加価値で使用木材料はもっと少ない。1立方メートルから20万枚くらい作れるうえ、1枚の卸値を500円としても1億円!  もはや宝石並である。

ここまで極端な例を選ばなくても、木材グッズを馬鹿にできない。木を売らずしても林業は復活できる。

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コメント

この梅雨シーズンに、
間伐がなされた山の山肌の、
下草の緑が生き生きしてたのを見て、
改めて山の大事さや、
美しさを感じたところです。
http://blog.so-net.ne.jp/takagakigumi/2007-07-21

そう、間伐後は下草が生えるから緑が映えるという面もあるんですね。

木を多く伐って山村が豊かになるか、木を伐る量は少なくても山村が豊かになれば、間伐や下刈りなども進むか……。

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