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森と林業の本

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2007/08/07

緑のオーナー制度報道

今日は軽い話題を、と思っていたが、コメント欄に「緑のオーナー制度」が触れられたから、こちらにも一言。

でも、私の感想は、世間と少々違うのだ。「何をいまさら」。

これを最初に報道したのは、朝日新聞で、その書き方によると独自調査によるものらしい。それに追随して各マスコミが一斉に報道し始め、今や年金問題の次はこれだ、といわんばかりである。今や国家的詐欺だとか、法律違反だとワイドショーでコメントする法律関係者もいる。

しかし「緑のオーナー制度」で分収造林した国有林の多くが元本割れしていることは、満期を向かえた1999年度より常識だった。そして、これは私も切り抜きで持っているのだが、当時の報道はベタ記事扱いだったのだ。国の募集の商品が元本割れしていることの問題点を、当時の記者は気がつかなかったらしい

それが、今度は調査報道ということで世相と合わせて飛びついたのだろう。なんとなく国の制度たたきが流行しているかのよう。

そもそも「緑のオーナー」と名打っているが、分収林制度、あるいは部分林制度は昔から全国各地にある。出資者を募ることから言えば、和牛オーナー制度とも似ている。

本当は、出資を受けて造林して、それが伐採するまでの年季契約というのは林業の基本である。山林取引というのは、土地ではなく立木で行うものだからだ。

ま、林野庁の募集の仕方もいい加減だったのはケシカランし、そもそも集めた金を造林ではなく育林や管理に使っている。また募集の時点でも、林業は補助金づけだったはず。その時点で儲かるわけがないことがわかる。満期が十数年というのも短すぎる。40年でもまだ辛い。やっぱり80年くらいにしておけば、ばれなかったのに(^^;)。

また応募者は、本当に儲かると思って購入したの? と聞きたい。

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政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

やっと記事に取り上げてくれましたね。

これらの報道で国民の目がより森林に向いてくれればそれが一番。
それ以上に、民間の林業家がもっと正確な情報を発信する契機になれば良いと思う。

>応募者は、本当に儲かると思って購入したの?

思ったのでしょう。でも元本割れで怒っている投資家はいないみたいだから、余裕がある人達だったのでしょう。

これも林業にとって一つのチャンスかもしれない。
けど、田中さん曰く、林業ではチャンスをピンチにするのが得意らしいから(^^;

たしかに、このピンチを森林問題の普及のチャンスと捉える感性が林野庁にあればいいのですが。
みんな塹壕に籠もってしまうのではないかな。

これは私の持論なのだが、国有林は保護林と研究林だけにすべきである。もっとも商売の下手な役人が、商売に手を出してはイケマセン。

>国有林は保護林と研究林だけにすべき

大賛成です!
研究の中に、物理的な面でなく、高く売るための品質保証や流通の経済的な側面も出来るよう、一般に開放し、売れるようなら商売に口を出さず、なにがしかの上がりで次の研究原資に回すとかした方がよっぽど理解が得られると思う。
森林はもうある程度育っているので、税金使わず、研究原資を回転させることはできると思う。

研究には、造林から伐採など施業の実験も含まれるし、その後の流通、建築まで入れるべきだと考えています。

役人にとっては、売上などお金のことを考えないでよいことは嬉しいはずだし、こうした研究の成果を政策提言に使ってほしい。
それなのに研究部門の森林総研は、逆に切り離して独立法人化してしまうし、建築加工・販売分野は国交省や経産省とバッティングするのを恐れてか、手を出さない。結果的に経済がわからないまま政策を作ってしまう。

結局、国有林という縄張りを手放すのがイヤなのと、権限を省庁間で奪い合う心配をしているのだろうなあ。

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