10年前の予測
仕事逃避のための資料整理。あふれる資料を少しは減らそうと努力するが……。
その過程で、10年前の1997年に林野庁が立てた将来予測に関したものを見つけた。正確に言えば、その前年に作られた「森林資源基本計画及び林産物需給の長期見通し」である。
それによると、2015年の木材自給率は30%あまりになると予測している。ただしこれは、林道整備や機械化によって素材生産コストを下げて、国産材の供給力を増したと仮定したものである。また木材需要も1割以上増えるという予測だ。
一方で、数値を変えて近年の趨勢を取り入れたものもあり、そちらの予測値は、逆に10%落として14%になってしまう。木材需給は微増。
この差は、ようするに努力して改善した場合と、現状のままの場合ということだろう。
まだ予測した時代に達していないが、そのどちらに当てはまるだろうか。自給率は20%と落ちているが、反発傾向で一端落ちたもののもどしつつある。国産材供給も増えている。多少は機械化も進み出した。その意味では、改善した予測値に近づいていると言えなくもない。この調子なら、2015年には30%は無理でも25%くらいまでは行くかもしれない。
ただ決定的に予測が外れているのは、どちらも木材需要が伸びていく(1億1000万立米以上)と思っていたのに、今や9000万立米を割り込むほど落ち込んだことだ。そして外材は、中国やインドなどの引き合い増のあおりで輸入量が減った。その結果、国産材の割合が増えたのである。つまり現在は、外部要因と需要の縮小で自給率が高まった。林野庁が夢見たように、積極的に国産材の供給力を増やせたわけではない。
林野庁としては、木材需要の減少や外材の輸入量減は想定外だったのだろう。
今から20年後なら、どんな予測を立てるだろうか。日本は林業王国・森林大国になって世界をリードしているような将来像を描いてくれないだろうか。あながち不可能ではないと私は思っている。
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コメント
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勿論!
日本は、世界に冠たる木材輸出国になって、ガンガン外貨を稼いでいるのです!
眠っている資源が現にあるのですから、後はそれをどう使うか。
民間主導で行けば出来ますよ!!!
投稿: セロ弾きオーボワ | 2007/09/27 09:39
資源があって、それを欲しがる需要もあるのに、なぜ両者はリンクしないのか?
その問題さえ解決すれば、木材輸出大国も夢ではないですね。20年後の木材自給率は、でっかく50%と予測しまょう!
投稿: 田中淳夫 | 2007/09/27 11:04