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2007/09/20

木材から水素

バイオマスエネルギーと言えば、つい最近まで燃やして熱エネルギーと発電のコジェネレーション、そして今ではエタノール化が注目されている。そこへまた、新たなエネルギーへの転換技術が発明されたようだ。

東北大学が、木材チップを粉砕して加熱することにより、高純度の水素ガスを高効率に生成する方法を開発したのだ。
方法は、セルロースと金属水酸化物の混合試料を特殊な粉砕機にかけてから、アルゴンガス下で加熱すること。これで高純度水素を発生させることができた。添加された金属水酸化物は反応促進剤としての役割を果たすが、生成したガスの組成分析によると、水素が93.5%も含まれる。これはリン酸塩型燃料電池に直接使えるほど高純度だ。

そして水素ガスこそ、究極の環境に優しい燃料とされている。なにしろ燃やしても廃棄物は水だけで、有毒ガスはもちろん二酸化炭素も出さない。そしてエネルギー効率は、ガソリンより高い。だから燃料電池だけでなく、自動車等のエンジンの燃料としても期待されている。ただ簡単で大量に水素を貯蔵したり輸送する方法が、まだ開発されていないことと、肝心の水素の効率的な生産や高純度化が大変なことがネックと聞く。

もちろん今回の発明は実験室段階ではあるが、その原理や技術は意外と簡単だから、実用化が一気に進む可能性もあるのではなかろうか。すると間伐材や廃材から大量の水素を製造できるようになるだろう。 コストや製造エネルギーの収支は、まだ計算されていないらしいから、あまり先走れないが……。

バイオマスのエタノール化は、今のところほとんどが食料にもなる穀物を材料としている。だから発展途上国の食物を奪うと批判もされるし、何より農地生産はコスト高だ。そこで次世代バイオ燃料は、木材(セルロース)になっていくだろう。その一つが水素化だとしたら、木材産業も一枚かめるかもしれないぞ。

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