田舎の脳ミソ
病院で、「北海道田舎移住日記」(はた万次郎)を読了した。
はた万次郎は漫画家で、「ウッシーとの日々」を購入したついでに手に入れた、これは日記形式のエッセイなのだが、十数年前の本である。東京からいきなり北海道の下川町に移住した話を綴っている。
この人のスタンスは、田舎に楽園を夢見たわけでもなければ、都会派のアウトドア的発想もない。それでいて、都会を冷やかに見ているし、同時に田舎の生の姿を遠慮なく描いている。そこにあったのが、「下川脳ミソ」の話。
ようするに田舎の限られた地域と人で生活していると、地域に密着した話題だけになり、自分の世界が町の中だけになって、町単位でしか物事を考えられなくなる……精神的な鎖国をしてしまうという現象だ。たしかに、こうした「田舎の脳ミソ」は存在する。
ちょうど、別の田舎暮らしを始めた人からのメールで、
>田舎の人が田舎に閉じこもって、
>穴の中からテレビで余所の出来事、世の中の移り変わりを
>「娯楽」として斜めで見ている・・・
という地元の人の様子を描いていた。鎖国と言っても、情報そのものはテレビでも何でも入ってくる、買い物だって都会の物を手に入れることもできる。が、頭の中では、都会は別世界であり、自分の世界ではないのだ。自分の住む地域だけしか興味を示さない田舎の脳ミソになる……。
それが悪いと断じるつもりはない。そうした世界観で過ごすのも羨ましい気がする。だが、現代社会を生き残れない気もする。事実、田舎は衰退していく。
田舎の脳ミソでも、何も苦労しなかった時代が懐かしい。
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