屋久島の「小杉」
屋久杉とは、樹齢1000年以上のスギを指し、それ以下は小杉という……この定義は、わりと広く知られているだろう。たいてい屋久杉の凄さを表すための解説に登場するのだが、では、小杉は使い道がないのか?
「縄文杉に逢うツアー」の帰り、車が島の周回道路を走っていると、公民館のような施設の入り口に、大きな垂れ幕?があった。正確には覚えていないのだが、
「小杉の将来を考える会」といった言葉だったと思う。
どうやらその晩、シンポジウムか講演会か開かれる様子である。私は、思わず「止めてくれぇ」と言いたくなった。その会に顔を出せないかと考えたのだ。
もちろん現実には身体は疲れているし、団体行動の中で、そんなことが許されるわけもなく、通りすぎたのである。
屋久島では屋久杉の大伐採が行われたが、その跡地にはちゃんと植林が行われている。樹齢はおそらく30~40年程度だろうが、人工林もかなりの面積あるのだ。もちろん質は屋久杉とは全然違うが、将来の木材資源となるのは間違いない。その将来を考えることも大事なことだ。
人工林内を延びるトロッコ道
九州森林管理局によると、2006年度に行った屋久島の人工林材を島外出荷事業の結果は、赤字だったそうだ。同じく行った対馬からの出荷は黒字である。ただ森林整備の名の元に間伐補助金が出ているから、実質的には収益が確保されたそうである。
補助金込みで売上を誇られても困るのだが、とりあえず出荷努力は進めているようだ。
島の林業という点では、島根の隠岐などは、昔から本土に木材を出荷している。外材が海から来ることを考えても、決して不利とは言えないだろう。ただ屋久島も鹿害が多いようだし、温暖湿潤のため雑木雑草の生長もよいだろう。
ツリーシェルターに納められたスギ苗
実験的に行っている。
屋久杉は、事実上伐採できないのだから、今後の屋久島の資源は小杉である。土埋木など屋久杉の残滓にいつまでも頼るべきではない。
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