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2007/09/05

林業の祖・甲賀杣

昨日、左手の親指を手術。そのため手が包帯でグルグル巻き。しパソコンのキーボードが打ちにくいだろう、明日からの原稿はどうするのだ、と悩んだが、その練習のようなつもりでプログを書き出したら、案外サラサラと書ける。強く打鍵すると響くけど。

というわけで更新しているわけだが、閑話休題。

甲賀杣という集団を知っているだろうか。

甲賀、つまり滋賀県の湖東、忍者で有名な甲賀地域に存在していた山の木の伐採・加工集団だ。これまでは8世紀ごろに誕生したとされていたが、このほどさらに100年遡る7世紀に存在していたらしい遺跡が見つかった。斧で伐採して、加工した巨木が見つかったのだ。

なにしろ直径1m以上のスギを、斧で伐ったのだ。そしてくさびで割って板を作ったらしい。
「甲賀山」「甲賀山作所」とも呼ばれたらしい。彼らがいなければ、奈良の東大寺や石山寺の造営はできなかっただろう。今で言えば、素材生産と製材を担っていたわけだ。

かつて甲賀は、巨木の産地だった。そこで木材の生産に関わる集団が生まれたとなると、日本林業の生誕地は甲賀であり、甲賀杣こそ林業家の祖と言えるだろう。

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コメント

なるほど。

土倉庄三郎が湖北地方に造林をしたのは、このことと関連があるのでしょうか?

実は「評伝土倉庄三郎」を読んでいます。
はやく田中様の「土倉庄三郎」を読みたいです。
よろしくお願いします。

さて、土倉庄三郎との関係はあまり感じませんが、かつての近江国は林業が盛んだったのは間違いないですね。
今は、林業公社が1000億円に達しようという莫大な負債を抱えていますが。甲賀の巨木の森を伐り尽くした経験は生かされなかったようです。ちなみに土倉の造林地は、西武の土地となり、今森は残ってないのではなかったかな。
……私が土倉翁について書けるのはいつになるのか、出版できるのは何年後やら。

そま、でいいんですか?

ちょっと最近、マイブームで。


「そま」


言ってみたら、


なごむでしょ?


ぜんぜん違ってたりして。


「ぐが」とか「ごげ」とかでないといいけど。

杣は「そま」です。人と山がくっついて、そま。

むしろ問題は甲賀です。一般には「こうが」と読むでしょう。甲賀忍者もいることだし。でも、地元では「こうか」なんですね。こうかそま、とは言いにくいな。

今度合併して甲賀市になったけど、なんと読むのやら。

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