奈良県立民俗博物館
奈良県立民俗博物館に行ってきた。漫才師「笑い飯」の持ちネタで有名になった、奈良県の誇る?博物館である。
ここで「木を育て、山に生きる-吉野・山林利用の民族誌」という特別展が開かれているからだ。この博物館に収蔵されている林業や木工の用具類1908点が国の重要文化財に指定されたことを記念しての開催だという。
正直言って、展示は旧態依然で、古い道具を単に並べているだけに見える。
どうせなら、現代の道具と並べて、その差を浮かび上がらせると面白いのに。昔のヨキとノコギリとチェンソーを並べてほしい。チェンソーだって、あと50年したら「チェンソーって、彫刻(チェンソーアート)の道具でしょ。こんなので林業できるの?」と言われるようになるかもしれない。伐採はみんなハーベスタになっていてもおかしくないからだ。今のうちに博物館で保存しておいた方がよいよ。
が、私が注目したのは、やはり割り箸製造の道具。昔の手づくりの過程がよくわかる。それに使い込まれた道具類。その手順を見ていると、昔の割り箸は、2本に分かれたバラ箸も多かったように思う。今のように途中まで切れ込みが入って、食べる前に割るのは、明治時代に簡単に切れ目を入れられる「小割り機」が登場してからでないと、あまり普及していなかったのではないか。
ちなみに展示は貧弱でも、出色の出来は、展示会のパンフレット。しっかりしたイラストと古い写真、そして専門家の解説は、貴重な資料となる。900円だが、迷わず買った……というより、これを手に入れるために博物館に行ったようなものである。
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