スギ林のアジサイ
4日間の旅行では、牛タンは食べられなかったが、ジャージャー麺と手打ちそばは食べた……という話はまたにして、岩手行で見聞きした中で、もっとも感心したのは、この写真にある「スギ林のあじさい」だ。
よく見てほしい。スギ林の林床を覆っているのは、全部あじさいである。種類は250種、数は、以前に2万5000株まで数えたが、今はいくらかわからなくなっているそうだ。とにかく15ヘクタールのスギ林があじさいに埋めつくされているのだ。もし花が咲き乱れるシーズンに行けば、どんな風景だろうか。
あじさいの栽培には、水気が必要だが、スギ林には適度な湿りけがある。直射日光を遮りつつ、大きなもので高さ2メートルを越えている。あじさいのトンネルができそうだ。
スギも、非常に美しく伸びていた。どうやら、スギとあじさいは相性がいいらしい。
実は、あじさいは園芸的に世界的な花だ。それも日本を発祥としてシーボルトがヨーロッパに伝え、向こうで育種的に大きく開花した。西洋アジサイというのも、実は日本のあじさいの遺伝子なのである。そして世界あじさい大会も開かれている。バラに匹敵するほどの広がりがあるのだ。
もともとは、スギ林を花で覆って美しくしてやろう、という意図で植え始めたらしいが、見学客が多いので、今では「みちのくあじさい園」としてオープンしている。散策コースを設け、中に食堂やらも開いて、今では観光林業化しているようだ。
実は、それだけでなく、あじさいの花自体も出荷している。その当たりの事情は、なかなか面白く、今後の活路を開けそうな部分なのだが、それはまた改めてにしておこう。 ただ、林床栽培の換金植物として有望ではないか、と感じた。
おそらく日本一のあじさい園である。それなのに、あまり知られていないのは惜しい。
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