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森と林業の本

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2007/10/12

山に木道を

公共事業に国産材を、という声は、いまだに強い。

木造ガードレール、高速道路の木造遮音板、木造砂防ダム……どれも悪くはないと思うが、イマイチだ。それに無意味に木材を使っても、機能が劣れば悪影響が出るし、高いから税金の無駄遣いにもなる。何かよい新しい木材の使い道はないかと考えていた。

そこで思いついたのが、コレ!

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写真は、どちらも屋久島の縄文杉への道のりだが、ほとんどの行程に木道が敷いてあった。トロッコ道はもちろん、登山道になっても、7割がた木道があったのではないか。おかげで急斜面も階段が刻んであるので、難なく登れる。

もちろん目的は、膨大な登山者から山を守るためだろう。地道を年間7万人も往復したら、すぐに山の表土はえぐれて、そこに雨が降ろうものなら、ずたずたになってしまいかねない。それに怪我人が出たら、救出もやっかい。展望台を築いたのも、縄文杉に近づきすぎないよう、いわば隔離するためだ。それにしても、よく、これだけの木道を作ったな、と感心した。

これらの木道や展望施設に使われる木材の量は馬鹿にならない。ここに国産材による木道キットを考案して、投入するのだ。もちろん、腐食防止措置は必要だし、スギのような柔らかい木を木道にするには工夫がいるだろう。だが、それは技術がカバーするはずだ。

全国の国立公園・国定公園のハイキング道、そして森林公園の遊歩道なども、全部木道で整備する公共事業を発案したらどうだろうか。
建設には山を知っていないといけないから、雇用も地元の人優先になるだろう。山の中の建設は大変そうだが、先にモノレールを設置して材料や作業員を山に上げて、モノレールに沿って木道を敷設するなど、工法はいろいろ考えられる。何より環境を守ることに貢献すると訴えられるから、反対意見も少ないだろう。

一部の登山家は、自然の道を歩きたいと反対するかもしれないが、「あなたの足跡が山の自然を破壊しているのですよ」と反論すれば黙らせられる(笑)。うだうだ言ったら、入山規制するぞの脅しもかけられるなあ。

これこそ、正真正銘の緑の公共事業だ。木材使って緑を守るを地で行く。

どうだ?                                                                                             

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木製品・木造建築」カテゴリの記事

コメント

田中さま

木道のアイデア良いですね。

わが社でも山道の整備などで木道を作ったことがあります。その工事の際に、その山の杉で丸太ベンチを依頼されたのですが、山から人力で下ろして、製材所で加工してまた山に上げて設置したことがあります。これでは、無駄に経費が掛かってしまいます。

金物に開発の余地がありますが、完全に防腐加工された規格の木製部材を組み立てるだけで出来る商品があれば、飛躍的に需要は伸びると思います。

防腐剤は、よーく吟味しないと 山の土壌に負荷がかかります。枕木からは、結構 良くないものが出てますしね。

先の事はわかりませんが、もし その道を誰も使わなくなった時に 木材が土に還っても( 腐っても)生態系に影響を与えないように考えて頂けるとうれしいですね。

長い地球の環境を思えば 「木は腐るからいい」という事を皆さんに理解して頂けると・・・。 

私としては、昔のように 山で伐採して そこで自然乾燥させ 腐りやすい辺材は腐らせるなり、山にチェンソーやそれを使った小型製材機を持って行き 心材だけにして 固めの炭化か焼杉 もしくは木酢液を塗る程度にして(これも山で作業する) 腐ったら直すという方が 悪くない気がするのですが・・・。

山のおっちゃんに 仕事を作らないと 山は守ってもらえませんものね。継続的な雇用が 作って頂ける方が うれしいかなーと思います。

登山者にも、直せるようなシステムにしたりとか・・・。

あっ 国定公園って いっさい伐ってはいけなかったのでしたっけ?

でも 一度 人の手が入ったところは ちゃんと森林もすいてあげないと それこそ「森を守れが 森を殺して」しまいますよね。

本当は、その山の木を使うのが一番いいのだけど、加工などに山を下ろしたり工場に運んだりと手間を駆けると本末転倒だから、国産材ならいいとしましょう。

妙な間伐推進事業よりも、よほど経済効果もあるし、税金の有効利用だと思うがなあ。どこか、乗ってくれる政治家はいないだろうか。

ちなみに、国定公園どころか国立公園でも、全然構いませんよ。問題なのは特別保護区域くらい。ほか、原生環境保全地域などもマズいけど、そこまで木道にする必要性はないでしょう。

今の山だけを見てると間伐はもちろん必要ですが
山の時間で考えると 今 毎年 コンスタントに 伐って植えられていない事の方が 森林環境には悪いですよね。

大気汚染で森林土壌悪くなってるし
年輪の幅も間伐やってるとこでもかなり狭くなってて
木材の成長は悪いし、枯れるし、虫喰うし…

土壌に長期に蓄積された化学物質の影響が一斉に出る可能性もあるから
今のうちに、リスク管理の意味も含めて
間伐というより、狭い範囲の主伐をたくさんして山を若返りさせておかないと
針葉樹も広葉樹もマズい気がします。

どこかで 山側だけの手入れ不足や植えすぎに問題がなすりつけられた結果が 今の間伐材だけを推進するというハメになったのかも。

山の人は、卑屈にならないでみんなで一斉に、怒っていいと思うのですけどね。

山の人に聞けば 広葉樹の植林も 杉の二の舞になる事がわかって貰えて もう少し まっとうな政策がしてもらえると期待したいですね。

世の中、ようやく間伐で伐るのは構わないんだ、よいことなんだ、という程度の認識は出てきたようなのですが、本来の林業はやはり主伐です。間伐=善、主伐=悪では困るのです。主伐もしっかりやって、その跡地に苗を植える。この循環を作らないと、本当の意味での持続的な林業になりません。そろそろイメージ植え付けだけの広報から脱却しないと。

山を有効に使ってもらうひとつの方法は、安全に山に入ってもらうということです。木道は、いくつもそのメリットが感じられます。
山に入って体感した情報は、どんなパンフレットより効果があると思います。

放置残材を有効に使って宮崎の港に防風柵を造りました。山で処分に困っている短材、元曲がり材を加工処理して木製の防風柵にしたのですが、沿岸や港湾に漂着する流木対策のひとつとして港湾施設に使うという宮崎県の英断に感謝しています。

先日、このコンセプトが評価され、グッドデザイン賞2007を受賞しました。

これからは、ただ木を使え!ではなく、本当に有効性を吟味して使う時期に来ていると思います。

田中様
ほんと 長い目で山を見ていないですよね。
間伐材という 名前も悪い。
同じ木でも 出すのに手間がいって高くつくのに いらないものというイメージだから安いと思われていたり・・・。
植林の方が企業からも国民からも、ウケがいい。
日本の未来の森林環境の事を考えていない気がします。
ほんとは、まっとうな流通で使ってもらう事の方が ずっと森林を守っていけるのですが・・・。

海杉様

グッドデザイン賞 すごいですね。

そこで 一つ。

放置された間伐材の場合は、たぶん腐りやすい時期に伐るので注意が必要です。
山から流れてきた流木はいいかもしれませんね。
防虫や良い材をとるのに 昔は水につけていましたものね。

製品のライフサイクルの事を考えると、防虫防腐処理剤いりのものは化学物質を出すので 廃棄物としては とても使いづらいです。
輸入材は、日本の生態系を守る為に防虫防腐処理が必要ですが、これは 廃棄時の環境に負荷を与えます。
高温で燃焼すると、化学物質は消えるといわれてはいますが 高温で焼く時に排出される大気汚染物質は、又 森林を痛めつけます。

国産材は、防虫防腐処理をしなくてもよいというのが環境の為には良いことだというのが スタンダードな認識になれば良いのですが・・・。

スウェーデンの北極圏に近いルレオという町に出張した時、そこが林業の町であることを初めて知りました。

木材利用は勿論燃料が主体で、その外にはバイキング船の建造用。その後で、昔の炭焼き状況を保存してある遺跡に案内され、炭焼きの目的が実はバイキング船の防水剤として木タールを取ることにあったことも説明されました。(当時は林業とは無関係な仕事をしていたので、一般教養としての興味対象でした。今だったらもっと突っ込んだ質問が出来たのに。残念!)

防腐剤としての性質も持っているはずですから、木道の防腐処理に使えれば木材利用の拡大にとって一石二鳥かもしれませんね。

なんだか、ここでの議論を元に議員や政府に政策提言したくなるなあ(笑)。シンクタンク作って、ロビーストも養成して、それで雇用を増やす……って、本末転倒か。

木タールの防腐も面白い。木酢液のことでしょうが、日本の場合は多くが可能な限りタール分を除いた純粋木酢を作ることを競っています。しかし、むしろタール分たっぷりの木酢を防腐剤としての使う方が現実的か。タールは木クレオソートとして胃薬の材料にもなっているんじゃなかったっけ。

木材の加工処理について説明が不足していました。今回の防風柵は、宮崎県木材青壮年会連合会のブランド「弥良来杉」を使って設置しました。注入したものは、ベビーパウダーの成分とハンドクリームの成分だけで、全く毒性はありません。しかも、熱処理を加工過程ですることで、成分が固形化するので、雨水等による溶脱の心配はありません。
ただ、白蟻は、殺しません。でも、成分が有効に働くので喰われることはありません。この作品で強調したいことは、通常鋼製の防風柵工事より、30%位安くなったことです。コンクリートの基礎をしない構造で計算をしてもらいました。製品価格は、既成品と同じでお願いしました(笑)木材には、全く関わりのなさそうな構造屋さんとコラボでした。

木酢液のタール分は、通常販売している木酢液の製造時に残る成分なので これは使えます。
正露丸の成分はこれですね。( 調整はしてありますが)

海杉様

すばらしぃーーー。感動しました。
シロアリなんて殺せるようなものは、人間にも環境にいいわけがないので 死ななくていいです。

それより 持続可能な社会を考えれば 山を:削って出来るコンクリートを使うなんて 山の人間としてもってのほかです。
土に還るから 木はいい。
一番大切なのは、直しやすい構造で長く使えるようにする事だと思います。

もちろん 既製品と同じでいいし 出来れば 使った木を植林する分を上乗せして 山主さんにかえしてあげて欲しい位です。

木道、もっと改良と工夫が必要かもしれませんね~。
魚梁瀬の木道は、苔がすごくて、後から滑り止めの横木を
打ち付けていたけれど、それでも雨の後しばらくなどは
滑ってしりもちつく人続出でした。スロープだけでなく、階段でも。
屋久島ではいかがでしたか?見たところ、よく乾いていそうですが・・

屋久島は雨の多いところですが、木道に苔は見かけなかったですね。歩く人が多いからでしょうか。

苔対策や滑り止めは、そんなに難しくないと思いますよ。作り方をちゃんと確立することです。だいたい雨上がりは、地道でも滑るから、滑って当然と開き直る(^^;)。あるいは、メンテナンスをすることで雇用を増やすか。

田中様

偶然ですが、本日、設計事務所から屋外に取り付ける手摺の相談を受けました。

屋外用の手摺は、私の会社でも販売していますので簡単なのです。しかし、木製手摺の規格は、ほとんどが屋内用の金物なのでここが問題なのです。

別件ですが、お客様で身障者の方からリハビリのための手摺を屋外にも付けてくれと注文を受けました。通常は、ステンレスで考えるのですが、木製の手摺をあえて付けました。

この木製手摺の評判が良いのです。ステンレスは、汗で滑るそうで力をかける負担が木製と比べると格段に違うそうです。木製の良さを理解していただくには、やはり実践しかないようです。

活躍されていますね。でも、木より金具に問題あり、か。

木道に手すりも必要か議論の分かれるところでしょうが、下手に木道からそれないようにあってもいいかもしれません。


ボルネオの国立公園では、木道は当たり前で、手すりもわりとありました。たくさん身近に木を使うことで、自然と木のよさを伝えるのが王道でしょう。

コケ対策と滑り止めのいい方法を教えていただけませんか?特に、あまり日が当たらないところですが。周囲の立木を間伐しなければならないと思っていますが、その他工法や加工方法でなにかあればお願いします。いつも他力本願ですいません。

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