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2007/10/04

田舎の景観力

昨日は、また吉野に行っていたが、少し幹線を外して通った。
すると、細い田舎の里道に沿って、ドキリとする風景がそこかしこに広がっていた。

彼岸花が満開なのだ。

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  天気がイマイチだったのが残念。少し写真にすると発色が悪い。                                                   

                                              

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あまりに無造作に、畦道だけでなく、自動車道沿い、そして空き地には乱れ咲きしているし、石垣にまで立体的に赤い花々が覆っている。驚いたのは、スギ林の林床に彼岸花が広がっているところさえあった。そこだけ世界が変わってしまったかのような赤だ。

これだけの景観が、ヨソモノなど滅多に来ないようなところに広がっているとは、田舎の底力を感じた。もちろん、観光用にしつらえた景観でもない。おそらく、地元の人にとっては見慣れた、もしかしたら飽きのきた風景なのかもしれないが、すごいインパクトのある世界だった。

田舎のこうした価値を、もっとちゃんと評価する方法はないだろうか。観光開発して何人訪問したか、なんて数字ではなく、こんな景色を維持している地域の力を現すような……。
森林認証制度ならぬ,里山景観認証制度みたいなものを作って、ちゃんとお墨付きを与える。今度「にほんの里100選」を選定するそうだが、もっと客観的な評価基準を決めて、田舎の景観力として認定する。

景観も、日本の国力である。そして財産である。

たとえば、それを地方交付税の交付金算定に加えることで、地域にも還元できるはずだ。今は森林面積も交付金の計算には加味しているのだから、不可能ではないと思う。  
結果的に経済だけでなく、田舎の生活に誇りを持たせるアイテムにもならないか。

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地域・田舎暮らし」カテゴリの記事

コメント

ごぶさたしております.最近は景観系の研究室に所属しています.

関東だと高麗川(こまがわ.埼玉県日高市)のヒガンバナがカメラマンに人気で,先日はJR駅に観光ポスターがでていました.

たしかに町おこし・村おこしの「成功事例」とされるものの記録を集めてみると,土地の人が当たり前と思っていた(それこそ「飽きのきた」?)景観が実は高く評価されうることがわかって地元はビックリ.それを契機にして・・・という事例がありますね.

おや、景観系の研究をされているんですか。

本当に「景観」を客観的に評価する手法はないものですかね。そして「里山美学」を確立する。それが可能になれば、地域づくりに活かせるだけでなく、人々の生き方の基準も変えることにつながるのではないかと思うのです。

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