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2007/10/10

水源の里条例

京都府綾部市では、今年度から「水源の里条例」を施行している。
これは、いわゆる限界集落対策だ。おそらく、自治体がまともに限界集落に取り組む唯一の例ではないだろうか。

具体的には、
[1]市役所からおおむね二十五キロ以上離れている
[2]高齢者比率が六〇%以上の地域
[3]世帯数が二十戸未満の地域
[4]自治会が水源地域に位置している
         ……などの条件を満たす地域を水源の里と定義づけた。キャッチフレーズは「上流は下流を思い、下流は上流に感謝する」である。

選ばれた5つの集落には、約4000万円の補助金が用意された。
内訳は、水洗化と公共交通の確保、空き屋整備と移住者向けの補助制度、地域特産物の開発、農林業を通じた都市住民との交流事業など。すでに山菜や栃の実などの特産品づくりや、フキ摘みのツアーで賑わい、移住予定者も現れたそうだ。

それらがどんな効果をもたらすか、は今後を見て行きたい。正直言って、多少の補助では、延命処置にはなっても充分な活性化にはならないだろう。しかし、消滅するまで放置するよりは一等マシである。

なかでも私が興味を持ったのは、この条例づくりに尽力した市長の言葉である。
市長は直に限界集落を歩いて、活気のあるところとない集落の差に気づいた。活気が残っている地域とは、生業のあるところだったのだ。仕事があり、都市部との交流があるところは活気があった。年金暮らしでは、なんとか暮らせても活気を保てない……。単なる金は、集落を支えず、自ら稼ぎだす金は、地域を活気づける。

屋久島に移住した詩人の山尾三省(故人)と逢った時、緑の美しさや夜の暗さ、雨の風景に満天の星空などなど田舎暮らしの素晴らしさを語ってくれたが、「では、田舎のよくないところは」との質問に、即座に応えた。
「そりゃ、金のないことです」
どっと笑いが起きたが、そこで彼は言った。「だって、そうでしょ。こんなに素晴らしいところなのに人が住まなくなるのは、金がないからですよ」

この言葉、今になって心に染み渡る。

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コメント

本当にそのとおりだと思います。
山奥や中山間地に暮らすには、いかに生活費を稼ぎ出すかということなのです。これまで自由気ままに農林業をしていて、子育てまでやってこれた人々がその自負心から本業を変えていくことは難しいのかも。農林業の粗収入が減少するとともに機械や薬品費、肥料代が嵩んでいくという所得低減傾向の中で、金銭的に疲弊している。しかし、限界集落の多くは国民年金受給者だから、質素な生活をすれば先細りしていく農林業と年金で食えてしまう。だから、活気が少なくなっていく。行政にしろ、自治会にしろ、個人にしろ金銭の収受がある行為を作ることこそ活気が出てくる。昔、子育てに終われ、金銭を稼ぐ工夫をしていたころを思い出すかもしれない。その中で、まれだろうけれど、嫁いできた女性や出戻ってきた子供がバイト程度でもいいから生業に出来ることがあれば、活気が出てくるでしょう。川上が川下のことを「思いやる」気持ちを忘れず暮らしていけば、川下側もきっと川上のことを思いやってくれることでしょう。川上側があまりにも、川上、川上、水源、水源などと川下に向かっていい続ければ、対立軸ができてしまうかもしれません。生産行動とか商業活動とかが川上限界集落を救うか、延命させることになると思います。どうか、そのような活動が各地でできてきたならば、川下側の住民の方々には、訪問するとか、興味を持つとか、して欲しいと思いました。

この条例のもう一つの見どころは、下流の都市部の人々の反対がなかったことです。綾部市の人口は3万8000人。乏しい財政の中から4000万円も割いて、人数にしたら5つの集落で200人もいない地域に投入するというのは、大変なことのはずです。

でも、意見交換を重ねて、「下流は上流に感謝」までこぎ着けた。こういうのを政治というんじゃないですかね。上から一刀両断にするだけが能じゃない。

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