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森と林業と動物の本

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2007/11/15

林業先進地・宮崎

宮崎でもっとも印象に残ったこと。

それは、講演後の懇親会2次会で聞いた話。
その場にいた30代の集成材メーカー社長は、ウラジオストックに視察に出かけて、そこでロシア人の業者がやたら「ドバイ、ドバイ」と口にするのを聞いた。ドバイは、言うまでもなく中東のアラブ首長国連邦の一国だ。最近は金融センターになりつつあるとか、何かと注目されている地域である。ロシア材が大量にドバイに輸出されているらしい。

そこで、急遽ドバイに飛ぶ。(本人に言わせれば、以前から気になっていたが、このロシア人の言葉がきっかけになっただけ、とか。)
で、ドバイで耳にしたのは、フィンランドである。フィンランド材が中東への売り込み攻勢をかけているのだ。

そこで、すぐさまフィンランドへ飛ぶ。

ところが、フィンランドは温暖化で大地が凍結しないことが問題となっていた。彼の地では、冬の凍結を利用して木材の搬出を行っているからだ。凍らないと泥沼になってしまい、木材を森から出せない。

すぐに日本に、電話した。「増産だ!」
フィンランドから木が出なければ世界中が木材不足になると睨んだのだ。

その読みは当たった。もっとも当たったどころではない。その会社の増産くらい焼け石に水にしかならないほどの木材不足が生じたからだ。

ともあれ、木材は国際商品であり、林業は世界的な需給状況の上に成り立っている。それを読んで動く人が宮崎にはいた。

私は、常々、日本の林業は世界につながっていて、世界中では林業は活況を呈していると発言してきたが、それを聞いている日本の林業家の反応の鈍さにうんざりしていた。海外だけでなく九州では、林業で沸き立っておりイケイケドンドンだ、といっても信じない。
いや林業家だけでなく、都会のビジネスマンだって林業は遅れた産業という固定観念を強く持っている。

情報はあるのに(教えたのに)、反応しないのだから始末に悪い。

宮崎だって、すべてがうまく行っているわけではないが、少なくても世の中の動きに反応する人がいる。先を読んで動く人がいる。それがない地域との差は開くばかりだろう。
すでに林業先進地は宮崎である。

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コメント

田中様

熱い、宮崎を堪能していただけたでしょうか?まだまだ、宮崎は奥が深いですよ。

次回は、是非、私のホームグラウンド日向市へ

目玉おやじさまにもお会いできて、良かったです。

本当にお世話になりました。
熱い歓迎の余韻が、まだ残っています(笑)。疲れという形で(~_~)\(-_-メ;)

宮崎の動きを追うと、いろいろ刺激を受けますね。今後の日本の動きを占う意味でも参考になります。

海杉さん、田中さん、先日はお疲れ様でした。
お会いできて嬉しかったです。(^0^)

画像を使いながらのお話は分かりやすかったし、犬小屋の生産で成功した方の話など、声にならないため息が聞こえてきましたよ。
やはり、具体的な成功例は説得力があります。

私としてはチェーンソーアートのイケメンのお顔が印象的でした。(^_^;

また、せっかくお声をかけていただいたのに、懇親会に出られなくてとっても残念でした。
海杉さんから宮崎の林業についてお話を聞きたかったのですけど・・・。

一度帰ってから、また出直そうかと思ったくらいでした。次回は講演会はパスして懇親会に出ようかなぁ(^_^;

チェンソーアート界のヨン様、やっぱり人気ありますねえ(笑)。
実物大の馬・チェンソーアート作品を映し出した際は、会場がどよめいたのを感じましたよ。

チェンソーアート作品も、犬小屋も、入浴板も、将来の割り箸として売れてほしいものです。

懇親会の一次会は7時ごろに終了していたんですけどね。

ご無沙汰です。いつも拝見させてもらっております。参考になるエントリーが多く、有難いです。グローバリズムはまず金融が先行し、過去数年で物(コモディティ含む)の流れも一体化が進みました。こうした中で、「国内林業」は取り残された格好ですが、逆説的には国際市場からみると未開拓であるがゆえに、潜在的な発展余地がメチャ大きいように見えます。金融的には、大きな裁定チャンスがある気がしてなりません。宮崎の方は、まさに国際的なインベストメントバンカーがやっていることと同じ動きをされたわけですね。
ps 個人的には林業絡みで既に動いております。詳しくはまた。

グローバリズムは、すでに素材に及んでいますね。

おっしゃるとおり、日本の林業は遅れているがゆえにチャンスです。ほんの少し、他業界で行われている手法を導入するだけで、あっと言う間に先進地になれるんです。

林業も金融的手法が活かせる土壌は大きいと思いますよ。

初めて聞く話で興味深いです。
その社長さんは凄い人ですね。
広く情報を集めるだけでも大変なのに、分析して的確な予測まで出すとは。
おそらく普段から知識だけに頼らず、一歩引いた目で状況を判断できる御方なのでしょう。

九州以外では、反応は鈍いのですか。
長い間、林業不振だったせいで、皆さん慎重になっているようですね。
今はまだ情報不足だと考えているのでしょう。
ある程度情報が広まれば、全国で動く人が出てきそうです。
情報を発信し続けるという事が大事なのでしょうね。

林業家にとっては、山一つ向こうの世界は、海外か異世界なのかもしれません(^^;)。

同じ日本でもアノ林業地はこんな様子、と言っても信じられない~という顔をしています。仮に信じても、自分の仕事には、そんなの関係ねえ! という感覚なのでしょうかねえ。

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