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2007/12/28

環境の“古書市”

地元のデパートで開かれた古書市を覗いてきた。

稀に見る不作で、買いたくなる本がない。それでも幾冊か無理して買ってしまったのが性だが…。もっとも日を代えて覗くと、とたんに買いたくなったりする。前回発見できなかった、あるいはその後新たに入荷した場合もあるが、こちらの気持ちの変化もあるだろう。半年前に興味を持って集めていた情報も、今では必要なくなった・関心がなくなった場合もあるし、その逆も考えられる。中には本の中の書込・署名に価値を見出す人もいるだろう。古い時代の情報(現在はどれほど変化しているか)だから必要なこともある。

古書は、一度買われて読まれてからも、「もったいない」という点から流通している。その対象は紙ではなく、そこに詰まった情報である。それは幾度繰り返しても受け手によって価値を生み出す。

昨年末から年初、そしてこの一年は割り箸とずっと関わり続けてきた。そこで常にテーマとしてあったのが書名にもなった「もったいない?」だった。

日本語の意味としては、「価値を十分に生かせず無駄にしている」ということだが、2005年に日本を訪れたワンガリ・マータイ女史(ノーベル平和賞受賞者)が、この言葉を覚えて世界に広めた経緯がある。おかげで拙著のタイトルを決めるときに、果たして流行りすたりがある言葉か迷った面もあるのだが、幸い今年中は「もった」ようだ。

そして、割り箸に限らず「もったいない」か否かが、環境問題のキーワードになっている。物の価値を活かしているかどうかが、重要である。

日本の森林は、使われることなく消えていく木材があふれている。それは生態系にも影響を与え、二酸化炭素の排出にも関わっている。木材として使うことで、炭素の在庫を増やしたり、生物多様性を保つ一助にしたり、人間社会の経済活動を高めるという考え方もできる。今は価値を見つけ出せないものも、角度を変えて見たり、アイデアを出すことで新たな価値が見つかるかもしれない。環境対策を経済発展につなげる道である。

一度、環境の“古書市”を開いてみたらどうだろうか。今、無駄にしている「もったいない」ものを一堂に介して、それを別の業界で利用できないか検討してもらう。出店するのは、マテリアルとしての資源だけでなく技術も含む。休眠特許とか忘れ去られつつある技術も再利用の場を与える。そこには、古書マニアのようなコーディネーターやインタープリターも必要だろう。遅まきながら、私もその役割を負っていると自認している。

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