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2007/12/14

海のエコラベル

ちょっと山から海へ。

漁業の世界でも、エコラベルが広がりつつあることをご存じだろうか。林業界には、森林認証制度として、環境に配慮した施業を行う林業に対しての認証が進んでいるが、同じく「環境に優しい漁業」が求められている。

なかでも海洋管理協議会MSCによる海洋認証制度は、森林認証制度FSCの海洋版。すでに欧米ではかなり広がっており、日本にも入ってきている。京都府の舞鶴漁協が認証取得に挑戦中だ。また流通認証を取る卸し店も登場している。

ところが、それに対抗?して、今度は大日本水産会が中心になって、マリン・エコラベル・ジャパンMELという組織を旗揚げするそうだ。来春には動きだすという。

内容の差は、今後動きだしてから検討したいが、ようするにFSCに対するSGEC(「緑の循環」認証会議)と同じく、政府系の団体が国際的な組織に主導され縛られるがイヤだと、日本独自の組織・認証を始めようということだろう。

ま、どこの世でも、主導権争いはつきものなのだろうが、こうした認証組織に、政府の息がかかった団体が仕切るというのは、あまり好ましくないように感じる。事実、SGECも、MELジャパンも、FSCやMSCよりも認定料が安くて基準も緩くなりそうだ。

日本の森林認証は、今やFSCよりもSGECが面積を広げている。意図も基準も違うのだから比べるべきではないのだろうが、こうした争いが、認証制度の信頼度を下げて、結果的に本来の目的からズレていくことになりかねない。ちょっと底が見えているのである。

さて、海の認証の底は見えるだろうか。

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政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

MELはまた怪しいですね。
MSCに乗れない部分が殺到して、身内の馴れ合いでべたべた付与されそうです。
現在検討しているのはホタテとサケとのこと。
大規模な漁場改良を行っているホタテがMSC基準に合致するでしょうか?
川に遡上するサケを全て捕獲して採卵するふ化事業は生態系を壊していないと言えるでしょうか?
MSCの認証には持続可能なことは当然として、自然の恵みを母体資源や環境に大きな影響を与えない範囲で利用する姿勢が必要です。
ホタテは海底占有の解消、サケは一定量の自然産卵確保で道が開けるか?

海洋認証制度については、私は詳しくないのですが、やはりMELは怪しいですか。

MSCでは養殖関係は認証対象外ですが、サケやホタテの孵化事業も、これに入るのではないかな。MELは、それを認証してしまうのですか。科学的には未知の部分が多すぎるのに。

本家?のFSCも、認証の信頼性に関しては、問題を抱えています。信頼性の弱い認証は、結果的に認証団体の儲け話になってしまいそう。

>MSCでは養殖関係は認証対象外ですが、
>サケやホタテの孵化事業も、これに入るの
>ではないかな。MELは、それを認証してし
>まうのですか。

北海道新聞↓に掲載されていました
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/agriculture/72735.html

日本の常識では養殖と増殖は違いますが、世界に通じるかどうかですね。

舞鶴に続く認証審査を受けるところが現れましたか。舞鶴もまだ結果は出ていませんが。それにしても、FSCに比べるとMSCは、審査に時間がかかりますね。

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