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森と林業の本

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2008/01/26

森林認証制度の昨今

昨日は、神戸で講演会。

テーマは、「森林認証制度とトレーサビリティ」。私のほか、2人の現場からの報告である。

実は、私は森林認証制度の最新事情をよく知らない。というか、変遷が激しくて、充分に把握できないのだ。認証森林面積でさえ、なかなか正確にはつかめない。一応、調べてはおいたが、年末に王子製紙の社有林がSGECを取得した…などのニュースも入ってきて、また面積が変わってしまった。一方、FSCはこの1年間、新たな認証を耳にしない。

私は、現場から2人も発表するのだから、制度の紹介や実際は、彼らが話すだろう、だから私はバッティングしないように、別の部分に目を向けよう…と思って、理念的な面に目を向けた。なぜ木材に認証が必要なのか、木材にとっての感性情報はどんな意味を持っているのか、といった点だ。

ところが事前打ち合わせでわかったのは、2人も制度について話すつもりはしていなかったということ(^^;)。「そんなの話しても眠くなるでしょう」。
たしかに。実は、誰も森林認証制度についての説明はしたくなかったのだ。まあ、制度そのものなら行政関係者の方が詳しいかもしれない。むしろ川上側では、こんな面倒な制度、どうせならやりたくない、と思っている人の方が大半だろう。川下側、つまり消費者の要求にしぶしぶ応えようとしているのではないか。

私は、森林認証制度は、日本で広がらないのではないか、とこの件から感じた(^^;)。

それでも、無難に講演会は終わった。私も多少の制度説明を加えた。

ただ無難でなかったのは、会場で販売した拙著。
終わってから確認したら、売れた冊数と残った冊数が一致しない。1冊少ない。代金払わないで持ち帰った人がいる……(;_;)。

昨秋の割り箸シンポジウムの際と同じことが起きた。会場は、関係者しか入れないはずなのに……。なんだかなあ(-_-)。

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政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

SGECの森林認証取得は増加しているようです。FSCは、FM認証は止まっています。もうじき1件認証取得が出てくると思います。FSCの認証取得は、COCの関係で、製紙会社や印刷会社のCOCが多いです。輸入原料がFSC認証だからでしょうか。東海パルプなどは、たしか国産認証材で製紙していますし、岩手県の岩泉町も三菱製紙だったかと連携しています。
森林認証取得の川上側の目的は、認証基準に基づいて山林を管理経営しなければならなくなるから否が応でもがんばっていかなくてはならなくなること、認証を維持することがすなわち森林管理をしていることにつながること、そのことに外部評価のお墨付きをもらえるからユーザーに適切な森林管理ができていることをアピールできること、森林管理のマニュアルがない状況から脱却して次世代にある程度の管理情報を伝えられること、あたりにあります。外からのプレッシャーを利用すると言うことですが・・・。材価が木材の国際価格の中で動いている状況下では、森林管理も国際状況の中で行っていく必要があるのかもしれません。

1冊、ちょんぼ?

悔しいですね・・・

次回、事務局に冊数記入の預り証を提出してもらうのはいかがですか。

管理に責任をもってもらいましょう。

トニーさん、詳しい! 私の代わりに語ってもらいたいくらい(笑)。
ただ日本で認証取っているところも、その価値を充分に活かしているところはほとんどないでしょうね。勲章のように取得したことで終わっている。高い金払っているのだから、元を取る意識を持ってほしいと思います。

拙著の販売は、こちらから依頼したものだけに、なかなか難しいものがあります…。

自分の著書をセミナーの後、サインして売るのは、もっとも誠実な行動です。

私の知る、比較的若い起業家の人たちはそうしていますね。

USAでは日常茶飯事とのこと、そうする権利があると私は思います。。。

ご存知かも知れませんが、日本で唯一FSC認証の割り箸を製作している会社が北海道のあの下川町にあります。昨今の海外の和食ブームがありますが、たぶん和食レストランでは割り箸も活躍しているのではないでしょうか。木製ではない中国式の箸かもしれないですけど。もしも、割り箸が活躍しているのならば、どこの製品でしょうか。
FSCが世界の森林認証を席巻しているのであれば、下川町の割り箸はチャンスかもしれないです。白樺ですから、スギ、ヒノキとはいかないですけど。とりあえず国産材です。
SGECは、純国産材。FSCは素材、製品とも輸出入可能です。ここに国産材にとってのチャンスとピンチがあると思います。

FSCの話を私の会社にも持ってきていただきました。COCですが、その経費がどうしても品モノにバックできないジレンマがあり、断念した経緯があります。

私の方の行政は、合法木材制度を何とかしようと話をしています。これがないとグリーン購入法で公共工事の品物にできないとも言われました。それって、JASの規格でないと公共工事で使えないと言っていたあの制度と同じですか??と言い返してしまいました。

将来そうなる予定だそうです。

制度を守らせる手法が、日本の場合、限界に来ているように思います。

下川町のFSC割り箸をつくっている方は、たしか先日コメントを付けてくださっていただきましたね。材料は、シナノキだったと思います。
FSCだけでなく、SGEC割り箸の取り組みもできないかな。

世界中の日本料理店でも、割り箸はつくられていますね。多くは中国産の輸出ですが、国産も輸出にぜひ挑戦していただきたいもの。

ただCoC流通認証は、結構やっかいです。一部ではザルとも言われています…。SGEC流通認証は、ほとんど機能していないと言われている。気持ちだけ(笑)です。

合法木材認定も、似たところがありますね。志はよいのだけど、実際の運用には難しい面がたくさんある。

田中さんが述べているような状況ですので、静岡県内の団体はFSCを選択し、審査を受検しました。国産材普及を認証と関連付けて適正な森林管理を行っていくと言うSGECの趣旨については納得です。
森林の環境機能を考えれば、別に認証主体をどれにするかと言うことなど、「そんなの関係ない」ですし、認証を受ける、受けないに関わらず、適正な管理を行ってきており今後も行うという個人林家や事業体は多くあるはずです。
しかしながら、田中さんがおっしゃられる川下(ユーザー)側に環境配慮意識が高まっていることに対しては、川上側の遵法意識を向上させたり継承していくために、第三者の認証を用いて、自分、周辺林家、川下にアピールする必要が出てきていると言うことでしょうか。
林産物は国際流通品ですし、現在は日本の材が国外に流れていく量が少ないだけ。
そんな状況下にあると思っています。
国産材の需要量を増やしていかなければなりませんが、内ばかりを見るではなく、常に外材の動向。外材製品の動向、建材だけでなく割り箸を含む小物の動向のなかで、国産材の消費量の拡大を目論んでいく必要があると思っています。(大げさか?)

違法伐採などさせないというボトムアップをめざすSGECと、林業界のエリートモデルを選ぼうというFSCは、基本的に立場が違いますからね。
でも、最終的にどちらを選ぶかは消費者が決めることになるでしょう。認証制度だけの問題ではないですが、ようは生産者が消費者に顔を向けているかどうか、が問われますね。

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