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森と林業の本

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2008/01/09

堀木エリ子展

昨日、大阪に出た際に心斎橋で「堀木エリ子展」に顔を出してきた。

堀木エリ子は、和紙作家である。以前取材したことがあって、それで招待状をいただいていた。先に横浜そごうで開いた時もいただいたが、さすがに行けなかったら、今度は心斎橋そごうで開催され、こちらの案内も送って来ていただけたのである。

いや、予想以上によかった。和紙の可能性に目が見はる。彼女は1300年の和紙の歴史の中で、初めて「立体和紙」に成功しているのだが(立体のまま紙漉きを行う)、それを活かした作品群が会場を覆う。なにしろ最大の作品は長さ30mを越える。それを継ぎ目なしで作っているのである。

ちょうど見ていると、堀木本人が現れた。私は簡単な挨拶をしただけだが、デザイン系の学生たちが見学に来ており、彼らに解説をするためらしい。おかげで私も一緒に聞かせていただく。これはラッキーだ。

彼女は話し方もうまい。見習わなくては。和紙の魅力、製作意図を紹介する。同時に商品としての可能性にも触れた。

実際、光を活かしたインテリアとしての和紙商品は魅力的だ。オブジェにもなる。
売り物として見ると、単なる和紙の1000倍くらいの値段になるだろう。

私は、「アートによる地域づくり」には懐疑的である。というと誤解を招くが、個人的な趣味はともかく、個人の作品性が強く、基本的に手作りで作り手も一人であるアートは、量産できない。経済効果は小さいからだ。個人の技にこだわっているだけでは、地域への波及効果は少ない。裾野を広げないと「個人の成功」に終わってしまう。

しかし、彼女は新しい技法を編み出し、それを使うことで量産も可能にした。これは地域づくりに活かせるのではないか。事実、彼女は、某山村にその技法を提案して、特産物づくりに貢献している。(ただし、その地域が合併してから、どうなっているか…)
またアートの魅力の持つ集客力も馬鹿にならないことを改めて感じた。

アートは、作品そのものに意味があるのではなく、企画力・発想力だ、と気がついた。そして地域の産物にするにしても、まずアート性があって、それを工芸品として量産するプロデュース力があると、地域貢献にも役立つと思いついた。
たとえば割り箸だって、木工アートにしてしまってはダメである。チェンソーアートもしかり。しかし、裏返すと木っ端で作る割り箸というアイデア、チェンソーアートの作品の魅力を世に問うのは、「アーティスト」の仕事だ。

和紙の原料は、コウゾ・ミツマタといった森林資源である。残念ながら、現在はほとんど輸入物であるが…
しかし木材は国産が充分にある。国産材を優れた企画力と新しい技術で、価値を驚異的に引き揚げた商品を量産することも可能ではないか。林業再生・山村振興を考えるなら、まずは商品開発のための優れたアーティスト&プロデューサーを見つけることから始めてほしい。

Photo                                              

展示の写真は撮れないから、その入り口と、吹き抜けにある堀木の作品をご紹介。

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コメント

日本産のコウゾ・ミツマタで和紙アートを量産したり、和紙アートスキルを教育化したりの方向ですね。

事例が作れれば展開しますよね?

事例としては、堀木エリ子の作品群が、まさにそれに相当するんですが、それが他者にもなかなか普及しないのはなぜか、と考えてしまいます。その点では、まだアートから工芸になりきれてない。
また和紙の伝統が、新しい飛躍を邪魔している点もあるでしょう。

それでも教育は必要でしょうね。和紙に限らず、伝統的な素材からいかに今様のアートな商品を生み出すか。そんな「学校」を作れないかな。

 堀木エリ子さん、TVで紹介されていたのを見て、感銘を受けました。
住宅や企業にも取り入れられていて、それがとてもすてきでした。

新たな製法を生み出したことで、以前ではとても考えられなかった使い方や利用法が可能に。

ほかに、和紙作りで捨てられていた皮の部分を使った作品を手がけている方もいますね。

ここにも伝統を受け継ぎ新しい風を送り込んでくれる若者の頑張りを見て、頼もしく思いました。

勿論その若者の中に田中さんは入っておられますよ^^。

実習セミナーのDVD化+テキスト+材料+メール個別指導を提案するのはいかがですか。

作業を細分化してネットで多くの人に業務委託すれば、彼女から雑用を排除、経済自立ができますね。

受託者経由の拡がりも期待できます。

たとえば、私はネットマーケッター宮川明さんの教育系の中で、音声ファイル編集を業務受託中です。

収入に加えて当方のスキルアップが確定していて喜んでいます。

業務委託のノウハウもかなり進化しつつありますし。。。

若者って(^^;)、照れるなあ。

そういえば、堀木さんは私より少しだけ若かった。いまだにさっそうとした美人だが、彼女が20代の頃は、マハラジャで躍り狂っていたそうだ。夕食にカキ料理を食べに広島まで行ったとか、ギャル的な武勇伝を聞かせてもらった。それを記事に書いたら、秘書から抗議が来た。本人がしゃべってるのに、隠すなよ。だから、ここでも書いてあげる♡

彼女に起業的教育をさせようというのであれば、彼女に申し込んでいただければと思いますが、かなり高く付きますよ。

そうでしょう、高いでしょう。

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