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森と林業と田舎の本

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2008/02/22

水産資源のからくり

水産流通に関わっている人の話を聞く機会があった。

驚いたことに、日本の水産資源は減っていないのだという。巷では、乱獲による減少が問題となり、漁獲制限や禁漁する漁協まで現れたというのに。いや、学問的にも水産資源の激減が話題になっているのだが。

問題は、これまで獲っていた魚種の減少と、漁場の変化なのだそうだ。それは世界的規模で起きる魚種転換や、地球温暖化の影響も考えられる漁場の移動が引き起こしている。だから、これまでと同じ魚種を狙って同じ漁場・漁法で挑んでも獲れない
また、これまで消費されている魚種ばかりを求めることに問題がある。

この資源量に関しては、まだ議論の余地もあるが、確実に言えるのは、日本の漁師は、本来の水産資源の半分以下しか利用していないことである。たとえば潜在的に水揚げした魚も、売り物になるのは少量で、売れない(本当に売れないのではなく、流通に乗らないだけ)魚は、せいぜい地元で消費するか捨てている。また売れないから出漁もしなくなって、目の前にいる魚を獲っていない。

結果的に、漁師の収入は減って、食えないから廃業する…すると、また水揚げが減って、安定供給できなくなり、いよいよ流通に乗らなくなる。その穴埋めに輸入魚が増える。

そこで考えなければならないのは、売り物にならない資源を売れるようにすることだ、というのだ。ここでいう「売り物にならない」のは、何も不味いということではなく、安定供給できない、サイズが揃わない、消費地に知られず引き取られない、あるいは生産地が価値を知らない…などの点から来る。漁師には脂がのっていずに不味いとされる魚も、調理の仕方で美味しくなったり、淡白さを求める客がいることを知らないこともあるそうだ。
それらの要因によって価格が安く、引き合わないという問題もある。

……こんな話題を、「林業・林産業」のカテゴリーで書くのは、もちろん林業と構造がよく似ていると感じたからだ。

林業でも、国産材は資源としては十分にある。木材自給を可能にするほどだ。
ところが、流通がなっていず、売れない。価格も安い。消費者も国産材を知らないし、生産者も国産材商品を作らない。

上記の業者は、水産界の流通システムの改革に乗り出している。すでに省庁上げてのバックアップも行われている。農水省・水産庁だけでなく、国土交通省も経産省も総務省も動いているそうだ。なぜなら水産資源は離島の維持と安全保障にも結びつくから。

なぜ林業は、そうした動きが起こらない、起こせないのかなあ。

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コメント

着実な小径はたとえば「割り箸から始める環境蘇生」系の新書、新書のサンプル版の普及などになるんでしょうね。

行動につながるモチーフの圧倒的に強烈なインパクト作りです。

田中先生の新書を超ヒットさせるのが目的ではありませんよ(^^;

環境特に、そう特に森林を完璧蘇生するためです。

貴新書を有象無象の新書からジャンプさせるには、たとえばシリアルNOを添付してネットにアクセスすれば、

■オリジナルの割り箸をギフトします

■感想をアップすれば割り箸産地の樹の種子をギフトします

■発芽の写真をアップすれば若木を植える当地の苗床をギフトします

■ニックネーム付きの若木の生育状況は携帯でつねに見れます

■コンテストに入選すれば割り箸廃材で作った粉炭/アンチエイジング用途をギフトします

など徹底して割り箸と産地の森林と割り箸材の森林資源ネットワークで魅了していくという方向はいかがでしょうか。


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