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2008/02/20

国宝の木造建造物

韓国の国宝・崇礼門南大門)が焼け落ちた。

はたして崇礼門は復元できるのか? ということが話題になっているが、実は復元では意味がない。というのも、新たに作り直したら、それはレプリカであり国宝ではなくなるからだ。日本でも金閣寺が戦後放火で燃え落ちて、その後復元されたが、すでに国宝の指定を外されているはずだ。

一方で法隆寺の金堂も、同じく戦後すぐに火事にあっている。そして壁画などが燃え落ちたが、現在も国宝だ。

その差は、法隆寺の場合は「修復」だったかららしい。実は燃えたのは壁画だけでなく、かなり堂そのものも焼けたのだが、かろうじて構造材となる木材は燃え残っていた。だからそれを元に「修復」したことになるらしい。金閣寺は完全に焼け落ちて、それができなかったのである。

とはいえ、現在の金堂のかなりの部分が戦後に作り直された木材であることは間違いない。それでも創建当初の技法が残っていたらよいのか?

実は、法隆寺の五重塔自体も、最初の創建後に火事で焼けているらしい。本当に火事にあっているのか論争もあるが、当時の焼けた壁土まで出土したのだから、おそらく間違いないだろう。とはいえ、100年程度若くなっても世界最古の木造建造物であるらしいので、そんなに気にしないかもしれない。

が、さらにさらに、その塔の構造には、が入っている。柱を貫で補強する構法は、後世のものだ。おそらく鎌倉時代以降だろう。何度も修理をするたびに、部材を入れ換え、構造まで変えてきたのだ。今の五重塔のうち、白鳳の時代の木材は、全体のどれだけか一度調べてみたらよいのではないか。

同じく国宝の東大寺大仏殿や南大門にも、イギリス製の鉄骨が入っていることは、拙著『だれが日本の「森」を殺すのか』に記した。正倉院も、明治の修復で西洋のトラス構造が作られている。

このように考えると、「修復」と言っても部材や構造まで変えているのなら、創建時のままだという国宝の根拠が覆る。

木造建造物の価値は、実は古さにあるのではなく、その歴史性・継続したストーリーではないか。そして国宝に値するデザインと国民の支持があることで連綿と「修復」されてきた。残したくなる価値があるからだ。それさえ保てば、いかなる手の入れ方でも「復元」ではなく「修復」になる。

韓国の崇礼門も、写真で見れば、まだ立った柱が残っている。安心して「修復」し、再び国宝になればよい。

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コメント

文化財のパートごとに「復元」と「修復」と明記するのはいかがですか。

ともに歴史の記録です。

価値は見る人が決めれば良いと思いますね。

文化財の価値は、どこにあるのか、それぞれ議論して煮詰めておくべきでしょうね。
そして根幹さえ押さえておけば、修復・改築しても価値は落ちない。

飛鳥寺の大仏は、修復しすぎて重文止まりだと聞きましたが、あの日本人離れした顔を見ると、渡来仏の歴史的証明になるような気がするなあ。

価値について議論するとしまして、どうやって官僚ではなく、民衆主導にするかの仕組みを民衆サイドでほぼ結論させておきたいと思うのです。

その環境づくりがネットによるシンクタンク、行動タンクです。

要は官僚より人・情報とも上をいく必要があるのではないでしょうか。

企画の中心に民衆が立たない限り、国宝と重文の差すら官僚の狭い発想枠をこじ開けれないのではないでしょうか。

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