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森と林業の本

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2008/03/14

200年住宅

福田首相が、「200年住宅」を推進している。
まあ、それは首相になる前から知っていたんだけど、今度法案が国会に提出された。

私は何を持って200年住宅? と思っていたのだが、どうやら基準は
「腐食や磨耗の防止、耐震性、バリアフリー、省エネ」などの要件と、「構造の変更や維持保全の手当てが容易」であることも条件のようだ。そして、こうした住宅には税負担を押さえたり、ローンの返済条件を優遇するらしい。

なんだかわかったような、わからないような…。

たしかに欧米では100年以上住宅は使われるのが普通なのに日本では平均30年弱というのは短すぎる。しかし、日本人の気性として、古い家に世代を越えて住み続ける可能性はそんなに高くないように感じるのだ。

穢れの思想を持ち出すほどではないが、新しさに価値を見出すことの多い日本人。
もちろん、住宅自体の強度や年齢による違いなど長く幅広く持つことは大切だが、家族構成も変わるし、好みも用途も移る。たとえば今から100年前の設計士に、現在のIT化なんて予想できるわけがない。そして昔の農家などに憧れる人はいても、実際に住むのがどんなに大変か。
また同じ家系の人が同じところで生活するとも限らない。

必要なのは、住みたくなる家であることだ。住みたければ、維持管理も熱心にやる。リフォームもする。その点、日本の軸組工法は、基本的に間取りも内装も外装もいくらでも変えられる。

長持ちする家と住みたい家は、別である。

そして住みたい家は、時代とともに移り変わるから最初の設計段階で決め手はないだろう。結局、納得できるのは、構造の変更や維持保全の容易さぐらいである。

まずは簡単で希望の通る改装技術の開発と、転売とリフォームをしやすくなる社会的なシステムが必要ではないかな。

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コメント

200年住宅の話題、どうしてもハードの話ばかりになってますが、そもそもの出発点(私の知り合いが福田さんに聞かれて、100年じゃあインパクトが無いので、200年と言ったら、200年住宅になってしまった)は、家の維持管理や転売などの流動性を高めるために設計やメンテの履歴管理をしようとしう、社会システムから始まりました。

最初から200年先まで見通して設計をすること自体不可能なこと。
設計なんて万能じゃないし、期待されても困る。(ちなみに僕一級建築士持ってるけど、設計はできません)

なるほど、そんなにいい加減な決め方でしたか(笑)。しかも狙いに転売も入っていたとは。表に出ていないなあ。

家を長持ちさせることにこだわらず、換骨奪胎のリノベーションとか、古材など建材のリユースの推進という手でもいいと思いますけどね。

日本の資産は元来フローなものだったのに、欧米並のストックに変えようという発想ですかね。

確かに200年もちますと言われても、「オレそんなに生きられないなぁ」という発想が先に立ちますね(^_^;)。私は独身なので他人事になってしまいますが、仮に子供がいたとしても、果たしてそのまま住み続けてくれるかどうか、その時になってみないとわからないと考える人の方が多い気もします。日本人の家族構成自体がもっと世代毎で完結する方向になってしまった中では、世代間で受け継がないと意味を成さない寿命の建物って、…うーん、どう考えれば良いのでしょう。

人が主体で考えると世代間で受け継ぐということになる。
社会資本としての家で考える。田中さんの言われる通り、フローからストックに変える発想です。我々住み手はヤドカリのようにより質の良い家に住み換えていく。
イギリスでは、金のない若夫婦はまず住環境の良くない場所に家を買う。なにしろ、土地のほとんどは女王陛下の持ち物。
DIYで設備やら内装をグレードアップして転売。徐々に良い環境の地域・建物に住み換えていくのです。だからイギリスではDIYが盛ん。腕の良い大工が少ないというのも好条件。
なにしろ地元のビルダーが家を完成した後に日本人の大工が手直しで入る位。これ本当の話、私住んでたから。
こんな所に日本人の大工を派遣すれば大儲け間違いなし!

ストック社会もいいかもしれないけれど、なんだか日本文化の根源に触れるような気がします。そんなに国民の簡単に意識を変えられるか、変えることで文化の変容をきたすのではないか…。

日本の大工の技術は、落ちた落ちたと聞かされるけど、世界標準では相当高い地位にありますね。韓国も酷いそうですよ。

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