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森と林業と田舎の本

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2008/03/12

自分の山の木で家を建てる

鹿児島で取材した中で興味深かった一つ。

それは、山主に自分の山の木で家を建てませんか、という呼びかけをしている工務店があったことだ。

家を建てたいと思っている施主の中で山(やはりスギ・ヒノキ林だろう)を持っている割合を考えると、そんな需要があるのか? と思うのだが、意外やヒットしているらしい。

鹿児島には小さな山主はそこそこいて、木もそれなりに生えている、住宅建材を全部賄えなくても、多少の木は取れるケースは少なくないのだそうだ。

なにしろ昨年24軒の建築を受注したうち、半分の12軒がこのケースに該当したのだ。
もちろん大変である。林業やっている山主はほとんどいず、伐採から搬出、そして製材まで全部面倒みなくてはならない。かといって価格を高くしては引いてしまうだろう。

幸い、この工務店は実は山主でもあり製材業務もやっている。つまり自前で何でもできる体制がある。そして伐った木は無駄にせず、端材も全部家具にするなど使い回す。だから価格はそんなに上がらない。

伐採前には山の解説もして、山主のロマンをかきたてる。

これは重要なことではないか。いまや山里に住んでいる人でも、家は外材使ったハウスメーカーの家に住むケースが少なくない。その意識から変えなくてはならないのではないか。

たしかに今どきは100ha200haないと林業として維持できない。10ha、いや1ha山を持っていても意味ないし面倒なだけ…そう思っている山主に、少なくても自分の家くらいは自分の山の木を使おうと呼びかける価値はあるのではないか。

林業全体に対するインパクトは小さくても、森林所有者の覚醒をうながす運動にはなるように感じた。

小規模山主は、全国にも多くいるだろう。彼らが自分の家を建てる時に自分の山を思い出して多少とも利用すれば、山に対する関心が生まれ、森林整備も進むかもしれない。本数は少なくても木を出すために作業道は引くから、間伐もできるようになる。

これは「自分の山の木で家をつくる運動」として広げたいな。

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木製品・木造建築」カテゴリの記事

コメント

なるほど 自然に即したすばらしい提案ですね。一石何鳥にも効果がありますし。
最近いい提案が出され、実行されていることが多々あるんですね。うれしくなりました。
田中さんたちのご活動が目に見え出してきたということでしょうか。

一昔前は当たり前だったんですけど、自分の山から出すより買ったほうが安い時代だったわけですね。しかし、傾向としては増えてくるでしょうね。ぼくも昨年そういう家づくりをしました。杉だけじゃなくて、ブナなどの広葉樹も使えると、実に思い入れの深い建築物が出来上がります。国産の広葉樹を使うなんて、なかなかできないし。

意外と、こんな古くさい呼びかけが、山主に自覚を生み出すきっかけになるかもしれません。
家づくりは、施主にとっては一生に一度の大仕事でありロマンだとすると、この手は使えます。国も、建築基準を緩めるとか、税金を優遇するとか何か考えたらどうかなあ。

なるほど、名案ですね\(^^)/

政治家改革から始めて法案を通したいですね。

家づくり計画のない山主さんが
「私の山の木で家をつくませせんか」
と呼びかけてもいいですよね。

ごめんない、訂正です。

「私の山の木で家をつくりませんか」

に訂正いたします。

誰か、運動始めてくれないかなあ(笑)。

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