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2008/03/27

「移動学」序説

国会で議論の的になっている道路問題。ガソリンの暫定税率問題と言ってもよい。

道路の必要性と、ガソリン価格ばかりが話題になるが、そもそも道路の存在理由から考えてみた。

前々から考えていることなのだが、道路は一見ハードであるが、実はその役割は目に見えにくい。なぜなら「ものの移動」を担うものだからだ。そして、道路の大切さとは、移動の大切さではないか。

かつて人は、自分の足だけでしか移動できなかった。それも原野だ。時速に直すと、どんなに急いでも20㎞に達しなかっただろう。そこに歩きやすい走りやすい道を作る発想があり、瞬間なら30㎞くらいは出るようになったかもしれない。

そこに馬などの乗用動物が登場して、飛躍的にスピードアップが行われた。運べる量も増えたはずだ。
また丸木舟のような舟の登場も、水の流れと浮力による移動を可能にした。

しかしもっと大きな変化をもたらせたのは、車輪の発明だろう。飛躍的に移動速度と物量が増えた。ただしそれには道路がいる。そして動力機関がついて鉄道・自動車などによる移動が可能になる。これは、200㎞くらいは可能になったと考えられる。

その後は、航空機が開発され、ロケットが開発され……現在、人工の乗り物でもっとも早いのは人工衛星だろう。なかには2時間で地球を一周するものもある。時速は10万kmを越えるかもしれない。

一方で、物量を迅速に移動させる手段を得た現代は、社会が急激に変化している。モノの生産より流通の方が重要なのだ。たとえばペットボトルの価格は、ほとんど流通費と言ってよい。中のジュースやボトルの単価は1割以下だ。木材も、かさばるゆえの流通コストが問題となっている。

そして、在庫と販売の分離もできるようになった。通販やネット販売がそれを如実に証明する。

……というようなことを整理して、移動学を作り上げられないかと考えているのだけど、今のところは序説である(笑)。

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コメント

○○学。

提起したテーマを「学」として先ずまとめる、でないと次へ進めないからではないでしょうか。

似た発想で女性週刊誌をドル箱にした「女の神様」櫻井さんがそうでした(^^;

何でも「学」にするんですね。

私も「春ラン蘇生学」としたい欲求にかられます。しかしブレーキ!

生きる価値を行動におくから。。
「学」には知性はあるでしょうが、行動への息吹、意欲、覚悟、自覚はかなり浅いものでしょうね。

櫻井さんは面白がって「学」としてコンセプトコピーを試作してたのかもしれませんが。

「学」をヒットさせましょうか???

「学」にすると、体系だてられて、全体を理解しやすくできます。そして体系という物差しがあると、新奇なものも、わかりやすくなるかもしれない。

その点では、新しい切り口づくりですね。
移動学は、物質そのものを中心とした世界観を、移動を軸に見直してみると…という発想。その中には時間移動を含めてもいいかもしれないですね。

なるほど、時間移動を含めるのはいいですね。

商品もサービスも含めてですね。

移動を軸にすると+-が観えてくるでしょうね。

学位のテーマになるかもしれませんね(^^

確か、交通関係に、何とか学があったと思うけど・・

林道のあり方を模索するにあたって、参考にした覚えがあるような・・

アクセス機能と、バッファ機能に分けて、の道路ネットワークの考え方はとても参考になるし、
道を通して、町づくりや国づくりを考えることが出来ると思います。

すごく興味深くて、でも数学だからちょっと頭が痛くて、でも面白いあの学問の名前、
書きたいけど思い出せない!
・・・すみません。

交通関係ですか。主に人の移動になるのかな。

私は、どちらかというと物流から考えていました。それは商学?
今や不動産(土地だけでなく、物そのもの)よりも動流で経済を考えた方が実体に近いというのが、そもそもの発想です。

経済を「物流」で考える、なるほどですね。名の知れた経済学学者(経済学者ではありませんよ)がかつて書いていましたね。


経済を「雑踏」で考えるのはいかがでしょう。

西新宿の高層ビルに株式会社をプレゼントしてくれた金時計組の事業家から教えられました。

春ラン蘇生のライフワークも同じ発想からです(^o^)
・・・苦戦中ですが。。。

すでに「移動学」に近いこと言っている学者もいるんですか。私も「経済学学者」になれるかも(笑)。

「雑踏」…そんな切り口もありましたか。

都市の再開発計画などに使えそうなキーワードですね。でも、田舎には通用しないな。

交通関係の学問は、人とか物とか括りなく、全部です。
全部というか、個別にというか・・

道の機能は、アクセスとラインとに分かれてて、
結ぶのを優先するのは、幹線、ラインは、作業道みたいな感じかなあ。
アクセスとラインの目的や、効果を評価しながら、道を作ったり、評価するんですよね。
飛行機はアクセスだけ。新幹線はアクセスが強くて、鈍行はアクセス+ライン。
それから発生する経済と、それを活用する経済と、

以前ブログでも話題になったけれど、割り箸か何かを、運送トラックの空きを利用して運んでもらえないか、みたいな
アイデアで、ちゃんとお互いの商売として成り立つようなやり方を
もっと大きな流通と経済の中で探していくのも必要かなと思いました。

昔の「移動」には、「沿線(ライン)」がありました。
今は、点と点を結ぶアクセスだけになった「移動」が多いですね。

今どきの道路問題で言えば、高速道路は沿線が少ない。むしろ閉鎖空間に近い。地域の賑わいを増やすには、網の目の道の方が有効です。ただしアクセスは落ちる。

昔、ボルネオで車で4時間、その後船で渡るリゾートホテルがありましたが、その支配人が、アクセスをよくするより、沿線を楽しんでください、と言っていたな。

高速道路、でもそういえば最近は、パーキングが充実したり、何弁っていうんでしたっけ、
駅弁や空弁みたいに、特産でそこでしか買えないものを置いたりして人気で、
私もそのために高速を走ったこともあるくらいです。

飛行機も、アクセス機能のみかと思っていたけど、その間の時間を利用して
現地の案内とか、カタログでの買い物とかできるし、
新幹線や高速道路も、沿線に看板や楽しむ風景を置いたりして
アクセス道(というよりアクセス時間、空間だけど)のライン活用?っていうのも
あるのかなあとちょっと思ったりしています。

奈良には飛鳥とか山の辺の道とか暗峠とか、
歩いたほうが楽しめるところが多いですよね。
だけどね、私は学校での修学旅行では奈良はバスでポイントしか見なかった。
京都・奈良でセットだったから。
それはそれで、一回しか見切れないからまた行きたいって思うから良かったのだけれど、
修学旅行で一度行ったきりで、「奈良は行ったことがあるし、もっと行ったことないとこに行きたい」
っていう人も結構いるんじゃないかしら、
なあんて、ちょっと話題がそれましたが・・・

暗峠、歩いたんですか?

奈良観光の悩みは、そこにあります。ピンポイントで訪れて、そのまま去って泊まらない。京都は、まだ宿泊することが多いからお金も落ちるし、周辺と交わりも生れますが、名所にバスに乗り付けるだけだと、何にも生まない。

飛行機や新幹線の中で時間を楽しむというのは、その人にとってはよい時間の過ごし方でも、地域と接点を持つことはほとんどないですね。観光案内も、冊子かビデオだろうし。

一番人口の少ない村がありますね。

例の村に「雑踏の街角サンプル」は作れないでしょうか。

東京12チャンネルなんか乗ってきそうな予感がします。

今度12チャンネルから取材を受けられる機会があれば、提案されるのはいかがでしょうか。

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