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森と林業の本

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2008/03/06

木の城たいせつ倒産

北海道の大手住宅メーカー「木の城たいせつ」が倒産した模様だ。

ローカルなニュースではあるが、私はこの会社をユニークな名前のため覚えていた。

「たいせつ」は実は耐雪であるらしいのだが、北海道の木だけを使って北海道にしか家を造らないと標榜していたことも記憶に残った理由である。いわゆる地産地消の建築版、地材地建を行っていたのだ。ほかにも、結構変わった工法を採用するなどして、北海道では有名な存だったらしい。
ただ北海道の友人に評判を聞くと、あまり高くはなかった。かなり雑な工事を行うので、問題になったこともあるらしい。

今回の倒産の理由は何か、詳しいことは知らない。昨今、急激に住宅着工が落ち込んだことはたしかだが。

実は、先日建築業界の人に取材したのだが、そこで広告効果のことを聞いた。彼が昔いたのは、設計士が立ち上げた会社で斬新な設計が売り物だった。そして新聞に年に2、3回の広告を関東圏で打つと60軒ほどの注文が取れたそうである。
ところが次に立ち上げた会社では、工務店の協同組合に属して広告を定期契約で10回以上打っていたが、30軒以下しか取れなかった。しかも組合各者で分け合うため、1社に1軒分の仕事しかなかったという。

その差は、広告に使う住宅デザインにある。設計士主体の会社だと見栄えのよい写真を使う。ところが工務店主体の広告は、「木の素晴らしさ」を謳うのだ。そして大工の腕を誇る。紹介する家は、たいてい伝統的な和風建築。

結果は如実だ。施主は、木そのものの機能なんかに興味は持っていない。完成した商品である住宅の見栄えに注目するのだ。木材は、ほしい商品(住宅)の素材にすぎず、大半の顧客にとってどうでもよいことなのだ。

だから広告のメインにはなり得ない。このことを意識すべきだ。

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コメント

あの「木の城たいせつ」が倒産ですか。驚きました。「世界で一番住みたい家」という本でその存在を知り、工場見学までしてきました。ある意味、健康住宅とか地場産材住宅のパイオニアだったと見ています。「バイオリージョナル」という哲学も根底にあって、その思想も今ではいろんな会社が取り入れていると思いますけど、残念ながら、実際の建物見るとぼくは欲しいとは思いませんでしたね。まあ、北海道ならではの「無落雪屋根」は、他じゃあいらないし。

ところで、高耐久・高性能なハウスメーカーものが主流の一方で、「木の良さ」をうたい文句にした住宅も、少なくとも10年前より大分増えてきました。それ系統の住宅雑誌も、意外に長続きしているし。しかし、デザイン的に魅力がなければ、何千万円も出して買う気にはならないでしょうね。

結構知られていたようですね。社長が本も出していますし。

理念や実際の家の出来についてはわかりません。ただ、デザインが優秀でないと施主は気に入らないことだけは間違いないようです。

>広告効果

 これは正に「木(柱など木の部分)を見て森(製品としての住宅)を見ず」な話ですね。(^^;)
 きちんとした「マーケット調査」をしないとまったく効果が無いのですね広告は。

 

工務店側の広告は、それなりに戦略もあるようですけどね。
広告では木の良さ腕の良さを訴えておいて、本当に受注するのはその後の地道な営業らしいです。

一方、設計士側だって広告で受注するだけでは一見さんばかりになってしまう。施工もしっかりしていることを示すのは、営業マンの努力なんだろうな。

でも、広告費と引き合っているのかなあ。

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