木材自給率のからくり
林野庁の作成した木材(用材)需給見通しが出た。
平成19年度の木材自給率は、22,1%だったそうだ。前年(20.3%)より1.8ポイントアップ!
そして今年20年度は、さらに上昇して22.9%と予測している。17年から4年連続で上昇することになる。この調子だと、数年以内に木材自給率25%(4分の1)まで到達できる可能性がある。
だけど、よく見ると、木材の総需要量そのものが減っていた。
19年度が8,242万立方m、そして20年度予測では8,036万立方mに縮小すると予測しているのだ。こちらは毎年ずるずる減少することに歯止めが掛かっていない。
なるほど、国産材の利用は多少増えたが、この分母が減ることによって、より木材自給率は上がるという現象が起きていたのだ。
しかも、国産材需要の増加を支えているのは、合板業界だ。合板に使われるB材は、いわば売れ残りの安い材。あまり利益につながりにくい。しかも、供給もいつまでも続かないのではないかと予想している。出せるところは、限られているからだ。
やはり製材の売行きと価格が伸びないと、国産材業界は元気が出ないだろう。合板のような木材の使い方は、木材の良さを世間にあまり伝えないから、もしほかの素材が便利になれば、すぐにそちらへ移ってしまうように思う。木材は、使わなければないで何も生活に困らない。
それにしても、一見世の中は自然素材がブームのような見方をしているが、木材の使用量が減少し続けていく原因はなんだろうか。単に木造住宅の着工件数が減っただけなのか、それとも根本的に木材の消費に変化が現れたのか。
そこのところがよく見えない。自給率がアップしたと言っても、実は社会で木材がたくさん使われていることにはならないような気がしてきた。
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