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2008/05/19

山林の転売

吉野林業の歴史を調べていると、過去(江戸時代)、吉野では山林の転売が盛んに行われていたことを知った。

もともと農家が、焼き畑で農作物を作るより木の苗植えて木材育てた方が儲かると始まったのが、吉野の林業である。つまり木材とそれを育てる山林の商品化が進んでいた。
そこで畑に木の苗を植える。その後も下刈りなどして育てる。しかし、これらの「投資」が回収できるのは何十年も先ではたまらない。

そこで転売したのだ。たとえば10年~20年で、とりあえず木は高く伸び、育林の手間はずっと減る。それを山林ごと売る。買う方は、あとは太くなるのを待って伐採すれば金になる。自分で世話する手間が省けるから買う。売る方は、苗から育てた労賃を受け取って儲ける。

もしかしたら、ある程度間伐してその材を売った持主は、また転売したかもしれない。買った方は、またしばらく寝かせて80年100年たって大径木に育ててから、伐採して儲けることを狙う。あるいは、山林面積を増やすことが、山仕事のスケールメリットにつながったのかもしれない。
こうして持主が変わることは、結果的に資金回収のリスクと期間を減らせる。

これって、いいじゃないか、と思った。林業は育ててから収穫するまでの期間が長すぎることが産業の近代化を遅らせたと言われる。たしかに60年も待っていては経済情勢も変化してしまう。この「木の時間」こそが、最大の問題点だと。しかし、転売して、折々のメリットを取りつつリスク分散する手があるのではないか。

今ならどうだろう。森林の証券化がそれに当たるかもしれない。証券として森林の権利を転売していく。折々のメリットは買手が探し出すだろう。細い小丸太による商品開発に成功した企業とか、自然観察を目的としたり森林療法行う団体とかが一定期間森林を保有する。

もちろん山の生態や林業施業に熟知した人が実際の管理を行わないといけない。彼らを山守と呼ぶ(笑)。吉野林業でもかつて成立した役職だ。

温故知新ではないが、古い制度にも大きなヒントがある。古風な制度を今風に変えることで、林業に新風を吹き込めないだろうか。

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政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

森林の証券化、建物の証券化(REIT)システムを黎明期から研究してきた小生から見て、非常に魅力かつ、実効性のある分野であることは確かです。
転売を繰り返すことによって、林業経営・収益の時間軸を短縮していくという様に山林所有者に説明するのが良いのかもしれませんね。
実は建物の証券化も時間軸の短縮なのは全く同じなのです。したがって森林の証券化も建物の証券化やり方やリスク、そして問題点もほぼ同様です。
ただ大きな違いは所有者の意識と対象物。
証券化対象の建物所有者は、ビジネスですからいかに収益を最大化するかが最大の関心事であって、収益を上げる手法に対する評価にぶれが少ない。それに対して森林所有者はどちらかと言えば経営的なセンスで森林をとらえている人は少ない。
もう一つの対象物。建築は土地込みで証券化していく。むろんこれは証券化事務手続きに対する投資規模の増大が理由です。これに対して森林は立木法で土地と毛上である立木とを分けて登記することが出来る。ただ立木法を対象とした今までの登記では一つの土地に生えている立木全体を対象にしなければならず、立木を選木して登記が出来なかった。つまり立木を区別することが出来ないから。
しかし、これも電子タグを使えば残したい木と、売りたい木とを区別することが出来るようになりました。それもあって、ある地域で電子タグを用いて立木の固体管理の実証実験をしています。(現在までに固体管理データは3500本整備出来ました。6月末までに5000本まで拡大するのが目標。電子タグは150本に付けて、システムの検証を行っている状況です。)
ただ最大の問題は、それ以前に一つの土地という敷地境界があやふやになってきていること。
ここにも林業のビジネスチャンスがあるのに・・・

そうですね。所有者の意識が最大のネックです。吉野でも、今や「山林は先祖代々の財産」と捉えている人が増えています。そうじゃないのに。

立木法などの問題もありましたか。これはICタグの利用も使えますが、行政府・立法府が汗をかいてもらいたい。ちゃんと証券化が有利だとわかる制度を作って広報すれば、乗ってくる森林所有者は少なくないと思います。

■日本の森林問題の特殊性―環境問題は教条主義的には対処できない
こんにちは。日本の森林問題は、諸外国のものと比較すると特殊だと思います。私のブログでは、この特殊性に関して掲載してみました。是非ごらんになってください。この特殊性からみても、森林の証券化はなかなか面白いアイディアだと思います。現在海外木材も値上がりして、日本の木材も200年住宅などとして使われる機運が高まってきました。こうした森林の証券化や、200年住宅に関する法的整備を行えば、日本の森林問題も解消できて、環境問題にかなり貢献するのではないかと思います。

おっしゃるとおり、環境問題は教条主義的(単純化ともいう)には対処できません。

様々な条件の下で様々な手を打たなくてはなりません。証券化もその一つのアイデアなんですが、それを実施させるまでには、これまた様々な壁がありそうですね。でも、不可能ではないと思っています。

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