書評「未来への卵」・人材編
「未来への卵」、読み終わっていません(^^;)。それでもまた書く。
今日はこのNPOに参加した人々について。
このNPOは、9人(現在は8人)のスタッフがいる。常勤の専従だ。つまり雇用しているわけである。しかも、ほとんどがヨソモノ。なぜ、知らない土地でこんな仕事に就こうと思ったのか。決して高い給料ではない……というか、低い(^^;)のに。
市の職員から「こんな給料じゃ、カツ丼も食えないだろう」という言葉を浴びせられ、悔しくてすぐにカツ丼を食べに行ったが不味かったという逸話が載せられている。
さらにショックだった言葉として、
「大学まで出してもらってまで、こんなところにいて、親不孝者」
「何の役にも立っていない」
「あんたらみたいに外から来てがんばってくれるのはいいけれど、私は息子たちに同じことは勧められない」
「全くのよそもんが来るのはできればいやだ」
ふんだりけったりである(^^;)。
それでも、この地に根付こうとしたのはなんなんだろうか。
いわゆるロストジェネレーション世代で卒業後も就職口が見つけにくい面もあったのだろうが、すでに勤めていた人が退社してまで参加しているのだから、「仕方なし」の就職口とは言えない。やはりお金よりやりたいこと、を求めたのに違いない。環境関連の仕事、田舎暮らしができる、ゼロから作り上げることの魅力……などだろうか。
もちろん、全員がこの地で骨を埋める覚悟をしているわけではない。結婚で去るものもいれば、この地で覚えたことを他の土地で試すために去るものもいるだろう。一方で結婚して婿を呼び寄せた人もいるし、地元女性と結婚して市議会議員になっちゃった人もいる。
NPOは、基本的に横の組織である。縦組織ではない。だから自由がきき、思ったことができる反面、統率が取りにくい。無理に枠にはめようとすると、すぐに分裂したり辞める。縛りがないからだ。
ところが、かみえちご山里ファン倶楽部は、ほとんど途中で辞めるものがいなかった。辞めた人には、前向きの理由があったようだ。これは奇跡のように感じる。
この秘密をつかめたら、地域づくりは成功したも同然かもしれない。
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