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2008/07/22

間伐の必要性を問う

しつこく、海上の森の講演の際の話だが、

「100年単位のスパンで考えた場合、間伐しなかったら、森はどうなるのか」

という質問が出た。

なかなかよいところというか、痛いところを突いている。私も、話の流れ上、人工林は間伐しないといけないよ、と口にすることはある。一応、注意深く、「林業を行うには間伐が必要」という言い方をしているが、とりあえず間伐の必要性を認めている。

だが、これも林業施業としての間伐であり、短期間(100年以下)のスパンで考えた場合だ。林業は主伐に相当する木を太く育てることを大きな目標にしているし、間伐材も何らかの需要がある。(だから切り捨て間伐は林業ではない、と言っている。)木材生産の場としては、間伐は必要な技術なのだ。
しかし100年単位、つまり200年300年と長期間に渡る森の状態を考えると、私は間伐の有無はあまり関係ないと思っている。

たしかに1haに3000本植えて、その後の変化を短期間で見ると、間伐しないとブッシュとなり、立ち枯れする苗も出て、線香林と呼ばれる細くてひ弱な森になることが多い。また林内は暗くなり、降雨で土壌がえぐられ、見た目も生物多様性の面からも、国土保全上も問題だろう。

しかし、さらに時間をかければ、枯れる木は枯れ、すると光が林床に差し込み、やがて生き残った木が大きく樹冠を広げて生長する。1ha1000本くらいは生き残るし、数百本は大木になるのではないのか。その数は、現在の主伐の本数と同じだ。つまり、無間伐でも立派な森は成立するだろう。

それは実験でも確かめられているが、何より日本の林業は、一部の例外地域を除いて、古来より無間伐だったことが、それを示している。それでも森林は育ったのだ。
1ha3000本植えという基準を作ったのは、戦後の林野庁であり、以前は1000本、1500本植えのところも多かった。それは無間伐が前提の植え方だったんだろう。それを、一律1ha3000本植えに強制した(さもないと補助金が出なかった)ことで、林業の地域差を破壊し技術を消してしまったのである。今は、基準が緩められたが。

ようは、森林(人工林)を、目先の景観や土壌流出防止などを重視した目的で造成するか、緻密な木材生産を行う林業を計画する場合に間伐が必要なのではあるまいか。あるいは、間伐をすることによる補助金目当ての林業も……。

最近は、林業の低コスト化が叫ばれているが、伐出コストばかりではなく、育林コストを考えた場合、間伐のいらない施業も視野に入れておくべきだろうな。

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コメント

始めまして

最近、林業に関する講義・実習を受けていまして、興味をもって拝見させて頂きました。

以下、2点ほど教えて頂きたいのです…、
間伐材って、どのような有効な利用手段があるとお考えなのでしょうか?(特にスギ)
割り箸にしたとして、コスト・エネルギーに見合うだけの利用は出来るのでしょうか?

(あがたしさま、もしこのコメントを読まれましたら、CO2吸収の項にお越し願えませんでしょうか。)

間伐材の利用を考えるならば、エネルギーとかCO2なんぞではなく、「儲かるのか」という視点がほしいですね。林業はビジネスです。
ようは商品開発ですから、アイデア次第でいくらでもあります。
一世を風靡した磨き丸太、絞り丸太なども、元は樹齢20年程度の間伐材利用ですよ。それが主伐材より高く売れました。
割り箸は、木材量からすると、超高付加価値商品です。1立米50万円も可能です。

>エネルギーとかCO2なんぞではなく、「儲かるのか」という視点がほしいですね。

ということは、林業は(採算面では)潤うけれど、エネルギー・CO2の観点から見れば、よろしくない、という事でしょうか?

>ようは商品開発ですから、アイデア次第でいくらでもあります。
>一世を風靡した磨き丸太、絞り丸太なども、元は樹齢20年程度の間伐材利用ですよ。それが主伐材より高く売れました。

なるほど。ありがとう御座いました。スギの20年と言えば、丸太らしい丸太ですね。流通量は多かったのでしょうか?

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