チェンソー導入の地
木曽の赤沢美林を訪れて驚いたのは、ここに「チェンソー導入の地」という標識があったことだ。
それによると、昭和15年に試験的にチェンソーが持ち込まれたらしい。米国マッカラン社製という。
二人がかりで持ち、設置するものだった。
その後、昭和24年にも導入されたがダメで、27年に再三持ち込まれたチェンソーで、ようやく日の目を見たわけだ。
実はチェンソーの歴史を追いかけると、最初にソーチェーンが登場するのは、1856年のアメリカだ。ただし手動。ハンドルを回して刃付きのチェーンを回したらしい。
そして1917年に蒸気機関のノコギリ(チェーンではなかったらしい)、1926年に電気駆動のチェンソーが登場する。エンジン式は1927年だ。昭和15年は1940年だから、しばらくして日本にも伝来したというわけか。
一人で持ち運べるチェンソー(重さ19㎏)が登場するのは、1950年だから、それより前に入ってきた木曽のチェンソーは、やはりまだ重くて大きかったのだろう。
一般にチェンソーが普及するのは、1954年の洞爺丸台風の風倒木を処理するためだとされるが、その前に当時の営林署が試していたんだねえ。
ただ面白いのは、木曽ヒノキとなれば、伊勢神宮などの神木で、今でも儀式としてはチェンソーで伐採するのは忌避されていることだ。その地にもっとも早くチェンソーを持ち込むとは、罰当たり……いや、やはり木曽が林業の最先端地域であり、また国有林だったからだろう。
ちなみに下の写真は、資料館にあった古いチェンソー。いつ頃のものかは書いていなかったが、すでに小型化が進んでいる。
余談だが、伊勢神宮の遷宮に使用される木曽檜を伐採する人が、「自称・日本一のチェンソー目立て名人」だった。案外、みんなチェンソー好き(^^;)。
こういう人は多い(笑)。一つ、チェンソー目立て選手権を開いてみたらどうだろう。超マイナーな大会となるだろうが、チェンソー愛好家の間では盛り上がるのではないかなあ。
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