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森と林業の本

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2008/08/23

国産材の潜在市場はどこか

また、政策論を一つ。

いくら森林管理をしても、生産した木材の出口がなければ産業として成り立たない。それが日本の林業の最大の問題点でもある。

昨今、国産材の合板や集成材が製造され始めて、ようやく売れないB材が動きだした。これは外材の独壇場だった合板・集成材市場に割り込んだことになる。その背景には、外材そのものの価格高騰と資源ナショナリズム、そして環境問題の絡みがあるわけだが、もちろん国産材からすれば歓迎ずへきことだ。

しかし、本来の国産材の市場だった製材、つまり無垢の建築材としての需要は今後どうなるだろうか。人口減少時代に一戸建て住宅の建築数が増えるとは思えない。基本的に縮小傾向にあると思う。

それなら、ここで新たな国産材商品の開発を行わないと、いかに努力してもロットとして取引が増えるとは考えにくい。ただでさえ、建築工法は広がって、木造以外の住宅も増えている。さらに木造も、集成材の柱と合板の壁が増えているのだ。

その市場を見つけて、そこに開発資金と流通網の確立をしないと、結果的に小さくなるパイを海外製品や木材以外の建材に市場を奪い合う構造になってしまう。

私が考えているのは、内装材である。それも木造住宅だけでなく、マンションやオフィスビルも含めた建築物すべての内装に木製素材を増やしてほしい。
私は、何もビルディング全体を木造化する必要はないと思う。技術的には面白いが、無理せず鉄骨やコンクリートで作ればよい。ただし、内装・外装を木質化することは切に望む。それだけでも莫大な木材需要を生み出す。またメンテナンス素材にも必要となる。また木質内装は、建物の中で滞在する人にとってもよい環境を提供することになるだろう。

しかし、そこで壁となるのが建築基準法である。とにかく、これまでの建築基準法は、木材を駆逐する方向に進んできた。近年、少しゆるんだものの、いまだに内装に木材を使うには多くの規制がある。
たとえば例のコンビニのファミリーマートも、街の中の密集地にある店舗を木造化するのは難しいはずだ。消防法にもひっかかるのではないか。

これらの法律をいかに木材の使用を可能にするよう改正するかという点も課題となるのではないだろうか。行き過ぎた木造規制を緩めると同時に、難燃化木材などの研究開発も進めなくてはならない。

この問題、政治的にはどうなるのかな。

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政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

消防法は設備に関する法令なので、木材使用は規制していません。
木材に対する規制は基準法と、それをベースにして地域の実情に適合させるよう制定される各自治体の地方条例です。

建築基準法で木材利用を規制している部分は“内装制限”で、具体的には建築基準法施行令128,129条が関係しています。難燃処理や不燃処理がされていればかなり広範囲に使えるので、有望なマーケットです。
ちなみに難燃化や不燃化処理技術は新規開発が不要なほど充実しています。(ここ私の大昔の専門領域)

さらに昨今建築業界で話題となっている200年住宅。その中で町並みの保全とか美化とか、協調性などの提案で木の外壁の提案も好ましいですね。ただしこちらは防火地区や準防火地区ではやはり基準法の規定をクリアーしないといけませんが。

マーケットは有望ですが、大量に使用できる集合住宅や住宅では難しいですね。木に対する知識の普及が遅れているので、目地がちょっと違っていたり、曲がっている、へこみがある・・・がクレームの対象になりやすいですね。極端な場合には隣の板と色目がちょっと違うことさえ、クレーマーのターゲットとなる可能性があります。住まい手のリテラシーや倫理の問題になっていて、施工業者としては怖くて使えないというのが実情です。

ひょっとすると中国の集合住宅のように、構造体であるスケルトンは建設会社が、内装は自分でやるという分離が良いかも。
また無垢の木の内装は超高級品で、傷もわびさびの風情だ!くらいのマーケティング戦略を仕掛けるのが良いかもしれません。

私も、最大のネックはクレーマーだと思っています。
内装材は建築物の強度に関係ないにもかかわらず、構造材以上にクレームがつくのが内装だから……。
日本人の性なのか、無意味な精密さを求めますからね。
でも、それを乗り越えた業者もいますし、住宅よりはオフィスの内装なら抵抗も少ないかと。

中国のように、内装は別注方式というのもいいですね。

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