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森と林業の本

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2008/08/05

木曾林業と吉野林業

この度、木曾林業の一端に触れてきたのだが、そこで思わず吉野林業と比べてしまった。

どちらも日本の林業を代表する存在で、その歴史の古さは群を抜いている。今でも木曽こそ林業の始まりという人もいる。そして、どちらも銘木の産地で、ヒノキとスギの違いはあれど、密な年輪と美しい材質を売り物にしている。

だが、当然違いも目立つ。
いうまでもなく木曾林業は基本的に天然木を対象としている。もちろん現在では人工林も増えて、そちらの出荷が多いのだが、誰もが木曾と言えば木曾檜であり、木曾檜とは天然ヒノキを指す。そして林業の古さと技術を持ち出すと、その多くは伐採であり出材の技術だ。

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木曾檜の森。いずれも300年~350年ものだ。350年を越える木がないことから、その前に全部伐採されて一度禿山になったと想像される。

                                             

一方で吉野は、基本的に人工林であり育成林業発祥の地であることを自慢している。木曽と同じ樹齢300年以上という木も、人が植えたものであることが自慢だ。誇る技術も、その多くが造林・育林にある。あるいは加工(商品化)に他の地域との差を示す。

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吉野杉の森。約400年前に植栽された記録が残る、「歴史の証人」。
木曾檜もそうだが、意外と太くない。樹齢の割には細い(年輪が密)のだ。

                                           

そして共通項もあった。それは、現在非常に林業が不振であることだ(苦笑)。

伝統ゆえに縛られて、新しい試みができない。特に木曾は、伊勢神宮の木を出しているという誇りがあって、なかなか身動きがとれないようだ。
そして国有林の存在が足を引っ張っている。なにしろ国有林は補助金使って伐って出しているので、採算度外視だ。並材までヘリ集材されたら、民間はたまったもんじゃないだろう。そして保存をいう割には、どんどん伐っている。一方で、まだまだ木曾檜はある、という声もあった。

昨日紹介した「自称・日本一のチェンソー目立て名人」も、「現在失業中!」と自慢していた。
伝統的林業地ゆえの共通点なんていらないよ。

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コメント

木曽檜と森林鉄道と姫路城
 そういえば、「昭和の大修理」の時、姫路城の心柱
を探すのに苦労して、また、長すぎて折れたりと大変
だったらしいですね~(^^;)

来年から「平成の大修理」に入るのですが、間近で
見学も出来るそうです~


 山師として現役だったころの親父は
 この2箇所でも
 働いていました。

 私が遊びに行ったのは
 木曽だけでしたが・・・。

 そう言えば
 赤沢には
 結婚前にカミさんと行ったなあ~。

 それにしても
 万が一、
 この2箇所ですら
 林業が成り立たなくなった場合、
 日本の林業はどうなってしまうのか
 不安です。

 まあ、そんなことはないでしょうけど。

姫路城も、木曽檜と関係していましたか。

また木曾と吉野の両方で働いた山師がいるとは驚きました。話を聞いてみたいですね(笑)。

こうした伝統的林業地ほど、危機にあるのではないでしょうか。いくら素材が素晴らしくても、それを産業にするには別の工夫が必要です。

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