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森と林業と動物の本

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2008/08/13

供花の産地

街に出ると、各店で花が目立つ。花と言っても、供花。スーパーマーケットでさえ、花と供え物になる菓子などが山積みになっている。レジに並んでいると、前の人がシキミをいっぱい買い込んでいて、その包装で長引いてイライラしたよ(^^;)。

お盆の供花は、花と言ってもサカキやシキミなどの葉もの中心である。関西では、コウヤマキも多い。いずれにしても帰ってくる霊を迎える目印的な意味があって、常緑の枝でなくてはならなかった。臭いが強いことも、意味があるのかもしれない。サカキは神事、シキミ、コウヤマキは仏事と分けることもある。

サカキ・ヒサカキ、シキミも、そしてコウヤマキも、林業の副業的産物である。もともと山にあるものだし、スギやヒノキの合間でも育つ。臭いのおかげで、獣害にも合わない。今では、本業のスギを売るより収益性が高いほどだ。

だが、今や日本で出回っているサカキの大半が、中国産であることをご存じだろうか。輸入されているのである。おそらくシキミも輸入されているだろう。コウヤマキは日本特産だから無理かな。

サカキ(榊)、神の木まで! と驚いたが、実は輸入花卉としては、本物の花より早く始まっている。花は保管が難しいが、葉は比較的楽だからだろう。専門家にいわせれば、需要の9割以上が輸入物とか。価格的もあるが、そんなに安いわけではない。輸入に手間取る。やっぱり供給力の差なんだろうな~。日本は高齢化も進んでいるし。

最近のお盆は、胡蝶蘭など華やかな供花もあるらしい。それなら、日本ではならの、新しい供花を開発できないか。スギやヒノキの穂や梢をうまくアレンジして、依代としてのウンチクを付けたら、人気呼ばないだろうか。もともと神の依代は若いマツだったし、スギもそうだ。オシャレで和的なデザイン考えるとウケルのではないかなあ。

余談だが、「土倉翁造林頌徳記念」碑の掃除の際には、岸壁に張りついていたランやイワマツ(イワヒバ)などを採集していた。高く売れるからである。こんな林産物も大切にしたい。

Photo

磨崖碑に付いていたランとイワマツ。

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コメント

田中さん、宝山寺のずらりと続くお地蔵さんには、みなヒノキの葉が供えられていました。あれは何か理由があるんでしょうか?

えっ、宝山寺に来ていたの……?

昨日も宝山寺には行っていたんだけど、そこまで行かなかったなあ。ヒノキの葉を供えるというのは知りません。奥の院のさらに奥には、歴代住職の墓地があるんだけど……。

去年だったかな…?
渇いた葉や新しい葉があったから、いつもヒノキなのかなと思ったのです。なかなかよかったですよ。

宝山寺へ調査に行ってきました!

お盆だけに、どの地蔵・仏像・弘法大師像に七福神に、みんな供花が。そこで観察すると、なるほどヒノキの葉が活けられている……いや、少し葉が違うぞ。スギのような刺がありヒノキのように開いているのは、もしかして?

そこでお堂の掃除をしている人に聞いてみたところ、「よく知らないけど、みんなヒバと言っているわね。関西ではヒバを供えるのよ」

そうだ、ヒバだ! ヒバの葉が供花になるとは知らなかったけど、匂いの強さは向いているかもしれない。おそらくコウヤマキの代わりになるのだろう。

ただ、木曾で見てきたアスナロとは少し違う。もしかしてヒノキアスナロ(青森ヒバ)?
もうちょっと、調査続けますね(^o^)。

枝物・葉物を副業的森の産物として捉えるだけでなく、森の生産物として目的化できないものかと提案しています。その前に、森林組合や自治体関係者の多くが、樹種の知識があっても観賞用花木としての商品化への知識があまりにも低すぎます。花卉市場花木専門員との交流の機会を若い貴殿の顔の広さで実現して頂けたらと思う。国有天然林への合同踏査は、新たな花木種の発見にもなり、無駄にはならないように思う。樹木採取権に対峙する枝物採取権創設による地方活性化への流れを作ってもらいたい。

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