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2008/08/19

森林管理の主体はどこか

中村哲治参議院議員の林業政策案を受けて、すでに展開されている議論を整理し直すことにした。(本当は、当人が帰国する27日までにスタートすればいいや、とのんびりしていたのだけど。^^;)

まず最初に選んだ命題は、「森林管理の主体はどこか」あるいは「どこが担うべきか」。

現状を私なりに簡単に整理すると、国政レベルでは林野庁が日本の森林政策を発信している。その下に都道府県、市町村と続いて上意下達式に遂行させようとしている。
一方で、林野庁は国有林を管理運営する主体でもある。特別会計によって直接森林経営をになっているのだ。(ただし、来年度より国有林の独立行政法人化と一般財源化が施行される。)

一方、現場レベルから見ると、森林組合が行政の末端をになう形で“君臨”している。森林簿のような情報を一手に握りっているため、地域の施業計画を作るだけでなく、補助金の窓口となって森林の仕事をほとんど独占できる立場だからだ。また作業班によって施業そのものを遂行している。
もちろん大規模林家の林業会社や素材生産業者、造林業者など民間業者もいるのだが、現実問題として森林組合は、自ら森林経営力のない小規模林家を束ねていることと、行政と結びつき補助金と情報を握ることで圧倒的な力を持つ。だから民業圧迫にもなっている。

ここで感じるのは、林野庁と森林組合の構造が似ていること。
林野庁が全国の森林管理を管轄する司令塔であると同時に、国有林の経営を行っていることは、森林組合が地域の森林計画を立てる立場ながら作業班という施業実行部隊も持っていることと相似形だ。

自分で森林政策を作りながら実行もするというのは、唯我独尊になりがちだ。たとえば国土交通省が自前の建設部隊を持って道路や橋を作っていたら問題になるはずだ。それでは癒着や談合どころではない関係が発生する。

やはり両者は、分離すべきだろう。

私は、国有林は独法であろうが株式会社であろうが国の別官庁でも構わないから、林野庁ではない別の組織が運営すべきであると考える。ただ技術研究や実験するための国有林は保持しておきたい。いわば官庁の演習林・研究林として。
そして林野庁そのものは、政策提言官庁になってもらいたい。シンプルな方向性を定めることで、実際の森林管理は都道府県レベルで作成した方が全国同一の基準よりも地に足つけた管理になるのではないか。

同じく森林組合も、管理部門と作業班を分けて、作業班は民営化すべきと考える。森林施業会社として、既存の民間林業会社と仕事を取り合うことで腕を磨く。
身軽になった管理部門はフォレスターとして広く地域の森林施業計画を立てる。もちろん国有林も含めて行って構わない。またエリアも消して、森林組合同士の競争を起こして切磋琢磨すべきだ。
ただ環境的なアプローチは、利益重視に走らないよう歯止めがほしい。だから森林計画を立てる部門は、公的機関になるべきと感じている。また森林計画を立てるような仕事は、現実には金をとれないから公的資金でやらねばならないだろう。

これが私のたたき台だが、いかがだろうか。

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政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

田中さんと違う観点でまとめ始めましたが、論旨がぐるぐると回り始め、自己矛盾を起こしそうになって煮詰まってしまいました。
これから締切直前の作業にかかるためためちょっと遅くなりますが、必ず議論に参加します。
I'll be back!

林家として経営意思がある者と単なる土地所有者(林業経営の意思がない者)を分けて考える必要がありそうです。
林家として経営意思がある者には、そのまま経営を続けてもらう。
単なる土地所有者には、境界を明確にしてから山林を譲渡(受け皿を考える必要がありますが。林地所有者に譲渡とか、森林組合がコーディネートするとか)するか、分収契約による育林(収穫までの育林費用をどうするか課題がありますが)を考えてもらう。収穫時に収益が出るようにしなければならないが・・・。
いづれにせよ、資源として低コストで最終消費者にメリットがある生産を行うためには必要なことなんでしょうね。
経営として成り立たないであろう場所にある林分をどう管理するか、所有者がどう位置づけるか、も考えなければならないのですが。これを新しい管理者が取得するわけがないだろうし・・・。


民有林の中でも、自分で林業経営する意志のある山主は、この項では含めませんでした。小規模な森林所有者、つまり森林組合に任せる(任せるしかない)ところを対象に考えたものです。
経営意志がないにもかかわらず、森林組合などの集約呼びかけにも応えず、山林を放置している所有者に対してはいかに臨むか、という政策も考えないといけません。

 林野行政と国有林管理は、はっきり分けたほうが良いと思います。

 林野庁は独立採算でやってきたお陰で、収入の上がる資産(木曽桧の乱伐)を食いつぶしてしまいました。
 今もCO2予算で資産の食い潰しをやってます。

 林野庁も収入の半分以上が、土地の販売ではないでっすか?

 >(ただし、来年度より国有林の独立行政法人化と一般財源化が施行される。)

 どうなるのかな?

 

木曾檜に関しては、ひどいことやっていますねえ。

あれを放置して、300年伐らない?「古事の森」づくりとやらを、某作家と一緒にやっているのは欺瞞を感じます。

伐採は、あきらかに林業作業なのに、林野予算外のCO2予算を引っ張ってきているのも理念に反する。

地域森林計画は地域に根ざした公的機関がになうべきでしょう、現在も形式的にはそうですが、現実的には数字合わせしかできてません。なにより市町村に実務能力が無いのが問題です。では森林組合にやらせればいいのか?森林組合は森林所有者だけの組織ですから、厳密に公的な組織とは言い難いと思います。

一方で施業計画については、もっと新規参入が増えればおもしろい。私のところでは、長期受託契約にもとづいた施業計画を積極的に進めています。
森林組合でなくても、制度の運用次第で充分可能です、ただし森林簿の扱いの問題があるので行政との協力関係が不可欠ですが。

林業は長期的なヴィビョンがないとできない産業なのに、補助金を中心とした政策は、もっとも短期(一作業だけ)で動いています。それを最低でも10年単位の制度で考える長期受託は重要だと思います。

森林計画も、そうした長期ヴィジョンなくして意味がないのですが、一方で長期になると民間では資金繰りなど難しい面もある。環境問題への対応も民間では無理が出る。そこで公的機関にならざるを得ない(公的機関にその能力がないことが最大の問題か?)と思うのです。

皆さんがだいぶまとめられており、どの方の意見も小生は賛同いたします。皆さんの意見を前提に別の切り口からコメントします。

割り切り過ぎだと言われるのを恐れずに単純に考えてみました。
森林管理には、林業としての経営原資管理と、防災や国土保全などの公益的機能管理に大別されると思っています。(抜けがあればご指摘を)そして管理の共通事項として、計画の立案や実施時の評価そしてその後のフォローというソフト面と、ソフトを実施するハード面に大別されます。以上のマトリクスで考えると、実施に関しては自由競争であるべきなので、主体は民間です。となると経営資源管理と公益的機能管理の主体を何処に担わせるかが問題となります。
もともと国家的機関には林業経営的管理を担わせるのには無理がありますから、当然民間です。一方の公益的機能管理に対する作業実施については、繰り返しますがこれも民間の自由競争とするべきです。しかし、ソフト面に関しては、もう少し掘り下げて、全体のガイドラインの策定は、やはり国家機関が行う必要があり、田中さんの政策提言機関としての林野庁が有力な選択肢です。また公益的機能管理の保全実施作業(民間)に関しての、計画の評価と実施、その後のフォローなどは地域毎の特異性が影響してくるので、自治体が主導するのが素直だと思います。ただしこの際、一つの林分の特異性が複数の自治体にまたがっている場合は、縦割りでは無く、難しいですが自治体間の共同作業にして欲しいですね。要は森林としてのまとまりを優先して管理してもらいたい。
さて上記の管理を行う資金を何処から調達するか。田中さんの言われる“最低でも10年単位の制度で考える長期受託は重要”という観点を加味して、やはり大胆に次のような3分類としました。

①国有林で公益的機能大、②民有林で公益的機能大、③民有林で経営的機能大

①は国の予算で管理する。ただし民営化?後は②で考える。
②は社会資本として重要であるから、イギリスのナショナルトラストのような財団を設立して、企業や一般大衆からの寄付で原資を準備する。ただしそれに見合うサービスを森林側も提供しなければならないことは明らかです。
③は通常の企業経営(つまり収益を上げるという前提)であるので、投資対象となり、様々な資金調達の方法があります。ただし、それに応えられる森林側の情報公開が必要です。
売り物である原資は不十分化も知れませんがあるのですから、それを使って10年後の持続的経営が可能なように森林整備を行っていく。

現在利用できる森林に関する情報では、投資対象として判断は出来ません。少なくとも小生が支援しているある森林組合が管理している5000本の立木データのレベルで無いと、コンプライアンス上も投資の商品として公開するのは無理です。そうでないと原野商法と変わりません。
上記のように見てくると管理対象として、
①森林実態の情報管理、②森林情報を使った資金調達管理とその運用管理、③左記の対象森林から出材される生産物である立木・丸太・製材・派生商品・バイオマス資源等の流通・生産等の経営的管理にまとめられます。
①~③を一つの会社である程度広域をカバーしようというのが森林投資管理会社のイメージです。それぞれを別の管理主体が行っても良いと思います。

長文にて失礼しました。

森林の公的機能と経済的機能、そして実施時にフレキシブルな動きのできる民間の能力……などを考えると、線引きが難しいと感じます。

そこで参考になるのが、FSCなど森林認証制度の認証方法ではないか、と考えました。その仕組みはこうです。
本部である協議会が、認証のための原則を作り、その原則から各国ごとに認証基準を作って審査する団体を認定する。そして認定団体が、各地の森林を審査して合格すれば認証する。
……これと同じように、国は最初に森林管理原則を定めて、それを履行する民間組織を認定することを役割とすればよい。実際に管理を実行するのは、その民間林業会社です。
ただ管理原則も、重視する機能別に3、4種類つくる。たとえば生産重視森林用の原則と、公的機能重視森林用の原則は違う。それに伴って税率や補助率などを変えるのもいいかもしれない。自分の森林は、どれを適用するかは所有者が決めることです。

線引きが難しいから、民間所有林であればその所有者に決めさせるということですね。

例えば、川に面している山林があって、以前であれば崩落による河川への影響があるため重点的に則面保護等の公的補助を受けているような森林を、所有者が生産重視を選んだとする。その結果ある時崩落が発生し、流域住民から何らかの損害賠償を請求されたとする。これも自己責任として考えようということですね。

所有者の山林への意識、さらにその原則を選んでいるかの情報が公開され周囲の関心が高まるので、山に目を向けさせるインセンティブになるかもしれないですね。

不在地主も何らかのペナルティが発生するかもしれないと思えば、どこかにきちんと管理してもらおうという動機づけになりますね。

……保安林系の難しいところは、微妙ですね(笑)。たとえば行政の「強い要請」で適用分野を決めさせる、という手もある。ま、これだと今と同じか。

ただ現状では、本来は純然たる生産林なのに、補助率を上げるために水土保全林に指定しているケースもあるほどで、その反対の状況にはなりにくいと思うなあ。

ともあれ、所有者にも森林を持つことの意義と責任を感じさせる必要はあると思います。

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