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2008/09/15

書評「21世紀を森林の時代に」

先に「反・新生産システム宣言」をしたが、その前に「新生産システムって何?」ということの資料となる本である。

21世紀を森林の時代に    
      
北海道新聞社発行 天野礼子ほか著

著者は、天野礼子だけでなく、山田壽夫、立松和平、養老孟司の4人が並んでいる。それに天野・山田の対談もある。立松と養老は人寄せパンダだろう。彼らのファンは、手に取るとよい。ただし短いし聞き書きっぽいが。分量的には天野が半分を執筆しているのだから、彼女が本当の著者と言うのが正しい。彼女のファンも手に取るかもしれない。

しかし、読むに値するのは、もっとも無名の山田氏の部分だけである。彼は、現在林野庁の北海道森林管理局局長。少し前まで九州森林管理局局長だった。彼こそ、林野庁が手がけている「新流通・加工システム」そして「新生産システム」を立ち上げた張本人である。

彼の生い立ちも含めて、森林や林業に対する思いは伝わってくる。そしてどんな経緯と考えで、二つの施策を立ち上げ、どう推移したかもわかる。林野庁は、里山や森林セラピー、あるいは地球温暖化対策への便乗など本業と違う分野には力を入れても、林業政策に関しては手抜き・無策ぶりが目立ったが、必死に取り組んできた人々もいるじゃないか! と見直した(^^;) 
私自身は、新流通加工システムは成功したが、新生産システムは失敗、それも悪い方向に山を進めたと考えている。だが、その点に関してはそのうち別項に記したい。]

ただ、天野の内輪褒めというのか、山田氏やそのほかの自分が接した人のヨイショぶりが鼻につく。ついでに自分のしてきたことの自慢話も気持ち悪い。私は読んでいて、キャっと顔を覆いたくなった。

ところで、九州から北海道に転進した山田局長は、今度は北海道でも同じことを行おうと考えているようだ。定年(来年か)前に仕上げたいと思っているのか、かなり早い進行である。傷口を広げなければよいと思うが……。

褒めているのか貶しているのかわからない書評だって? まあ資料的価値は認めているのだよ。一応サイドバーには、アップしておいた。

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コメント

『緑の時代をつくる』で天野礼子には失望。というか、もともと好きじゃないタイプですけど。
なんでここまで林野庁よりのスタンスになるのか不思議です。しかも、著名人の名前をくっつけて本にするという手法もなんだかなあという感じで。
アマゾンでタイトルと著者名だけ見ると、なんとなく「買い」という気になるんですかねえ。

ようするに直情径行型の人ですね。理屈はない(笑)。褒め方が、企業PR誌ぽい。そう言えば、友だちが釣りやってるから、ブラックバスはよい! と言っていたこともあったっけ。

自分を批判する人には噛みつく癖もあるから、私もそのうち……(笑)。ま、主戦場はブログではない。


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