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森と林業と動物の本

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2008/09/10

林業資本と銀行

先日、銀行の方々と面談。テーマはともかく、思わず土倉庄三郎の話になった(^o^)。

というのも、庄三郎は銀行の設立にも関わっているからだ。

その一つが、吉野材木銀行。明治31年のことで、本店は現在の吉野町上市に置いていた。発起人筆頭が土倉庄三郎である。ただ経営には携わらずに、顧問に就いていたようだ。この銀行は、後に吉野銀行に吸収され、吉野銀行もその後ほかの3行と合併して、現在の南都銀行となる。

ほかに奈良農工銀行の監査役も勤めている。この銀行はその後、日本勧業銀行-第一勧業銀行-みずほ銀行へとつながっている。

当時は、各地に小規模な銀行が勃興する時期だったのだ。そして、その設立には少なからず林業資本が参画していたようなのだ。それほど当時の林業は、資本蓄積が可能な国の重要産業であったのだろう。私は、GDPの何割かを林業が生産していたのではないかと睨んでいる。今は見る影もないが……。

もともと土倉家は江戸時代から金融機能も持っていて、川上郷の造林や木材出荷に当たって、金銭の貸し借りを行っていた。ときに融資分を返せない山主からは、山を取り上げたらしい(^^;)。

現在は、むしろ林業界に資金が入って来ないことが行き詰まりを呼んでいるような気がする。何か新起業のアイデアがあっても、資金がないのである。
仕方なく、政府の助成金を当てにする癖がついてしまって、それが失敗の元。助成金もらって起こした事業がうまくいった試しがない……とまでいうと怒られるが、はっきり行って事業でなくなる。

金融は産業の血液というが、この血のめぐりをよくする手だてを考えないといけない。

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土倉家の人々」カテゴリの記事

コメント

既に資本としての立木がある程度育成されているので、土地と立木とを分離してかつ対象立木も所有者の都合に合わせて選択して、証券化やファンドを作るシステムや制度を作って、林業更新・再生の資金調達を提案してます。
が、金融機関はいくつか接触してきていますが、肝心の所有者からはまったくありません。かつ、説明しても林業経営をしているところでも理解してもらえません。
それほど補助金漬けになっているのでしょうね。

たしかに、すでに資産はあるので、ファンドを作りやすいと思うのだけど、林業家は乗ってきませんねえ。そもそも事業意欲がないのかも。

先日、木のトレイに興味を示す人がいて、話によっては資金も用意するとまで言っているので、先方に紹介しようと連絡をとったのだけど、新製品の見本を送ると言ったまま、無のつぶて。やる気ないなあ。

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