消える背板
先に割り箸増産のために、素材となる背板を探していることを書いたが、現場では正反対の事情が進行している。
これは某製材工場で見かけた背板の山。分厚いものもあり、私は思わず「もったいないなあ。これで割り箸作れるのに!」と発言していた。
まさか、その後に本当に割り箸材料を探す話をすることになるとは思わなかったが、残念ながらここの背板は、みんなチップにして製紙原料となる。一部は工場内のボイラーの燃料として燃やされる。これも有効利用だが、少しもったいない。
ところが現場では、仕分けして別用途に分けるのはコストがかかるということだった。
しかも、その後に視察した工場では、「キャンター」という機械が入っていた。
これは、丸い原木をそのまま削って四角く製材する機械である。削った部分は、チップになる。切って背板にしてからチップにするのではなく、最初からチップ! たしかに工程的には理に適っているが、木材の風情がないなあ(苦笑)。
ちなみに欧米の製材工場は、たいていこの方式だという。もはや製材はスピード勝負になっていて、適材適所とか多段階利用という状況にはない。丸太は四角い板や角材になって背板を出すのではなく、木粉とチップを出す。
キャンターで削った板。多少のざらつきはあるが、このあと仕上げ工程があることを考えれば、なんら問題ない。
日本もこんな時代になるのか。製材所から背板が消えるのか。
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9/19(金)、中村てつじ(哲治)氏の話をお聞きした。中村氏は、奈良県選出(民主党)の現役の参議院議員である。氏の主張の要点は“地球温暖化と「林業」”(中村てつじの「日本再構築」Vol.7)”というA4版1枚のチラシに、分かりやすく出ている。
《京都議定書で定められた日本の削減枠6%のうち、3.8%が森林吸収源だということはあまり知られていません。期限までに3.8%を使い切るためには、あと5年間で間伐を100万ha増やす必要があります。そのために今年5月9日に森林間伐促進法ができました》。
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