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森と林業の本

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2008/10/31

日曜市のからくり

今日訪れた某山村では、日曜市を開いていて、農産物などが安いとかで評判だ。

ところが、そのからくりを聞いてしまった。

もともと農業は自給用だったこの地域、市を開くために出荷を促したが、あまり出ない。そこで農協が高く買い取ることにしたのだ。たとえばハクサイの卸値は通常100~200円なのに、300円で引き取る。ほとんど末端価格である。そして売値は100円

その差額はどうするか。なんと、農業振興局、つまり県の出先機関が補助金として拠出していた。つまり税金だ。

ようするに、日曜市を成功させるという目先の目的のために、金で繕っていたわけだ。昨日記した「金で政策を実現する」という姑息な手段である。これでは日曜市が流行っても、地域に何の変化も起きず、補助金の切れ目が日曜市の切れ目となるだろう。持続的な地域づくりにはならない。表面的に賑やかさを作りいかにも活性化しているかのように見せるため、補助金で糊塗しているのだ。
金(税金)で政策を実行させることは、地域のために全くなっていない。みかけの賑やかさの演出で担当者は出世できるのかもしれないが、地域はむしろ衰退するだろう。

そこに、ある学生(当時)が入って、その野菜を観光地の飲食店向きに販売することを思い付いた。その野菜のレベルが高くて、売れると思ったからだ。彼は会社を設立し、地域に入って提案した。とはいえ、買値はハクサイ300円なんて不可能だ。

そこで彼は、説得した。そして通常の卸値で買い取ることを了承させた。その代わり、定期的に出荷し、また売れる野菜を企画して栽培させることにも成功した。その輪は徐々に広がり、ビジネスとして育ちつつある。地域もやる気を見せている。年寄りが野菜栽培に力を入れ出し、その出来や調整作業(出荷用の手入れ)を気にし出している。

これこそ、地域づくりである。そして、「金を出さずに、口を出す」行政仕事のお手本ではないだろうか。行政と農協は、彼のやり方を真似なければならない。金も出さずに口を出しても誰も従ってくれないよ、という言い訳が通用しないことの証明である。

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林業の村に、意外な資源(高原野菜)があることを発掘するのも、地域づくりの出発点となる。

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政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

地域づくりの補助金を使って廃校活用を初めて8年半たちました。補助金を使いこなす大変さに忙殺されて、廃校活用の最終目的だった農林業の再生には未だ至らないでいます。地域の人たちの意識とずれるんですね。なぜこうもずれるのか、と思ったら、地域の過去の生活が補助金頼みで、如何にそれでおいしい思いをするか、という点で意識が終始していたんですね。地元は、補助金は自立のための資金、というとらえ方はできないんです。
愕然としました。
それでも懲りずに集落協定締結して廃校活用で始めていた体験学習環境学習を絡めた協定内容を作り、市内で一番過疎化していた集落で一番先駆的な協定になったのに、始まってみたら地域の代表一人にお金が入る仕組みに内容が変えられてしまった。
愕然としました。(笑)
そして、さらなる問題は、地域にある自然度の高い国有林を活動のために解放してもらうために、受け皿になってもらったnpoが補助金のために動きだし、結局地元にとって大事なきのこ収穫の森や民有林までが、画一的な補助事業に利用され、結果として地元の山を荒らし地元の人の気持ちを塞いでしまった。
恐るべし補助金。補助金のために目的がゆがんでしまう現状。
太刀打ちできません。
でもいい話を読ませていただきました。

ご苦労されているようですね……すべては麻薬である補助金のおぼしめしです(苦笑)。

補助金の破壊力は、モルヒネなみです。痛み止めとしては有効でも、中毒になると「人間止めますか」と言われる。もらう方も、渡す方も破壊する。

ところで、そのうち深く考察したいと思っていたのが、NPOと行政の相似性です。NPOでも事業型NPOは民間会社に限りなく近いのですが、寄付金・補助金型NPOは、行政に似ているのです。そこに働く職員の意識も同じようになって来るように思います。……この点を、いつか検証したい。

補助金が劇薬なら、地域づくりのようなことはどうやって親近を作ったらいいのでしょうね。

事業型npoをウチ(廃校ではない、あっちのほう)でも目指していましたが、結局は補助金型受託型になっています。
いやでしょうがなかったなあ。役人センスで世の中変わらないでしょ、みたいなもやもやがいつもありました。
ここを打破するために、ある方策を準備中ですが。結局はこれも行政チックという、いわば補助金的システムに吸い込まれていくような気がします。

また、わたしの地元(廃校)の方の組織をnpoにするといろいろな面で非常にやりやすかったのですが、どうも行政の下働きにさせられるような気がして。不利を承知で任意団体にしました。
事業型にできる自信がついたら、その時点でnpoか組合にしようと思っています。

勉強せんならん。

出だしの「親近」は「資金」のミスです。(笑)↑すみません。

活動資金の調達方法として、私が今考えているのは、「ファンド型資金集め」です。

補助金ではなく、かといって事業収益でもない。事業内容に沿った投資を集める。ただし、寄付金ではないから、ちゃんと将来的に利益を上げて還元する。それは金銭でもいいし、宣伝・広告、あるいは福利厚生でも可能ではないか……。

まだ模索中ですが、たとえばネーミングライツ(命名権売買)とか、企業の森も、その範疇に入れられるかもしれません。

コメント引っ張っちゃってすみません。

>金銭でもいいし、宣伝・広告、あるいは福利厚生でも可能ではないか……。

うん。ファンドですね。
わたしの地元活動の方では、ミニナショナルトラストで1000万作れないかな、と。ずいぶん前から考えていますが、けっこう面倒で、来年やれなかったらやめちゃおう、とか思っています。(笑)

あっちの組織の方では(笑)無尽や頼母子講みたいなのをベースにした、農林業のための相互扶助みたいな。
そこにちょっと金融的手管をいれて、と。

経済のことはさっぱりわかんないのですが、農林業のこれからの可能性を、カーボンなんかほっといていいから、ちゃんとアピールできれば、少し投資そのものも健全なかたちにならないかなあ。

ミニナショナルトラスト、ファンド、頼母子講、そしてまとまった投資(企業からとか)
あー。よくわからないで書いていますが。

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