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2008/10/28

森林美学

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京都の北山杉並木である。と言っても、別に街道ではなく、あくまで山の中の作業道。

これを美しいと感じて、ここで結婚式の写真を撮ったお二人に会った。写真を見せてもらうと、夏の結婚式だったので、なんだかフィリピンかバリ島のお二人のようだった(^o^)。

なるほど、この木立は美しい。北山杉は人工林の極致とも言われるように、徹底的に人の手をかけた森林だ。細く、真っ直ぐ、枝もない幹を作り上げる。もちろん、それが磨き丸太などにして、高級床柱など商品にするための施業だった。

それが今では売れなくて困っているのだが、その商品生産の意図から離れて美しい景観を作り出している。今では、この山主もほとんど趣味のように山の手入れをしているそうだ。ここは個人所有の山だから、誰もが入れるわけではないのだが、それでも美しくしておきたいと思っているのだろう。

景観としての森林は、一般的には原生林の方が人気だ。人の手が入っていないのが自然だという意識が働くのだろう。ところが、実際の森や写真で天然林と人工林を見比べると、ぎうやら人工林の方が美しく感じるらしい。(もちろんちゃんと手入れのされた人工林でないとダメだが。)

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こちらは、北海道の森林。原生林ではなく、一度伐採された後に再生した二次林らしいが、とくに人の手を加えたわけではない。ただ、林床に生えるミヤコザサは丈が低く、また雑木も少ないため、このように見通しのよい森林となった。

こちらも美しい。どうやら見通しがよいことが、森林美に影響があるようだ。

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では、こちらは。沖縄の亜熱帯林である。広く見回し風景として眺めるとイマイチ映えない。だいたいブッシュになっていて、見通しが効かないから全域を見るのは至難の業だ。ところが、一本一本の草木をクローズアップすると、どれもこれも観葉植物になりそうな美しさを感じる。
写真は、クワズイモだろうか。

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山形のブナ原生林で見かけたキノコ。こちらもアップにすると美しい造形を発見できる。

景観も森林の資源と考えた場合、遠目の自然と眼前の自然についての法則性を見出せないだろうか。

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森林資源」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。はじめまして。
私は在野で森林の美しさや個性,それに相対する人間について研究をしているものです。
森林美学について書かれていたため,思わずコメントをさせていただいている次第です。

>>遠目の自然と眼前の自然についての法則性
について,コメントをさせてください。
法則性といえるものかどうか,まだ判然としないのですが,現在とっているデータから,以下のようなことがいえるようです。
「森林に興味があったり,森林体験の頻度が高いというような人,つまり森をよく知っている人は,森林に相対したときに,森林から得る情報(気づく事がら)が具体的で,情報量も多い傾向があるようです。反対に興味が希薄であったり,体験の頻度が低い人は,抽象的で,イメージが先行します。
人が遠目にモノを見るということは,そのモノを抽象的にとらえますし,眼前の近いモノは具体的にそのものを認知します。
ですから,遠目の景観の美しさは,比較的森林の初心者でもすんなりとらえることができます。反対に眼前の具体的なモノに対する小さな発見は,森林に対して熟達している人によくとらえられる傾向があるようなのです。

よく手入れをされた人工林は,遠目にも美しく,かつ,適度な光が入ることから林床の植物も思ったよりも豊かで,その結果,森林に熟達している人も眼前の植物や小さな生き物などで楽しむことができます。
また,沖縄の亜熱帯林のように,眼前の生き物にあふれている美しさをとらえることができるのは,そのような感性(能力)をもった田中さんならではの感覚ともいえるのかもしれません。

長文,すみませんでした。
学生の頃,田中さんの本に衝撃を受けて,このブログも時折拝読させていただいています。

Y.S様、ありがとうございます。

遠目の自然と眼前の自然に対応する、抽象的および具体的なとらえ方は、よく理解できます。具体的な見方をするためには知識が多く必要で難しい、というのは皮肉ですね(^^;)。
美学的な面からの森林の研究も重要です。ぜひ、また教えてください。

でも沖縄の森の美しさを伝えるのは、大変そうだ。

田中様,

>>具体的な見方をするためには知識が多く必要で難しい、

誤解があったかもしれません。知識も大切ですが,実際に森に入っての沢山の体験が一番大切です。ですから子供のころから森に入っている地域の方が,森を見る際には大切になるということなのです。しかし,こんなことは,常識の範囲でわかることですね(笑 一応データに出ている結果です。

また,「森林美学」は美しさだけを追うものではなく,もともとは施業林の「美と功利」の調和を目指し,予定調和的な林業を目指すようです(釈迦に説法だったかもしれません。すみません)。

「森林美学」の本は、名著ですね。まあ、私は分厚さに負けて読んでいませんが(笑)。
予定調和論は、異論反論も多く、毀誉褒貶がありますが、私は好きです。

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