第二森林組合
夏に開かれた農協に関するセミナーで、東大の研究者は、現在の農協組織の根本的なズレ(組合員に本物の農家が少ない)を指摘して、新たな農協の設立をして競争原理の導入を訴えた。
一方で、農林水産政策研究所は、さすがに農協批判はできなかったようだが、市町村合併のために一自治体の中に複数の農協が存在する状態を指摘した。
実は、森林組合も同じ状況だ。あまりに堕落した森林組合が多く、絶望している森林所有者は多い。そして第二の森林組合結成の意見や動きさえ起きている。
また、市町村合併後も、森林組合の合併は進まず、同一地域内に2つ3つの森林組合が存在する例は少なくない。有名な日吉町森林組合も、実は自治体は合併して南丹市になっている。当然、ほかの地域には別の森林組合がある。
そこで、ふと思いついたのだ。
この同一地域複数森林組合というのは、案外よいのではないか。無理に統合させないでおくべきだ。いや、合併は阻止する。森林所有者からすれば、選択肢ができたことになる。従来のつきあいはあるだろうが、基本的にはどちらに加盟しても良ければどちらに仕事を頼んでもよい。
そして、競争させるのだ。
第2組合を作るより簡単ではないか。ただし、行政が両者に競争するようけしかける仕掛けはいる。さもないと談合しかねない(>_<)。
さらに森林簿の開示を後押しして、民間素材生産業者も加える。民間が事実上森林組合を乗っ取ることも可能にする。そんな政策つくれないか。
これも改革のインセンティブ+モチベーションにならないか。
« 夢をかなえる……モチベーション | トップページ | 吉野ハート・プロジェクト »
「政策・行政関係」カテゴリの記事
- バイオマス燃料の調達(2024.09.01)
- 「財務省が獣害対策におかんむり」な理由(2024.07.29)
- 「生物多様性を高めるための林業経営」とプラチナ構想(2024.07.17)
- 推進するのは、疎植林業?(2024.06.08)
- 街路樹林業計画(2024.05.01)
将にご指摘の通りだと思います。
これまで森林組合は行政界という見えない壁で守られていましたが、市町村合併でそれが無くなりました。
実は、既にこのことに気付いている森林組合もいますから、そんな目端の利く森林組合は他県にまで進出しつつあり、結構、現場レベルでは群雄割拠の時代が始まっていますね。
これは日吉の湯浅参事にも直接聞いたことがありますが、合併前は手の出せなかった他の町の森林にも事業地が確保できるようになった(正確には、先方から依頼がある)と言ってましたし。
で県内の話をすると、特に林産事業に限って言えば、最初の頃は北部に位置する素材生産力のある森林組合が冬場の現場確保と称して、下請的に南部の森林組合の仕事をしていましたが、最近では森林所有者の信頼を得て、直接、仕事を受注するような話も聞こえてきました。
また、我が社では森林組合だろうが、民間林業事業体だろうが、結果的にしっかりと森林を整備してくれる担い手が必要だと割り切りはじめましたので、森林組合と民間林業事業体とのJVなんてのも方針として打ち出してます。
今は森林組合が集約化と管理、民間が素材生産といった棲み分けでタッグを組んで森林整備を進めるよう、全国的な傾向として施策誘導されてますが、これを突き詰めていけば、タッグを組んだ民間林業事業体の評判が高まり、何年かすれば、実質的に森林組合が森林所有者からスポイルされてしまう日が来るのも必然とも考えています。
もちろん、最初から森林組合の切り捨てはしませんしフォローアップも怠りません。現状の実力が拙くとも、彼らも大切な戦力ですからね。
建設業の林業参入とか話題には事欠かない我が社ですから、やれることは何でもやって、その中から本物が一つでも産まれればよいかなと思ってます。
投稿: THE RIGHT STUFF | 2008/10/04 00:00
第二組合とまでは言いませんが、民間業者にも森林・林業にかかわる上での一定の公的地位を認める必要はあると思います。
補助金バブルとも言える状況で新規参入が求められる時代ですが、実際には嘘みたいに儲からない仕事ですから中途半端な考えで参入できない。その一方で山荒らし伐採が始まっている。
新規参入者を増やすうえでは、モラルとレベル向上が重要課題です。例えば森林簿の開示は地域の森林を適切に保つ責務とセットでなければならないでしょう。
森林組合は巨大な資産を持ちながら運用することを知らずにただ溜め込み、ジリ貧になっている会社のように思えます。持てる資産を最大限活用するためには、健全な競争(コストだけでなく品質も含めた競争)が必要です。
森林組合が集約化と管理専門になって現場を持たなくなることは、どうも好ましいと思えません。対等な立場での民間の参入が重要でしょう。
投稿: yuni | 2008/10/04 23:40
すでに現場では、進行しているんですね。施策より現場の方が動きが早い。なんとなく明るい話題です(笑)。
ともあれ、森林組合と民間業者を区別して考える必要が薄れてくるでしょう。
投稿: 田中淳夫 | 2008/10/05 10:00