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森と林業と田舎の本

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2008/11/20

視察産業

日吉町森林組合のことを、「視察林業」と呼んだことがある。

なにしろ年間1000人~1500人の視察者がいて、それぞれ視察料を徴収しているからだ。内容にもよるが、たしか1~2万円だったので、まともに全部取れれば、それだけで1000万円以上の収益になる。
もちろん、視察者を案内したり、ときに研修として教えたりするわけで、そのコストがいくらかかるか知らないが、それなりの収入源となっているはず。

同じことを「やねだん」でも感じた。

「やねだん」とは、鹿児島県鹿屋市の柳谷集落のこと。やなぎだに、が、なまってやねだんになっている。正確には集落名でもなく、住所は鹿屋市串良町上小原だ。

ここが、行政に頼らない地域づくりをしている。とくに凄いのは、自主財源を自ら稼ぎだしていることだ。一つは土着菌と呼ぶボカシ肥料であり、カライモを栽培してそれで作った焼酎「やねだん」販売もある。食堂まで作った。そのほか山芋加工品や、芸術家の作品販売手数料、などもあるが、何より大きいのは視察なのだ。

補助金を使わず、自ら稼ぎ、その金でまた事業を行う。集落人にボーナスまで出している。「定額給付金」をすでに何年も前からやっているのだ。そうした活動が知られて、視察や研修が引きも切らない。年間3500人もやってくる。

そして視察が来ると、1団体ごとに視察料を取る。昼食を出す。ねやだん製品をお土産に飼ってもらう。こうして地元にお金が落ちるのだ。まさに視察者が、お金を運んでくる仕組み。これこそ視察産業だ。

他人が知りたく思い、視察に行こうと思わせることをすれば、それは事業となるのだ。しかも視察が視察を呼ぶ。一度行った人が、「あそこは凄い」と宣伝してくれて、次の視察者を呼び込んでくれる。まさに正のスパイラル。

みんな感動したり感心して視察し、競ってお土産も買う。仕掛け人の公民館長の話を伺う。でも、それを自らの地域に持ち帰って実践し「自分たちの地域も視察者が来るようになった」なんてケースはないけどね。

ちなみに今週発売中の「女性自身」に、ねやだんの記事が7ページも載っているよ。

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