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2008/11/14

林材フォーラム

昨夜は、奈良県の林材フォーラムにお呼ばれした。夜7時から始まり、二次会も含めて深夜までいろいろ話した。

フォーラムと言っても、20人弱が口の字形に座って語り合う、いわば座談会のようなもの。私と、もう一人木材の専門家が話題提供する。

私は、「実は林業は活性化している。九州や東北の一部では、非常に元気だ。どうも伝統的林業地ほど落ち込み、新興地ほど新しい取組をして元気である」というようなことを話してから座談に移る。

しょっぱなの声が補助金のことであったのは、お約束というか相変わらずというか(^^;)。ほかにも列状間伐批判や機械化の困難さ、人工乾燥機の問題などを訴える意見が並ぶ。

私は、別に吉野で列状間伐をしろと言っていない。むしろ、ほかの林業地が「いかに安く伐出を行うか」に傾いている中、吉野ならではの道があるのではないか、と提案したつもりであった。伝統的林業地が新興林業地の真似をする必要はない。真似ても負けるだけだ。だから、ほかの林業地がやっていることはできないという意見が出るのは歓迎である。だから、後ろ向き発言の次に期待しているのだ。

そして、実は凄いヒントがいっぱい浮かんだ。こんな商品もできる、あんな売り方もできる……。問題は、それに当の本人たちが気づいていないらしいことだ(>_<)。愚痴となる意見の中に、新たなチャンスが眠っているのだ。

たとえば含水率20%までしか乾燥させられない乾燥機。世間では15%までしろ、というけれど、あえて20%で止めることの価値を商品のコンセプトにできないか。
機械化せずに出した木の売り方だって、いろいろアイデアはある。一度、建築家や工務店が求めている材を調べてみるとよい。

新商品とは、何も設備に金をかけないとできないものではない。むしろ、小さな製材所ほど、小回りが利いて新しい試みができる。全自動ではないから、工夫ができる。そして手作りの技術があることが重要だ。奈良県の小さな製材所にもってこいではないか。あとはアイデアを出して実行する人が出てくるかどうかだけである。

何より、圧倒的に有利なのは、吉野ブランドを使えるところだ。完全乾燥していない木材なんて、無名の林業地だと相手にされなくても、吉野の木だというと、何か意味ありげになる(^o^)。

ところで気づいたのは、比較的話すのは、吉野ではない地域の人である。奈良県の林材業と一括りに言っても、いわゆる吉野林業地と、厳密にはそこに属さない周辺林業地に分かれる。ところが、発言は周辺林業地の人の方が多かったのだ。古くからの林業地ほど口数が少なくなる理由が何かあるように思えた。

これって、日本の林業自体の縮図かもしれない。

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コメント

>たとえば含水率20%までしか乾燥させられない乾燥機。世間では15%までしろ、というけれど、あえて20%で止めることの価値を商品のコンセプトにできないか。

これ、僕やってますよ、設計者として。
だって、強制乾燥で20%以下にいきなり持っていたら、杉本来の風合いが無くなるし、割れも多くなる。20~30%の乾燥がそのギリギリのライン。
乾燥後にプレカット、そして建築現場に納品するころには、平衡含水率に行ってるからね。
過乾燥のための燃料費節減にもなるし、品質もいいのならこっちの方が良い。

そもそも含水率を15%にしなさいと言うのは、木材流通のどの時点でチェックすると明文化されているでしょうか?15%以下の過乾燥になっても、結局木材が使われる地域の平衡含水率に行くのは当然。
僕は不勉強で知りませんので、どなたか教えて下さい。

そうなんです、実はその場でも、木材専門家から、場所によっては15%よりも20%の方がよい、とくに土台の木は約20%で平衡含水率になる……という説明があったのです。
だから、「土台用に仕上げた吉野の木」と売り出す手があると考えました。

なお、今や各自治体で広がっている木材認証には、20%未満にしなさい、という縛りがあるものが多いそうです。

>今や各自治体で広がっている木材認証には、20%未満にしなさい、という縛りがあるものが多いそうです。

縦割り行政のメリット?ですかね。
最大の需要先である建築業界、特に設計上では、木材認証の意味はまったくありません。だから20%未満にしろといっても、需要サイドは”ああ、そうですか”程度です。つまりグリーン材だって今は使えます。
ただし工法や施工の仕方で後々もめる可能性がありますが、これは乾燥材でも同じ。要は設計者や工務店が理解して使っているか、そしてそれを住まい手にきちんと説明しているかどうか。

ここらで乾燥と建築関連制度との関係を整理する必要がありそうですね。
建築基準法の4号特例(ある範囲の戸建住宅その他の構造計算を免除する)の廃止がそろそろです。僕はこれによって乾燥や強度測定等を行って自ら責任をもって品質を保証する林業地が、そうでないところに対して優位性を示すチャンスだと思っています。
住宅を建てる場合、建築基準法を満足(これが最低限のレベル)するのであれば、現状では上述のようにグリーン材・乾燥材の区別はありません。さらにグレードアップして、品確法の認定を受けるとなれば、現在は乾燥の程度の表示があった方が良いですが、義務ではありません。
ただし、今後瑕疵保証保険制度が導入され、かつ4号特例が廃止されることで、構造計算のレベルもアップするでしょうし、その中で使用木材の特に強度等に関する品質情報の要求は強まるでしょう。
これに対応できなければ、国産材の更なる地盤低下は確実です。
田中さんの言われる、木材は国際流通品というのはその通りですし、建築に用いられる素材の一つに過ぎません。逆に国際競争力を付け、世界の一級品として輸出できるような制度設計が必要です。

私も、含水率が高い低い、強度が強い弱い、ではなくて、その木材の含水率・ヤング係数などを示すことが木材の商品価値を上げる、と言っているのですが。

弱い木でも、どれほど弱いか示すことで、新たな使い道が生れるんですね。だから「木材は情報素材」であるというのですが、わかってもらえないかなあ。
おそらく上記に記していただいた建築基準法との絡みも、林業関係者(行政も含む)はほとんど知らないのではないでしょうか。

建築の構造材は無暗に強い必要はないのです。
逆に強すぎることはそこに力が集中して壊れる可能性があります。
もっと言えば、構造計算は計算式に条件を入れればただ一つの答えが出てくるものではありません。
多くの仮定を設定して収れんした答えが出るものです。ですから極端に言って、構造設計者毎に同じ建物でも答えが違うものなのです。もちろん同じ建物で、同じ条件設定をすれば、同じ答えが出ます。
でも設定する条件は多々あり、チェックする側は条件設定の合理性(バランス)を見ています。
条件設定の合理性を見るためには、たとえば素材ごとの情報が必要です。が、国産木材はその情報が少ないために敬遠されているのです。集成材はきちんと表示されています。バランスを見ているのですから、一義的に強い弱いで決めているのではないことは建築サイドは知っているのですがね・・・

こんばんは。

>発言は周辺林業地の人の方が多かったのだ。
木材に限らず、所謂「村おこし」でも似てますよね。
南信州に猫の額程度の土地を手に入れて、週末田舎暮らしを楽しんでいますが、地元の衆からは「こんな何も無いところを」とか、否定的な発言ばかりです。
私は、「都会は(諸々の法規制で)快適過ぎるから、不便さを工夫するのが楽しいの。その事が売りになるよ」と、言うのですけどね。薪割りだって、経験が無い者にとっては、いいレクレーションになるんだけどなぁ。
別荘(ってほどの物ではありませんが)のある村は、かつて薪炭材の出荷集積地であり、燃料革命がおきるまでは、相当に潤っていたそうですが、今は観光客を隣村の日帰り温泉に取られてアップアップ状態なのに、「あんな貧乏村・・・」って、現状誤認な発言がポンポンと。
ちなみに、隣村は竹下登がばらまいた一億円を、ジャンボ宝くじに投資したり、平成の大合併で中学生以上に投票権を与えたりした村です。

以前、「うちの木は、みんな質が悪いんだ」と力説される森林組合長がいましたが……。
いくら客観的に悪くても、身内は自慢してほしいものだと思います。そこから出発しないと。

自分は変わらずに、変わった他人を批判したのでは、何も生み出さない。

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