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2008/11/06

金融危機と日本木材事情

アメリカ大統領にオバマ氏が選出された。

だからというわけではないが、今後の世界情勢を左右しかねない金融危機に関して、林業からの考察を。実は、前から書きたかったんだけど、あまりに為替と株価の乱高下が続くので、しばらく様子見をしていた。最近は少しは落ち着いたようだ。

で、世界的な金融危機の中で、相対的に日本は強いと判断されたらしく、円高が進行している。一時は90円を割り込んだのだから、たまらない。

円高は、輸入価格を押し下げる。当然、外材も価格を下げるだろう。すると、木材不足と中国・インドなど新興国の参入で材価が上がり、日本は買い負けしていた状況が変わる可能性がある。またもや日本は木材輸入大国になれるわけだ。その価格は、国産材よりも安くなる可能性も高い。

一方で、アメリカやヨーロッパでは不況が深刻化し、とくに建築不況となるから、木材需要が縮む。すると輸出指向が強くなるだろう。また中国やインドも、不景気になれば木材の輸入を減らす。
市場でだぶついた木材は、日本へと向かうのではないか。

もちろん、日本も不景気になりつつある。住宅建築も減少する。そうすると国産材の材価は下がるだろう。安値の外材にひきづられる要素もある。すると伐出しても赤字になるから、国産材の生産は減る方向に向かうことが想像できる。
それは安定供給を脅かす。国産材は、やっぱり信用ならん、という声が噴き出る。

その隙間に外材が流れ込むのである。新流通加工システムや新生産システムの合板、集成材工場も、再び外材に傾斜する。かくして木材自給率は急降下……。

う~ん。こんな悪い予測しかできない。日本林業は壊滅か?

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林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

  
 日本林業は壊滅か?

 そう思います。

 国産材の価格はどんどん下がってますね。
木ならいい、安ければ良いですね。

 国産材は今まで優良材生産めざして、手入れに金がかかりました。高く売れた時代があった。
 その高く売れた元木、無節材、高齢及材、がらの良い木が並材と一緒に取引されるようになりましたね。

 民有林の生産は、益々減る方向に向かうでしょう。

問題は国有林です。
 優良材をどんどん伐って、どんどん安値で販売してます。だって量をたくさん伐らないと売り上げが予定まで達しないから・・・

 国有林が癌ですね。

民有林は,大半が並材生産です。だから,安くても利益の出る生産をすれば,国産材も引く手あまたですよ。困るのは,高級材の生産地です。

国有林の問題点は,採算度外視で売っているところかな。

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